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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X3536
管理番号 1344953 
審判番号 取消2017-300718 
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-09-22 
確定日 2018-09-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第5378381号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5378381号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5378381号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、やや灰色の「NEX」の欧文字を横書きしてなり、平成22年8月6日に登録出願、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供,オンラインによる商品売買契約の媒介又は取次ぎ」及び第36類「生命保険契約締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険の引受け,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,慈善のための募金」を指定役務として、同年12月24日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録日は、平成29年10月11日である。
なお、本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同26年10月11日から同29年10月10日までの期間を、以下「要証期間内」という。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び審判事件弁駁書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
被請求人は、本件商標をその指定役務のいずれについても、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用していないから、その登録は、商標法第50条第1項により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、答弁書において、本件商標を、第35類の指定役務のうち「経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」、第36類の指定役務のうち「建物の管理,建物の貸与,建物又は土地の情報の提供」について使用している旨主張し、その証拠として、乙第1号証を提出しているが、乙第1号証に係る資料の作成日ないし配布日は不明である。また、他に本件商標を使用して請求に係る指定役務について要証期間内に使用されたことを立証する証拠はない。
(2)被請求人は、要証期間内に日本国内において本件商標が本件審判の請求に係る指定役務に使用されたとの事実を証明していない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び審尋に対する回答書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。なお、乙第1号証は、重複しているので一方を削除する。)を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標について、請求人より、被請求人が本件商標をその指定役務のいずれについても継続して3年以上日本国内において使用していないとの主張がなされているが、被請求人において、第35類の指定役務のうち「経営の診断又は経営に関する助言,商品の販売に関する情報の提供」、第36類の指定役務のうち「建物の管理,建物の貸与,建物又は土地の情報の提供」について、現在も継続して本件商標を使用し事業を行っているところである。
(2)本件商標については、株式会社浜野総合研究所(東京都港区在所)浜野安宏氏(以下「浜野氏」という。)によって考案され、当初は平成22年9月4日から同23年1月10日まで北海道札幌市中央区南1条西2丁目9番1号にて被請求人が管理・運営した商業施設である「NEX180」というビル名称の一部として使用されていた。
(3)その後、本件商標は、ビル名称の一部としての役割は終えたが、浜野氏に多額の費用をかけて考案・デザインをしてもらった商標であるため、これを被請求人が元々展開していた総合的なプロパティ・マネジメント(以下「PM」という。)サービスの名称として使用するに至り、現在まで使用している。
(4)具体的には、「NEXサービス」は商業施設やホテルを展開するオーナー様に向けて経営の診断を行い、管理・運営上の問題点を総合的に解決し、商業施設やホテルを「次の段階へと進化」させるPMサービスである。一般的に、商業施設やホテルのPMサービスは、リーシング・マネジメント(以下「LM」という。)、コンストラクション・マネジメント(以下「CM」という。)、ファシリティ・マネジメント(以下「FM」という。)で構成される。被請求人のサービスは、LMにおいては、被請求人が商業施設やホテルの収益性に問題がある一区画を借り上げ、被請求人が当該建物の情報を広く提供してテナントを誘致し、転貸の形式で建物の一部を当該テナントに貸与したり、直接店舗を展開し商品の販売、飲食の提供、商品の販売に関する情報を提供することによって、商業施設やホテルの集客性を高めるサービスとなる。また、CMにおいては、商業施設やホテルの内装デザインの変更等を提案し、建物の付加価値を高めるサービスとなる。さらに、FMにおいては、清掃・設備管理・警備等の建物の管理を一手に引き受けることによって建物の価値を維持するサービスとなる。
(5)したがって、上述のとおり、被請求人及びそのグループ企業において商業施設やホテルに対する上質な管理・運営を行う総合的なPMサービスである「NEXサービス」が、本件商標を用いてオーナー様に提案され、サービスも現在継続してオーナー様に対してなされている現状がある。
2 被請求人に対する審尋(要旨)
被請求人の提出した乙第1号証からは、(1)商標権者(被請求人)が本件審判の請求に係る指定役務のうちいずれかの役務について業務を行っていること、(2)要証期間内に本件商標を当該指定役務に使用していること、(3)商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれの者が本件商標を使用していること、が明瞭ではない。
ついては、上記の3点について、要証期間内に指定役務について本件商標を使用した事実を証明するため、以下のことに留意して、具体的に説明する書面(回答書)及び証拠を提出されたい。
ア 乙第1号証は、何に使用された資料であるか具体的に説明されたい。たとえば、「経営の診断又は経営に関する助言」を依頼者に説明するためのプレゼンテーション用の資料であるのか、又は、被請求人の業務を説明するパンフレットであるか。そして、上記書証の作成日、作成者及び頒布の事実(いつ、どこで、誰に頒布したか)を明らかにされたい。
イ 乙第1号証中に、「区画を借り上げ、テナント誘致又は直営店を出店することにより、施設全体の収益性・集客性の向上を目指す。」の記載があり、また、「施設の清掃・設備管理・警備を一括で受け」の記載があるところ、これらの役務を提供する場合、依頼者や委託者との間で契約書を締結したり、提案書を提出したり、広告宣伝するためのカタログやチラシを頒布し、また、これらの役務に対する価格表、見積書、請求書及び領収書等の取引書類や現場の写真を作成していると思われるので、このような役務の提供の事実を把握することができる取引書類等のうち、要証期間内に作成されたもので、本件商標(NEX)が表示されているものがあれば提出されたい。
ウ 乙第1号証の表紙には、「IKEUCHI GROUP」の文字が記載されているが、このグループと被請求人の関係について明らかにされたい。
エ 本件商標(NEX)の使用について、商標法第2条第3項各号のいずれの行為の使用をしているのか主張されたい。
3 審尋に対する回答書(平成30年4月3日付け)
(1)「IKEUCHI GROUP」について
「IKEUCHI GROUP」とは、被請求人の代表取締役である池内和正が同じく代表取締役を務める株式会社池内システムサービス、株式会社池内環境開発、株式会社池内データプレイス、株式会社レモンコーポレーション、株式会社デザインワークショップ、株式会社トミックス、株式会社池内製作所、株式会社池内クリエイティブヒューマンソリューションズの9企業群からなる企業連合体である(乙4、乙5)。
これらの企業が相互に立地調査、店舗企画・リーシング、デザイン/設計、施工、管理・運営/リテール、マーケティング支援等のそれぞれの会社の得意領域を活かしPMサービスを連携して実行することによって、質の高いPMサービスの提供を実現している。
(2)本件商標の役割と使用方法について
ア 被請求人は、本件商標を乙第1号証に掲載し、北海道内に商業施設やホテル等を所有するオーナー(以下「施設オーナー」という。)向けに被請求人が属する「IKEUCHI GROUP」(乙4)が提供するPMサービスの業務内容を説明し、仕事を受注するための法人営業を行っている。
本件商標は、被請求人を含む「IKEUCHI GROUP」において、PMサービス事業を行うに際し用いるシンボルマークである。
イ 被請求人は「所有する施設の直営店の運営を任せたい」、「テナント誘致を手助けしてほしい」、「開業前の施工監理や開業後のテナント管理や設備管理を行ってほしい」といったニーズのある施設オーナーに対して、「IKEUCHI GROUP」のPMサービスの内容が掲載された乙第1号証を営業用プレゼンテーション広告資料として、主に印刷物の配布又は電磁的方法により提供している。
そして、被請求人が「IKEUCHI GROUP」のPMサービスの内容を説明した上で、施設オーナーの所有する商業施設やホテル等の現状のヒアリングを行い、そのヒアリングを基に経営の診断を行い、その診断を基に経営に関する助言を行う。
さらに、被請求人は、単に経営的助言をするにとどまらず、実際に施設オーナーが所有する建物の一部を賃借し自社出店したり、転貸しテナントを出店させたり、また、テナント出店のための施工監理、テナント営業開始後のテナント運営管理・監督、設備管理等のPMサービスを行っている。
ウ 乙第1号証は、平成29年10月頃に最終更新をした資料であるが、被請求人は、これとほぼ同内容である資料を、同28年10月14日、被請求人本社(北海道札幌市中央区在所)において、株式会社NHR(北海道札幌市豊平区在所:以下「NHR社」という。)代表取締役星川和章氏及び同社オーナーであるベン・カー氏に対し、テーブル上で手持ちのノートパソコンを用いてプレゼンテーションを行っている(乙2)。
上記のプレゼンテーションは、当時NHR社がその所有する綾ニセコホテル(北海道虻田郡倶知安町在所:以下「綾ホテル」という。)1階レストラン区画(以下「当該レストラン区画」という。)の平成28年12月15日開業に向けたテナント誘致、施工監理及び営業開始後のテナント管理・監督について目途が立たず困っていたことから、被請求人が乙第1号証等関連資料を提示の上、「IKEUCHI GROUP」のPMサービスを説明して、被請求人の提供するPMサービスの利用を勧誘した場であった。
この勧誘を受けて、NHR社は当該レストラン区画の経営指導・実行支援を被請求人に依頼した。
なお、乙第1号証及びこの時に提示した資料の作成者は被請求人の従業員である。
エ 前項のNHR社からの依頼により、平成28年11月17日、NHR社と「IKEUCHI GROUP」においてPMサービスの実行支援を担当する株式会社レモンコーポレーション(以下「レモン社」という。)との間で、当該レストラン区画の賃貸、飲食テナント「器」の誘致、内装施工監理、営業開始後のテナント管理を行うプロパティ・マネジメント契約(以下「当該契約」という。)が締結された(乙3)。
乙第3号証は「定期建物賃貸借契約書」という表題となっているが、その内容は賃貸借契約と業務委託契約の複合的な契約内容である(乙3:第29条等参照)。
なお、当該レストラン区画でのテナント営業はその後営業不振となり、それが払拭できなかったため、当該契約は、双方合意の上、平成29年6月24日付で解除された。
オ 上記のとおり、被請求人は、乙第1号証又はそれに類する資料を使用し、本件商標を提示して、顧客にPMサービスの内容について説明を行い、施設経営についての「経営の診断又は経営に関する助言」を行っているため、第35類の「経営の診断又は経営に関する助言」の業務を行っている。
また、「IKEUCHI GROUP」における被請求人の関連会社であるレモン社が施設オーナーから施設を借り上げ、それを転貸しテナントを誘致し、内装施工監理を行い、テナント営業管理・監督まで行っていることから、被請求人は、「IKEUCHI GROUP」として、第36類の「建物の貸与,建物の管理」についての業務を行っている。
(3)要証期間内の本件商標の使用について
ア 前述(2)ウのとおり、被請求人は、平成28年10月14日、本件商標を、「経営の診断又は経営に関する助言」(第35類)を内容とする営業用プレゼンテーション資料に付して電磁的方法により顧客に提供して使用している(商標第法第2条第3項第8号)。
乙第1号証は、平成28年10月14日当時に提示された資料そのものではないが、前述のとおり本件商標は被請求人がPMサービス事業を行う際に用いるシンボルマークであるから、平成28年10月14日当時に提示された資料においても、乙第1号証と同様に当然に表示されていた。
平成28年11月17日付で「IKEUCHI GROUP」の提供するPMサービス事業に沿った内容の当該契約が締結されていることは、平成28年10月14日、被請求人がNHR社に対し、本件商標が付された資料を用いてPMサービス事業のプレゼンテーションを行っていることの傍証である。
イ 前述(2)エのように、被請求人の本件商標の使用によって、当該契約が締結されており、「IKEUCHI GROUP」内企業であるレモン社が「IKEUCHI GROUP」のPMサービス事業として、当該契約に基づき、第36類の指定役務に係る業務を行っている。
本件商標が、「IKEUCHI GROUP」のPMサービス事業のシンボルマークであることからすれば、レモン社が当該契約に基づきPMサービスを提供し続けた当該契約の期間中(平成28年12月1日から平成29年6月24日)は、被請求人においてNHR社に対し、少なくとも電磁的方法によりPMサービスの事業内容の表示として本件商標の提示を継続しているというべきである。
(4)本件商標の使用者について
ア 前述(3)アのとおり、第35類の指定役務について、被請求人は、本件商標が掲載された乙第1号証に類する資料を用いて「経営の診断又は経営に関する助言」を内容とする営業用プレゼンテーション行っているため、商標権者である被請求人がこれを使用している。
イ 前述(3)イのように、第36類の指定役務について、被請求人は、レモン社が当該契約に基づきPMサービスを提供し続けた当該契約の期間中(平成28年12月1日から平成29年6月24日)は、少なくとも電磁的方法によりPMサービスの事業内容の表示として本件商標の提示を継続しているというべきである。
したがって、第36類の指定役務についての本件商標の使用者も被請求人である。
(5)本件商標が表示されている取引書類等について
本件商標が表示されている取引書類等については、PMサービス事業の特性上、乙第1号証以外に残存するものが乏しいのが現状である。
これは、通常、商業施設やホテルのPMサービスは、依頼人への事業提案の営業時を除いて、テナント誘致、内装施工監理、テナント運営管理、設備管理等裏方業務等がほとんどとなり、被請求人を含む「IKEUCHI GROUP」のPMサービス事業のシンボルマークである本件商標を掲出する機会がほとんどないためである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証について
ア 乙第1号証は、被請求人が作成したプレゼンテーション広告資料(以下「プレゼン資料」という。)であるとされるところ、該資料の表紙には、右上部にグレーの横長長方形内に白抜きで「NEX」の表示があり(この表示は乙1の全てのページにある。)、中央に「『NEXサービス』のご提案」及び「?商業施設・ホテルの次のステージへの進化のために?」、その下に「IKEUCHI GROUP」の記載がある。
そして、2葉目には、「1.NEXサービスとは」の見出しの下、「・当社が提供するプロパティ・マネジメントサービスは、以下のサービス内容となります。」の項に「・空き区画等の収益性が落ちている区画を借り上げ、テナント誘致又は直営店を出店することにより、施設全体の収益性・集客性の向上を目指す。・施設の全体又は一部のデザインを見直し、施工することにより、上質でクオリティの高い外観に再生させ、施設の価値向上を目指す。・施設の清掃・設備管理・警備等を一括で受け、質の高いサービスを提供し、施設の価値の維持を目指す。」の記載がある。
また、3葉目には、「2.IKEUCHIグループの総合力」の見出しの下、「・テナント誘致」の項に「・テナント誘致については、長年のIKEUCHI GATE館、IKEUCHI ZONE館でのテナント誘致の経験・情報網を活かし、貴館に対しても物販店・飲食店等業態問わず、高い集客を実現するテナントを誘致することができます。」の記載、「・直営店の出店」の項に「弊社グループ企業である株式会社レモンコーポレーションが全道に5店展開する『iGATE IKEUCHI』、1店展開する『iZONE IKEUCHI』、『寿司若竹』等、貴館の状況に応じた出店を行うことも可能となっております。」の記載、「・デザイン・施工」の項に「弊社グループ企業である株式会社デザインワークショップ、株式会社池内環境開発により、デザインから施工まで一貫したサービスを提供することが可能となっております。」の記載、「・清掃・設備管理・警備」の項に「弊社グループ企業である株式会社池内システムサービスにより、全道のホテル、商業施設、病院等に提供する質の高い清掃・施設管理・警備を提供することが可能となっております。」の記載がある。
さらに、4葉目には、「3.実績」の見出しの下、上から2つ目に「・綾ホテル(ニセコヒラフ地区)・一部区画転貸借による飲食店「器」の誘致・一部ホテルデザイン参画」の記載がある。
イ 回答書によれば、「乙第1号証は、平成29年10月頃に最終更新をした資料であるが、被請求人は、これとほぼ同内容である資料を、同28年10月14日、被請求人本社(北海道札幌市中央区在所)において、NHR社代表取締役星川和章氏及び同社オーナーであるベン・カー氏に対し、テーブル上で手持ちのノートパソコンを用いて表示する方法によりプレゼンテーションを行っている(乙2)。」、また、「乙第1号証は、平成28年10月14日当時に提示された資料そのものではないが、前述のとおり本件商標は被請求人がPMサービス事業を行う際に用いるシンボルマークであるから、平成28年10月14日当時に提示された資料においても、乙第1号証と同様に当然に表示されていた。」と回答している。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、上部に「H.Yama,経理企画部,日本の祝日 2016/10/10(月)?2016/10/16(日)(東京)」の記載がある「Googleカレンダー」とされるところ、10/14(金)の欄の下に、「AYAnisekoMTG with BENsan[C]13:30-15:00」の記載がある。
(3)乙第3号証について
乙第3号証は、「定期建物賃貸借契約書」であるところ、その2葉目には、「定期建物賃貸借契約書」の見出しの下、「株式会社 NHR(以下「甲」という)と株式会社レモンコーポレーション(以下「乙」という)とは、添付(1)要目表記載の施設(以下「本施設」という)内の出店場所について、以下のとおり定期建物賃貸借契約(以下「本契約」という)を締結する。」の記載がある。
そして、第3条(営業内容)には、「乙が乙の名又はその転借人(以下「丙」という)の名において出店場所で営業する種目・品目は、要目表記載の営業種目及び取扱品目とする。」、第18条(転貸借等)には、「乙は、出店場所の全部若しくは一部につき第三者に転貸し、又は、第三者に使用若しくは管理させることができる。・・・」の記載がある。
また、11葉目には、「平成28年11月17日/甲)札幌市豊平区中の島1条4丁目7番1-306号/株式会社 NHR」の記載並びに代表取締役の氏名の記載及び押印があり、「乙)札幌市中央区南1条西2丁目18番地 池内ビル8F/株式会社レモンコーポレーション」の記載並びに代表取締役社長の氏名の記載及び押印がある。
さらに、12葉目には、「添付(1)要目表」があり、「賃貸人(甲)」として「株式会社NHR」、「賃借人(乙)」として「株式会社レモンコーポレーション」、「本施設」の「概要」として、「所在地:北海道虻田郡倶知安町・・・」、「名称」として「綾ニセコ」、「出店場所」の「出店場所」として「1階 レストラン103区画・・・」、「営業内容」の「店舗名称」として、「器(Restaurant UTSUWA)」、「営業種目」として、「飲食店」、「期間」の「契約期間」として、「平成28年12月1日?平成35年8月31日」、「賃料」の「賃料発生日」として、「転借人であるワールドリカーインポーターズ株式会社の営業開始日(平成28年12月13日予定)」の記載がある。
(4)乙第4号証について
乙第4号証は、被請求人の従業員が作成した「IKEUCHI GROUP内企業関係図」であるところ、左側に縦書きに「IKEUCHI GROUP」、その右側に9つに分かれて企業名が横書きされており、一番上に「株式会社丸ヨ池内、代表取締役社長 池内 和正」の記載、上から5番目に「株式会社レモンコーポレーション、代表取締役社長 池内 和正」の記載がある。
(5)乙第5号証について
乙第5号証は、「IKEUCHI GROUP」の会社案内であるところ、表紙には、「IKEUCHI GROUP/株式会社丸ヨ池内」、「池内グループ 代表取締役社長 池内 正和」の記載がある。
そして、その2葉目の裏側には、「概要」の項において、「グループ名:IKEUCHIグループ」、「本体会社名:株式会社丸ヨ池内」、「グループ会社:・・・(株)レモンコーポレーション、・・・」の記載がある。
(6)乙第6号証について
乙第6号証は、飲食テナント「器」の営業開始前の工事の様子(乙6の1:平成28年11月2日撮影)、プレオープン時(乙6の2:平成28年12月13日撮影)の様子、この写真には、壁と床に「器」の文字が表示されている。また、テナントの朝食準備時(乙6の3:平成28年12月16日撮影)の様子及びテナントの営業時(乙6の4:平成28年12月20日撮影)の様子をそれぞれ、被請求人の従業員が、綾ホテルにて撮影したものである。
2 上記1によれば、以下のことが認められる。
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
ア 上記1(1)のとおり、乙第1号証は、プレゼン資料であるとされるところ、表紙及び各頁において、灰色の横長長方形内に白抜きで「NEX」(以下「使用商標」という。)の表示があり、表紙の中央には「NEXサービスのご提案」の表題があり、下部に、作成者であるとする「IKEUCHI GROUP」の記載があるものの、プレゼン資料の作成された日付の記載がない。
イ プレゼン資料の「2.IKEUCHIグループの総合力」の見出しのついた頁には、「テナント誘致」、「直営店の出店」、「デザイン・施工」及び「清掃・設備管理・警備」の各項目があり、それぞれの業務の概要が記載されているが、これは、被請求人を含んだ「IKEUCHI GROUP」が行っている業務の概要をそれぞれ説明したものである。
ウ プレゼン資料の「3.実績」の見出しのついた頁には、上から2つ目に、本件商標の使用を証明する「綾ホテル」の事例が実績の1つとして記載されていることから、平成28年10月14日に行われたプレゼンテーションに使用された資料ではないことが推認され、この点については、被請求人も上記1(1)イのとおり、「平成28年10月14日当時に提示された資料そのものではない」と認めている。
エ 被請求人は、平成29年10月頃に最終更新した資料(乙1)であり、これとほぼ同じ内容の資料を、平成28年10月14日、被請求人の本社においてNHR社の担当者にプレゼンテーションを行ったと主張しているが、上記アのとおり、プレゼン資料には日付が記載されていない。
オ カレンダー(乙2)の10月14日(金)の13時30分から15時まで、「AYAnisekoMTG/with BENsan」の記載はあるが、この記載のみでは、NHR社の担当者や「ベン・カー氏」にプレゼンテーションを行ったかどうかは明らかではない。
カ 以上のことを総合すると、乙第1号証には、作成した日付の記載がなく、被請求人の主張より実際にプレゼンテーションを行った日の資料でもなく、カレンダー(乙2)の記載のみからは、上記日付にプレゼンテーションをNHR社に対して行ったかどうかも明らかではない。
(2)乙第3号証及び乙第6号証について
ア 被請求人の関連会社であるレモン社は、NHR社と平成28年11月17日に「定期建物賃貸借契約書」(乙3:以下、単に「契約書」という。)を締結したものであり、レモン社がNHR社の所有物である「綾ホテル」の1階の一区画を借りて、「ワールドリカーインポーターズ株式会社」に転貸し、飲食店「器」を営業させることを契約したものである。
また、契約書には、商標の使用についての規定はなく、かつ、契約書に商標の表示もない。
イ 乙第6号証には、「綾ホテル」内の店舗の工事風景、開店時及び営業時の風景が写真に写されており、乙第6号証の2にはレストランの名称として「器」の文字が、壁及び床に表示されている。
ウ 以上のことを総合すると、契約書(乙3)の内容からは、被請求人の関連会社であるレモン社とNHR社との間で、「定期建物賃貸借契約」を締結し、レモン社は、NHR社所有の物件を借り上げて、第三者である「ワールドリカーインポーターズ株式会社」に転貸し、飲食店を開業させたことが認められる。
(3)乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証及び乙第5号証から、被請求人は、「IKEUCHIグループ」の本体会社であり、このグループには、レモン社も含まれており、両会社とも、代表取締役社長が同一人であることから、被請求人とレモン社は、同じグループの親会社と関連会社であることが推認できる。
3 上記2によれば、以下のとおり判断できる。
(1)使用商標及び使用商標の使用者について
上記2(1)のとおり、使用商標は、灰色の横長長方形内に白抜きで「NEX」の欧文字を書してなり、本件商標は、前記第1のとおり、やや灰色の「NEX」の欧文字を横書きしてなるところ、使用商標は、本件商標と色彩は異なるものの、文字種及びつづりを同一にするものであるから、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
また、プレゼン資料には、「IKEUCHI GROUP」の表示があることから、これは、上記2(3)のとおり、被請求人が「IKEUCHIグループ」の本体会社として、使用商標を使用していたものといえる。
(2)使用商標の使用時期について
上記2(1)のとおり、使用商標が表示されたプレゼン資料(乙1)は、使用された日付の記載がなく、要証期間内に使用されたものか明らかではない。
また、プレゼン資料(乙1)は、プレゼンテーションをした日のものでないことは、被請求人の主張からも明らかである。
さらに、被請求人から提出された証拠には、プレゼン資料(乙1)以外の他の証拠には、本件商標を使用していることが確認できる証拠の提出はない。
したがって、使用商標が、要証期間内に使用されたものか明らかでないから、使用商標が要証期間内に使用された事実を認めることができない。
(3)使用商標の使用役務について
上記2(1)のとおり、プレゼン資料の内容は、「IKEUCHI GROUP」の事業の概要をまとめたものにすぎないから、被請求人がNHR社に対して具体的にどのような役務の提供を提案したものか、その内容からは明らかではない。
また、上記2(2)のとおり、契約書(乙3)は、被請求人の関連会社であるレモン社がNHR社の物件の一部を借り上げて、第三者に転貸し、業務委託をし、飲食店を開店させたというものであって、NHR社と上記のような内容の契約をしたことは認められるものの、該契約からはNHR社にどのような具体的な役務を提供したかが明らかではない。
(4)小括
以上のとおり、被請求人が要証期間内に本件審判の請求に係る指定役務を提供した具体的な事実は認められず、提出された証拠の中で唯一、本件商標を社会通念上同一と認め得る商標が表示されているプレゼン資料(乙1)も要証期間内に使用されたものか明らかではないことからすれば、要証期間内において本件商標又はこれと社会通念上同一の商標を使用した事実は認められない。
4 被請求人の主張について
(1)要証期間内の本件商標の使用について
被請求人は、「被請求人は、平成28年10月14日、本件商標を、『経営の診断又は経営に関する助言』(第35類)を内容とする営業用プレゼンテーション資料に付して電磁的方法により顧客に提供して使用している(商標第法第2条第3項第8号)。・・・平成28年11月17日付で『IKEUCHI GROUP』の提供するPMサービス事業に沿った内容の当該契約が締結されていることは、平成28年10月14日、被請求人がNHR社に対し、本件商標が付された資料を用いてPMサービス事業のプレゼンテーションを行っていることの傍証である。・・・被請求人の本件商標の使用によって、当該契約が締結されており、『IKEUCHI GROUP』内企業であるレモン社が『IKEUCHI GROUP』のPMサービス事業として、当該契約に基づき、第36類の業務を行っている。本件商標が、『IKEUCHI GROUP』のPMサービス事業のシンボルマークであることからすれば、レモン社が当該契約に基づきPMサービスを提供し続けた当該契約の期間中(平成28年12月1日から平成29年6月24日)は、被請求人においてNHR社に対し、少なくとも電磁的方法によりPMサービスの事業内容の表示として本件商標の提示を継続しているというべきである。」旨を主張している。
しかしながら、上記2(1)のとおり、プレゼン資料(乙1)が使用された時期は明らかでなく、プレゼン資料は、被請求人がNHR社に説明したとする平成28年10月14日のものではないことは、被請求人の主張で明らかである。
また、「定期建物賃貸借契約」(乙3)を締結するために、被請求人がNHR社にプレゼンテーションを行い、その時にプレゼン資料(乙1)が使用された事実があったとしても、契約書の内容からは、具体的にどの役務をNHR社に提供するものであるかが明らかでない。
さらに、本件商標と社会通念上同一といい得る商標が使用された証拠は、プレゼン資料(乙1)のみであり、被請求人が主張する「該契約の期間中(平成28年12月1日から平成29年6月24日)は、NHR社に対し、電磁的方法によりPMサービスの事業内容の表示として本件商標の提示を継続している」との主張を証明する他の証拠の提出はない。
(2)本件商標の使用者について
被請求人は、「第35類について、被請求人は、本件商標が掲載された乙第1号証に類する資料を用いて『経営の診断又は経営に関する助言』を内容とする営業用プレゼンテーション行っているため、商標権者である被請求人がこれを使用している。・・・第36類について、被請求人は、レモン社が当該契約に基づきPMサービスを提供し続けた当該契約の期間中(平成28年12月1日から平成29年6月24日)は、少なくとも電磁的方法によりPMサービスの事業内容の表示として本件商標の提示を継続しているというべきである。したがって、第36類についての本件商標の使用者も被請求人である。」旨を主張している。
しかしながら、上記3(2)のとおり、プレゼン資料(乙1)は、要証期間内に使用したものと認められない。
また、上記3(3)のとおり、契約書(乙3)の内容からは、本件審判の請求に係る指定役務のどの役務を提供したか、明らかではない。
さらに、本件商標と社会通念上同一といい得る商標が表示されているのはプレゼン資料(乙1)のみであり、これさえも、要証期間内に使用されたものとは認められず、他に提出された証拠からは、本件商標又は使用商標のいずれの表示もないことから、被請求人が、継続的に本件商標を提示し、継続していた事実を証明したことにはならない。
よって、被請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
5 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の登録前3年以内に、日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、請求に係る指定役務について、本件商標を使用したことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、その指定役務について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標:色彩については、原本参照。)



審理終結日 2018-07-19 
結審通知日 2018-07-24 
審決日 2018-08-10 
出願番号 商願2010-65550(T2010-65550) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X3536)
最終処分 成立 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 鈴木 雅也
榎本 政実
登録日 2010-12-24 
登録番号 商標登録第5378381号(T5378381) 
商標の称呼 ネックス、エヌイイエックス 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
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