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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W03
審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない W03
管理番号 1343975 
審判番号 不服2017-7568 
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-26 
確定日 2018-08-16 
事件の表示 商願2014-25334拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料,薫料,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成26年4月1日に登録出願、その後、本願の指定商品については、原審における同27年3月18日付け手続補正書により、第3類「口紅」と補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、その指定商品である『口紅』との関係において、円筒状の形状からなり、その上部に蓋部、正面部に突出した操作部を有する、当該商品の包装の形状を立体的に表したものといえるものであって、同種の商品が機能または美観上の理由により採用し得る立体的形状の範囲を超えているとはいえない。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、単に商品の包装の形状を普通に用いられる方法で表示するものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、出願人は、本願商標は、使用の結果、需要者が何人かの業務にかかる商標であることを認識することができるに至ったものであるから、登録されるべきである旨主張し、証拠を提出しているが、当該証拠によって示された本願商標の使用例は、そのいずれにおいても、常に『JUPIER』、『JUPIER One touch』等の文字商標を伴った形で使用されているものであって、本願商標の形状それのみが独立して使用されているものはない。その他、提出された証拠を総合的に考慮しても、本願商標が、その使用の結果、需要者に何人かの業務に係る商品であることを認識させることができるようになったということはできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号について
(1)立体商標における商品等の形状
ア 商品等の形状は、多くの場合、商品等に期待される機能をより効果的に発揮させたり、商品等の美感をより優れたものとするなどの目的で選択されるものであって、商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として用いられるものは少ないといえる。このように、商品等の製造者、供給者の観点からすれば、商品等の形状は、多くの場合、それ自体において出所表示機能ないし自他商品識別機能を有するもの、すなわち、商標としての機能を有するものとして採用するものではないといえる。また、商品等の形状を見る需要者の観点からしても、商品等の形状は、文字、図形、記号等により平面的に表示される標章とは異なり、商品の機能や美感を際立たせるために選択されたものと認識し、出所表示識別のために選択されたものとは認識しない場合が多いといえる。
そうすると、商品等の形状は、多くの場合に、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるものであり、客観的に見て、そのような目的のために採用されると認められる形状は、特段の事情のない限り、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標として、商標法第3条第1項第3号に該当すると解するのが相当である。
イ また、商品等の具体的形状は、商品等の機能又は美感に資することを目的として採用されるが、一方で、当該商品の用途、性質等に基づく制約の下で、通常は、ある程度の選択の幅があるといえる。しかし、同種の商品等について、機能又は美感上の理由による形状の選択と予測し得る範囲のものであれば、当該形状が特徴を有していたとしても、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状として、商標法第3条第1項第3号に該当するものというべきである。
けだし、商品等の機能又は美感に資することを目的とする形状は、同種の商品等に関与する者が当該形状を使用することを欲するものであるから、先に商標出願したことのみを理由として当該形状を特定の者に独占させることは、公益上の観点から適切でないからである。
ウ さらに、需要者において予測し得ないような斬新な形状の商品等であったとしても、当該形状が専ら商品等の機能向上の観点から選択されたものであるときには、商標法第4条第1項第18号の趣旨を勘案すれば、同法第3条第1項第3号に該当するというべきである。
けだし、商品等が同種の商品等に見られない独特の形状を有する場合に、商品等の機能の観点からは発明ないし考案として、商品等の美感の観点からは意匠として、それぞれ特許法・実用新案法ないし意匠法の定める要件を備えれば、その限りにおいて独占権が付与されることがあり得るが、これらの法の保護の対象になり得る形状について、商標権によって保護を与えることは、商標権は存続期間の更新を繰り返すことにより半永久的に保有することができる点を踏まえると、商品等の形状について、特許法、意匠法等による権利の存続期間を超えて半永久的に特定の者に独占権を認める結果を生じさせることになり、自由競争の不当な制限に当たり公益に反するからである(知財高裁平成18年(行ケ)10555号 平成23年4月21日判決言渡、知財高裁平成19(行ケ)10215号 平成20年5月29日判決言渡)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本願商標は、別掲のとおりの構成からなるものであるところ、請求人の主張によれば、口紅の容器の形状を立体的に表したものであって、操作部を親指等で押し下げることにより蓋部が開いて内容物である口紅を出すことができるため、両手を使わずに片手だけで使用できるといった従来にない機能とデザインを備えたものであり、外観上、以下の特徴を有する独創的な形状とされるものである。
(ア)平面視において卵型の形状をしている
(イ)蓋部が平板状の形状をしている
(ウ)側面視において蓋部が背面側から正面側に傾斜して配されている
(エ)操作部が容器の上方部に配置されている
イ ところで、本願の指定商品である「口紅」は、棒状の内容物である口紅を繰り出して用いるスティックタイプのものが一般的であり、その商品容器の外形も内容物の形状に合うように丸筒状又は角筒状のものが多いといえる。
そして、上記スティックタイプの口紅にあっては、丸筒状又は角筒状の商品容器が二分され、その一方を着脱式の蓋部とし、もう一方に内容物を繰り出すための操作部が設けられているものが多いといえるものの、例えば、「GUERLAIN Rouge Automatique」と称する商品のように、片手で操作できるように商品容器の側面にスライド式の操作部を設けているものもある(甲1)。
ウ 請求人は、本願商標が、本願の指定商品である「口紅」を扱う業界において、請求人以外の者により、商品の包装の形状として普通に使用されている事実は不知であるとし、請求人が所有していた特許第2905144号(発明の名称:棒状化粧料容器、出願日:平成8年4月22日、登録日:同11年3月26日、存続期間満了日:同28年4月22日)に係る特許公報に掲載されている図1の(A)ないし(C)の形状(甲26)について、本願商標の立体的形状と同一であり、当該特許の実施品を製造、販売しているのは、今日まで請求人のみである旨主張する。
そこで、上記特許公報を見るに、当該特許公報に掲載されている図1は、棒状化粧料を出没自在に収納する容器の実施例に係る外観を示す図であって、(A)は背面、(B)は側面、(C)は正面、(D)は棒状化粧料を繰り出した状態を示すものであるところ、そのうちの(A)ないし(C)の図に示された外観は、それぞれ、別掲に示す本願商標の立体的形状に係る背面、側面及び正面の外観とほぼ同一のものといえ、また、(D)の図に示された外観は、請求人が本願商標の使用を立証するために提出した甲各号証に係る雑誌の広告、商品パンフレット等に掲載されている「ジュピエル ワンタッチリップスティック」と称する商品(口紅)の外観に近似するものといえる。
そして、上記発明に関し、「従来の技術」として、「従来より、この種の棒状化粧料容器として、例えば、実開昭58-112214号公報、実開平1-82819号公報、実開平3-34415号公報等が知られている。すなわち、これらの棒状化粧料容器は、棒状化粧料を保持した保持皿にベルトを連結すると共に、そのベルトの一部をシャッタとし、ベルトをスライドさせることにより、シャッタにより棒状化粧料の開口部を開閉させるものである。したがって、ベルトに対してスライド操作をすれば、蓋体を開閉することなく、棒状化粧料がケース本体内に繰り出しまたは収納され、棒状化粧料の塗布を素早くワンタッチで行なうことができる。」との記載があり、また、「発明が解決しようとする課題」として、「しかし、上記従来の技術における棒状化粧料は、ケース本体内に収納されている状態では、その下部で保持皿により保持されているが、その上部がケース本体内に露出した状態になっている。このため、棒状化粧料を出没させる際に、ケース本体の開口部等に触れて、棒状化粧料を損傷させることがあるという問題があった。」との記載がある。
また、上記発明に係る実施例による効果には、例えば、「【0033】・・・(1)操作部62のワンタッチのスライド操作により、蓋体30が開くと共に、棒状化粧料Kが繰り出されて使用可能な状態になるから、蓋体30を開くための操作が不要である。」「【0034】(2)・・・すなわち、棒状化粧料Kより先にスリーブ40の上端部が蓋体30に当たって蓋体30を開けるから、棒状化粧料Kは、蓋体30に当たらず、傷を付けられることがない。」「【0038】(6)蓋体30は、ケース本体20の開口部22にヒンジ31を介して取り付けたので、ケース本体20自体も太くならず、意匠性を高めることも容易である。」「【0042】(10)操作部62とヒンジ31とをケース本体20の同じ側に設けることにより、つまり、突出した形状を同じ側に設けることにより、ケース本体20の他の面側に突出した形状を設けなくてよく、ケース本体20の意匠性を向上させることができる。」「【0044】(12)棒状化粧料Kを繰り出す際に、操作部62をスライド操作する方向は、上方から下方という自然な動作であり、操作性も優れている。」「【0045】(13)ケース本体20の開口部22は、傾斜して形成されているので、スリーブ40の先端が蓋体30に当たって蓋体30を開ける際に、蓋体30を開ける角度が小さくてよいと共に、スリーブ40が蓋体30を押し開ける力も小さくてよく、さらに、スリーブ40を介してベルト64に加わるストレスも小さくできる。」が挙げられている。
エ 上記アないしウを総合勘案すると、本願商標は、平成28年4月22日に存続期間が満了するまで請求人が所有していた特許第2905144号に係る実施例として示された棒状化粧料容器の正面、側面及び背面とほぼ同一の外観を有する立体的形状からなるものといえるところ、その特許の内容に照らせば、請求人が主張する本願商標に係る立体的形状の上記特徴について、「(ア)平面視において卵型の形状をしている」ことは、スティックタイプの口紅の商品容器に多く用いられている丸筒状の側面に、内容物である口紅を出没させるため片手で上下にスライドさせる操作部を設け、かつ、その操作部と同じ側に蓋部のヒンジを設けた結果であり、「(イ)蓋部が平板状の形状をしている」及び「(ウ)側面視において蓋部が背面側から正面側に傾斜して配されている」ことは、内容物である口紅を傷付けず、かつ、従来の口紅のように蓋部を着脱することなく、小さな力をもって片手で蓋部の開閉及び口紅の出没ができるようにした結果であり、「(エ)操作部が容器の上方部に配置されている」ことは、内容物である口紅を繰り出すために自然な上方から下方へのスライド操作において、その操作部は蓋部が閉じた状態では上方部に位置する結果であるというのが相当である。
また、上記スライド操作部と蓋部のヒンジとを同じ側に設けて、これらの突出した形状を商品容器の側面の一方にまとめたことは、その容器自体が太くなることを回避することになり、見た目の良さにつながるとも考えられる。
そうすると、本願商標に係る立体的形状は、商品「口紅」の容器(特に片手によるワンタッチ操作で簡便に使用できるもの)について、商品の機能又は美感に資することを目的として採択されたものといえ、また、当該容器の形状として、需要者において、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものというべきである。
してみれば、本願商標は、商品等の形状を普通に用いられる方法で使用する標章のみからなる商標であり、商標法第3条第1項第3号に該当する。
なお、請求人は、本願商標が、本願の指定商品を扱う業界において、請求人以外の者により、商品の包装の形状として普通に使用されている事実は不知であり、本願商標の外観は従来にない独創的な形状である旨主張するが、上記のとおり、本願商標に係る立体的形状は、請求人が所有していた特許第2905144号に係る実施例として示された棒状化粧料容器の正面、側面及び背面とほぼ同一の外観を有する立体的形状からなるものであり、当該特許の存続期間が満了した平成28年4月22日までの間、他人が当該特許と抵触する商品容器の口紅を製造、販売をすることはできなかったのであるし、また、本願商標が、当該容器の形状として、需要者において、商品の機能又は美感に資することを目的とする形状と予測し得る範囲のものであることは、上記のとおりであるから、請求人による上記主張を採用することはできない。
2 商標法第3条第2項について
(1)立体商標における使用による自他商品識別力の獲得
商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠とまでは評価されない立体的形状については、商品等の機能を効果的に発揮させ、商品等の美感を追求する目的により選択される形状であっても、商品の出所を表示し、自他商品を識別する標識として用いられるものであれば、立体商標として登録される可能性が一律的に否定されると解すべきではなく、また、出願に係る立体商標を使用した結果、その形状が自他商品識別力を獲得することになれば、商標登録の対象とされ得ることに格別の支障はないというべきである。
そして、立体的形状からなる商標が使用により自他商品識別力を獲得したかどうかは、当該商標ないし商品等の形状、使用開始時期及び使用期間、使用地域、商品の販売数量、広告宣伝のされた期間、地域及び規模、当該形状に類似した他の商品等の存否などの事情を総合考慮して判断するのが相当であり、使用に係る商標ないし商品等の形状は、原則として、出願に係る商標と実質的に同一であり、指定商品に属する商品であることを要する(前出の知財高裁判決参照)。
(2)本願商標が商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かについて
請求人は、仮に、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、本願商標は、使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至った商標であるから、同条第2項の規定により商標登録を受けることができるものである旨主張し、原審ないし当審を通じて甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。)を提出している。
そこで、上記(1)で述べた観点を踏まえ、請求人の主張及び同人の提出に係る甲各号証に基づいて、本願商標が商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものであるか否かについて、以下検討する。
ア 請求人は、平成8年2月21日から、本願商標を本願の指定商品である「口紅」について使用し始めた旨主張し、甲第6号証の1を提出しているところ、それは、請求人の発行に係る月刊美容情報誌「Shirayuri」(1996年2月号)に掲載された「ジュピエル ワンタッチリップスティック」と称する口紅についての広告であり、当該口紅について、それが2月21日に新発売されることのほか、「化粧室が見つからない。化粧直しの時間がない。そんなとき片手でさささと唇完成。つけたての美しさを1日中キープするワンタッチリップスティックが新登場。」「さっと、とりだし、さっと、いろどり、さっと、しまって、?片手でさささと、唇、完成。」といった商品の特長に関する記載とともに、その使用方法として、「1.横にあるボタンを親指で下に押し下げてください。」「2.写真のようにフタが開き口紅が出てきます。」「3.口紅のカット面を唇にフィットさせ、先端部分を輪郭に沿わせながら描きます。」「4.使い終わりましたらボタンを一番上まで押し上げて、指でフタをカチッとしめてください。」の記載があり、かつ、それらに相応する写真が掲載されているが、その内容において、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらない。
イ 請求人は、雑誌掲載広告、販売促進用ツール(商品サンプル用台紙、商品パンフレット及びチラシ)、ポスター、テレビコマーシャル及びホームページにより、本願商標を日本全国において使用しているとし(甲6?甲13、甲20?甲23)、日本国内の19か所の支店を介し、北海道から沖縄まで、全ての都道府県に開設されている約10,600店の代行店と、約84,200人の訪問販売員により、本願の指定商品である口紅を含む化粧品の販売を継続している旨主張する(甲3、甲17、甲18)。
(ア)請求人の発行に係る月刊美容情報誌「Shirayuri」「SHI・RA・YU・RI」「SHIRAYURI」又は「白ゆり」(甲6、甲20)においては、上記アで述べた1996年2月号以降、2017年2月号までの間、年1回の割合で、「ジュピエル ワンタッチリップスティック」又は「ジュピエル うるおいワンタッチ」と称する口紅についての広告が掲載されているところ、それらの広告には、専ら前述の棒状化粧料を繰り出した状態の棒状化粧料容器(請求人が所有していた特許第2905144号に係る特許公報における図1(D)に示されたもの)の外観に近似する外観を有する口紅(以下「使用に係る口紅」という。)であって、その容器の側面に「JUPIER One Touch Lip Stick」の文字、「JUPIER One touch」の文字又は「JUPIER」の文字が表示されているものが掲載されているが、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらない。
なお、上記情報誌のうち、2002年2月号(甲6の7)には、「片手で手軽にリップオン。ワンタッチリップスティック。」といった商品の特長に関する記載とともに、その使用方法として、「横のボタンを押し下げると、フタが開いて、口紅が出てきます。」「口紅を繰り出すのは5mmくらい。たくさん出し過ぎると、折れてしまうことがあります。」「使い終えたら、ボタンを一番上まで押し上げて。口紅を完全にしまって、カチッとフタをします。」の記載があり、かつ、それらに相応する写真が掲載されている。また、2016年2月号(甲20の1)には、「ジュピエル ワンタッチリップスティック」と称する口紅が誕生から20周年を迎えた旨の記載とともに、愛用者の声として、「片手でサッとぬれるので便利」「キャップを外す手間がいらなくて楽」「容器のスタイリッシュなデザインが好き」などといった記載がある。
(イ)請求人が次のaないしkに示すファッション誌等に掲載したとする口紅の広告(甲7)は、その体裁によれば、何かしらの原稿のようには見えるものの、実際に掲載された広告であるか否かは明らかでない。また、その内容をみると、「ジュピエル ワンタッチリップスティック」又は「ジュピエル うるおいワンタッチ」と称する口紅についての広告であり、当該広告には、使用に係る口紅であって、その容器の側面に「JUPIER One touch」の文字又は「JUPIER」の文字が表示されているものが掲載されているが、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらない。
a 「JJ」(平成10年3月23日発行)及び「FRau」(同月24日発行)(甲7の1)
b 「女性自身」(平成11年2月16日発行)及び「週刊女性」(同年3月2日発行)(甲7の2)
c 「プレゼントfan 5月号」(平成14年発行)(甲7の3)
d 「CLASSY 3月号」(平成15年発行)(甲7の4)
e 「FRau」(平成18年3月4日発行)(甲7の5)
f 「Bea’sUP 10月号」(平成22年発行)(甲7の6)
g 「eclat 10月号」(平成24年9月1日発行)(甲7の7)
h 「きれいの魔法 11月号」(平成24年発行)(甲7の8)
i 「SPUR 11月号」(平成25年9月23日発行)(甲7の9)
j 「きものSalon 2014年春夏号」(平成26年2月20日発行)(甲7の10)
k 「SPUR 11月号」(平成26年発行)(甲7の11)
なお、上記aにおいては、「キャップがない口紅だから、片手で使える。」や「うるおい効果とメイクアップ効果、このふたつをワンタッチの手軽さで、ひとつに。」といった商品の特長に関する記載とともに、その使用方法を表した写真が掲載されている。また、上記bにおいては、「片手でボタンを下げ、キャップを開けたとき、ここちよいカチッという音と感触が・・・」といった商品の特長に関する記載とともに、その使用方法として、「ボタンを下に押し下げますと、キャップが開き口紅が出ます。」の記載があり、かつ、それらに相応する写真が掲載されている。さらに、上記fにおいては、「サイドについているボタンをスライドさせるだけでリップの出し入れができ、片手で塗れる便利な口紅。」といった商品の特長に関する記載がある。
(ウ)請求人が訪問販売員により顧客へ無料で配布したとする販売促進用ツール(商品サンプル用台紙、商品パンフレット等及びチラシ)のうち、商品サンプル用台紙は、「ジュピエル ワンタッチリップスティック」又は「ジュピエル うるおいワンタッチ」と称する口紅についてのものであり、その台紙上には、使用に係る口紅であって、その容器の側面に「JUPIER One Touch Lip Stick」の文字又は「JUPIER One touch」の文字が表示されているものが掲載されているほか、その商品容器の全体形状を把握することができないもの(甲8の1、2、3及び8)も掲載されているが、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらない。
また、上記台紙は、平成7年12月(甲8の1)、同8年7月及び12月(甲8の2及び3)、同9年1月及び12月(甲8の4及び5)、同10年7月(甲8の6及び7)並びに同13年12月(甲8の8)に作成したとするものであり、当該台紙上には、次に示すような商品の特長に関する記載や商品の使用方法についての記載がある。
a 「さっと、とりだし」「さっと、いろどり」「さっと、しまって」及び「片手でさささと唇、完成」といった商品の特長に関する記載とともに、その使用方法として、「1 横にあるボタンを親指で下に押し下げてください。」「2 3 写真のようにフタが開き(2)口紅が出てきます。(3)」「4 口紅のカット面をくちびるにフィットさせ、先端部分を輪郭に沿わせながら描きます。」「5 使い終わりましたら、ボタンを一番上まで押し上げて、指でフタをカチッとしめてください。」の記載があり、かつ、それらに相応する写真が掲載されている(甲8の1)。
b 「さっと、とりだし さっと、いろどり さっと、しまえる」といった商品の特長に関する記載とともに、商品の使用方法として、「1 横にあるボタンを親指で下に押し下げてください。」「2 フタが開き」「3 口紅が出てきます。カット面をくちびるにフィットさせ輪郭に沿わせながら描きます。」「4 使い終わりましたらボタンを一番上まで押し上げて、指でフタをカチッとしめてください。」の記載があり、かつ、それらに相応する写真が掲載されている(甲8の2)。
c 「ワンタッチでスピーディに使える口紅」といった商品の特長に関する記載とともに、商品の使用方法として、「新発想のワンタッチ機能」の見出しの下、甲第8号証の2におけるものと同様の記載があり、かつ、写真が掲載されている(甲8の3)。
d 「キャップがないから、片手でワンタッチ」といった商品の特長に関する記載とともに、その使用方法について、甲第8号証の1に掲載されている使用方法についての写真に相応する動作を示す絵図が掲載されている(甲8の4?7)。
(エ)上記(ウ)の販売促進用ツールのうち、商品パンフレット等は、平成13年11月(甲9の1)、同18年11月(甲9の2)、同23年11月(甲9の3)、同25年6月(甲9の4及び5)、同28年(甲21の1及び2)及び同29年(甲21の3及び4)に作成したとする「ジュピエル うるおいワンタッチ」又は「ジュピエル ワンタッチリップスティック」と称する口紅を含む請求人の業務に係る化粧品についてのものであり、そのパンフレット等には、使用に係る口紅であって、その容器の側面に「JUPIER One touch」の文字又は「JUPIER」の文字が表示されているものが掲載されているが、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらない。
なお、上記パンフレット等のうち、平成13年11月に作成したとするもの(甲9の1)には、「新発想のワンタッチ機能」の見出しの下、「横にあるボタンを親指で下に押し下げてください。フタが開き、口紅が出てきます。」「※口紅を容器からあまり多く出しすぎると折れることがあります。容器から0.5cmほど出しての使用が最適です。」「使い終えたらボタンを一番上まで押し上げてください。口紅が容器に完全に収納されてから、指でフタをカチッとしめてください。」の記載があり、かつ、それらに相応する写真が掲載されている。
(オ)上記(ウ)の販売促進用ツールのうち、チラシは、平成20年3月9日開催の名古屋国際女子マラソンに関する内容を含む国際女性デーの告知チラシとするものであり、そのチラシ上には、「国際女性デー<IWD>にリップを贈ろう」の見出しの下、「ジュピエル ワンタッチリップスティック」と称する口紅について、使用に係る口紅であって、その容器の側面に「JUPIER」の文字が表示されているものが掲載されているが、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらない。
(カ)請求人がポスターに掲載したとする口紅の広告は、平成11年春、同17年春、同20年春及び同25年秋(甲11の1?4)並びに同28年春及び秋、同29年春(甲22の1?3)に作成されたとするものであり、当該ポスターには、請求人の業務に係る化粧品の一として、使用に係る口紅と思しきものが掲載されているが、その詳細は不明確であり、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらない。
(キ)請求人が全国ネットの地上波で平成8年から同18年にかけて放映したとする口紅のテレビコマーシャル(甲12)は、「ジュピエル ワンタッチリップスティック」又は「ジュピエル うるおいワンタッチ」と称する口紅についてのみのものと、それらを含む請求人の業務に係る化粧品についてのものとがあるところ、前者においては、「片手で使えるリップの革命。」や「リップにキャップはいらない。」といったテロップとともに、使用に係る口紅と思しきものを操作する様子などが映し出され、後者においては、請求人の業務に係る商品の一として、使用に係る口紅と思しきものが映し出されるが、いずれにおいても、視聴者が本願商標の立体的形状と同一と認められる標章からなる口紅を認識することができるものとは認められない。
(ク)請求人が自己のホームページに掲載したとする口紅の広告(甲13、甲23?甲25)は、平成27年3月20日、同28年1月1日及び同月21日並びに同29年8月22日における請求人のホームページ上の「ジュピエル ワンタッチリップスティック」と称する口紅についてのものであり、当該広告には、使用に係る口紅であって、その容器の側面に「JUPIER」の文字が表示されているものが掲載されているが、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらない。
なお、上記広告においては、商品(口紅)の特長として、「ワンタッチ操作でキャップが開き、口紅が顔をだすので、片手で簡単に使える口紅です。」や「片手でキャップの開け閉めができて、手軽にリップメイクができる便利なワンタッチ容器です。」の記載がある。
ウ 請求人がファッション誌等で紹介されたとする口紅の記事(甲14)は、「ジュピエル ワンタッチリップスティック」と称する口紅についてのものであり、当該記事には、使用に係る口紅であって、その容器の側面に「JUPIER」の文字が表示されているものが掲載されているが、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらない。
エ 請求人は、本願商標を使用したとする口紅について、平成8年に「グッドデザイン賞」(甲2)、同9年に日本産業皮膚衛生協会の「特別奨励賞」(甲15)を受賞するとともに、同21年2月に特許庁が発行した「産業財産権活用企業事例集」(甲16)において紹介されているとするところ、これらにおいては、「ジュピエル ワンタッチリップスティック」に言及されているものの、甲第15号証には、商品の形状を示す表示は何らなく、甲第2号証及び甲第16号証には、使用に係る口紅であって、その容器の側面に「JUPIER One Touch Lip Stick」の文字又は「JUPIER」の文字が表示されているものが表示されているが、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらない。
オ 上記アないしエによれば、請求人が、本願商標を使用したとする口紅は、「ジュピエル ワンタッチリップスティック」と称する口紅及び「ジュピエル うるおいワンタッチ」と称する口紅であると考えられるところ、これらのうち、少なくとも「ジュピエル ワンタッチリップスティック」は、平成8年2月に発売され、その後20年以上にわたり継続して販売していることが推認されるものの、その販売数量は、「ジュピエル うるおいワンタッチ」と称する口紅を含め、何ら明らかでない。
また、請求人は、上記口紅に係る広告のうち、自ら発行する美容情報誌、販売促進用ツール、ポスターについては、印刷部数を挙げつつ、これらが訪問販売員により顧客へ配布されたり、全国の支店や代理店で掲示されたとするが、その配布や掲示に係る具体的な時期や地域等を裏付ける証拠は提出されておらず、テレビコマーシャルについても、平成8年から同18年までの間に全国ネットの地上波で放映したとするが、その放映に係る具体的な時期、地域及び回数等を裏付ける証拠は提出されていない。
さらに、上記口紅に係る広告や紹介記事においては、専ら使用に係る口紅、すなわち、商品容器の蓋部が開いてスリーブが繰り出され、そのスリーブから棒状の口紅が突出した状態であって、その容器の側面に「JUPIER One Touch Lip Stick」の文字、「JUPIER One touch」の文字又は「JUPIER」の文字が表示されているものが掲載されており、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらないし、テレビコマーシャルにおいても、「ジュピエル ワンタッチリップスティック」や「ジュピエル うるおいワンタッチ」の文字とともに、当該使用に係る口紅と思しきものが映し出されるが、視聴者が本願商標の立体的形状と同一と認められる標章からなる口紅を認識することができるものとは認められない。そして、これらの広告やテレビコマーシャルにおいては、対象商品である口紅の特長などとして、片手によるワンタッチ操作で簡便に使用できるものである旨をうたいつつ、その操作(使用)方法を写真等と合わせて示すことが少なからず行われている。
加えて、上記1(2)において述べたとおり、請求人が所有していた特許との関係から、その存続期間が満了するまでの間、他人が当該特許と抵触する商品容器の口紅を製造、販売することはできなかったものの、棒状化粧料をその容器から繰り出し又は収納することをスライド操作によりワンタッチで行うことができるといった商品は、従来からあるとされ、現に「GUERLAIN Rouge Automatique」と称する商品の例もある。
なお、請求人は、本願商標を使用したとする口紅に係る受賞等の事実を挙げるが、その事実を示す証拠において、本願商標の立体的形状と同一と認められる標章は見当たらないし、その内容に照らしても、本願商標が商標法第3条第2項に規定する要件を具備するか否かの判断に影響を及ぼすものとは認められない。
してみれば、本願商標は、いまだその使用により自他商品識別力を獲得するに至っていないというべきである。
したがって、本願商標は、その指定商品である「口紅」について使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとはいえないから、商標法第3条第2項に規定する要件を具備するものとは認められない。
3 むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、かつ、同条第2項に規定する要件を具備するものとも認められないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標(色彩については、原本参照のこと。)


審理終結日 2018-06-13 
結審通知日 2018-06-18 
審決日 2018-07-02 
出願番号 商願2014-25334(T2014-25334) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W03)
T 1 8・ 17- Z (W03)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 箕輪 秀人和田 恵美林 悠貴 
特許庁審判長 金子 尚人
特許庁審判官 石塚 利恵
田中 敬規
代理人 前田 大輔 
代理人 伊藤 孝太郎 
代理人 中村 知公 
代理人 小西 富雅 
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