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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W20
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W20
管理番号 1344009 
審判番号 不服2018-618 
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2018-01-17 
確定日 2018-08-20 
事件の表示 商願2016-101398拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「Cカーブ」の文字を標準文字で表してなり,第20類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として,平成28年9月16日に登録出願したものであり,その後,原審における平成29年3月15日受付の手続補正書により,その指定商品は,第20類「新生児にとって安静で楽な状態に保つ授乳用クッション,新生児にとって安静で楽な状態に保つ寝返り防止クッション,新生児にとって安静で楽な状態に保つ授乳用ベッド,新生児にとって安静で楽な状態に保つ授乳に適した形状のベッド,新生児にとって安静で楽な状態に保つマットレス,新生児にとって安静で楽な状態に保つ座布団」と補正された。

2 原査定の拒絶の理由
原査定においては,以下のとおり認定判断し,本願を拒絶したものである。
(1)商標法第3条第1項第3号該当性
本願商標は,「Cカーブ」の文字を標準文字で表してなるところ,該文字は,その指定商品との関係において,「新生児の背骨の状態」を表す語として使用されており,また,新生児にとって安静で楽な状態であることが,一般に理解,認識されている。
そして,本願商標の指定商品を取り扱う業界において,新生児が楽な状態でいられる商品について,「Cカーブ」の語が一般に用いられている実情がある。
そうすると,本願商標を,その指定商品に使用するときは,これに接する需要者,取引者は,「新生児にとって安静で楽な状態に保つ商品」であること,すなわち,商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものと認識すると判断するのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性
出願人提出の証拠及び主張によれば,出願人が使用する「Cカーブ」の文字は,あくまで商品の品質を表示する語として使用されており,また「Cカーブ授乳ベッドおやすみたまご」,「多機能Cカーブベッドおやすみたまごプラス」等の商品にも,「Cカーブ」の語が他の語と組みあわせて使用されているにすぎず,本願商標が単独で使用されているとは認められない。
そうすると,本願商標は,その使用の結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識できるに至っているとはいえない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第2項に該当しない。

3 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性
本願商標は「Cカーブ」の文字を標準文字で表してなるところ,「Cカーブ」の語は,育児と関連した用語として,「英文字の『C』のように丸まった,赤ちゃんの背骨又は背中の形状」を示す語として使用されているばかりか,赤ちゃんにとってCの字状に背中に丸みを持たせた姿勢は,自然で,心地よく過ごせるものであり,リラックスでき,その成長にも大切なことといわれている(別掲1)。
そして,育児用品業界においては,赤ちゃんの背中を「Cカーブ」又はCの字状の姿勢に保つような機能を備える商品(クッション,ベッドなど)が多数販売されており,そのような商品紹介に際して,例えば「・・・『Cカーブ』の姿勢で赤ちゃんリラックス」,「Cカーブの傾斜・・・」,「・・・背骨のCカーブをキープ・・・」,「赤ちゃんの背骨をCカーブに保ちながら寝かせ・・・」などのように,「Cカーブ」の語が,商品の機能,効能又は用途などを表示するために,取引上普通に使用されている実情がうかがえる(別掲2)。
併せて,本願商標の指定商品は,「新生児にとって安静で楽な状態に保つ」様な機能又は目的を備えるクッションやベッド,座布団などであり,育児や育児用品と密接に関連することよりすれば,その需要者及び取引者は,育児又は育児用品の取引に関与する一般消費者又は事業者であるといえる。
そうすると,本願商標は,その指定商品との関係において,育児又は育児用品に関心の高い需要者及び取引者をして,赤ちゃんが心地よく過ごせる姿勢である「Cカーブ」(英文字の「C」のように丸まった,赤ちゃんの背骨又は背中の形状)を表してなるものと認識させるもので,単に商品の品質(機能),効能又は用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって,自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)本願商標の商標法第3条第2項該当性
請求人は,本願商標は,使用により自他商品の識別力を獲得しているから,商標法第3条第2項の要件を具備している旨主張し,証拠方法として,原審において,資料1ないし6を,当審において甲第1号証ないし第12号証を,それぞれ提出しているので,本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するかどうか検討する。
ア 請求人は,平成23年1月に「おやすみたまご」の名称の商品を発売し(甲1),当該商品は,赤ちゃんの背骨をCカーブに保ちながら寝かすことができるクッションやベッドとして,新聞記事や雑誌記事などにおいても紹介されている(甲1?11)。
そして,この商品シリーズには「Cカーブ授乳ベッド/おやすみたまご」,「多機能Cカーブ授乳ベッド/おやすみたまごプラス」,「Cカーブ授乳ベッド/おやすみたまごBIG」(以下「請求人商品」という。)がある(甲3)。
さらに,請求人商品の販売実績は,平成29年9月に21件,242,000円と記載されている(甲12)。
イ しかしながら,請求人商品の名称は,その構成中に「Cカーブ」の文字を含むとしても,その他の構成文字と結合して一体的な構成よりなることから,本願商標と同一の標章が,請求人により使用されているとはいい難い。
このような状況では,請求人商品の販売額や広告宣伝の程度を,本願商標の識別性に影響を与えるものと直ちに理解できないというべきだが,それに加えて,請求人提出の証拠からは,請求人商品の販売実績のごく一部は把握できても,一定期間における販売数量や売上額の総数,宣伝広告の規模や手法が明らかではなく,請求人商品の販売数量や売上額,広告宣伝の実績を,定量的かつ客観的に把握することもできない。
また,育児用品業界においては,上記(1)のとおり,「Cカーブ」の語を表記しつつ,赤ちゃんの背中を「Cカーブ」又はCの字状の姿勢に保つような機能を備える商品(クッションやベッドなど)を販売する事業者が,請求人以外にも多数いることが確認できる。
ウ 請求人は,請求人商品を紹介する雑誌において「Cカーブ」の用語が説明文中に単独で使用されている旨を主張する。
しかしながら,請求人商品を紹介するパンフレットや記事情報に,「Cカーブ」の語は,当該商品の機能や用途として,赤ちゃんの姿勢を説明するものとして使用されているにすぎず,例えば,「赤ちゃんの背中をCカーブに保てる便利グッズ。」(資料2),「赤ちゃんの背骨をCカーブに保ちながら寝かせるので,ぐっすり眠ります!」(資料5,6),「・・・背中をCカーブの状態で寝かせられるのでぐっすり熟睡。」(甲2),「・・・赤ちゃんの背骨をCカーブに保ちながら寝かせられます。」(甲3),「赤ちゃんの背中は誕生?1才ごろは,Cカーブの丸い形。そのCカーブの姿勢を保ちながら寝かせることができる・・・」(甲4,5),「・・・赤ちゃんが胎内にいたときの体勢“Cカーブ”を再現できる授乳クッションです。」(甲6),「この授乳ベッドは,新生児の背骨の形(Cカーブ)を保てるように設計されており・・・」(甲7),「優しく包み込むCカーブ授乳ベッド」(甲8),「お母さんのおなかの中で育った丸い姿勢(Cカーブ)で寝かせることができるので・・・」(甲9),「お母さんのおなかの中と同じ,Cカーブで寝かせることができるので・・・」(甲10),「薄くてやわらかく,赤ちゃんのCカーブもしっかりキープできて,快適性アップ。」(甲11)などのように使用されている。
そうすると,請求人主張の使用例は,「Cカーブ」の語を,請求人商品が赤ちゃんの「Cカーブ」の姿勢を保つ機能や用途を表示するために用いているものと理解できるとしても,「Cカーブ」の語が,請求人の出所識別標識として理解されるものということはできない。
エ 以上を踏まえると,本願商標は,請求人により使用をされた結果,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえないから,商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであって,かつ,同法第3条第2項の要件を具備するものではないから,これを登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 「Cカーブ」の語の,育児用語としての使用例
(1)「e-育児」のウェブサイトにおいて,「赤ちゃんの背骨」の見出しの下,「赤ちゃんの背骨は,Cカーブと呼ばれます。英文字の『C』のように丸まっています。生後間もない赤ちゃんを横から見ると,背中は丸くなっています。これがCカーブです。」の記載がある。
https://www.e-ikuji.info/baby/spine.html
(2)「NAVERまとめ」のウェブサイトの記事情報(2014年9月6日更新)において,「赤ちゃんが気持ちよく眠れるのはCカーブを守ってあげるから」の見出しの下,「生まれた赤ちゃんの背中のカーブは大人のS字カーブとは違い,Cカーブだとご存知ですか?赤ちゃんにとってはこのCカーブが自然なので,このカーブを保てるように気をつけてあげると赤ちゃんは心地よく過ごせます。」の記載がある。
https://matome.naver.jp/odai/2140955366170789801
(3)「ひよこクラブ12月号」(平成28年11月15日発売)において,「赤ちゃんの背中は,ママのおなかにいるときはCカーブの丸い形をしていますが,生まれてから約1年かけて頭の重みを支えるために背骨がS字形に成長し,歩けるように。その間はできるだけ背中に丸みを持たせてあげると,赤ちゃんにとって自然な姿勢となり,リラックスできると,助産師の浅井さんは言います。」の記載がある(資料2)。
(4)「Cカーブ授乳ベッド おやすみたまご」のパンフレットにおいて,「なぜ,背中を丸くCカーブで寝かせると良いの?」の見出しの下,「赤ちゃんの背骨は,生まれた時Cカーブの丸い形をしています。約1年をかけて,ゆっくりゆっくりS字の背骨に成長し,ようやく歩けるようになります。それまでは,できるだけ背中に丸みを持たせ寝かせることが,赤ちゃんの自然な姿勢であり,健やかな成長にとって大切なことです。」の記載がある(資料5)。

別掲2 「Cカーブ」の姿勢を保つ育児用品(クッション,ベッドなど)の事例
(1)「西川リビング」のウェブサイトにおいて,「ふれあいベビークッション」の商品紹介の項に,「ママのおなかの中にいたときと同じ『Cカーブ』の姿勢で赤ちゃんリラックス」の記載がある。
https://www.nishikawa-living.co.jp/products/feribe/cushion.php
(2)「トコちゃんベルトの青葉」のウェブサイトにおいて,「授乳用クッション」の商品紹介の項に,「あぐら用クッションと組み合わせて,赤ちゃんのお昼寝用にも!マイピーロ ネオ+おひなまきを使うと,より背骨のCカーブをキープできます。」の記載がある。
https://tocochan.jp/contents/goods/jyunyu.php
(3)「Amazon」のウェブサイトにおいて,「シンプリーグッド Simply good ベビーリクライナー ジオラブ 751039」の商品紹介の項に,商品「クッション」にある窪みを「Cカーブ」と表記した商品写真とともに,「Cカーブの傾斜の秘密/生まれたての赤ちゃんの背中はCカーブを描いており,歩くころまでに大人と同じSカーブを描くようになっていきます。特に生まれてから3カ月ごろまではお母さんの子宮の中での姿勢と同じ,Cカーブを保ってあげると赤ちゃんはリラックスできるのです。」の記載がある。
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%83%E3%83%89-Simply-good-%E3%83%99%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%BC-751039/dp/B01M4O3HCL/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1529999162&sr=8-1&keywords=%E3%83%99%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%BC%E3%80%80%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%83%A9%E3%83%96
(4)「ひよこクラブ12月号」(平成28年11月15日発売)の「おやすみたまご」の商品紹介の項に,「『おやすみたまご』は,赤ちゃんの背骨をCカーブに保ちながら寝かせられます。」の記載,及びそのシリーズ商品として「多機能Cカーブ授乳ベッド/おやすみたまごプラス」,「Cカーブ授乳ベッド/おやすみたまご」,「Cカーブ授乳ベッド/おやすみたまごBIG」の紹介がある(甲3)。
(5)「Cカーブ授乳ベッド おやすみたまご」のパンフレットにおいて,「赤ちゃんの背骨をCカーブに保ちながら寝かせるので,ぐっすり眠ります!」,「背中を丸くして寝る姿勢が赤ちゃんの自然な姿。酸素を多く取り込めて楽な姿勢なのです。」の記載がある(資料5)。
(6)「多機能Cカーブベッド おやすみたまごプラス」のパンフレットにおいて,「赤ちゃんの背骨をCカーブに保ちながら寝かせるので,ぐっすり眠ります!」の記載がある(資料6)。
(7)「boba」のウェブサイトにおいて,「Boba Wrap」の商品紹介の項に,「ボバラップの特徴/POINT2/理想の形の抱っこができる」の見出しの下,「またボバラップは背筋をCの字に保つことにも適しています。」の記載がある。
http://bobafamily.jp/product/boba-wrap/feature.html



審理終結日 2018-06-27 
結審通知日 2018-06-28 
審決日 2018-07-10 
出願番号 商願2016-101398(T2016-101398) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W20)
T 1 8・ 17- Z (W20)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大塚 順子豊島 幹太山本 敦子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 阿曾 裕樹
平澤 芳行
商標の称呼 シイカーブ、カーブ 
代理人 石井 久夫 

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