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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない W09
審判 査定不服 観念類似 登録しない W09
審判 査定不服 外観類似 登録しない W09
管理番号 1342078 
審判番号 不服2017-15423 
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-18 
確定日 2018-06-11 
事件の表示 商願2016- 38192拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第9類,第35類及び第42類に属する願書記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成28年4月4日に登録出願されたものである。
そして,その指定商品及び指定役務については,当審における同29年10月18日受付の手続補正書をもって,第9類「コンピュータソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア,コンピュータソフトウェアを記録させた記録媒体,情報処理装置,コンピュータ」に補正されたものである。

2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして,本願商標の拒絶の理由に引用した登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)第900761号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2
登録出願日:昭和41年2月16日
設定登録日:昭和46年6月10日
書換登録日:平成15年8月27日
最新更新登録日:平成23年6月28日
指定商品:第9類「電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」及び第7類,第8類,第10類,第11類,第17類,第21類に属する商標登録原簿に記載の商品
(2)第1824488号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3
登録出願日:昭和58年4月28日
設定登録日:昭和60年12月25日
書換登録日:平成18年2月15日
最新更新登録日:平成27年9月1日
指定商品:第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」及び第11類,第17類に属する商標登録原簿に記載の商品
なお,「引用商標1」及び「引用商標2」をまとめて「引用商標」という場合がある。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は,別掲1のとおり,やや右肩上がりに傾いた太線の正円が二つ結合した図形(以下「図形部分」という。)を左側に配し,その右側にはゴシック体の「Eight」の欧文字(以下「文字部分」という。)を有してなる構成からなるものである。
そして,構成中の図形部分と文字部分についてみるに,図形部分と文字部分は明らかに一体的に結合しているものではないから,両者は視覚上,明確に分離して看取されるものである。
また,図形部分は,我が国において特定の事物を表したもの,又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないから,該図形部分からは,特定の称呼及び観念は生じないものである。
一方,構成中の文字部分は,「Eight」の欧文字からなるところ,該文字は,「基数の8」(「ベーシック ジーニアス英和辞典」株式会社大修館書店)を意味する英単語であって,我が国において親しまれたものであるから,該文字に相応して「エイト」の称呼と,数字の「8」の観念が生じるものである。
そうすると,構成中の図形部分は,特定の称呼及び観念を生じないものであって,文字部分とは,称呼及び観念上の関連性を有さないものである。
以上によると,本願商標において,図形部分と文字部分は,視覚上,明確に分離して看取されるものであって,称呼及び観念上も関連性を有するものではないことからすると,これらは分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているとはいえないものである。
そして,図形部分と文字部分とは,本願の指定商品との関係において,ともに出所識別機能を有するものであるから,それぞれが独立して自他商品の識別標識として機能するというのが相当である。
そうすると,本願商標の構成中,文字部分は,一見して数字の「8」を観念できるほどに親しまれ,ありふれた語であることに比して,図形部分は,一見して何を表すものかを認識させることのない図形であることから,該図形部分は見る者の注意をひき,看者に強く支配的な印象を与える部分といえるものである。
してみれば,本願商標に接する取引者,需要者は,本願商標の構成中,図形部分をその記憶にとどめ,その外観をもって取引にあたる場合も決して少なくないものといえるから,本願商標から該図形部分を要部として分離,抽出し,他人の商標と比較することも許されるものといえる。
イ 引用商標について
(ア)引用商標1について
引用商標1は,別掲2のとおり,太線の正円が二つ結合した図形であるところ,該図形は,我が国において特定の事物を表したもの,又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないから,引用商標1は,特定の称呼及び観念を生じないものである。
(イ)引用商標2について
引用商標2は,別掲3のとおり,太線の正円が二つ結合した図形(以下「図形部分」という。)を上段に,その下に,図形部分よりも細いゴシック体で「Nippon Kouatsu Electric」の文字(以下「文字部分」という。)を配した構成からなるものである。
そして,図形部分と文字部分について見るに,図形部分と文字部分の間には余白があり,図形部分と文字部分は明らかに離れて配されていることから,両者は視覚上,明確に分離して看取されるものである。
また,構成中の図形部分は,我が国において特定の事物を表したもの,又は意味合いを表すものとして認識され,親しまれているというべき事情は認められないから,該図形部分からは,特定の称呼及び観念は生じないものである。
一方,下段の文字部分は,「Nippon Kouatsu Electric」の欧文字に相応して「ニッポンコーアツエレクトリック」の称呼を生じ,また,構成中の「Nippon」及び「Kouatsu」の文字は,「日本」及び「高圧」をローマ字表記したものであり,「Electric」は,「電気」を意味する英語(同じく「ベーシック ジーニアス英和辞典」)であるところ,これらは全体として特定の意味合いを有するものとはいえないから,特定の観念を生じないものである。
そうすると,構成中の図形部分は,特定の称呼及び観念を生じないものであるから,図形部分と文字部分とは,称呼及び観念上の関連性を有さないものである。
以上によると,引用商標2において,図形部分と文字部分とは,外観上,明確に分離して看取されるものであって,称呼及び観念上も関連性を有するものではないから,これらは分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど,不可分的に結合しているとはいえないものである。
そして,図形部分と文字部分とは,引用商標2の指定商品との関係において,ともに出所識別機能を有するものであるから,それぞれが独立して自他商品の識別標識として機能するというのが相当である。
以上を踏まえて引用商標2をみるに,文字部分は,図形部分よりも細い字体で表されていることに比して,図形部分は看者に視認されやすい上段に,より太い線で明瞭に表されており,また,一見して何を表すものかを認識させることのない図形であって,見る者の注意をひくものであるから,看者に強く支配的な印象を与える部分といえるものである。
してみれば,引用商標2に接する取引者,需要者は,引用商標2の構成中,その図形部分をその記憶にとどめ,その外観をもって取引にあたる場合も決して少なくないものといえるから,引用商標2から該図形部分を要部として分離,抽出し,他人の商標と比較することも許されるものといえる。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
(ア)本願商標と引用商標1の類否について
本願商標と引用商標1の類否について検討するに,全体の外観においては,両商標はその構成を異にするものであるが,前記ア及びイ(ア)に記載したとおり,本願商標の図形部分と引用商標1とは,いずれも,太線で描いた二つの正円の一部を結合した図形からなる点において一致しており,両者は二つの正円を結合させるという基本的な構成の軌を一にしているため,両者は互いに近似した図形であって、類似するものである。
また,本願商標の図形部分と引用商標1とは,ともに称呼及び観念を生じないものであるから,称呼及び観念において比較することはできない。
以上からすると,本願商標の図形部分と,引用商標1とは,外観上類似しているものであるから,両商標は,互いに相紛れるおそれのある類似の商標である。
(イ)本願商標と引用商標2の類否について
本願商標と引用商標2の類否について検討するに,全体の外観においては,両商標はその構成を異にするものであるが,前記ア及びイ(イ)に記載したとおり,本願商標の図形部分と引用商標2の図形部分は,いずれも,太線で描いた二つの正円の一部を結合した図形からなる点において一致しており,両者は二つの正円を結合させるという基本的な構成の軌を一にしているため,両者は互いに近似した図形であって、類似するものである。
また,本願商標の図形部分と引用商標2の図形部分とは,ともに称呼及び観念を生じないものであるから,称呼及び観念において比較することはできない。
以上からすると,本願商標の図形部分と,引用商標2の図形部分とは,外観上類似しているものであるから,両商標は,互いに相紛れるおそれのある類似の商標である。
(ウ)小括
したがって,本願商標と引用商標とは,外観において相紛れるおそれのある類似の商標といわざるを得ない。
エ 本願商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否について
(ア)本願商標の指定商品と引用商標1の指定商品の類否について
本願商標の指定商品「コンピュータソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア,コンピュータソフトウェアを記録させた記録媒体,情報処理装置,コンピュータ」と,引用商標1の指定商品中,第9類「電子応用機械器具及びその部品」は,類似する商品である。
(イ)本願商標の指定商品と引用商標2の指定商品の類否について
本願商標の指定商品「コンピュータソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア,コンピュータソフトウェアを記録させた記録媒体,情報処理装置,コンピュータ」と,引用商標2の指定商品中,第9類「電子応用機械器具及びその部品」は,類似する商品である。
オ 小括
本願商標と引用商標とは,前記ウ(ウ)のとおり,互いに相紛れるおそれのある類似の商標であり,かつ,前記エのとおり,本願商標の指定商品は,引用商標の指定商品と類似する商品である。
したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標は図案化したアラビア数字の『8』を右方向に傾けてなる図形部分と当該図形の右に隣接する『Eight』の欧文字部分とが結合してなる標章である。そして、『Eight』の欧文字部分は数字の『8』を意味する中学生レベルの英単語であり,当該文字の左に置かれた図形がアラビア数字の『8』を図案化したものであることを端的に差し示すものである。したがって、図形部分と相俟って本願商標全体から生ずる観念は数字の『8』であり、その称呼は『エイト』である。その他の観念及び称呼が生じる余地はないというべきである。」旨 、及びその理由として、「本願商標『8の図形+Eight』の構成中、当該図形及び欧文字『Eight』は同一の文字の太さを以て書されているから、本願商標全体は書体上の一体感を有する。しかも、本願商標『8の図形+Eight』の図形部分と語頭文字『E』との間隔は、その後に続く『i』『g』『h』『t』の各文字間の間隔と均等である。加えて、図形部分が文字部分の高さを越えることなく、上下同一ラインに収まっていることから、図形部分を含めた本願商標全体があたかも1つの単語を形成する外観となっている。したがって、視覚上、本願商標は一体不可分とみるのが合理的であり、『図形部分と文字部分とが視覚上、分離して看取し得る』とする審査官の認定は失当である。・・・仮に、図形部分と欧文字部分とが分離して看取されるとしても、『8』を意味する『Eight』の文字が図形の真横に隣接して存在しているのであるから、『8』を意味する『Eight』の文字の存在が無視されることはあり得ない。取引者・需要者は少なくとも当該図形部分と『8』を意味する『Eight』の文字とを瞬時に交互に注視し、当該図形を瞬時に『8』と認識するのが自然であるというべきである。」旨を主張している。
しかしながら,本願商標の構成中の図形部分は,二つの正円の一部を結合したものと容易に看取されうる構成からなるものであり,また,数字の「8」は縦方向に長い構成であるのに対し,該図形部分は横方向に長い構成からなるものであるから,これに接する取引者,需要者が,該図形部分を一見してアラビア数字の「8」を表したものと常に認識,理解するとはいい難いものであり,むしろ,二つの正円の一部を結合した一種の幾何学的図形を表したものと認識するというのが相当であって,該図形は,特定の事物や意味合いを表すものとは認識されないものというのが相当である。
したがって,本願商標に接する取引者,需要者は,図形部分の右側に「Eight」の文字があることをもってしても,該図形部分を常にアラビア数字の「8」と認識するということはできない。
そして,その図形部分は,右側の「Eight」の各構成文字の2文字分から3文字分に近い横幅をとって大きく明瞭に表されているうえ,その右側の文字は,我が国において親しまれた英語である「Eight」を表す文字と容易に認識されるものであるから,本願商標は,一見して図形と文字から
なるものと認識されるものであって,全体として一つの単語を形成するものとして認識されるものとはいえず,また,前記(1)アのとおり,図形部分と文字部分は,明らかに一体的に結合しているものではなく,視覚上,常に一体不可分のものとして把握されるとはいえないものである。
さらに,前記(1)アのとおり,該図形部分と「Eight」の文字部分は,外観上分離して看取され,称呼及び観念上,関連性を有するものではないから,これらは分離して観察することが不自然であるというほどに不可分的に結合しているものとはいえず,図形部分と文字部分を常に一体不可分のものとしてみるべき事情があるとはいえないものである。
そうすると,本願商標に接する取引者,需要者は,その構成中の図形部分に着目し,その外観をもって取引に資する場合もあるというのが相当であるから,本願商標は,その全体から生じる「エイト」の称呼及び数字の「8」の観念によってのみ,取引に資されるということはできない。
イ 請求人は,「本願商標と同様の構成からなる商標が、類似群コード『11C01』に係る指定商品について多数併存登録されている。」として,他の登録例をあげ,本願についても登録されるべき旨を主張している。
しかしながら,これらの登録例と本願商標は,その構成態様を異にするものであるから同一に論じることは適切ではなく,また,そもそも商標の類否判断は,個々の事案に即して当該出願に係る商標と特定の他人の登録商標との対比において,個別具体的に判断されるべきものであり,該事例をもって本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは適切ではない。
したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1(本願商標)


別掲2(引用商標1)


別掲3(引用商標2)


審理終結日 2018-04-10 
結審通知日 2018-04-13 
審決日 2018-04-25 
出願番号 商願2016-38192(T2016-38192) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (W09)
T 1 8・ 261- Z (W09)
T 1 8・ 263- Z (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青野 紀子 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 真鍋 恵美
榎本 政実
商標の称呼 エート、エイト 
代理人 谷川 英和 

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