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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W0305 審判 全部申立て 登録を維持 W0305 審判 全部申立て 登録を維持 W0305 審判 全部申立て 登録を維持 W0305 |
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管理番号 | 1340373 |
異議申立番号 | 異議2017-900357 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-11-24 |
確定日 | 2018-05-08 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5977301号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5977301号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5977301号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり、「SEGRICO」及び「セグリコ」の文字を2段に書してなり、平成28年12月6日に商標登録出願、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,口臭用消臭剤,動物用防臭剤,つやだし剤,除菌効果を有する洗剤,消臭効果を有する洗剤,せっけん類,身体用消臭剤,身体用抗菌消臭剤,化粧品,香料,薫料」及び第5類「除菌剤(工業用及び洗濯用のものを除く。),消臭剤(工業用・身体用及び動物用消臭剤並びに口臭用消臭剤を除く。),薬剤,医療用試験紙,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,綿棒,防虫紙」を指定商品として、同29年8月15日に登録査定、同年9月1日に設定登録されたものである。 第2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、「本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。仮に、同項第11号に該当しない場合であっても、本件商標は、同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により取り消されるべきである。」旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第29号証(枝番号を含む。)を提出した。 以下、枝番号の全てを引用するときは、枝番号を省略して記載する。 1 引用商標 申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして、本件登録異議申立ての理由において引用する登録商標は、以下の5件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。 (1)登録第5504092号 登録第5504092号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲2のとおり、「グリコ」の文字を横書きしてなり、平成23年11月30日に商標登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,口臭用消臭剤,香料,薫料」を指定商品として、同24年6月29日に設定登録されたものである。 (2)登録第5898680号 登録第5898680号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲3のとおり、「glico」の文字を横書きしてなり、平成28年5月18日に商標登録出願、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,育毛料,化粧品,香料」を指定商品として、同年11月18日に設定登録されたものである。 (3)登録第5898681号 登録第5898681号商標(以下「引用商標3」という。)は、「GLYCO」の文字を標準文字で表してなり、平成28年5月18日に商標登録出願、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,育毛料,化粧品,香料」を指定商品として、同年11月18日に設定登録されたものである。 (4)登録第5898682号 登録第5898682号商標(以下「引用商標4」という。)は、「グリコ」の文字を標準文字で表してなり、平成28年5月18日に商標登録出願、第3類「口臭用消臭剤,動物用防臭剤,せっけん類,歯磨き,育毛料,化粧品,香料」を指定商品として、同年11月18日に設定登録されたものである。 (5)登録第5518421号 登録第5518421号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲2のとおり、「グリコ」の文字を横書きしてなり、平成24年3月14日に商標登録出願、第5類「薬剤,乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」を指定商品として、同年8月31日に設定登録されたものである。 以下、上記(1)ないし(5)の登録商標をまとめて「引用商標」という。 2 防護標章登録を受けた原登録商標 申立人が、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして、本件登録異議申立ての理由において引用する防護標章登録を受けた原登録商標は、以下の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。 なお、いずれの原登録商標も、本件商標に係る指定商品と同一又は類似の商品について、防護標章登録を受けている。 (1)登録第307367号 登録第307367号商標は、別掲4のとおり、「グリコ」の文字を縦書きしてなり、昭和13年2月7日に商標登録出願、第43類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同年10月12日に設定登録され、その後、平成21年2月12日に指定商品を第30類「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつまめ・ゆであずきを除く。),パン」とする指定商品の書換登録がされたものである。 (2)登録第2671735号 登録第2671735号商標は、別掲2のとおり、「グリコ」の文字を横書きしてなり、平成4年1月20日に商標登録出願、第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同6年6月29日に設定登録され、その後、同16年4月21日に指定商品を第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がされたものである。 (3)登録第2671736号 登録第2671736号商標は、別掲3のとおり、「glico」の文字を横書きしてなり、平成4年1月20日に商標登録出願、第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同6年6月29日に設定登録され、その後、同16年4月21日に指定商品を第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がされたものである。 (4)登録第2671738号 登録第2671738号商標は、別掲5のとおり、両手を上げて走る男性陸上競技者の図(ランニングシャツの正面には、縦書きした「グリコ」の文字がある。)と当該図形を円状に囲むように配した「おいしさと健康」、「A WHOLESOME LIFE」及び「IN THE BEST OF TASTE」の文字とからなり、平成4年2月28日に商標登録出願、第30類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として同6年6月29日に設定登録され、その後、同16年4月21日に指定商品を第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がされたものである。 3 具体的理由 (1)申立人の業務について 申立人が「菓子メーカー」として我が国でも良く知られていることは、合議体においても顕著な事実であると申立人は思料する。 ところで、申立人の企業理念は、「おいしさと健康」であり(甲2)、申立人の商品パッケージには、著名商標「glico」とこの企業理念を組み合わせた標章が表示されている。 申立人には、この企業理念を遂行し、健康に良い新素材を開発する研究所として「江崎グリコ健康科学研究所」(以下「健康科学研究所」という。)がある。 健康科学研究所は、食品を構成する「糖」「たんぱく質」「脂質」の3大栄養素研究の中で、「糖」「糖質関連酵素」を中心に研究を行うとともに、申立人の創業当時から取り組んできた「グリコーゲン」研究も行っており(甲3)、健康科学研究所については、テレビ番組でも紹介されている(甲4)。健康科学研究所の研究テーマの一つが、有名な「初期むし歯の再結晶化を促す『POs-Ca(リン酸化オリゴ糖カルシウム)』」であるが(甲5)、その他「おロのニオイの原因『舌苔』を落とす『キウイ由来成分』」「シミ・ソバカス対策や美白『a-アルプチン』」「保湿・美肌効果のあるスキンケア成分『バイオグルコーゲン』」等の研究が行われている(甲6)。 そして、健康科学研究所の研究成果として、申立人は、2012年10月末より自社Webサイト及び近畿圏を中心に化粧品であるスキンケアブランド「gg(ジージー)」の販売を開始している(甲7)。 当該化粧品は、キャラメルに含まれる申立人の社名のルーツとなった糖質「グリコーゲン」を配合した化粧水と保湿クリームであり(甲8の1)、この糖質「グリコーゲン」は、申立人が独自開発した保湿成分「EAPグリコーゲン」であり(甲8の2)、「gg(ジージー)」は、「グリコのグリコーゲン」の意味を込めて名付けられたものである(甲8の3、4)。 申立人による化粧品事業への参入については、製薬、食品、酒類、宝飾品といった異業種分野からの化粧品業界への参入を紹介している記事の一例として取り上げられており(甲9)、当該記事では、申立人の広報担当者の「100円のお菓子とは違う世界ですが、口に入るものを作る企業だからという安心感に支えられています」という言葉が紹介されている。 かかる申立人による化粧品市場への参入に関する新聞記事は、その他にも幾つか存在するし(甲10)、当該化粧品の売れ行きが好調なことから、販売促進活動を強化するために2013年9月18日に申立人が化粧品の広告を全国展開をすることを紹介する記事(甲11の1)や申立人の当該化粧品の売上高を平成29年度10億円目指すという計画を紹介している記事も存在する(甲11の2)。ここに、2017年12月21日付の全国紙における「gg(ジージー)」の広告記事を参考として提出する(甲11の3)。 さらに、「YAHOO!ニュース」でも取り上げられており、2014年時点において、全国規模で順調に売り上げを伸ばしていることが紹介されており(甲12の1)、「EAPグリコーゲン」を配合したgg(ジージー)シリーズ取扱い商品は、当初の化粧水と保湿クリームから、ナイトジェル、デイプロテクター等の化粧品の他にフェイシャルソープまで拡がっている(甲12の2)。 そして、このgg(ジージー)シリーズ商品以外にも、健康科学研究所が開発した「酵素合成アミロース」と「シクロアミロース」は、医薬品製造やバイオ研究、さらには、繊維製品などの利用が始まっており、申立人は、この「酵素合成アミロース」を含有した繊維「アミセル」を使用した不織布マスク「AMYCELマスク」を販売しており(甲13の1)、当該商品は、2014年12月18日のテレビ番組の中で健康科学研究所の研究成果として製品化された商品として紹介されている(甲13の2)。 その他、健康科学研究所の研究の成果として、「食品原料・ファインケミカル」が製品化されており、これらは、申立人の関連会社である「グリコ栄養食品株式会社」が販売をしており(甲14)、同社が販売をしている「ファインケミカル素材」は、一般食品分野、健康食品や化粧品、日用品、化学工業品、医薬品など、世界中の様々な産業分野における高付加価値化や品質向上などに貢献している(甲15)。 このように、申立人の事業分野は、菓子を始めとした加工食品及び本件商標の審査においても認められていた健康食品のみならず、化粧品や衛生マスクまでに広がっており、将来的には、申立人が、医薬品にも広がる可能性を有している。 これは、医薬品は、景気に左右されにくいことから、「食品・化学メーカー、製薬に活路『不況に強い』拡大へ」という見出しの新聞記事(甲16)でも取り上げられていることからも明らかである。 (2)「グリコ」及び「glico」が著名性を獲得していることについて ア 「グリコ」及び「glico」の由来について 「グリコ」は、牡蠣に多く含まれているエネルギー代謝に大切なグリコーゲンに由来する造語である。 すなわち、申立人の創業者が、佐賀で薬種業を営んでいた時に漁師たちが牡蠣の煮汁を捨てていることを目にし、このグリコーゲンを病気の予防を第一に、子供の健康づくりに活用することを思いついて製作したグリコーゲン入り栄養菓子に、グリコーゲンにちなんで「グリコ」と名付けたことに由来するものであることはよく知られている(甲17)。 そして、「グリコ」は、「江崎グリコ株式会社」の略称であり、「glico」も「グリコ」に相当する語であって、当該語も造語である。 イ 「グリコ」及び「glico」が著名性を獲得していることについて (ア)広告活動 申立人は、ランニング姿の男性が両手と片足を上げたポーズをし、ランニングの中央部分に「グリコ」が表示された絵柄の西日本最大級のネオンサイン(1935年に点灯開始し、現在は6代目)を大阪市の道頓堀に架かる戎橋脇に設置している事実は、当該ネオンサインとともに、顕著な事実であり(甲18)、申立人の創業者が佐賀県出身であることから、毎年11月から1月中旬まで開催される「サガ・ライトファンタジー」の期間中、JR佐賀駅南口に道頓堀と同様のネオンサイン看板を設置している。 また、2010年12月から2011年2月までの3か月にわたり、日本全国47都道府県をワゴン(glico Wagon(グリコワゴン))で縦断するキャラバン「日本縦断グリコワゴン」を展開し(甲19の1)、その後も、この「グリコワゴン」は、2011年3月に第3回沖縄国際映画祭に参加するために沖縄県を訪れ(甲19の2)、2011年5月に岩手県、福島県、宮城県へ、同年6月に青森県八戸市、岩手県宮古市へ、同年8月に岩手県、宮城県へ、同年9月に宮城県、福島県へ、同年12月に宮城県気仙沼市を訪問し(甲19の3)、2016年から2017年にかけて、宮城県、熊本県等の被災地を訪れている(甲19の4)。 (イ)テレビCM等 申立人は、現在に至るまでテレビCM等で数多くのCMイメージキャラクターを採用して、各商品の訴求活動を行っていることは顕著な事実である(甲20)。 これらテレビCM等においては、主に「glico」の文字が使用されているが、CMの最後に必ず「グリコサウンド」が流されており、かかるサウンドを聞いた者は容易に「グリコ」を想起するものと申立人は思料する。 ウ 小括 以上のとおり、「グリコ」及び「glico」が著名性を獲得している事実については、合議体にも顕著な事実であると申立人は思料する。 そして、上記(1)で述べたように、菓子業界と化粧品業界や薬品業界との親和性が高く、現に、申立人も菓子を中心とした、乳製品、サプリメント、加工食品等の飲食品に限られることなく、「化粧品」や「衛生マスク」の製造・販売を行っており、「口臭消臭剤」や「薬剤」の製造、販売も将来的には十分に考えられ、「菓子」等の飲食物の需要者と「化粧品」「衛生マスク」「薬剤」「口臭消臭剤」といった各商品の需要者とは一致することから、「グリコ」及び「glico」は、「化粧品」「衛生マスク」「薬剤」「口臭消臭剤」との関係においても、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、著名性を獲得していると申立人は思料する。 かかる申立人の主張は、上記2のとおり、申立人が所有する、「グリコ」又は「glico」の文字を含む登録第307367号、登録第2671735号、登録第2671736号及び登録第2671738号に、本件商標の指定商品である第3類「化粧品,口臭消臭剤,せっけん類等」及び第5類「薬剤等」について防護標章登録されている事実からも明らかである(甲21)。 (3)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標が引用商標に類似することについて 本件商標は、審査段階で、出願時の指定商品中、第5類「乳幼児用粉乳,サプリメント,食餌療法用飲料,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」が食品分野の商品であることから、これらの商品との関係で本件商標は、申立人所有に係る「グリコ」の称呼が生じる複数の登録商標に類似し、商標法第4条第1項第11号に該当するとの拒絶理由通知が出され(甲23の1、2)、本件商標の権利者は、かかる拒絶理由を承服して、上記各指定商品を手続補正書で削除することで商標登録を取得している(甲23の3、4)。 上記審査の判断は、商標法第4条第1項第11号に関する特許庁の審査基準中の結合商標の類否判断で定められている「需要者の間に広く認識された商標を構成中に含む場合」の「指定商品について需要者の間に広く認識された他人の登録商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、原則として、その他人の登録商標と類似するものとする」という基準に沿った判断であるし(甲24)、本件商標の権利者も本件商標からは、「グリコ」の称呼が生じ、「江崎グリコ株式会社」の観念を想起させると自認したものである。 さらに、申立人は、甲第21号証及び上述した申立人の業務が本件商標の指定商品中の第3類「口臭消臭剤,化粧品」及び第5類「薬剤,衛生マスク」の各々が属する取引分野とが密接な関連性を有すること、申立人の菓子等の広告・宣伝により、これら各商品の需要者間においても、「グリコ」の称呼が極めて馴染みのあることから、本件商標に接した取引者、需要者は、本件商標をして、「グリコ」と称呼し、かつ、「江崎グリコ株式会社」の観念を容易に想起させると思料する。 イ 小括 以上のとおり、本件商標は、引用商標と類似し、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似することから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第15号該当性について ア 本件商標と上記2のとおりの防護標章登録を受けた原登録商標との類似性の程度について 本件商標から生じる「セグリコ」の称呼中、語頭音「セ」以外の「グリコ」の部分が申立人を想起させる著名商標「グリコ」及び「glico」から生じる称呼と同一であり、かつ、「グリコ」からは「江崎グリコグループ」の観念を生じさせることから、甲第25号証の各著名登録商標及び甲第22号証の各登録商標と本件商標とは、類似する。 イ 防護標章登録を受けた原登録商標の周知著名性及び独創性の程度について 防護標章登録を受けた原登録商標を構成する「グリコ」又は「glico」は、いずれも造語であって、独創性を有しており、かつ、周知著名性を獲得している。 ウ 関連性について 上記(1)で述べたように、本件商標の指定商品中の第3類「化粧品」及び第5類「衛生マスク」については、申立人が現に商品を販売しているし、第5類「医薬品」についても、関連会社が医薬品の素材原料の販売をしており、第5類「除菌剤」についても、申立人が商品化する可能性はある。 さらに、化粧品業界や医薬品業界へは、菓子・食品業界からの参入が行われている(甲26?甲29)。 このように、菓子業界も含む飲食料品業界と化粧品業界及び医薬品業界とは、密接な関連性を有しており、かつ、これらの業界に属する企業での事業の多角化が周知の事実であることから、第3類「化粧品,口臭消臭剤」及び第5類「医薬品,衛生マスク」と第30類「菓子」とは、密接な関連性を有しており、かつ、これら各商品の取引者、需要者も共通性を有しているといえる。 エ 小括 以上のとおり、本件商標をその指定商品中の第3類「化粧品,口臭消臭剤」及び第5類「医薬品,衛生マスク」等に使用する場合、取引者、需要者をして、これらの商品が申立人と経済的又は組織的に何等かの関係のある者の業務に係る商品であると誤認をし、これらの商品の出所について混同するおそれがあることから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。 第3 当審の判断 申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当すると主張しているので、以下、検討し判断する。 1 申立人の業務に係る商標の周知性について ア 「グリコ」の文字の周知性について 申立人は、「グリコ」が著名商標であると主張しているので、「グリコ」の文字についてみると、申立人が提出した甲各号証からは、「グリコ」の文字が単独で商標として使用されている事実は見いだせない。 しかしながら、上記第2の2のとおり、防護標章登録を受けた原登録商標(それらの指定商品は、第30類「菓子(甘栗・甘酒・氷砂糖・みつまめ・ゆであずきを除く。),パン」又は第30類「菓子,パン」である。)があり、さらに、「パン」について、申立人が提出した甲各号証からは、「グリコ」の文字が商標として使用されている事実は見いだせないことを合わせ考慮すれば、「グリコ」の文字は、申立人の業務に係る「菓子」を表示するものとして需要者の間に広く知られた商標であるといえる。 イ 「glico」の文字の周知性について 申立人は、「glico」が著名商標であると主張しているので、「glico」の文字についてみると、申立人が提出した甲各号証からは、「glico」の文字は、「菓子」について、商標として使用されていることは認められる。 そして、上記第2の2のとおり、防護標章登録を受けた原登録商標があり、さらに、「パン」について、申立人が提出した甲各号証からは、「glico」の文字が商標として使用されている事実は見いだせないことを合わせ考慮すれば、「glico」の文字は、申立人の業務に係る「菓子」を表示するものとして需要者の間に広く知られた商標であるといえる。 2 商標法第4条第1項第11号該当性について (1)本件商標 本件商標は、上記第1のとおり、「SEGRICO」及び「セグリコ」の文字を2段にまとまりよく表してなるところ、その構成中の「セグリコ」の文字は、「SEGRICO」の読みを表示したものであり、また、その構成全体から生じる「セグリコ」の称呼も、無理なく一連に称呼できるものである。 そして、上記のような本件商標の構成及び本件商標から生じる称呼からすれば、本件商標は、その構成全体を一体のものとして看取、理解されるといえるものであり、殊更、その構成中の「グリコ」の文字部分のみが分離して看取されることはないとみるのが相当である。 さらに、本件商標は、一般の辞書等に掲載されていない文字からなるから、特定の観念を生じるものではない。 したがって、本件商標は、「セグリコ」の称呼のみを生じ、特定の観念を生じないものである。 (2)引用商標 ア 引用商標1、2、4及び5は、上記第2の1(1)、(2)、(4)及び(5)のとおり、「グリコ」(引用商標1、4、5)、「glico」(引用商標2)の文字からなるところ、これらの商標は、上記1のとおり、申立人の業務に係る「菓子」を表示するものとして、需要者の間に広く知られた商標であり、さらに、申立人は、菓子メーカーとして、我が国において広く知られていることを合わせ考慮すれば、これらの商標からは、「グリコ」の称呼を生じ、「(菓子メーカーの)グリコ」の観念を生じるものといえる。 イ 引用商標3は、上記第2の1(3)のとおり、「GLYCO」の文字からなるところ、一般の辞書等に掲載されていない文字からなるから、その構成文字に相応して、「グリコ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 (3)本件商標と引用商標との類否 ア 本件商標と引用商標1、2、4及び5との類否 両者の外観を比較すると、本件商標は、その構成中に「グリコ」の文字を含むとしても、上記(1)のとおり、「グリコ」の文字部分のみが分離して看取されることはなく、両者は、文字構成が明らかに異なるから、外観において相紛れるおそれはない。 次に、「セグリコ」と「グリコ」の称呼とを比較すると、両者は、称呼の識別上、重要な語頭の音に大きな差異があり、加えて、4音と3音という比較的短い称呼にあっては、当該差異音が及ぼす影響は大きいといえるから、両者は、称呼において相紛れるおそれはない。 さらに、本件商標からは特定の観念を生じないから、「(菓子メーカーの)グリコ」の観念を生じる引用商標1、2、4及び5とは、観念において相紛れるおそれはない。 以上のとおり、本件商標と引用商標1、2、4及び5とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものというべきものである。 イ 本件商標と引用商標3との類否 両者の外観を比較すると、文字構成が明らかに異なるから、両者は、外観において相紛れるおそれはない。 そして、上記アと同様に、両者は、称呼及び観念において相紛れるおそれはないから、結局、本件商標と引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異のものというべきものである。 ウ 小括 以上のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異のものというべきものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 3 商標法第4条第1項第15号該当性について (1)申立人は、本件商標から生じる「セグリコ」の称呼中、語頭音「セ」以外の「グリコ」の部分が申立人を想起させる著名商標「グリコ」及び「glico」から生じる称呼と同一であり、かつ、「グリコ」からは「江崎グリコグループ」の観念を生じさせることから、本件商標と防護標章登録を受けた原登録商標とは、類似すると主張するが、上記2と同様に、本件商標と防護標章登録を受けた原登録商標とは、非類似の商標であって、別異のものというべきものである。 (2)申立人は、本件商標の指定商品中の第3類「化粧品」及び第5類「衛生マスク」については、申立人が現に商品を販売しているし、第5類「医薬品」についても、関連会社が医薬品の素材原料の販売をしており、第5類「除菌剤」についても、申立人が商品化する可能性はあると主張するが、申立人が提出した甲各号証からは、「化粧品」及び「衛生マスク」について「グリコ」の文字及び「glico」の文字が単独で商標として使用されている事実は見いだせない。 (3)申立人は、菓子業界も含む飲食料品業界に属する企業での事業の多角化が周知の事実であることから、第3類「化粧品,口臭消臭剤」及び第5類「医薬品,衛生マスク」と第30類「菓子」とは、密接な関連性を有し、これら各商品の取引者、需要者も共通性を有していると主張するが、当該商品は、その取引者、需要者を共通にする場合があるとしても、生産部門、販売部門や用途が異なり、密接な関連性があるとまではいえない。 (4)小括 上記(1)ないし(3)を合わせ考慮すれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、需要者をして、申立人の業務に係る商標(「グリコ」又は「glico」の文字からなる商標)を連想、想起させることはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 4 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 別掲2(引用商標1、引用商標5及び登録第2671735号商標) 別掲3(引用商標2及び登録第2671736号商標) 別掲4(登録第307367号商標) 別掲5(登録第2671738号商標) |
異議決定日 | 2018-04-25 |
出願番号 | 商願2016-137214(T2016-137214) |
審決分類 |
T
1
651・
261-
Y
(W0305)
T 1 651・ 271- Y (W0305) T 1 651・ 263- Y (W0305) T 1 651・ 262- Y (W0305) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 和田 恵美 |
特許庁審判長 |
金子 尚人 |
特許庁審判官 |
大森 健司 松浦 裕紀子 |
登録日 | 2017-09-01 |
登録番号 | 商標登録第5977301号(T5977301) |
権利者 | 株式会社エイチ・オー・ピー |
商標の称呼 | セグリコ |
代理人 | 工藤 莞司 |
代理人 | 長谷川 芳樹 |
代理人 | 亀川 義示 |
代理人 | 浜田 廣士 |
代理人 | 黒川 朋也 |