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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項7号 公序、良俗 取り消して登録 W0936 |
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管理番号 | 1340224 |
審判番号 | 不服2017-16226 |
総通号数 | 222 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-11-01 |
確定日 | 2018-05-08 |
事件の表示 | 商願2016- 72389拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、別掲のとおりの構成からなり、第9類「コンピュータ,コンピュータ周辺機器,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),データの暗号化処理用コンピュータソフトウェア,データの暗号化キー作成用のコンピュータハードウェア,デジタル証明の発行用コンピュータソフトウェア,デジタル署名用コンピュータソフトウェア,個人・銀行・金融機関用の機密顧客情報のセキュリティデータの保管・検索・送信用コンピュータソフトウェア,銀行間の銀行カード情報の伝送および交換用コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),計算機,データ処理装置,未記録の磁気記録媒体,音響又は映像の記録用・送信用・再生用の装置,電気通信回線を通じてダウンロード可能な電子出版物,電光掲示板,マイクロプロセッサ,コンピュータ用モニター,コンピュータ用プリンター,スキャナー,バーコードリーダー,銀行カード・スマートカードが端末およびカードリーダと対話できるように設計されたコンピュータソフトウェア,コンピュータチップに保存された情報読取用およびカード読取用の電子装置,チャージ式プリペイドカード・銀行カード・クレジットカード・デビットカード・支払いカード用の未記録の磁気カード,ICカード(スマートカード),身分証明書用磁気カード,符号記録済み磁気式カード用およびICチップ内蔵カード用の読み取り装置,チャージカード・銀行カード・クレジットカード・デビットカード・支払カードの証明のための電子検証装置,データ管理用コンピュータ装置,カウンター,分量計量器,時間記録用装置,金銭登録機,チケット発行機,現金自動預金支払機,店舗販売時点で情報を管理するための機械,硬貨作動式機械用の始動装置,紙幣・硬貨の計数用及び選別用の機械,偽造硬貨検出機,小切手に関する情報を記録可能な金銭登録機,コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロード可能なもの),符号記録済みキーカード,コンピュータハードウエア」及び第36類「保険の引受け,保険契約の締結の仲介,旅行保険の引受け,有価証券・保険・美術品の評価の分野における金融・財務に関する仲介,金融又は財務取引の媒介・取次ぎ又は代理,財務管理,銀行業務,金融の為替取引または両替,財政投資,電子マネー利用者に代わって行う支払代金の決済および両替,支払代金の電子決済,電話機・インターネットまたは他の電子手段による銀行業務,銀行カード・クレジットカード・デビットカード・プリペードカードの検証,現金支払の検証,小切手の検証・小切手の現金化,オンライン・ネットワーク又は他の電子的にデジタル化された情報を使用する電子手段を通じて提供される、小売業務を支援するための、支払代金の決済の検証,クレジットカード・デビットカードの検証,旅行者用小切手・旅行クーポンの発行と償還,電子的銀行業務,オンラインによる銀行業務,電話・電子計算機端末通信による銀行業務,金融又は財務に関する情報の提供,金融又は財務に関する助言,ATM(現金自動預払機)による銀行業務,店舗販売時点で情報を管理するための端末機(POS)による支払代金の電子決済,手形交換,ウェブサイト経由による料金の支払いの代行,ウェブサイト経由による金融又は財務に関する情報の提供,保険・金融・土地又は建物に関する財務の評価」を指定商品及び指定役務として、平成28年7月5日に登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由(要点) 原査定は、「本願商標は、世界遺産条約の一覧表に記載された『天壇』の一部を構成している『祈年殿』を表した図形をその構成中に含むものであるから、そのような商標を登録することは、国際信義に反するものであって、公の秩序を害するおそれがあるものである。したがって、本願商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審の判断 1 本願商標について 本願商標は、別掲のとおり、「UnionPay」の欧文字と中国語の簡体字で表された「銀聯」の文字を複数表示した灰色の背景の中央に建物の図形を大きく表し、該建物の図形の上部に小さく「祈年殿」の文字を縦書きで表し、下部に「UNIONPAY」及び簡体字で表された「銀聯」の文字を交互に表示した構成からなるものである。 そして、「祈年殿」の文字は、複数の辞書から用語を横断検索できるインターネット上のサービスである「コトバンク」のウェブサイトには「天壇」の項に「百科事典マイペディアの解説」の見出しの下、「中国で古くから帝王が天帝をまつるために用いた祭壇。・・・北京外城にある白大理石、直径55mの3層の壇上に祈年殿を備えたものが、特に有名。・・・1998年世界文化遺産に登録された。」の記載があることから、中国に所在する世界文化遺産登録を受けている「天壇」の敷地内にある建物の意味を有する語であるといえる。 2 商標法第4条第1項第7号について 商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」には、(1)その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合、(2)当該商標の構成自体がそのようなものでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反する場合、(3)他の法律によって、当該商標の使用等が禁止されている場合、(4)特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反する場合、(5)当該商標の登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり、登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないような場合、などが含まれるというべきであると判示されている(知的財産高等裁判所平成17年(行ケ)第10349号判決)。 そして、商標登録が特定の国との国際信義に反するかどうかは、当該商標の文字・図形等の構成、指定商品又は役務の内容、当該商標の対象とされたものがその国において有する意義や重要性、我が国とその国の関係、当該商標の登録を認めた場合にその国に及ぶ影響、当該商標登録を認めることについての我が国の公益、国際的に認められた一般原則や商慣習等を考慮して判断すべきであり、その上で、当該商標が商標法第4条第1項第7号にいう「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」に当たるかどうかは、当該事案に現れた前記(1)ないし(5)の具体的な事情を総合的に考慮して決する必要がある(前記判決参照)。 3 認定事実 請求人の提出した甲第1号証ないし甲第8号証によれば、次のとおりである。 (1)請求人の中国における「祈年殿」の利用状況等 「祈年殿」を表した図柄は、請求人が発行するクレジットカードのホログラム商標として採用され、使用されており(甲4、甲5)、当該クレジットカードは、中国国内で広く利用されている(甲3、甲8)。 また、請求人の「祈年殿」を表した図形は、中国商標局により商標登録が認められている(甲6、甲7)。 (2)請求人組織の設立の目的 請求人は、中国国務院の同意のもと、中国人民銀行より批准され、2002年3月に中国の銀行カードの発展を目的として設立された金融企業であり、請求人が発行するクレジットカードは、中国で広く決済手段として使われている(甲1?甲3)。 4 判断 請求人は、上記3(2)のとおり、中国国務院の同意のもと、中国人民銀行より批准され、設立された金融企業であり、上記3(1)のとおり、「祈年殿」を表した図柄は、請求人本国の中国商標局により商標登録が認められている。 そうすると、本願商標の構成中、中央に表示された「祈年殿」の文字を含む建物の図形は、特定の国若しくはその国民を侮辱し、又は一般に国際信義に反するものとはいえない。 加えて、請求人が発行するクレジットカードには、ホログラム商標として該建物の図形を使用しており、そのことで世界文化遺産登録との関係において、国民感情を害するといった何らかの問題が生じている等の事情も発見できない。 また、本願の指定商品及び指定役務は、該世界文化遺産登録及びその保護・保全とは直接関わりのないものである。 さらに、本願商標は、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形からなるものではなく、また、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。 したがって、本願商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標というべきものではなく、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 5 むすび 以上のとおり、本願商標は商標法第4条第1項第7号に該当するものではないから、これを理由として本願を拒絶した原査定は、取消しを免れない。 その他、本願について拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(本願商標) |
審決日 | 2018-04-24 |
出願番号 | 商願2016-72389(T2016-72389) |
審決分類 |
T
1
8・
22-
WY
(W0936)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 杉本 克治 |
特許庁審判長 |
山田 正樹 |
特許庁審判官 |
鈴木 雅也 木住野 勝也 |
商標の称呼 | ギンレンユニオンペイ、ユニオンペイ、ギンレン、キネンデン |
代理人 | 矢崎 和彦 |
代理人 | 中村 行孝 |
代理人 | 佐藤 泰和 |
代理人 | 渡邊 かおり |
代理人 | 本宮 照久 |
代理人 | 永井 浩之 |
代理人 | 朝倉 悟 |