ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W09 |
---|---|
管理番号 | 1346906 |
異議申立番号 | 異議2018-900086 |
総通号数 | 229 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2019-01-25 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2018-04-06 |
確定日 | 2018-12-06 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第6011666号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第6011666号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第6011666号商標(以下「本件商標」という。)は、「ディスカバラー」の片仮名及び「DISCOVERER」の欧文字を上下2段に横書きしてなり、平成29年4月24日に登録出願、別掲のとおり第9類に属する商標原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同年12月7日に登録査定、同30年1月19日に設定登録されたものである。 第2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、次のとおりの商標であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。 1 登録第1616965号商標 商標の構成:「DISCOVERY」 登録出願日:昭和55年9月11日 設定登録日:昭和58年9月29日 書換登録日:平成16年4月28日 最新更新登録日:平成25年4月30日 指定商品 :第9類「消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター」及び第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」 2 登録第3085933号商標 商標の構成:「DISCOVERY」 登録出願日:平成4年5月25日 設定登録日:平成7年10月31日 最新更新登録日:平成27年8月4日 指定商品 :第9類「眼鏡」 なお、上記1及び2の登録商標を総称して「引用商標」という。 第3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第46号証(枝番を含む。)を提出した。 (理由の要点) 引用商標は、申立人の商標として我が国で広く知られている(甲3?甲45)から、その文字のほとんどを構成中に含む本件商標は、申立人の著名商標を想起若しくは連想させるものである。また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、互いに非常に高い関連性を有しているので、本件商標がその指定商品に使用された場合、あたかも申立人若しくは申立人と何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあり、かつ、著名商標の出所表示機能を希釈化させるおそれがある。 第4 当審の判断 1 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)引用商標の著名性について 申立人の提出した証拠及びその主張によれば、以下のとおりである。 引用商標に係る「DISCOVERY」は、イギリスのランドローバー社が1989年から製造、販売している乗用車(甲8)であり、「DISCOVERY 1」から「DISCOVERY 5」に受け継がれ(甲11)、我が国におけるインターネット情報のサイトでは、「ランドローバーディスカバリー」、「ランドローバー、『ディスカバリー』」又は「ランドローバー・ディスカバリー」(甲8・甲11・甲12・甲15?甲36、甲38、甲40?45)として、ランドローバーの中の一車種名として紹介されているもので、「DISCOVERY」として紹介されている記事は、甲第9号証、甲第10号証、甲第13号証、甲第14号証及び甲第39号証である。 また、申立人のジャガーランドローバーリミテッドの「年次報告書2016/2017」によれば、売上高(小売)は、2014・2015年度が462,209台、2015・2016年度が521,571台、2016・2017年度が604,009台、全世界の従業員数が40,265人、取引小売業者が2,726社と記載されている(甲3)。 しかしながら、上記証拠においては、「DISCOVERY」としての紹介記事が少なく、「DISCOVERY」の車種のみに関する売上台数、売上高、市場シェア、広告宣伝の回数や期間及びその方法等を証明する証拠の提出がないから、我が国において需要者に広く知られていることが客観的かつ具体的に把握することができないものといわざるを得ない。 その他、引用商標が、申立人及びその関連会社の業務に係る商品を表示するものとして、我が国において、周知・著名性を獲得していたと認めるに足りる証拠の提出は見いだせない。 以上より、申立人が提出した証拠のみによっては、引用商標を構成する「DISCOVERY」の文字が、申立人の業務に係る商品「自動車」を表示するものとして、本件商標の登録出願日前より、我が国の需要者の間に広く認識されたものとまでは認めることができない。 したがって、引用商標は、申立人及びその関連会社の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く知られているとはいえない。 (2)本件商標と引用商標との類似性について 本件商標は、前記第1のとおり、「ディスカバラー」の片仮名及び「DISCOVERER」の欧文字を上下2段に横書きしてなるところ、上段の「ディスカバラー」の片仮名は、下段の「DISCOVERER」の欧文字部分の読みを表したものと認められることから、本願商標は、「ディスカバラー」の称呼を生じるものである。 そして、「ディスカバラー」及び「DISCOVERER」の文字は、「発見者」の意味を有する英語である。 したがって、本願商標は、その構成文字に相応して、「ディスカバラー」の称呼及び「発見者」の観念を生じるものである。 他方、引用商標は、前記第2のとおり、「DISCOVERY」の欧文字からなるところ、その構成文字より「ディスカバリー」の称呼を生じるものであり、該文字は、「発見」の意味を有する英語である。 したがって、引用商標は、その構成文字に相応して、「ディスカバリー」の称呼及び「発見」の観念を生じるものである。 そこで、本件商標と引用商標の類否について検討するに、外観においては、上記のとおり、本件商標は、片仮名と欧文字の2段書きの構成に対し、引用商標は、欧文字のみの構成からなり、さらに、欧文字部分の語尾において、「ER」と「Y」の文字に差異を有するから、両者は、外観の構成を異にするものであり、外観上、明確に区別できるものである。 次に、称呼においては、本件商標は、「ディスカバラー」であり、引用商標は、「ディスカバリー」であって、語尾における「ラー」と「リー」の音に差異を有するから、これらの差異が全体の称呼に与える影響は決して少ないとはいえず、両者をそれぞれ一連に称呼するときはその語調、語感が異なり、称呼上、明瞭に聴別できるものである。 また、観念においては、本件商標は、「発見者」の観念を生じ、引用商標は、「発見」の観念を生じるものであるから、両者は、観念上、明確に区別できるものである。 してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても区別できるものであるから、両者の類似性の程度は高いものとはいえない。 (3)引用商標の独創性について 引用商標「DISCOVERY」は、我が国においては比較的なじみのある英語であり「発見」の意味を有する成語であるから、その独創性は決して高いものではない。 (4)商品の関連性 本件商標の指定商品は、第9類の「電池,電気通信機械器具,録画済みビデオディスク」等であり、引用商標の指定商品は、第9類「消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,眼鏡」及び第12類「船舶並びにその部品及び附属品(「エアクッション艇」を除く。),エアクッション艇,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」であるから、前者は、主に「電気通信機器」であり、後者は、「乗物等」であるから、両者の商品の用途や機能が全く異なり、両者の販売場所、流通経路等も相違するから、互いの商品の関連性が乏しく、取引者、需要者の共通性も低いものというべきである。 (5)出所の混同のおそれ 上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標は、申立人の商標として、取引者、需要者に広く知られていたとはいえないものであり、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり類似性の程度は高くないものであり、上記(3)のとおり引用商標の独創性は成語であるから低く、上記(4)のとおり商品の関連性も低いものである。 そうすると、本件商標は、引用商標を連想又は想起させるものとは認められないものであるから、本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所の誤認混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 その他、本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情は見いだせない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 2 申立人の主張について 申立人は、「乗用車に最新テクノロジーを用いた商品の開発に力をいれてきた歴史があり、さらに、近年における自動車の自動運転技術と自動車の電子制御技術の盛んな技術開発がなされている事実(甲46)に鑑みれば、申立人が、自動車で用いられる電子応用機械器具及びその部品・自動車で用いられるコンピュータソフトウェアまたはその基幹技術を取り扱う事業を、グループ企業の一つとして展開することも充分に可能性があると考えられる。」旨を主張している。 確かに、近年、自動車等の電子化及びデジタル化が急速に進んでおり、本件商標の指定商品である「電池,電気通信機械器具」等が引用商標の指定商品である「自動車」等に組み込まれて使用されていることでいることは事実であるが、上記(5)のとおり、本件商標は、引用商標を連想又は想起させるものとは認められないものであって、本件商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係のある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所の誤認混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 よって、申立人の上記主張は、採用することができない。 3 まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当せず、その登録は、同条第1項の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲(本件商標の指定商品) 第9類「電池,二次電池,電池ケース,充電器,ACアダプター,放送用拡声機械器具,無線通信機械器具,放送局用機械器具,全地球位置測位装置,ナビゲーション装置,アンテナ,台架類,トランシーバー,車載用トランシーバー,船舶用通信機械器具,船舶用トランシーバー,VHF航空機用無線通信機,携帯用通信装置,高周波送受信装置,携帯通信機器用ベルトクリップ,携帯通信機器用外装ケース,トランシーバー用外付けマイクロフォン・スピーカー,無線送信器,ヘッドセットマイクロフォン,リモートコントロール装置,無線中継器,混信防止装置,光通信用中継器,レーダー装置,方向探知装置,携帯電話機,無線電話機,音声伝送装置,光通信用モデム,周波数変換器,無線受信機,固定単チャンネルアクセス通信装置,マルチチャンネルアクセス通信装置,赤外線送信機,音声信号送信装置,電子信号送信機,テレビ,ラジオ受信機,ラジオチューナー,ラジオ送信機,液晶ディスプレイ,電気通信用画像データ送信装置,電気通信用画像データ受信装置,ウェブカメラ,画像データ伝送用ケーブル,電気通信画像用モニター,電気通信用動画データ送信装置,電気通信用動画データ受信装置,画像データ伝送用中継装置,動画データ伝送用中継装置,画像用記録装置,デジタル式ビデオ編集機,動画再生装置,メインアンプ,プリアンプ,プリ・メインアンプ,変圧器,オーディオスピーカー,オーディオレシーバー,オーディオディスクプレーヤー,コンパクトディスクプレーヤー,レコードプレーヤー,デジタルビデオディスクプレーヤー,オーディオディスクレコーダー,コンパクトディスクレコーダー,ビデオディスクレコーダー,デジタルビデオディスクレコーダー,半導体メモリ再生装置,拡声器,録音装置,音声再生装置,音声周波ミキサー,音声イコライザー,教育用音声周波機械器具,カラオケ装置,ヘッドフォン,イヤフォン,マイクロフォン,コードレスマイクロフォン,充電式ワイヤレスマイクロフォン,映像用プロジェクター,ビデオ再生装置,録音済みのコンパクトディスク,カラオケ用画像表示装置,録音済み・録画済み・録音済み及び録画済みのフラッシュメモリー,録画済みのビデオディスク,ビデオカメラ,デジタル-アナログ変換器,アナログ-デジタル変換器,個人用ステレオ音響機器,携帯型音響機器,ヘッドフォンステレオプレーヤー,USBフラッシュメモリー,ICレコーダー,オーディオ機器用ケーブル,電線,電線・ケーブル用コネクター,光ファイバーケーブル,ケーブル用接続スリーブ,スピーカースパイク,スピーカースパイク用プロテクター,スピーカースパイク用インシュレーター,教育用視聴覚機械器具,音楽・映画・画像・アニメーション・文章を記録した光ディスク,音楽・映画・画像・アニメーション・文章を記録したIC記録媒体,音楽・映画・画像・アニメーション・文章を記録したUSBメモリー」 |
異議決定日 | 2018-11-28 |
出願番号 | 商願2017-63485(T2017-63485) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Y
(W09)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 豊田 純一、高橋 梨理子 |
特許庁審判長 |
井出 英一郎 |
特許庁審判官 |
大森 友子 榎本 政実 |
登録日 | 2018-01-19 |
登録番号 | 商標登録第6011666号(T6011666) |
権利者 | 株式会社CSR |
商標の称呼 | ディスカバラー |
復代理人 | 石田 昌彦 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 田中 克郎 |
復代理人 | 右馬埜 大地 |