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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W09141825
審判 一部申立て  登録を維持 W09141825
審判 一部申立て  登録を維持 W09141825
審判 一部申立て  登録を維持 W09141825
管理番号 1339335 
異議申立番号 異議2017-900264 
総通号数 221 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-05-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-08-30 
確定日 2018-03-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第5955151号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5955151号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5955151号商標(以下「本件商標」という。)は,「JOURDEN」の欧文字を書してなり,平成28年9月6日に登録出願,同29年5月1日に登録査定,第9類「眼鏡,サングラス,コンタクトレンズ,運動用ゴーグル,水中眼鏡,運動用保護ヘルメット,眼鏡用及びサングラス用のケース,眼鏡用レンズ,サングラス用レンズ,眼鏡用及びサングラス用枠,眼鏡用及びサングラス用の鎖,眼鏡用及びサングラス用のひも,コンタクトレンズ用容器,電話機,携帯電話機,ヘッドホン,イヤホーン,携帯電話専用のバッグおよびケース,携帯電話機用カバー,携帯電話機用ホルダー」,第14類「宝飾品,模造宝飾品,ブレスレット,チェーン(宝飾品),イヤリング,指輪,ネックレス,ブローチ,宝石箱,貴金属製バッジ,身飾品,宝玉,宝玉の原石,カフスボタン,ネクタイ止め,腕時計,目覚まし時計,時計」,第18類「ハンドバッグ,札入れ,キーケース,財布,ブリーフケースタイプの書類入れ,スーツバッグ,旅行用トランク,スーツケース,ダッフルバッグ,トートバッグ,アタッシェケース,ブリーフケース,旅行かばん,クレジットカード入れ,名刺入れ」及び第25類「被服,ジャンプスーツ,ワイシャツ類及びシャツ,ブラウス,ジャケット(被服),水泳着,ズボン及びパンツ,ショートパンツ及びショーツ,ジーンズ地の被服,スーツ,ディナージャケット,スポーツジャケット,ニット製被服,タイツ及びタイツストッキング,スカーフ,ショール,コート,オーバーコート,チョッキ,セーター,ドレス,スカート,ティーシャツ,雨着,レインコート,帽子,ソックス,ストッキング及びユニホーム用ストッキング,ネクタイ,ベルト,手袋(被服),下着」並びに,第3類及び第42類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同29年6月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
商標異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する標章は,以下の13件であり,いずれも現に有効に存続しているものである(以下,これら13件の商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。
1 登録第2026188号商標(以下「引用商標1」という。)は,「AIR JORDAN」の欧文字を書してなり,昭和60年10月21日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同63年2月22日に設定登録され,その後,平成20年7月23日に,指定商品を第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,ウエイトベルト,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM」,第25類「運動用特殊衣服,運動用特殊靴」,第27類「体操用マット」及び第28類「おもちゃ,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具」とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 登録第2572802号商標(以下「引用商標2」という。)は,「MICHAEL JORDAN」の欧文字を書してなり,1991年6月11日に米国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成3年6月21日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同5年9月30日に設定登録され,その後,同16年9月29日に,指定商品を第25類「仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(『乗馬靴』を除く),乗馬靴」とする指定商品の書換登録がされたものである。
3 登録第2574880号商標(以下「引用商標3」という。)は,「MICHAEL JORDAN」の欧文字を書してなり,1991年6月11日に米国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成3年6月21日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同5年9月30日に設定登録され,その後,同15年11月12日に,指定商品を第25類「被服」とする指定商品の書換登録がされたものである。
4 登録第2574881号商標(以下「引用商標4」という。)は,「MICHAEL JORDAN」の欧文字を書してなり,1991年6月11日に米国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成3年6月21日に登録出願,第22類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同5年9月30日に設定登録され,その後,同15年11月12日に,指定商品を第25類「履物」とする指定商品の書換登録がされたものである。
5 登録第2582731号商標(以下「引用商標5」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,1990年3月22日に米国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成2年9月21日に登録出願,第17類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同5年9月30日に設定登録され,その後,同15年11月12日に,指定商品を第25類「被服」とする指定商品の書換登録がされたものである。
6 登録第2711589号商標(以下「引用商標6」という。)は,「MICHAEL JORDAN」の欧文字を書してなり,1991年6月11日に米国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成3年6月21日に登録出願,第21類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同7年12月26日に設定登録され,その後,同18年2月1日に,指定商品を第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ」,第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」及び第26類「腕止め,衣服用き章(貴金属製のものを除く。),衣服用バッジ(貴金属製のものを除く。),衣服用バックル,衣服用ブローチ,帯留,ボンネットピン(貴金属製のものを除く。),ワッペン,腕章,頭飾品,ボタン類,造花(『造花の花輪』を除く。),つけあごひげ,つけ口ひげ,ヘアカーラー(電気式のものを除く。)」とする指定商品の書換登録がされたものである。
7 登録第2723205号商標(以下「引用商標7」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,1990年3月22日に米国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成2年9月21日に登録出願,第22類「運動靴」を指定商品として,同9年10月9日に設定登録され,その後,同20年4月9日に,指定商品を第25類「運動靴」とする指定商品の書換登録がされたものである。
8 登録第4040863号商標(以下「引用商標8」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,1990年3月22日に米国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成2年9月21日に登録出願,第24類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同9年8月8日に設定登録され,その後,同20年1月30日に,指定商品を第25類「バスケットボール用特殊衣服,バスケットボール用特殊靴」及び第28類「バスケットボール用具」とする指定商品の書換登録がされたものである。
9 登録第5218121号商標(以下「引用商標9」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,平成19年6月26日に登録出願,第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(つけづめ・つけまつげ・ひげそり用具入れ・ペディキュアセット・まつ毛カール器・マニキュアセット・耳かき・携帯用化粧道具入れ・化粧用具(電気式歯ブラシを除く。)・つけあごひげ・つけ口ひげ・ヘアカーラー(電気式のものを除く。)を除く)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同21年3月27日に設定登録されたものである。
10 登録第5235890号商標(以下「引用商標10」という。)は,「AIR JORDAN」の文字を標準文字で表してなり,平成19年6月26日に登録出願,第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同21年6月5日に設定登録されたものである。
11 登録第5255737号商標(以下「引用商標11」という。)は,「JORDAN」の文字を標準文字で表してなり,平成19年6月26日に登録出願,第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(『つけづめ・つけまつ毛・ひげそり用具入れ・ペディキュアセット・まつ毛カール器・マニキュアセット・耳かき・携帯用化粧道具入れ・化粧用具(「電気式歯ブラシ」を除く。)・つけあごひげ・つけ口ひげ・ヘアカーラー(電気式ものを除く。)・歯ブラシ・化粧用はけ』を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同21年8月7日に設定登録されたものである。
12 登録第5285717号商標(以下「引用商標12」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成21年6月12日に登録出願,第18類「スポーツバッグ,トートバッグ,ダッフルバッグ,メッセンジャーバッグ,バックパック,ウエストポーチ,その他のかばん類,財布,その他の袋物」及び第25類「ティーシャツ,ポロシャツ,トップス,ショーツ,ズボン及びパンツ,ジャケット,バイザー,スウェットバンド,ソックス,ジャージー製被服,スカート,スウェットシャツ,スウェットパンツ,ベスト,ブレザー,タンクトップ,ウォームアップスーツ,ドレス,下着,ベルト,アームバンド,スポーツ用ブラジャー,リストバンド,帽子,セーター,スカーフ,手袋,その他の被服,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同21年12月4日に設定登録されたものである。
13 登録第5794261号商標(以下「引用商標13」という。)は,「JORDAN」の文字を標準文字で表してなり,平成26年7月31日に登録出願,第18類「スポーツバッグ,バックパック,ダッフルバッグ,メッセンジャーバッグ,トートバッグ,ジムバッグ,肩掛けかばん,ハンドバッグ,ブリーフケース型書類かばん,旅行用トランク,旅行用具入れ,その他のかばん類,がま口,巾着袋,ウエストバッグ,ウエストポーチ,財布,名刺入れ,クレジットカード入れ,革製キーケース,人工皮革製キーケース,その他の袋物,傘」,第25類「履物,運動用特殊靴(『乗馬靴』及び『ウィンドサーフィン用シューズ』を除く。),ジャージー製被服,パンツ,ショーツ,ティーシャツ,シャツ,スウェットシャツ,フード付きスウェットシャツ,スウェットパンツ,ベスト,タンクトップ,ウォームアップスーツ,ジャケット,コート,下着,スポーツ用ブラジャー,ソックス,帽子,縁あり帽子,縁なし帽子,バイザー,セーター,スカート,ドレス,スカーフ,手袋,その他の被服,アノラック,運動用特殊衣服用着圧スリーブ,運動用特殊衣服,リストバンド,ヘッドバンド,スウェットバンド,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」及び第28類「運動用具,運動競技用ボール,バスケットボール用のボール,運動用保護パッド,その他の運動用具,遊戯用カード」を指定商品として,同27年9月18日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標はその指定商品及び指定役務中の第9類,第14類,第18類及び第25類の「全指定商品」について,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は,特徴のない「JOURDEN」の欧文字からなる商標であり,英語等の既成語ではないので,我が国の需要者には,ローマ字読みで「ジョーダン」又は「ジョーデン」と称呼されるが,我が国における称呼は,「ジョーダン」が通常とみられる(甲13)。
一方,引用商標のうち,「JORDAN」の欧文字部分を要部とする商標(引用商標5,8,9,11及び13,以下これらを「JORDAN商標」という。)は,「ジョーダン」と称呼される。「JORDAN」は,米国NBA(National Basketball Associationプロバスケットボール協会)の著名なバスケットボール選手,マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)に由来する商標であるので,「マイケル・ジョーダン」の観念が生ずる。
したがって,本件商標の「ジョーダン」の称呼は,JORDAN商標の称呼と同一である。
また,本件商標が「ジョーデン」と称呼される場合も,JORDAN商標の称呼「ジョーダン」を比較すると,3音目の「デ」と「ダ」の相違のみである。「デ」と「ダ」の音は,50音の同行に属し,「エ」と「ア」の母音も近似する,音質的に相似た濁音である。この相違音が中間に位置し,しかも,「ジョー」の長音の後に位置するので,聴取しにくいものである。すなわち,「ジョーデン」,「ジョーダン」とも,長音である語頭の「ジョー」にアクセントを置くのが自然であることから,後半の「デン」と「ダン」の初めの音は,はっきりとは発音されない。
よって,両商標を称呼した場合には,語調,語感を共通にする称呼上,類似の商標ということができる。
次に,本件商標とJORDAN商標の「JORDAN」の欧文字の外観を比較すると,構成文字7文字のうち,相違するのは3文字目の「U」の有無と,「E」と「A」の相違のみで,両商標は一見して外観上紛らわしい商標である。
また,我が国の需要者は,著名なバスケットボール選手,マイケル・ジョーダンを想起する際に,姓のスペルを正確には記憶していないことが考えられる。
本件商標に接した需要者が本件商標を「ジョーダン」のつづりと誤認して,本件商標をJORDAN商標と誤認する可能性もある。
よって,本件商標は,「JORDAN」の欧文字からなる,あるいは「JORDAN」の欧文字部分が要部であるJORDAN商標と,称呼上及び外観上,類似する商標であり,両商標の指定商品も同一又は類似のものである。
なお,引用商標5,8及び9においては,「JORDAN」の欧文字と「AIR」の欧文字及び「JUMPMAN(ジャンプマン)」と呼ばれる図形商標との結合であるが,「AIR」の欧文字が小さく書かれている構成から「エアジョーダン」の称呼のほか,要部とみられる「JORDAN」の欧文字部分から「ジョーダン」との称呼も生ずるものである。
以上のとおり,JORDAN商標と称呼及び外観上類似する本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標は,いずれも,著名なバスケットボール選手,マイケル・ジョーダンに由来するものであり,引用商標2,3,4及び6は「MICHAEL JORDAN」の氏名そのものについての登録である。
また,引用商標5,7,8及び9は,「JORDAN」の欧文字と「AIR」の欧文字及び「JUMPMAN(ジャンプマン)」と呼ばれる図形商標との結合である。
そして,引用商標1及び10は,「AIR JORDAN」の欧文字からなるものである。
これらの「AIR」の語を含む引用商標からは「エアジョーダン」の称呼が生ずるが,ここで,「エアジョーダン」とは,マイケル・ジョーダンのニックネームであり,同選手のジャンプの滞空時間が長かったことによるネーミングである(甲4)。
また,「エアジョーダン」は,米国ナイキ・インク(Nike,Inc.以下「ナイキ社」という。)から発売されていたバスケットボールシューズのシリーズ名称であり,ナイキ社の製品のファンの間でも特に人気のあるシリーズである(甲5)。
よって,マイケル・ジョーダンの「JORDAN」と誤認される可能性が高い本件商標は,「ジョーダン」又は「エアジョーダン」の称呼が生ずる引用商標とも誤認混同のおそれが高いものである。
(2)引用商標の著名性
ア 申立人は,ナイキ社の子会社であり,我が国において,ナイキ社のブランドを統括する者である。ナイキ社は,「運動靴,運動用特殊靴」,「被服,運動用特殊衣服」等について世界的に著名な商標「NIKE」及び「SWOOSH」(スウッシュ)と呼ばれる商標の所有者である。ナイキ社の製品は,我が国では,同社の日本法人であるナイキジャパンにより販売されている。
イ マイケル・ジョーダンは,一般需要者が参照するフリー百科事典「ウィキペディア(wikipedia)」の記載にもあるように(甲6),新人の頃からナイキ社と契約を結び,彼自身の名前をブランド化したバスケットボールシューズの製造販売が開始された。ナイキジャパンには「ジョーダンブランド」の専用ページがある(甲7)。ナイキジャパンのプレスリリースでも,マイケル・ジョーダン及び「ジョーダンブランド」のニュースは頻繁に取り上げられている(甲8,甲9)。
ウ 引用商標に係る商品は,「ジョーダンブランド」として,ナイキジャパンの全国のストア(甲10)で販売されている。
エ インターネットの検索サイトで「ジョーダン」のキーワードで検索しても,「ジョーダン」,「ナイキジョーダン」等,「ジョーダンブランド」関係が上位にヒットする(甲11)。
オ 申立人による宣誓供述書において,(ア)「JORDAN」の商標が1984年以来,継続して使用されていること,(イ)「JORDAN」の商標が世界各国で登録されていること,(ウ)「ジョーダンブランド」の全世界の売上高(1989年から2016年)が190億ドルを超えること,2014年から2017年まで,年々売上高が上がっていること,(エ)「JORDAN」の商標に多額の広告宣伝費を費やしていること,(オ)有名誌等の媒体に露出し報道されていることにより,「JORDAN」の商標が周知著名であること,(カ)世界各国に「ジョーダンブランド」のみの店舗があること,(キ)ナイキ社がマイケル・ジョーダンに加えて多くの著名選手を「ジョーダンファミリー」として抱えてきたこと,(ク)「ジョーダンブランド」が多くの大学に製品を提供してきたこと,(ケ)「ジョーダンブランド」が多くのバスケットボールトーナメントをスポンサーしてきたこと,(コ)ナイキ社が多くのソーシャルメディアを通じて「ジョーダンブランド」を宣伝してきたこと,(サ)「JORDAN」の商標が周知著名であると多くの国で認定されていること,(シ)「ジョーダンブランド」の商品は,我が国では,遅くとも1992年から販売されていること,(ス)我が国で販売されている「ジョーダンブランド」の商品の例,(セ)「ジョーダンブランド」の商品の我が国おける売上高(1992年から2017年),(ソ)「JORDAN」又は「ジョーダン」が顕著に表示されている商品の例,店舗で販売されている「ジョーダンブランド」の例,店舗紹介例,各種イベントの紹介が供述されている(甲12)。
(3)混同のおそれ
本件商標の引用商標との類似性と引用商標の著名性から,本件商標を本件指定商品・役務に使用すると,申立人の商品と出所混同を生ずるおそれがある。特に,本件指定商品中,運動と関連する商品・役務,例えば,第3類「身体用洗浄剤,身体用スプレー」等,第9類「運動用ゴーグル,運動用保護ヘルメット」等,第14類「貴金属製バッジ,身飾品」等,第18類「ダッフルバッグ」等,第25類「ジャンプスーツ,スポーツジャケット,ユニフォーム用ストッキング」等,第42類「履物及び運動用特殊靴のデザインの考案」等について,両者は商品・役務分野を同じくしており,出所混同のおそれは高いものである。
マイケル・ジョーダン選手のフルネームである「Michael Jordan」,同選手のニックネーム,ひいてはブランド名である「エアジョーダン」と並んで,「JORDAN」の商標も「ジョーダンブランド」として定着していることは各甲号証に示すとおりである。
一方,本件商標権者は,香港法人であり,本件商標の指定商品のうちアパレル商品について,我が国では本件商標の読みである「ジョーダン」と呼ばれるブランドの商品を販売している(甲13)。ナイキ社の商品と本件商標権者の商品の需要者は,ともに専門的知識を有さない一般需要者と考えられ,両商品の選定について高度な注意力を払うとも考えられない。このような一般需要者が,本件商標の「ジョーダン」の称呼に接した場合に,「マイケルジョーダン」,「エアジョーダン」を想起し,両者の商品の間に誤認混同をきたすおそれが十分ある。
本件商標権者に引用商標へのフリーライドの意図がないとしても,引用商標と称呼上及び外観上紛らわしい本件商標の登録は,申立人の「JORDAN」の商標の希釈化防止,引用商標に係るブランド(ジョーダンブランド)に化体した信用保護のため,取り消されるべきものである。
以上より,引用商標が,「ジョーダンブランド」として需要者に認知されており,「ジョーダン」の称呼の本件商標が指定商品に使用された場合には,引用商標に係る商品と商品分野を共通することにより,出所混同を生ずるおそれがあるので,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,「JOURDEN」の欧文字を横書きしてなるところ,当該文字は,一般的な辞書には掲載されておらず,親しまれた成語でもないから,一種の造語として認識されるものである。
そして,一般に,特定の意味を有さない欧文字を称呼する際は,英語読み又はローマ字読み風に称呼されるものであり,例えば,「Journal」の英語が「ジャーナル」と,「Garden」の英語が「ガーデン」と発音されるように,本件商標は,「ジャーデン」と称呼されるというのが相当であり,特定の観念は生じない。
(2)引用商標5,8,9,11及び13について
ア 引用商標5,8及び9は,別掲1のとおり,黒塗りされた人型の図形を中央に配し,それと重なるように,「JORDAN」(「O」と「R」の間に小さく「A」の文字,及び「D」と「A」の文字の間に小さく「R」の文字が表されている。)の欧文字を表してなるところ,中央部に顕著に表され,明瞭に読み取ることのできる「JORDAN」の文字部分に相応して「ジョーダン」の称呼を生じるが,その他の文字部分及び図形部分からは直ちに特定の称呼は生じない。また,「JORDAN」の文字部分は,英語の辞書には「ヨルダン(西アジアの国)」を意味する語として掲載があるが,我が国において,当該語が一般に親しまれているとはいえないものであるから,当該文字部分から特定の観念は生じない。さらに,当該図形部分は,特定の意味合いを直ちに認識させるものではないから,特定の観念は生じない。
イ 引用商標11及び13は,「JORDAN」の欧文字を標準文字で表してなるところ,上記アのとおり,その構成文字に相応して「ジョーダン」の称呼を生じ,特定の観念を生じない。
(3)本件商標と引用商標5,8,9,11及び13との類否について
ア 本件商標と引用商標5,8及び9を比較すると,外観においては,両商標の構成中に共通する単語はなく,それぞれの構成中の「JOURDEN」と「JORDAN」の欧文字も,つづりの異なる文字を表してなるものと容易に認識できること,そして,その他の文字部分及び図形部分の有無の相違もあるため,両商標は外観上,顕著な差異を有し,相紛れるおそれはない。
そして,称呼においては,本件商標より生じる「ジャーデン」の称呼と,引用商標5,8及び9より生じる「ジョーダン」の称呼とは,全4音中,語尾の「ン」の音を除いた3音が相違し,称呼の識別上重要な語頭における「ジャー」の音と「ジョー」の音の差異に加え,それに続く「デ」の音と「ダ」の音の差異を有するものであるから,短い音構成よりなる両商標の称呼におけるこれら差異音の与える影響は大きく,全体の語調,語感が相違し,明瞭に聴別することができる。
また,両商標とも特定の観念は生じないため,観念における比較はできない。
そうすると,本件商標と引用商標5,8及び9とは,観念について比較できないとしても,外観において顕著な差異を有し,称呼においても明瞭に聴別できるから,これらを総合すれば,両商標は,互いに別異の商標であり,相紛れるおそれのない非類似の商標であると認められる。
イ 本件商標と引用商標11及び13を比較すると,外観においては,それぞれの「JOURDEN」と「JORDAN」の構成文字は,上記アのとおり,つづりの異なる文字を表してなるものと容易に認識できることため,外観において相紛れるおそれはない。
そして,称呼においては,本件商標より生じる「ジャーデン」の称呼と引用商標11及び13より生じる「ジョーダン」の称呼は,上記アのとおり,全体の語調,語感が大きく相違し,明瞭に聴別することができる。
また,両商標とも特定の観念は生じないため,観念において比較はできない。
そうすると,本件商標と引用商標11及び13とは,観念について比較できないとしても,外観において相紛れるおそれはなく,称呼においても明瞭に聴別できるから,これらを総合すれば,両商標は,相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。
(4)申立人の主張について
ア 申立人は,本件商標「JOURDEN」は,ローマ字読みで「ジョーダン」又は「ジョーデン」と称呼されるが,「ジョーダン」の称呼が通常であり,本件商標は「ジョーダン」と呼ばれている(甲13)旨を主張する。
しかしながら,本件商標は,「ジョーダン」と称呼される可能性があるとしても,本件商標が我が国において周知,著名となり,そのような称呼をもって取引されることが一般的で,定着していることを示す具体的な証拠はないから,上記(1)のとおり,本件商標は,英語読み又はローマ字読み風に「ジャーデン」の称呼が生じるというのが自然である。
イ 申立人は,審決例を挙げ,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当する旨を主張しているが,商標の類否は,対比される商標ごとに個別,具体的に検討,判断されるべきものであるから,申立人が挙げる審決例があったとしても,本件の判断に影響を及ぼすものではない。
(5)小括
以上のとおり,本件商標と引用商標5,8,9,11及び13とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても紛れるおそれのない非類似の商標であるから,異議申立てに係る指定商品と引用商標の指定商品又は指定役務とが,同一又は類似のものを含むとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば,以下の事実が認められる。
(ア)マイケル・ジョーダン氏(マイケル・ジェフリー・ジョーダン,Michael Jeffrey Jordan)は,米国NBA(National Basketball Association プロバスケットボール協会)の著名な元バスケットボール選手であり,その実績からバスケットボールの神様と評され,我が国においても1990年代には,バスケットボールの人気の過熱とともに,特にスポーツを親しむ少年達の憧れの存在となり,多くのメディアを飾った(甲6)。
(イ)マイケル・ジョーダン氏に由来する「エアジョーダン/NIKE AIR JORDAN」の名称の商品「スニーカー」(甲12)は,1984年(昭和59年)に発売されており(甲5),ナイキジャパンのウェブサイトには,引用商標5,7ないし9の構成中に描かれた人型の図形部分を付した商品「スニーカー」の写真とともに,エアジョーダン1からエアジョーダン32までが「エアジョーダンコレクション」として掲載されている(甲7)。
ナイキジャパンのウェブサイトには,2009年(平成21年)1月から2017年(同29年)6月28日の間,ジョーダンブランドに関する記事が掲載されており,例えば,「THE AIR JORDAN 2009ジョーダンブランドがAIR JORDAN XX3を超えるブランドの未来像を発表」(2009年(同21年)1月),「ジョーダン ブランド更なる飛躍『AIR JORDAN XX8』を発表」(2012年(同24年)12月11日),「ジョーダンブランドがエアジョーダンXXXを発表:新しい限界に飛び立つ」(2016年(同28年1月19日)の見出しの記事などがある(甲8-1,甲9)。
(ウ)ナイキ社の子会社(甲12の訳文,段落2)である申立人を代表する者による宣誓供述書には,「JORDANブランド」は,米国NBAの著名な元バスケットボール選手であるマイケル・ジョーダン氏に由来する,ナイキ社の代表的な商品ラインの一つであること(同,段落3),「AIR JORDAN」の商標は1984年に初めて使用され,以来,継続して使用されていること(同,段落4及び商品の画像は付録A),「JORDANブランド」の全世界の売上高(1989年から2016年)は190億ドルを超えること(同,段落10及び1985年から2016年までの年次報告書(訳文なし,付録G)),「JORDANブランド」の世界的な広告費用の総額は2億7千390万ドルを超え,商標に多額の広告宣伝費を費やしていること(同,段落13),「JORDANブランド」の商品の記事,プレスリリース,雑誌等の掲載は,相当数であること(同,段落15及び付録H,I)等が供述されている。
日本においては,「JORDANブランド」の商品は,1992年(平成4年)に初めて販売され,広範囲に,継続的に販売及び販売促進されており(甲12の訳文,段落26及び付録S),その売上げは,1992年(同4年)は330万米ドルないし2016年(同28年)は4200万米ドルであること(同,段落28)が供述されている。
(エ)胸部に「JORDAN」の欧文字及び襟タグに人型の図形が表示されたシャツ,「JORDAN」の欧文字が表示されたスニーカー,人型の図形のみを表示したリストバンド,ヘッドバンド,バスケットボールなどが販売されており(甲12の付録S),原宿には「ジョーダンブランド」だけを集めたショップがあること(甲12の付録U),「エアジョーダン1」誕生30周年記念ミュージアムが東京現代美術館で,2015年(平成27年)10月16日から18日までオープンしたこと(甲12の付録V)がうかがえる。
イ 上記アの事実よりすれば,以下のとおり判断することができる。
バスケットボール選手であったマイケル・ジョーダン氏に由来する「エアジョーダン/NIKE AIR JORDAN」の名称の商品「スニーカー」は,1984年(昭和59年)に発売され,その後,当該スニーカーは継続して販売され,2016年(平成28年)時点において「AIR JORDAN XXX」が発売されている。そして,そのスニーカーを中心商品としてジョーダンブランドが発展し,シャツやリストバンド,ヘッドバンドやバスケットボールなどにも取扱商品が拡大し,ジョーダンブランドの日本における売上げは,2016年時点で,約48億3千万円(4200万米ドル:115円/ドルで計算)にのぼる。
そうすると,本件商標の登録出願時において,米国NBAの元バスケットボール選手として,我が国でも著名なマイケル・ジョーダン氏に由来する「AIR JORDAN」は,スニーカーの名称として,我が国の需要者の間に広く知られるようになっていたと認められる。
しかしながら,ジョーダンブランドの商品に「JORDAN」の文字が表示される例はあるとしても,当該文字を表示せずに,人型の図形のみを表示した商品も存在しており,「JORDAN」の文字を表示した商品のみの具体的な我が国における販売実績や広告実績は不明である。また,「JORDAN」の文字だけをもって,商品「スニーカー」又はその他のファッション関連商品などとの関連において,我が国の需要者の間に広く知られていることを具体的に示す証拠は見いだせない。
したがって,申立人の提出に係る証拠からは,引用商標に含まれる「JORDAN」の文字が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の需要者の間に広く知られていると認めるに足りない。
(2)本件商標と引用商標の比較
本件商標は,上記1(1)のとおり,その構成文字「JOURDEN」に相応して「ジャーデン」の称呼が生じ,特定の観念は生じないところ,本件商標と引用商標とは,以下のとおり,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標,又は明らかに相違する別異の商標である。
ア 本件商標と引用商標1及び10との類否について
引用商標1及び10は,「AIR JORDAN」の欧文字を横書きしてなるところ,これより「エアジョーダン」の称呼を生じ,当該文字は,特定の意味合いを生じる成語とはいえないから,特定の観念は生じない。
本件商標と引用商標1及び10とを比較すると,両商標の文字部分は構成文字及びその文字数が明らかに異なるため,外観において顕著に相違するもので,その称呼も音数及び構成音が明らかに相違するため容易に聴別できるものである。また,両商標は,特定の観念を生じないため,観念において比較することはできない。
したがって,本件商標と引用商標1及び10とは,観念について比較できないとしても,外観において顕著に相違し,称呼も容易に聴別できるから,これらを総合すれば,両商標は,互いに別異の商標といえる。
イ 本件商標と引用商標2ないし4及び6との類否について
引用商標2ないし4及び6は,「MICHAEL JORDAN」の欧文字を横書きしてなるところ,これより「マイケルジョーダン」の称呼を生じるもので,我が国においても著名なNBA米国の元バスケットボール選手である「マイケル・ジョーダン氏」を想起させ,その観念を生ずるものである。
本件商標と引用商標2ないし4及び6とを比較すると,両商標の文字部分は構成文字及びその文字数も明らかに異なり,外観において顕著に相違するもので,その称呼も音数及び構成音が明らかに相違するため容易に聴別できるものである。また,本件商標からは特定の観念は生じないため,観念において比較することはできない。
したがって,本件商標と引用商標2ないし4及び6とは,観念において比較できないとしても,外観において顕著に相違し,称呼も容易に聴別できるから,これらを総合すれば,両商標は,互いに別異の商標といえる。
ウ 本件商標と引用商標5,7ないし9,引用商標11及び引用商標13との類否について
本件商標と引用商標5,8,9及びこれと同様の構成からなる引用商標7とは,上記1(3)アに記載のとおり,互いに別異の商標であり,非類似の商標と認められる。
また,本件商標と引用商標11及び13とは,上記1(3)イに記載のとおり,相紛れるおそれのない非類似の商標と認められる。
エ 本件商標と引用商標12との類否について
引用商標12は,別掲2のとおり,「AIR JORDAN」の欧文字が表されたリボン状の図形と,その下に重なり合うように表した羽の中心にバスケットボールの絵柄を表した構成からなるものであるところ,その構成中の「AIR JORDAM」の文字に相応して「エアジョーダン」の称呼を生じるが,その他の図形部分から特定の称呼は生じない。また,その文字部分及び図形部分をして,特定の意味合いを直ちに認識させるものではないため,特定の観念は生じない。
本件商標と引用商標12とを比較すると,両商標の文字部分は構成文字及びその文字数が明らかに異なる上,図形部分の有無においても相違することから,外観において顕著に相違するもので,その称呼も音数及び構成音が明らかに相違するため容易に聴別できるものである。また,両商標は,特定の観念を生じないため,観念において比較することはできない。
そうすると,本件商標と引用商標12とは,観念について比較できないとしても,外観において顕著に相違し,称呼においても容易に聴別できるから,これらを総合すれば,両商標は,互いに別異の商標である。
(3)出所の混同のおそれについて
引用商標1ないし4,6,10及び12には,スニーカーの名称として我が国の需要者の間に広く知られている「AIR JOURDAN」の文字,又は著名な元バスケットボール選手である「マイケル・ジョーダン」氏を想起させる「MICHAEL JORDAN」の文字が含まれているが,上記(2)のとおり,これらと本件商標とは明らかに相違する別異の商標である。
また,上記以外の引用商標は,上記(2)のとおり,本件商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
しかも,引用商標に含まれる「JORDAN」の文字は,上記1(2)のとおり,既成語であるから独創性の程度は低く,上記(1)のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人の業務に係る商品を表示する商標として,我が国の需要者の間に広く認識されているとは認められない。
そうすると,本件商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務中,登録異議の申立てに係る第9類,第14類,第18類及び第25類の「全指定商品」について使用しても,これに接する取引者・需要者をして,申立人の関連会社又は同社の業務に係る商品及び役務を連想又は想起させるものとは考えがたく,その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その商品の出所について混同を生ずるおそれはなかったものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標の指定商品及び指定役務中の第9類,第14類,第18類及び第25類の「全指定商品」について登録は,商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標5,7ないし9)





別掲2(引用商標12)





異議決定日 2018-03-20 
出願番号 商願2016-97568(T2016-97568) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (W09141825)
T 1 652・ 263- Y (W09141825)
T 1 652・ 262- Y (W09141825)
T 1 652・ 22- Y (W09141825)
最終処分 維持  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田中 亨子
阿曾 裕樹
登録日 2017-06-16 
登録番号 商標登録第5955151号(T5955151) 
権利者 ニュー クレスト ホールディングス リミテッド
商標の称呼 ジョーダン 
代理人 大貫 進介 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 
代理人 伊東 忠彦 
代理人 伊東 忠重 

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