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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X12
管理番号 1347845 
審判番号 取消2016-300224 
総通号数 230 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2019-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-04-04 
確定日 2019-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第5263495号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5263495号商標(以下「本件商標」という。)は、「POTENZA」の文字を標準文字により表してなり、2006年10月27日に域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、第12類「自転車の部品及び付属品(自転車のタイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」を指定商品として、平成21年7月27日に登録の審決がなされ、同年9月4日に設定登録され、その後、その指定商品中、第12類「自転車の部品及び付属品(自転車のタイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。),ただし,競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)を除く。」についての登録は、平成24年3月13日に異議申立ての確定登録により、取り消されたものである。
なお、本件審判の請求の登録日は、平成28年4月18日である。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
1 請求の趣旨
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)使用に係る商標について
被請求人が提出した乙各号証の証拠では本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていることは開示されていない。
ア 乙第3号証ないし乙第6号証により証明しようとしている商標権者の使用に係る商標は図形商標である。当該図形商標は、略横長の白塗りの平行四辺形と、やや厚みのある縦長で白塗りの平行四辺形が中心で重なった図形の中に、横長の平行四辺形には「POTENZA」、縦長の平行四辺形には数字の「11」が表された態様からなり(以下「使用商標」という)、統一されたデザインの外観上まとまりのよい商標である。他方、本件商標は標準文字で「POTENZA」と表されている。使用商標は全体をもって一体不可分の図形商標であるから、そこから「POTENZA」のみが分離して把握されることはない。また、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標でもなく、外観において同視される図形からなる商標でもない。したがって、使用商標は本件登録商標と社会通念上同一の商標ではない。
イ 雑誌(乙5、乙6)には「ポテンツァ11」「ポテンツァ」「Potenza」などが確認できるが、かかる表示は雑誌の構成上で編集側か独自に使った表記であって、商標権者自身が表記したものではない。また、本件商標は「ポテンツァ」以外に「ポテンザ」と自然に称呼できるため、「平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」とはいえない。したがって、商標権者が本件商標と社会通念上同一の商標を使用したことを証明するものではない。
ウ 被請求人は商品価格表や卸売業者へのメール、インボイスを提出して本件商標の使用を主張している(乙1、乙2、乙7)。商品価格表には被請求人の主張するように「POTENZA BLACK Power-Torque System 11s crankset」、「POTENZA SILVER Power Shift 11s Ergopower shifting levers」、「POTENZA SILVER Power-Torque System 11s crankset」などの文字が確認できるが(乙1、乙2)、これらは本件商標と社会通念上同一の商標ではない。なぜなら、「POTENZA BLACK」または「POTENZA SILVER」というように、当該部分のみ大文字で一体的に表されており、これに続く「Power-Toruque System」などの商品名の表記とは視覚上明確に区別されていることから、「POTENZA BLACK」又は「POTENZA SILVER」はひとまとまりのものとして商標としての識別標識となっている。乙第1号証及び乙第2号証の各1頁目の電子メールにおいても「ポテンツァ・シルバー」と、かかる部分がひとまとまりで確認できる。さらに、インボイスには「POTENZA BLK 11 Ergopower」「comandi Ergopower POTENZA 11 BLACK Power Shift 11s」(Pos40)、「POTENZA BL 11S crankset L.172.5 34-50」「GARNITURA POTENZA BLACK 11S L.172.5 34-50」(Pos50)が確認できるが(乙7)、これらも「POTENZA BLK 11」や「POTENZA 11 BLACK」などの部分が一体的なものとして認識できる。
エ 以上のように、商品価格表や卸売業者へのメール、インボイスには商標が本件商標と同一の態様で使用されている証拠は開示されていない。また、提出された証拠はすべて被請求人の2017新製品に関するものであるが、商品価格表などには新製品に付された図形商標を表記することができなかったために上述のような態様で表記されたにすぎない。さらに、新製品は黒とシルバーの二種の展開のみであるから(乙5、乙6)、「POTENZA BLACK」や 「POTENZA SILVER」、「POTENZA BLK 11」、「POTENZA BL 11S」などのようにカラーの要素を含めて表記する必要があったと推察される。本件にあっては「BLACK」や「SILVER」の要素は商品識別のための不可欠な情報である。当該部分を捨象し、「POTENZA」の欧文字を要部抽出した場合、本件商標の識別力に影響を及ぼすものであるから「BLACK」や「SILVER」は付加的な要素ではない。
したがって、乙第1号証、乙第2号証及び乙第7号証における使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標を示すものではない。
(2)使用に係る商品について
ア 被請求人が、本件商標が使用されている商品と主張している商品郡のうち、電動変速機、カセットスプロケット、後輪用変速機(リア・ディレイラー)の部品、前輪用変速機(フロント・ディレイラー)の部品、ブレーキ本件商標の指定商品には含まれない(甲3)。
類似商標・役務審査基準〔国際分類第11類-2017版対応〕によれば、「動力伝動装置」(陸上の乗物用の機械要素)や「制動装置」(陸上の乗物用の機械要素)は「自転車の部品及び附属品」とは非類似の商品として取り扱われる(甲10)。「電動変速機、カセットスプロケット、後輪用変速機(リア・ディレイラー)の部品、前輪用変速機(フロント・ディレイラー)の部品、ブレーキ」は明らかに「動力伝動装置」(陸上の乗物用の機械要素)又は「制動装置」(陸上の乗物用の機械要素)の範ちゅうの商品である。たとえ、「競技用」であったとしても、「電動変速機、カセットスプロケット、後輪用変速機(リア・ディレイラー)の部品、前輪用変速機(フロント・ディレイラー)の部品、ブレーキ」は「動力伝動装置」(陸上の乗物用の機械要素)又は「制動装置」(陸上の乗物用の機械要素)に含まれる商品である。よって、「電動変速機、カセットスプロケット、後輪用変速機(リア・ディレイラー)の部品、前輪用変速機(フロント・ディレイラー)の部品、ブレーキ」は本件指定商品には含まれない(甲3)。
イ インターネット上の情報(甲4、甲5)によれば、被請求人が提出した雑誌「BiCYCLE CLUB」(乙5)は「趣味系自転車雑誌」、雑誌「CYCLE SPORTS」(乙6)は「自転車総合情報雑誌」であって、それぞれの記載内容から、これらの雑誌は競技のみならず、自転車全般に関連する多岐に亘る情報を取り扱っていることは明らかで、主な購読者は自転車愛好家と考えられる。
したがって、雑誌掲載の被請求人の使用商標が付された商品は自転車愛好家が通勤・サイクリング用の自転車に使用するために購入する商品であって、競技用自転車部品とはいい難い。そして、自転車愛好家が増えつつある昨今では趣味性の高い自転車に人気が集まり、自転車部品のユーザーも自転車好きの一般的な需要者が多く、競技用非競技用の自転車部品のボーダーが不明確になりつつある現状が窺えるから、競技用と表記していても、一般的な需要者が好んで購入する程度の商品は厳密には競技用ではない。そのような商品は国際自転車競技連合の世界選手権のレース等で使用される競技用自転車の専用部品とは異なる。
さらに、被請求人の使用商標が付された商品は「ミドルグレードモデル」と記載されており(乙5)、専門的な自転車競技者はミドルグレードモデル程度の商品を購入するとは考え難い。ちなみに、被請求人製品の中でハイグレードモデルと位置づけられている「SUPER RECORD」シリーズの価格と(甲7)と、使用商標が付された商品の価格とは大幅に異なる。
ウ よって、需要者層、競技用自転車の専用性、商品の価格帯を考慮しても、被請求人が提出した主張・証拠はいずれも競技用自転車の専用部品である本件指定商品を証明するものではない。
(3)乙第1号証及び乙第2号証について
被請求人が提出した商品価格表は本件審判の請求の登録日時点で有効な取引書類ではない。なぜなら、卸売業者宛のメールの件名には2017新製品情報のご送付とあるが、本文には「日本の希望小売価格、受注活動解禁日については、後日に連絡します。」とあり、商品価格表には「6月1日から有効」と英語で書かれている。すなわち、商品価格表はメールの日付である2016年3月24日時点では実際に商品の注文をすることはできない。
したがって、当該証拠は本件商標が使用されていることの証明にはならない。
また、カンパニョーロジャパンが商標権者の日本支店ではなく日本法人であるならば、被請求人とは別個の法人である。日本法人であるとの理由で必ずしも商標権者と同視できるものではない。
(4)乙第3号証及び乙第4号証について
被請求人が提出した乙第3号証及び乙第4号証は、第32回全日本トライアスロン宮古島大会の会場でブースを設けて図形商標を付した商品を陳列した事実を証明するにすぎず、「譲渡若しくは引渡しのため」の展示(商標法第2条第3項第2号)であることは明らかにされていない。したがって、当該証拠によって本件商標が使用されているとはいえない。
(5)乙第5号証ないし乙第7号証について
乙第5号証及び乙第6号証の雑誌の発行日はいずれも平成28年4月20日である。これらは本件審判予告登録前3年(以下「要証期間」という。)以内の要件を満たさない、要証期間外の証拠である。
また、乙第7号証のインボイスは、これが乙第5号証及び乙第6号証の雑誌の発行と関連あるものなのか明らかにされていない。雑誌に商品記事を掲載するためには、現地から商品の写真を送付すれば足りるからである。
加えて、インボイスには「支払期間はインボイスの日付の月末から120日」と英語で記載されているが、商品の輸入時期に関する記載は見当たらない。
したがって、どの時点で輸入行為があったのかは提出された証拠のみでは不明である。
(6)乙第8号証及び乙第9号証について
被請求人が提出した乙第8号証及び乙第9号証には本件商標がその指定商品に使用されている事実は一切開示されていない。
(7)以上のとおり、被請求人の提出した資料からは、本件商標がその指定商品に使用されていることを立証するものではないことは明らかである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証(枝番を含む。)を提出した。
1 答弁書
被請求人は、本件審判の請求の要証期間内に、日本国内において、被請求人である商標権者が設立した日本法人である、神奈川県横浜市所在の有限会社カンパニョーロジャパン(以下「本件日本法人」という。)により、本件商標を、商標法第2条第3項第2号又は同第8号に規定された使用をしている。
(1)本件商標の使用
ア 平成28年3月24日に、商標権者と同視できる本件日本法人は、本件商標を表示した製品価格表を、日本国に所在する卸売業者2社に頒布した(乙1、乙2)。商品価格表には、本件商標が、明確に認識される形で、「POTENZA BLACK Power-Torque System 11s crankset」、「POTENZA SILVER Power Shift 11s ErgoPower shifting levers」及び、「POTENZA SILVER Power-Torque System 11s crankset」として表示がされている。商品価格表の頒布日が、本件審判の請求の登録日前の平成28年3月24日であることは、乙第1号証及び乙第2号証の各1頁目の電子メールの送信日時から明らかである。
イ 平成28年4月14日から同月18日まで開催された、第32回全日本トライアスロン宮古島大会において、本件日本法人は、本件商標を付した商標権者の商品を展示した(乙3、乙4)。乙第3号証の1の写真には、「宮古島市総合体育館」の表示がある建物が写っている。
また、展示した商品「パワークランクアーム」の拡大写真(乙4の1)には、本件商標が表示されている。第32回全日本トライアスロン宮古島大会が、本件審判の請求の登録日前の平成28年4月14日から同月18日まで開催されたことは、乙第3号証の2として提出した、大会公式スケジュールから明らかである。また、乙第4号証の2として提出した、前記拡大写真のプロパティ中の撮影日に関するデータから、商品の展示が、平成28年4月15日になされていた事実が確認できる。
ウ 平成28年4月19日以前において、本件日本法人は、本件商標を商品に付したものを日本国に輸入した(乙5?乙7)。
乙第5号証及び乙第6号証として提出した雑誌の発行日は、いずれも平成28年4月20日であるが、記事の作成、商品撮影、記事と撮影写真の編集及び雑誌の印刷・製本に要する日数など勘案すると、乙第7号証として提出したインボイスの日付である2016年1月29日以降であって、本件商標を付した商品が、本件審判の請求の登録日前、すなわち、発行日よりも相当前に日本国に輸入されたことが容易に推認できる。インボイスには、「cambio POTENZA 11s- bi. medio」(POTENZA 11s リア・ディレイラー - ミドル・ケージ)、「POTENZA 11S BRAZE-ON front der./DERGLIATORE POTENZA A SLD 11s」(POTENZA 11s 直付けフロントディレーラー)、「POTENZA BLK 11 ErgoPower/comndi ErgoPowe POTENZA 11 BLACK Power Shift 11s」(POTENZA 11s エルゴパワー ブラック パワー・シフト)、「POTENZA BL 11S crankset」(POTENZA 11S クランクセット ブラック)及び「Potenza brakes/Freni POTENZA」(POTENZA ブレーキ)が記載され、本願商標が、商品の一般名とともに表示されている。
(2)使用に係る商品
本件商標は、競技用自転車の部品である、クランクアーム、パワートルククランク及び電動変速機に次のように使用されている。
ア 上記(1)アで述べた商品価格表の表示中「Power-Torque System 11s crankset」及び「Power Shift Ergopower shifting levers」は、各々「パワー・トルク・システム 11s クランクセット」及び「パワー・シフト エルゴパワー シフト・レバー」の意味である。
イ 上記(1)イで述べた第32回全日本トライアスロン宮古島大会で競技参加者向けに多段式のカセットスプロケット(乙3の1)を含む他の競技用自転車部品とともに展示した商品は、クランクセット(乙4の1)であることは、その商品形状から明白である。
ウ 上記(1)ウで述べた、雑誌に掲載された本件商標を付した商品は、パワーシフトと、後輪用変速機の部品と、前輪用変速機の部品と、クランクセットであることは、各商品形状及び掲載記事から明白である。
さらに、本件商標を付した自転車の部品が、競技用であることは、乙第6号証として提出した雑誌の104頁及び105頁に記載されているように、パワーシフトの価格が2万2500円であり、後輪用変速機の部品が、1万8800円であり、前輪用変速機が、8500円であり、クランクセットが、3万600円という金額から、一般自転車向けでないことは明らかである。
また、商標権者は、競技用自転車部品のメーカーとして知られている。たとえば、乙第8号証及び乙第9号証中の記載から、商標権者の商品が、競技用自転車の部品であることが明らかである。
2 弁駁の理由に対する反論
(1)請求人は、乙第3号証ないし乙第6号証について、「使用商標は登録商標と社会通念上同一の商標ではない」旨主張する。
しかしながら、「POTENZA」の表示が付された使用に係る商品の写真が、特に、乙第5号証として提出した平成28年4月20日発行の雑誌「BiCYCLECLUB」6月号に、また、乙第6号証として提出した平成28年4月20日発行の雑誌「CYCLE SPORTS」6月号に掲載されている。
請求人は、乙第1号証及び乙第2号証について、「POTENZA BLACK」または「POTENZA SILVER」が、ひとまとまりのものとして商標としての識別標識になっている」旨主張する。
しかしながら、「BLACK」及び「SILVER」は、各々「黒色」及び「銀色」の意味を有する英語として、日本国において何人も知っている単語であることから、需要者・取引者は、「POTENZA」の箇所にのみ注目することは容易に推認でき、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されているといえる。
(2)請求人は、甲第3号証として提出された特許情報プラットフォームにおける表示を根拠に、「電動変速機、カセットスプロケット、後輪用変速機(リア・ディレイラー)の部品、前輪用変速機(フロント・ディレイラー)の部品、ブレーキは本件商標の指定商品には含まれない」旨主張する。
本件商標の指定商品は、本件外異議申立の結果、指定商品が、「競技用自転車の部品及び付属品(自転車のフレーム・タイヤ・チューブ・車輪・リム・スポークを除く。)」に限定されたにすぎず、「電動変速機、カセットスプロケット、後輪用変速機(リア・ディレイラー)の部品、前輪用変速機(フロント・ディレイラー)の部品、ブレーキ」も、競技用自転車の部品及び附属品としては、本件商標の指定商品に含まれる。
また、請求人は、被請求人の使用商標が付された商品は、競技用自転車部品とはいい難いと主張する。
しかしながら、自転車競技者にとって大事なことは、部品の性能であり、部品の価格が高価であることではない。自転車競技者が、性能的に満足できるものであれば、高価格でなくとも、性能的に劣る安価な製品でない限り、競技用自転車の専用部品であるといえる。
(3)請求人は、「商品価格表はメールの日付である2016年3月24日の時点では実際に商品の注文をすることはできない」旨主張する。
しかしながら、商品の注文を受け付ける前に、商標を商品価格表に使用する行為も、商標法第2条第3項第8号に該当する使用行為である。
また、請求人は、本件日本法人を商標権者と同視できるとする根拠が立証されていない旨主張する。
しかしながら、乙第1号証及び乙第2号証として提出したメールの差出人が、「カンパニョーロジャパン」の名称を用いていることから、メールの受取人である取引者は、直ちに本件日本法人を本件商標権者と同視すると推認される。
(4)請求人は、乙第3号証及び乙第4号証は、商標法第2条第3項第2号に規定する「譲渡若しくは引渡しのため」の展示であることは明らかにされていない旨主張する。しかしながら、こられの写真に示す商品には、本件商標が付されており、展示前に商品に標章を付したものを輸入する行為は、商標法第2条第3項第2号に該当する使用行為である。
(5)請求人は、乙第5号証及び乙第6号証の雑誌の発行日はいずれも平成28年4月20日であるので、要証期間外の証拠である旨主張する。
しかしながら、記事の作成、商品撮影、記事と撮影写真の編集及び雑誌の印刷・製本に要する日数など勘案すると、乙第7号証として提出したインボイスの日付である2016年1月29日以降であって、本件審判の請求の登録日前、すなわち、発行日よりも相当前に、本件商標を付した商品が日本国に輸入されたことが推認される。

第4 当審の判断
1 証拠及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
乙第1号証及び乙第2号証は「日本国に所在の卸売業者に頒布した商品価格表及びその送信電子メール文の写し」とのことであるが、両書証の送信メール文には、送信日時に「2016年3月24日木曜日」の記載が、件名に「2017新製品情報のご送付」の記載が、メール文として「いつもお世話になっております。2017新製品に関するレターとプライスリストをお送りしますので、ご確認下さい。」、「1.ポテンツァ・シルバークランクセットに関して、チェーンリングのカラーがシルバー変更になるかどうかは、今のところまだ決まっていません。本社で検討中です。2.日本の希望小売価格、受注活動解禁日については、後日ご連絡いたします。」等の記載があり、メール下段には「カンパニョーロジャパン」の表記及び神奈川県横浜市の住所、電話番号等の記載がある。
(2)乙第3号証及び乙第4号証について
ア 乙第3号証の1は、本件日本法人による「第32回全日本トライアスロン宮古島大会における展示ブース及び展示品の写真」とのことであるが、その上段の写真は展示ブースの全景とみられ、展示ブースのテントの下には自転車の部品が並べられた青い台が置かれ、展示ブース背景の建物には「宮古島市」「体育」の文字が確認できる。
イ 乙第3号証の1下段の写真は、上段の写真の自転車の部品らしきものが並べられた青い台であるが、その台上の右上には「自転車用ギアクランク」が並べられている。
ウ 乙第4号証の1は、乙第3号証の1における「展示品の拡大写真」とのことであるが、当該写真に表されている商品は「自転車用ギアクランク」(以下「使用商品」という。)と認められる。
そして、使用商品には、使用商標が表示されていることが確認できる。
エ 乙第3号証の2は「第32回全日本トライアスロン宮古島大会スケジュール」とのことであるが、当該証拠によれば、第32回全日本トライアスロン宮古島大会は2016年4月14日から同月18日の間、開催された。
(3)乙第5号証及び乙第6号証について
乙第5号証及び乙第6号証は、いずれも平成28年4月20日に発行された雑誌「BiCYCLECLUB」6月号及び「CYCLE SPORTS」6月号の写しとのことであるが、乙第5号証の75頁及び乙6号証の105頁に掲載されている商品「自転車用ギアクランク」は、「POTENZA」の「CRANKSET」であって、その掲載写真に表された形状から、乙第4号証の1の写真に表された使用商品と、同型の商品と認められる。
(4)乙第7号証及について
乙第7号証は「インボイスの写し及びその抄訳」とのことであるが、インボイスには、上段に商標権者の名称、住所、電話番号等の記載が、「Customer」欄には本件日本法人の名称、住所の記載がある。そして、内容欄には「Order Date:26-01-2016」、Pos50に「POTENZA BL 11S crankset L.172.5 34-50」等の記載がある。
そして、この「POTENZA BL 11S crankset L.172.5 34-50」の表示は、「POTENZA」の「CRANKSET」であって、「自転車用ギアクランク」である使用商品の商品名(品名、色、サイズ)を表すものと認められる。
2 本件商標の使用について
(1)使用商標について
使用商標は、横長の白塗りの平行四辺形が、やや厚みのある縦長で白塗りの平行四辺形の上に重なるように中心で交差し、横長の平行四辺形中には「POTENZA」の欧文字が、縦長の平行四辺形中には数字の「11」が表された態様からなるところ(乙4の1、乙5、乙6)、その構成中「POTENZA」の欧文字部分が特段特徴的な態様で表されているとはいえず、他の構成要素と分離することが不自然というほど一体に表されているとも認められない。
また、「POTENZA」の欧文字が表されている平行四辺形についても、ありふれた形状であることから、使用商標に接した需要者は、単なる背景図形として認識するといえ、「POTENZA」の欧文字の自他商品識別標識としての機能に何ら影響を与えるものではない。
そして、「POTENZA」の欧文字は、本件商標と同一の文字つづりからなるものであることから、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標といって差し支えない。
(2)使用商品について
使用商品は「自転車用ギアクランク」であるところ、雑誌「BiCYCLECLUB」6月号(乙5)における商品の説明文である「カンパニョーロ新型機種が日本にいよいよ上陸!・・その性能はツール・ド・フランスをはじめ、数々のビッグレースでの勝利で実証され、レーシングコンポーネンツとして不動の地位を築いた。・・今回、カンパニョーロの新作がスペインで世界メディアに向けに発表された。注目を集めたのは、8年ぶりとなる新型ミドルグレードのグループセット『ポテンツァ11』の誕生。」、「ハードな変速ラインにも対応するレーシングパーツ」の記載からすれば、使用商品は、「競技用」であるといえる。
したがって、使用商品は、「競技用の自転車用ギアクランク」であり、該商品は本件商標の指定商品の範ちゅうの商品である。
なお、請求人は、使用商品が掲載された雑誌(乙5、乙6)の主な購読者は自転車愛好家であり、使用商品は自転車愛好家が通勤・サイクリング用の自転車に使用するために購入する商品であること、競技用と表記していても、一般的な需要者が好んで購入する程度の商品は厳密には競技用ではなく、そのような商品は国際自転車競技連合の世界選手権のレース等で使用される競技用自転車の専用部品とは異なること、使用商品は「ミドルグレードモデル」と記載されており、専門的な自転車競技者はミドルグレードモデル程度の商品を購入するとは考え難いことから、使用商品は競技用自転車の専用部品ではない旨主張する。
しかしながら、「競技用」を世界選手権のレース等の専用品に限定しなければならないとする理由はなく、自転車の競技について、世界的な競技ばかりで無く、初心者や趣味として競技を行っている競技者を含め、様々なレベルの競技者が参加できる競技が行われていることは一般に知られているところであり、そのような競技者は、自己の能力等に合った性能や価格の商品を自由に購入するというのが相当である。
そして、使用商品は、それが掲載されている雑誌においても「レーシングコンポーネント」や「レーシングパーツ」として紹介され、その部品の性能を重視した記事が掲載されていることからも、使用商品は「競技用」の商品と認められ、これを否定する理由はない。
(3)使用者について
本件日本法人である神奈川県横浜市所在の有限会社カンパニョーロジャパンは、2016年(平成28年)1月29日に商標権者に対して使用商品を含む商標権者の業務に係る商品についての注文を行っている(乙7)。本件日本法人は2016年(平成28年)3月24日に、使用商品を含む商標権者の業務に係る商品の価格表を我が国の卸売業者にメールにより送信している(乙1、乙2)。そして、当該メールの文面には、使用商品の色の変更が本社で検討中である旨や日本の希望小売価格、受注活動解禁日が後日連絡となることについての説明が記載されていること、2016年(平成28年)4月14日から同月18日までの期間に開催された「第32回全日本トライアスロン宮古島大会」において、使用商品を含む商標権者の業務に係る商品を展示している(乙3、乙4)ことから、本件日本法人は、商標権者の業務に係る商品について、平成28年1月から我が国における営業活動を継続的に行っていると認められる。
そして、使用商品には本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されており、さらに、商標権者は本件日本法人の使用商品を含む商標権者の業務に係る商品についての営業活動を問題としているような事実も見当たらない。
そうすると、本件日本法人は、少なくとも要証期間内である平成28年1月から同年4月18日頃には、商標権者より本件商標の使用権を許諾された通常使用権者とみて差し支えない。
(4)使用の時期及び使用の行為について
通常使用権者と認められる本件日本法人は、2016年(平成28年)1月29日に商標権者に対して使用商品の注文を行っている(乙7)。そして、2016年(平成28年)4月14日から同月18日までの期間に開催された「第32回全日本トライアスロン宮古島大会」において、使用商品を展示していることから(乙3、乙4)、使用商品は2016年(平成28年)1月29日以降、同年4月14日前には我が国に輸入されたと推認でき、この期間は要証期間内に該当する。
また、使用商品には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されている。
そうすると、通常使用権者は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した商品「競技用の自転車用のギアクランク」を、我が国に輸入したといえる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第2号に定める商標の「使用」に該当する。
通常使用権者と認められる本件日本法人は、要証期間内である2016年(平成28年)4月14日から同月18日までの期間に開催された「第32回全日本トライアスロン宮古島大会」において、使用商品を展示していることから(乙3、乙4)、対象としているのは当該大会の参加者及び観戦者といえ、この参加者及び観戦者は、使用商品に少なからず興味を有する者、すなわち需要者であることから、この展示は、使用商品に関する広告のための展示といえる。
また、使用商品には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が付されている。
そうすると、通常使用権者は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付した商品「競技用の自転車用のギアクランク」を、我が国において広告のために展示したといえる。
そして、この行為は、商標法第2条第3項第8号に定める商標の「使用」に該当する。
3 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が請求に係る指定商品に含まれる商品「競技用の自転車用のギアクランク」について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-05-25 
結審通知日 2018-05-29 
審決日 2018-06-11 
出願番号 商願2007-39326(T2007-39326) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (X12)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 薩摩 純一馬場 秀敏 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 田中 幸一
榎本 政実
登録日 2009-09-04 
登録番号 商標登録第5263495号(T5263495) 
商標の称呼 ポテンザ 
代理人 脇田 真希 
代理人 小川 利春 
代理人 本多 一郎 
代理人 本多 敬子 
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