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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X30
管理番号 1343131 
審判番号 取消2016-300164 
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-03-08 
確定日 2018-07-23 
事件の表示 上記当事者間の登録第5287913号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5287913号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5287913号商標(以下「本件商標」という。)は、「バンビ生キャラメル」の文字を標準文字で表してなり、平成20年11月14日に登録出願、第30類「菓子及びパン」を指定商品として、同21年12月18日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成28年3月22日にされている。
以下、本件審判の請求の登録前3年以内の期間(平成25年3月22日ないし同28年3月21日)を「要証期間」という場合がある。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第28号証(枝番号を含む。以下、枝番号を含む号証で枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 平成28年7月19日付け審判事件弁駁書
(1)乙第2号証及び乙第3号証について
乙第2号証及び乙第3号証は、被請求人と株式会社ストーク(以下「ストーク社」という。)との間で販売取引が行われたことを示す「注文書」、「請求書」、「領収書」及び「納品書」等ではなく、いずれも単なる「見積書」であり、かかる「見積書」をもって、被請求人がストーク社に乙第1号証に示される商品(別掲。以下「本件商品1」という。)を「販売」したことを証明することはできないというべきである。また、乙第3号証の「見積書」に「バンビ」や「BAMBI」等の記載はなく、その「見積書」に記載されている「ソフトキャラメル8粒入り(いちご)」が、本件商品1に対応するものであることを示す証拠もない。
なお、本件商品1のパッケージには、たしかにストーク社の商品の広告らしきものが表示されているが、そのことだけをもって、被請求人がストーク社に、本件商品1を「販売」したという事実まで証明できるものではない。
(2)乙第4号証について
乙第4号証は、動画の一部を示すウェブサイトのプリントアウトにすぎず、当該動画がいつどこで誰により何の目的で撮影され、また、当該動画の中で何か語られているのかは全く不明である。すなわち、被請求人は、当該動画を記録物として提出しておらず、また、その反訳も提出しておらず、乙第4号証は、証拠としては極めて不十分あって、証拠能力を著しく欠くものである。
なお、被請求人は、答弁書において、「同インタビューは、ビジネスエキスポ2014の会場において・・・」と述べているが、乙第4号証には「ビジネスEXPO-TV2015」、「ビジネスEXPO2015ライブ配信はこちら!」との記載があり、年次に関し証拠と主張との間に矛盾があるように見受けられる。
以上のとおり、乙第4号証によっては、何らの事実も証明されないといわざるを得ない。
(3)乙第1号証について
本件商品1を示す乙第1号証は、いつ誰により撮影されたのかが不明な写真であるので、当該写真自体が、要証期間中の本件商標の使用を直接証明する証拠となり得ないことは明らかである。加えて、本件商標は「バンビ生キャラメル」を標準文字で表わしてなるところ、本件商品1に表示されている文字は「バンビ/キャラメル」であって、両者が異なることは明らかである。
したがって、本件商品1に表示されている「バンビ/キャラメル」の文字は、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえないものである。
(4)名目的な使用
前記のとおり、乙第2号証及び乙第3号証は、「見積書」であって、被請求人とストーク社との間で、本件商品1の販売取引があったとの事実は証明されていない。
さらに、乙第4号証に示される動画の一部とされるものをみると、たしかに、乙第1号証に示されている本件商品1と同等のものが映し出されているようであるが、ビジネスエキスポ2014(以下「エキスポ1」という。)において本件商品1はあくまで試作品、試供品(サンプル)として用意、紹介された程度のものであり、それ以後、被請求人により実質的かつ本格的に本件商標の使用に係る商品の販売が行われたという事実はない。
すなわち、エキスポ1の後、被請求人が実際に本願商標を使用した菓子を製造、販売しているという事実は一切なく、被請求人の公式ウェブサイトをみても、そのような状況は見当たらない(甲2)。また、障害者の自立支援のための授産施設において菓子を製造、販売しているという被請求人の公式ウェブサイトをみると、「障がい者就労支援」というアイコンがあるが、これをクリックしてみても何の記載もない白いページが表示されるだけであり(甲2)、また、「障がい福祉サービス」というアイコンをクリックしても何も反応がないという状況である。また、「HOME」のアイコンをクリックすると「ゆーあっぷ元町」と題する別のウェブサイトに切り替わるが(甲3)、2014年10月を最後に情報の更新はなく、現在は工事中と表示されている状況である。
仮に、被請求人において、当該エキスポ1における本件商品1の試作品、試供品(サンプル)としての用意のほかに、本願商標を市場において実際にかつ実質的に使用したというのであれば、エキスポ1後であって、要証期間に、本件商標の使用に係る商品の販売を本格的に行ったという事実を具体的に証明すべきである。
もしそのような販売状況を示すことができないのであれば、被請求人が答弁書において主張する使用は、本件商標の「名目的な使用」にすぎないことが明らかであり、そのような使用をもって、商標法第50条による取消しを免れることは到底できないというべきである。
(5)審決例
上記(4)において主張するいわゆる「名目的な使用」の例として、審決例(甲4、取消2003-30309)がある。
当該事案は、指定商品(清涼飲料、果実飲料)のテスト販売のために、喫茶店に納品された120本のりんごジュースについて登録商標を使用した行為が、登録商標を「本格的」に使用したものと認められず、その登録が不使用により取り消されたというものである。
しかして、万一被請求人がストーク社を介して本件商品1をエキスポ1において配布したのだとしても、同配布以降に被請求人が本格的に一度も商品を製造、販売していないことを考えれば、本件商品1はエキスポ1という場を利用して単に試験的、名目的に提供されたとみざるを得ないものであり、乙第1号証ないし乙第4号証をもってしても、本件商標が「本格的」に使用された事実を認めることはできない。よって、本件商標が、要証期間に、その指定商品について使用されていたということはできないというべきである。
3 平成28年11月4日付け上申書
(1)乙第2号証、乙第3号証、乙第5号証及び乙第6号証について
乙第2号証及び乙第5号証によれば、「キャラメル用ウッドケース 杉」などが、株式会社クオリティサポート(以下「クオリティサポート社」という。)から、株式会社北海道リンク(以下「北海道リンク社」という。)に販売、納品されたことを示すものであるようである。しかしながら、エキスポ1の開催日程は平成26年11月6日、7日であったにもかかわらず、乙第5号証の1の納品書の日付は2014年11月20日になっており、時系列的に矛盾しており、当該取引書類については疑義があるといわざるを得ない。
また、乙第3号証及び乙第6号証には「バンビ」や「BAMBI」等の記載はなく、これらに記載されている「ソフトキャラメル8粒入り(いちご)」が、本件商品1に対応するものであることを示す証拠はない。
よって、これら取引書類は、要証期間における、本件商標の指定商品への使用を直接証明する証拠にはならないというべきである。
(2)「商標法における商品」について
本件商品1は、ストーク社という特定の企業に対して、真空パネル暖房機の展示会において顧客に無償配布されるという特定の目的のもとに引き渡されたものであって、これ(本件商品1)を買い受ける者にとってその出所は明確であり、本件商標が本件商品1に付されていることによってその出所を識別するものでなく、しかも買い受けたストーク社は真空パネル暖房機の販売品とともに宣伝用サービス品としてこれを無償配布するのであるから、本件商品1をもって、一般市場で流通に供することを目的とした有体物ということはできない、といえる。つまり、本件商品1がもともと商取引の目的物として流通に向けられているものでない以上、そのことから直ちに本件商品1をもって商標法の商品であるとすることができない。
したがって、仮に本件商品1がストーク社に販売されたということが事実であるとしても、本件商品1はそもそも「商標法における商品」には該当しないものであるから、当該販売行為は、本件商標の指定商品への使用に該当しないといわざるを得ない。
(3)被請求人は、乙第9号証をして、被請求人が北海道リンク社に対して本件商標の使用許諾をしていること、また、乙第10号証ないし乙第12号証をして、北海道リンク社が「Patisserie CouCou(くうくう)」という菓子店(以下「菓子店CouCou」という。)を経営していることを立証する趣旨のようである。
しかしながら、要証期間に、菓子店CouCouにおいて、本件商標の使用に係る指定商品(菓子等)が販売されたことを証明する証拠は提出されていない。
また、被請求人は、北海道リンク社が「HOKKAIDOベンチャー・スタートアップEXPO」(以下「エキスポ2」という。)に参加したという事実をして(乙13)、北海道リンク社が、本件商標に係る商品を、要証期間に、菓子店CouCou等を通じて販売していたことを立証する趣旨のようであるが、前述のとおり、要証期間に、北海道リンク社がそのような販売を行っていたことを証明する取引書類は一切提出されていない。
また、乙第13号証の出展者一覧の北海道リンク社の該当欄に「バンビキャラメル、バンビ生キャラメル」、「バンビブランド商品のPR」などの記載があるが、実際にエキスポ2で本件商標の使用に係る商品が展示されたのかどうかは全く明らかでなく、また、そもそも、エキスポ2において商品を販売するような機会はないのであるから、かかる記載をもってしても、何ら、本件商標の使用に係る商品の販売等を証明したということにはならない。
4 平成29年2月27日付け口頭審理陳述要領書
(1)被請求人又は通常使用権者の行為について
ア 被請求人がストーク社に対して販売したと主張する本件商品1は、実際に販売されたのかどうか依然として定かでないうえ、また、仮にストーク社に販売されたのだとしても、要証期間に被請求人がたった一度試験的に提供した「試作品、試供品」程度のものであり、しかもそれは、もっぱら、エキスポ1(展示会/見本市)という場においてストーク社の商品(真空パネル暖房機)の販促品として無償で配布するためだけに、ストーク社からの求めに応じ特別に同社だけに提供されたものにすぎないから、「商標法における商品」には該当しない。
すなわち、当時、被請求人は本件商標の使用に係る商品を自ら製造したり、あるいは、それを不特定多数の者に販売したりできる状態には全くなかったのであり、たまたま被請求人の代表者の知り合い(乙16の3の2)が代表を努めるストーク社からエキスポ1で配布する上記販促品の作成を求められて、試験的かつ特別に本件商品1をストーク社だけに提供したというにすぎない。
したがって、本件商品1は、「商標法における商品」に該当せず、また、本件商品1のストーク社ヘの提供をもって、本件商標が「本格的に」使用されたともいえないのであり、換言するなら本件商標は単に「名目的に」使用されたにすぎないというべきである。
イ なお、被請求人が本件商標の使用に係る商品を一般の取引市場において又は不特定多数の者に対して販売又は販売の申し出をしていたという事実が全くない状況下で、たまたま知り合いだったストーク社から同社の真空パネル暖房機の販促品の作成を求められ、本件商品1を特別に同社だけに提供したという行為を商標法第2条第3項各号に当てはめるなら、被請求人が「第35類 広告物の作成」という役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)に標章を付する行為(商標法第2条第3項第3号)を行ったというのが精一杯であり、同行為は同項第1号、同項第2号及び同項第8号には該当しない。
ウ プリン(以下「本件商品2」という。)に関しては、被請求人は、要証期間に、これを製造、販売したという証拠を一切提出していないのであって、要証期間に、本件商品2についての商標法第2条第3項各号の行為がなかったことは明白である。
エ 被請求人は、新たに乙第14号証ないし乙第24号証を提出し、要証期間に、本件商標を付した「生キャラメル」(以下「本件商品3」という。)を販売していたと主張する。
しかしながら、当該証拠は、請求人が提出する証拠に照らせば、偽証とみられてもやむを得ないほどに著しく客観性、信ぴょう性を欠いており、被請求人の主張に対しては強い疑いを持たざるを得ない。
オ したがって、結局のところ、被請求人は、要証期間において、本件商標につき商標法第2条第3項第1号、同項第2号及び同項第8号いずれの行為も行っていない。
(2)本件商品1のストーク社への販売について
ア これまでも主張してきたとおり、本件商品1は、「商標法における商品」には該当しないものであり、かつ、本件商品1をもって本件商標が「本格的に」使用されたとは到底いえない(つまりは「名目的に」使用されたとしかいえない)。
イ 被請求人は、口頭審理陳述要領書の中で、本件商品1をストーク社との「コラボレーション商品」であると繰り返し主張している。
しかし、一般的に、コラボレーション商品というのは、2以上の企業等がタイアップ又は協同して商品を作製し一般の取引市場で消費者に販売するものである。よって単に、タイアップ又は協同する企業同士の間で、有償、無償を問わず、そのコラボレーション商品の譲渡行為があったとしても、その行為は極めて内部的なやりとりであり、その商品に付されている商標は、一般の取引市場において何ら識別機能を発揮していないうえに、また、需要者の信用も一切化体していない。
したがって、商標が付されたコラボレーション商品を、タイアップ又は協同する企業同士が内部的に提供したという行為だけをとらえて、登録商標の使用があったということは到底できないというべきである。
そして、被請求人が、本件商品1をコラボレーション商品であると強調することは、とりもなおさず、被請求人がストーク社に本件商品1を提供した行為が本件商標の指定商品についての使用ではないこと、あるいは、本件商品1が「商標法における商品」ではないことを自認するようなものである。しかも、本件商品1は、一般の需要者に販売されたわけでなく、エキスポ1において試験的に無償配布されたにすぎないものである。
このような要証期間に1回だけ行われた極めて内部的な(被請求人からストーク社ヘの)提供行為だけをとらえて、本件商標の使用行為があったとみるのは無理があるといわざるを得ない。
(3)乙第4号証について
被請求人は、乙第14号証の1として乙第4号証の反訳を提出している。
乙第14号証の1において、被請求人の代表は、「専属のプロのパティシエとか、機械がございませんので、そこは専門のパティシエとお菓子の会社に業務を最初委託していこうと考えております。その連携先がどこになるかは、これからちょっといろいろ様々なところと打合せをして決まっていくのですが・・・販売の場所が決まったら、いろいろとこう、宣伝活動していこうと考えております」と述べており、この当時、被請求人は、本件商標の使用に係る商品を一般の取引市場で販売することはおろか、安定的に製造できる状態に全くなかったことを自認している。また、特許庁からの求めにもかかわらず、被請求人がこの当時の商品のパンフレットやチラシを提出していないことに照らせば、本件商品1が、あくまで試験的かつ特別に準備、提供されたにすぎないことは明らかである。
さらに、乙第14号の1証において司会者が「今回ビジネスEXPOでストークさんのブースに行って、説明を聞いたらくれるんですよね」、「そこのブースに行くと、こんな可愛いPRグッズがもらえちゃう」と述べているように、本件商品1は、ストーク社の販促品としてエキスポ1の来場者に無償で配布されたにすぎなかったことが、改めて明らかとなった。つまり、本件商品1は、一般の取引市場向けに提供されたものでなく、もっぱらストーク社の求めに応じて同社商品の販促品として同社にだけ特別に一度だけ提供されたものであって、やはり「商標法における商品」には該当しないものである。
そして、当該エキスポ1の後、要証期間に、本件商標の使用に係る商品(本件商品3を含む。)が、一般の取引市場において販売されたことは一切証明されていないのであって、本件商標が「本格的に」使用されたという事実は全く存在しない。
(4)乙第13号証について
被請求人は、乙第13号証のエキスポ2における商品の展示、販売、広告については、現時点では提出可能な資料は見当たらないこと及びエキスポ2が単なるマッチング及び商談会であったことを認めている。
この自認は、とりもなおさず、エキスポ2の開催の時点においても、被請求人は、商品のパンフレットやチラシ等の資料さえ準備、作成しておらず、被請求人は本件商標の使用に係る商品を一般の取引市場向けに製造、販売できる状態に全く至っていなかったことを示している。
したがって、乙第4号証及び乙第14号証の1と同じく、乙第13号証も、本件商標が要証期間に使用されたことの証明にはならない。
(5)請求人提出の弁駁書及び上申書に対する意見について
ア 被請求人は、乙第1号証が平成28年5月上旬頃に撮影したものであると述べているところ、乙第1号証が要証期間外に作成されたものであることに変わりはなく、これが本件商標の使用の事実を直接的に証明することにはならない。
イ 被請求人は、本件商品1における「バンビ」の商標は本件商標と称呼及び観念が共通する、社会通念上同一と認められる商標である旨主張している。
しかしながら、すでに主張しているとおり、本件商品1に表示されている「バンビ」の文字は、本件商標と社会通念上同一の商標とはいえないものである。
本件商標には「生キャラメル」の文字が含まれているが、被請求人の主張によれば、本件商品1は、ソフトキャラメルであって生キャラメルではないとのことである。しかして、ソフトキャラメルに対して「生キャラメル」の文字が普通名称でもなければ品質等表示でもないことは明らかであり、ソフトキャラメルに「バンビ」の文字だけを表示することが、ソフトキャラメルに「バンビ生キャラメル」の文字を使用することと同視されるとは、社会通念上到底考えられない。
ウ 被請求人は、乙第3号証及び乙第6号証の取引書類に「バンビ」や「BAMBI」の記載がないことについて、スペース等の問題から商品名等が省略されることが多い商取引の実情に鑑みれば、これらの記載がないことをもって、これらの取引書類が本件商品1に対応するものであることが否定されることはない、と主張している。
しかしながら、当該取引書類に「バンビ」や「BAMBI」の記載がない以上、これが本件商品1の販売であったことを直接的に知る術はない。ましてや、後述するとおり、被請求人、北海道リンク社、ストーク社の3者は、本件商品3について偽証ないし虚偽の陳述をしている可能性が高く、そうとすれば、乙第3号証及び乙第6号証についても、それらの信ぴょう性について疑義を抱かざるを得ない。
エ 被請求人は、甲第5号証の判決は「おりがみ」に関するものであって、「キャラメル」のような食品に関するものではないから本件とは関係がないこと、また、本件商品1は被請求人が一般の取引市場に提供することを目的として製造販売されるキャラメルであることなど述べている。
しかしながら、甲第5号証の判決は、商品が「おりがみ」であるか「食品」であるかを問題にしているのではなく、商標を使用した商品が「一般市場において商取引の目的物として流通に向けられて」いたかどうかを問題にしているのであり、被請求人の主張は失当である。
オ 以上のとおり、要証期間のエキスポ1において、本件商品1がストーク社を介して無償かつ試験的に配布されたということが事実であったとしても、その後一度たりとも一般の取引市場において、本件商標に係る商品は販売されなかったのであるから、甲第4号証及び甲第5号証の審判決が説示するところに鑑みれば、本件商標は「本格的に」使用されなかった、かつ、「商標法における商品」について使用されなかったことが明白である。
(6)菓子店CouCouにおける本件商品3の販売についての意見及び反論
ア 乙第16号証の各陳述書及び写真は、被請求人の口頭審理陳述要領書の提出期限の直前(平成29年1月31日?同年2月2日)に作成、撮影されたものであるが、かかる包装用箱は、本件審判請求後いつでも作成できたものであり、また、それに貼付されている「バンビ生キャラメル/BAMBI」の文字を表示したシールも、賞味期限を示したシールも、文書作成ソフトウェアなどで簡単に作成し、かつ、それを市販のラベル用シール紙に印刷すれば、いつでも誰でも簡単に作成することができる。
そして、各陳述人は、被請求人がその関連会社であって通常使用権者であると主張している北海道リンク社の代表者、北海道リンク社の業務のサポートをしているという社会保険労務士(以下「A氏」という場合がある。)、また、被請求人と業務上関わりを持つストーク社の代表者(以下「B氏」という場合がある。)であり、いずれも被請求人と深い関係を持つ利害関係人の陳述であって、客観性を全く欠くものである。
イ 被請求人は、2015年10月10日に菓子店CouCouがオープンし、同年10月、11月、12月、翌年1月、2月に、菓子店CouCouにおいて本件商標を付した本件商品3を一箱300円で販売したと主張し、また、その後も本件商品3を製造、販売し続けているというので、この主張が事実であるかどうかにつき調査、検証を行った。
まず、2016年1月に菓子店CouCouを訪れ、商品(ケーキ)を購入した一般の消費者が、その個人ブログ「札幌のスィーツ大好き おぢさん日記 毎日食べるのだ!」において、その時の店内の様子や商品(冷蔵式ショーケース)の写真を掲載している(甲6)。この消費者が2016年1月に菓子店CouCouを訪れたことは、当該ブログ記事の掲載日が2016年1月18日であること、また、当該ブログに掲載されている同店のレシートに「2016年」の表示があることから明らかである。
また、2016年1月25日に、同店にはラジオ放送番組の取材が入ったようであり、同放送番組の公式ウェブサイトにも、その時の菓子店CouCouの冷蔵式ショーケースの写真が掲載されている(甲7)。
さらに、飲食店口コミ情報サービス「食ベログ」のウェブサイトにも、同店の様子や冷蔵式ショーケースの写真が複数掲載されている(甲8)。
しかして、被請求人が販売したと主張する「生キャラメル」というのは、「生」と付いていることからもわかるとおり要冷蔵の食品であり、通常は必ず冷蔵状態で陳列、販売されるものである。甲第9号証に示すとおり、「生キャラメル」を取り扱う各店はどこも、冷蔵式ショーケース等に商品を陳列して、販売を行っている。本件商標をかつて所有し「生キャラメル」を販売していたという株式会社北海道村(すでに倒産)も、要証期間外ではあるが「生キャラメル」を冷蔵状態(ショーケース)で販売していたことがうかがえる(甲10)。
翻って、菓子店CouCouの冷蔵式ショーケースをみてみると、どの写真をみても、本件商品3の包装用箱は見当たらず、「生キャラメル」らしき商品すら見当たらない。また、同店では、焼き菓子を陳列するような棚はあるものの、当該冷蔵式ショーケース以外に、商品陳列用の冷蔵庫等はない状況である(甲8)。
このような状況からみて、被請求人が、要証期間に菓子店CouCouにおいて本件商品3を実際に販売したという主張については、疑いを持たざるを得ない。
ウ 被請求人は、乙第18号証として菓子店CouCouの商品個別売上表を提出した。当該表は、菓子店CouCouが記録している表計算ソフトウェアにより作成されたデータであることが優にうかがえるが、今回の口頭審理陳述要領書の提出に合わせて同店がプリントアウトのうえ、提出したものと思われる。
まず、当該表には、「バンビ」、「BAMBI」という表示がなく本件商標の使用に関する直接的な証拠とはならない。
また、かかる表計算ソフトウェアのデータの情報入力、編集は、いつでもどこでもまた誰でも簡単に操作、書き換えができるものであり、当該証拠をもって、本件商品3が実際に菓子店CouCouにおいて販売されていたことの証明にはならない。そして、乙第18号証は、実際に内容が書き換えられた可能性が極めて高いものである。
甲第6号証のブログに掲載されている写真には、2016年1月当時の菓子店CouCouの冷蔵式ショーケース内の商品が全て写されており、それぞれに商品名と値段を表示した札が置かれている。ここに掲載されている札には、ショーケースの正面向かって左側から、「白い小道/450円」、「ショコラ/380円」、「チーズタルト/350円」、「フロマージュブラン/400円」、「ズッパ・イングレーゼ/350円」、「フレーズ/380円」、「プリン/180円」、「紅茶のムース/860円」、「フルーツサンド/300円」、「スペシャル苺のシュークリーム」及び「シュークリーム/180円」があり、これらのうち「スペシャル苺のシュークリーム」を除く商品はいずれも、被請求人が提出した1月の商品個別売上表(乙18の4)に記載があり、同表に記載されている値段とも合致する。
しかしながら、不可解にも、「スペシャル苺のシュークリーム/300円」だけが1月の商品個別売上表に記載されていない。その一方で、写真のショーケースに「生キャラメル(300円)」は陳列されていない。そして、当該表は、一番上の列の「アップルポテト」から一定の列のところまであいうえお順に商品名が列記されているところ、「生キャラメル」の記載があるところは、その上段が「スペシャリテ」、下段が「その他」でありちょうど「ス」行にあたる部分であるから、ここにはもともと「スペシャル苺のシュークリーム」が記載されていたと考えられるのである。
つまり、乙第18号証として提出されたデータは、もともと「スペシャル苺のシュークリーム」という記載があったものの、今回それが「生キャラメル」に書き換えられ、提出されたとみざるを得ない。
この書き換えの疑いは、次の事実からも明らかといえる。すなわち、甲第10号証が示すように、かつて株式会社北海道村は630円(税込/当時の消費税は5%)で「生キャラメル」を販売していたようであり、また、被請求人がストーク社に提供した際の請求書だと主張する乙第6号証にも、一箱あたりの単価600円が記載されている。さらに、被請求人が補助金交付の申請を行った際に提出したという乙第21号証の3では、単価を864円として販売する旨を説明している。しかし、被請求人は、本件商品3をその半額以下の300円という値段で販売したと主張しているのである。
被請求人は、ストーク社に販促品として提供したものは「ソフトキャラメル」であると述べているが、例えば森永製菓が販売しているソフトキャラメルは100円程度であり(甲11)、一方で花畑牧場等が販売している生キャラメルは600円程度(又はそれ以上)が相場であり(甲12)、一般的には「ソフトキャラメル」よりも「生キャラメル」のほうが高価格帯であることは顕著な事実である。ましてや、株式会社北海道村が「生キャラメル」を630円で販売していたにもかかわらず業績不振により倒産したことを考えれば、本件商品3(1箱)に300円という金額設定は極めて不自然(安すぎる)といわざるを得ない。
さらに、被請求人は、こうした内部的な売上データを提出するのみで、本件商品3の販売を直接示すような日付入りの注文伝票、レシート、領収書などの取引書類を一切提出していない。かかる点にみても、被請求人の一連の主張は、客観性、信ぴょう性を欠くと断ぜざるを得ない。
以上のとおり、乙第18号証がデータを書き換えて提出されたことを所与とすれば、同証拠に紐づく乙第16号証の陳述の内容はもとより、本件商品3を要証期間に菓子店CouCouで販売したとの被請求人の主張は虚偽である可能性が高い。
エ ところで、これまで被請求人は、本件商品1の包装に付すシールについては外部の業者に制作委託をしたと述べており、また、要証期間外の証拠として提出している本件商品2の包装のシールについても外部業者に制作委託をしたと説明している。
しかし本件商品3に限ってはなぜか、「シールデータは北海道リンク社内で制作されたものであり、シールの印刷及び貼付は菓子店CouCou内で行われている」と述べており、この点をとっても、被請求人の主張は極めて不自然である。
オ 被請求人は、乙第18号証の商品個別売上表の金額に対応するという菓子店CouCouの仕訳一覧等を乙第19号証及び乙第20号証として提出しているが、乙第18号証が本件商標の使用に関する直接的な証拠となり得ない以上、乙第19号証及び乙第20号証に何ら証拠的価値がないことは明らかである。
カ 乙第21号証は、補助金交付を求める単なる申請書にすぎず、かかる記載をもって本件商品3の販売が実際に行われたことを直接的に証明することができない。
キ 乙第22号証は、乙第21号証の申請を受けての補助金交付決定の通知書と思われるが、本件商品3の販売が菓子店CouCouにおいて実際に行われたことを直接的に証明するものではない。
ク 乙第23号証及び乙第24号証は、いずれの資料にも本件商標の使用はなく、「キャラメル、生キャラメル」という商品の表示すらない。とりわけ、乙第24号証は、誰が何のために作成しているものか全くわからないうえ、実際の指導内容の様子や本件商標を使用した様子を示す写真等がない以上、これら資料に証拠能力は全くないものといわざるを得ない。
ケ 以上のとおり、本件商品3が、要証期間に、菓子店CouCouにおいて販売されたという被請求人の主張及びそれに関する証拠は、偽証ないし虚偽といわれてもやむを得ないほどに、いずれも客観性、信ぴょう性を欠くものであるから、本件商品3が販売されたという事実は全く証明されていない。
5 平成29年4月25日付け上申書(2)
(1)本件商品1について
これまで主張してきたとおり、本件商品1は「商標法における商品」には当たらないものであるから、乙第25号証及び乙第26号証の提出自体は、本件商標の使用を何ら証明するものではない。
(2)本件商品3について
ア 商品個別売上表(乙18)について
被請求人は、乙第18号証の商品個別売上表について、「1月の商品個別売上表に『スペシャル苺のシュークリーム』の記載がないのは、12月に販売していた『サンタの帽子』の300円の欄を書き換えて使用すべきところをそのまま残して使用していたためである・・・1月でいえば、チーズタルト、DXショコラ、フルーツサンド等はあいうえお順に従っていないし、12月もサンタの帽子、シュークリーム、ホワイトロール、クッキー、イチジクパウンド、ショコラロール等々、むしろ、あいうえお順に従っていない商品の方が多いことが明白である。よって、当該請求人の主張は、事実を歪曲して解釈しているものであり、認められるべきものではない」と主張している。
しかしながら、被請求人の当該主張に客観性や説得性は全く見いだせない。被請求人は、殊更、「2015年12月」と「2016年1月」の売上表にのみ言及しながら反論しているが、「2015年10月」の売上表から順を追ってみていけば、全ての売上表における「生キャラメル」の表示が書き換えられたものであることは自明である。
すなわち、「2015年10月」は、菓子店CouCouがオープンした月であるが、その月の売上表は同店にとって初めての売上表ということもあり、同表に列記されている商品名は、「生キャラメル」を除いて、最上列から全てあいうえお順となっている。「2015年10月」の売上表では、「生キャラメル」だけがあいうえお順に反して、「サ」行の列に表示されている。一方で、語頭が「生」の「生キャラメルロール」や「生デコレーション5号」は、「ナ」行の列に表示されており、それにもかかわらず「生キャラメル」は「サ」行の列に表示されており、極めて不自然である。
「生キャラメル」の列が黄色くハイライトされていることからもわかるとおり、当該売上表は、証拠として提出されるにあたり、表計算ソフトにより一度編集が加えられており、その際に、同列の商品名が「生キャラメル」に書き換えられたものと優に推察される。
また、「2015年10月」の売上表には、被請求人が「スペシャル苺のシュークリーム」の書き換え忘れであると説明した「サンタの帽子」という商品は見当たらない。
たしかに、被請求人が主張するように「2015年12月」や「2016年1月」には、菓子店CouCouのオープン当初(2015年10月)にはなかった商品が追加されたことにより、新商品が売上表に追記したり、従前の商品名が新商品名に書き換えたりした結果として、あいうえお順に列記されていない商品もあるようである。
しかしながら、「スベシャリテ」、「生キャラメル」、「その他」という3商品の列の並びは、「2015年10月」以降どの月の売上表を見ても、全く変わっていない。つまり、「2015年10月」の売上表から順にみていけば、全ての売上表の「生キャラメル」の表示が意図的に書き換えたものであることは客観的に明らかであり、「生キャラメル」の箇所には、もともと別の商品名が記載されていたと優に推認できるのである。
したがって、「サンタの帽子」を引き合いに出して、「生キャラメル」が書き換えではないと説明する被請求人の主張には、相当無理があるといわざるを得ない。けだし、被請求人としても、さすがに「2015年10月」の売上表に関しては釈明することができず、「2015年12月」と「2016年1月」の売上表に、注意を向けさせることしかできなかったものと思われる。
イ 精算レポート(乙27)について
(ア)乙第27号証の精算レポートを発行した電子レジスターは、その精算レポートの様式からみて、カシオ計算機の製品である可能性が極めて高い。
乙第27号証の7の2015年10月30日付け精算レポートの「024491」や同月31日付け精算レポートの「024517」などの数字は「一連番号」と呼ばれるもので、電子レジスターから発行されるペーパーに付される番号であり、6桁の「一連番号」はカシオ計算機の電子レジスターに特有なものである。
当該6桁の番号は、「一連」と呼ばれていることからも明らかなとおり、電子レジスターから発行される全てのペーパー(つまり、レシート、点検レポート、精算レポートなど)に共通して付されるいわば「通し番号」となっている。請求人において、この「一連番号」の性質について、カシオ計算機のレジスター部門、お客様相談センターに直接問い合わせたところ、同部門の担当者からも同旨の回答を得た。
(イ)2016年1月に菓子店CouCouに訪問した第三者が撮影した2016年1月当時のレシート(甲6)にも「一連番号」として、「016820」が印字されている。
しかし極めて不可解なことに、当該「016820」は、2016年1月に印字された番号であるにもかかわらず、今回提出された精算レポートの「024517(2015年10月31日付)」等よりもはるかに若い発行番号なのである。
この「一連番号」の矛盾を不審に思い、請求人は、乙第27号証を受領した直後の2017年4月7日に、第三者を介して菓子店CouCouの商品を購入し、同店のレシートを2枚取得した(甲25)。すると「一連番号」には「025374」、「025375」という数字が印字され、乙第27号証の清算レポートに印字された「024517(2015年10月31日付)」に続く、そして、それに近い一連番号が印字されていることが判明した。
電子レジスターというのは、電子レジスターの管理、設定用のキーを持っている者であれば、いつでも容易に電子レジスターの日付、時刻の変更をすることができるようになっており、このことは、カシオ計算機の電子レジスターのどの取扱説明書を参照しても明らかである(甲14?甲18)。
要するに、上記の「一連番号」の矛盾は、被請求人が口頭審理の直後に、電子レジスターの日付、時刻の設定を都度変更しながら、2015年10月当時の個別商品売上表の内容に沿って、レシートや精算レポート等の発行を繰り返し、今回、乙第27号証として提出したということを客観的に示している。
そのようにみなければ、乙第27号証の精算レポート(2015年10月)の一連番号と2016年1月当時のレシートの一連番号が逆転していること、また、同精算レポートの一連番号と2017年4月7日のレシートの一連番号が近い数字で続いていることの説明は全くつかない。
ちなみに、甲第6号証が示す2016年1月当時のレシートになぜ「016820」という大きな数が印字されているかというと、菓子店CouCouが入っている物件にはもともと別の菓子店がテナントとして入っていたが、居抜き工事により菓子店CouCouが新たなテナントと入居したようであり(甲6、甲26、甲27)、菓子店CouCouの電子レジスターは、旧テナントが使用していたものを使用している可能性が高い。あるいは、もともと被請求人又は北海道リンク社が所持していたものを使用している可能性も考えられる。
(ウ)ところで、乙第27号証の精算レポートには、「Z0896(2015年10月30日)」、「Z0897(2015年10月31日)」という「Z+数字」の番号が記されているが、当該番号は精算レポートの発行回数を示しており(甲14?甲18)、菓子店CouCouは1営業日ごとに1回、精算レポートを発行していることがわかる。しかして、乙第27号証が今回新たに作成されたものであることは、当該精算回数の不自然さからも裏付けられる。
すなわち、上述のとおり、菓子店CouCouは、1日1回、営業終了後に清算を行っているようであり、精算レポートを一つ一つみていくと、1営業日ごとに1ずつ精算回数が増えている。しかし一部不自然にも、10月17日の数字は「Z0884」であるのに、なぜか翌18日は「Z0886」となっており、精算回数の数字が一つ飛び、連続していない。また、乙第27号証の清算レポートは、10月10日から同月31日まで、1日につき、だいたい20?30程度ずつ「一連番号」が増加しているが、不可解なことに10月17日から翌18日の間だけ「一連番号」に50以上の増加がみられるのである。一般的に、営業記録の管理上、よほどの理由がない限り、このような精算レポートの抜けが生ずることはあり得ない。
つまり、今回提出されていないが、「Z0885」の番号が付された精算レポートがどこか別にあるはずであり、それは乙第27号証を作成している頃の営業日の売上情報について発行されたものであろうことが強く疑われるのである。そのようにみなければ、「Z0885」の精算レポートが抜け落ちていること、また、不自然にも10月17日から翌18日にかけて「一連番号」が増加していることの説明は全くつかない。
(エ)被請求人は、商品個別売上表については、2015年10月?2016年2月までの全てを提出したにもかかわらず、精算レポートについてはなぜか2015年10月分しか提出しておらず、この点も極めて不自然である。
ウ 新たな陳述書(乙28の1、乙29)について
被請求人は、これら新たな陳述書をして、本件商品3はショーケースには陳列されていなかったとか、店内にPOP広告(乙31)を掲示していたとか縷々述べているが、このようなPOP広告は口頭審理の後すぐに文書作成ソフトなどを使って簡単に作成できるものであり、全く客観性がない。乙第29号証によればPOP広告はショーケースの上に飾ってあったとのことであるが、甲第7号証の写真のショーケースの上に、そのようなものは飾られていない。また、このような書類は、通常であれば最初の答弁の段階で提出する類の証拠であると思われるが、口頭審理を終えた後になって提出されている経緯からみても、著しく客観性を欠くものである。
さらに、被請求人は、これまで「バンビ」ブランドが復活したという点を再三強調しているところ、それほどの目玉商品であるならば一般的にはむしろ店舗の顔であるショーケースに陳列するほうが自然であるといえるが、被請求人は「他のケーキの展示の邪魔になる」という理由で別のストッカーに保管していたと述べており、被請求人の主張は著しく一貫性を欠いている。
さらに、新たに陳述する者も、いずれも被請求人や北海道リンク社と業務上の関係を有する者であって、客観性を欠くものである。
エ 小括
以上のとおり、被請求人の主張は、請求人の客観的証拠やそれに基づく主張に対して都合良く合わせたものばかりで、しかも、その主張を裏付ける客観的な証拠は一切提出されておらず、一向に不自然さを拭えない。そして、乙第27号証の提出や乙第18号証の書き換え行為は、いよいよその不自然さに客観性を与えたといわざるを得ない。
したがって、被請求人の提出に係る陳述書を含む証拠類は全て、乙第27号証及び乙第18号証の性格を踏まえれば、全く信ぴょう性を欠くものである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第33号証(枝番号を含む。以下、枝番号を含む号証で枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)を提出した。
1 平成28年5月18日付け答弁書
(1)本件商標の使用について
被請求人は、障害者の自立支援のための授産施設を運営しているところ、その授産施設において製造、販売する菓子について北海道民に長年親しまれてきたバンビブランドを使用することを目的として、株式会社北海道村が所有していたバンビブランド関連商標に係る商標権を競争入札により落札し、平成25年11月25日に本件商標に係る商標権を取得し、遅くとも同26年11月から本件商標を使用した菓子を販売している(乙1?乙4)。
ア 乙第1号証は、本件商品1のパッケージの写真である。本件商品1のパッケージには、本件商標(「バンビ」、「キャラメル」)が使用されているとともに、後述の乙第3号証及び乙第4号証に関連するストーク社の広告(storkのロゴ、真空パネル暖房機の文字及び写真)が記載されている。
イ 乙第2号証は、本件商品1のケース及びシールに関する見積書である。見積書の日付として「平成26年10月31日」、品名として「バンビキャラメルウッドケース」、「バンビキャラメルシール(広告(株)ストーク)」の記載がある。
ウ 乙第3号証は、本件商品1の販売に関する見積書である。同見積書は被請求人がストーク社宛てに作成したものであり、見積書の日付は「平成26年11月4日」となっている。
本件商品1は、乙第3号証に記載のとおり、ストーク社に販売され、平成26年11月6日、7日にアクセス札幌で開催されたエキスポ1の会場において、ストーク社により同社の商品(真空パネル暖房機)の広告宣伝のために配布されている。
エ 乙第4号証は、インターネットで公開されている「ビジネスEXPO-TV」の「ビジネスEXPO2014会場インタビュー」の画像の一部を抜粋したものである。
同インタビューは、エキスポ1の会場において被請求人の代表が本件商品1を紹介する内容となっており、ストーク社の広告付きの本件商標を使用したキャラメルが紹介されている。
(2)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品中の「菓子」について、本件商標を付した商品を、要証期間に、日本国内において販売した。
2 平成28年8月31日付け上申書
(1)本件商品1に関する資料
ア 本件商品1のケース及びシールに関する納品書及び請求書(乙5)
乙第5号証は、審判事件答弁書に添付の乙第2号証の見積書に基づき制作されたケース及びシールの納品書及び請求書であり、各項目の金額が乙第2号証における各項目の金額と一致している。
なお、乙第5号証の宛名は「(株)北海道リンク」となっているが、北海道リンク社は後述のとおり、被請求人と役員が共通する関連会社であって(乙7、乙8)、被請求人との間で商標通常使用権許諾契約を締結している本件商標の通常使用権者である(乙9)。また、北海道リンク社は、菓子店CouCouを運営しており(乙10?乙12)、本件商品1は同菓子店でも販売する予定であったため、本件商品1のケース及びシールの代金を北海道リンク社が支払ったものである。
イ 本件商品1の販売に関する請求書
乙第6号証は、審判事件答弁書に添付の乙第3号証の見積書に基づき販売されたキャラメルの請求書であり、請求金額が乙第3号証の見積金額と一致している。
ウ 履歴事項全部証明書(乙7、乙8)
乙第7号証及び乙第8号証から、被請求人と北海道リンク社の役員が共通しており、両社が関連会社であることがわかる。
エ 商標通常使用権許諾契約書(乙9)
乙第9号証には、通常使用権を許諾する商標権として、本件商標の登録番号が記載されており、使用権の範囲として「菓子・パン類」が記載されていることから、北海道リンク社が被請求人から本件商標の「菓子・パン類」への使用について許諾を受けた通常使用権者であることがわかる。
オ 菓子店CouCou資料(乙10?乙12)
乙第10号証、乙第11号証の1及び乙第11号証の2には、同菓子店の所在地が「札幌市北区北11条西1丁目2-12」であること、乙第12号証には同所在地の物件の賃借人が北海道リンク社であることが記載されており、乙第10号証ないし乙第12号証から菓子店CouCouは北海道リンク社が運営する店舗であることがわかる。
カ 「HOKKAIDOベンチャー・スタートアップEXPO」パンフレット(乙13)
乙第13号証には北海道リンク社の紹介として、「長年道民に親しまれてきたバンビブランドを復活させ、地域資源である道産素材を活用」、「主な製品 バンビキャラメル、バンビ生キャラメル、洋菓子全般」、「出展内容:バンビブランド商品のPR」と記載されており、北海道リンク社が本件商品1等の菓子の販売ないし展示、広告を行っていることがわかる。
(2)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品中の「菓子」について、本件商標を付した商品を要証期間に日本国内において販売していた。
3 平成29年2月3日付け口頭審理陳述要領書
(1)審理事項通知書について
ア 被請求人又は通常使用権者の行為について
被請求人又は通常使用権者である北海道リンク社は、本件商品1及び本件商品2の製造、販売、すなわち、商標法第2条第3項第1号「商品の包装に標章を付する行為」、同項第2号「商品の包装に標章を付したものを譲渡し、譲渡のために展示する行為」及び同項第8号「商品に関する広告に標章を付して展示する行為」を行っている。
イ 本件商品1のストーク社ヘの販売について
本件商品1のストーク社ヘの販売は、既に提出の乙第1号証ないし乙第6号証の商品パッケージ及び取引書類等により立証している。
ウ 乙第4号証について
乙第4号証は、本件商品1が被請求人とストーク社とのコラボレーション商品として製造され、ストーク社に販売されたことを立証するものである。
乙第4号証は、平成26年11月6日、7日にアクセス札幌で開催されたエキスポ1の被請求人の代表者に対する会場インタビュー動画像において、本件商品1が映っている画像を抜粋したものである。
エキスポ1は北海道の最大級のビジネスイベントであり、多数の企業が参加する中、長年、北海道民に親しまれてきた「バンビ」のブランドを復活させたことが注目され、特別にインタビューされているのである。
そこで、乙第14号証の1として乙第4号証の反訳、乙第14号証の2として乙第4号証の画像のプリント(ビジネスEXPO-TVサイト内抜粋画像)を提出する。
なお、請求人は、乙第4号証における「ビジネスEXPO-TV2015」との記載と実施年次に矛盾がある旨指摘しているが、それは「ビジネスEXPO-TV2015」において、2015年に開催されたビジネスEXPOだけでなく、2014年を含む過去に開催されたビジネスEXPOの動画が閲覧可能となっているためであり、乙第4号証には画像の上に「ビジネスEXPO 2014 会場インタビュー D&Iマネジメント株式会社」として、2014年のものであることが記載されており、年次に矛盾はない。なお、現在、当該サイトのタイトルはビジネスEXPO2016の動画も追加されたため、「ビジネスEXPO-TV2016」と表記されている。
エ 乙第13号証について
乙第13号証のエキスポ2における北海道リンク社の本件商標を使用した商品の展示、販売、広告については、現時点では提出可能な資料は見当たらなかったが、本会場では多数の企業が参加し、マッチング及び商談会が行われており、「バンビキャラメル」を通じて「バンビ」ブランドの宣伝広告が行われていたことが客観的に推察できるものである。
オ 請求人提出の弁駁書及び上申書に対する意見について
(ア)乙第1号証について
請求人は、乙第1号証は、いつ誰により撮影されたのかが不明な写真であるので、当該写真自体が、要証期間中の本件商標の使用を直接証明する証拠となり得ないと主張している。
しかし、乙第1号証は、北海道リンク社の代表取締役が平成28年5月上旬頃、同社内に保管していた本件商品1の商品パッケージを撮影したもので、上記ウのとおり、乙第1号証は乙第4号証のエキスポ1の被請求人の代表者に対する会場インタビュー動画に写っている商品と同じであり、乙第1号証が要証期間の本件商標の使用を証明する証拠であることは明らかである。
また、請求人は、本件商品1に使用されている商標は本件商標とは社会通念上同一とはいえない旨主張している。
しかし、本件商品1においては、「バンビ」と「キャラメル」が異なる書体により、しかも上下二段に表されていること、さらに、「キャラメル」の文字は商品「キャラメル」との関係で品質表示であることに鑑みれば、本件商品1においては「バンビ」部分のみが商標と認識されると解するのが妥当であり、本件商品1における「バンビ」の商標は、本件商標と称呼及び観念が共通する、社会通念上同一と認められる商標である。
(イ)乙第2号証、乙第3号証、乙第5号証及び乙第6号証について
請求人は、乙第5号証の1に記載の納品日とエキスポ1の開催日程が時系列的に矛盾していると主張している。
しかし、乙第5号証の1に記載の納品日は、乙第5号証の1の納品書が乙第5号証の2の請求書とともに発行されたため、便宜的に記載されたものであり、実際の納品日を示すものではない。
本件商品1のパッケージデザインは、被請求人を通さず、クオリティサポート社から直接印刷会社に納品されており、その納品日は2014年11月1日であって当該取引書類に時系列的な矛盾はない。
この点について、乙第15号証として本件商品1のパッケージを印刷した昭和レーベル印刷工業株式会社がクオリティサポート社宛てに発行した請求書を提出する。乙第15号証の左欄には各デザインの納品日が記載されており、「バンビキャラメル」については「14/11/01」、すなわち「2014年11月1日」と記載されている。
また、請求人は、乙第3号証及び乙第6号証の取引書類に「バンビ」や「BAMBI」の記載がないことを指摘しているが、伝票等の取引書類においては、スペース等の問題から商品名等が省略されることが多い商取引の実情に鑑みれば、これらの記載がないことをもって、これらの取引書類が本件商品1に対応するものであることが否定されることはない。むしろ具体的な商品表記と金額を照合すれば、商標「バンビ」に係るキャラメル商品であることは明らかである。
(ウ)「商標法における商品」について
請求人は、甲第5号証の「平成1(行ケ)139 平成元年11月7日 東京高判」を引用して、本件商品1はそもそも「商標法における商品」には該当しないと主張している。
しかし、甲第5号証の判決は、「おりがみ」に関するものであって、本件商品1のように製造者の表示が義務づけられている「キャラメル」のような食品に関するものではない。また、上記判決における対象「おりがみ」は、タケダ会の登録薬局のみに限定されて「販売促進のための宣伝サービス品のごあんない」と題する資料をもって案内されるものであり、専ら販促品として提供されているものである。
これに対し、本件商品1は、被請求人が一般の取引市場に提供することを目的として製造販売されるキャラメルであり、当時はストーク社とのコラボレーション商品として製造されたものである。依頼元のストーク社は、北海道民に親しまれてきたバンビブランドを復活させた商品で、そのブランドカを活用して自社の宣伝広告としても利用することを目的に購入し、北海道で最大級のビジネスイベントにおいて不特定多数の来場者に配付したものである。
よって、そもそも販促品としてのみ提供されている上記判決のおりがみとは事案が異なる。しかも、本件商品1にあっては、ストーク社の広告とは別に「バンビ」の商標が使用されており、「バンビ」の商標は製造者の表示とともに出所を識別するものと認識できるから、本件商品1に甲第5号証の判決をあてはめた請求人の主張は誤りである。
また、請求人は、甲第4号証の「取消2003-30309審決公報」を引用しているが、当該審決で認定されている商品「リンゴジュース」はテスト販売を目的として喫茶店で一時的に提供されたジュースであり、結局、当該テスト販売だけで終了し、その後に製造販売されていないという、本格的な使用につながらなかった特別な事情のある事案である。
これに対し本件では、後述のように、ストーク社に提供された後にも菓子店CouCouがバンビの商標を付したキャラメルを製造販売している事実が存在しており、また、キャラメル以外のプリン等の企画や製造販売へとブランドを拡大する実績にもつながっており、総合的に見れば、本格的な使用実績の一つとして認定すべき事実といえる。よって、本件商品1は、上記審決とは事案が異なり、本件に当てはめることは妥当でない。
(エ)「名目的な使用」について
請求人は、ストーク社ヘの本件商品1の販売は、「商標法における商品」の販売といえないことはもとより、本件商標の「名目的な使用」にすぎないことが明らかであると主張している。
しかし、被請求人及び北海道リンク社は、バンビブランドの復活に向けて、ストーク社に販売した本件商品1を手始めに、菓子店CouCouにおける本件商品3の継続的販売、そして、本件商品2の開発、販売を行っており、本件商標を使用した商品の製造、販売を「本格的に」実施している。
(2)菓子店CouCouにおける本件商品3の販売
ア 本件商品3のパッケージ
乙第16号証の1の1、乙第16号証の2の1及び乙第16号証の3の1は、本件商品3のパッケージの写真であり、本件商標(「バンビ」及び「生キャラメル」の文字)が使用されており、パッケージの裏面には、製造者として「(株)北海道リンク」が記載されている。
また、同じくパッケージの裏面には賞味期限が記載されており、乙第16号証の1の1における賞味期限は「2015年10月23日」、乙第16号証の2の1における賞味期限は「2015年12月18日」、乙第16号証の3の1における賞味期限は「2015年12月30日」となっており、本件商品3の賞味期限が製造から発売日も含め7日以内に設定されていることに鑑みれば、本件商品3が要証期間中に製造、販売されたものであることがわかる。
また、乙第17号証は、本件商品3のパッケージに使用されているシールデータを印刷したものである。同シールデータは北海道リンク社内で制作されたものであり、シールの印刷及び貼付は菓子店CouCou内で行われている。
イ 本件商品3の販売実績
乙第18号証から、本件商品3「生キャラメル」が菓子店CouCouのオープン(2015年10月10日)以降、一箱300円で販売されており、2015年10月には27個、2015年11月には74個、2015年12月には51個、2016年1月には30個、2016年2月には63個が販売されていることがわかる。
乙第18号証は、北海道リンク社の内部資料であるが、菓子店CouCouで販売された菓子の売上金額は、乙第19号証の北海道リンク社の仕訳一覧表に記載の金額と一致しており、また、乙第20号証の税務申告書類(取引明細書)に記載の菓子の売上金額に対応している。乙第18号証及び乙第19号証は税込み価格での計算であるのに対し、乙第20号証は税抜き価格での計算となっているため金額は一致していないが、例えば、2015年10月の合計金額は乙第18号証の1及び乙第19号証の1では「751,010円」となっているところ、乙第20号証の1では「695,379円」であり、「695,379円」に消費税分を加えた額「751,009.32円」は小数点以下の処理により若干のずれがあるもののほぼ一致している。
ウ 本件商品3の製造、販売の経緯
乙第21号証は、北海道リンク社が、本件商品3の製造、販売にあたり事業支援を受けるために日本商工会議所に提出した、平成26年度補正小規模事業者持続化補助金事業申請書類であり、乙第22号証は、同補助金事業の補助金の交付決定通知書である。
乙第21号証の2ないし乙第21号証の4には、「本事業で復活させるブランド『バンビキャラメル』について」、「生キャラメル製品は、自社工場で製造し」、「手作りの生キャラメル」の記載があり、本件商品3が同事業支援を受けてバンビブランド復活のために製造、販売された商品であることがわかる。
乙第23号証は、同補助金事業の支援に基づく専門家の就任承諾書であり、乙第24号証は、専門家からの指導に関する記録である。指導等記録においては、試作品の味の確認や改良の検討、パッケージの検討等が行われており、本件商品3の商品開発において専門家から指導を受けていたことがわかる。
被請求人は、自らが運営する障害者の自立支援のための授産施設において製造、販売する菓子について北海道民に長年親しまれてきたバンビブランドを使用することを目的として、破産した株式会社北海道村が所有していたバンビブランド関連商標に係る商標権を競争入札により落札したことは、既に述べたとおりである。
被請求人にとって、バンビブランド関連商標に係る商標権の落札金額は決して安いものではなかったが、道民に愛され続けているバンビブランドであれば、長期的に販売可能な商品を製造・販売することによって、菓子の商品パッケージのシール貼りなど授産施設における継続的な雇用を創出・確保すると考えられ、長期的な視野にたってバンビブランド関連商標を取得したのである。
とはいえ、被請求人及び北海道リンク社にとって、バンビブランド商品の製造、販売の道は技術的にも資金的にも楽なものではない。そこで、補助金等の事業支援や専門家の指導を受けて、ストーク社に販売した本件商品1に続き、自らロゴを制作、印刷するなど、無駄な出費を抑えつつ、本件商品3を地道に製造、販売し続けているのである。このように、被請求人は、パンフレットやCM、新聞広告等のような高額の資金をかけて大々的に宣伝広告することはできないが、様々な苦労と工夫を積み重ね、多くの方々のサポートも得て、バンビブランドを復活させたのである。
しかも本件審判においては、要証期間には、前述した株式会社北海道村が倒産した2013年2月25日以降同年9月30日に商標権の競売入札があり、同年11月25日に本件商標権移転の手続を経て2014年1月10日に被請求人に本件商標権が移転登録された旨の通知がなされる期間が含まれている。つまり、要証期間において、被請求人が本件商標権者として本件商標を使用、許諾できる期間は、実質的に2年ほどしかなかったのである。
被請求人及び北海道リンク社は、授産施設における継続的な雇用を創出、確保するために、大手食品製造会社とバンビキャラメルのOEM生産の商談を行っているものの、現時点では条件が折り合わず実現していない状況ではあるが、本件商品3に続き、北海道土産として人気の高い本件商品2の製造、販売などを行い、バンビブランド商品事業を軌道に乗せるために尽力している最中である。
4 平成29年4月4日付け上申書(2)
(1)証拠資料の補充
ア 本件商品1に関する資料
(ア)ケースに関する請求書(乙25)
乙第25号証には「生キャラメル用ウッド 杉 300個」、「生キャラメル用ウッド白杉 300個」と記載されており、乙第2号証の見積書、乙第5号証の1の納品書及び乙第5号証の2の請求書と数量は一致する。
なお、乙第25号証において「品番・品名」欄に「生キャラメル用」と記載されているのは、株式会社共同商販は、株式会社北海道村が販売していた生キャラメルケースの製造を行っていた経緯があるところ、本件商品1のケースはその株式会社北海道村が使用していた生キャラメルケースと同じものを指定しているため、上記品番・品名の記載になっている。
よって、乙第25号証の請求書が本件商品1のケースに関するものであり、本件商品1及び本件商品3のケースとして実際に使用されたことを裏付ける証左になる。
(イ)ケース及びシールの支払いに関する資料(乙26)
乙第26号証として北海道リンク社の通帳の写しを提出する。
乙第26号証には、平成26(2014)年12月3日にクオリティサポート社宛ての70,524円の支払金額が記載されている。
クオリティサポート社発行の乙第5号証の2の請求書における請求金額は69,984円であるところ、北洋銀行から他行である北海道銀行への振込み手数料540円を加えるとちょうど70,524円となる。
よって、乙第26号証は本件商品1のケース及びシールに関わる取引書類の証拠として認められる。
イ 本件商品3に関する資料
(ア)精算レポート(乙27)
精算レポート(乙27)は、菓子店CouCouのレジスターに打ち込まれた商品の販売実績について、一日ごとの客数、商品の個数、金額を記録したものである。
乙第18号証の商品個別売上表は、精算レポート(乙27)の記録をもとに記載したものである。そして、乙第27号証は2015年10月分のものであるところ、同精算レポートに記載の生キャラメルをはじめとする各商品の販売個数及び総売上は乙第18号証の1の記載と一致している。
よって、乙第27号証は、菓子店CouCouのレジスターの記録、すなわち、商品レシートの控えに相当するものであって、書き換え不可能なものであるから、乙第18号証の信ぴょう性の高さが裏付けられるとともに、本件商品3が実際に販売されていたことの信ぴょう性がより高まったといえる。
(イ)陳述書(乙28、乙29)
乙第28号証の1に署名のC氏は、2015年11月24日午後2時頃、雑誌「poroco」の特集記事(乙28の2)の取材の際に菓子店CouCouにおいて本件商品3が販売されていることを確認し、試食もしている。
また、乙第29号証に署名のD氏は、2015年12月23日夕方に菓子店CouCouを訪れてクリスマスケーキを購入した際に本件商品3を販売しているPOP及び販売状況を確認している。
両氏は、利害関係人ではなく、菓子店CouCouにおける本件商品3が現に販売されていたことを知る者として、その陳述の信ぴょう性は高い。
(ウ)本件商品3のPOP(乙31)
乙第31号証として菓子店CouCou内に掲示された本件商品3のPOPを提出する。
(2)請求人提出の口頭審理陳述要領書に対する反論
ア 本件商標の使用について
本件商標は、授産施設における継続的な雇用を創出、確保のために、北海道で著名であったお菓子のバンビブランドを活用する目的で、競争入札により6件の商標権をまとめて高額な金額で落札したことに始まり、本件商品1の販売、補助金申請や経営の専門家による指導を受けながらの菓子店CouCouの開店、菓子店CouCouにおける本件商品3の販売、そして、北海道菓子工業組合から「北海道お菓子フェア2016」への出品依頼に伴う本件商品2の開発と販売へとつながっている。かかる一連の継続的な商取引の流れを見れば、本件商標が単に名目的に使用されているのではなく、本格的に使用されているものであることが容易に理解できるであろう。
被請求人が口頭審理においても述べたとおり、本件商品1の販売個数が300個であるところ、その2倍の600個のケースを注文したのは(乙2、乙5)、本件商品3の販売にも利用するためであって、本件商品1は本件商品3につながる継続的な販売の流れの一貫として販売されたものであり、決して名目的なものではない。
さらにいえば、本件商標に係る競争入札では、入札の参加について広く周知されており、請求人も入札に参加したと推察されるところ、被請求人は請求人の入札金額を上回る最も高額な金額で落札しているのであり、被請求人が本件商標の「名目的な」使用のためにそのような多額の費用を費やすことは常識的に考えられず、その後の商取引の動きと相まって自ら使用するために落札したことは明白である。
また、本件商品3についても後述するとおり、請求人の主張は、あるブロガーのブログ等の一部の写真だけ、キャラメルの値段だけのように、ある一部のみを取り出し、ときには誇張して、被請求人の本件商品3に関する証拠があたかも偽証であるかのように主張するものであって、いずれも各乙号証を否定する根拠としてあまりに乏しい。
なお、請求人は再三パンフレットやチラシが提出されていないことを指摘しているが、商品を製造販売するにあたってパンフレットやチラシが必須のアイテムではないし、また、製造コスト及び販売コストを抑えることは利益を生み出すための経営の基本である。現在、製造、販売コストを抑えるために外注しない、宣伝広告を打たない、あるいは最小限に抑えることは、よく使われる経営手法である。よって、そもそもパンフレットやチラシがないことをもって本件商標の使用を否定できないことは明らかである。
イ 本件商品1のストーク社ヘの販売について
本件商品1のパッケージには、「stork 真空パネル暖房機」の写真の下方に、当該写真よりも大きな表示で、商標「バンビ」及び商標「図形+BAMBI」が明示されている。このような商標の使用態様が単なる販促品であろうはずがない。明らかに、ストーク社がバンビブランドの顧客吸引力を利用しつつ、自社製品の宣伝広告を兼ねて配付したことがわかる。このことは、乙第14号証のインタビューや乙第16号証の3の2の陳述書でも裏付けられる。
ウ 乙第4号証について
上述したとおり、エキスポ1に関わる本件商品1の製造、販売を皮切りに、その後、菓子店CouCouにおける本件商品3の製造、販売へとつながり、更に「北海道お菓子フェア2016」への本件商品2の出品依頼、そして菓子店CouCouにおける本件商品2の製造、販売へと展開するに至っているのである。このような展開に鑑みれば、本件商品1は重要なスタートアップ商品であり、これを一連の商取引の流れから分離して商標法における商品に該当しない等と主張する方が不自然である。
請求人の主張は、本件商品1に「バンビ」の商標や「図形+BAMBI」の商標が商品の表面に大きく明示されているにも関わらず、ストーク社の製品を宣伝広告するシールが一緒に貼付されていることをもって、途端に商標としての機能が失われ、商標法の商品にすら該当しなくなることになり、違和感を禁じ得ない。
エ 「バンビ」と「BAMBI」について
「バンビ」の語は、我が国でも親しまれている、オーストリアの作家ザルテン作の子鹿のバンビを主人公とする童話に由来するものであり、その英語表記である「BAMBI」も「バンビ」を意味するものとしてよく知られているものである(乙30)。
また、菓子業界では、「バンビ」あるいは「BAMBI」のキャラメルとして、池田製菓株式会社から株式会社北海道村、被請求人へと70年近く継続して使用されてきている実情に鑑みれば、両者が社会通念上同一と認められることに疑念の余地はない。
したがって、欧文字「BAMBI」とカタカナ文字「バンビ」は称呼はもとより、観念も一致するとの被請求人の主張は妥当である。
なお、請求人は「BAMBI」及び「バンビ」の使用について、ディズニー社の商標へのフリーライド行為云々と述べているが、本件商標に係る商標権者の変遷をみればわかるとおり、「バンビ」及び「BAMBI」は池田製菓株式会社、株式会社北海道村及び被請求人へと受け継がれている北海道を代表する菓子のブランド商標であって、フリーライド云々と指摘されるいわれはない。
オ 本件商品3について
(ア)陳述書について
請求人は、陳述書について「いずれも被請求人と深い関係を持つ利害関係人の陳述であって、客観性を全く欠くものである。」と主張している。
しかし、この主張の根拠がそもそも誤っており、失当である。「利害関係人」とは、法律上の利害関係人を指すところ、陳述人のうち、A氏(乙16の2の2)及びB氏(乙16の3の2)は、使用権者等ではなく、本件審判の結果によって法律上、なんら利害を受ける者ではないから、「利害関係人」ではない。
なお、本上申書(2)において新たな陳述書を追加している(乙28の1、乙29)ところ、このように多くの利害関係人でない方々が本件商品3の販売の事実を陳述してくれていることからも、本件商品3の販売の事実が、より一層、信ぴょう性の高いものであることがわかる。
(イ)本件商品3がショーケース内に展示されていないとの指摘について
本件商品3は、そもそも冷蔵式ショーケースに入れて販売していない商品である。本件商品3の箱はショーケース内ではかさばり、他のケーキの展示の邪魔になるため、保管スペースの都合上、別のストッカーに保管されている。そして、店内には本件商品3のPOP(乙31)が掲示されている。
なお、請求人が主張する甲第6号証ないし甲第8号証は、ブロガーの好みや都合によって撮影されており、しかも通常、ある一日の写真であるから、要証期間における菓子店CouCouの全ての取扱商品を撮影したものではない。一方、菓子店での品揃えや展示位置は商品の売れ行きや在庫状況、パテシェのお薦め商品によって変更、修正されるのが当たり前である。
よって、数枚のブログの写真をもって本件商品3が販売されていないことの証明にはならない。
(ウ)乙第18号証の「スペシャル苺のシュークリーム」の表記について
1月の商品個別売上表に「スペシャル苺のシュークリーム」の記載がないのは、12月に販売していた「サンタの帽子」の300円の欄を書き換えて使用すべきところをそのまま残して使用していたためである。スペシャル苺のシュークリームは定番商品ではなく、当時、苺の在庫が多めに残っていたためパテシェが特別に作った商品であった。結局、スペシャル苺のシュークリームは売れなかったため、書き換える必要性がないまま販売を終了したという事情がある。
よって、「スペシャル苺のシュークリーム」をわざわざ「生キャラメル」に書き換えて提出したものでは決してない。
なお、請求人は、商品個別売上表があいうえお順に商品名が列記されているにも関わらず、「生キャラメル」があいうえお順に従っていないことの疑念を指摘しているようである。
しかし、この指摘は都合良く一部の商品列だけを抜き出して曲解しているにすぎない。つまり、1月でいえば、チーズタルト、DXショコラ、フルーツサンド等はあいうえお順に従っていないし、12月もサンタの帽子、シュークリーム、ホワイトロール、クッキー、イチジクパウンド、ショコラロール等々、むしろあいうえお順に従っていない商品の方が多いことが明白である。
よって、当該請求人の主張は、事実をわい曲して解釈しているものであり、認められるべきものではない。
(エ)本件商品3の値段について
請求人は、本件商品3の300円という金額設定は、他社の製品の値段と比べると極めて不自然な程の安価であると指摘している。
本件商品3は、生キャラメルが「6個入り」であるところ、比較対象製品は、いずれもこれよりも多い個数が入っている。
例えば、株式会社北海道村の630円の生キャラメルには少なくとも12個が入っていたことが認められるところ、単価にすると52.5円であるから、本件商品の6個入りに換算すれば315円となる(乙32)。
また、ストーク社の600円は、ストーク社にバンビのオリジナル商標と、ストーク社の広告料も含めた特別パッケージを外注しているため、その分が加算された値段になっている。
また、補助金交付申請時の事業計画書では「10粒入り」を想定しており、しかも請求人が指摘する864円は主にお土産用として駅や空港における売値の価格であって、その卸値は540円である旨が明記されている。本件商品3は自社内で製造し、自社で販売する商品であるから卸値で充分に利益がだせる。これを基準にすれば1個あたり54円であって本件商品3の6個に換算すれば324円である。
さらに、花畑牧場の生キャラメルが600円程度との指摘であるが、甲第12号証における花畑牧場「8粒入り」以上の商品であり、6個換算であれば486円相当である。この花畑牧場の生キャラメルは、千歳空港内において各所で大規模な広告をうっており、また雑誌やチラシ等でも大々的に広告を出していることはよく知られており、広告費用が商品の値段に加算されていることは通常の取引者であれば容易に想像がつく。
本件商品3は、そのような広告費用やパッケージ費用を自社内で製作することにより抑制し、菓子店CouCouを訪れた方に売れる値段と得られる利益を考慮して値段を決定している。このような取り引きの実情を考慮もせずに、「不自然に安価」であると偽証を指摘する請求人の主張は全く合理性がない。
(オ)本件商品1及び本件商品2のシールが外注であるのに対し、本件商品3のシールが自社内制作であるとの指摘について
本件商品1はストーク社に納品する商品であり、本件商品2は商工会議所から「北海道お菓子フェア2016」に出店を依頼されて大々的に提供する商品であり、パッケージについてはいずれも依頼者の要望に迅速にする対応するため、自社制作は難しく、専門業者に外注する必要があった。
しかもクオリティサポート社は、株式会社北海道村の頃からバンビキャラメルのパッケージ制作を担当している会社であるため、従来のバンビキャラメルのパッケージデザインや版等について熟知している。被請求人としては、そのノウハウを利用させてもらうことのメリットは大きいと考えて、クオリティサポート社に制作を外注したのである。
一方、本件商品3は、自社の菓子店CouCouで販売する商品であるから他のケーキと同様、ハンドメイド感を前面に出すことが可能であり、外注コストをかけずに自社で制作してコストを抑えることを優先したのである。
また、被請求人は、株式会社北海道村が倒産した経緯も知っているため、生キャラメルの売値と利益の確保を厳しく定める必要があると考えており、キャラメルの箱については、ストーク社に販売した際に購入した300箱を利用し、シールを自社内で制作し、障害者の方々に貼り付け作業をお願いすることにより、極力コストを抑えているのである。
以上、本件商品1及び本件商品2のパッケージシールの制作をクオリティサポート社に依頼し、本件商品3のパッケージシールを自社内で制作することには、なんら不自然な点はないことが明らかである。
5 平成29年12月20日付け回答書
被請求人は、乙第27号証として提出した菓子店CouCouの精算レポートを撤回する。
乙第27号証について、請求人より平成29年4月25日付け上申書(2)において指摘された点を北海道リンク社に確認したところ、乙第27号証は保管されていた当時のものではなく、同年3月14日の口頭審理終了後、北海道リンク社により新たに作成されたものと判明したためである。

第4 当審の判断
1 被請求人が提出した証拠及び同人の主張によれば、以下のとおりである。
なお、本件商品2(プリン)については、被請求人から主張を裏付ける証拠の提出がないため、これについては、判断しない。
(1)乙第1号証は、被請求人によれば、キャラメルの包装箱の写真の写し(別掲)であり、その木目模様の包装箱には、帯状のシールと思しきものが貼付されている。
当該シールの上部は白地であり、下部の背景はイチゴの図柄である。そして、白地部分には線書きした角丸長方形の内側に「stork」の文字が表示され、さらに、「真空パネル暖房機」、「HPアドレス:http:www.h-stork.com」及び「※株式会社ストークは本広告を通じて福祉活動を応援します。」の各文字のほか、暖房機と思しき図形が表示されている。
(2)乙第2号証は、平成26年10月31日付けで、クオリティサポート社が本件商標権者宛てに作成した見積書の写しであり、「品名」、「数量」、「金額」の欄があり、1行目には順に「バンビキャラメルウッドケース 白杉」、「300」、「14,400」の記載があり、2行目には順に「杉」、「300」、「14400」の記載があり、4行目には、「バンビキャラメルシール(広告(株)ストーク)」、「500」、「24000」の記載があり、5行目には順に「データ制作費」、「1」、「12000」の記載がある。
(3)乙第3号証は、2014年(平成26年)11月4日付けで、本件商標権者がストーク社宛てに作成した見積書の写しであり、「御見積内容」、「数量」、「金額」の欄があり、1行目には順に「ソフトキャラメル8粒入(いちご)」、「300箱」、「180,000」の記載がある。
(4)乙第4号証は、「ビジネスEXPO-TV」と称するインターネット上で公開されている動画のハードコピーの写しであり、「ビジネスEXPO2014会場インタビュー D&Iマネジメント株式会社」と題する画像が3枚貼付されており、その画像には、乙第1号証の写真と同じ図柄の包装箱が確認できる。
(5)乙第5号証の1は、2014年(平成26年)11月20日付けで、クオリティサポート社が北海道リンク社宛てに作成した納品書の写しであり、「商品コード/商品名」、「数量」、「金額」の欄があり、1行目には順に「キャラメルシール(ストロベリー)」、「500」、「24,000」の記載、2行目には順に「キャラメルシール データ制作」、「1」、「12,000」の記載、3行目には順に「キャラメル用ウッドケース 杉」、「300」、「14,400」の記載、4行目には、「キャラメル用ウッドケース 白杉」、「300」、「14,400」の記載があり、税抜額として「64,800」の記載、消費税額として「5,184」の記載、合計として「69,984」の記載がある。
(6)乙第5号証の2は、2014年(平成26年)11月20日付けで、クオリティサポート社が北海道リンク社宛てに作成した請求書の写しであり、乙第5号証の1と同様の内容が記載されている。
(7)乙第6号証は、2014年(平成26年)12月24日付けで、本件商標権者がストーク社宛てに作成した請求書の写しであり、「今回ご請求金額 ¥150,000」のほか、「摘要」、「数量」、「金額」の欄があり、1行目には順に「ソフトキャラメル8粒入(いちご)」、「300箱」、「180,000」の記載がある。
(8)乙第13号証は、「北海道ベンチャー・スタートアップEXPO2014」と題するイベントのパンフレットの写しであり、表紙に「HOKKAIDOベンチャー・スタートアップEXPO 2014.12.4 ホテルさっぽろ芸文館(旧厚生年金会館) 出展者一覧」の文字が記載され、1ページ上方に「『北海道ベンチャー・スタートアップEXPO2014』は、道内のコワーキングスペースなどで活動する、優れた技術・サービスを有するスタートアップ・個人事業主、並びに大企業・中小企業との接点を求めるベンチャー企業が一堂に会し、販路拡大や業務委託、事業提携等の促進を図るとともに、今後の更なる飛躍のための資金需要を求めるスタートアップに資金調達の機会提供を目的とした、北海道最大規模のベンチャー・スタートアップの祭典です。」との記載があり、10ページ右下方に出展者として「株式会社 北海道リンク」が掲載されており、「長年道民に親しまれてきたバンビブランドを復活させ、地域資源である道産素材を活用」、「◇事業内容 ・主な製品 バンビキャラメル、バンビ生キャラメル、洋菓子全般・・・」及び「◇出展内容:バンビブランド商品のPR」の記載がある。
(9)乙第14号証の1は、被請求人代理人作成の乙第4号証の反訳であり、「ビジネスEXPO-TV(・・・) ビジネスEXPO2014 会場インタビュー『D&Iマネジメント株式会社』」と題し、「?2014年11月6日 ビジネスEXPO2014会場にて?」、「・司会者:株式会社桐光クリエイティブ 代表取締役 Y氏」、「・インタビュイー:D&Iマネジメント株式会社 代表取締役 M氏」と記載されている。当該書面の3葉目には、「司会者:(バンビのパッケージを手に持って)・・・これよく見ると、(バンビのパッケージの真空パネル暖房機の絵を指さして)今回出店されているストークさんという会社の、真空パネル暖房機の絵がありますが、これは、企業の、・・・PR商品としてコラボレーションしたっていうことでしょうか。」及び「M氏:はい。私どものこのキャラメルの復活に伴ってですね、キャラメルをただ作るだけではなくて、様々な企業さんに応援していただいて、・・・今回この株式会社ストークさんが、まず第1のお客さんとなっていただいて、・・・このEXPOで配らせていただいております。」の記載がある。
(10)乙第15号証は、2014年(平成26年)11月20日付けで、昭和レーベル印刷工業株式会社がクオリティサポート社宛てに作成した請求書の写しであり、「年月日」、「品名」、「数量」、「金額」、「備考」の欄があり、8行目には、順に「14/11/01」、「バンビキャラメル」、「500」、「15,000」、「(株)北海道リンク工場様」の記載がある。
(11)乙第16号証の1の1は、「本件商品3の写真((株)北海道リンク代表取締役 保管)」の表題の下、撮影日を平成29年1月31日とする木目模様の箱の表面及び底面を撮影した写真2枚が上下2段に配されている。上段の写真には、茶色の線で書された円内に子鹿と思しき図形が表示され、その足下に黄色で「バンビ生キャラメル」の文字とその下に茶色で「BAMBI」の文字が表示されている。下段の写真には、右下に「品名 バンビキャラメル」、「名称 生キャラメル」、「内容量 6個」、「賞味期限 2015年10月23日」及び「製造者 (株)北海道リンク」などの文字が表示されている。
(12)乙第16号証の1の2は、北海道リンク社代表取締役による平成29年2月1日付けの陳述書の写しであり、「1.・・・当社はダイバーシティ&インクルージョンマネジメント株式会社からバンビ関連商標の使用許諾を受けまして、・・・菓子店CouCouにおいてバンビ生キャラメルを製造販売しております。2.・・・私としても思い入れの強い商品でしたので、バンビブランド復活の記念として、上述の菓子店で販売していた商品を平成27年10月に自ら購入し、その箱を保管しておりました。」と記載されている。
(13)乙第18号証の1は、「Patisserie CouCou 商品個別売上表」の写しであり、表の左上部に「2015年10月」とあり、「商品名」及び「単価」の23行目に「生キャラメル」及び「¥300」と記載され、同商品の10/11(日)から10/31(土)までの「合計」の「個数」は「27」であり、「金額」は「8,100」である。
(14)乙第25号証は、2014年11月30日締切分、株式会社共同商販がクオリティサポー社宛てに作成した請求書の写しであり、「伝票日付」、「品番・品名」、「数量」、「御買上額」の欄があり、1行目には、順に「2014/11/14」、「生キャラメル用ウッド杉 外3.5×120×120×40」、「300」、「12,300」の記載があり、2行目には、「品番・品名」から、「生キャラメル用ウッド白杉 外3.5×120×120×40」、「300」、「11,700」の記載があり、さらに、3行目には、「★11/1 (株)北海道リンク工場様」の記載がある。
(15)乙第28号証の1は、平成29年3月29日付けの札幌市所在のC氏による陳述書の写しであり、その陳述内容は、「平成27年11月24日に、菓子店CouCouにおいて、同店で販売されていた本件商品3を試食した。当該商品は、バンビの絵柄と『BANBI』(※審決注:「BAMBI」の誤記と思われる。)の文字が書かれたパッケージの箱に入っていた。」というものである。
(16)乙第29号証は、平成29年3月30日付けの札幌市在住のD氏による陳述書の写しであり、その陳述内容は、「平成27年12月23日に、菓子店CouCouにおいて、『バンビ生キャラメル』の商標が付された箱の写っているPOPが飾られ、本件商品3が販売されていた。」というものである。
(17)乙第31号証は、被請求人によれば、菓子店CouCouに掲示されていた本件商品3のPOP広告の写しであり、乙第16号証の1の1の上段の写真の箱と同一の態様の箱とキャンディ状にラッピングされたものを入れた蓋を開いた状態の箱を並べて写した写真を背景に、「バンビ生キャラメル」、「¥300(税別)」及び「Patisserie COUCOU」の文字が表示されている。
2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)本件商品1(乙1)について
被請求人は、要証期間に、本件商品1をストーク社に販売したと主張する。
ところで、「商標法における『商品』とは、商取引の目的物として流通性のあるもの、すなわち、一般市場で流通に供されることを目的として生産され又は取引される有体物であると解すべきである。」と判示されている(平成1(行ケ)第139号)。
そこで、本件商品1が商標法上の商品であるか否かについて、以下、検討する。
本件商品1は、ストーク社の発注により本件商標権者が生産し、要証期間にストーク社に引き渡した「キャラメル」と認められ(乙2?乙6、乙14の1、乙15、乙25)、また、平成26年(2014年)11月6日、7日開催のエキスポ1の会場で無償で配布されたものと認められる(乙4、乙14の1)。
そして、当該「キャラメル」には、「stork」、「真空パネル暖房機」、「HPアドレス:http:www.h-stork.com」及び「※株式会社ストークは本広告を通じて福祉活動を応援します。」の記載がある(ただし、本件商標権者の名称の記載はない。)(乙1)。
そうすると、本件商品1は、ストーク社の事業の広告宣伝のために、エキスポ1の会場で、ストーク社が来場者に無償配布することを目的として生産されたものであるから、一般市場で流通に供されることを目的に生産された物であるとは、到底いえない。
したがって、本件商品1は、商標法上の商品とはいえず、ほかに、本件商品1と同等の物が、要証期間に、一般市場で流通に供されることを目的として生産され又は取引された事実も見いだせない。
(2)本件商品3(乙16の1の1)について
被請求人は、本件商品3の裏面の賞味期限が2015年(平成27年)10月23日であることから、本件商品3は、要証期間に製造、販売されたものであり、また、本件商品3が菓子店CouCouにおいて販売されていたことは、同店の「商品個別売上表」(乙18の1)及び同店の店内POP広告(乙31)で裏付けられると主張する。
しかしながら、本件商品3が上記「商品個別売上表」に記載された商品「生キャラメル」と同一の商品であること及び上記店内POP広告が要証期間に店内に置かれていたことを裏付ける客観的証拠の提出はなく、また、陳述書(乙16の1の2、乙28の1、乙29)にしても、被請求人の主張に添う内容ではあるものの、客観的な裏付けがなく、これを主たる証拠として被請求人の主張する事実を認めることはできない。
したがって、要証期間に、本件商品3が製造、販売されたということはできない。
(3)乙第13号証について
被請求人は、要証期間に開催されたイベントにおいて、本件商標を使用したキャラメル等の菓子の販売、展示、広告を行ったと主張し、その証拠として、2014年(平成26年)12月4日に開催されたエキスポ2の出展者等が掲載されたパンフレット(乙13)を提出し、当該パンフレットの北海道リンク社の欄に「長年道民に親しまれてきたバンビブランドを復活させ、地域資源である道産素材を活用」、「主な製品 バンビキャラメル、バンビ生キャラメル、洋菓子全般」、「出展内容:バンビブランド商品のPR」と記載されていることをもって、本件商標の使用をしたとしている。
しかしながら、上記製品(バンビキャラメル、バンビ生キャラメル、洋菓子)に本件商標が使用されていたことを裏付ける証拠は提出されておらず、ほかに、当該イベントにおいて本件商標が使用されたことを確認できる事実は見いだせない。
したがって、要証期間に開催されたイベント(乙13)で本件商標を使用したキャラメル等の菓子の販売、展示、広告を行ったということはできない。
3 小括
以上によれば、本件商標権者(被請求人)、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、要証期間に日本国内において、本件商標(社会通念上同一のものを含む。)を本件商標の指定商品について使用したと認めることができない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をしたことを証明したということはできない。
また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商品1

(色彩は原本参照)


審理終結日 2018-05-09 
結審通知日 2018-05-14 
審決日 2018-06-11 
出願番号 商願2008-96314(T2008-96314) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (X30)
最終処分 成立 
前審関与審査官 黒磯 裕子 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 小松 里美
松浦 裕紀子
登録日 2009-12-18 
登録番号 商標登録第5287913号(T5287913) 
商標の称呼 バンビナマキャラメル、バンビ、ナマキャラメル 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 苫米地 正啓 
代理人 中村 稔 
代理人 松尾 和子 
代理人 小林 基子 
代理人 石戸 孝 
代理人 佐川 慎悟 
代理人 藤倉 大作 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 辻居 幸一 
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