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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W05 |
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管理番号 | 1347837 |
審判番号 | 不服2017-12694 |
総通号数 | 230 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-08-28 |
確定日 | 2018-12-19 |
事件の表示 | 商願2015-7479拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲1のとおりの構成からなり、第5類「薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,創傷被覆材,おむつ,おむつカバー,医療用腕環,防虫紙,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品」を指定商品として、平成27年1月28日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定は、「本願の指定商品中の『湿布剤』などを取り扱う業界においては、目立たなくするために肌色の商品が広く一般に取り扱われており、また、四隅に丸みをもたせたシート状の商品が普通に取引されていることから、四隅に丸みをもたせた肌色の長方形をやや波打たせたように表されたシート状の図形からなる本願商標を、本願の指定商品中、例えば、『湿布剤』に使用しても、その商品の品質、形状を端的に表示したものとして認識されるにとどまると認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるため、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審においてした証拠調べ 審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲2に示すとおりの事実を発見したので、平成30年5月11日付けで、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、上記証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して、意見を申し立てる機会を与えた。 4 証拠調べ通知に対する請求人の意見の要点 (1)証拠調べ通知書においては、貼付剤やばんそうこうが波打つように表現されている図が包装用箱に使用されている例が挙げられているが、使用例1及び3ないし14は、いずれも、図形自体が商品を写実的に表現したものや、長方形図形以外の商品の品質や特徴を理解させる図形や文字を組み合わせて使用されているものであって、そのような図形や文字との組合せにより、貼付剤やばんそうこうを端的に表したものと理解できるものであるから、そのような図形や文字との組合せがない、波打たせたような長方形図形だけでは、それが何を表しているかを理解することができない。 また、使用例2は、請求人の関連会社による、請求人から供給された本願商標を付した商品についての使用例であり、波打つように表された長方形図形が、商品の特徴等を表す図形として使用している例とはいえない。 (2)本願商標は、全体として斜めにした長方形図形からなり、四隅に丸みを持たせ、波を打たせたように表現し、長方形図形の短辺に向かって消えていくようにグラデーションを施してなるものであるところ、その特徴の一つである「短辺に向かってグラデーションを施して長方形図形を商品の特徴等を表すものとする」使用例は、証拠調べ通知書において示されておらず、また、請求人が調査した限り、請求人以外の者がこのようなグラデーションを施した図形を使用している事実はない。 そして、本願商標は、証拠調べ通知書において示された使用例のように、特定の商品の品質を理解させるような他の図形や文字と組み合わせてなるものでもない。 そうすると、本願商標は、その構成態様だけでは特定の商品の品質や特徴等を理解することはできず、むしろ、高い独自性と創造性を有する特徴的な図形商標であるというべきである。 (3)本願商標に接する取引者や需要者は、本願商標から必ずしも「貼付剤」を観念するものではなく、見る者によっては、「風に吹かれてはためく旗」や「空飛ぶじゅうたん」を看取する場合もあり、また、短辺に向かって消えていくようにグラデーションを施してなる点に着目して、「シート状の物体が溶けていく様子」と看取する場合も少なくないといえる。このように、誰もが等しく、同じ商品の形状や品質を理解させることができないものは、品質表示ということはできない。 (4)以上のとおり、本願商標は、十分に自他商品の識別機能を発揮する図形商標であるから、登録されるべきものである。 5 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号該当性について 本願商標は、別掲1のとおり、四隅に丸みをもたせた肌色の長方形をやや波打たせたように表してなる図形であって、さらに、その中央から短辺へ向けて徐々に肌色が薄くなるようにグラデーションが施されているものである。 ところで、商品の包装には、商品に接する者に対し、その商品の品質、形状等に係る特長などを容易に看取、把握させるべく、その特長などを表したと認識させる文字の表示とは別個に、その特長などを表したと認識させる図形を表示することが一般に広く行われているといえるところ、本願の指定商品中、「湿布剤,ばんそうこう,創傷被覆材」を取り扱う業界においても、別掲2に示すように、例えば、防水仕様である旨の文字の表示とは別個に、商品の品質、形状を表したものと認識される四隅に丸みをもたせた肌色の四角形をやや波打たせたように表してなる図形とともに水滴と認識される図形を表示してなるもの(別掲2の(3)、(10)及び(14))、使用時に目立ちにくくするために肌色としている旨の文字の表示とは別個に、商品の品質、形状を表したものと認識される四隅に丸みをもたせた肌色の四角形をやや波打たせたように表してなる図形を表示してなるもの(別掲2の(5)ないし(9))、使用時にはがれにくくするために四隅を丸くカットしてある旨の文字の表示とは別個に、商品の品質、形状を表したものと認識される四隅に丸みをもたせた白色の四角形をやや波打たせたように表してなる図形を表示してなるもの(別掲2の(4))がある。 また、上記「湿布剤,ばんそうこう,創傷被覆材」は、肘や膝といった屈曲部に用いられることも少なくないため、本質的に柔軟な性状が求められる商品といえるところ、別掲2に示すものは、細部において異なる点はあるものの、概ね本願商標と同様に、四隅に丸みをもたせた肌色の四角形をやや波打たせたように表してなる図形であって、さらに、その色彩について濃淡をつけたものであり、その中には、例えば、「関節部にもピッタリフィット」のように、当該図形とは別個に、商品の品質や形状(柔軟な性状)に係る特長を表したと認識させる文字の表示があるものも見受けられるが、そのような文字の表示のないものも少なからずある。 さらに、上記「湿布剤,ばんそうこう,創傷被覆材」のように柔軟な性状を備えた商品の品質や形状を包装上に図示するときは、その全体をやや波打たせたように表すのみならず、そのことにより生じた凹凸部の色彩について濃淡をつける方法をもって表現することが普通に行われており、このことは、別掲2に示す例によっても裏付けられる。 そうすると、本願商標をその指定商品中の「湿布剤,ばんそうこう,創傷被覆材」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成態様をもって、商品の品質、形状を表した図形として認識するにとどまるとみるのが相当である。 してみれば、本願商標は、商品の品質、形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は、本願商標の特徴の一つである、短辺に向かってグラデーションを施して長方形図形を商品の特徴等を表すものとして使用している事実は、請求人以外になく、また、本願商標は、特定の商品の品質を理解させるような他の図形や文字と組み合わせてなるものではないから、本願商標の構成態様だけでは、特定の商品の品質や形状等を直接的かつ具体的に理解させることはなく、十分に自他商品の識別機能を発揮する旨主張する。 しかしながら、本願の指定商品中、「湿布剤,ばんそうこう,創傷被覆材」を取り扱う業界においては、商品の包装に、その商品の品質、形状等に係る特長などを容易に看取、把握させるべく、その特長などを表したと認識させる文字の表示とは別個に、その特長などを表したと認識させる図形を表示することが一般に広く行われているといえる上、そのような図形表示も、細部において異なる点はあるものの、その図形に付された色彩の濃淡に係る表現方法を含め、概ね本願商標と同様の構成態様からなるものであって、その構成態様をもって、商品の品質、形状を表した図形として認識させるものであることからすれば、本願商標をその指定商品中の「湿布剤,ばんそうこう,創傷被覆材」について使用するときは、取引者、需要者をして、商品の品質、形状を表した図形として認識するにとどまるというべきこと、上記(1)において述べたとおりである。 したがって、上記請求人による主張は、採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲1 本願商標(色彩は、原本を参照。) 別掲2 平成30年5月11日付け証拠調べ通知をもって開示した事実 (1)ライオン株式会社 ハリックス ほぐリラ 温感 (http://halix.lion.co.jp/hogrela/product/index.htm) (2)祐徳薬品工業株式会社 パスタイムZX-L (https://www.yutokuyakuhin.co.jp/product/2-1-2.html) (3)祐徳薬品工業株式会社 カットバンリペアパッド ジャンボサイズ (http://www.yutokuyakuhin.co.jp/product/1-8.html) (4)大正製薬株式会社 トクホン (https://www.catalog-taisho.com/06364.php) (5)帝國製薬株式会社 オムニードFB温プラスター (https://www.teikoku.co.jp/database/general/view_image/?Code=OC119) (6)帝國製薬株式会社 オムニードFBプラスターα (https://www.teikoku.co.jp/database/general/view_image/?Code=OC143) (7)帝國製薬株式会社 オムニードプラスター (https://www.teikoku.co.jp/database/general/view_image/?Code=OC89) (8)帝國製薬株式会社 ホルキス温プラスター (https://www.teikoku.co.jp/database/general/view_image/?Code=OC141) (9)帝國製薬株式会社 ホルキスプラスター (https://www.teikoku.co.jp/database/general/view_image/?Code=OC139) (10)ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社 バンドエイド キズパワーパッドシリーズ ジャンボサイズ (http://www.band-aid.jp/lineup/) (11)ニチバン株式会社 ケアリーヴ 治す力 (http://www.careleaves.com/naosu/) (12)ニチバン株式会社 ケアリーヴバイオパッド (http://www.nichiban.co.jp/news/07-02/01.html) (13)スズラン株式会社 大きな傷口保護パッド (http://ishopsuzu.kq.shopserve.jp/SHOP/115128.html) (14)阿蘇製薬株式会社 クイックパッド ラインナップ (http://www.aso-pharm.co.jp/products/quickpad.html) (上記イメージ図の色彩等の詳細については、それぞれ記載したURLを参照のこと。) |
審理終結日 | 2018-10-18 |
結審通知日 | 2018-10-22 |
審決日 | 2018-11-05 |
出願番号 | 商願2015-7479(T2015-7479) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W05)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 大橋 良成、赤星 直昭 |
特許庁審判長 |
金子 尚人 |
特許庁審判官 |
石塚 利恵 田中 敬規 |
代理人 | 工藤 莞司 |
代理人 | 黒川 朋也 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 永岡 慶 |