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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z42
管理番号 1346099 
審判番号 取消2017-300604 
総通号数 228 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-12-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-08-14 
確定日 2018-10-31 
事件の表示 上記当事者間の登録第4500260号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4500260号商標(以下「本件商標」という。)は、「景虎」の文字を標準文字で表してなり、平成12年6月5日に登録出願、第42類「飲食物の提供」を指定役務として、同13年8月17日に設定登録された。
本件審判の請求の登録は、平成29年8月28日であり、本件審判の請求の登録前3年以内の同26年8月28日から同29年8月27日までを、以下「要証期間」という場合がある。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の第42類の指定役務中、「飲食物の提供(和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供を除く。)」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠として、甲第1号証ないし甲第4号証(審決注:平成29年11月30日付け審判事件弁駁書の証拠方法として提出した甲第1号証及び甲第2号証の番号を、それぞれ、甲第3号証及び甲第4号証に振り替える。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中、第42類「飲食物の提供(和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供を除く。)」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても使用された事実がないから、商標法第50条第1項の規定により、その指定役務中、「飲食物の提供(和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供を除く。)」に係る登録は、取り消されるべきである。
2 審判事件弁駁書(平成29年11月30日付け)における主張
被請求人が答弁書において使用していると主張する商標に係る役務は、いずれも、「和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供」の範囲に該当するものであり、本件取消審判の請求に係る役務ではない。
被請求人は、被請求人が営業する「景虎 岡山店」(以下、請求人の主張の項において「本件店舗」という。)において、「景虎」の商標を使用して「西洋料理の提供」、「和食の提供」、「中華料理の提供」、「デザートの提供」、「飲料の提供」及び「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を行っていると主張する。
しかしながら、これら主張は単に本件商標の取消しを免れるためのこじつけた主張にすぎない。被請求人自身、本件商標を付して提供している役務は、「和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供」であると認識していること、すなわち、本件店舗において、和食、懐石料理又は鉄板焼きといった料理を主たる飲食物として(要するに本来のコンセプトとして)飲食物の提供を行っていることが、以下に示す(1)ないし(4)からも推認できる。
(1)乙第6号証の証拠の最上部には「岡山市 個室のある和食料理店|景虎岡山店」との記載がある。当該記載は被請求人が意図して記載したものであるから、被請求人自身、本件店舗を「和食料理店」と認識しつつ役務を提供していると判断できる。
(2)乙第9号証の証拠の最上部には「景虎店のベテランスタッフ最終日|岡山市で懐石料理 景虎岡山店」との記載があり、末尾枠内には「岡山市 個室で和食 景虎」との記載がある。これら記載も被請求人が意図して記載したものであるから、被請求人自身、本件店舗を「懐石料理店」又は「和食料理店」と認識しつつ役務を提供していると判断できる。
(3)甲第3号証からは、被請求人が本件店舗のことを「鉄板懐石事業」と位置付けていることが明確に把握できるほか、「鉄板割烹景虎」との記載もある。これらの記載からは、本件店舗における看板メニューが「鉄板焼き」であることが推認できる。
(4)甲第4号証28行目には、「岡山市田町で懐石料理、和食を楽しむなら『景虎岡山店』をご利用下さい。全国の市場から届く鮮魚や四季折々の旬の食材を使用したお食事メニューをご紹介しております。その日だけの特別コースもご用意出来ますので、ぜひご相談下さい。」との記載がある。当該28行目は、メタタグの1つであるdescriptionを記載する箇所である。すなわち、インターネットの検索結果と共に表示される2?3行の説明文を意図した内容で表示させたい場合にウェブサイト管理者が積極的に記載する部分である。当該部分における「懐石料理、和食を楽しむなら『景虎岡山店』」との記載は、被請求人の需要者に対する、本件店舗を懐石料理店若しくは和食店と認識して欲しいとの意図の現れと推認できる。
一方、顧客のニーズに対応するべく、本来のコンセプトと離れた内容の料理が一部提供されることはよく行われることである。すなわち、直接的には「和食、懐石料理又は鉄板焼き」の範ちゅうに含まれるとはいえない料理(例えば、ニンニクチャーハン)が提供されていた事実があったとしても、それは「和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供」の範囲の中で付随的に提供されているにすぎない。
なお、被請求人が「西洋料理」として分類する各料理は、鉄板で焼いて提供できる料理が多数含まれており(例えば「オマール海老のワイン蒸し」、「和牛サーロインステーキ」、「備前牛のヒレステーキ」、「和牛ロースステーキ」、「牛タンの厚切りステーキ」、「和風ハンバーグデミソース」、「岡山産のロースステーキ」、「若鶏のとろけるチーズ焼き」等)、鉄板焼きを1つのコンセプトとする当該店舗においては鉄板焼きの範ちゅうに含まれるものである。その他、サラダやパンは、どのような分野の料理においても一般的に提供されるものであり、あくまで付随的に提供されているものにすぎない。
また、デザート、飲料は、どのような飲食店であっても主として提供される料理に付随して提供されるものであり、上記同様に、「和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供」の範囲の中で付随的に提供されているにすぎない。
加えて、被請求人は、「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を行っていると主張し、バーカウンターと思しき写真やコメントが掲載された証拠(乙25、乙26)を提出しているが、一般的に高級料理と認識される鉄板焼きの店において、食後に席を変えてゆっくり酒を飲むスペースを提供するということは、珍しくなく行われている行為であり、当該証拠のみをもって「アルコール飲料を主とする飲食物の提供」を行っていると判断するのは尚早である。この点、バーカウンターが店内に設置されているという事実は、鉄板焼きを1つのコンセプトとして事業を展開している本件店舗の営業内容と相いれるものである。
さらに、乙第2号証からは、本件店舗看板に毛筆体で書された「景虎」の文字の脇に、「SHUN-SAI」、「SEN-GYO」及び「ABURI」の文字が付記されていることが見て取れる。これらは「旬菜」、「鮮魚」及び「炙り」を意味すると思われるが、全て料理の素材や料理法についての記載である。すなわち、一般的に看板に付記する内容は、その店のコンセプトを示すものであるから、本件店舗で提供される主たる飲食物はあくまで「料理」であって、アルコール飲料ではない。単に、アルコール飲料「も」、和食、懐石料理及び鉄板焼といった料理の提供に併せて付随的に提供されているにすぎない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を平成29年10月31日付け審判事件答弁書において、要旨次のように述べ、証拠として乙第1号証ないし乙第26号証を提出した。
1 本件商標の使用状況
被請求人は、本件商標を「西洋料理の提供」、「和食の提供」、「中華料理の提供」、「デザートの提供」、「飲料の提供」及び「アルコール飲料を主とする飲料物の提供」に、平成13年9月頃から今日まで使用している。
2 本件商標の使用者
本件商標の使用者は、本件商標権者である。
3 使用商標
以下の(1)ないし(7)に示すとおり、本件商標権者は、自らが経営する「景虎 岡山店」において、要証期間に、本件商標を使用した。(1)ないし(4)における使用商標(「景虎」の文字)は、ややデザインが施されているものの、本件商標とは、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり、社会通念上同一と認められる商標であり、(5)ないし(7)における使用商標(「景虎」の文字)は、本件商標とほぼ同一の構成からなるものである。
(1)店舗看板への使用
本件商標権者営業の「景虎 岡山店」(岡山県岡山市)が所在する建物正面全体の写真を乙第1号証に示し、当該建物正面に表示された看板の拡大写真を乙第2号証に示す。
乙第3号証は、「景虎 岡山店」のインターネットウェブサイトの会社概要(http://www.bokuden.co.jp/recruit/profile/)を示している。
乙第3号証には、「株式会社ボクデン」が事業所「景虎 岡山店」を営業していることが示されており、乙第1号証及び乙第2号証によれば、当該「景虎 岡山店」は、「景虎」の文字が大きく表された看板を有していることが理解できる。
乙第4号証は、「食ベログ」(https://tabelog.com/)の「景虎」に関する「口コミ」情報のうち「みぽこ様 30代前半・女性・岡山県」の記事(https://tabelog.com/okayama/A3301/A330101/33001614/dtlrvwlst/B267790145/?use_type=O&srt=&sby=&rvw_part=all&lc=0&smp=l)を示している。この記事中には、「2017/05訪問」との記載があり、さらに、この「食ベログ」記事中に含まれる写真のうち、1枚を拡大したものが乙第5号証である。
乙第5号証は、乙第2号証に示した看板を夜間に撮影したとみられるものであり、両方に示された看板は同一であり、いずれにも「景虎」の文字が大きく表されている。これら乙第2号証及び乙第5号証から、少なくとも2017年5月(乙第5号証の撮影日)から2017年10月4日(乙第2号証の撮影日)まで、「景虎 岡山店」の正面には、「景虎」の文字が大きく表された看板が設置されていたものと考えられる。
(2)ウェブサイトフロントページへの使用
乙第6号証は、「景虎 岡山店」のインターネットウェブサイトのフロントページ(http://www.bokuden.co.jp/kagetora_okayama/)を示している。
乙第6号証の上部左には、乙第2号証及び乙第5号証に示した店舗正面に設置された看板に描かれた「景虎」と同様の「景虎」が表されると共に、その右側には「景虎岡山店」と表示されている。
加えて、乙第7号証は、「景虎 岡山店」のインターネットウェブサイトのブログの記事一覧(http://www.bokuden.co.jp/kagetora_okayama/category/blog/)を示している。このブログ記事は、右下の「2016/12/23」の記事から、左上の「2017/04/18」の記事まで12個の記事が示されており、少なくともこの期間を通じ「景虎 岡山店」が営業していたことが明らかである。なお、ブログの記事は、全体で11ページにわたるものであり、最も古いものは「2015/07/17」の記事である。
このため、乙第6号証における「景虎」及びその右側の「景虎岡山店」が、少なくとも2015年7月17日から2017年4月18日にわたって継続して使用されていると認められる。
(3)ユニフォームへの使用
乙第8号証は、「景虎 岡山店」の従業員着用ユニフォームの右腕部分の写真であり、これに「景虎」の文字が表されている。乙第9号証は、「景虎 岡山店」の「2016/01/12」のブログ記事(http://www.bokuden.co.jp/kagetora_okayama/post-202/)であり、乙第10号証は、「景虎 岡山店」の「2016/08/07」のブログ記事(http://www.bokuden.co.jp/kagetora_okayama/post-332/)である。乙第8号証ないし乙第10号証のいずれにも、従業員着用ユニフォームの右腕部分に同様の文字で「景虎」が示されており、少なくとも2016年1月12日(乙第9号証のブログ投稿日)から2017年10月4日(乙第8号証の撮影日)まで、従業員着用ユニフォームの右腕部分には「景虎」の文字が継続して表されていたと考えられる。
(4)焼酎の瓶のラベルへの使用
乙第11号証は、「景虎」の文字が表されたラベルが貼着された一升瓶入りの焼酎の外観写真であり、乙第12号証は、「景虎」の文字が表されたラベルが貼着された720ml瓶入りの焼酎の外観写真である。これら一升瓶入りの焼酎及び720ml瓶入りの焼酎の請求明細書を乙第13号証に示す。
当該請求明細書は、宮下酒造株式会社からト傳(株式会社ボクデンを示している。)に「焼酎 景虎 1.8l瓶」(上記の一升瓶入りの焼酎)15本と「焼酎景虎720ml」(上記の720ml瓶入りの焼酎)95本とが2016年11月14日に納品されたことを示している。これら「焼酎景虎1.8l瓶」と「焼酎 景虎 720ml」とは、「景虎 岡山店」に納品され、乙第11号証及び乙第12号証のように「景虎 岡山店」にて提供されている。
(5)広告チラシへの使用
乙第14号証は、「ボクデン新聞2016年冬季」(2016.11.vol.6)を示している。ボクデン新聞は、株式会社ボクデンが営業する飲食店全体(景虎、ボクデン、ボストンステーキ、近藤傳八商店、エビス傳八、バルサバルサ)の広告チラシであり、毎年、春夏秋冬の各季節に作製され、主に、株式会社ボクデンが営業する各店舗での設置によって約5,000部配布されている。
乙第14号証の「ボクデン新聞 2016年冬季」の第1頁(表紙)のほぼ中心部には、赤色の円形内に通常のゴシック体で「景虎」が白抜きで示されている。そして、当該赤色の円形の上方には、「鮮魚の刺身」と記載されると共に、第2頁の上部左の四角形内に文字「景虎」と文字「牡蠣の土鍋飯」とそれを示すとおぼしき画像とが表示されている。加えて、第4頁最下部には「景虎」の文字が表示されている。このことから、2016年冬季にはこの広告チラシに商標「景虎」が使用されていたと考えられる。
(6)メニューへの使用
乙第15号証は、上述の乙第4号証に示した「食ベログ」の記事に含まれているメニューの拡大写真で、「本日のおすすめ」のメニューに関するものである。当該メニューの左下部分には「株式会社/ボクデン/景虎岡山店」を表した赤い印影が見られ、2017年5月(乙第15号証の撮影日)には「景虎 岡山店」の店内に配置されたメニューに、商標「景虎」が用いられていたといえる。
(7)レジの表示への使用
乙第16号証は、「景虎 岡山店」の店内に配置されているレジ(料金計算機)の表示部分の写真であり、そこには「景虎」、「毎度ご利用いただき」及び「ありがとうございます。」の文字が3段書きで表示されている。この表示は、実際の料金計算時を除く時に表示されるものであり(いわば待ち受け画面であり、料金計算時には実際の料金が表示される。)、乙第16号証は2017年10月4日撮影であるが、このレジは開店当初から今日まで使用している。このように、「景虎 岡山店」の店内レジには「景虎」の文字が表示されている。
4 使用役務
以下の(1)ないし(4)に示すとおり、要証期間に日本国内において本件商標権者が「景虎 岡山店」の3階において別掲1に示す食事、デザート及び飲料の提供に関し、商標「景虎」を使用していたこと、4階において「アルコール飲料を主とする飲料物の提供」に関し、商標「景虎」を使用していたことが明らかである。具体的には、要証期間において「景虎 岡山店」では、「飲食物の提供(和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供を除く。)」に含まれる「西洋料理の提供」、「和食の提供」、「中華料理の提供」、「デザートの提供」、「飲料の提供」及び「アルコール飲料を主とする飲料物の提供」を行っていた事実が存在する。
(1)「食ベログ」の記事(乙4)に掲載されているメニューについて
乙第15号証、乙第17号証ないし乙第20号証は、いずれも、2017年5月投稿の「食ベログ」の記事(乙4)に掲載されていたメニューの拡大写真である。
乙第15号証のメニューの「季節ドリンク」の欄には「初恋ベリーサワー」及び「イチゴスムージー」との記載があり、「熊本産」の欄には「イチゴと生ハムのサラダ」との記載があり、「福岡産」の欄には「タケノコのあぶり」及び「タケノコの土鍋めし」との記載があり、「鹿児島産」の欄には「そら豆豆腐」及び「そら豆と白魚のつまみ揚げ」との記載があり、「瀬戸内産」の欄には、「ホタルイカの辛子酢味噌」及び「ホタルイカの土鍋めし」との記載がある。
乙第17号証のメニューの右端には縦書きで「五月のお料理」と書され、赤書きされた「特選素材」の欄には、「特大ノドグロのあぶり」、「オマール海老のワイン蒸し」、「和牛サーロインステーキ」、「備前牛のヒレステーキ」及び「和牛ロースステーキ」との記載があり、「お魚料理」の欄には、「お刺身の盛合せ」、「つぼ鯛のあぶり」、「サワラの藁たたき」、「鮮魚のカルパッチョ」、「麹烏賊の一夜干し」及び「青つぶ貝と大根の煮付け」との記載がある。
乙第18号証のメニューの「〆物」の欄には「ニンニクチャーハン」、「へしこの茶漬け」及び「しじみ汁」の記載があり、「甘味」の欄には「ティラミスのアイス添え」、「景虎抹茶パフェ」、「レアチーズプリン」、「黒豆アイスの黒蜜かけ」、「柚子シャーベット」、「ヘーゼルナッツジェラート」及び「コーヒー(ホット or アイス)」との記載がある。
乙第19号証のメニューの「野菜料理」の欄には、「漬け物十種盛合せ」、「春野菜のバーニャカウダ」、「有機野菜のアンチョビサラダ」、「そら豆の茶わん蒸し」、「そら豆豆腐」及び「ポテトサラダ」との記載があり、「揚げ物」の欄には、「海老とそら豆のつまみ揚げ」、「麹烏賊の天麩羅」、「里芋の天麩羅」及び「海老パン」との記載がある。
乙第20号証のメニューの「鉄板焼き」の欄には「牛タンの厚切りステーキ」、「和風ハンバーグデミソース」、「岡山産のロースステーキ」、「和牛塩ホルモンと季節野菜」、「若鶏のとろけるチーズ焼き」及び「ニラとジャコの玉子焼き」との記載があり、「鍋もの」の欄には「岡山豚のしゃぶしゃぶ鍋」との記載があり、「名物土鍋めし」の欄には「銀シャリ土鍋めし」、「タケノコの土鍋めし」、「真鯛の土鍋めし」及び「桜海老の土鍋めし」との記載がある。
以上から、「景虎 岡山店」において、少なくとも2017年5月撮影時には、上記の料理を提供していたことが明らかである。
また、乙第21号証は、インターネットウェブサイト「Retty」(https://retty.me/)の「景虎」(https://retty.me/area/PRE33/ARE153/SUB15301/100000808246/)の「口コミ」(https://retty.me/area/PRE33/ARE153/SUB15301/100000808246/reports/)に存在する2016年7月4日の書き込み記事(https://retty.me/area/PRE33/ARE153/SUB15301/100000808246/17970558/)の写しであり、料理の写真と共にメニューの写真2枚が掲載されている。当該メニューの写真のうち、1枚の拡大写真を乙第22号証に示し、別の1枚の拡大写真を乙第23号証に示している。
乙第22号証の右端には「七月の」という黒色縦書文字が確認でき、乙第17号証の右端に縦書きで「五月のお料理」と書されていたことと併せて考えれば、乙第22号証のメニュー右端には「七月のお料理」と書されていたと思料され、この「七月」はこの記事の投稿日2016年7月4日と符合するものである。
さらに、乙第22号証及び乙第23号証に記載された料理名は、乙第15号証ないし乙第17号証及び乙第19号証に記載の料理名とほとんど一致していることからすれば、少なくとも2016年7月(乙21?乙23の投稿月)頃から2017年5月(乙15?乙17及び乙19の投稿月)頃までは、上記した料理が継続して提供されていたといえる。
(2)上記3(5)広告チラシへの使用について
乙第14号証によれば、「景虎 岡山店」にて、2016年冬季に「鮮魚の刺身」や「牡蠣の土鍋飯」が提供されていたことが明らかである。
(3)上記3(4)焼酎の瓶のラベルへの使用について
乙第11号証及び乙第12号証によれば、「景虎 岡山店」にて、瓶入りの「焼酎」が少なくとも2016年11月14日以降に提供されていることが明らかである。
(4)アルコール飲料を主とする飲料物の提供について
「景虎 岡山店」は、建物の3階と4階とに展開している。乙第24号証は、3階の客席を撮影したものであり、乙第25号証は、4階の客席を撮影したものであり、3階と4階は階段によって行き来が可能である。
乙第24号証に示す3階は、客席の向こう側にコンロ、流し台、レンジ等のような調理器具が数多く認められるものであり、上記(1)や(2)等に記載の料理を提供する場所としている。
一方、乙第25号証に示す4階は、細長いカウンターの向こう側には、アルコール飲料の瓶がピラミッド形に積み上げられ、大きなガラス製の花瓶に花が飾られており、ここではアルコール飲料を主とする飲料物の提供を行っている。
また、乙第26号証は、「サントリーグルメガイド」の「景虎[日本料理とバー]のお店の感想、口コミ」(https://gourmet.suntory.co.jp/shop/0862332400/impression.html)で、「4階は、お店の雰囲気が大人で、ワインがたくさんあり、ゆっくりお酒を楽しめて良かった☆清潔感もあり、一人でもカップルでもお勧めです。3階は活気のある店員さんが多く、メニューも豊富でおいしく、飲み会はここに決まりといった感じでよく行っています」との書き込みがされている。当該書き込みの投稿日は2008年5月13日であり、要証期間前であるが、これと併せて乙第25号証に示された状況を考えれば、現在も「アルコール飲料を主とする飲料物の提供」が4階にて行われていることが明らかである。
(5)別掲1の<食事>に含まれる料理について
別掲1の<食事>に含まれる各料理は、別掲2のように<西洋料理>、<和食>及び<中華料理>に分類される。このため、「景虎 岡山店」においては、西洋料理と和食と中華料理とを食事として提供していたものであり、特に西洋料理は相当数に上っている。すなわち、「景虎 岡山店」の3階においては、「西洋料理の提供」、「和食の提供」、「中華料理の提供」、「デザートの提供」及び「飲料の提供」を行っていたものであり(料理に関しては様々な種類のものを提供していた。)、和食に特化した「和食を主とする飲食物の提供」を行っていたものではない。
(6)懐石料理について
懐石料理とは、「〔禅院で僧が温石(あたためた石)を懐中して空腹をしのいだことから、一時の空腹しのぎ程度の軽い料理の意〕茶席で、茶の前に出す簡単な食事。茶懐石。懐石料理。〔同音語の「会席」は寄り合いの席、また、宴席に出される上等な料理のことであるが、それに対して「懐石」は茶席で茶を出す前の軽い食事をいう〕」(大辞林第三版)をいい、このような茶席で茶の前に出す簡単な食事は別掲1の<食事>に含まれていないことから、「景虎 岡山店」において「懐石料理を主とする飲食物の提供」を行っていたものではない。
(7)鉄板焼きについて
別掲1の<食事>に含まれる各料理のうち、鉄板焼きに分類されるものは、「和牛サーロインステーキ」、「備前牛のヒレステーキ」及び「和牛ロースステーキ」であり、「景虎 岡山店」において提供される料理は、鉄板焼き以外の料理の方が鉄板焼きよりもはるかに多い。このため「景虎 岡山店」においては、鉄板焼きに特化した「鉄板焼きを主とする飲食物の提供」を行っていたものではない。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第4号証は、飲食店サイトの出力物であり、2017年(平成29)年5月に岡山県岡山市所在の飲食店「景虎」を訪問した者の投稿記事が掲載されている。そして、乙第5号証及び乙第15号証は、乙第4号証の投稿記事中に掲載されている飲食店「景虎」に係る写真を拡大したものである。
(2)平成29年5月時点において、飲食店「景虎」は、看板(以下「本件看板」という。)を掲げていた(乙4、乙5)。
(3)乙第1号証及び乙第2号証は、被請求人代理人が2017年(平成29年)10月4日に撮影した写真の写しであり(乙第2号証は、乙第1号証に写る建物に掲げられた看板を大写しにしたもの)、乙第1号証の写真中の建物の右側には、「ボクデン本店」と表示された看板が掲げられ、建物の左側には、縦に筆書きした「景虎」の文字(別掲3、以下「本件使用商標」という。)が表示された看板が掲げられている。そして、当該本件使用商標が表示された看板は、平成29年5月時点に掲げていた上記(2)の本件看板と同一である。
(4)平成29年5月時点において、飲食店「景虎」の「本日のおすすめ」と題するメニュー表には、「季節のドリンク」として「イチゴスムージー」が記載されていた。また、当該メニュー表には、「株式会社ボクデン景虎岡山店」の文字からなる角印の印影があった(乙15)。
(5)平成29年10月25日時点において、本件商標権者の事業所の一つに「景虎 岡山店」と称する事業所があった(乙3)。
(6)平成29年10月25日時点において、「景虎 岡山店」は、岡山県岡山市所在の「ボクデン本店ビル3F」で営業していた。そして、その住所は、本件商標権者の本店(Head Office)の住所と同一であった(乙3、乙6)。
2 上記1によれば、当審の判断は以下のとおりである。
(1)使用商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「景虎」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、本件使用商標は、別掲3のとおり、「景虎」の文字を縦に筆書きしてなるものであり、本件商標とはつづりが同一で、「カゲトラ」という同一の称呼を生じるものであるから、本件使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。
(2)使用役務について
上記1(1)及び(4)のとおり、平成29年5月時点において、岡山県岡山市所在の飲食店「景虎」が提供するドリンクのメニューには、「イチゴスムージー」が含まれていた。
そして、「スムージー」とは、「凍らせた果物・野菜などを牛乳・ヨーグルトとともにミキサーで攪拌してとろりとさせた冷たい飲物。」(株式会社岩波書店発行「広辞苑 第六版」参照)であり、「和食」、「懐石料理」及び「鉄板焼き」の範ちゅうに含まれない飲食物である。
したがって、飲食店「景虎」においては、飲料の「スムージー」が提供されていたといえるものであり、その提供に係る役務「スムージーの提供」は、本件審判請求に係る指定役務の第42類「飲食物の提供(和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供を除く。)」に含まれる役務である。
(3)使用時期について
上記1(2)及び(3)によれば、本件看板と、乙第1号証及び乙第2号証の写真中の看板とは、撮影時期は異なるものの、同一のものであると認められるから、飲食店「景虎」は、要証期間の平成29年5月に、同店が入る建物に、看板(本件看板)を掲げ、当該看板には、本件使用商標が表示されていたと認められる。
(4)使用者について
上記1(4)のとおり、平成29年5月時点において、飲食店「景虎」のメニュー表に、「株式会社ボクデン景虎岡山店」の文字からなる角印の印影があったこと並びに上記1(5)及び(6)のとおり、本件商標権者が、同年10月時点において、「景虎 岡山店」と称する事業所を有し、かつ、同店(同事業所)の入る「ボクデン本店ビル3F」の住所が本件商標権者の本店の住所と同一であったことを合わせみると、同年5月時点において、飲食店「景虎」において役務を提供していた者(印影に表示された「株式会社ボクデン」)は、本件商標権者であったと推認できる。
(5)小括
以上からすると、被請求人である本件商標権者は、要証期間の平成29年5月に、本件審判の請求に係る指定役務に含まれる役務(「スムージーの提供」)を提供する飲食店「景虎」の入る建物に、本件商標と社会通念上同一の商標を表示した看板を掲げていたといえる。
そして、上記の使用行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して展示する行為」に該当する。
3 請求人の主張について
請求人は、被請求人が答弁書において使用していると主張する商標に係る役務は、いずれも、「和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供」の範囲に該当するものであり、本件取消審判の請求に係る役務ではない旨主張する。
しかしながら、本件商標の指定役務は第42類「飲食物の提供」であるところ、上記2(2)のとおり、本件商標権者は、同人の事業所の一である飲食店において、当該指定役務に含まれる「スムージーの提供」という役務を提供していたと認められるところ、「スムージー」は、「飲料」であって、「和食」、「懐石料理」及び「鉄板焼き」に該当するものではない。
そうすると、「スムージーの提供」という役務は、本件審判請求に係る指定役務である第42類「飲食物の提供(和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供を除く。)」中の「和食を主とする飲食物の提供、懐石料理を主とする飲食物の提供及び鉄板焼きを主とする飲食物の提供」に含まれる役務ではない。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の商標権者が、その請求に係る指定役務について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標は、その請求に係る指定役務について、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1
<食事>
「特大ノドグロのあぶり」、「オマール海老のワイン蒸し」、「和牛サーロインステーキ」、「備前牛のヒレステーキ」、「和牛口ースステーキ」、「お刺身の盛合せ」、「つぼ鯛のあぶり」、「サワラの藁たたき」、「鮮魚のカルパッチョ」、「麹烏賊の一夜干し」、「青つぶ貝と大根の煮付け」、「ニンニクチャーハン」、「へしこの茶漬け」、「しじみ汁」、「漬け物十種盛合せ」、「春野菜のバーニャカウダ」、「有機野菜のアンチョビサラダ」、「そら豆の茶わん蒸し」、「そら豆豆腐」、「ポテトサラダ」、「海老とそら豆のつまみ揚げ」、「麹烏賊の天麩羅」、「里芋の天麩羅」、「海老パン」、「イチゴと生ハムのサラダ」、「タケノコのあぶり」、「タケノコの土鍋めし」、「そら豆と白魚のつまみ揚げ」、「ホタルイカの辛子酢味噌」、「ホタルイカの土鍋めし」、「牛タンの厚切りステーキ」、「和風ハンバーグデミソース」、「岡山産のロースステーキ」、「和牛塩ホルモンと季節野菜」、「若鶏のとろけるチーズ焼き」、「ニラとジャコの玉子焼き」、「岡山豚のしゃぶしゃぶ鍋」、「銀シャリ土鍋めし」、「タケノコの土鍋めし」、「真鯛の土鍋めし」、「桜海老の土鍋めし」、「牡蠣の土鍋飯」
<デザート>
「ティラミスのアイス添え」、「景虎抹茶パフェ」、「レアチーズプリン」、「黒豆アイスの黒蜜かけ」、「柚子シャーベット」、「ヘーゼルナッツジェラート」、「コーヒー(ホット or アイス)」
<飲料>
「初恋ベリーサワー」、「イチゴスムージー」、「焼酎」

別掲2
<西洋料理>
「オマール海老のワイン蒸し」、「和牛サーロインステーキ」、「備前牛のヒレステーキ」、「和牛ロースステーキ」、「鮮魚のカルパッチョ」、「春野菜のバーニャカウダ」、「有機野菜のアンチョビサラダ」、「ポテトサラダ」、「海老パン」、「イチゴと生ハムのサラダ」、「牛タンの厚切りステーキ」、「和風ハンバーグデミソース」、「岡山産のロースステーキ」、「若鶏のとろけるチーズ焼き」
<和食>
「特大ノドグロのあぶり」、「お刺身の盛合せ」、「つぼ鯛のあぶり」、「サワラの藁たたき」、「麹烏賊の一夜干し」、「青つぶ貝と大根の煮付け」、「へしこの茶漬け」、「しじみ汁」、「漬け物十種盛合せ」、「そら豆の茶わん蒸し」、「そら豆豆腐」、「海老とそら豆のつまみ揚げ」、「麹烏賊の天麩羅」、「里芋の天麩羅」、「タケノコのあぶり」、「タケノコの土鍋めし」、「そら豆と白魚のつまみ揚げ」、「ホタルイカの辛子酢味噌」、「ホタルイカの土鍋めし」、「和牛塩ホルモンと季節野菜」、「ニラとジャコの玉子焼き」、「岡山豚のしゃぶしゃぶ鍋」、「銀シャリ土鍋めし」、「タケノコの土鍋めし」、「真鯛の土鍋めし」、「桜海老の土鍋めし」、「牡蠣の土鍋飯」
<中華料理>
「ニンニクチャーハン」

別掲3
本件使用商標



審理終結日 2018-09-05 
結審通知日 2018-09-07 
審決日 2018-09-21 
出願番号 商願2000-61766(T2000-61766) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z42)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 杉山 和江 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 松浦 裕紀子
小松 里美
登録日 2001-08-17 
登録番号 商標登録第4500260号(T4500260) 
商標の称呼 カゲトラ 
代理人 笠原 英俊 
代理人 岩崎 博孝 
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