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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X44
管理番号 1340365 
審判番号 取消2017-670002 
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-01-31 
確定日 2018-02-22 
事件の表示 上記当事者間の国際登録第1034831号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1034831号商標(以下「本件商標」という。)は「IRIDIUM」の欧文字を横書きしてなり,2010年(平成22年)3月23日に国際商標登録出願,第44類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務とし,平成23年12月2日に設定登録,その後,2014年(平成26年)10月30日に基礎出願又は基礎登録の効力の一部終了により本権の登録の一部抹消が国際登録原簿に記録された結果,指定役務が,第44類「Hygienic and beauty care for human beings or animals;spa treatment;providing spa facilities;beauty salon services,namely,cosmetic body care services,massage services,manicure and pedicure services,facial treatment services,namely,cosmetic peels,body waxing services,cosmetic skin care services for the face and body.」となったものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成29年2月7日にされたものである。
第2 請求人の主張
請求人は,商標法第50条第1項の規定により,本件商標の指定役務中,第44類「Hygienic and beauty care for human beings or animals」についての登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は,その指定役務中,第44類「Hygienic and beauty care for human beings or animals」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存じないから,その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人の答弁に対し何ら弁駁していない。
第3 被請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第17号証(枝番を含む。)を提出した。
1 被請求人は,世界的に知られたホテルチェーンである「Sheraton」及び系列の「St.Regis」ブランドのホテル事業等を管理する米国法人であるところ,同ホテルチェーンが日本初の「St.Regis」ブランドのホテルとして平成22年10月に開業した「セントレジスホテル大阪」内のホテル14階に同ホテル開業時にオープンしたエステティック(美容)サロンにおいて,本件商標を「美容」等の役務に関して,現在まで継続して使用している(乙3?乙5)。
2 被請求人は,「Sheraton」,「St.Regis」に代表される11のブランドのホテルやリゾートを展開する米国Starwood Hotels & Resorts Worldwide,LLC(以下「スターウッド・ホテル&リゾート社」という。(乙7))の企業グループに属する会社であり,スターウッド・ホテル&リゾート社又はその関連会社が運営する「Sheraton」及び「St.Regis」ホテルブランドに関連する各国の商標を保有し,ブランドの管理を行っている(乙8)。そして,被請求人の許諾・管理の下,スターウッド・ホテル&リゾート社の関連会社の大阪セント・レジス・ホテル株式会社(以下「大阪セントレジス社」という。)が運営する「セントレジスホテル大阪」において,本件商標を含む「St.Regis」ホテルブランドに関する商標が使用されている(乙2,乙3)
3 なお,「セントレジスホテル大阪」内のエステティック(美容)サロン(以下「当サロン」という。)においては,大阪セントレジス社より再許諾を受けたソティスジャパン株式会社が,本件商標を使用して「美容」のためのトリートメント等を提供している(乙3?乙5)。
4 本件審判の請求の登録前3年以内に,その請求に係る指定役務について本件商標を使用した事実について。
(1)2016年7月20日 キャンペーン広告(乙9,乙10)
当サロンが美容サロン・スパの分野における「2016年ワールド・ラグジュアリー・エマージング・スパ・アワーズ賞」を受けたことを記念し,2016年12月末までの特別プラン・料金等の告知を行い,これに本件商標を表示している。
(2)2015年7月6日 キャンペーン広告(乙9,乙11)
当サロンが「2015年ワールド・ラグジュアリー・エマージング・スパ・アワーズ賞」を受賞したことを記念し,特別プラン・料金の告知を行い,これに本件商標を表示している。
(3)2016年4月1日 キャンペーン広告(乙12,乙13)
当サロンが,2016年4月1日から6月30日までのキャンペーン期間中に「肌質別フェイシャル」「アロマナボディートリートメント」等のトリートメント(施術)とホテル内レストランでの食事を組み合わせたプラン・料金の告知を行い,これに本件商標を表示している。
(4)2016年1月8日 ホテル季刊紙広告(乙12,乙14)
当サロンの広告が「セントレジスホテル大阪」の季刊紙に掲載され,「2016年ワールド・ラグジュアリー・エマージング・スパ・アワーズ賞」にノミネートされたことや,当サロンの写真と共に本件商標が表示されている。
(5)2015年10月29日 特別プラン広告(乙12,乙15)
当サロンがセントレジスホテル大阪開業5周年特別プランとして「至福のトリートメント(施術)エクスペリエンス」の告知を行い,これに本件商標を表示している。
(6)2015年6月15日 アワード受賞特別プラン広告(乙12,乙16)
当サロンが「2015年ワールド・ラグジュアリー・エマージング・スパ・アワーズ賞」を受賞したことを記念し,アワード受賞特別プラン・料金等の告知を行い,これに本件商標を表示している。
(7)2015年8月8日 日本経済新聞記事(乙13,17)
「セントレジスホテル大阪のスパ『イリディウム』では男性専用のマスクでフェーシャルを手入れ」等と紹介する記事が掲載された。
5 上記4(1)?(6)のキャンペーン等の広告においては,本願商標が容易に目に付く配置,かつ顕著な態様で表示されており,色彩が付されているものの,登録商標と実質的に同一または「社会通念上同一と認められる商標」である。また,上記4(7)の新聞記事においては,当サロンの名称として,本件商標のローマ字の表示を片仮名に「相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生じる商標」を使用していたことは明らかである。
6 上記4の広告や新聞記事におけるサービスは,顔,肌や全身をケア(手入れ)し容姿を美しくする「美容」のためのトリートメントであり,本件審判の請求に係る指定役務に相当する。
7 上記4における本件商標の使用は,本件商標を「役務に関する広告,価格表若しくは取引書類に付して展示し,若しくは頒布し,又はこれらを内容とする情報に付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)であり,商標法第50条第1項に規定する「登録商標の使用」に該当する。
8 以上のとおり,本件商標は,指定役務中,第44類「Hygienic and beauty care for human beings or animals」について,本件審判の請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に使用されている事は明らかであるから,本件商標の登録を取り消す理由は存在しない。
第4 当審の判断
1 使用の事実について
被請求人の主張及び提出に係る証拠によれば以下の事実を認めることができる。
(1)乙第2号証の1は,「セントレジスホテル大阪」のウェブサイトとのことであるが,その2葉目には,「Starwood Preferred Guest」に係る標章の下,「ST REGIS」に係る標章と「Sheraton」に係る標章とが同一の枠内に表示されている。
(2)乙第3号証の1は,「セントレジスホテル大阪」のウェブサイトとのことであるが,その1頁目上部には,「ST REGIS」に係る標章,「セントレジスホテル大阪・・・/541-0053,日本,大阪府,大阪市,中央区本町3丁目6-12・・・」の表示があり,その下に「IRIDIUM」の文字が表示され,中程には,「エステティックサロン/IRIDIUM featuring SOTHYS」の表示があり,その右側の項目欄に,「フェイシャルトリートメント」,「スペシャルボディトリートメント」,「ネイル」等の表示がある。
また,2頁目には「ご予約・お問合わせ」として電話番号の表示がある。
(3)乙第7号証は,「スターウッド・ホテル&リゾート」のウェブサイトとのことであるが,その2葉目には「Sheraton」に係る標章が表示され,3葉目には「ST REGIS」に係る標章が表示されている。
(4)乙第8号証は「ST REGIS」に係る日本,英国,欧州共同体,WIPOの登録商標情報とのことであるが,それらの商標権の権利者は全て本件商標権者(被請求人),出願日はいずれも本件審判の請求の登録前3年より前であって,現在も有効に存在しているものである。
(5)乙第10号証は「ソティスジャパン株式会社」のウェブサイトとのことであるが,その1頁目には「キャンペーン」の表示の下の四角枠内に,「IRIDIUM」の文字及び「IRIDIUM featuring SOTHYS/イリディウム フィーチャリング ソティス」の文字が表示され,頁下部には,「Special Plan アワード受賞特別プラン(2016年12月末まで)」の見出しの下,「PlanI【Day Spa】ラグジュアリーディスパプラン期間限定特別プラン」として「ソティス最高峰のフェイシャル&ボディフルコーストリートメント180分とスパスティがセットになったディスパプラン。・・・」の記載がある。そして,2頁目には「お問合せ」として「IRIDIUM featiring SOTHYS/イリディウム フィーチャリング ソティス/大阪市中央区本町3-6-12・・・」及び電話番号の表示があるところ,ここに表示された住所及び電話番号は,乙3号証の1に表示されている住所及び電話番号と一致する。
(6)乙第13号証は「ソティスジャパン株式会社」の公式フェイスブックとのことであるが,その2葉目の上部の写真内には「キャンペーン期間」として「2016 4/1 fri.?6/30thu.」の表示があり,中程に「スタンダートプラン」として,「フェイシャルプラン」,「ボディプラン」,「コンビネーションプラン」,「ネイルプラン」の表示がある。また,左下には,「IRIDIUM」の文字及び「イリディウム フィーチャリング ソティス IRIDIUM featiring SOTHYS」の文字が表示され,最下部の「ご予約・お問い合せ」の下段に表示されている電話番号は,乙3号証の1に表示されている電話番号と一致する。
(7)乙第17号証の2葉目は,1葉目の「ソティスジャパン株式会社」の公式フェイスブックに表示されている平成27年8月8日付け日本経済新聞(夕刊)の記事とのことであるが,該記事には「男も磨くホテルスパ/非日常感覚でリフレッシュ」の見出しの下,「関西きっての高級ホテル,セントレジスホテル大阪(大阪市)内にあるスパ『イリディウム フィーチャリング ソティス』でも,男性向けのプログラムが人気だ。来店客の3割強は男性が占め,ボディーケアだけでなく『フェーシャルの手入れを受ける企業のエグゼクティブの方が徐々に増えています。』」の記載がある。
2 判断
上記1で認定した事実によれば,以下のとおり判断できる。
(1)使用に係る商標について
「セントレジテンスホテル大阪」及び「ソティスジャパン株式会社」のウェブサイト又は公式フェイスブックに表示されている「IRIDIUM」の標章(以下「使用商標」という。)は,本件商標と色彩は異なるものの,文字種及び綴りを同一にするものであるから,本件商標と社会通念上同一の商標といえる(乙3の1,乙10,乙13)。
(2)使用に係る役務及び役務の提供場所について
使用商標を表示した「ソティスジャパン株式会社」による「エステティックサロン」が,「セントレジスホテル大阪」内で営業されており,当サロンにおいて,「フェイシャルトリートメント」,「ボディトリートメント」,「ネイル」等の役務が提供されていることが認められる(乙3の1,乙10,乙13,乙17)。
そして,「フェイシャルトリートメント」,「ボディトリートメント」,「ネイル」の役務は,本件審判請求に係る指定役務「Hygienic and beauty care for human beings or animals(参考訳:人又は動物に関する衛生及び美容)」の範疇の役務である。
(3)使用商標の使用者について
本件商標権者に係るホテル(「Sheraton」ホテル)及び「セントレジスホテル大阪」の属する「ST REGIS」ホテルは,共に「スターウッド・ホテル&リゾート社」の企業グループに属するホテルである(乙2,乙7)こと。使用商標の使用に係る役務の提供場所である「セントレジスホテル大阪」に係る「ST REGIS」等の商標の権利者は,本件審判の請求の登録前3年以前より現在に至るまで,本件商標権者(被請求人)と一致すること(乙8)。また,「ソティスジャパン株式会社」は,「セントレジスホテル大阪」内において,本件商標と社会通念上同一の使用商標を使用して,「フェイシャルトリートメント」,「ボディトリートメント」,「ネイル」等の役務を提供している(乙3の1,乙10,乙13,乙17)ことからすれば,被請求人が本件商標の使用について「セントレジスホテル大阪」を運営管理する「大阪セントレジス社」に許諾し,さらに「大阪セントレジス社」は「ソティスジャパン株式会社」に再許諾した旨の被請求人の主張に不自然な点はない。
以上より,「ソティスジャパン株式会社」は,本件商標の通常使用権者とみて差し支えない。
(4)本件商標の使用時期及び使用について
「ソティスジャパン株式会社」は,使用商標を使用して,2016年(平成28年)の12月末まで「フェイシャル&ボディフルコーストリートメント」として「フェイシャルトリートメント」,「ボディトリートメント」等の役務を提供し(乙10),また,同社は,2016年4月1日?6月30日にも使用商標を使用し,「フェイシャルプラン」,「ボディプラン」,「ネイルプラン」と称して「フェイシャルトリートメント」,「ボディトリートメント」,「ネイル」等の役務を提供した(乙13)ものと認められる。
さらに,同社は,平成27年8月8日ごろにも「セントレジスホテル大阪」内の「イリディウムフィーチャリングソティス」で「フェイシャルトリートメント」,「ボディトリートメント」等の役務を提供した(乙17)ものと認められ,これらの期間はいずれも要証期間内である。
そして,上記に係る証拠として提出された書証は,いずれも本件審判の請求の登録後の印刷あるいは印刷時期不明のウェブサイト又はフェイスブックの写しであるものの,内容に記載された日付から,当該ウェブサイト又はフェイスブックは2016年(平成28)4月1日から同年6月30日及び平成27年8月8日の時点においても存在していたと推認できる。
また,当該ウェブサイト又はフェイスブックの記載内容は,キャンペーンのお知らせ,提供する役務の説明,役務の提供者の表示等であるから,提供する役務の広告を目的としたものと認められる。
(5)小括
以上を総合すると,本件の通常使用権者である「ソティスジャパン株式会社」は,要証期間内にウェブサイト又はフェイスブックを利用し,本件商標と社会通念上同一の商標を表示し本件審判の請求に係る指定役務に含まれ,自己が提供する「フェイシャルトリートメント」,「ボディトリートメント」,「ネイル」の広告を行ったものと認められる。
そして,通常使用権者の上記行為は,「商品又は役務に関する広告・・・又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
3 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の登録前3年以内に,日本国内において,商標の通常使用権者が,請求に係る指定役務に含まれる役務について本件商標と社会通念上同一の商標を使用したことを証明したといえる。
したがって,本件商標の登録は,請求に係る指定役務について,商標法第50条の規定により,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審決日 2017-10-18 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X44)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 濱田 佐代子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 幸一
大森 友子
登録日 2010-03-23 
商標の称呼 イリジウム、イリディアム 
代理人 秋山 朋子 
代理人 和田 信博 
代理人 山田 卓二 
代理人 田中 陽介 

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