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審決分類 審判 査定不服 商品(役務)の類否 登録しない W30
審判 査定不服 称呼類似 登録しない W30
審判 査定不服 観念類似 登録しない W30
審判 査定不服 外観類似 登録しない W30
管理番号 1342166 
審判番号 不服2016-12847 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-08-09 
確定日 2018-07-27 
事件の表示 商願2015-17135拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第30類「洋菓子,和菓子,食パン」を指定商品として,平成27年2月13日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願の拒絶の理由に引用した登録第4252261号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成9年4月18日に登録出願され,第30類「食パン」を指定商品として,同11年3月19日に設定登録され,その商標権は現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)商標の類否判断について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は,対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に,当該商品又は役務の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,そのためには,両商標の外観,観念,称呼等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合し,当該商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきである(最高裁昭和39年(行ツ)第110号参照)。
この点に関し,図形や文字等の複数の構成部分を組み合わせた結合商標については,経験則上,各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものと認められない場合,取引の実際において,一部の構成部分のみによって称呼,観念されることも少なくないといえる。このことから,結合商標の構成部分の一部が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合,それ以外の部分から出所識別標識としての称呼,観念が生じないと認められる場合などは,当該構成部分を要部として抽出し,この部分のみを他人の商標と比較して商標の類否を判断することができるものである(最高裁昭和37年(オ)第953号,最高裁平成3年(行ツ)第103号,最高裁平成19年(行ヒ)第223号,知財高裁平成27年(行ケ)第10079号参照)。
上記の観点から,本願商標と引用商標との類否について判断する。
(2)本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,右方向に徐々に細くなるように描かれた水平直線の上に,筆文字風の書体で大きく「雅」の文字を書し,当該文字の偏の上部に小さな「OSAKA」の文字,「雅」の文字の右側に,「DANISH BREAD」の文字と,当該文字列の幅に収まるように,「MIYABI」の文字を上下二段に併記し,そして,「雅」の文字部分を左側から覆うように,右方向に傾斜した穂を付けた植物と思しき図形を配してなる結合商標である。
そして,本願商標の構成中,「OSAKA」の文字部分は,地名である「大阪」を,また,「DANISH BREAD」の文字部分は,「デニッシュパン」の意味合いを容易に認識させるものであるから,本願商標の指定商品との関係では,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。また,穂を付けた植物と思しき図形部分は,本願商標の指定商品との関係では,商品の原材料である麦の穂を想起させるものであるから,商品の出所識別標識としての機能は極めて弱いものと認められる。さらに,下部の水平直線部分は,極めて単純な態様であり,看者の注意を惹くものとはいえない。
他方,本願商標の構成中の「雅」及び「MIYABI」の文字部分は,「優美で上品なこと」ほどの意味合いを有する語であって,本願商標の指定商品との関係で,商品の品質等を想起させるものではなく,また,「雅」の文字部分は,他の構成要素と比較しても,とりわけ大きく目立つ態様で表され,「MIYABI」の文字部分もそれに次ぐ大きさで表されていることからすれば,本願商標は,その構成中,最も大きく顕著に表された「雅」の文字部分,並びに,そのローマ字表記である「MIYABI」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえるから,当該文字部分を分離,抽出し,他人の商標(引用商標)と比較して,商標の類否を判断することが許されるものといえる。
そうすると,本願商標からは,その構成中の「雅」及び「MIYABI」の文字部分に相応して,「ミヤビ」の称呼及び「優美で上品なこと」の観念を生じるというのが相当である。
(3)引用商標について
引用商標は,別掲2のとおり,水平直線の上に,筆文字風の書体で大きく「MIYABI」の文字を書し(「M」及び「A」の文字の一部は水平直線と交わっている。),その「MI」の文字部分の上部に「GION/KYOTO」の文字を,下部に「究極の食パン」の文字を,「BI」の文字部分の上部に「GINZA/TOKYO」の文字を,下部に「みやび」の文字を,それぞれ配してなる結合商標である。
そして,引用商標の構成中,「GION/KYOTO」及び「GINZA/TOKYO」の文字部分は,それぞれ地名である「祇園/京都」及び「銀座/東京」を容易に想起させ,また,「究極の食パン」の文字部分は,商品(食パン)の品質の誇称表示と認識させるものであるから,引用商標の指定商品との関係では,商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。また,水平直線部分は,極めて単純な態様であり,看者の注意を惹くものとはいえない。
他方,引用商標の構成中の「MIYABI」及び「みやび」の文字部分は,「優美で上品なこと」ほどの意味合いを有する語であって,本願商標の指定商品との関係で,商品の品質等を想起させるものではなく,また,「MIYABI」の文字部分は,他の構成要素と比較しても,とりわけ大きく目立つ態様で表されていることからすれば,本願商標は,その構成中,最も大きく顕著に表された「MIYABI」の文字部分,並びに,その平仮名表記である「みやび」の文字部分が,取引者,需要者に対し,商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえるから,当該文字部分を分離,抽出し,他人の商標(本願商標)と比較して,商標の類否を判断することが許されるものといえる。
そうすると,引用商標からは,その構成中の「MIYABI」及び「みやび」の文字部分に相応して,「ミヤビ」の称呼及び「優美で上品なこと」の観念を生じるというのが相当である。
(4)本願商標と引用商標との類否について
本願商標の要部と引用商標の要部とを比較すると,外観においては,漢字,平仮名及びローマ字という文字種を異にするところがあるものの,両者の構成中最も大きく書された本願商標の「雅」及び引用商標の「MIYABI」の文字が共に筆文字風の書体で書されていること,並びに,両者が「MIYABI」の文字部分のつづり字を共通にすることも併せ考慮すると,これに接した取引者,需要者に対し,近似した印象を与える場合もあるといえる。そして,両者は,「ミヤビ」の称呼及び「優美で上品なこと」の観念を共通にするものであるから,これら外観,称呼及び観念の要素を総合勘案すれば,本願商標と引用商標とは,互いに紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
また,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似のものを含むものである。
(5)小括
以上によれば,本願商標と引用商標とは,互いに類似する商標であり,その指定商品も同一又は類似するものである。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(6)請求人の主張について
請求人は,読み方が同一であるとしても,本願商標と引用商標とは,外観上類似せず,また,本願商標は「雅」の漢字からなるものであるから,引用商標と同一の観念も生じない旨主張する。
しかしながら,「MIYABI」をローマ字とする日本語としては,広く一般に親しまれている「みやび」,すなわち「優美で上品なこと」等を意味する「雅」を第一義的に想起するとみるのが自然であり(広辞苑第6版の「みやび」の項参照),引用商標からも,「ミヤビ」の称呼のみならず,「優美で上品なこと」の観念を生じるといえる。
そして,本願商標と引用商標とは,これらの外観,称呼及び観念を総合勘案すると,互いに紛れるおそれがある類似の商標というべきであることは,上記(4)で述べたとおりである。
したがって,請求人の主張は,採用できない。
(7)審理再開申立てについて
請求人は,平成29年4月25日付け審理再開申立書において,本願商標と引用商標との外観上の相違を再度述べると共に,商品あるいは製品も価格や製品表示も相違しているから混同や類似することはない旨主張する。
しかしながら,商標の類否判断において参酌されるべき取引の実情とは,その指定商品全般についての一般的・恒常的なそれを指すものであって,単に該商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的・限定的なそれを指すものではないと解すべきであるところ(最高裁昭和47年(行ツ)第33号参照),本願商標の指定商品「洋菓子,和菓子,食パン」を取り扱う業界においては,様々な価格帯の商品がごく普通に販売されており,その取引者,需要者は,様々な価格帯の商品から自由に選択,購入することが可能なことからすれば,請求人の主張は,指定商品全般についての一般的・恒常的な取引の実情と認めることはできない。そして,本願商標と引用商標とが類似し,その指定商品も同一又は類似することは,上記(4)のとおりである。
したがって,請求人による上記申立てには,審理を再開すべき理由は認められないから,審判長は,本件審判事件に係る審理の再開を行わないこととした。
(8)結語
以上のとおり,本願商標は,引用商標と類似するものであり,その指定商品も同一又は類似のものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標)




審理終結日 2017-04-12 
結審通知日 2017-04-21 
審決日 2017-06-08 
出願番号 商願2015-17135(T2015-17135) 
審決分類 T 1 8・ 261- Z (W30)
T 1 8・ 263- Z (W30)
T 1 8・ 264- Z (W30)
T 1 8・ 262- Z (W30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 大森 友子
冨澤 武志
商標の称呼 オーサカミヤビ、デニッシュブレッドミヤビ、ミヤビ、マサ、ガ、オーサカブレッド 

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