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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X07
管理番号 1340342 
審判番号 取消2017-300313 
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-05-10 
確定日 2018-05-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第5098218号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5098218号商標(以下「本件商標」という。)は、「airsis」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年3月8日に登録出願、第7類「業務用電気洗濯機,業務用食器洗浄機,業務用電気式ワックス磨き機,業務用電気掃除機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー,電機ブラシ」を指定商品として、同年12月14日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成29年5月24日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第7類「家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー」(以下「取消請求に係る指定商品」という。)について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
本件商標は、その指定商品中の「取消請求に係る指定商品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
なお、請求人は、後記3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁していない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第23号証を提出した。
(1)本件審判の請求が成り立たない理由
本件商標は、本件審判の請求登録前3年(以下「要証期間」という。)以内に、日本国内において、取消請求に係る指定商品のうち、「家庭用電気掃除機」について、本件商標の通常使用権者であるパナソニック株式会社によって使用されているから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。
(2)本件商標について
本件商標は、当初、被請求人の製造販売に係る「家庭用電気掃除機」について使用されていた(乙1)。その後、被請求人がパナソニック株式会社の完全子会社になったことにより、パナソニック株式会社は、被請求人の本件商標に係る電気掃除機に関する事業を引き継ぐに至った。
(3)被請求人とパナソニック株式会社との関係について
パナソニック株式会社は被請求人を平成23年4月に完全子会社化しており(乙2,乙3)、被請求人はパナソニック株式会社の連結子会社になった(乙4)。
パナソニック株式会社による陳述書(乙5)のとおり、パナソニック株式会社が被請求人を完全子会社化後、本件商標に係る電気掃除機に関する事業を引き継ぎ、本件商標に係る商標権の通常使用権者として、電気掃除機を製造販売していることが陳述されている。
よって、パナソニック株式会社は、本件商標の通常使用権者である。
(4)パナソニック株式会社による使用事実
ア 本件商標の通常使用権者であるパナソニック株式会社は、本件商標と社会通念上同一の商標を用いて、家庭用電気掃除機を製造販売している。
(ア)乙第6号証及び乙第7号証は、ヨドバシカメラが運営する通信販売のウェブサイトで販売されている、パナソニック株式会社の型番「MC-SXD430」シリーズに係る電気掃除機のページのプリントアウトである。乙第6号証には、同ウェブサイトを通じた該電気掃除機の販売開始日が、2014年2月13日であると記載されている。
乙第8号証に示すように、該電気掃除機本体の上面中央部付近には「airsis」のロゴが付されている。「airsis」のロゴは、多少のデザイン化はされているものの、一般的な需要者・取引者ならば、本件商標と同じ綴り字の「airsis」の文字からなると容易に認識可能である。よって、本件商標と使用商標とは、書体のみ変更した社会通念上同一の商標である。
乙第7号証は、該電気掃除機の購入者が投稿したレビュー欄を表示したページのプリントアウトである。該レビュー欄には、9件のレビューが2015年5月10日から2017年6月15日にかけて投稿されており、その投稿日より約3か月前から2年前に、該電気掃除機をヨドバシカメラで購入したことが記載されている。
したがって、要証期間内に、該ウェブサイトを通じて、型番「MC-SXD430」シリーズに係る電気掃除機が販売されていたことが推認される。
また、乙第6号証及び乙第7号証に係るウェブサイトには、片仮名「エアシス」が記載されている。本件商標「airsis」と片仮名「エアシス」とは、称呼が同一であり、いずれも特定の観念を生じないところ、外観においては、書体がロゴと片仮名とで異なるが、我が国においては、商取引上、欧文字商標を片仮名で代替的に表記することはごく一般的なことであって、かつ、片仮名で「エアシス」と表記することで観念の異同を生じさせるものでもないから、使用に係る商標「エアシス」は、本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
そして、上記型番に係る掃除機は、「家庭用電気掃除機」の範疇に含まれることは疑いない。
以上によれば、本件商標と社会通念上同一である「airsis」のロゴ及び「エアシス」の片仮名を付した「家庭用電気掃除機」が、要証期間内に、電気通信回線を通じて販売されたことは明らかである。
かかる使用行為は、商標法第2条第3項第1号及び第2号に該当する。
(イ)乙第9号証は、株式会社ジャパネットたかたが運営する通信販売のウェブサイトで販売されている、パナソニック株式会社の型番「MC-JPX1」シリーズに係る電気掃除機のページのプリントアウトである。乙第10号証によれば、「エアシスMC-JPX1」は、パナソニック株式会社の「エアシスMC-SXD430」をベース製品とした、株式会社ジャパネットたかた向けに製造されているキャニスター型のサイクロン掃除機であり、2014年2月20日に発売されていると記載されている。
乙第11号証に示すように、該電気掃除機本体の上面中央部付近には「airsis」のロゴが付されている。「airsis」のロゴは、上記(ア)で述べたものと同一の書体であることから、本件商標と該使用商標とは、書体のみ変更した社会通念上同一の商標と認められる。
また、乙第9号証に係るウェブサイトには、片仮名「エアシス」が記載されている。該片仮名「エアシス」も、上記(ア)で述べたように、本件商標と社会通念上同一の商標というべきである。
乙第12号証は、2014年4月から2014年8月までの、株式会社ジャパネットたかたにおける、型番「MC-JPX1」シリーズの販売実績を示した資料である。乙第12号証に示すように、少なくとも、2014年4月から2014年8月に、型番「MC-JPX1」シリーズに係る電気掃除機が、株式会社ジャパネットたかたを通じて販売されていたことが推認される。
そして、上記型番に係る掃除機は、「家庭用電気掃除機」の範疇に含まれることは疑いない。
以上によれば、本件商標と社会通念上同一である「airsis」のロゴ及び「エアシス」の片仮名を付した「家庭用電気掃除機」が、要証期間内に、電気通信回線を通じて販売されたことは明らかである。
かかる使用行為は、商標法第2条第3項第1号及び第2号に該当する。
(ウ)乙第13号証ないし乙第16号証は、パナソニック株式会社の発行するカタログの抜粋写しである。
乙第13号証の第16ページ、乙第14号証の第16ページ、乙第15号証の第14ページ、乙第16号証の第10ページに、型番「MC-SXD430」シリーズに係る電気掃除機が記載されており、その近傍に、「airsis」のロゴ及び「エアシス」の片仮名からなる表示が記載されている。これらの表示は、上記(ア)で述べたものと同一であり、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
乙第13号証は、パナソニック株式会社が発行するカタログの2014年夏号の抜粋写しである。該カタログの背表紙によると、「このカタログの記載内容は2014年5月1日現在のものです。」と記載されていることから、該カタログは、2014年5月1日以降間もなく発行されたと推認可能である。
乙第14号証は、パナソニック株式会社が発行するカタログの2014年秋号の抜粋写しである。該カタログの背表紙によると、「このカタログの記載内容は2014年9月1日現在のものです。」と記載されていることから、該カタログは、2014年9月1日以降間もなく発行されたと推認可能である。
乙第15号証は、パナソニック株式会社が発行するカタログの2015年春号の抜粋写しである。該カタログの背表紙によると、「このカタログの記載内容は2015年4月1日現在のものです。」と記載されていることから、該カタログは、2015年4月1日以降間もなく発行されたと推認可能である。
乙第16号証は、パナソニック株式会社が発行するカタログの2016年秋号の抜粋写しである。該カタログの背表紙によると、「このカタログの記載内容は2016年8月1日現在のものです。」と記載されていることから、該カタログは、2016年8月1日以降間もなく発行されたと推認可能である。
以上によれば、本件商標の通常使用権者であるパナソニック株式会社は、要証期間内に、本件請求に係る指定商品中「家庭用電気掃除機」に関する広告に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布したことは明らかである。
かかる使用行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
(エ)乙第17号証及び乙第18号証は、パナソニック株式会社のウェブサイトのプリントアウトである。
乙第17号証及び乙第18号証には、型番「MC-SXD430」シリーズに係る電気掃除機について、「airsis」のロゴ及び「エアシス」の片仮名文字からなる表示が記載されている。そして、これらの表示は、上記(ア)で述べたものと同一であり、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
乙第19号証ないし乙第22号証は、乙第17号証に記載のURLをウェイバックマシン(http://archive.org/web/web.php)で検索したサイトのプリントアウトである。ウェイバックマシンとは、インターネット・アーカイブが保存するウェブアーカイブを閲覧することのできるサービスであり、ウェブページが保存された時点の状態を閲覧することができる(乙23)。
ウェイバックマシンによれば、乙第19号証は2015年7月2日、乙第20号証は2016年1月1日、乙第21号証は2016年5月10日、乙第22号証は2016年11月2日に、乙第17号証及び第18号証に係るウェブページが保存されたことが推認される。
そして、乙第19号証ないし乙第22号証に記載の型番が、乙第17号証及び乙第18号証に記載の型番と一致することから、乙第19号証ないし乙第22号証には乙第17号証及び乙第18号証に記載の掃除機について記載されていたと推認される。
以上によれば、本件商標の通常使用権者であるパナソニック株式会社は、要証期間内に、自社のウェブサイトにおいて、我が国の需要者に向けて本件請求に係る指定商品中「家庭用電気掃除機」に関する広告を内容とする情報に、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して電磁的方法により提供したことは明らかである。
かかる使用行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
イ 以上のように、通常使用権者であるパナソニック株式会社が、本件商標と社会通念上同一の商標を用いて、取消請求に係る指定商品のうち、少なくとも「家庭用電気掃除機」を、要証期間内に、日本国内において使用していたというべきである。
(5)結語
以上のとおり、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものではない。

4 当審の判断
(1)被請求人が提出した証拠によれば、以下のことがいえる。
ア パナソニック株式会社は商標権者(被請求人)を平成23年4月に完全子会社化し、商標権者はパナソニック株式会社の連結子会社になった(乙2?乙4)。
イ 乙第6号証及び乙第7号証は、ヨドバシカメラが運営する通信販売のウェブサイトのプリントアウトであって、それぞれ「パナソニック PANASONIC MC-SXD430-W[エアシス キャニスター型掃除機 ホワイト]」の表題の下、乙第6号証には、「メーカー:パナソニック」及び「販売開始日:2014/02/13」の記載があり、乙第7号証には、2015年5月10日から2017年6月15日にかけての9件のレビューが表されており、そのうち2015年8月24日、同年9月1日、2015年12月13日、同月16日、2016年6月12日の投稿欄には「約1年前にヨドバシカメラで購入しました」の記載、2016年8月24日の投稿欄には「約10カ月前にヨドバシカメラで購入しました」の記載、2017年6月6日の投稿欄には「約3カ月前にヨドバシカメラで購入しました」の記載、2017年6月15日の投稿欄には「約6カ月前にヨドバシカメラで購入しました」の記載がある。
また、乙第8号証は、グッドデザイン賞のウェブサイトのプリントアウトであって、「2014 GOOD DESIGN AWARD グッドデザイン賞」の表題の下、受賞対象名として「電気掃除機[Panasonic MC-SXD430 シリーズ]」、事業主体名として「パナソニック株式会社」、発売として「2014年2月20日」の記載等とともに、電気掃除機本体の画像が表示されており、その上面中央部付近にはややデザイン化された「airsis」と読める文字(以下「使用商標」という。)が表されている。
そして、乙第6号証及び乙第7号証の表題に記載された型番「MC-SXD430」と乙第8号証における受賞対象名中に記載された型番「MC-SXD430」とは、符合する。
ウ 乙第13号証ないし乙第16号証は、パナソニック株式会社の発行するカタログの抜粋写しとするものであるところ、乙第13号証には、表紙の上部に「Panasonic」、「掃除機」、「総合カタログ」及び「2014/夏」の記載があり、また、その背表紙の右下方部分に「このカタログの記載内容は2014年5月1日現在のものです。」と記載されている。同じく、乙第14号証には、表紙の上部に「Panasonic」、「掃除機」、「総合カタログ」及び「2014/秋」の記載があり、また、その背表紙の右下方部分に「このカタログの記載内容は2014年9月1日現在のものです。」と記載されている。同じく、乙第15号証には、表紙の上部に「Panasonic」、「掃除機」、「総合カタログ」及び「2015/春」の記載があり、また、その背表紙の右下方部分に「このカタログの記載内容は2015年4月1日現在のものです。」と記載されている。同じく、乙第16号証には、表紙の上部に「Panasonic」、「掃除機」、「総合カタログ」及び「2016/秋」の記載があり、また、その背表紙の右下方部分に「このカタログの記載内容は2016年8月1日現在のものです。」と記載されている。
そして、乙第13号証の第16ページ、乙第14号証の第16ページ、乙第15号証の第14ページ、乙第16号証の第10ページには、型番「MC-SXD430」の表示の下、電気掃除機の画像があらわされており、その近傍に、使用商標が表示されている。
(2)上記(1)イによれば、パナソニック株式会社が、ヨドバシカメラが運営する通信販売のウェブサイトを通じて、要証期間内に、型番「MC-SXD430」に係る電気掃除機が販売されたことが推認される。
そして、本件商標は、「airsis」の欧文字を標準文字で表してなるところ、使用商標は、ややデザイン化されているものの「airsis」と容易に読める文字からなるものであり、本件商標と社会通念上同一の商標といえる。
また、上記型番に係る掃除機は、本件請求に係る指定商品中の「家庭用電気掃除機」の範疇に含まれるものである。
以上によれば、本件商標と社会通念上同一である使用商標を付した「家庭用電気掃除機」が、パナソニック株式会社により、要証期間内に、電気通信回線を通じて販売されたといえるものであり、かかる使用行為は、商標法第2条第3項第1号及び同項第2号に該当する。
(3)上記(1)ウによれば、乙第13号証ないし乙第16号証は、パナソニック株式会社が発行したカタログであり、そのカタログ中に、使用商標の表示とともに、型番「MC-SXD430」に係る電気掃除機が掲載されたことが認められる。
そして、各カタログは、その背表紙に記載された「このカタログの記載内容は2014年9月1日現在のものです。」等の記載の日付以降間もなく発行されたと推認できるものであるから、要証期間内に発行されたといえる。
また、使用商標が本件商標と社会通念上同一の商標であること、及び上記型番に係る掃除機が本件請求に係る指定商品中の「家庭用電気掃除機」の範疇に含まれるものであることは、上記(2)の認定、判断と同様である。
以上によれば、パナソニック株式会社は、要証期間内に、本件請求に係る指定商品中の「家庭用電気掃除機」に関する広告に、本件商標と社会通念上同一の商標を付して頒布したといえるものであり、かかる使用行為は、商標法第2条第3項第8号に該当する。
(4)さらに、パナソニック株式会社と商標権者との関係についてみるに、上記(1)アのとおり、パナソニック株式会社は、商標権者を平成23年4月に完全子会社化し、商標権者がパナソニック株式会社の連結子会社になっているものであり、また、通常使用権者の許諾は口頭もしくは黙示の意思表示でも足りると解されており、パナソニック株式会社による陳述書(乙5)のとおり、パナソニック株式会社が商標権者を完全子会社化後、本件商標に係る電気掃除機に関する事業を引き継ぎ、本件商標に係る商標権の通常使用権者として、電気掃除機を製造販売していることを陳述していることからすれば、パナソニック株式会社は、本件商標の通常使用権者であるとみて差し支えない。
(5)むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者がその請求に係る指定商品中の「家庭用電気掃除機」について、本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をした事実を証明したものと認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その請求に係る指定商品について取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-12-01 
結審通知日 2017-12-07 
審決日 2017-12-21 
出願番号 商願2007-20137(T2007-20137) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X07)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土井 敬子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 網谷 麻里子
酒井 福造
登録日 2007-12-14 
登録番号 商標登録第5098218号(T5098218) 
商標の称呼 エアーシス、エアシス、シス、エスアイエス 
代理人 勝見 元博 
代理人 鈴木 亜美 
代理人 保崎 明弘 
代理人 水野 勝文 
代理人 鮫島 睦 
代理人 澤 由里子 
代理人 和田 光子 

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