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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
管理番号 1345060 
異議申立番号 異議2017-900255 
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-08-10 
確定日 2018-10-12 
異議申立件数
事件の表示 登録第5946945号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5946945号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5946945号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1に示すとおりの構成からなり,平成28年8月15日に登録出願,第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として,同29年4月6日に登録査定,同年5月19日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,登録異議の申立ての理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証から甲第17号証(枝番号を含む。以下,枝番号の全てを引用するときは,枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 申立人及びそのハウスマークの周知著名性
(1)申立人は,我が国の携帯用無線機メーカーの草分け的存在あり,その販売網は日本のみならず世界各地に及び,陸上用,海上用,航空機用等の業務用無線機,さらに,無線LAN機器,IP電話システム等の製造・販売へと業務を拡大している。申立人は,今や,アマチュア無線では世界トップクラスの売上を,業務用無線機においても世界上位クラスの売上を誇る企業へと成長している(甲3,甲4,甲13)。また,申立人は,無線通信機器を用いた仮想移動体通信事業(MVNO)としての通信サービス事業も行っている。
(2)申立人は,1978年以来,「ICOM」,「アイコム」等のハウスマークを,申立人が製造販売する通信機器に必ず付しており(甲5),申立人が所有する引用商標(甲2の1)は,特許庁等において,我が国の周知・著名として認定されている(甲6)。
(3)申立人やその取り扱う商品は,「電波新聞」や「日刊工業新聞」等の業界紙や「CQ ham radio」等の雑誌において取り上げられ,また,自社製品について,これら誌面において広告宣伝を継続している(甲7?甲10)。さらに,毎年8月に開催される「アマチュア無線フェスティバル(ハムフェア)」(甲11)のほか,内外の様々な展示会に毎年出展している。そして,申立人は,2015年(平成27年)8月以来,「アイコム」等を大きく記載した看板を,秋葉原(東京)及び日本橋(大阪)に設置し,製品の宣伝広告をしている(甲12)。
(4)申立人の「ICOM」等の商標は,国際登録をはじめ,カナダ,チリ,スイス,ニュージーランド等,多数の国で登録されている(甲14)。
(5)以上から,申立人及びそのハウスマークは,本件の出願前より,申立人の業務に係る商品及び営業を表示するものとして,我が国及び世界のアマチュア無線愛好家及び通信業界内で周知・著名となっている。
2 商標法第4条第1項第11号該当性
(1)本件商標は,欧文字「AICOM」と漢字「亜太電信」及び図形で構成されている。これらの構成要素は,欧文字,漢字及び図形という組合せ,すなわち,異なる文字種の結合に,さらに図形が付加されている構成であり,需要者が,本件商標に接したときに,それらの構成要素がそれぞれ独立して視覚に入るのが自然であり,これらを一体視すべきとする特段の事情が見当たらない。特に,「AICOM」部分は,文字種の上段に記載され,需要者の視覚に真っ先に飛び込んでくる部分であり,日本における一般的なローマ字読みで特定されるのが自然であるから,当該部分より「アイコム」の称呼が生じる。
(2)申立人が引用する登録商標(以下「申立人商標」という。)1?30(甲2。以下,これらをまとめて「申立人商標」ということがある。)からは,それらを構成する文字等により,「アイコム」の称呼が生じる。
(3)本件商標からは「アイコム」の称呼が生じ,申立人商標からも「アイコム」の称呼が生じるため,これらは「アイコム」の称呼を共通にする。
また,申立人商標5,申立人商標14及び申立人商標17は,欧文字「AICOM」で構成されているため,称呼のみならず,つづり字まで,本件商標と共通する。
そして,本件商標の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」と申立人商標の指定商品及び指定役務は抵触関係にある。
なお,商標権者は,本件商標の審査段階で,拒絶理由通知書(甲15)に対して提出した意見書(甲16)において,本件商標を見た需要者は「アイコム」と称呼しないと主張するが,商標権者は,そのホームページにおいて,自身の商号を「AICOM/アイコム」として使用していることが見受けられる(甲17)。
ところで,商標審査基準の十三,第4条第1項第15号において,第4条第1項第11号に該当すると判断する場合として,「他人の著名な登録商標と類似であって,当該商標登録に係る指定商品若しくは指定役務と同一又は類似の商品等に使用するとみとめられるとき。」との記載がある。
申立人のハウスマークは,上述のとおり著名となっており,申立人商標の指定商品と本件商標の指定商品は抵触関係にあるため,本件商標は,まさにこの審査基準に該当する商標である。
以上より,本件商標は,申立人商標と「アイコム」の称呼を共通にし,その指定商品は,申立人商標の指定商品及び指定役務と抵触関係にある。
よって,本件商標は,商標法4条1項11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)申立人商標の周知度,独創性,ハウスマークであるかどうか
上述したように,申立人商標「アイコム」,「ICOM」等は,「ハウスマーク」として,少なくとも我が国におけるアマチュア無線愛好家及び通信業界内で,周知・著名となっている。これらハウスマークは,申立人が採択した造語であり,独創性を有する。
(2)企業における多角経営の可能性
申立人は,無線通信機器の製造販売業者ではあるものの,巷における情報通信技術の発達と相まって,例えばIPトランシーバや,WiFiトランシーバの発売を開始し,KDDI株式会社(au)や株式会社ドコモ(docomo)と提携し,無線機器を用いた仮想移動体通信事業(MVNO)を行うなど,ビジネスの幅が広がっている。情報通信技術の発達に伴って,今後一層,ビジネスの範囲は広がる可能性がある。
(3)商品役務間の関連性
申立人が製造販売している無線通信機器は,本件商標の指定商品である「電子応用機械器具及びその部品」と重複する部分があり,これらは密接な関係にある。
一方,申立人が調べたところ,商標権者は,仮想移動体通信事業者のようである。
申立人が,仮想移動体通信サービス事業(MVNO)をも行っていることを考慮すれば,申立人の業務に係る商品役務と商標権者の業務に係る商品役務は,密接な関連性を有していることが明らかである。
(4)本件商標と申立人商標の出所混同のおそれ
申立人商標に見られるように,申立人は,現在に至るまで,複数のハウスマーク関連の商標を採択し,使用してきたという事情がある。そして,申立人の業務に係る商品役務と商標権者の業務に係る商品役務は密接な閨連性を有している。
申立人も商標権者も仮想移動体通信サービス事業を行っていることから, 取引者を共通にする。
そうとすれば,本件商標が使用されることにより,商標権者による商品役務はあたかも申立人の業務に係る商品であるかのごとく商品の出所を誤認混同させるおそれがある。
以上より,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 商標法第4条第1項第10号該当性
本件商標は,アマチュア無線愛好家及び通信業界内で広く知られている申立人商標「アイコム」,「ICOM」等と類似する「AICOM」を含む商標であって,当該「AICOM」は,分離して看取される。そして,本件商標は,申立人商標の商品又はこれに類似する商品に使用するものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
5 結語
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同項第10号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の2第1号に基づき,取り消されるべきである。

第3 当審における取消理由の要旨
当審において,商標権者に対して,「本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであり,仮に同号に違反してされたものでないとしても,同項第15号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を平成29年11月30日付けで通知し,相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第4 商標権者の意見
商標権者は,前記第3の取消理由に対して意見を要旨次のように述べた。
1 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標について
本件商標は,左側図模様,右側上部変形された欧文字等,右側下部亜太電信の標示を一体化した結合商標である。
取消理由通知書では,本件商標の右側上部変形された欧文字等の部分のみを抽出して,これが本件商標の要部であり,かつ,「AiCOM」の文字を図形化したものと看取できるから,当該部分からは「アイコム」の称呼が生ずるとする。しかしながら,本件商標のような結合商標の類否の判断に当たっては,当該商標を一体として判断すべきであって,取消理由通知書のように一部を抽出して判断することが誤りであること,並びに,商標権者の商品の取引は全てインターネットによる通信販売であるから,本件商標を称呼することはなく,称呼の必要性がないことは後述するが,取消理由通知書が前記のような指摘をするので,これについて,まず,意見を述べる。
(2)本件商標の一構成部分と引用商標の否類似について
本件商標の右側上部変形された欧文字等の5文字のうち1文字目は,ローマ字の「V」を逆にしたものであってローマ字ではなく「A」ではない。また,3文字目はローマ字の「C」とは必ずしも認識されない。このため,この部分は,「AiCOM」を図案化したものではないし,「アイコム」の称呼は生じない。
商標は,自他識別機能を果たすため需要者に容易に認識される必要があるところ,本件商標が需要者に容易に認識される部分は「亜太電信」であり,これが本件商標の要部である。需要者が本件商標を称呼する場合,右側上部の部分は称呼が困難であるため,右側下部に明瞭に標示されている「アタデンシン」と称呼される。
次に,当該部分の外観については,一見しても引用商標と類似していないことは明白である。取消理由通知書は,当該部分の外観を,敢えて「AiCOM」と看取されるとし,これが引用商標「AICOM」と「外観において近似した印象を与える」とか,引用商標「iCOM」と「外観においてやや近似した印象を与える」とか,引用商標「アイコム」と「文字種の相違が,外観上の差異として強い印象を与えるとはいえない」と強引に述べる。しかし,当該部分を敢えて「AiCOM」に引き直すことは,外観を直視したものとはいえない。取消理由通知書も,「外観上近似 した印象を与える」程度であるか,あるいは「外観上の差異がある」ことを認めた上で,不当にも最終的には,本件商標の当該部分の外観は引用商標と類似しているとする。
(3)結合商標の類否の判断基準について
取消理由通知書は,「本件商標の図形部分と欧文字部分及び漢字部分は,外観,称呼及び観念上のつながりや関連性は認められないから,それぞれが独立した自他商品の識別標識としての機能を果たすものといえる。」とする。
しかしながら,商標には,相互に関連性のない図,模様,絵,文字,造語等で構成される結合商標があるのであって,複数の構成において関連性がないためにそれぞれが独立して自他識別機能を果たすとの考え方は誤りである。結合商標の類否の判断は,当該商標全体の構成部分からその有する外観,称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考慮して行われ,商標が使用される商品又は役務の主たる需要者層その他商品・役務の取引の実情を考慮し,需要者の有する通常の注意力を基準として判断されるべきものである。需要者の通常有する注意力を基準として,最も強い印象を与える部分を要部という。
結合商標の類否の判断が当該商標の全体の構成を総合的に考慮し,かつ,需要者に与える外観・称呼・観念等を総合的に判断すべきことについて,最高裁判所判決(昭和39年(行ツ)110号・昭和43年2月27日判決)は,次のように述ベている。「商標の類否は,対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象・記憶・連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品の取引の実情を明らかにしうる限り,その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。・・・商標の外観,観念または称呼の類似は,その商標を使用した商品につき出所の誤認混同のおそれを推測させる一応の基準にすぎず,従って,右三点のうちその一において類似するものでも, 他の二点において著しく相違することその他取引の実情等によって,なんら商品の出所に誤認混同をきたすおそれの認めがたいものについては,これを類似商標と解すべきではない」。
(4)本件商標を付した商品の販売方法について
商標権者の「電子応用機械器具及びその部品」等の取引は,全てインターネットによる通信販売会社のサイト広告を通じて行われ,取引店を通じての取引はない。このため,通信販売会社のサイト広告には本件商標が表示されるが,取引者・需要者が本件商標を称呼することはなく,称呼の必要性がない。取引者・需要者は本件商標の外観のみにより自他を識別している。
(5)本件商標と引用商標との類否について
そこで,本件商標と引用商標との類否を検討すると,次のとおりである。
本件商標は,左側図模様,右側上部変形された欧文字等,右側下部亜太電信の標示を一体化した結合商標であるところ,引用商標は,いずれも,「ICOM」若しくはその「I」を修飾したもの,「AiCOM」ないし「AICOM」 又は「アイコム」なる一連結語を横書きにしたものである。
本件商標の称呼の必要性はないのであるが,敢えて称呼するとしても「アイコム」ではなく,「アタデンシン」であることは前述のとおりである。また,本件商標の外観はいずれも引用商標と類似しない三構成要素からなっていることで,引用商標と明白に異なる。
よって,本件商標と引用商標とは,全体を総合的に検討した結果類似するものとはいえない。
前記最高裁判決の事件は,商標登録出願拒絶査定不服抗告審判審決取消請求事件であるが,同事件で,出願商標は丸い図形の商標であって,円の中の中央部に氷山の図形,上部に「硝子繊維」との文字,中央部に「氷山印」との文字,下部に「日東紡績」との文字を含むものであるのに対し,引用登録商標は,単に「しようざん」との文字のみからなる商標であった。判決は,「両者が外観を異にすることは明白であり,また後者から氷山を意味するような観念を生ずる余地のないことも疑いな」いとした。そして,「原判決は,上記のような商標の構成から生ずる称呼が,前者は「ひようざんじるし」ないし「ひようざん」,後者は「しようざんじるし」ないし「しようざん」であって,両者の称呼がよし比較的近似するものであるとしても,その外観および観念の差異を考慮すべく,単に両者の抽出された語音を対比して称呼の類否を決定して足れりとすべきでない旨を説示したものと認められる。そして,原判決は,両商標の称呼は近似するとはいえ,なお称呼上の差異は容易に認識しえられるのであるから,「ひ」と「し」の発音が明確に区別されにくい傾向のある一部地域があることその他諸般の事情を考慮しても,硝子繊維糸の前叙のような特殊な取引の実情のもとにおいては,外観および観念が著しく相違するうえ称呼においても右の程度に区別できる両商標をとりちがえて商品の出所の誤認混同を生ずるおそれは考えられず,両者は非類似と解したものと理解することができる。」とした。
本件商標についても,取消理由通知書がいうように仮に構成部分の変形された欧文字等の部分が引用商標と類似するとしても三構成部分の一であり,それも類似するとするには疑問があり,他の二部分は引用商標にはないのであって,本件商標全体を一体として見た需要者は,引用商標と大きく異なるため,商品の出所を誤認混同することがないことは,前記事件の場合と同様である。
2 本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
取消理由通知書は,申立人商標の周知・著名性及び独創性を理由として本件商標は,指定商品「電子応用機械器具及びその部品」以外の商品,その関連商品・付属品の出所についても混同誤認を与えるおそれがあると指摘する。
しかしながら,申立人商標には,引用商標以外の商標が含まれるが,これらの要部は,いずれも「ICOM」,「AICOM」又は「アイコム」であり,称呼及び外観は,引用商標とほとんど差異はない。そうすると,前述のとおり,本件商標は引用商標と類似しないのであるから,同様の理由により,本件商標は申立人商標と称呼及び外観は類似しない。すなわち,称呼は,本件商標の「アタデンシン」であるところ,申立人商標は「アイコム」であり,また,外観は,本件商標は三構成部分からなる結合商標であるのに対し,申立人商標は概ね一連結語である。したがって,本件商標と申立人商標とは同一又は類似しておらず,本件商標を誤認混同する取引者・需要者は存在しない。
よって,商標権者は現在一部の商品について,本件商標が付された「電子応用機械器具及びその部品」以外の申立人と類似する商品を販売しているが,この場合であっても,その出所について誤認混同されるおそれはない。また,現在本件商標が付された「電子応用機械器具及びその部品」以外の同一又は類似の商品・役務が同じ販売店で取り扱われていないが,将来本件商標が付された「電子応用機械器具及びその部品」以外の同一又は類似の商品・役務が販売店で取り扱われることになり,取引者・需要者を共通にすることがあっても,その出所について誤認混同されるおそれはない。
商標権者は,平成11年頃から,本件商標を付して「電子応用機械器具及びその部品」等を全てインターネットによる通信販売会社のサイト広告を通じて取引しているが,「電子応用機械器具及びその部品」はもとより,「電子応用機械器具及びその部品」以外の商品についても,今日まで他人の業務に係るものと混同したなどの苦情を受けたことは一切ない。
よって,本件商標は,「申立人商標又は申立人を想起し連想して,当該商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し,その商品の出所について混同するおそれ」はなく,「他人の業務に係る商品役務と混同を生ずるおそれがある商標」ではない。

第5 当審の判断
1 引用商標
当審において引用する登録商標は,以下のとおりである。
(1)登録第912916号商標(以下「引用商標1」という。)
・商標の構成:「ICOM」の欧文字
・登録出願日:昭和44年6月19日
・設定登録日:昭和46年7月29日
・更新登録日:昭和56年8月31日,平成3年10月29日,平成13年5月8日
・書換登録日:平成14年2月27日
・指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」を含む第7類から第12類,第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(2)登録第2269852号商標(以下「引用商標2」という。)
・商標の構成:「アイコム」の片仮名
・登録出願日:昭和61年5月15日
・設定登録日:平成2年9月21日
・更新登録日:平成12年5月9日,平成22年5月25日
・書換登録日:平成22年7月21日
・指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」を含む第7類から第12類,第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(3)登録第2269853号商標(以下「引用商標3」という。)
・商標の構成:「AICOM」の欧文字
・登録出願日:昭和61年5月15日
・設定登録日:平成2年9月21日
・更新登録日:平成12年5月9日,平成22年5月25日
・書換登録日:平成22年7月21日
・指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」を含む第7類から第12類,第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(4)登録第2269854号商標(以下「引用商標4」という。)
・商標の構成:別掲2のとおり
・登録出願日:昭和62年7月20日
・設定登録日:平成2年9月21日
・更新登録日:平成12年5月9日,平成22年5月25日
・書換登録日:平成22年7月21日
・指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」を含む第7類から第12類,第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(5)登録第2431298号商標(以下「引用商標5」という。)
・商標の構成:「アイコム株式会社」の文字
・登録出願日:平成元年8月2日
・設定登録日:平成4年6月30日
・更新登録日:平成14年5月14日,平成24年4月10日
・書換登録日:平成14年6月5日
・指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」を含む第7類から第12類,第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(6)登録第4062397号商標(以下「引用商標6」という。)
・商標の構成:「ICOM」の欧文字
・登録出願日:平成6年12月27日
・設定登録日:平成9年10月3日
・更新登録日:平成19年10月16日,平成29年10月10日
・指定商品:第9類「電子応用機械器具及びその部品」を含む第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品
(7)登録第4681908号商標(以下「引用商標7」という。)
・商標の構成:別掲2のとおり
・登録出願日:平成14年1月1日
・設定登録日:平成15年6月13日
・更新登録日:平成25年4月9日
・指定商品及び役務:第9類「電子計算機用プログラム」を含む第9類,第35類,第38類及び第41類から第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
(8)登録第4681909号商標(以下「引用商標8」という。)
・商標の構成:「ICOM」の欧文字
・登録出願日:平成14年1月1日
・設定登録日:平成15年6月13日
・更新登録日:平成25年4月9日
・指定商品及び役務:第9類「電子計算機用プログラム」を含む第9類,第35類,第38類及び第42類から第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
(9)登録第4681910号商標(以下「引用商標9」という。)
・商標の構成:「アイコム」の片仮名
・登録出願日:平成14年1月1日
・設定登録日:平成15年6月13日
・更新登録日:平成25年4月9日
・指定商品及び役務:第9類「電子計算機用プログラム」を含む第9類,第35類,第38類及び第42類から第45類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務
なお,上記引用商標1から引用商標9をまとめて「引用商標」ということがある。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,複数の円弧を組み合わせた図形とその右横に図案化された欧文字及び「亜太電信」の漢字を上下二段に横書きした構成からなるものであるところ,欧文字部分は,やや図案化して表現されているものの,格別特異な表現方法ではなく,欧文字5文字を表現したものと看取されるものであり,その3文字目に当たる部分については,両端が先細りとなった欧文字の「C」を表したものと認識されるものであって,全体として「AiCOM」の文字を図案化したものと容易に看取できるものであるから,該文字部分からは,「アイコム」の称呼が生じ,また,特定の観念は生じないといえる。また,「亜太電信」の漢字部分からは,「アタデンシン」の称呼が生じ,特定の観念は生じないといえる。さらに,図形部分からは,特定の称呼及び観念が生じないものである。
そうすると,本件商標の図形部分と欧文字部分及び漢字部分は,外観,称呼及び観念上のつながりや関連性は認められないから,それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものといえる。
してみると,本件商標は,その構成中,「AiCOM」の欧文字部分を要部として抽出し,他人の商標(引用商標)と比較して,商標の類否を判断することができるものである。
したがって,本件商標からは,その構成中の要部である「AiCOM」の文字部分に相応して「アイコム」の称呼が生じ,特定の観念は生じないというのが相当である。
(2)引用商標
前記1のとおり,引用商標1,引用商標6及び引用商標8は「ICOM」,引用商標2及び引用商標9は「アイコム」,引用商標3は「AICOM」の文字をそれぞれ横書きしてなるものである。そして,引用商標4及び引用商標7は,別掲2のとおり,語頭部分がやや図案化されているが,欧文字の「i」を表したと容易に理解されるから,全体として「iCOM」の文字よりなるものということができる。
してみると,引用商標1ないし4並びに引用商標6ないし9からは,「アイコム」の称呼を生じ,また,特定の観念を生じないというのが相当である。
また,引用商標5は「アイコム株式会社」の文字を横書きしてなるものであるところ,その構成中の「株式会社」の文字は法人の種別を表す語であるから,商標の要部となり得る部分は「アイコム」の片仮名部分であるというべきである。
してみると,引用商標5からは,その構成中の要部である「アイコム」の文字部分に相応して「アイコム」の称呼を生じ,特定の観念は生じないというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との類否
ア 外観
本件商標の欧文字部分「AiCOM」と引用商標3の「AICOM」は,「i」と「I」の文字において,小文字と大文字等の違い及び「A」と「C」の外形上の相違があるものの,そのつづりを同じくするものであるから,外観において近似した印象を与えるものである。
次に,本件商標と引用商標1,引用商標4及び引用商標6ないし8の「ICOM」とは,語頭の「A」の文字の有無及び大文字「I」と小文字「i」の相違という差異があるが,5文字という比較的短いつづり字からなる本件商標の構成中,「iCOM」の4文字のつづりを共通にするものであるから,両者は,外観においてやや近似した印象を与えるものである。
そして,本件商標と引用商標2及び引用商標9並びに引用商標5の要部である「アイコム」とは,欧文字及び片仮名という文字種を異にするところがあるものの,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変更したり,デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情があることを考慮すると,これに接した取引者,需要者に対し,文字種の相違が,外観上の差違として強い印象を与えるとはいえないというべきである。
イ 称呼
本件商標と引用商標は,「アイコム」の称呼を共通にするものである。
ウ 観念
本件商標と引用商標は,特定の観念を生じないものであるから,両者は観念において区別できない。
エ 類否
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,「アイコム」の称呼を共通にし,かつ,観念においても区別できないものである。そして,本件商標と引用商標とは,外観上近似した印象を与えるか,あるいは,外観上の差異があるとしても,看者に強い印象を与えるものとはいえないから,これらを総合勘案すれば,本件商標と引用商標は,互いに類似する商標といわなければならない。
(4)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の比較
本件商標の指定商品は,第9類「電子応用機械器具及びその部品」であり,他方,引用商標の指定商品は,第9類「電子応用機械器具及びその部品」又は「電子計算機用プログラム」を含むものであるから,その限りにおいては,本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは同一又は類似であるということができる。
(5)小括
以上によれば,本件商標は,引用商標と類似の商標であって,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を指定商品とするものであるから,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
3 商標権者の意見について
(1)商標権者は,最高裁判決(昭和39年(行ツ)第110号)を踏まえれば,本件商標は3つの構成要素からなる結合商標であり,本件商標と引用商標とは,全体を総合的に観察した結果類似するものとはいえない旨主張する。
しかしながら,商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号参照)。
そうすると,一つの商標から二つ以上の称呼等が生じることはあり得るのであり,その場合,一つの称呼等が他人の商標の称呼等と同一又は類似であるといえないとしても,他の称呼等が他人の商標のそれと類似するときは,両商標は類似するものと解するのが相当である。そして,本件商標の図形部分と欧文字部分及び漢字部分は,外観,称呼及び観念上のつながりや関連性は認められないから,それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものといえ,本件商標の構成中,「AiCOM」の欧文字部分を要部として抽出し,他人の商標(引用商標)と比較して,商標の類否を判断することができることは,上記2(1)で述べたとおりである。
(2)商標権者は,本件商標の右側上部変形された欧文字等の5文字のうち1文字目は,ローマ字の「V」を逆にしたものであってローマ字「A」ではなく,3文字目はローマ字の「C」とは必ずしも認識されないから,この部分は,「AiCOM」を図案化したものではないし,「アイコム」の称呼は生じない旨主張する。
しかしながら,上述のとおり,商標の使用においては,商標の構成文字を同一の称呼が生じる範囲内で文字種を相互に変更したり,デザイン化したりすることが一般的に行われている取引の実情がある上に,例えば,サムスン電子のロゴ「SΛMSUNG」やエイスーステック・コンピューター・インクのロゴ「ΛSUS」に見られるような「A」の図案化は格別特異な表現方法ではなく,また,本件商標の3文字目に当たる部分については,両端が先細りとなった欧文字の「C」を表したものと認識されるものであるから,全体として「AiCOM」の文字を図案化したものと容易に看取できるものであることは,上記2(1)で述べたとおりである。
(3)商標権者は,「電子応用機械器具及びその部品」等の取引は,全てインターネットによる通信販売会社のサイト広告を通じて行われ,取引店を通じての取引はないため,同広告には本件商標が表示されるが,取引者・需要者が本件商標を称呼することはなく,外観のみにより自他を識別している旨主張する。
しかしながら,本件商標の指定商品に係る取引がインターネットによる販売のみによって行われているという取引の実情は見いだせず,また,その証拠の提出もない。商標権者が上記方法を通じて本件商標を使用しているとしても,これが商品の類否の判断において参酌される一般的・恒常的な取引の実情に該当するということはできない(最高裁昭和47年(行ツ)第33号,昭和49年4月25日判決参照)。
(4)したがって,商標権者の上記主張は,いずれも採用できない。
4 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録を取り消すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1
本件商標(色彩は原本参照)


別掲2
引用商標4,引用商標7




異議決定日 2018-03-30 
出願番号 商願2016-93114(T2016-93114) 
審決分類 T 1 651・ 263- Z (W09)
T 1 651・ 264- Z (W09)
T 1 651・ 262- Z (W09)
T 1 651・ 261- Z (W09)
最終処分 取消 
前審関与審査官 矢澤 一幸森山 啓 
特許庁審判長 薩摩 純一
特許庁審判官 大森 友子
冨澤 武志
登録日 2017-05-19 
登録番号 商標登録第5946945号(T5946945) 
権利者 亜太電信株式会社
商標の称呼 アイコム、アタデンシン、アタ 
代理人 小谷 昌崇 
代理人 並川 鉄也 
代理人 波光 巖 
代理人 小谷 悦司 
代理人 川瀬 幹夫 
代理人 池田 辰也 
代理人 西津 千晶 
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