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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z09 |
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管理番号 | 1343093 |
審判番号 | 取消2017-300374 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2017-06-02 |
確定日 | 2018-07-13 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1469182号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1469182号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの態様よりなり、昭和53年6月20日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同56年7月31日に設定登録され、その後、平成13年11月7日に、指定商品を第9類「配電用又は制御用の機械器具,電気磁気測定器,搬送機械器具,表示灯,電子応用機械器具」及び第17類「絶縁用ゴム製品」とする指定商品の書換の登録がされ、現に有効に存続しているものである。 なお、本件審判の請求の登録日は、平成29年6月19日である。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の指定商品中、第9類「電子応用機械器具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求めると申し立て、その理由を次のように述べた。 本件商標は、その指定商品中の第9類「電子応用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第16号証(枝番を含む。)を提出した。 1 本件商標の使用状況等 (1)カタログへの使用について 被請求人発行のカタログ(乙1)の最終頁には、本件商標が表示されている。そして、同頁において紹介されている営業品目には、「電子応用製品」として「電子応用機械器具・電子回路」のほか「各種生産システム・制御装置・制御器・監視装置」と紹介され、また同じく営業品目として、「電子計算機のプログラムの設計、作成及び保守」が紹介されている。なお、乙第1号証のカタログの最終頁右下にCAT20001-1606と表示しているが、この末尾4桁が発行年月の表示であり、乙第1号証のカタログの発行が2016年6月であることが分かる。 これは被請求人の事業における需要者に対して被請求人が本件商標を付して電子応用機械器具の製造販売を行っているという紹介であり、被請求人が本件商標を、「電子応用機械器具」について、本件審判の請求登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に商標的使用をしていることとなる。 (2)業界誌の広告への使用について ア 「金沢工業会誌」のNO.177(2015年4月号)(乙2)、NO.180(2016年4月号)(乙3)、NO.183(2017年4月号)(乙4)及び「北陸 電気と工業 2017春」(乙5)において、被請求人は全頁広告を掲載し、その中で、本件商標を表示するとともに、営業品目として、「電子応用製品」として「電子応用機械器具・電子回路 各種生産システム・制御装置・制御器・監視装置」、「電子計算機のプログラムの設計、作成及び保守」が紹介されている。 これら業界誌への広告掲載は、被請求人の事業の需要者に対して被請求人が本件商標を付した電子応用機械器具の製造販売を行っているという業界誌発行時における意思表示であり、被請求人が本件商標を、「電子応用機械器具」について要証期間内に商標的使用をしていることとなる。 イ 「商標法第50条の主な趣旨は、登録された商標には、その使用の有無にかかわらず、排他独占的な権利が発生することから、長期間にわたり全く使用されていない登録商標を存続させることは、当該商標に係る権利者以外の者の商標選択の余地を狭め、国民一般の利益を不当に侵害するという弊害を招くおそれがあるので、一定期間使用されていない登録商標の商標登録を取り消すことについて審判を請求することができるというものである。上記趣旨に鑑みれば、商標法第50条所定の「使用」は、当該商標がその指定商品又は指定役務について何らかの態様で使用されていれば足り、出所表示機能を果たす態様に限定されるものではないというべきである(知財高判平成27年11月26日)。」との判断がなされている。したがって、商標法第50条における使用は、何らかの態様で使用されていれば足りる。 そうすると、乙第1号証ないし乙第5号証における本件商標の使用が商標的使用に該当しないとしても、商標法第50条における使用に該当することは明らかである。 (3) プリント回路基板及びプリント回路基板を埋め込んだ製品への使用について。 プリント回路基板は、電子応用機械器具に該当する。 ア 被請求人は株式会社明光商会が販売するシュレッダーについて、定期的にプリント回路基板等を納品している(乙6)。このプリント回路基板等は、シュレッダーのスイッチ部分に使用されている。これらのプリント回路基板の一連の製造過程にかかる注文書・納品書には本件商標が付されているほか、乙第8号証の2にあるようにプリント回路基板の製品そのものにも「Daina」の商標が付されている。納品書等(乙7、乙8の1、乙9の1)の宛名は、被請求人が製造委託している取引先である。 乙第7号証はプリント回路基板等の発注にかかる注文品は、平成28年6月3日に10,020個が被請求人に納品されているという証拠である。また、乙第8号証にかかるプリント回路基板は平成29年2月20日に500個が被請求人に納品された。乙第9号証はプリント回路基板を組み込んだシュレッダーのスイッチ部分全体の製品の注文であり(乙6の2)、平成28年12月12日に1,248個が納品されている。 イ 被請求人は、株式会社愛工舎製作所の業務用調理機械器具の操作パネルについても発注を受け、継続的に納品をしている(乙10)。 乙第11号証は、同社の調理器具の操作パネルである「Vパネル基板」(プリント回路基板)の発注にかかるものであり、平成29年2月2日に200個が納品されている。なお、品番の末尾のアルファベットが異なっているが、仕様の違いであって基本設計は同一である。乙第12号証も業務用調理機械器具に使用するプリント回路基板にかかる発注であるが、平成28年11月4日に300個が納品されている。いずれも、プリント回路基板本体に「Daina」の商標が付されている。 なお、納品書等(乙11の1、乙12の1)の宛名は、被請求人がプリント回路基板を製造委託している取引先である。 ウ 被請求人は株式会社中西製作所の厨房機器についても温度管理のための操作パネルに使用するプリント回路基板等を納品している(乙13)。 乙第14号証のプリント回路基板は平成28年12月2日に500個納品されている。なお、品番の末尾のアルファベットが異なっているが、仕様の違いであって基本設計は同一である。乙第15号証の厨房機器に組み込まれるプリント回路基板にかかる発注については、平成28年9月6日に被請求人に1,000個納品され、基板本体に「Daina」の商標が付されている。乙第16号証のプリント回路基板にかかる注文については平成28年12月2日に25個の納品がある。 なお、納品書等(乙14の1、乙16)の宛名は被請求人が製造委託している取引先である。 2 結論 以上、本件商標は、本件審判の請求登録前3年以内に、その指定商品中、第9類「電子応用機械器具」について継続的に日本国内で使用されていることを立証した。 第4 当審の判断 1 証拠及び被請求人の主張によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第1号証について ア 乙第1号証は「カタログ」とのことであるが、当該書証の第1頁には、「ダイナ」の商標が表示され、その下段に「押しボタンスイッチ」の記載がある。そして最下段には本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)の名称の記載があり、次頁より押しボタンスイッチについての説明、形状、仕様の記載がある。 次に、当該書証の最終頁には「営業品目」の項目のもと「電子応用製品」として「電子応用機械器具・電子回路/各種生産システム・制御装置・制御器・監視装置」の記載があり、本件商標と同一態様の「Daina」の商標と、「ダイナ」及び「Dainichi」の商標の表示があり、その下段に「いずれも上記営業品目に対する全ての技術、製品の信頼のブランド(登録商標)です」の表示がある。そして、その下段には商標権者の名称及び住所の記載があり、最下段に小さく「CAT20001-1606」の記載がある。 イ 判断 上記アより、乙第1号証は、被請求人である商標権者による「押しボタンスイッチ」の商品カタログの写しであり、記載された言語から日本国内向けと認められる。 次に、当該カタログの最終頁は商標権者の業務に係る「電子応用機械器具・電子回路/各種生産システム・制御装置・制御器・監視装置」を含む営業品目、営業品目に係る技術、製品が信頼できる趣旨の宣伝的記載、使用している商標の表示、連絡先の記載があることから、当該カタログの最終頁は商標権者の業務に係る営業品目についての広告といって差し支えない。 そして、当該カタログ最終頁の最下段に記載された「CAT20001-1606」の記載における末尾4桁「1606」の部分が当該カタログの発行年月の表示であり、その発行が2016年6月であるとする被請求人の主張に不整合な点はない。 また、商品カタログは、カタログ掲載商品の目録・説明書、カタログ作成者の営業案内であり、カタログ掲載商品について、顧客との商取引に至ることを期待して頒布することが一般的であることから、当該カタログについても、発行後程なく消費者に対して頒布されたと推認できる。 ウ 小括 以上より、商標権者は、我が国において、要証期間内である2016年(平成28年)6月頃に、本件審判に係る指定商品「電子応用機械器具」に関する広告に、本件商標と同一の商標を付して、顧客に頒布したものと認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第8号に定める商標の「使用」に該当する。 (2)乙第2号証ないし乙第5号証について ア 乙第2号証ないし乙第4号証は「金沢工業会誌」なる業界紙のNO.117、NO.180、NO.183の抄録とのことであるが、当該書証それぞれの1葉目の上段には、「金沢工業会誌 NO.117 2015.4」、「金沢工業会誌 NO.180 2016.4」、「金沢工業会誌 NO.183 2017.4」の記載があり、下段には「全会員配付号」の記載がある。 次に、第2葉目には「営業品目」の項目のもと「電子応用製品」として「電子応用機械器具・電子回路/各種生産システム・制御装置・制御器・監視装置」の記載があり、その下段に「当社は上記営業品目の製品・技術に関し、下記の5つの登録商標を有しています。」として、本件商標と同一態様の「Daina」の商標を含む5つの商標の表示と、最下段には商標権者の名称及び住所の記載がある。 また、「営業品目」の項目の左側には「営業品目」中に記載の商品の写真が表示されている。 それぞれの書証の第3葉目等の下段には、「発行所 金沢工業界」の記載と共に乙第2号証には「平成27年4月発行」、乙第3号証には「平成28年4月発行」及び乙第4号証には「平成29年3月発行」の記載がある。 イ 乙第5号証は「北陸電気と工業2017春」なる業界紙とのことであるが、当該書証の1葉目の上段には、「北陸 電気と工業 2017 春」の記載があり、下段には「一般社団法人 日本電気協会 北陸支部」の記載がある。 次に、第2葉目には「営業品目」の項目のもと「電子応用製品」として「電子応用機械器具・電子回路/各種生産システム・制御装置・制御器・監視装置」の記載があり、その下段に「当社は上記営業品目の製品・技術に関し、下記の5つの登録商標を有しています。」として、本件商標と同一態様の「Daina」の商標を含む5つの商標の表示と、最下段には商標権者の名称及び住所の記載がある。 また、「営業品目」の項目の左側には「営業品目」中に記載の商品の写真が表示されている。 第3葉目には、その上段に「会員の皆さまへ」として会員への依頼事項の記載があり、その下段には「平成29年春季号(第60巻第2号)〔平成29年4月27日発行〕」の記載がある。 ウ 判断 上記ア、イより、乙第2号証ないし乙第4号証は金沢工業界が発行する業界紙「金沢工業会誌」、乙第5号は一般社団法人日本電気協会北陸支部が発行する業界紙「北陸電気と工業」と認められる。 次に、当該書証中の第2葉目には、商標権者の業務に係る「電子応用機械器具・電子回路/各種生産システム・制御装置・制御器・監視装置」を含む営業品目、営業品目に係る商品の写真、使用している商標の表示、連絡先の記載があることから、当該書証の第2葉目は商標権者の業務に係る営業品目についての広告といって差し支えない。 そして、それぞれの業界紙は、乙第2号証が「平成27年4月発行」、乙第3号証が「平成28年4月」、第4号証が「平成29年3月」及び乙第5号証が「平成29年4月27日」に発行されたものであり、これら業界紙は金沢工業界及び一般社団法人日本電気協会北陸支部の会員に配付された推認できる。 エ 小括 以上より、商標権者は、我が国において、要証期間内である平成27年4月から平成29年4月27日頃に、本件審判に係る指定商品「電子応用機械器具」に関する広告に、本件商標と同一の商標を付して、頒布したものと認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第8号に定める商標の「使用」に該当する。 (3)乙第8号証について ア 乙第8号証の1は、プリント回路基板の取引に係る納品書の写しであるが、当該納品書の上段中央付近には「2 納品書 (完納時にお使いください)」の記載があり、その右側には「納入日 29年2月20日」の記載と共に「受入」及び「検査合格」欄の押印には「’17.2.20」の記載がある。 当該納品書中段には「形名・仕様・摘要」の欄には「プリント配線板(170) GS025411」の記載、「注文日」の欄には「2016/08/23」の記載、「注文数」、「納入数」、「注文総数」の欄にはいずれも「500」の記載、「単価」の欄に「320」の記載があり、欄外に「納入済」の押印がある。 そして、当該納品書の左上には「北菱電興(株)」(以下「北菱電興」という。)の記載があり、右下には商標権者の名称及び住所の記載がある。 イ 乙第8号証の2はプリント回路基板完成品の写真とのことであるが、当該書証上段の写真には、プリント回路基板上に「Daina GS025411(PT170)」の表示が確認できる。 次に、当該書証下段の写真には、プリント回路基板取り付け時に、そのカバーとなると思われる黒色の板状の部品に、「株式会社 明光商会」と記載された紙片が貼り付けてある。 ウ 判断 (ア)上記ア、イより、乙第8号証の1は、北菱電興と商標権者との取引に使用された納品書と認められ、「2 納品書 (完納時にお使いください)」の記載から、商標権者が商品の注文時に注文書と同時に発行し、受注者である北菱電興が商品の納入時に使用したものと認められることから、これより、商標権者が2016年(平成28年)8月23日に、単価320円の「プリント配線板(170) GS025411」なる商品を500個、注文し、北菱電興は、注文された商品を平成29年2月20日に請求人に納入したものと認められる。 そして、注文日及び納入日はいずれも要証期間内の日付である。 (イ)乙第8号証の2の写真中においてプリント回路基板上に表された「Daina GS025411(PT170)」の表示中「GS025411(PT170)」の部分は、乙第8号証の1の納品書の「形名・仕様・適用」欄の「プリント配線板(170) GS025411」の記載と、その記載がほぼ一致することから、当該部分は商品番号部分と認められ、それが一致するのであるから、乙第8号証の1の納品書において注文、納入された商品は、乙第8号証の2の写真に表された「プリント回路基板」であるといえる。 (ウ)本件商標は、別掲のとおり、「Daina」の欧文字よりなるものである。 そして、乙第8号証の2の写真中においてプリント回路基板上に表された「Daina GS025411(PT170)」の表示中の「Daina」の欧文字部分は本件商標と同一の態様で表されていること及び「GS025411(PT170)」の部分は上記(イ)のとおり商品番号部分と認められることから、「Daina」の欧文字部分が独立して看者の注意引く部分といえる。 (エ)乙第8号証の2の写真中に表されたプリント回路基板には、当該プリント回路基板の注文者、納品者である商標権者及び北菱電興とは異なる「株式会社 明光商会」の表示が確認できることから、当該プリント回路基板は、商標権者が北菱電興に委託製造させ、完成品を株式会社明光商会へ納品している旨の主張に不整合な点はない。 そして、商品「プリント回路基板」は本件審判の請求に係る「電子応用機械器具」の範ちゅうの商品である。 エ 小括 以上のとおり、商標権者は、我が国において、要証期間内である平成29年2月20日頃に、本件審判に係る指定商品「電子応用機械器具」の範ちゅうの商品である「プリント回路基板」に本件商標を付したと認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第1号に定める商標の「使用」に該当し、さらに、当該「プリント回路基板」を顧客である株式会社明光商会に譲渡したと認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第2号に定める商標の「使用」に該当する。 してみれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品に含まれる商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。 一方、請求人は、前記第3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。 2 むすび 以上のとおりであるから、本件商標の登録は、その指定商品中の第9類「電子応用機械器具」について、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本件商標) |
審理終結日 | 2018-02-15 |
結審通知日 | 2018-02-20 |
審決日 | 2018-03-05 |
出願番号 | 商願昭53-45070 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Z09)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
今田 三男 |
特許庁審判官 |
冨澤 武志 田中 幸一 |
登録日 | 1981-07-31 |
登録番号 | 商標登録第1469182号(T1469182) |
商標の称呼 | ダイナ |
代理人 | 松田 光代 |
代理人 | 齋藤 宗也 |
代理人 | 山崎 和香子 |
代理人 | アインゼル・フェリックス=ラインハルト |