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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y05
管理番号 1342129 
審判番号 取消2016-300445 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-06-27 
確定日 2018-06-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第5039175号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5039175号商標の指定商品中、第5類「食餌療法用飲料・食品」についての商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5039175号商標(以下「本件商標」という。)は、「SALVESTROL」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年7月11日に登録出願、第5類「薬剤,医療用栄養補助剤,食餌療法用飲料・食品,外皮用薬剤,ビタミン及びミネラル補給剤」及び第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同19年4月6日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成28年7月11日である。
なお、本件審判において商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前3年以内」とは、平成25年(2013年)7月11日ないし同28年(2016年)7月10日である(以下「要証期間」という。)。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を、審判請求書、審判事件弁駁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、要旨以下のように主張し、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本全国において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件審判の請求に係る第5類「食餌療法用飲料・食品」についての使用をしていないものであるから、その登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。
2 審判事件弁駁書における主張
「サルベストロール」や「Salvestrol」は、被請求人が証拠資料を示して主張するように、植物に含まれる天然成分としての「化合物」の名称であり、「サルベストロール」や「Salvestrol」の名称使用においては、化合物の名称として使用されている場合は、商品の出所表示として使用されているとはいえず、商標法第2条第3項に示す商標の使用であるとはいえない。
さらに、特許庁商標課編の「商品及び役務の区分解説」によると、第5類の「食餌療法用飲料・食品」は、食物の成分などを調整して、疾病を治療などすることを目的として製造された商品であるとされている。これに対し、「サプリメント」は、単にビタミン等を錠剤などの形にしたものであり、その目的や商品の流通を全く異にする非類似の商品である。
(1)乙第3号証について
被請求人は、乙第3号証について「被請求人のウェブサイト」であるとし、サルベストロールに関する情報があると主張する。
しかし、商標法第50条第2項の規定は、日本国内での登録商標の使用を証明しない限り取消しを免れないのであり、乙第3号証について、被請求人が、日本国内において本件商標を使用したことについて証明していない。特に甲第1号証に示すように、被請求人が示したウェブサイトのサーバは、ドイツにあり、しかも外国語のみの内容となっている。これらの事実より少なくとも日本国内において広告を展示、頒布等していることを証明していない。
また、乙第3号証は、化合物としての「サルベストロール」の紹介記事であり、出所表示機能を有する態様により使用したとはいえず、商標法第2条第3項に示すいずれの使用にも該当しないことは明白である。
さらに、被請求人は、乙第3号証において、栄養補助食品としての栄養強化食品として市販されていると主張している。すなわち、「食品」であって「医薬品」ではないと自ら主張している以上、本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについての商標の使用を証明したということはできない。
(2)乙第4号証ないし乙第7号証について
被請求人は、乙第4号証ないし乙第6号証において、被請求人がファイトテクノロジー社とサルベストロールジャパン社を販売代理店として、3社が一体的な関係にあることを主張し、乙第7号証において、サルベストロールジャパン社が市販のサルベストロール商品についての紹介を行っていると主張している。
また、答弁書において、「すなわち、摂取する行為によって病気の療養を図ったり、病気の臓器を守り健康管理を図るような食べ物については、食餌療法用食品であるということが可能であり」として、「通常はサプリメントとしての範ちゅうに含まれるからといって、食餌療法用食品に含まれないとすることはできないと思料する」と主張している。
しかし、指定商品「食餌療法用飲料・食品」は、上述したとおり、「食物の成分などを調整して疾病などを治療等することを目的する」商品であり、そのような明確な目的をうたっていない単なる栄養などを補助する商品は、「食餌療法用飲料・食品」には含まれないとされるべきである。そして、乙第7号証において紹介されているのは、植物に含まれる天然成分としての「サルベストロール」の紹介記事であり、被請求人等の商品の広告等ではない。
また、記事を寄稿しているのは、個人であってサルベストロールジャパン社ではなく、その関係性も明示されていない。
さらに、掲載されている写真の商品は「サプリメント」であって、上記に示したような特定の疾病を改善する目的について紹介されている商品ではないことから、本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについての商標の使用を証明したということはできない。
(3)乙第8号証について
被請求人は、乙第8号証において、通常使用権者と主張するサルベストロールジャパン社の代表者がサルベストロールクリーム商品の試供品をもらっており、希望に応じて配布していると主張している。
しかし、乙第8号証において陳述書で述べているのは「サルベストロールクリーム商品」に関する陳述であり、本件商標を本件審判の請求に係る指定商品について使用をしていることの証明にはならない。
また、乙第8号証においても要証期間に広告を展示、頒布等をしていることを証明していない。
(4)乙第9号証及び乙第10号証について
被請求人は、乙第9号証において、サルベストロールジャパン社が発行した旨の記載のある商品カタログであって、日本国内において売り込みをかけた旨主張する。また、乙第10号証において、「Salvestrol Platinum capsules」の文字を使用して取引を行っている旨主張する。
しかし、乙第9号証においては、発行者は示されているものの、作成時期及び頒布等の事実は不明であって、また、「健康的な食事と共に、サプリメントでサルベストロールを摂取しましょう」と記載されている。さらに、乙第9号証の記載から、食物の成分などを調整して疾病などを治療等することを目的する記載はなく、単に栄養を補充することを目的としていることから、掲載されている商品は「サプリメント」であって「食餌療法用飲料・食品」でないことは明白であり、要証期間に、本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについての商標の使用を証明したということはできない。
また、乙第10号証においては、「Salvestrol Platinum capsules」がいかなる商品であるかについて明らかにされておらず、また、この商品が乙第9号証に掲載の商品であれば、その商品は「サプリメント」であって、本件審判の請求に係る指定商品のいずれかについての商標の使用を証明したということはできない。
3 口頭審理陳述要領書における主張
(1)乙第11号証について
被請求人は、乙第11号証について「サルベストロールジャパン社の2018年5月18日のウェブサイトのトップページのデータ」であると主張している。
しかしながら、乙第11号証には、商品と思しき写真と購入する文字が示されているが、主張している「サルベストロールジャパン社」の記載はなく、誰が作成した如何なる素性のウェブサイトであるかは、証明されていない。
さらに、「購入する」との記載はあるが、この記載が何を示しているのかについても証明されておらず、また、掲載の商品の説明もされていない。さらに、販売していたと主張するのであれば、販売価格、販売方法、販売時期などといった記載があるべきであるところ、これらの記載もされておらず、販売されている事実も証明されていない。
(2)乙第12号証について
ア 被請求人は、乙第12号証について「サルベストロールジャパン社がメール等によりpdfファイル形式で配布する商品説明資料の写し」であると主張している。
しかしながら、被請求人は、乙第12号証で示した書面について、「サルベストロールジャパン社がメール等によりpdfファイル形式で配布する」と主張するのみで、サルベストロールジャパン社が要証期間に乙第12号証で示した書面を作成し、配布した事実を証明していない。
イ 被請求人は、乙第12号証において「原材料:ブドウ種粉末、タンジェリン抽出物、米粉、ブルーベリー粉末/HPMC」 等と主張している。
さらに、癌と診断されている人が摂取することを予定しており、摂取目安についても記載されていることを主張している。
しかしながら、請求人が弁駁書において主張したように、第5類の「食餌療法用食品」については、食物の品質・成分・分量などを調節して、疾病を治療する商品であり、例えば、糖尿病患者用の糖質制限食などのように、特定の成分などをコントロールすることで、疾病の改善などを促す商品であったり、流動食や咀嚼嚥下障害者用の食品のように、吸収性を促進するなどして罹患臓器を庇護しながら全身栄養を全うすることを目的とした商品であるといえるところ、単に原材料を示したのみで、乙第12号証に示した商品が「食餌療法用食品」であることを証明したことにはならない。
さらに、サプリメントや薬剤をはじめ、多くの商品については摂取目安が示されており、摂取目安が示されている商品であることが「食餌療法用食品」であることの説明にはならない。
(3)乙第13号証について
被請求人は、乙第13号証について、「医師が服用する方に指示するための処方用紙であり、摂取する方に向き合った医療従事者が飲みすぎを注意したり、効果を上げる目的で使用する用紙である」と主張する。
しかしながら、乙第13号証には、いかなる者が作成したかについては不明であり、また「医師が服用する方に指示するための処方用紙」と主張するのみで、作成時期や配布の事実、配布枚数などについても何ら証明されておらず、実際にこの書面が使用されているかについても疑わしいといえる。
また、上記主張において「摂取する方に向き合った医療従事者が飲みすぎを注意したり、効果を上げる目的で使用する用紙」と主張しているが、前述したとおり、「食餌療法用食品」であるとするには、特定の成分などをコントロールすることで、疾病の改善などを促す商品等であり、医療従事者が取り扱うことのみを理由に「食餌療法用食品」とすることはできない。
さらに、「サルベストロール」については、本来、植物に含まれる天然成分としての化合物の名称であり、乙第13号証に示す「サルベストロール」の記載は、一般名としての「サルベストロール」について示したものであり、被請求人が主張する「SALVESTROL Platinum 2000」の商品について使用をしていることの証明にはならない。
(4)乙第14号証について
被請求人は、乙第14号証について、「サルベストロール platinum 2000の医療従事者向けのガイドラインであり、サルベストロールは医薬品ではないが、基本的に医療機関や医療従事者が患者に対して用いるものである」と主張している。
しかしながら、前述のとおり、「食餌療法用食品」は、医薬品ではない医療機関や医療従事者が患者に対して使用する商品が全て該当するものではなく、あくまで「食餌療法」として糖質等の特定の成分等をコントロールしたり、栄養の吸収が悪い方や咀嚼が困難な方のために、食事を容易に行うことを目的とした食品(商品)であって、医療機関や医療従事者が取り扱うことのみをもって、「食餌療法用食品」について使用していることを証明したことにはならない。
さらに、乙第14号証の3頁目の上から7行目において「サルベストロールは、植物が病原体の攻撃から守るための生化学的防御機構により生成されるフィトアレキシンです。極めて安定的な分子で、人体内に取り込まれても無害であり、CYP酵素(後述)によって代謝活性化された場合にのみ、抗癌効果が発揮されます。」とあるように、人体に欠乏している抗がん効果が発揮される成分を摂取するための医薬品に該当しない商品であって、このような商品は「サプリメント」に該当する商品であるといえる。さらに、このことは、乙第14号証の6頁目の最終行において、「※サルベストロールには脂溶性と水溶性のものが存在し、サプリメント内では、両種が混合されております。」とあるように、乙第14号証において説明の商品は「サプリメント」であると自ら主張していることからも明らかである。
4 上申書における主張
(1)乙第15号証及び乙第16号証について
ア 被請求人は、乙第15号証及び第16号証を提出し、乙第15号証の請求書の写しに「サルベストロール単品」と記載されていることを根拠に「サルベストロール platinum 2000」を販売していると主張する。
しかしながら、乙第15号証の請求書に記載の金額は、単価13,500円と記載されているが、被請求人が提出した乙第12号証等によると、被請求人が主張する「サルベストロール platinum 2000」の単価は、18,000円と表示されており、そもそも金額が合わない。また、請求書には特に値引きなどの表示がないことから、乙第15号証に表示されている商品は、少なくとも「サルベストロール platinum 2000」でないことは明らかであり、当該商品を販売されている事実を証明されたとすることはできない。
また、「サルベストロール」は、「成分名称」であって商品名ではないことから、「サルベストロール単品」の表示のみで、いかなる商品であるかを特定することはできず、少なくとも「食餌療法用食品」について使用されていることを証明したことにはならない。
イ また、被請求人が提出する乙第16号証の伝票の写しには、品目名の欄に「サプリメント」の表示がされている。
しかしながら、商品「サプリメント」と「食餌療法用食品」は、全く別の商品であり、商品「サプリメント」を送付した事実をもって「食餌療法用食品」であることを証明したことにはならない。
(2)乙第9号証及び乙第12号証について
ア 被請求人は、乙第9号証及び乙第12号証の頒布事実を説明すべく、乙第9号証のパンフレットを2,000部印刷した旨、点滴療法研究会のセミナーにブース出展の際に出席者に配布した旨、サルベストロール製品の購入者や資料請求者に送付している旨、を主張する。
しかしながら、上記の各主張に関し、何らの証拠(書証)をも示されていない。また、唯一、点滴療法セミナーについての予定表のウェブサイトのアドレスを示しているが、このウェブサイトにおいて、被請求人らが参加している事実、ブース出展した事実、乙第9号証を配布した事実のいずれの記載もなく、乙第9号証を頒布したことを示す客観的事実は何ら示されていない。
イ また、被請求人は、乙第12号証のパンフレットを乙第9号証と同様に点滴療法研究会のセミナーの参加者に配布している旨、サルベストロール製品の資料請求者に送付している旨、を主張する。
しかしながら、前述同様に、上記の各主張に関し、被請求人は何らの証拠(書証)をも示さず、単に主張のみに終始しており、乙第12号証を頒布したことを示す客観的事実は何ら示されていない。
(3)乙第6号証の訳文について
被請求人は、乙第6号証についての訳文を提出している。
上記訳文に記載の「5.知的財産権」には、「5.1 本頒布者は・・・、本頒布者は、本契約で明示若しくは黙示に許可されるものを除いては、知的財産権について使用し、・・・あるいは処分する権利を有しないことを認める。・・・」との記載がされている。
しかしながら、提出された訳文においても明示若しくは黙示に商標に関し、許諾を受けた旨の記載はなく、この点をもってしてもサルベストロールジャパン社が本件商標の使用権者であることは証明されていない。
(4)まとめ
以上述べたとおり、被請求人は、本件商標と社会通念上同一の商標を、要証期間に、その指定商品のいずれかについて使用していたことを立証するに至っていない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を、審判事件答弁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、要旨以下のように主張し、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 審判事件答弁書における主張
(1)本件商標権者による使用の態様
被請求人(本件商標権者)は、イギリスに本社を置き、植物由来の天然物質であるサルベストロールによる抗がん作用の発見から、がんの治療や予防のために大量のサルベストロールを摂取できるサプリを中心とした商品群を研究開発し、量産化のためのシステムを確立して商業化を図っている。しかしながら、サルベストロールの画期的なシステムについては、臨床論文は少ないものであり、2007年頃より学会での発表が始まったという状態である。
このような状況ながら、被請求人は、ウェブサイト(乙3の1)によりサルベストロールに関する情報を、要証期間に発信している。なお、このウェブサイトのサルベストロールに関する情報が要証期間に存在していたことは、インターネット上のウェブページを保存する団体(The InternetArchive)のサイト(乙3の2)にも同じものが保存されていることからも証明できるものである。URLの20150428110424の部分は、2015年4月28日の時点のサイトを取り込んだものであることを示している。
被請求人のウェブサイトで発信された情報は、Salvestrolsのページにあるように、“Salvestrol's are now commercially available in fortified foods,as nutritional supplements and for recommendation by practitioners.”(訳:サルベストロールは現在栄養補助食品としての栄養強化食品及び開業医による推奨品として市販されている)と記載されており、すでに市販品が得られている旨の情報発信を行っている。
一般に、外国語のウェブページについては、日本の需要者を対象としていないとの理由で、その使用態様として否定されるケースも散見するが、商標法第2条の使用の定義においては、何ら英語などの外国語の情報を排除しているものではない。特に、本件商標は、抗がん物質として開業医などの医業に従事する者を主な対象にしており、これらのがんの治療に専念するような高度の医療を行うものにとっては、英語自体は全く言語の障害となるものでない。
(2)ファイトテクノロジー社の通常使用権者としての地位
被請求人は、全世界でのサルベストロール商品の流通の目的で、アジア・オセアニア地域については、ニュージーランドのファイトテクノロジー社と二人三脚で製品を供給する体制を整えており、日本市場については、ファイトテクノロジー社が担当している(乙4、乙5)。
本件商標については、ファイトテクノロジー社にライセンスを与えるとの書面は存在しないものの、同社は、アジア地域を管轄しており、その商標の利用を代理店に許可する立場であったので、要証期間において、実質的に通常使用権者としての地位を有することは疑義のないところである。
(3)ファイトテクノロジー社による使用の態様
アジア地域を管轄するファイトテクノロジー社は、2015年7月7日にサルベストロールジャパン社と販売代理契約を結び、その契約は、現在も継続している。その契約書(乙6)には、第6項(審決注:第5項の誤り。)で知的財産はファイトテクノロジー社に残る旨の記載もある。ファイトテクノロジー社は、契約に基づき、サルベストロール商品に関する情報やサルベストロール商品の試供品を、販売代理会社であるサルベストロールジャパン社に送り、受注に応じて、サルベストロール商品を、サルベストロールジャパン社あるいは直接顧客に対して供給する。
(4)指定商品「食餌療法用飲料・食品」について
被請求人は、請求人から、「『医療用栄養補助剤』につき本件商標を使用したものであり、指定商品『食餌療法用飲料・食品』について本件商標を使用したものではない」との反論も一応あり得ることから、以下のとおり説明する。
まず、指定商品についての基準は、不使用取消審判請求事件においては、登録商標を現実的に使用している商品が、当該登録商標の指定商品に該当するか否かは、形式的、画一的に判断すべきではなく、商品の名称や構成、販売時の広告態様、本件商品及びこれと同種の商品についての使用状況やこれらから推認される取引者及び需要者の認識、社会通念等に照らして、これを実質的に判断すべきとされ、具体的な1つの商品が、複数の用途を有し、指定商品との関係で複数の商品に該当し得ることがあり得るとされる(知財高裁平成24年12年5日判決、知財高裁平成23年5月30日判決)。
ここで、「食餌療法用飲料・食品」のうち、「飲料・食品」の部分は、「飲み物、食べ物」であるということができ、「食餌療法」については、Wikipediaによれば、「食事療法」とも呼ばれ、食事の量やバランス、また、成分を調節することによって、病気の療養を図ったり、病気の臓器を守り健康管理を図ることとされ、糖尿病、高血圧症などで行われると記載されている。すなわち、摂取する行為によって病気の療養を図ったり、健康管理を図るような食べ物については、「食餌療法用食品」であるということが可能であり、顆粒であったりとかカプセルであるなどのその形態等については限定されることなく、カプセルという形態だけで、通常は「サプリメント」としての範ちゅうに含まれるからといって、「食餌療法用食品」に含まれないとすることはできないと思料する。本件のサルベストロール商品は、基本的に医療従事者のアドバイスで、癌患者に対する自然な食事を通じた治療を図るものであり、「食餌療法用食品」に含まれることには違いないものといわざるを得ない。
(5)サルベストロールジャパン社における営業
サルベストロールジャパン社(本社、東京都品川区)は、日本でのサルベストロール商品の販売を代理することを主な営業としている。サルベストロールジャパン社の活動は、広く抗癌医療に従事する者にサルベストロール商品に関する情報を提供して普及させることにあり、その一環として、専門誌「統合医療でがんに克つ 2015・12 Vol.90」(2015年11月30日発行)において、「注目されている植物性天然抗がん物質『サルベストロール』」(乙7)と題した連載記事の形式で発表して、その中で、市販のサルベストロール商品についての紹介を行っている。特に、この記事の中では、29ページの下側に、写真4としてボトルのパッケージごと市販サルベストロール・サプリメントが掲載されており、これに対応した記事として同ページに海外では既に市販済であり、日本でも2015年12月より輸入販売開始の予定との記載がある。本専門誌は、読者として医療従事者を対象とする高度医療の専門誌であり、サプリメントとして紹介するのは、その患者に与えることを意図していることはいうまでもない。
(6)サルベストロールジャパン社が提供する資料等
サルベストロールジャパン社では、ファイトテクノロジー社との上記販売代理契約の後、サルベストロール商品群の情報提供を受けながら、販売促進を図ってきており、この点については、サルベストロールジャパン社の代表の陳述書(乙8)にも記載されている。本件審判の取消対象商品である「食餌療法用飲料・食品」については、2015年12月頃の主たる製品として認識しており、さらなる販売促進を図るため、乙第9号証として示す力タログを作成し、日本国内のクリニックなどの専門医療機関をターゲットとした売り込みを展開している。カタログには、サルベストロールによる抗がん作用について説明しており、「食餌療法用飲料・食品」である「サルベストロール PLATINUM 2000」(商品名)を写真付きで紹介している。写真の「サルベストロール PLATINUM 2000」のボトルの表面には、商標「Salvestrol」の文字があり、「詳しくは取扱い機関の専門家にご相談ください」と記載されていることからも、「食餌療法用飲料・食品」であることが明らかである。
上述のように、サルベストロールジャパン社は、前述の販売代理契約に基づき、ファイトテクノロジー社と継続的に取引をしており、サルベストロール・サプリメントについては請求書が存在する。このような請求書の一例として乙第10号証によれば、「DESCRIPTION」の欄に、「Salvestrol Platinum capsules」の記載があり、45ボトルの納品に対して、2016年2月15日の日付で売主(seller)ファイトテクノロジー社、買主(buyer)サルベストロールジャパン社として請求書番号107としたものがあり、サルベストロールジャパン社とファイトテクノロジー社の間で、「Salvestrol Platinum capsules」の文字を使用しながらサルベストロール・サプリメントの取引が要証期間に発生していたことが分かる。
(7)結論
上述のように、被請求人及びその通常使用権者であるファイトテクノロジー社は、要証期間に、日本国内において本件審判の請求の対象である指定商品中、第5類「食餌療法用飲料・食品」について本件商標若しくは本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。
2 口頭審理陳述要領書における主張
乙第11号証は、サルベストロールジャパン社の2018年(審決注:2016年の誤り。以下同じ。)5月18日(要証期間)のウェブサイトのトップページデータであり、the Internet Archiveのサイトの「http://web-beta.archive.org/web/20160518054423/https://salvestrol.co.jp.」のデータである。このデータでは、スクリーンショット右上コーナーの日付けが2018年5月18日であることを示しており、これからも明らかなように、2018年5月18日の時点で、サルベストロールジャパン社のウェブサイト上では、「サルベストロール platinum 2000」を販売していたことが分かり、少なくとも本ウェブサイトは日本語であることから、カタログとして商標の使用を構成していることが分かる。
乙第12号証は、サルベストロールジャパン社が、メール等によりpdfファイル形式で配布する商品説明資料の写しであり、商品名「SALVESTROL platinum 2000」が「内容量:90粒、原材料:ブドウ種粉末、タンジェリン抽出物(オレンジを含む。)、米粉、ブルーベリー粉末/HPMC、原産国:ニュージーランド」と記載され、「希望小売価格 18,000円+税」であることも記載されている。また、癌と診断されている人が摂取することを予定しており、サルベストロールの摂取目安についても記載されている。
乙第13号証は、医師が服用する方に指示するための処方用紙であり、摂取する方に向き合った医療従事者が飲みすぎを注意したりや効果を上げる目的で使用する用紙である。
また、乙第14号証は、「サルベストロール platinum 2000」の医療従事者向けのガイドラインであり、「サルベストロール platinum 2000」は医薬品ではないが、基本的に医療機関や医療従事者が患者に対して用いるものであることが分かる。特に、使用方法については、摂取量のガイドラインという形で7ページに紹介されており、癌と診断されている方から、癌の予防までカバーしていることがわかり、例えば8ページには「主治医と患者が確認したならば、投与量を減らすことが可能です。」というようなガイドラインも医療従事者向けに記載されている。
以上の証拠により、商品の容量、使用方法、原材料、希望小売価格、摂取予定者などから、「サルベストロール platinum 2000」は、「食餌療法用食品」であることが分かる。
したがって、本件商標権者及び通常使用権者は、要証期間に第5類「食餌療法用食品」について商標を使用している。
3 上申書における主張
(1)要証期間に本件審判の請求に係る商品を販売した事実
被請求人は、日本の代理店であるサルベストロールジャパン社を通じて、要証期間に本件審判の請求に係る「サルベストロール platinum 2000」を岐阜県養老郡養老町の医療機関に要証期間内の2016年6月13日販売した。その販売事実を証する証拠として、サルベストロールジャパン社が岐阜県養老郡養老町の医療機関に対して発行した請求書の写しを乙第15号証として提出する。請求書には、「サルベストロール単品」と記載されているが、これは、製品名「サルベストロール platinum 2000」を内容とする。この販売により、サルベストロールジャパン社から上記医療機関に対してサルベストロールを内容とする出荷が2016年6月21日(配達日6月22日)に行われており、その出荷についての伝票の写しを乙第16号証として提出する。この出荷についての伝票の写しについては、配送業者であるヤマト運輸の事務管理センターから取り寄せたものである。また、乙第17号証として提出する配送業者であるヤマト運輸からの請求書にも、前記伝票の帳票番号3051-0500-5100の配達先が養老郡養老町となっており、その日付が平成28年6月21日であることが確認できる。
このように、サルベストロール製品を販売している事実は歴然としており、疑義の生じないものである。
(2)乙第9号証及び乙第12号証の頒布事実についての説明
乙第9号証は、サルベストロール製品のパンフレットの写しであり、2016年4月に2,000部を印刷し、点滴療法研究会のセミナーにおけるブース出展の際に、出席者全員若しくはブースに立ち寄った出席者に配布している。このセミナーは複数回行われており、要証期間では2016年4月17日、2016年5月15日、2016年7月10日の各セミナーで配布している。一回のセミナーでは、10枚から50枚程度の配布がある。点滴療法研究会のセミナーについては、2016年の年間予定表として「https://www.iv-therapy.org/medical/medical_seminar.php?date-year=2016」に記載されており、その会場としては、ベルサール三田(東京都港区三田3)が主たる会場とされている。
また、乙第9号証について、2016年の4月以降では、サルベストロール製品の購入者に対して購入本数と同じ枚数を同梱して送っており、月10件程度のサルベストロール製品の資料請求があった際にも資料請求者に送っている。
乙第12号証は、サルベストロール製品の説明資料であり、セミナーの都度、乙第9号証と同様に、必要数印刷して、点滴療法研究会のセミナーの参加者に配布している。その配布枚数は、一回のセミナーで10枚から50枚程度の配布がある。乙第12号証に係る資料については、乙第9号証に係るパンフレットと同様にサルベストロール製品の資料請求があった際にも資料請求者に送っている。
(3)乙第10号証の補足説明
乙第10号証に係る請求書については、購入者としてサルバケアジャパンなる名称が表示されているが、これは請求書の発行者であるファイトテクノロジー社による宛名の書き間違いのミスタイプであり、正しくはサルベストロールジャパン社を購入者とするものである。同様の請求書の写しとして、乙第18号証を添付する。これは要証期間である2016年2月15日に、ファイトテクノロジー社から日本の代理店であるサルベストロールジャパン社にサルベストロール製品を売買した際の請求書である。

第4 当審の判断
1 被請求人は、本件審判の請求に係る指定商品中、第5類「食餌療法用食品」について本件商標を要証期間に使用していると主張しているので、以下検討する。
(1)「食餌療法用食品」について
「食餌療法用食品」は、本件商標の登録出願時に適用された商標法施行規則別表(第5類)に例示されていない商品である。
「食餌療法」とは、「食物の品質・成分・分量などを調節して、疾病を治療し、または罹患臓器を庇護しながら全身栄養を全うする法。」(広辞苑第六版)であり、そして、「食餌療法用食品」とは、「食餌療法に用いる食品」であるから、「疾病を治療するなどを目的とした、食物の品質・成分・分量などを調節する食品」といえる。
以下、「食餌療法用食品」を「使用商品」という。
(2)被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば、本件商標の使用について、以下のとおりである。
ア 乙第7号証は、専門誌「統合医療でがんに克つ 2015・12 Vol.90」(2015年11月30日発行、抜粋)(写)であるところ、「注目されている植物性天然抗がん物質『サルベストロール』」の題目のもと、「サルベストロールを多く含む果物、野菜、あるいはサプリメントによるサルベストロールの摂取ががん予防・がん治療に結びつくことは明らかです。」との記載があり、また、「■サルベストロール・サプリメントの開発」の見出しの下、「・・・大量のサルベストロールを摂取できるサプリメントの開発研究を進めていました。・・・オーガニック果物を原料に大量のサルベストロールを生産するシステムを確立し、商業化に成功しました。・・・今では、・・・ヨーロッパ各国、・・・ニュージーランドなどでサルベストロールが市販されるようになりました(写真4)。日本でも2015年12月より主に医師向けに輸入販売が始まる予定です(取り扱い:サルベストロール・ジャパン社 電話・・・)。」との記載があり、さらに、「写真4 市販サルベストロール・サプリメント」として、ボトルに「Salvestrol」と表示された商品の写真が掲載されている。
そうすると、乙第7号証は、植物性天然抗がん物質「サルベストロール」に関する記事であって、写真4に示された商品「サルベストロール・サプリメント」の広告が掲載されているものと認められる。
しかしながら、当該専門誌の写真(写真4)に示された商品は、「市販サルベストロール・サプリメント」との記載から、「サプリメント」というべきものであって、使用商品の範ちゅうに含まれるものであることが確認できない。
イ 乙第9号証は、被請求人によれば、「サルベストロールジャパン社のサルベストロール商品カタログ」(写)であるところ、1葉目の中央列には、ボトルに「Salvestrol」と表示された商品の写真、「発行:株式会社サルベストロールジャパン」の記載等がある。
また、2葉目の左列上部には、「サルベストロールとは?」の見出しの下、「サルベストロールは健康に不可欠な植物由来成分です。体内で作ることができないため、食事やサプリメントで補給する必要があります。」との記載があり、右列下部には、「現代の生活環境では、食事から十分なサルベストロールを摂取することは非常に困難です。健康的な食事と共に、サプリメントでサルベストロールを摂取しましょう。」の記載がある。
そうすると、乙第9号証は、日本の代理店と主張するサルベストロールジャパン社による、ボトルに「Salvestrol」と表示された商品の広告と認められる。
しかしながら、同号証に示された商品は、「健康的な食事と共に、サプリメントでサルベストロールを摂取しましょう。」との記載から、「サプリメント」というべきものであって、使用商品の範ちゅうに含まれるものであることが確認できない。
また、同号証が作成された時期や要証期間に日本国内において頒布された具体的な事実も確認できない。
ウ 乙第10号証及び乙第18号証は、被請求人によれば、サルベストロール・サプリメントのファイトテクノロジー社からサルベストロールジャパン社に宛てた請求書(写)であるところ、(a)「DATE」欄に、「15/02/2016」との記載、(b)「QUANTITY」欄に、「45×Bottles」との記載、(c)「DESCRIPTION」欄に、「Salvestrol Platinum capsules」との記載があることから、同号証は、要証期間の「Salvestrol Platinum capsules」に関する請求書と認められる。
しかしながら、同号証に記載された「Salvestrol Platinum capsules」なる商品が、要証期間に本件商標の通常使用権者とするファイトテクノロジー社から、日本における販売を代理するサルベストロールジャパン社に販売されたことがうかがえるものの、当該商品が使用商品の範ちゅうに含まれる商品であることは確認できない。
エ 乙第11号証は、被請求人によれば、2018年(審決注:2016年の誤り。)5月18日のサルベストロールジャパン社のウェブサイトのトップページデータ(the Internet Archiveのサイト)(写)であるところ、「サルベストロールサプリメント」の商品について、そのボトル及びカプセルの写真の下方には、黄緑色の矩形内に白抜きで「購入する」との記載(タグ)があることから、サルベストロールジャパン社による、ボトルに「Salvestrol」と表示された商品「サプリメント」の広告と認められる。
しかしながら、同号証の「購入する」のタグから、当該商品を日本国内の者が購入することができるとしても、同号証の商品は、サプリメントであって(乙9)、使用商品の範ちゅうに含まれるものであることは確認できない。
オ 乙第12号証は、被請求人によれば、「サルベストロール platinum 2000」の3葉からなる商品説明資料(写)であるところ、1葉目には、「SALVESTROL PLATINUM 2000」の見出しの下、ボトルに「Salvestrol」、「PLATINUM」、「Dietary Supplement」と表示された商品の写真、「内容量:90粒」、「賞味期限:製造月より3年」の記載、希望小売価格、予定卸価格などの記載があり、1葉目下部には、「輸入販売元:株式会社サルベストロールジャパン」の記載のほか、問い合わせ先メールアドレス及び電話番号の記載がある。
そうすると、乙第12号証の1葉目は、サルベストロールジャパン社による、ボトルに「Salvestrol」と表示された商品「サプリメント」の広告と認められる。
しかしながら、同号証の1葉目には、「賞味期限」の記載及び原材料について「ぶどう種子粉末、タンジェリン抽出物(オレンジを含む)、米粉、ブルーベリー粉末/HPMC」の記載があることから、「薬剤」とはいえず、当該商品写真のボトルには、「Dietary Supplement」の記載があることから、栄養補助食品としての「サプリメント」に関するものであって、かつ、当該書面が作成された時期、要証期間に日本国内において頒布された具体的な事実は確認できない。
また、乙第12号証の2葉目及び3葉目は、「Salvestrol」と表示された「医療機関向け資料」であり、その内容は、「天然の抗がん成分、サルベストロール」の見出しの下、「摂取目安量」(2葉目)や「サルベストロールとは?」(3葉目)等、成分としての「サルベストロール」に関する説明であるから、使用商品についてのものということができない。
カ 乙第13号証は、被請求人によれば、「サルベストロールの処方用紙」(写)であるところ、1葉目は、「サルベストロールの阻害物質を避けましょう」、「サルベストロールの働きを助ける栄養素を取りましょう」、「無農薬の野菜・果物を積極的に摂りましょう」、「適度な運動をしましょう」の各見出しの下、成分としてのサルベストロールの摂取に関する内容を記載した書面と認められ、また、2葉目は、「サルベストロール服用方法」の見出しの下、「初期ローディング」、「基本量」、「再発防止」及び「予防」について、カプセル数を追記する型式の書面であり、下部には、「医師コメント欄」があることから、サルベストロールカプセルの服用方法を記載した書面と認められる。
しかしながら、同号証は、使用商品に関するものといい得る記載は見いだせず、また、同号証が作成された時期や要証期間に日本国内において頒布された具体的な事実も確認できない。
キ 乙第14号証は、被請求人によれば、「サルベストロール platinum 2000の医療従事者向けガイドライン」(写)であるところ、1頁の右上に「更新:2016年11月」の記載があることから、これは、要証期間外のものである。
なお、同号証の6ページの最下行には、「※サルベストロールには脂溶性と水溶性のものが存在し、サプリメント内では両種が混合されています。」との記載がある。
また、同号証の7ページには、「摂取量のガイドライン」の見出しの下、「<摂取量>」として、「飲みはじめから6週間は1日に12,000ポイント(サプリメントであれば6カプセル)のサルベストロールを与え、ローディングを行います。朝食前に4カプセルを飲み血中濃度を上昇させ、その3-4時間後に2カプセルを飲むことで最高レベルの血中濃度を長時間保持することができます。」の記載があるが、単に摂取目安量(カプセル数)を示しているにすぎず、他に摂取する食物を含めた総摂取カロリーの指示なども見いだせないから、「食物の品質・成分・分量などを調節する食品」であるとはいえず、むしろ、「サプリメントであれば6カプセル」の記載から、「サプリメント」といえるものである。
そうすると、「サルベストロールPLATINUM2000」は、「サプリメント」であって、使用商品の範ちゅうに含まれる商品であるとはいえない。
ク 乙第15号証ないし乙第17号証は、被請求人によれば、それぞれ、「サルベストロールジャパン社から岐阜県の医療機関宛ての請求書」(写)、「運送会社の出荷伝票」(写)、「運送会社からサルベストロールジャパン社宛ての請求書」であるところ、乙第15号証の請求書の宛先と乙第16号証の伝票に記載された宛先が一致し、乙第16号証の伝票番号と乙第17号証の番号が一致することから、乙第15号証の品目「サルベストロール単品」、数量「2」が、サルベストロールジャパン社から岐阜県の医療機関に販売されたことがうかがえる。
しかしながら、「サルベストロール単品」は、乙第16号証に「サプリメント」との記載があることから、商品「サプリメント」であって、使用商品に含まれる商品とはいえない。
(3)小括
以上のとおり、「サルベストロールPLATINUM2000」、「Salvestrol Platinum capsules」及び「サルベストロール単品」は、日本国内においては、サルベストロールジャパン社の取扱いに係る商品であるとしても、かかる商品は、使用商品の範ちゅうに含まれるものであることを確認できないし、当該商品に係る商品カタログ等が作成された時期や頒布された事実及び当該商品が日本国内において販売された具体的な事実は確認できない。
その他、被請求人が提出した証拠によっては、要証期間に、使用商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用があったことを認めるに足る事実を見いだせない。
2 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品について、本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件商標の使用をしていないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2017-12-18 
結審通知日 2017-12-22 
審決日 2018-02-06 
出願番号 商願2006-64586(T2006-64586) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y05)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小川 敏 
特許庁審判長 田中 亨子
特許庁審判官 原田 信彦
大森 健司
登録日 2007-04-06 
登録番号 商標登録第5039175号(T5039175) 
商標の称呼 サルベストロール 
代理人 佐藤 勝 

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