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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 009
管理番号 1342161 
審判番号 取消2017-300101 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-02-08 
確定日 2018-07-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4435387号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4435387号商標(以下「本件商標」という。)は,「PACE」の欧文字を横書きして表しており,平成7年7月12日に登録出願,第9類「衛星放送テレビジョン受信機,衛星放送テレビジョン受信用デコーダ,テレビ電話,モデム,その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として,同12年11月24日に設定登録され,その後,同23年1月18日に存続期間の更新登録がされ,現に有効に存続しているものである。
なお,本件審判の請求の登録は,平成29年2月20日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その登録に係る指定商品について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)商標権者又は使用権者による登録商標の使用に該当するかについて
被請求人の説明によれば,被請求人である本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)は,英国法人アリス インターナショナル ピーエルシー(以下「アリスインターナショナル」という。)の完全子会社であるとのことである。
また,被請求人が,本件商標が付された取引書類に該当すると主張する乙第3号証,乙第6号証,乙第7号証,乙第9号証を発行する米国法人アリス ソリューションズ インコーポレイテッド(以下「アリスソリューションズ」という。)は,アリスインターナショナルのひ孫会社に当たるとのことである。
被請求人は,商標権者と,アリスソリューションズの関係を証明するために乙第1号証を提出している。
しかし,乙第1号証から明らかになるのは,商標権者が,アリスインターナショナルの完全子会社であること,アリスソリューションズが,アリスインターナショナルのひ孫会社に当たるということのみであり,これをもって,アリスソリューションズが,本件商標の使用権者に該当するとはいえない。
また,被請求人がアリス・グループに属する各法人に対して本件商標の使用を許諾していることの根拠として乙第12号証を提出しているが,その主張自体が失当である。
乙第12号証は,単に「ARRISがPaceを買収した」旨のプレスリリースであり,このようなプレスリリースにPACEのロゴに飛ぶリンクが記載されていることをもって被請求人がアリス・グループに属する各法人に本件商標の使用を許諾しているなどということは,あり得ないことである。
(2)「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」について
被請求人は,商標権者と同一の企業グループに属すると主張するアリスソリューションズが作成したインボイス及びパッキングリスト(乙3,乙6,乙7,乙9)を提出し,これらのインボイス等に,「Pace」の欧文字の左下から右上にかけて円弧状の図形を配した標章(別掲1のとおり。以下「使用商標」という。)が付されていることをもって本件商標が「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当すると主張する。
インボイス等の欄外上部には,「図+ARRIS+(R)(「(R)」は欧文字「R」を円で囲い,小さく表されている。以下同じ。)」の標章(別掲2のとおり。以下「ARRIS標章」という。)と,「図+aurora/NETWORKS」の標章(別掲3のとおり。以下「aurora標章」という。)との間に挟まれる形で乙第13号証の標章が記載されている。
しかしながら,これらのインボイス等において取引の対象となっている商品(乙4,乙5,乙8,乙10,乙11)及びその説明文にはARRIS標章と「ARRIS」の文字列が記載されているのみであり,本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる標章は一切表されていない。
また,被請求人がアリス・グループに属する各法人に対して本件商標の使用を許諾しているとの主張には,根拠が無いからこれらのインボイス等を受領した需要者が乙第13号証の標章の表示を商品の出所識別標識として認識することはない。
したがって,インボイス等の欄外に乙第13号証の標章を表示する行為は,単に不使用による取消を免れる目的で名目的に商標を使用するかのような外観を呈する行為を作出するものに過ぎず,かかる行為は商標法第2条第3項第8号に規定する「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」には該当しない。
(3)乙第13号証の標章と本件商標について
本件商標は「PACE」の欧文字を横書きしてなるのに対し,使用商標(乙3,乙6,乙7,乙9,乙13)は,「Pace」の欧文字のPの略下方からcの上部へと弧を描くように伸びる円弧状の図形が配置されている。
これについて被請求人は,本件商標と使用商標は称呼及び観念が同一であること,円弧状の図形は装飾として補足的に付加されたものであるから両者は社会通念上同一の商標であると主張する。
しかし,「Pace」の欧文字と円弧状の図形は外観上まとまりよく一体的に表した構成からなるものであるため,本件商標と使用商標とはその構成態様が明らかに異なり,社会通念上同一の商標とは認めることができないものである。
(4)まとめ
上述のように,被請求人が提出した乙各号証によっては,本件商標が審判請求前3年以内に商標権者等によって取消請求に係る商品について使用されていたことは立証されていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
1 被請求人とアリスソリューションズについて
被請求人は,1982年にイギリスで設立されたセットトップボックス,レジデンシャルゲートウェイ等の開発製造,ペイ(有料)テレビジョン・ブロードバンドサービス向け技術開発に従事する法人である。被請求人は,米国通信機器メーカーのアリス・グループ(Arris Group)によって2016年1月に買収され,それに伴い,現在の名称であるアリス グローバル リミテッドへ社名変更を行った。
被請求人は,現在,アリス・グループの一員であり,アリスインターナショナルの完全子会社である(乙1)。そして,後述するアリスソリューションズは,アリスインターナショナルのひ孫会社であるから(乙1),被請求人とアリスソリューションズとは,同一企業グループに属する関連会社である。
本件商標に象徴される「PACE」ブランドは,現在アリス・グループに帰属するブランドの1つとして使用されている。
2 本件商標が使用された商品の輸入,販売について
上述のとおり,被請求人は,セットトップボックス,レジデンシャルゲートウェイ等の開発製造,ペイ(有料)テレビジョン・ブロードバンドサービス向け技術開発に従事する法人であり,被請求人及びアリス・グループに属する法人は,これらの分野における商品を,日本を含む世界各国の顧客に対して販売している。
そして,以下のとおり,被請求人の関連会社であるアリスソリューションズは,本件商標を用いて商品を輸出(日本へ輸入),販売している。
(1)アリスソリューションズは,KDDI株式会社に対して,2016年12月28日付で,E6000コンバージド・エッジ・ルーター(E6000 Converged Edge Router;型番781346)を輸出(日本へ輸入),販売した(乙3?乙5)。
「ルーター」は,本件商標の指定商品に係る「その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品である。
同取引に係るインボイスには,その左上に,アリス・グループのブランドであるARRIS標章及びaurora標章に挟まれて,使用商標が表示されている(乙3)。なお,同インボイスに記載されている「E6000;SFP+OPT 10GBASE-ER」の「OPT」は,乙第5号証の「Description」の欄に記載されている「SFP+Optical Interface,10GBASE-ER」の「Optical Interface」の略語である。
(2)アリスソリューションズは,伊藤忠ケーブルシステム株式会社に対して2015年2月27日付で,そして,シンクレイヤ株式会社に対して2017年1月31日付で,それぞれアップグレード用コンピュータソフトウェア(XD FIELD UPGRADE,16D to 32D;型番793930)を輸出(日本へ輸入),販売した(乙6?乙8)。
「(アップグレード用)コンピュータソフトウェア」は,本件商標の指定商品に係る「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品である。
同取引に係るパッキングリスト及びインボイスには,その左上に,ARRIS標章及びaurora標章に挟まれて,使用商標が表示されている(乙6,乙7)。
(3)アリスソリューションズは,株式会社ジュピターテレコムに対して,2016年1月20日付で,ネットワークの幹線及び給電線を分配するための幹線/給電カプラ(COUPLER;DIRECTIONALLINE 12DB;型番723956;アイテム番号1200571)を輸出(日本へ輸入),販売した(乙9?乙11)。
「ネットワークの幹線を分配するための幹線カプラ」は,本件商標の指定商品に係る「その他の電気通信機械器具」及び/又は「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうに属する商品である。
同取引に係るパッキングリストには,その左上に,ARRIS標章及びaurora標章に挟まれて,使用商標が表示されている(乙9)。
インボイスやパッキングリストにおける商標の使用は,「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3号第8号)に該当する。
3 同一企業グループに属する関連会社による本件商標の使用について
アリス・グループは,被請求人を買収した際に,アリス・グループのウェブサイトにおいて,「Pace」(Pace Plc)を買収したことを発表した(乙12)。同ウェブサイトには,「PACEロゴ」と称したリンクが設けられ,リンク先には使用商標と同一(色彩は異なる。)の商標が表示されている(乙13)。
同ウェブサイトでは,アリス・グループに属するいずれの法人をも特定せず単に「ARRIS」と称している。このことは,そこに示された(リンクが設けられた)「PACEロゴ」が,グループ内の特定の法人にのみ帰属し,当該法人によって独占的に使用されるものではなく,アリス・グループに属する各法人が自由に使用できる商標であること,換言すれば,被請求人が,アリス・グループに属する各法人に対して本件商標の使用を許諾していることの証左といえる。
以上より,使用商標は,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に日本国内において,本件商標の指定商品について使用権者であるアリスソリューションズによって使用されたと考えるのが相当である。
4 本件商標と使用商標の同一性について
上記2の取引に係るインボイス及びパッキングリスト(乙3,乙6,乙7,乙9)には,その左上に,ARRIS標章及びaurora標章に挟まれて,使用商標が表示されている。
本件商標と使用商標を比較すると,いずれの商標も英単語「pace」の語で構成されおり,両商標から,共に「ペース」という称呼,及び「歩速,歩調;速度(speed);足並み,ペース;(生活・仕事の)テンポ」(研究社新英和大辞典)等の観念が生ずる。
また,両商標を構成する英単語「pace」は,本件商標においては,構成文字すべてが大文字で表されているのに対して,使用商標は語頭の「P」のみが大文字で表され,それに続く「ace」が小文字で表されている点で異なる。しかしながら,かかるローマ字の大文字と小文字の相互の変更は「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標」(商標法第50条括弧書き)の使用として,商標の同一性に影響を与えるものではない。
使用商標は,ローマ字「Pace」のみからなるものではなく,語頭文字「P」の略下方から「c」の上方へと弧を描くように延びる円弧の図形が配置されている点で,文字のみからなる本件商標とは異なる。しかしながら,円弧はありふれた図形であって格別特徴的であるとは決していえず,当該部分が単独で自他商品識別機能を発揮するとは考えられない。むしろ,当該円弧図形は,需要者の注意を「Pace」部分に向けるべく装飾として補足的に付加されたものと考えるのが相当である。また,当該円弧図形を追加することにより,使用商標から「ペース」,「歩速」等とは異なる称呼,観念が生ずることもない。
してみれば,当該円弧図形の追加は,本件商標の識別性に影響を与えるものではなく,また,商標の同一性も損なうものではないことから,本件商標と使用商標は,社会通念上同一の商標と考えるのが相当である。
5 まとめ
以上のとおり,本件商標と社会通念上同一の商標が,日本国内において,要証期間内に,使用権者により本件商標の指定商品について使用されていることは明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出した証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は,アリスインターナショナルの代表として宣誓を行う権限を有するゲインズ ピー.カーターが,2017年7月18日付けで署名した宣誓供述書とのことであるが,その訳文によれば,アリスインターナショナルは,被請求人(商標権者)及びアリスソリューションズの最上位の親会社であり,被請求人及びアリスソリューションズは,アリス・グループ内の企業である旨の記載がある。
当該供述書の下部には米国ジョージア州の公証人であるケリー エル.グラドナスによる宣誓の認証及び署名の記載がある。
(2)乙第3号証は,2016年12月28日付けのアリスソリューションズによるKDDI株式会社宛のインボイスであり,左上のARRIS標章の右側に使用商標が表示されている。
そして,当該インボイスの「Item ID;/Product ID」欄には,「A003188617-J021/781346」の記載があり,「Product Description/License/Customer Part Number」欄には,「Order Number:20128511/E6000;SFP+OPT 10GBASE-ER/ENC」の記載がある。
(3)乙第5号証は,アリス・グループのウェブサイトからダウンロードしたルーターに係るデータシートのプリントアウトとのことであるが,1葉目には,「E6000(R)Converged Edge Router」の商品名の表示があり,また,4葉目には「ORDERING CODES」の見出しの下,「Part Number」及び「Description」の欄に,「781346」の番号及び「SFP+Optical Interface,10GBASE-ER,1550nm」の記載がある。
(4)乙第7号証は,2017年1月31日付けのアリスソリューションズによるシンクレイヤ株式会社宛のインボイスであり,左上のARRIS標章の右側に使用商標が表示されている。そして,「Item ID;/Product ID」欄に「171312G00098/793930」の記載があり,「Product Description/License/Customer Part Number」欄に「Order Number:20134174/C4;XD FIELD UPGRADE,16D TO 32D CAM,C4 CMTS/UNKNOWN/NLR」の記載がある。
(5)乙第8号証はアリス・グループのウェブサイトからダウンロードしたソフトウェアに係る技術仕様書のプリントアウトとのことであるが,2葉目には「Ordering Information」の見出しの下,「XDField Software Upgeade」の表示があり,その下の「Part Number」及び「Description」の欄に,「793930」の番号及び「Upgrade 16D to 32D DOCSIS CAM-License Key for C4 CMTS Field Upgrade」の記載がある。
(6)乙第12号証は,アリス・グループのウェブサイトのスクリーンショットのプリントアウトとのことであるが,当該書証には,「ARRIS-PACEメディアキット」の見出しの下,「本日,ARRISがPaceを買収しました」の記載及び左下の「プレリリース」の見出しの下,「・1/4/16 ARRISがPaceの買収を締結」の記載がある。
なお,本件商標の登録原簿によれば,本件商標の商標権者は,平成29年5月12日付けで旧名称「ペース・パブリック・リミテッド・カンパニー」から「アリス グローバル リミテッド」へと登録名義人の表示の変更が行われている。
2 前記1で認定した事実によれば,以下のとおりである。
(1)本件商標と使用商標について
使用商標は,「Pace」の欧文字と該文字の語頭の「P」の文字の下部より「c」の文字の上部にかけて円弧が表されてなるものである(乙3,乙7)。そして,使用商標のかかる構成において,当該円弧部分と文字部分とは,それらを分離して観察することが困難といえるほど不可分的に結合されているとはいえず,また,当該円弧部分はありふれた図形といえ,さらに当該円弧部分からは出所標識としての称呼,観念は生じないから,使用商標は,「Pace」の文字部分が自他商品の識別のための要部として認識される場合も少なくないというべきである。
そして,本件商標は,前記第1のとおり「PACE」の欧文字を横書きしてなるところ,本件商標と使用商標の文字部分とは,2文字目から語尾の「ACE」と「ace」の大文字と小文字の差異はあるものの,両者とも同一のつづりからなり,該「PACE」及び「Pace」の文字からは,「ペース」の同一の称呼及び「歩速,歩調;速度(speed);足並み,ペース;(生活・仕事の)テンポ」の同一の観念を生じることから,使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標とみて差し支えない。
(2)商標権者と使用商標の使用者アリスソリューションズについて
上記1(1)及び(6)によれば,被請求人である商標権者は,2016年(平成28年)1月にアリス・グループに買収されたものと認められ,また,アリスソリューションズについてもアリス・グループに属する企業であることが認められるから,商標権者とアリスソリューションズとは,共にアリスインターナショナルを頂点とするアリス・グループに属する関連企業であるといえる。
そして,商標権者は,上記(1)のとおり,本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標を付した取引書類であるインボイス(乙3,乙6,乙7,乙9)を,アリスソリューションズが自己の商取引に際して継続的に使用していることについて問題としているような事情は確認できない。
そうすると,商標権者は同一企業グループに属するアリスソリューションズが本件商標と社会通念上同一の商標である使用商標を付した取引書類を使用することを容認していたといえるから,アリスソリューションズは本件商標の使用権者とみて差し支えない。
(3)使用商標の使用に係る商品について
ア 上記1(2)及び(3)によれば,乙第3号証の「Item ID;/Product ID」欄の数字と乙第5号証の「Part Number」欄の番号は「781346」で一致し,該番号に係る乙第3号証の「Product Description」欄の記載と乙第5号証の「Description」の記載は,概ね一致する。そうすると,乙第3号証のインボイスに係る商品は,乙第5号証に係る商品「E6000(R)Converged Edge Router」の部品と認められる。
そして,乙第5号証に係る商品「E6000(R)Converged Edge Router」は,その商品名より「電気通信機械器具」及び「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうの商品である「ルーター」と認められる。
そうすると,乙第3号証のインボイスに係る商品は,「ルーター」の部品と認められ,当該商品は本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品である。
イ 上記1(4)及び(5)によれば,乙第7号証の「Item ID;/Product ID」欄の数字と乙第8号証の「Part Number」欄の番号は「793930」で一致し,該番号に係る乙第7号証の「Product Description」欄の記載と乙第8号証の「Description」の記載は,概ね一致する。そうすると,乙第7号証のインボイスに係る商品は,乙第8号証の2葉目の「XD Field Software Upgrade」に含まれるものとして,その下段に記載されている「Upgrade 16D to 32D DOCSIS CAM-License Key for C4 CMTS Field Upgrade」と認められるところ,該商品は,上段の「XD Field Software Upgrade」の表示より,「コンピュータソフトウェア」に属する商品と認められ,「コンピュータソフトウェア」は,本件商標の指定商品中,「電子応用機械器具及びその部品」の範ちゅうの商品である。
そうすると,乙第7号証のインボイスに係る商品は,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品である。
(4)本件商標の使用時期及び使用について
上記1(2)及び(4)によれば,アリスソリューションズは,要証期間内の2016年12月28日及び2017年1月31日に,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品を日本国内の顧客に対して輸出する際のインボイスに,本件商標と社会通念上同一と認められる使用商標を表示し,該インボイスをその顧客に頒布したものである。そして,商品を輸出する際のインボイスは商品に関する取引書類といえる。
(5)小括
以上を総合すると,本件商標の通常使用権者であるアリスソリューションズは,要証期間内に,本件審判の請求に係る指定商品に含まれる商品を日本国内に輸出するための取引書類に,本件商標と社会通念上同一の商標を表示して,該取引書類をその顧客に頒布したものとみることができ,この行為は,商標法第2条第3項第8号に該当するものである。
3 請求人の主張について
(1)請求人は,商標権者がアリスインターナショナルの子会社であり,アリスソリューションズがアリスインターナショナルのひ孫会社であることをもっては,アリスソリューションズが,本件商標の使用権者に該当するとはいえない旨述べている。
しかしながら,前記2(2)のとおり,商標権者とアリスソリューションズとは同一の企業グループに属する企業であり,商標権者はアリスソリューションズが使用商標を使用することを容認していたといえるから,アリスソリューションズは,本件商標の使用権者とみて差し支えない。
(2)請求人は,アリスソリューションズが作成したインボイス等には本件商標と社会通念上同一の商標が表されておらず,また,商標権者はアリス・グループの属する各法人に本件商標の使用を許諾したものではないから,インボイス等の枠外に使用商標を表示する行為は,単に不使用による取消を免れる目的で名目的に商標を使用するかのような外観を呈する行為を作出するものに過ぎず,かかる行為は商標法第2条第3項第8号に規定する「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」には該当しない旨主張する。
しかしながら,前記2(2)のとおり,アリスソリューションズは,本件商標の使用権者であり,前記2(1)のとおり,インボイスに表示されている使用商標は,本件商標と社会通念上同一と認められるものである。また,前記2(4)のとおり,商品を輸出する際のインボイスは商品に関する取引書類であり,アリスソリューションズは,該インボイスを頒布したものであるから,これらの行為は,本件商標の使用権者が,商品に関する取引書類に標章を付して頒布したといえるものである。
(3)請求人は,使用商標の文字と図形とは外見上まとまりよく一体的に表した構成からなるものであるから,本件商標と使用商標とは,その構成態様が明らかに異なり,社会通念上同一の商標とは認めることができない旨主張する。
しかしながら,前記2(1)のとおり,使用商標は,構成中の「Pace」の文字部分が自他商品の識別のための要部として認識される場合も少なくないというべきであるから,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
よって,請求人の主張は,いずれも採用することができない。
4 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の登録前3年以内に,日本国内において,本件商標の通常使用権者が,請求に係る指定商品に含まれる商品について,本件商標と社会通念上同一の商標を使用したことを証明したといえる。
したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(使用商標)
(色彩は原本参照。)


別掲2(ARRIS標章)
(色彩は原本参照。)


別掲3(aurora標章)
(色彩は原本参照。)


審理終結日 2018-02-08 
結審通知日 2018-02-15 
審決日 2018-02-28 
出願番号 商願平7-70690 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (009)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 伊藤 三男 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 冨澤 武志
大森 友子
登録日 2000-11-24 
登録番号 商標登録第4435387号(T4435387) 
商標の称呼 ペース 
代理人 齋藤 宗也 
代理人 城山 康文 
代理人 山崎 和香子 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 北口 貴大 
代理人 永岡 愛 
代理人 横川 聡子 
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