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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 審判 全部申立て 登録を維持 W05 |
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管理番号 | 1346913 |
異議申立番号 | 異議2018-900084 |
総通号数 | 229 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-01-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-04-06 |
確定日 | 2018-12-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6010332号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6010332号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第6010332号商標(以下「本件商標」という。)は、「Relkinso」の欧文字を横書きしてなり、平成29年5月18日に登録出願、第5類「薬剤」を指定商品として、同年12月8日に登録査定、同30年1月12日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5965634号商標(以下「引用商標」という。)は、「RELKYZO」の欧文字を標準文字で表してなり、2016年10月21日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、平成29年4月21日に登録出願、第5類「神経系疾患・障害及び病気の治療に使用する薬剤及び生物学的製剤」及び第10類「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。),神経系疾患・障害及び病気の治療に使用する薬剤及び生物学的製剤の送達を促進する投与・送達用機械器具」を指定商品として、平成29年7月21日に設定登録されたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきものであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証(枝番号を含む。以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標「Relkinso」は、横書き一連で表記した態様を有し、「レルキンソ」の称呼を生じ、特別な観念は想起しない。これに対し、引用商標は、「RELKYZO」を横書き一連で表記した態様を有し、その構成から「レルキーゾ」の称呼が生じ、特別な観念は想起しない。 そして、両商標の語頭の3音「レルキ」が同一であり、中間に位置する相違する音「ン」及び「ー」は、弱音と長音の差にすぎず、また語尾に位置する「ソ」及び「ゾ」は、清音と濁音の差にすぎない。共通する語頭の3音が聴者の記憶、印象に残りやすく、相違する語は、中間及び語尾に位置しており比較的弱く聴覚されるため、全体の音感が近似して聴覚される。 したがって、本件商標は引用商標と称呼が類似するものである。 また、本件商標及び引用商標の外観を比較すると、相違する文字は、「i」「n」「s」、及び「Y」「Z」であるが、相違部分は中間に位置する。 したがって、その配置から、語頭の「RELK」、及び語尾「O」に埋没する蓋然性が高いため、両商標の外観から受ける印象は類似する。 さらに、両商標ともに指定商品「薬剤」に使用されるため、その指定商品も同一又は類似のものである。両商標の指定商品は医師により処方される「薬剤」であり、そのため両商標の取引者・需要者は、薬剤を取り扱う全国の医療機関・病院であり、薬剤を処方する医師であり、その薬剤を調合する薬剤師であり、その薬剤を最終的に購入・服用する患者である。 したがって、その需要者を共通にするものである。 (2)商標法第4条第1項第15号について 米国及びカナダにおいて、本件商標は引用商標と類似するという理由により、本件商標に対応する出願に対し拒絶理由が通知されている。特に、米国においては「混同のおそれ」が類否判断の基準になっており、米国特許商標庁は、本件商標がその指定商品に使用された場合は、出所について混同を生ずるおそれがあると判断している。欧文字表記の相違を認識しづらい日本人需要者にとっては、混同のおそれが高い。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標と引用商標との類否について 本件商標は、上記1のとおり「Relkinso」の文字からなり、該文字に相応し「レルキンソ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 引用商標は、上記2のとおり「RELKYZO」の文字からなり、該文字に相応し「レルキーゾ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 そこで、本件商標と引用商標の類否を検討すると、両者は、外観において、前者は1文字目が大文字で、2文字目以降が小文字で表されているのに対し、後者は全ての文字が大文字で表されているとの差異を有し、また、構成文字の比較においても、前者の5文字目ないし7文字目が「ins(INS)」であるのに対し、後者の5文字目及び6文字目が「YZ」であるとの差異を有するから、これらの差異が8文字及び7文字という比較的短い文字構成からなる両商標の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえず、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。 次に、本件商標から生じる「レルキンソ」の称呼と引用商標から生じる「レルキーゾ」の称呼を比較すると、両者は語尾における「ンソ」と「(キ)ーゾ」の差異を有するから、この差異が共に5音という比較的短い音構成からなる両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、聞き誤ることはなく、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。 さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから比較することができない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないものであるとしても、外観及び称呼において相紛れるおそれのないものであるから、両商標が需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すれば、両商標は、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 イ 申立人の主張について 申立人は、本件商標と引用商標は外観において、相違する文字が中間に位置することから、共通する語頭及び語尾の文字に埋没する蓋然性が高いため、両商標の外観から受ける印象は類似する、及び称呼において相違する音が弱音と長音、清音と濁音の差にすぎず、共通する語頭の3音が聴者の記憶、印象に残りやすく、相違する語は中間及び語尾に位置し比較的弱く聴覚されるため、全体の音感が近似して聴覚されるから、両商標の称呼が類似する旨主張している。 しかしながら、本件商標と引用商標は、構成文字が8文字と7文字と比較的少ない文字構成であり、称呼が共に5音と比較的短い音構成であることを考慮すれば、上記アのとおり判断するのが相当である。 したがって、申立人のかかる主張は採用することができない。 ウ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について 本件商標の指定商品である第5類「薬剤」と引用商標の指定商品中の第5類「神経系疾患・障害及び病気の治療に使用する薬剤及び生物学的製剤」とは、同一又は類似の商品である。 エ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものであるから、本件商標の指定商品が引用商標の指定商品と同一又は類似のものであるとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 上記(1)のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。 また、申立人提出の甲各号証及び同人の主張によっては、引用商標が、申立人の業務に係る商品等を表示するものとして、本件商標の登録出願の日前から、需要者の間に広く認識されているものとは認められず、かつ、それをうかがわせる事情があるものとも認められない。 そうすると、本件商標は、これに接する取引者、需要者が引用商標を連想又は想起するものということはできない。 してみれば、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれのないものというべきである。 イ 申立人は、米国及びカナダにおいて、本件商標は引用商標と類似する(出所の混同のおそれがある)と判断されているから、欧文字表記の相違を認識しづらい日本人需要者にとっては混同のおそれが高い旨主張し、証拠(甲3?甲7)を提出している。 しかしながら、仮に米国及びカナダでそのような判断がされたとしても、そのことのみをもって、我が国において、本件商標が引用商標との関係で出所の混同を生じるおそれがあるとは到底いえないし、かつ、上記判断に影響するものともいえない。 したがって、申立人のかかる主張は理由がない。 ウ その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえず、他に同法第43条の2各号に該当するというべき事情も見いだせないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2018-12-06 |
出願番号 | 商願2017-67907(T2017-67907) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W05)
T 1 651・ 263- Y (W05) T 1 651・ 271- Y (W05) T 1 651・ 262- Y (W05) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 和田 恵美、片桐 大樹 |
特許庁審判長 |
大森 健司 |
特許庁審判官 |
小松 里美 中束 としえ |
登録日 | 2018-01-12 |
登録番号 | 商標登録第6010332号(T6010332) |
権利者 | 第一三共株式会社 |
商標の称呼 | レルキンソ |
代理人 | 矢口 太郎 |