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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W24 |
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管理番号 | 1347766 |
審判番号 | 不服2017-16922 |
総通号数 | 230 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2019-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-11-15 |
確定日 | 2018-12-03 |
事件の表示 | 商願2016-130032拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,「グランドキャニオン」の片仮名及び「GRAND CANYON」の欧文字を上下2段に横書きしてなり,第24類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成28年11月18日に登録出願されたものである。 その後,その指定商品については,原審における平成29年5月19日付けの手続補正書により,第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん」と補正された。 2 原査定の拒絶の理由(要点) 原査定は,「本願商標は,米国のアリゾナ州にある渓谷であって世界遺産にも登録されている『グランドキャニオン』及び『GRAND CANYON』の文字を2段に横書きしてなるものである。そして,世界遺産は一般に観光目的に利用されており,観光地では,各種の土産物や特産品が生産,販売されていることからすると,本願商標をその指定商品に使用した場合には,これに接する取引者,需要者は,単に商品の産地を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。したがって,本願商標は,商品の産地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。 3 当審における審尋及び請求人の回答 審判長は,請求人に対し,別掲1及び2に係る証拠を示して,本願商標が商標法第3条第1項第3号(産地又は販売地表示)に該当する旨の審尋を発し,意見を求めたが,請求人からは,何ら応答がなかった。 4 当審の判断 (1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性 本願商標は,「グランドキャニオン」の片仮名及び「GRAND CANYON」の欧文字を上下2段に横書きしてなるものである。 そして,「グランドキャニオン」の片仮名及び「GRAND CANYON」の欧文字は,別掲1のとおり,米国西部アリゾナ州北西部にある大峡谷を指称する語であって,該渓谷は,1979年に世界自然遺産に登録され,その名称とともに世界的に広く知られており,かつ,我が国においても広く一般に知られている世界的に有名な観光地でもある。 また,一般に観光地(その所在地又は周辺地域を含む。)においては,観光名所等の名称やその地理的な名称を付した土産物に係る商品が多数販売されている実情にあることはよく知られているところであり,本願の指定商品は,その土産物になり得る布製身の回り品や,織物製テーブルナプキンなどの商品を含むものである。 さらに,別掲2のとおり,上記「グランドキャニオン(GRAND CANYON)」においても,実際に,様々な土産物が生産され又は販売されていることが認められる。 以上からすれば,「グランドキャニオン」の片仮名及び「GRAND CANYON」の欧文字からなる本願商標は,著名な地理的名称(外国の著名な観光地を表す名称)を普通に用いられる方法で表示するものであるといえるから,これをその指定商品に使用したときには,これに接する取引者,需要者に,当該商品が上記「グランドキャニオン(GRAND CANYON)」で生産され又は販売されているであろうと一般に認識されるものであると判断せざるを得ない。 したがって,本願商標は,その指定商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示するにすぎないというべきであるから,商標法第3条第1項第3号に該当する。 (2)請求人の主張について 請求人は,世界遺産に登録された1979年以後において,「GRAND CANYON」及び「グランドキャニオン」の文字を含む商標が複数登録されていることからも,該語が商品の産地,販売地を表すものでない旨主張する。 しかしながら,別掲1及び2のとおり,「グランドキャニオン(GRAND CANYON)」は,米国西部アリゾナ州北西部にある大峡谷を指称する語であって,世界遺産に登録されている著名な観光地であることは,我が国においても広く一般に知られているところ,当該観光地においても,様々な土産物が生産又は販売されていることが認められるから,上記(1)のとおり,本願商標は,これに接する取引者,需要者によって,当該商品の産地又は販売地を表示するものとして一般に認識されるものであるというのが相当であり,このことは請求人が挙げる既登録例の存在によって左右されるものではない。 したがって,請求人の上記主張は採用することができない。 (3)まとめ 以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(平成30年6月29日付けで審尋により開示した事実) 1 「グランドキャニオン(GRAND CANYON)」が世界遺産に登録されていること,また,著名な観光地であること (1)辞書,書籍及び雑誌 ア 「グランド‐キャニオン【Grand Canyon】」の項に,「アメリカ西部,アリゾナ州北西部にある峡谷。コロラド川がコロラド高原を浸食して形成したもので,長さ450キロメートル,深さ1600メートルに及ぶ。大峡谷。世界遺産。」との記載がある。(広辞苑第6版 株式会社岩波書店) イ 「グランド・キャニオン」の項に,「アリゾナ州北西部に位置するグランド・キャニオン国立公園は,1979年に世界遺産に登録された。グランド・キャニオンは公園内を流れるコロラド川沿いの峡谷で,先カンブリア時代からベルム紀までの地層を間近に見ることができる。・・・観光名所となっているグランド・キャニオン・スカイウォークは,絶壁から突き出したU字形の透明な展望橋で,薄い強化ガラスの下に広がる雄大な景色を眺めながら,空中散歩を楽しめる。」との記載がある。(「世界遺産に行こう」の122?123頁 2011年8月2日発行 株式会社学研パブリッシング) ウ 「グランド・キャニオン」の項に,「DATA アメリカ南西部,アリゾナ州北西部にある峡谷。総面積4932平方km,全長446km,深さは平均1200m。断層上の標高は2100m。20億年から2億5000万年前の地球の断層が観察できる世界自然遺産。」との記載,及び「グランド・キャニオンは,今日ではアメリカで最も人気のある観光地となり,年間450万人がここを訪れている。また地質学的にも貴重なこの国立公園は,1979年に世界自然遺産にも登録された。」との記載がある。(「週刊 奇跡の絶景 Miracle Planet 24 グランド・キャニオン アメリカ合衆国」の8?9頁 2017年4月25日発行 (株)講談社) (2)インターネット情報 ア 「公益社団法人日本ユネスコ協会連盟」(http://www.unesco.or.jp/isan/list/america_1/)のウェブサイトには,「世界遺産一覧 地域別リスト(北米・中米)」の見出しの下,「アメリカ合衆国」の項に「3 グランド・キャニオン国立公園 自然遺産/1979/」との記載がある。 イ 「世界遺産オンラインガイド」(https://worldheritagesite.xyz/grand-canyon/)のウェブサイトには,「グランドキャニオン国立公園」の見出しの下,「グランドキャニオン国立公園は,アメリカのアリゾナ州北西部にあり,同国で大人気の観光スポット。」との記載がある。 ウ 「アメリカ世界遺産」(http://www.アメリカ世界遺産.jp/pages/grandcanyon.html)のウェブサイトには,「グランド・キャニオン国立公園」の見出しの下,「世界遺産に登録されているアメリカのグランド・キャニオン国立公園は,アメリカ南西部を流れているコロラド川が,大昔は高原であった大地を長さ約450キロにわたって,そして深さはもっとも深いところでは1600メートルというとてつもない深さまで侵食して作りあげた自然の驚異と言うべき雄大な大渓谷一帯を有する国立公園です。・・・これらの理由から,1979年に世界遺産に登録されています。これほどの迫力のあるグランド・キャニオン国立公園は,アメリカ観光で上位の人気を誇る人気観光スポットで,多くの内外の観光客が訪れています。」との記載がある。 2 「グランドキャニオン(GRAND CANYON)」において,土産物が生産され又は販売されていること (1)書籍 ア 「グランド・キャニオン国立公園」の見出しの下,「食べる 買う」のコラムに,「園内には食料品,キャンプ用品,衣類,日用品,みやげ物が揃うキャニオン・ビレッジ・マーケット・プレイス・・・があるほか,各ホテルでは,ホビ族の手作り工芸品などが買える。」との記載がある。(「WORLD GUIDE/ワールドガイド ラスベガス」の193頁 2009年3月1日 JTBパブリッシング発行) イ 「グランド・キャニオン国立公園」の見出しの下,「みやげ買うならココ!/ホピ・ハウス/グランド・キャニオン・ビレッジにある人気のショップ。民芸品が充実している。」との記載がある。(「るるぶ情報版C2ラスベガス」の87頁 2017年4月1日 JTBパブリッシング発行) (2)インターネット情報 ア 「グランドキャニオン特集|H.I.S.海外現地オプショナルツアー」(https://activities.his-j.com/ct/tour/grca/)のウェブサイトには,「サウスリムの主な見どころ」の見出しの下,「グランドキャニオン・ビレッジ」の項に,「ロッジ,レストラン,列車の発着,展望台,ギフトショップなど必要なものが全てそろうのがココ。」との記載,及び「ヤバパイ・ポイント」の項に,「小さなギフトショップと展望台がセットになった名所のひとつです。」及び「ジェネラルストアー 園内にはいくつものギフトショップがありますがスーパーはここだけ。食料品,キャンプ品,洋服までたいていの物がそろいます。」との記載がある。 イ 「アメリカのおすすめ旅行情報サイト」(http://www.usa.e-rev.net/grandcanyon/entry361.html)のウェブサイトには,「グランドキャニオンらしいお土産」の見出しの下,「グランドキャニオンのサウスリムのあたりには,比較的お土産ショップなども多くあります。またレストランやホテルの中でも販売されていることも多いので,よく目を凝らしてみてみるのもよいでしょう。特にグランドキャニオンというロゴにこだわりたい方は,国立公園内で見つけるのがおすすめです。・・・グランドキャニオンのロゴが入っているお土産には,チョコレート,マグカップ,Tシャツ,ステーショナリーなど比較的多くの種類のアイテムが揃っています。」との記載がある。 ウ 「世界遺産オンラインガイド」(https://worldheritagesite.xyz/grand-canyon/)のウェブサイトには,「グランドキャニオン国立公園」の見出しの下,「サウスリムのビューポイント」の項に「ハーミッツレスト グランドキャニオン国立公園のサウスリムの中で最西端にあるのが,『ハーミッツレスト』です。・・・ここには山小屋があり,今は暖炉のあるラウンジ,軽食が取れるスナック,ギフトショップがあります。」との記載がある。 エ 「H.I.S.旅ブロ」のウェブサイトにおける「ラスベガス観光ブログ」(https://blog.his-j.com/lasvegas/2012/01/11122263949.html)には,「グランドキャニオンのお土産」の見出しの下,「ツアーで行く方も多いかと思いますので,先日行った際にブライドエンジェルロッジのギフトショップで見かけた,お土産として喜ばれそうなものをご紹介! それは,グランドキャニオンオリジナルTシャツ・・・グランドキャニオンは,その他,色々な種類のお土産が揃っていますので御自身にあったお土産を見つけてみては如何でしょうか。」の記載とともに,「GRAND CANYON」のロゴ入りのTシャツの画像が掲載されている。 オ 「すぴん@ラスベガスと大自然の旅」(https://ameblo.jp/spin777x/entry-11952310889.html)のウェブサイトには,「【グランドキャニオン・買い物】 キャニオンビレッジ マーケットプレース&デリ」の見出しの下,「今回の旅にて初めてグランドキャニオンの園内に宿泊。その関係で,ホテルの近くにあったかなり大きめのスーパーマーケットを利用しました!・・・ 中に入ると,↓左にお土産コーナー その他右側,3分の2ぐらいのフロアは↓食料品・日用雑貨売り場で想像してたよりかなり広いし,品数も充実!・・・とにかく,こんだけあればどんな人へのお土産も揃いそうで,見てるだけで楽しめる!ラグとか洋服類も,いかにもって雰囲気でステキですねぇ?・・・↓衣類も豊富 ↓Tシャツとか,けっこうかわいいデザイン。・・・↓子供服&雑貨もかわいぃ-」の記載とともに,「GRAND CANYON」のロゴ入りのTシャツ,帽子や敷物など,土産品が多数売られている店内の画像が掲載されている。 |
審理終結日 | 2018-10-02 |
結審通知日 | 2018-10-04 |
審決日 | 2018-10-16 |
出願番号 | 商願2016-130032(T2016-130032) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W24)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山田 啓之 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
田村 正明 庄司 美和 |
商標の称呼 | グランドキャニオン |
代理人 | 特許業務法人森本国際特許事務所 |