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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W1134
審判 全部申立て  登録を維持 W1134
審判 全部申立て  登録を維持 W1134
管理番号 1342208 
異議申立番号 異議2017-685035 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-12-25 
確定日 2018-05-29 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1325530号の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1325530号の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1325530号商標(以下「本件商標」という。)は,「TURQUOISE」の欧文字を横書きしてなり,2016年(平成28年)2月10日にスイス連邦においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張し,2016年(平成28年)8月5日に国際商標登録出願,平成29年9月11日に登録査定され,第11類「Apparatus for generating vapor.」及び第34類「Wired vaporizers for electronic cigarettes and electronic smoking devices;tobacco,raw or manufactured;tobacco products,including cigars,cigarettes,cigarillos,tobacco for roll-your-own cigarettes,pipe tobacco,chewing tobacco,snuff tobacco,cigarettes with or without filter,made of a mix of tobacco and cut clove,and wrapped in cigarette paper;smokeless tobacco products for oral use made of heat-treated,moist to semi-moist tobacco which is used either loose or packed in portions;tobacco substitutes(not for medical purposes);smokers’ articles,including cigarette paper and tubes,cigarette filters,tobacco tins,cigarette cases and ashtrays,pipes,pocket apparatus for rolling cigarettes,lighters;matches;tobacco sticks,tobacco products for the purpose of being heated,electronic devices and their parts for the purpose of heating cigarettes or tobacco in order to release nicotine-containing aerosol for inhalation;liquid nicotine solutions for use in electronic cigarettes;electronic smoking devices;electronic cigarettes;electronic cigarettes as substitute for traditional cigarettes;electronic devices for the inhalation of nicotine-containing aerosol;oral vaporizing devices for use by smokers,tobacco products and tobacco substitutes;smokers’ articles for electronic cigarettes;parts and fittings for the aforesaid products included in this class;extinguishers for heated cigarettes and cigars as well as heated tobacco sticks;electronic rechargeable cigarette cases.」を指定商品として,同年10月20日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第3条第1項第3号,同項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,その登録は取り消されるべきであると申し立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出した。
(1)本件商標について
本件商標は,「TURQUOISE」の欧文字9文字をゴシック体で横書きしたものであり,その文字構成の発音である「ターコイズ」の称呼が自然に生じ,「空色,青緑色」の色彩としての観念が生じ,これに接する需要者・取引者は,本件商標が付された商品の色彩を表示する用語と認識する。
(2)商標法第3条第1項第3号または同項第6号の該当性
ア 本件商標を構成する英単語「TURQUOISE」(ターコイズ)は,辞書には第一義的に「トルコ石」の意味合いを有する語として,同時に,「ターコイズ・ブルーの略。トルコ石のような明るい青緑色」という意味を有する語として掲載されているように(甲2?4),色彩を表す英単語として広く認識され普通に使用されている用語である。
イ 「TURQUOISE」(ターコイズ)が示す色彩は,具体的には,緑色味を帯びた青色に近い色を指すもので,「ターコイズ」や「ターコイズブルー」という色彩名称として印刷業界などで特定されて使用され,一般に広く色彩名称として通用している(甲5?7)。
すなわち,本件商標を構成する「TURQUOISE」の欧文字及びその日本語の読み方である「ターコイズ」の片仮名は,青緑のような色彩を示す語であり,色彩を表示するものとしての意味を直感的に認識できる語として,我が国における本件商標の指定商品に係る需要者,取引者の間で親しまれ,普通に用いられている。
ウ ある物質名が,その物質の名称以外に,色彩を指し示す用語として認識される例は,数多く存在しており(甲8),その物質自体以外に用いる場合には,色彩が観念され認識されることになり,本件商標も同様に,指定商品との関係では,その色彩を表す用語と需要者,取引者に認識させることになるため,自他商品識別標識としての機能を発揮し得ない,品質(色彩)表示用語である。
(3)拒絶査定例について
ア 特許庁における審査及び審判において,商品の品質(色彩)を表したものと認識させることを理由に拒絶した事例として,「スカイブルー/SKYBLUE」,「IVORY/アイボリー」,「ピーチゴールド」,「コーラルピンク」,「シルバーアッシュ」,「Satin Gold」及び「sepia」がある(甲9?15)。
イ 本件商標の外国における審査では,アメリカ,欧州,オーストラリア,ニュージーランド,イスラエル,大韓民国において,拒絶され(甲16),欧州においては,色彩を表し識別力なしとして拒絶査定が出されている(甲17)。
ウ 申立人をはじめとするたばこ業界において,色彩を表す用語を商品「たばこ」等に表示するケースが散見されている(甲18)。これらはいずれも,色彩を表示する用語によって特定された色を商品のイメージカラーのような位置づけで使用するとともに,パッケージの基本色として使用するものである。需要者,取引者は,商品「たばこ」等に使用された色彩表示用語は,商品パッケージの色彩を示すものと認識している。
また,たばこケースやたばこのパッケージ等をターコイズの色彩にしたものが多数販売されているという実情もあり(甲19?21),申立人は,「TURQUOISE」をパッケージの色彩を示す語としてパッケージに表示している(甲22)。
(4)商標法第4条第1項第16号の該当性について
本件商標は,上記のとおり,色彩表示用語であり,自他商品識別標識としての機能を果たさない用語であるから,これに接する需要者,取引者は,それが付された指定商品について,何人かの業務に係る商品であることを認識することが出来ず,その表示が商品の色彩を表すに過ぎないと認識する。この場合,本件商標をターコイズ色でない指定商品に使用すると,品質(色彩)の誤認が生ずるため,本件商標の登録は商標法第4条第1項第16号の規定に違反して登録されたものである。
(5)本件商標の登録に至る経緯について
本件商標は,その審査の過程において,1度目の暫定拒絶通報がなされた後,申立人による刊行物等提出書が提出され,商標法第3条第1項第3号に基づく,2回目の暫定拒絶通報が出されたものであるが(甲23,24),その後,出願人から応答ないにもかかわらず,登録査定がなされたものである。このような手続の経緯によれば,本件商標は,商標法第3条第1項第3号の拒絶理由が解消しないまま登録された過誤登録である。
(6)以上のとおり,本件商標は,自他商品識別標識としての機能を発揮し得ない品質(色彩)表示用語に該当し,商標として採用する必要性に乏しく自他商品識別標識としての機能を果たさない用語と判断されるべきであるとともに,識別力がない以上,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することが出来ないことから商標法第3条第1項第3号又は同項第6号に該当し,本件商標をターコイズ色でない指定商品に使用すると,品質(色彩)の誤認が生ずるため,本件商標録は,同法第4条第1項第16号に該当するとして取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
ア 本件商標は,「TURQUOISE」の欧文字を横書きしてなるところ,「turquoise」(ターコイズ)の語は,国語辞典及び英和辞典の記載によれば,「トルコ石」及び「ターコイズ‐ブルーの略。青緑色。」の意味を有するものである(甲2?4)。
イ そして,申立人の提出した証拠によれば,「ターコイズ」の片仮名を青緑色の電子タバコのケースやタバコの包装箱(甲19,21,22)に表示する例があることはうかがえるが,「TURQUOISE」の語が,本件商標の指定商品との関係において,その商品の色彩を表示する語として取引上普通に使用されている事実や,そのような色彩が商品又はその包装の色彩として取引上普通に採択,採用されているという事実は,当審における職権調査によっても見いだすことができなかった。
ウ そうすると,本件商標は,「トルコ石」及び「青緑色」の意味を有するものとしても,本件商標の指定商品との関係において,商品の品質(色彩)を表してなるものと直ちに理解されるとはいい難い。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当しない。
(2)商標法第3条第1項第6号該当性について
本件商標は,上記(1)のとおり,「トルコ石」及び「青緑色」の意味を有するものとしても,申立人提出の証拠及び当審における職権調査によっても,本件商標が,本件商標の指定商品との関係において,商品の品質(色彩)を表示する語として,取引上普通に使用されている事実は見いだせなかった。
したがって,本件商標は,需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえないから,商標法第3条第1項第6号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は,上記(1)のとおり,「トルコ石」及び「青緑色」の意味を有するものとしても,本件商標の指定商品との関係において,商品の色彩を表示する語として,取引上普通に用いられているものではない。
そうすると,本件商標は,これに接する需要者をして,直ちに商品の色彩を表したものと認識させるものではなく,商品の品質について誤認を生じさせるおそれはない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(4)申立人の主張について
ア 申立人は,「たばこ業界において,色彩を表す用語を商品「たばこ」等に表示し,たばこケースやたばこのパッケージ等をターコイズの色彩にしたものが多数販売されているという実情がある。」旨主張している。
しかしながら,上記(1)イのとおり,申立人の掲げる使用例だけでは,本件商標が商品の色彩を表示する語として,本件商標の指定商品との関係において,取引上普通に用いられている事実を示すに十分ではなく,当審における職権調査によっても,そのような事実を見いだせなかった。
イ 申立人は,本件商標の審査の過程において,暫定拒絶通報に対して特段の応答がないにもかかわらず,登録査定されたものであるから,本件商標は過誤登録である旨主張している。
しかしながら,商標法第16条の規定のとおり,審査官は商標登録出願について拒絶の理由を発見しないときは,商標登録をすべき旨の査定をしなければならないから,審査官が審査過程において拒絶の理由を発見し,通知した場合,査定に際して再度内容を検討した上で,自ら拒絶理由を撤回し,登録査定したとしても,その審査過程に特段の違法があるとはいえない。
(5)まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号,同項第6号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2018-05-23 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (W1134)
T 1 651・ 13- Y (W1134)
T 1 651・ 16- Y (W1134)
最終処分 維持  
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 阿曾 裕樹
小出 浩子
登録日 2016-08-05 
権利者 Philip Morris Products S.A.
商標の称呼 ターコイズ、テュルコアーズ、テュルクワーズ 
代理人 広瀬 文彦 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 
代理人 秋山 朋子 
代理人 和田 信博 
代理人 末岡 秀文 

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