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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y29
管理番号 1341215 
審判番号 取消2017-300379 
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-06-05 
確定日 2018-05-28 
事件の表示 上記当事者間の登録第4853576号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4853576号商標(以下「本件商標」という。)は、「PRIME CARE」の文字を標準文字で表してなり、平成16年10月6日に登録出願、第29類「カロチノイド類・ビタミン類・種子エキス・植物エキス・アルファリポ酸・フラボノイド類・ミネラル・カルシウム・アミノ酸・プロテイン・食物繊維・野菜・アセロラ・果物・ハーブ・クロレラ・菌類・海藻・魚介類・野菜エキス・動物エキスの少なくとも一つを主原料とするカプセル状・錠剤状・粒状・チュアブル状・キャプレット状・粉末状・液状・板状・棒状・クリーム状・ペースト状・シロップ状・ゼリー状・ゲル状の加工食品」を指定商品として、同17年4月1日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成29年6月21日にされていることから、本件審判について、商標法第50条第2項に規定する「その審判の請求の登録前三年以内」とは、同26年(2014年)6月21日から同29年(2017年)6月20日までの期間である(以下、この期間を「本件要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人による答弁に対する弁駁について、要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)使用者について
被請求人は、自らについて、「NSエンタープライズのグループ会社である」旨主張するが、住所が共通しているということでは、グループ会社であるとの立証にはならない。
また、被請求人は、自らが「NSエンタープライズに係る商標の権利者及び出願人である」旨主張するが、その主張に係る「NSエンタープライズに係る商標」の定義が不明確であるため、商標が特定できないし、被請求人が提出した乙第4号証は、被請求人の登録商標一覧にすぎず、それが何を特定しているのか不明である。
さらに、被請求人は、カタログの裏表紙における記載をもって、「被請求人及びNSジャパンは、NSエンタープライズのグループ会社であることが分かる」旨主張するが、その記載は、単なる取引先の表記にすぎず、グループ会社であることを立証していない。
してみれば、被請求人が「NSエンタープライズ」のグループ会社であることの立証は、十分ではない。
仮に、被請求人が「NSエンタープライズ」のグループ会社であったとしても、その資本割合は不明であり、どこまで「NSエンタープライズ」の意向が反映されるかも不明である。
確かに、親会社と子会社との間で黙示の通常実施権が認められたケースはある。しかし、「NSジャパン」が「NSエンタープライズ」のグループ会社であったとしても、被請求人と単なるグループ会社同士ということだけでは、被請求人の登録商標について、「NSジャパン」に黙示の使用許諾があったとはいえない。このことは、別途、被請求人と「NSジャパン」との間で「商標等ライセンス契約」(乙9)を締結する必要があったことからも明らかである。そして、「商標等ライセンス契約」の条項4.1には、「許諾製品及びサービスにおける許諾標章及び名称を使用するための排他的ライセンス及び権利を許諾する。」とあるが、それぞれの用語に様々な要件が設定されているため、本件商標がこれに該当するか否かは明確ではない。
以上によれば、「NSジャパン」が、本件商標権についての通常使用権を有しているかは明確ではなく、本件商標が、日本国内において、被請求人及び通常使用権者により使用されていることは立証されていない。
(2)商標の使用時期について
本件審判の請求日は2017年6月5日であるから、その請求に係る商標の使用を証明すべき期間は、2014年6月6日から2017年6月5日までである。
そこで、被請求人が提出した証拠をみると、「NSジャパン」が我が国において販売している加工食品(乙10の3)のラベルには「賞味期限:2017.11.10」との記載があるが、商標が実際に使用された日付は不明である。
また、乙第11号証は、米国において行われた上記加工食品の販売可能製品適合証明書とのことであるが、その商品が実際に輸入されたかは不明であるし、仮に輸入されたとしても、その日付は不明である。
さらに、本件商標が付された商品が販売されたことを示す資料とするピッキングリスト(乙12)、納品書(乙13)、到着原票(乙14)及び入金を示す当座勘定照合表(乙15)の日付は、2017年6月16日であるから、本件審判の請求に係る商標の使用をすべき期間外である。
加えて、乙第18号証の1及び2は、購入履歴であり、実際に商標が使用された日付は不明である。
(3)商標の使用について
ア 乙第16号証及び乙第17号証は、宅配業者のピッキングリストであり、商標の使用とは考えられない。また、乙第16号証には「プライム ケア」との記載があるが、その記載に係る商品が、本件商標の指定商品と類似するのかは不明である。
イ 乙第19号証ないし乙第25号証は、商品カタログに関するものであるが、このカタログは、1部につき、162円でディストリビュータに販売されているものである。つまり、流通している商品は、カタログであり、本件商標の指定商品ではない。
また、上記カタログは、それ自体が商品であるため、本件商標の広告宣伝物でもない。仮に、当該カタログが広告宣伝物であるとしても、それは、ディストリビュータという限定された集団の中においてのみ配布されているため、広告かどうかも疑問である。
ウ 通関書類(乙26?乙31)からは、商品の包装に本件商標が添付されていたかは不明である。仮に、当該商品に本件商標が付されていたとしても、乙第26号証のインボイスには、「Sipper:NSE Asia Products,PTE Ltd.」とあり、被請求人ではないため、本件商標の使用に当たるか疑問である。
(4)むすび
以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証によっては、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をした事実を証明したものということができない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第31号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
本件商標権者である被請求人の通常使用権者は、本件要証期間に、日本国内において、本件商標の指定商品について本件商標を使用しているから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきではない。
2 本件商標の使用について
(1)本件商標の使用者について
ア 被請求人は、「NU SKIN ENTERPRISES,INC.(ニュー スキン エンタープライズ インコーポレーテッド)」(以下「NSエンタープライズ」という。)のグループ会社であり、NSエンタープライズが販売するパーソナルケア製品、栄養補助食品等(以下「NSエンタープライズ商品」という。)の製造、品質管理、輸出、流通等の業務のほか、NSエンタープライズ商品に付する商標や商号等の管理及び使用許諾等の業務を行っている。
イ 「ニュー スキン ジャパン株式会社」(以下「NSジャパン」という。)は、NSエンタープライズの日本支社として、1993年に創業し、日本でのNSエンタープライズ商品の輸入、販売等の業務を行っている。
ウ NSエンタープライズは、約50の国と地域でグローバルビジネスを展開しており、被請求人及びNSジャパンを含む全てのマーケットのグループ会社を統括する会社である。
そして、被請求人とNSエンタープライズの住所が共通していること(乙1、乙3)、被請求人がNSエンタープライズに係る商標の権利者及び出願人であること(乙4)、NSジャパンが発行するカタログの裏表紙に「(C)2014 Nu Skin Enterprises,Inc. Nu Skin Japan Co, Ltd. NSE Products,Inc.」(「(C)」の文字部分は、○内に「C」の文字を配してなる記号。)の記載があること(乙5)、NSジャパンのカタログ及びホームページに、NSジャパンの概要とともにNSエンタープライズの会社概要が記載されていること(乙6?乙8)からすれば、被請求人及びNSジャパンは、NSエンタープライズのグループ会社であることが分かる。
エ 被請求人とNSジャパンは、2005年7月1日に、「SUBLICENSE AND TRADEMARK LICENSE AGREEMENT(サブライセンス及び商標ライセンス契約)」(以下「商標等ライセンス契約」という。)を締結しており(乙9)、その条項4.1「Grant of Trademark License」では、被請求人が、NSジャパンに対し、我が国において、許諾製品及びサービスにおける許諾標章及び名称を使用するための排他的ライセンスと権利を許諾する内容となっている。
そして、上記条項における「許諾製品及びサービス」とは、商標等ライセンス契約の定義条項によれば、「非コミッショネア製品」、すなわち、被請求人とのコミッショネア契約により、NSジャパンが自己の責任において販売することができる特定の商品及びサービスであることが示されており、また、上記条項における「許諾標章及び名称」とは、被請求人が所有する登録済みの商標を含むことが示されていることから、被請求人が所有する本件商標をその指定商品について使用する権利がNSジャパンに許諾されているといえる。
さらに、商標等ライセンス契約の条項7.1には、契約の期間が自動的に1年ごとに更新される旨が規定されていることから、その契約は、現在も有効である。
オ 上記アないしエによれば、NSジャパンは、2005年7月1日から現在に至るまで、本件商標の通常使用権者であることが明らかである。
(2)使用の事実
ア 本件商標の使用に係る商品の写真
(ア)乙第10号証の1は、NSジャパンが我が国において実際に販売している加工食品(以下「使用商品」という。)が包装された容器の正面の写真(写し)であり、その正面のラベルには、「Prime/Care」の文字(以下「使用商標1」という。)が表示されている。
また、乙第10号証の2は、上記包装容器の右側面の写真(写し)であり、その右側面のラベルには「プライム ケア」の文字(以下「使用商標2」という。)の表示及び「(Prime Care)」の文字(以下「使用商標3」という。)の表示とともに、「名称 α-リポ酸・ビタミンC含有加工食品」、「原材料名 ゼラチン、α-リポ酸、V.C、・・・(以下省略)」、「内容総量 34g[(内容量465mg)×60カプセル]、「原産国名 アメリカ合衆国」、「輸入者 ニュー スキン ジャパン 株式会社」の記載がある。
さらに、乙第10号証の3は、上記包装容器の左側面の写真(写し)であり、その左側面のラベルの下部には、「賞味期限:2017.11.10」、「Batch No.:CS31552.」の記載がある。
(イ)乙第11号証は、米国において行われた使用商品の販売可能製品適合証明書(Saleable Product Certificate of Compliance)の写しであり、その証明書の上部には、「Material Name/Prime Care(JP)」と使用商品の商品名が記載されている。
また、上記証明書の上部に記載されている「Material #/03003485」は、乙第19号証の1のカタログの製品コードと一致するものであり、同じく、「Batch Number/CS31552」は、使用商品の「Batch No:CS31552.」と整合している。
そして、上記証明書(乙11)の署名日は、2015年12月2日となっている。
(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、本件商標が付された使用商品は、本件要証期間に、我が国に輸入され、販売されたことが分かる。
なお、使用商品の包装に本件商標を付する行為は、商標法第2条第3項第1号の「使用」に該当し、使用商品の包装に本件商標を付したものを販売、輸入する行為は、同項第2号の「使用」に該当する。
イ 使用商品の販売
(ア)商品の出荷及び配送
a NSエンタープライズは、商社、問屋又は小売店を介さずに、ディストリビューター(以下「ブランドパートナー」という場合がある。)と呼ばれる個人が、事業主となって商品を販売するという独自の販売取引を主に採用している。ブランドパートナーは、この販売取引とともに、カタログを介しての商品の販売、インターネット上での販売も行っている。
ここで、NSジャパンによる商品の出荷及び配送の手順について述べると、NSジャパンは、ブランドパートナーなどからの注文又はADPと呼ばれる定期的な注文を受けた後、倉庫業務の委託契約を締結している「株式会社近鉄エクスプレス」(以下「近鉄エクスプレス」という。)に対し、EDI(電子情報交換サービス)と呼ばれる電子データにより出荷指示を送信し、その出荷指示を受け取った近鉄エクスプレスは、倉庫で保管しているNSジャパンの在庫から商品を梱包して、出庫する。その後、近鉄エクスプレスは、出庫した商品をNSジャパンと運送業務委託契約を締結している「佐川急便株式会社」(以下「佐川急便」という。)に引き渡し、佐川急便は、引き渡された商品を顧客へ配達する。
上記商品の出荷及び配送において、ピッキングリストは、近鉄エクスプレスが出庫した商品をNSジャパンに知らせる伝票であり、納品書は、近鉄エクスプレスが梱包の際に同封するものであり、到着原票は、佐川急便が配達先の顧客から受領印をもらい、商品が届けられたことを知らせる伝票である。
なお、納品書の再印刷は、システム上、その納品書の作成から90日間となっており、また、到着原票の日付は、配達日ではなく、近鉄エクスプレスから商品を受け取った日が記載される。
b 被請求人は、実際に本件商標が付された使用商品が販売されたことを示す資料として、ピッキングリスト(乙12)、納品書(乙13)、到着原票(乙14)及び入金を示す当座勘定照合表(乙15)を提出する。
乙第12号証及び乙第13号証には、「03003485 プライム ケア」と記載があるところ、これは、乙第19号証の1の使用商品の製品コード及び商品名と一致している。
また、乙第12号証の「商品内容」、「出力日時:2017/06/16 06:06」、「左下のバーコード番号 0223704523」は、乙第13号証の「製品名」、「受注年月日:2017/06/15」、「注文番号:0223704523-1」とそれぞれ整合し、乙第12号証の「出力日時:2017/06/16 06:06」、「宅配伝票番号:515581953611」、「左下のバーコード番号 0223704523」は、乙第14号証の「2017年6月16日」、「お問い合わせ送り状No./515581953611」、「お客様管理No.0223704523」とそれぞれ整合し、乙第13号証の「会員番号:JA7208344」、「お支払明細(税込)総合計 12,879」は、乙第15号証の「摘要(小切手番号)7208344」、「ご入金額 12879」とそれぞれ整合している。
これらによれば、乙第12号証ないし乙第15号証は、使用商品の出荷から入金までの一連の伝票であり、2017年6月16日に、本件商標が付された使用商品が販売されたことが分かる。
c 被請求人は、本件要証期間の2017年2月2日付けのピッキングリスト(乙16)及び到着原票(乙17)を提出する。
乙第16号証には、「03003485 プライム ケア」と記載があるところ、これは、乙第19号証の1の使用商品の製品コード及び商品名と一致している。
また、乙第16号証の「宅配伝票番号:515576877513」、「左下のバーコード番号 0221150354」は、乙第17号証の「お問い合わせ送り状No./515576877513」、「お客様管理No.0221150354」とそれぞれ整合している。
これらによれば、乙第16号証及び乙第17号証は、一連の伝票であり、使用商品が出荷、配送され、顧客に販売されたことが分かる。
d 上記aないしcによれば、本件商標が付された使用商品は、本件要証期間に販売されたことが明らかである。
なお、使用商品の包装に本件商標を付したものを販売する行為は、商標法第2条第3項第2号の「使用」に該当する。
(イ)インターネット上の取引画像
乙第18号証の1及び2は、いずれもNSジャパンの社員がインターネットを介して使用商品を購入したことを示す購入履歴の画面であり、これらの購入に係る注文日は、それぞれ「2016年06月01日10:33」、「2017年05月08日14:24」となっている。そして、当該画面上の「ご注文時の明細」の欄には、「品番/03003485」、「品名/プライム ケア Prime Care」の記載があるところ、これらの品番、品名は、乙第19号証の1の製品コード及び商品名とそれぞれ整合している。
この点において、乙第18号証の1及び2の品名「プライム ケア」の金額と乙第19号証の1のカタログに表示された同商品の価格とが異なるのは、社員価格での購入のためである。
したがって、本件商標が付された使用商品は、本件要証期間に、インターネットを介して販売されたことが明らかである。
なお、使用商品の包装に本件商標を付したものをインターネットを介して販売する行為は、商標法第2条第3項第2号及び同項第8号の「使用」に該当する。
ウ カタログの販売
(ア)乙第19号証の1ないし4は、NSエンタープライズ商品に係る2017年1月発行のカタログであり、本件商標が付された使用商品が掲載されている。
乙第19号証の1は、上記カタログにおいて使用商品が掲載されているページであって、本件商標が付された使用商品とともに、カプセル状の加工食品が表示されており、その商品の紹介文の下部には、「プライムケア」の表示、「名称:α-リポ酸・ビタミン含有加工食品」の表示、「製品コード:03003485」の表示がある。
また、乙第19号証の2は、上記カタログにおいて使用商品の栄養成分及び原材料が掲載されているページであって、「プライムケア」の表示の下、栄養成分表示や、原材料名としての「α-リポ酸、ビタミンC、ビタミンE含有大豆油等、緑茶抽出物・・・(以下省略)」の記載がある。
そして、乙第19号証の3によれば、上記カタログが販売のために掲載されていることが分かる。
なお、乙第19号証の4は、上記カタログの表紙及び裏表紙であるところ、その表紙には、「2017/01」の表示があり、その裏表紙には、発行人として「ニュー スキン ジャパン 株式会社」の記載があることから、当該カタログは、2017年1月号であり、NSジャパンにより発行されたことが分かる。
(イ)乙第20号証は、乙第19号証のカタログの納品書(3件)であるところ、各件の納品書の品名には、いずれも「ニュースキン カタログ 2017.01版」の記載があり、荷送人の印刷会社から、各件において、8,200部、22,500部、7,500部が納品されたことが分かる。
また、被請求人は、実際に上記カタログが販売されたことを示す資料として、2017年2月のピッキングリスト(乙21)及び到着原票(乙22)を提出する。NSジャパンの出荷及び配送方法は、上記イ(ア)のとおりであるところ、乙第21号証の「03135652 ニュースキン カタログ(1部)」は、乙第19号証の3の製品コード及び商品名と整合し、乙第21号証の「出力日時:2017/02/09 06:05」、「宅配伝票番号:515577195825」、「左下のバーコード番号 0221304519」は、乙第22号証の「2017年2月9日」、「お問い合わせ送り状No./515577195825」、「お客様管理No.0221304519」とそれぞれ整合している。
これらによれば、乙第21号証及び乙第22号証は、一連の出荷及び配送の伝票であり、実際に2017年1月発行のカタログが販売されたことが分かる。
さらに、被請求人は、本件要証期間に頒布された2014年10月発行のカタログ及びその納品書(乙23の1及び2)、2015年5月発行のカタログ及びその納品書(乙24の1及び2)、2016年6月発行のカタログ及びその納品書(乙25の1及び2)を提出する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)によれば、本件商標が付された使用商品が掲載されているカタログは、本件要証期間に頒布されていることが明らかである。
なお、カタログに本件商標を付して頒布、販売する行為は、商標法第2条第3項第8号の「使用」に該当する。
エ 通関書類
(ア)乙第26号証は、NSエンタープライズのグループ会社である「NSE ASIA PRODUCTS,PTE LTD(エヌエスイー アジア プロダクツ プライベート リミテッド)」(以下「NSEアジアプロダクツ」という。)を「Shipper(荷送人)」とし、NSジャパンを「Consignee(荷受人)」とするインボイスである。
上記インボイスの1ページ目の「ITEM NUMBER/03003485」、「DESCRIPTION/PrimeCare(JP)」は、乙第19号証の1の製品コード、商品名と整合している。そして、当該インボイスには、番号として「JP8271A」が記載され、日付として「January 17,2017」の記載があることから、2017年1月17日に、NSEアジアプロダクツからNSジャパンへ使用商品を含む商品が発送されたことを示すインボイスが発行されたことが分かる。
また、上記インボイスの2ページ目には、「DEPARTURE:Los Angeles 01/17/2017」と記載され、「ARRIVAL:Tokyo 02/05/2017」と記載されていることから、出発地はロサンジェルス、出発日は2017年1月17日であり、到着地は東京、到着日は2017年2月5日であることが分かる。そして、「SHIPPED VIA:NIPPON YUSEN KABUSHIKI KAISHA NYK Maria v.55 Bkg.#CHIT00447601」の記載があることから、日本郵船株式会社による船舶輸送であって、船名が「NYK Maria」、ブッキングナンバー(Bkg.#)が「CHIT00447601」であることが分かる。
(イ)乙第27号証は、運送される梱包品の明細書であるところ、当該明細書の「Pack List #:JP8271A」、「Container Id:NYKU 9854210」、「Seal #: N136326」は、乙第26号証のインボイスに記載された「JP8271A」、「#1 CONTAINER:NYKU 9854210」、「#1 SEAL NUMBER:N136326」とそれぞれ整合している。
また、上記明細書における商品明細の最上部には、「Part #/0003003485」、「Description/PrimeCare(JP)」、「Batch#/CS31552-04」、「Exp Dt/11/10/17」の記載があるところ、これらは、乙第19号証の1の製品コード及び乙第10号証の1ないし3の使用商品の商品名、バッチナンバー、賞味期限とそれぞれ整合していることから、運送された梱包品に使用商品が含まれていたことが分かる。そして、当該最上部には、「Cases/2」、「Units/Case/168」、「Total/336」の記載もあることから、使用商品が2ケース(合計336ユニット)梱包されていたことが分かる。
(ウ)乙第28号証は、NSEアジアプロダクツを「SHIPPER/EXPORTER(荷送人/輸出者)」とし、NSジャパンを「CONSIGNEE(荷受人)」とする海上運送状(SEA WAYBILL)である。
上記運送状の1ページ目の「EXPORT REFERENCES/JP8271」、「BOOKING No./CHIT00447601」、「OCEAN VESSEL VOYAGE NO.FLAG/NYK MARIA 553W03」は、乙第26号証のインボイス番号、ブッキングナンバー、船名とそれぞれ整合している。
また、上記運送状の1ページ目の右上には「SEAWAYBILL NO./NYKSCHIT00447601」の記載があり、同じく、2ページ目の右上には「B/L NO.:NYKSCHIT00447601」の記載があることから、海上貨物運送状番号又は船荷証券番号が「NYKSCHIT00447601」であることが分かる。
さらに、上記運送状の1ページ目の「FORWARDING AGENT」の欄に被請求人の記載があることから、被請求人が当該運送状に係る貨物の運送業務に関与していたことが分かる。
なお、上記「FORWARDING AGENT」の欄に記載された住所と被請求人の住所とが異なるのは、米国におけるNSエンタープライズ商品の物流センターの住所が当該欄に記載されているためである。
(エ)乙第29号証は、乙第26号証のインボイス及び乙第28号証の海上運送状に係る商品の輸入を許可する輸入許可通知書である。
上記通知書の1ページ目の「輸入者 NU SKIN JAPAN CO.,LTD.」、「仕出人 NSE ASIA PRODUCTS,PTE LTD.」の記載は、乙第26号証のインボイス及び乙第28号証の海上運送状の荷受人、荷送人(輸出者)と整合する。
また、上記通知書の1ページ目の「B/L番号(1)NYKSCHIT00447601A」、「積載船機名 NYK MARIA」の記載は、乙第28号証の海上運送状の海上貨物運送状番号又は船荷証券番号、船名の記載とそれぞれ整合する。
さらに、上記通知書の1ページ目の「品目番号 2106.90-2954」は、乙第26号証のインボイスの「PrimeCare(JP)」に係る「TARIFF NUMBER/2106.90.2954」と整合する。
(オ)乙第30号証は、輸入申告に必要な「食品等輸入届出済証」であり、乙第31号証は、食品等輸入届出済証のため届け出た「食品等輸入届出控」である。
乙第31号証の1ページ目の「輸入者の氏名 NU SKIN JAPAN CO.,LTD.」、「B/L番号 NYKSCHIT00447601A」、「積載船(機)名 NYK MARIA」は、乙第26号証のインボイス、乙第28号証の海上運送状及び乙第29号証の輸入許可通知書のそれぞれと整合している。
また、乙第31号証の2ページ目には、「品目名 G890000 その他の健康食品」、「積込数量 2-CT」、「用途 1 小売り用」、「原材料名/材質名 ZZZ その他(備考欄参照)」、「製造方法 Z99 その他の製造・加工方法(備考欄参照)」の記載とともに、備考欄に「03003485 PRIME CARE」、「ZZZ:α-リポ酸,デキストリン」、「Z99:原料秤量-調合-カプセル充填-包装」の記載があることから、乙第19号証の1の製造コードと一致する「03003485 PRIME CARE」の商品が、原材料にα-リポ酸等を含むカプセル状の健康食品として包装され、小売用として2カートン輸入されたことが分かる。
さらに、乙第30号証の3ページ目は、PRIME CAREの商品の「食品等輸入届出済証」であるところ、ここに記載された「届出受付番号 24057908470」と乙第31号証の「届出受付番号 24057908470」が一致していることから、両書面(乙30、乙31)は、届出に関する一連の書面であることが分かる。
(カ)上記(ア)ないし(オ)によれば、乙第26号証ないし乙第31号証は、一連の通関書類であり、本件商標が付された使用商品が本件要証期間の2017年2月にNSジャパンにより輸入されたことは、明らかである。
なお、使用商品の包装に本件商標を付したものを輸入する行為は、商標法第2条第3項第2号の「使用」に該当する。
(3)使用に係る商標及び商品
ア 本件商標と使用商標
本件商標は、「PRIME CARE」の欧文字を標準文字で表した商標であり、「プライムケア」と称呼され、「PRIME」及び「CARE」は一般的に親しまれた語で「最良の保護」ほどの意味を有する。
他方、使用商品の容器の正面のラベルに表示された使用商標1は、「Prime」と「Care」の欧文字をまとまりよく二段で表した商標である。また、当該容器の側面のラベルには、使用商標2及び使用商標3が表示されているところ、使用商標2は「プライム ケア」の片仮名を横一連で表した商標であり、使用商標3は「Prime Care」と単語の語頭を大文字、その他を小文字の欧文字で表した商標である。
そうすると、使用商標1ないし使用商標3は、それぞれ、本件商標をまとまりよい二段構成へ変更したもの、片仮名へ変更したもの、書体の変更をしたものであって、いずれも「プライムケア」と称呼され、当該文字に相応する「最良の保護」ほどの意味を有する。
したがって、本件商標と使用商標1ないし使用商標3とは、外観上は軽微な差異であり、称呼及び観念は同一であるため、社会通念上同一の商標といえる。
イ 本件商標の指定商品と使用商品
使用商品は、乙第19号証の1の写真のとおり、カプセル状の加工食品であり、その栄養成分や原材料は、乙第19号証の2に記載のとおり、「α-リポ酸、ビタミンC、ビタミンE含有大豆油等、緑茶抽出物、・・・」である。
また、使用商品の性状や原材料等については、乙第31号証の「食品等輸入届出控」の2ページ目にも、「品目名 G890000 その他の健康食品」、「原材料名/材質名/ZZZ その他(備考欄参照)」、「製造方法 Z99 その他の製造・加工方法(備考欄参照)」の記載とともに、備考欄に「03003485 PRIME CARE」、「ZZZ:α-リポ酸、デキストリン」、「Z99:原料秤量-調合-カプセル充填-包装」の記載がある。
これらの記載等によれば、使用商品は、本件商標の指定商品のうち、「カロチノイド類・ビタミン類・種子エキス・植物エキス・アルファリポ酸・フラボノイド類・ミネラル・カルシウム・アミノ酸・プロテイン・食物繊維・野菜・アセロラ・果物・ハーブ・クロレラ・菌類・海藻・魚介類・野菜エキス・動物エキスの少なくとも一つを主原料とするカプセル状の加工食品」であることが分かる。
(4)使用時期
ア 乙第10号証の3の使用商品の容器のラベルには「賞味期限:2017.11.10」の記載があり、乙第11号証の使用商品の販売可能製品適合証明書の署名日が2015年12月2日であることから、使用商品は、本件要証期間に日本に輸入され、販売されたことが分かる。
また、乙第12号証ないし乙第15号証によれば、2017年6月16日には使用商品が販売され、顧客に配送されたことが分かる。
さらに、乙第16号証及び乙第17号証によれば、2017年2月2日付けで使用商品が出荷、配送されたことが分かり、また、乙第18号証によれば、使用商品の注文が2016年6月1日及び2017年5月8日にされたことが分かる。
イ 使用商品が掲載されたカタログは、2014年10月(乙23)、2015年5月(乙24)、2016年6月(乙25)及び2017年1月(乙19、乙20)に発行され、本件要証期間に頒布されたことが分かる。
ウ 乙第26号証ないし乙第31号証によれば、2017年2月に使用商品がNSジャパンにより輸入されたことが分かる。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件要証期間に日本国内において、通常使用権者たるNSジャパンにより、本件商標の指定商品中の「カロチノイド類・ビタミン類・種子エキス・植物エキス・アルファリポ酸・フラボノイド類・ミネラル・カルシウム・アミノ酸・プロテイン・食物繊維・野菜・アセロラ・果物・ハーブ・クロレラ・菌類・海藻・魚介類・野菜エキス・動物エキスの少なくとも一つを主原料とするカプセル状の加工食品」について使用されたことが明らかである。

第4 当審の判断
1 被請求人の主張及び同人の提出に係る乙各号証によれば、以下のとおりである。
(1)乙第9号証は、被請求人とNSジャパンとの間で締結された「商標等ライセンス契約」であり、その発効日は、2005年7月1日である。そして、その契約期間は、発効日から1年間有効であり、所定の時期までに一方の当事者から他方の当事者へ書面による通知がされない限り、更に1年間ずつ自動的に更新されるとされているところ(条項7.1)、そのような通知がされた事実は見いだせない。
上記契約においては、被請求人が、NSジャパンに対し、我が国において許諾製品及びサービス(予め被請求人により承認された、NSジャパンが自己勘定でマーケティング及び販売することができる特定の製品及びサービス)について許諾標章及び名称(被請求人の登録済み商標等)を使用するための排他的ライセンス及び権利を許諾する旨定められている(条項4.1)。
(2)乙第12号証は、「03003485 プライム ケア」と称する商品等に係る「ピッキングリスト」及びNSジャパンが依頼主「A」にあてて商品を送付する際の佐川急便の「貼付用伝票」であるところ、当該「ピッキングリスト」には、出力日時としての「2017/06/16 06:06」の記載及び宅配伝票番号としての「515581953611」の記載がある。
また、上記「貼付用伝票」には、お届け先及びご依頼主としての「A」の記載並びに品名としての「化粧品/栄養補助食品 他 0223704523-1」の記載があるほか、お問い合わせ伝票番号としての「5155-8195-3611」の記載や受付日としての「2017年06月16日」の記載がある
(3)乙第13号証は、NSジャパン作成の「ご注文明細書兼納品書」であり、あて名及びお届け先としての「A」の記載並びに注文及び納品に係る「03003485」(製品コード)及び「プライム ケア」(製品名)の記載があるほか、「A」の会員番号としての「JA7208344」の記載、佐川急便による伝票番号としての「5155-8195-3611」の記載、受注年月日としての「2017/06/15」の記載及び注文番号としての「0223704523-1」の記載がある。
また、上記書面には、代金の支払いに関して、その方法としての「振込/預り金」の記載及び合計金額としての「12,879」の記載がある。
(4)乙第14号証は、2017年6月16日付け「到着原票」であり、あて名としての「A」の記載及びご依頼主としてのNSジャパンの記載があるほか、お問い合わせ送り状No.としての「515581953611」の記載やお客様管理No.としての「0223704523」の記載があり、さらに、「受領印」欄には、「A」による手書き署名がされている。
(5)乙第15号証は、みずほ銀行新宿中央支店作成のNSジャパンに係る「当座勘定照合表」(期間:29年6月1日から29年7月3日まで)とされるものであり、平成29年6月15日における入金の一つとして、「A」による入金を示すとされる「7208344」の記載及びご入金額としての「12879」の記載がある。
(6)乙第19号証の1ないし4は、NSジャパンによる2017年1月発行のカタログ(抜粋)であり、その100ページ(乙19の1)には、「プライム ケア」と称する「α-リポ酸・ビタミン含有加工食品」(製品コード:03003485)がその商品の画像とともに掲載されているところ、当該商品には、「Prime」の文字及び「Care」の文字を二段に表してなる商標(以下「本件使用商標」という。)が付されている。
また、上記商品の説明として、「中高年に不足しがちなα-リポ酸配合・・・さらにカロテノイドやフラボノイドなどの植物性栄養成分をプラスし・・・」といった記載がある。
2 上記1によれば、被請求人は、2005年7月1日に発効した「商標等ライセンス契約」に基づき、NSジャパンに対し、我が国において、被請求人が予め承認したNSジャパンの販売に係る特定の製品について、被請求人の登録済み商標等を使用することを許諾しており、その契約は、本件要証期間においても有効であったといえるから、NSジャパンは、本件商標の通常使用権者であるといえる。
そして、NSジャパンは、2017年6月15日に、顧客である「A」から「プライム ケア」と称する商品(製品コード:03003485)等の注文を受け、翌6月16日に、その注文に係る商品を「A」へ納品した。
上記納品に係る「プライム ケア」と称する商品は、「α-リポ酸・ビタミン含有加工食品」であり、その商品容器には、本件使用商標が付されていたといえるところ、本件使用商標は、「Prime」の文字及び「Care」の文字を二段に表してなるものであり、その構成全体に相応して、「プライムケア」の称呼を生じ、「最良の介護(世話)」といった観念を生じるものである。
そこで、本件商標と本件使用商標とを比較すると、本件商標は、前記第1のとおり、「PRIME CARE」の文字を標準文字で表してなるものであるから、その構成全体に相応して、「プライムケア」の称呼を生じ、「最良の介護(世話)」と行った観念を生じるものであり、本件使用商標とは、全て大文字で表されているか又は大文字と小文字で表されているか、横一列に表されているか又は二段に表されているかといった差異があるものの、つづりは全て同じであり、称呼及び観念も同一であることからすれば、本件商標と本件使用商標とは、社会通念上同一の商標と認められる。
また、本件使用商標を付した商品は、その品質や原材料に照らせば、本件商標の指定商品の範ちゅうに属するものと認められる。
さらに、NSジャパンと顧客「A」との間の本件使用商標を付した商品の取引は、本件要証期間においてされたものである。
してみれば、本件商標の通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品の範ちゅうに属する商品「α-リポ酸・ビタミン含有加工食品」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用(商標法第2条第3項第2号)をしたと認められる。
3 まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標の通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2018-03-26 
結審通知日 2018-03-29 
審決日 2018-04-18 
出願番号 商願2004-91526(T2004-91526) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y29)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 田中 敬規
特許庁審判官 小松 里美
中束 としえ
登録日 2005-04-01 
登録番号 商標登録第4853576号(T4853576) 
商標の称呼 プライムケア 
代理人 安形 雄三 
代理人 翠簾野 哲 
代理人 田口 健児 
代理人 大熊 恵美 
代理人 田中 秀▲てつ▼ 
代理人 森 哲也 

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