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審決分類 審判 判定 その他 属する(申立て成立) W20
管理番号 1338396 
判定請求番号 判定2017-600038 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2018-04-27 
種別 判定 
2017-09-14 
確定日 2018-03-16 
事件の表示 上記当事者間の登録第5869106号商標の判定請求事件について,次のとおり判定する。 
結論 商品「マットレス」について使用するイ号標章は,登録第5869106号商標の商標権の効力の範囲に属する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5869106号商標(以下「本件商標」という。)は,「GRANREVE」の欧文字を表してなり,平成27年9月11日に登録出願,第20類「家具,マットレス」を指定商品として,同28年7月29日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

第2 イ号標章
被請求人が,商品「マットレス」について使用する標章(以下「イ号標章」という。)は,別掲のとおりの構成からなるものである。

第3 請求人の主張
請求人は,結論同旨の判定を求め,その理由を要旨以下のとおり述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 請求の理由
(1)本件商標は,「GRANREVE」の欧文字を,同書,同大に横一連に書してなるものであるから,「グランリーヴェ」の称呼が生ずる。
これに対し,イ号標章は,「GRAN Riva」の欧文字部分及び「グランリーヴァ」の片仮名部分から,「グランリーヴァ」の称呼が生ずる。
また,本件商標とイ号標章の「GRAN Riva」の欧文字とは,全8文字中,語頭から5文字目までが共通し,全体では6文字が共通する。
よって,本件商標とイ号標章は,称呼及び外観において相紛らわしい類似の標章である。
また,本件商標の指定商品中,第20類「マットレス」と,イ号標章が使用された商品「マットレス」は,同一の商品である。
(2)判定請求の必要性
請求人は,本件商標の商標権者であり,被請求人が商品「マットレス」にイ号標章を使用していることについて,平成28年12月16日に,被請求人に対し,本件商標権を侵害するものである旨の警告を発した(甲2)。
これに対し,被請求人は,本件商標と被請求人が使用するイ号標章とは非類似であって,本件商標に係る商標権を侵害するものではない旨を回答した(甲3)。
よって,請求人は,この問題を解決すべく,本件商標に係る商標権の効力の範囲について,判定を求めるものである。
(3)イ号標章の説明
インターネットの検索エンジンGoogleにおいて,「granz gran riva」の欧文字を検索キーワードとして画像検索を行った結果(2016年1月1日?同年8月21日,甲4)によれば,その上段の中央に表示される商品は,被請求人の商品であるため(甲1の4),被請求人は,遅くとも2016年(平成28年)8月21日頃より,商品「マットレス」について,イ号標章と社会通念上同一の標章を用いていたことは明らかである。
また,甲第1号証の1は,イ号標章が表示された,被請求人の国産マットレスを紹介するチラシであり,下方の中央に被請求人の社名(欧文字。Granz Co.,Ltd.)が表示されていることから,被請求人が自社商品の営業に用いているものと推認される。
甲第1号証の1は,請求人社員が平成28年12月頃に入手したものである。
一方,本件商標が使用される請求人の商品マットレスは,平成26年11月頃より,請求人の業務提携先である株式会社ナフコ(福岡県北九州市,甲5)が経営するホームセンター「ナフコ」の各店舗において販売されている(甲6?甲9)。
(4)イ号標章が商標権の効力の範囲に属するとの説明
本件商標は,「GRANREVE」の欧文字を,同書,同大に横一連に書してなるものであり,これより「グランリーヴェ」の称呼を生ずる。
また,本件商標は,請求人が創作した造語のため,特別な観念を生じさせるものではない。
他方,イ号標章は,「GRAN Riva」の欧文字と「グランリーヴァ」の片仮名とを横一列に配してなり,「GRAN Riva」の欧文字部分及び「グランリーヴァ」片仮名部分のいずれからも「グランリーヴァ」の称呼が生じる。また,イ号標章からは特定の観念は生じない。
本件商標とイ号標章の類否について検討すると,本件商標から生じる「グランリーヴェ」の称呼と,イ号標章から生じる「グランリーヴァ」の称呼とは,いずれも全体で6音と冗長な音数の中で,語頭から第5音までが共通し,称呼上の相違点は,語尾の「ヴェ」と「ヴァ」の一音のみである。
そして,当該相違音である「ヴェ」と「ヴァ」は,共に有声の唇歯摩擦音である子音[v]と,近似音の母音「a」と「e」との綴音であって,音調が相似た音である。
そのため,これらの音の差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さく,それぞれを一連に称呼するときは,その語調,語感が近似し,称呼上,相紛らわしいことは明らかである。
また,外観については,イ号標章は,「GRAN Riva」の欧文字と「グランリーヴァ」の片仮名からなるものの,片仮名は,単に欧文字の読みを表示したものと看取され得るため,欧文字部分が単独で識別標識として機能する。
この場合,本件商標と,イ号標章の「GRAN Riva」とは,いずれも欧文字8文字からなるものであり,両者は,6文字目と語尾の文字が相違するものの,語頭から5文字目までが共通することに比べれば,これらの相違点が類否判断において与える影響は極めて小さい。
また,本件商標は,すべて大文字であるのに対し,イ号標章の「GRAN Riva」は,6文字目から語尾の8文字目までが小文字である点で相違する。
しかしながら,欧文字からなる商標の表記に関し,大文字と小文字とを相互に変換することは市場においてごく一般的に行われるものであり,これらの商標が社会通念上同一のものであることに疑いの余地はない。すなわち,欧文字からなる商標において,大文字と小文字の差異が類否判断に与える影響は極めて小さい。よって,本件商標とイ号標章とは,外観上も相紛らわしいものである。
最後に,観念については,いずれからも特定の観念は生じないため,比較することができない。
以上より,本件商標とイ号標章とは,称呼及び外観において相紛らわしく,類似する標章である。
また,本件商標の指定商品は「マットレス」であり,イ号標章が使用される商品も「マットレス」であるから,両商品は同一又は類似の関係にある。
2 まとめ
したがって,イ号標章は,本件商標と類似する標章であって,その使用に係る商品も本件商標の指定商品「マットレス」と同一又は類似の商品であるから,被請求人が商品「マットレス」に使用するイ号標章は,本件商標の商標権の効力の範囲に属する。

第4 被請求人の主張
被請求人は,イ号標章は本件商標の商標権の効力の範囲に属しない,との判定を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第23号証を提出した。
1 本件商標について
(1)本件商標は,「GRANREVE」の欧文字からなり,「REVE」の欧文字はフランス語で「夢」を意味し「レーブ」と発音する単語であるから,本件商標からは自然な称呼として「グランレーブ」の称呼が生じる(乙1,乙2)。
また,後述のとおり,本件商標をローマ字読み又は英語読みした場合も「グランリーヴェ」の称呼が生じるとはいえない。
請求人自身も,「REVE」が「夢」を意味する語であると表記しており(甲6),「レーブ」と発音する単語であることを認識している。さらに,本件商標から「グランリーヴェ」の称呼が生じる根拠は一切示されていない。
本件商標をローマ字読みした場合の称呼は「グランレベ」である。また,英語読みした場合の称呼は「グランレブ」又は「グランレーブ」である。
英語読みする場合,「RE」の部分は「break」を「ブレイク」,「freash」を「フレッシュ」等と発音するように,中間における「re」を「レ」と読み,また,語尾の「VE」は「drive」を「ドライブ」,「naive」を「ナイーブ」等と発音するように「ブ」と読むことが自然である。
このため,英語読みする場合は,「REVE」の部分から「レブ」又は「レーブ」が生じ,ローマ字読み又は英語読みした場合も「リーヴェ」の称呼が生じるとはいえない(乙3?乙12)。
このような状況において,一般需要者が本件商標に接した場合,「グランレーブ」や「グランレブ」と称呼することが自然であるといえ,「グランリーヴェ」が生じることは不自然である(乙13?乙17)。
(2)以上のとおり,本件商標からは自然な称呼として「グランレブ」又は「グランレーブ」の称呼が生じ「グランリーヴェ」の称呼は生じない。
2 イ号標章について
イ号標章は,「GRAN Riva」及び「グランリーヴァ」の文字が同列に表記されている。また,全体で5音の構成であり,冗長とはいえないことから,商標全体で一連の商標として認識され,自然な称呼として「グランリーバ」の称呼が生じる。
3 本件商標とイ号標章の類否判断について
(1)本件商標から生じる「グランレーブ」の称呼と,イ号標章から生じる「グランリーバ」の称呼とは,5音中2音が相違しており,称呼上,聞き誤るおそれのないことは明らかである。
また,仮に,本件商標から「グランリーヴェ」の称呼が生じるとしても,本件商標及びイ号標章は,5音という短い音で構成されており,濁音の「ヴェ」又は「バ」は明瞭に発音され,語尾であってもその違いは充分聴別できる。
外観については,本件商標はすべて大文字で表記され,文字の大きさが統一されている一方,イ号標章は「GRAN」及び「Riva」の「R」のみが大文字で表記されており,語頭の「G」がやや大きく,その他の文字がやや小さく表記されている。さらに,イ号標章は「グランリーヴァ」の片仮名が併記されており,外観は,明らかに異なる。
観念については,本件商標及びイ号標章が共に造語であることから対比することができない。
以上により,本件商標及びイ号標章を対比した場合に,称呼,外観及び観念において類似せず,商標全体として類似しない商標というべきである。
(2)本件商標とイ号標章を構成する「GRAN」の文字は,英語やフランス語で「大きな,大型の」等を意味する「grand」を想起させる。
また,「グラン」は,「grand」を意味する(乙18)ものであり,本件商標とイ号標章を構成する「GRAN」の欧文字は,商品の内容等を示す語として認識される。
一方,「REVE」の欧文字は,フランス語で「夢」を意味し,「Riva」の欧文字はイタリア語で「岸」(乙19)を意味するが,日本におけるフランス語やイタリア語の認知度が低いことから,これらの意味合いは想起されない。
つまり,本件商標及びイ号標章の「GRAN」の欧文字部分を省略し,「REVE」及び「Riva」の欧文字部分のみの称呼が生じることも否定できない。
仮に「REVE」及び「Riva」の欧文字部分のみを称呼する場合,わずか2音から構成される「レーブ」と「リーバ」の称呼の違いは明らかに聴別できる。また,仮に「REVE」の欧文字を「リーヴェ」と称呼したとしても,2音という極めて短い音構成において,「Riva」の欧文字から生じる「リーバ」と聞き誤るおそれがないことは明らかである。
(3)以上により,本件商標とイ号標章は,全体として非類似の商標であり,また,一部の称呼が生じたとしても非類似の商標である。
4 イ号標章の使用状況について
被請求人は,昭和58年設立の家具卸業者であり,主要取扱品目はベッド及びベッド用マットレスである。
被請求人は,平成24年12月頃から現在に至るまで,社名から命名した「GRAN」シリーズの商標を使用しており,これらのマットレスの2015年度(平成27年度)から2017年度(同29年度)の年間総売上数量は4万以上/年である(乙20)。
被請求人が使用する「GRAN」シリーズの商標は,「GRAN」の欧文字とその他の文字の間にスペースを空け,若しくは,大文字,小文字の差を付け,「GRAN」シリーズであることが一般需要者にも容易に認識できる態様で使用している(乙21?乙23)。
このような使用状況において,一般需要者がイ号標章に接した場合,被請求人が提供する「GRAN」シリーズの一商品名であると認識され,全体で一連の商標として認識される本件商標と混同が生じないことは明らかである。
5 まとめ
以上のとおり,イ号標章と本件商標は,類似しない商標であり,イ号標章は本件商標権の効力の範囲に属さないことは明らかである。

第5 当審の判断
1 本件商標について
本件商標は,上記第1のとおり,「GRANREVE」の欧文字からなるところ,当該欧文字は,一般の外国語の辞書等には載録されていないものであるから,特定の意味を想起させることのない一種の造語と認識され,特定の観念は生じないものである。
そして,本件商標の構成中の「REVE」の欧文字部分は,例えば,「復讐,仕返し」等の意味を有する「revenge」の英語が「リヴェンジ」と発音され,「翻す,一変する」等の意味を有する「reverse」の英語が「リヴァース」と発音されること等からすれば,本件商標は,英語読み風に「グランリヴ」の称呼を生じ,また,請求人は,本件商標をその指定商品に含まれる「マットレス」に使用する際に,「グランリーヴェ」の読み仮名を付しているから(甲6),本件商標からは,基本的に「グランリーヴェ」の称呼が生ずるものと認められる。
2 イ号標章について
イ号標章は,「GRAN Riva グランリーヴァ」(「G」の欧文字は,他の文字に比し,やや大きく表されている,以下同じ。)の欧文字及び片仮名からなるものである。
そして,イ号標章は,「GRAN Riva グランリーヴァ」の欧文字部分及びその読みを表したものと容易に理解される「グランリーヴァ」の片仮名部分から「グランリーヴァ」の称呼を生じ,当該欧文字及び片仮名は,一般の外国語及び国語の辞書等には載録されていないものであるから,それぞれ独立して自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものということができ,特定の意味を想起させることのない一種の造語と認識され,特定の観念を生じないものである。
3 本件商標とイ号標章の類否について
本件商標は,「GRANREVE」の欧文字からなり,イ号標章は,「GRAN Riva グランリーヴァ」の欧文字及び片仮名からなるものであるから,片仮名の有無により,構成全体としては,互いに見誤るおそれのないものということができるが,本件商標と,イ号標章の要部である「GRAN Riva」の欧文字部分とは,語頭から5文字目まで及び7文字目を同じくし,6文字目において「E」と「i」及び8文字目において「E」と「a」の文字のみを異にするものであるから,両商標は,外観において近似した印象を与えるものと認められる。
そして,本件商標から生じる「グランリヴ」又は「グランリーヴェ」の称呼と,イ号標章から生じる「グランリーヴァ」の称呼とは,称呼の識別上,重要な語頭において「グランリー」の音を共通にし,比較的聴取し難い語尾において「ヴ[vu]」及び「ヴェ[ve]」の音と,「ヴァ[va]」の音の差異であって,かつ,これらの差異は,母音の「ウ」及び「エ」と,「ア」の差異にすぎないものであるから,本件商標及びイ号標章を称呼したときは,語調語感が近似し,相紛れるおそれがあるものいうべきである。
本件商標とイ号標章は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,比較することができない。
そうすると,本件商標とイ号標章とは,これらを離隔的に観察した場合,観念について比較できないとしても,外観において近似し,称呼において相紛れるおそれのある類似の商標と認められる。
4 被請求人の主張について
(1)被請求人は,「イ号標章は『GRAN』及び『Riva』の『R』のみが大文字で表記されており,語頭の『G』がやや大きく,その他の文字がやや小さく表記されている・・・外観は,明らかに異なる。」旨主張する。
しかしながら,イ号標章の欧文字部分は,語頭の「G」の文字がやや大きく表されているとしても,「GRAN」及び「Riva」の2文字を普通に用いられる態様により表したものと認識されるにすぎないものである。
そうすると,語頭の「G」の文字の表現や「GRAN」及び「Riva」の両文字の間に僅かにスペースがあるとしても,これらは微差にすぎず,本件商標とイ号標章の欧文字部分の比較において,影響を及ぼすものということができない。
(2)被請求人は,「本件商標からは自然な称呼として『グランレブ』又は『グランレーブ』の称呼が生じる」旨主張する。
しかしながら,本件商標から上記称呼が生じ得る場合があるとしても,上記1のとおり,本件商標からは,基本的に「グランリーヴェ」の称呼を生じるものと認められるから,本件商標とイ号標章から生じる称呼とは,類似するというべきである。
5 本件商標の指定商品とイ号標章が使用された商品について
甲第1号証の1は,本件商標権者(Granz Co.,Ltd)の取扱いに係る「国産マットレスラインナップ」のチラシであり,4種の品名の下,8種類の商品「マットレス」が掲載されており,そのなかに,「品名」をイ号標章とする商品「マットレス」が2種類(プレミアムハード及びクラシックハード),写真とともに掲載されている。
そうすると,イ号標章は,商品「マットレス」について使用されているものと認められ,その商品「マットレス」は,本件商標の指定商品中の「マットレス」と同一の商品である。
6 まとめ
以上のとおり,本件商標とイ号標章とは,外観において近似し,称呼において相紛れるおそれのある類似の商標であって,かつ,イ号標章が使用された商品「マットレス」は,本件商標の指定商品中の「マットレス」と同一の商品である。
したがって,商品「マットレス」について使用するイ号標章は,本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。
よって,結論のとおり判定する。
別掲 別掲(イ号標章。詳細は,甲第1号証の1を参照。)



判定日 2018-03-07 
出願番号 商願2015-94108(T2015-94108) 
審決分類 T 1 2・ 9- YA (W20)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大塚 順子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
田中 亨子
登録日 2016-07-29 
登録番号 商標登録第5869106号(T5869106) 
商標の称呼 グランリーベ、グランレーブ、グラン、レーブ、グランリーヴェ 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 山野 有希子 
代理人 市川 泰央 
代理人 大槻 聡 

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