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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
審判 全部申立て  登録を維持 W09
管理番号 1341292 
異議申立番号 異議2017-900373 
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-12-11 
確定日 2018-06-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第5980195号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5980195号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5980195号商標(以下「本件商標」という。)は,「SPEC」の欧文字を横書きしてなり,平成27年9月3日に登録出願,第9類「オーディオ用スピーカー及びその附属品,オーディオ用増幅器及びその附属品,アンプ内蔵スピーカー,音響装置用制御装置,オーディオ用CDプレーヤー及びその附属品,オーディオ用レコードプレーヤー及びその附属品,ネットワーク接続型オーディオ機器及びその附属品,オーディオプレーヤー及びその附属品」を指定商品として,同29年6月21日に登録審決,同年9月15日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する国際登録第1024440号商標(以下「引用商標」という。)は,「SPECK」の欧文字を横書きしてなり,2012年(平成25年)9月18日に登録出願(事後指定),第9類「Protective carrying cases for portable electronic listening devices and music players, namely, MP3 players, and for global positioning systems (GPS devices), mobile and cellular telephones, and portable media players.」を指定商品として,平成26年2月7日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1 指定商品について
本件商標と引用商標は,それらの指定商品において抵触している。
2 称呼について
本件商標と,引用商標からは,それぞれ当然に「スペック」という称呼のみが生じ,両商標は称呼において完全に同一である。
3 外観について
本件商標と引用商標とでは最初の4文字,すなわち,「SPEC」の箇所が全て同一であり,唯一の相違は,引用商標にはその末尾に「K」の文字が付されているという点だけである。商取引の実務においては,商標を構成する文字の中で需要者の注意を引くのはその頭部分の箇所であり,末尾の箇所はあまり需要者の注意をひかないという一般的な原則が存在する。特に本件においては,引用商標の末尾の「CK」は「C」と同様に常に「ク」又は「ック」と発音されることから,末尾における「K」の存在は,その外観においてもほとんど需要者の注意を引くことはなく,「CK」と「C」はほとんど同一と理解されるのが通常である。
したがって,本件商標と引用商標とは,外観においても極めて似ている。
4 観念について
本件商標の「SPEC」も引用商標の「SPECK」も特定の観念を想起させるものではない。
5 小括
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標と引用商標の類否について
ア 本件商標
本件商標は,「SPEC」の欧文字を横書きしてなるものであるところ,「SPEC」の文字は,「機械などの構造や性能を表示したもの。仕様。また,仕様書。」の意味を有する語(「広辞苑第六版」株式会社岩波書店 )として我が国で親しまれているものである。
してみれば,本件商標はその構成文字に相応して「スペック」の称呼を生じ,「仕様(書)」程の観念を生じるものである。
イ 引用商標
引用商標は,「SPECK」の欧文字を横書きしてなるところ,該文字(語)は,辞書類に「斑点,小さな点」の意味を有する語として載録されているとしても,一般に広く親しまれた語といえず,一種の造語として認識されるというのが相当である。
そうすると,引用商標は,その構成文字に相応して「スペック」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
ウ 本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とを比較すると,外観においては,両者は,4文字と5文字という少ない文字構成からなり,語頭から4文字の「S」「P」「E」「C」の文字を共通にし,語尾において,「K」の文字の有無の差異を有するものであるところ,この語尾における差異は,少ない文字構成において目立った違いとして看取されるものであるから,異なる印象を与えるものであり,外観において見誤るおそれはないものである。
そうとすれば,「SPEC」の文字と「SPECK」の文字の外観は,時と所を異にした離隔観察はもとより,対比観察においても明瞭に看て取れるものであるから,本件商標と引用商標は,外観上,相紛れるおそれはない。
称呼においては,本件商標と引用商標は,共に「スペック」の称呼を生ずるものであるから,「スペック」の称呼において,同一ということができる。
観念においては,本件商標は,「仕様(書)」程の観念を生ずるのに対し,引用商標は一種の造語として理解され,観念は生じないものであるから,両者は,観念上,相紛れるおそれはないものである。
してみれば,本願商標と引用商標とは,称呼において共通するとしても,外観においては,判然と区別し得るものであり,また,観念においても,相紛れるおそれはないものであるから,その称呼,外観及び観念によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両商標をそれぞれ同一又は類似の商品に使用しても,その出所について混同を生ずるおそれはないと判断するのが相当であり,両商標は,非類似の商標というべきである。
(2)小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,非類似の商標であるから,その指定商品が同一又は類似であるとしても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 申立人の主張について
(1)申立人は,「商取引の実務においては,商標を構成する文字の中で需要者の注意を引くのはその頭部分の箇所であり,末尾の箇所はあまり需要者の注意をひかないという一般的な原則が存在する。特に本件においては,引用商標の末尾の『CK』は『C』と同様に常に『ク』又は『ック』と発音されることから,末尾における『K』の存在は,その外観においてもほとんど需要者の注意を引くことはなく,『CK』と『C』はほとんど同一と理解されるのが通常である。」旨を主張している。
しかしながら,本件商標と引用商標とは4文字と5文字という少ない文字構成からなるものであり,このような少ない文字構成においては,語尾の「K」の文字の有無は,外観上大きな差異といえるものであって,両者を対比してみれば,看者の印象に強く残る部分といえる。また,需要者が,通常,「CK」と「C」をほとんど同一と理解するとの証拠の提出はないものである。
(2)申立人は,「『SPEC』の文字について,英語の『specification』が『仕様』の意味を有する場合は,その略語は常に『spec.』という形でピリオドが末尾に付され,ピリオドの付されていない『spec』は,『投機』を意味する『speculation』の略語とされる。また,『SPEC』の文字は,インターネットにおいて様々な意味を有する語として掲載され,使用されているから,常に『仕様』の観念が生じるものではない。」旨を主張している。
しかしながら,「SPEC」の文字が,申立人の主張する一部の辞書において「投機」を意味する略語として掲載され,また,ウェブサイトにおいて様々な意味を有する文字として掲載されているとしても,「SPEC」から生じるその意味は一般には,なじみがないといえるものである。
そうすると,本件商標に「.」が付されていないとしても,これに接する我が国の取引者,需要者においては,我が国で親しまれている「SPEC」の文字から,「仕様(書)」程の意味を認識するというのが相当である。
(3)申立人は,「本件商標の指定商品であるオーディオ商品等について『SPEC』の商標が使用された場合において,それを見た需要者は,『SPEC』は各ブランドのように何らかの用語の略称であるか,又は,その他特に意味のない名称であると考えるのがごく普通であり,『SPEC』をあえて『仕様』という観念と結びつける需要者は,存在しない。」旨を主張している。
しかしながら,本件商標に接した,需要者,取引者は,一般によく知られたその文字構成から「仕様(書)」程の観念を生ずるものであり,その観念が指定商品によって変わるものではない。
(4)したがって,申立人の上記主張は,いずれも採用できない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2018-06-13 
出願番号 商願2015-84994(T2015-84994) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W09)
T 1 651・ 261- Y (W09)
T 1 651・ 262- Y (W09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 今田 尊恵 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 薩摩 純一
大森 友子
登録日 2017-09-15 
登録番号 商標登録第5980195号(T5980195) 
権利者 スペック株式会社
商標の称呼 スペック 
代理人 望月 秀人 
代理人 又市 義男 

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