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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない(当審拒絶理由) W41
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない(当審拒絶理由) W41
管理番号 1338331 
審判番号 不服2017-5053 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-10 
確定日 2018-02-28 
事件の表示 商願2016- 42370拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「シニア大学」の文字を標準文字で表してなり、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)」を指定役務として、平成28年4月13日に登録出願されたものである。

2 当審において通知した拒絶の理由
当審において、平成29年9月28日付けで請求人に対し、「本願商標は、『高齢者を対象とした教養講座』の意味合いを理解させるものであり、これをその指定役務に使用しても、自他役務の識別標識として認識し得ないものであって、役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、『高齢者を対象とした教養講座』を内容とする役務以外の役務に使用するときは、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨の拒絶理由を通知した。

3 拒絶理由に対する請求人の意見(要旨)
請求人は、上記2の拒絶の理由に対し、平成29年10月11日受付の意見書において、要旨以下のとおりの意見を述べた。
「シニア大学」の語は、国語辞書等にも何ら記載がなく、「シニア大学」の語の意味合いが特定された親しみのある語とはいえず、該語は、いまだ漠然とした意味合いを想起させるにとどまるものであり、これをもって直ちに商品の品質、用途又は使用の時期を具体的かつ直接的に表したものと理解、認識させるとまではいい難いものである。
また、本願の指定役務を取り扱う業界において、「シニア大学」の文字が、役務の具体的な質等を表示するものとして普通に用いられていると認めるに足る事実は発見できなかった。
そうすると、本願商標は、その構成全体をもって特定の意味を有することのない一種の造語として認識されるというのが相当であるから、これをその指定役務について使用しても、役務の質等を表示したものとはいえず、自他役務の識別標識としての機能を十分に果たし得るものである。
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。

4 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「シニア大学」の文字からなるところ、その構成中の「シニア」の文字は、「年長者。高齢者。」等の意味を有する語であり、「大学」の文字は、「高等教育の中核をなす教育機関。俗に、社会人を対象にした教養講座のこと。」等の意味を有する語(ともに、株式会社小学館「デジタル大辞泉」)として、いずれも一般に親しまれ、よく知られた語といえるものである。
また、複数の辞書から、用語を横断検索できるインターネット上のサービスである「コトバンク」のウェブサイトには、「老人大学」の項に「ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説」の見出しの下、「高齢者を対象とした教養講座。定年後もみずからの教養を高め、学び続けたいと願う高齢者のために、おおむね60歳以上を対象に開設される。生涯学習の場を提供し、高齢者の生きがいや健康づくりを支援する。シニア大学、シルバー大学、高齢者大学とも呼ばれる。自治体が老人大学運営事業の実施要綱を作成し、福祉課や教育委員会が主管するもの、社会福祉協議会や老人会などの団体が支援するものなどがある。」の記載がある。
さらに、別掲の新聞記事情報及びインターネット記事情報のとおり、本願指定役務と関連の深い分野において、自治体や公益財団法人等が、本願商標である「シニア大学」の文字を使用している実情があり、これらの情報によれば、例えば、「シニア大学」の説明として、「・・・生涯学習に取り組む京都シニア大学(京都市)の英会話同好会。」、「地域活動リーダーの養成を目的とした、高齢者が対象の学習講座です。」、「4年間継続して学習・自治活動を志す高齢者のための大学です。」、「・・・、市内に居住する60才以上の市民で年間継続して学習しようとする方を対象として開設しています。」、「シニアの皆さん、さらに教養を高め、たくさん笑って生きがいのある充実した生活を送りませんか。」等の記載があることからすると、「シニア大学」の文字は、総じて「高齢者を対象とした教養講座又は学習講座」の意味合いで使用されているものである。
してみれば、本願商標を、その指定役務に使用しても、これに接する需要者は、「高齢者を対象とした教養講座又は学習講座」を内容とする役務を表したものとして理解するものであり、自他役務の識別標識としては認識し得ないものであって、本願商標は、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は、当審における拒絶理由に対し、上記3のとおりの意見を述べ、「『シニア大学』の語は、国語辞書等にも記載がなく、『シニア大学』の語の意味合いが特定された親しみのある語とはいえない。・・・いまだ漠然とした意味合いを想起させるにとどまるものであり、これをもって直ちに商品の品質、用途又は使用の時期を具体的かつ直接的に表したものと理解、認識させるとまではいい難いものである。」旨を主張し、前記2の拒絶理由で示した新聞記事情報及びインターネット記事情報(別掲)について、「『シニア大学』の語が識別力のない態様で使用されていることを裏付ける証拠資料足り得ない。・・・膨大なインターネット情報中わずか10件のインターネット情報だけでは、本願の指定役務を取り扱う業界において、『シニア大学』の語が、役務の質・内容等を表示するものとして、取引上一般に使用されていると認めるに足りる事実を見いだすことはできない。」旨を主張している。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう役務の質に該当するというには、我が国の取引者、需要者が役務の質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものである。
そして、前記2の拒絶理由において示した証拠(別掲)は、本願の指定役務と関連の深い分野において、請求人以外の多数の者がインターネットのウェブサイトで「シニア大学」の文字を使用している実情、さらには、複数の新聞記事に「シニア大学」の文字が掲載されている実情を挙げたものであって、需要者においては、本願商標である「シニア大学」の語が、辞書等において記載がなく、また、如何なる大学であるのかが具体的に特定されていないとしても、一般によく知られた「シニア」及び「大学」の各文字を結合した「シニア大学」の文字全体からは「高齢者を対象とした教養講座又は学習講座」程の意味合いを容易に認識するとみるのが相当であり、これを、本願の指定役務に使用しても、「高齢者を対象とした教養講座又は学習講座」を内容とする役務であるという役務の質を表したものとして認識されるにとどまるものである。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(「シニア大学」の文字が使用されている新聞記事情報及びインターネット記事情報)
1 新聞記事情報(下線は合議体による。以下同じ。)
(1)2017年8月11日付け「読売新聞(東京朝刊)」において、「[シニア]英会話 使う楽しさ体験 正しさより伝えたい意欲」の見出しの下、「・・・生涯学習に取り組む京都シニア大学(京都市)の英会話同好会。この日は3人のメンバーが参加し、講師役の石橋忠彦さん(75)の話を聞きながら、熱心にメモを取った。同好会は3年前に発足。海外勤務経験のある石橋さんが英会話の基本を伝えている。」の記載がある。
(2)2017年2月28日付け「朝日新聞(東京地方版/長野)」において、「シニア大生の人形劇一座誕生 初上演に『上出来』 飯田/長野県」の見出しの下、「市民参加の人形劇活動が盛んな飯田市に、また新たな一座が誕生した。60歳以上が受講する県シニア大学飯伊学部の3人が実践活動の授業で人形劇に挑戦。」の記載がある。
(3)2015年2月17日付け「朝日新聞(東京地方版/長野)」において、「社会貢献学ぼう、受講生を募集中 県シニア大学/長野県」の見出しの下、「おおむね60歳以上の県民が2年制で学ぶ県シニア大学(学長・阿部守一知事)が、受講課程の主眼を『教養講座型』から、卒業後の社会貢献に備える『実践養成型』に切り替えて3年。じわじわと成果を上げつつある。27日まで新年度の受講生を募集している。運営主体の県長寿社会開発センター(長野市)によると、1978年に『老人大学』(4学部)の名で発足。3年後に現行の10学部となり、2008年に『シニア大学』と改称した。卒業生は4万4076人。」の記載がある。
(4)2014年8月6日付け「毎日新聞(地方版/大阪)」において、「包括連携協定:大東市と大産大、人材育成で 協力体制強化/大阪」の見出しの下、「市と大学が共同で開く生涯学習講座『だいとうシニア大学』に健康増進のプログラムを組み込むほか、商店街に大学のアンテナショップを開くなどの多彩な取り組みを計画している。」の記載がある。
(5)2014年5月30日付け「朝日新聞(名古屋地方版/愛知)」において、「人生の後半戦、もう一度学ぼう 中部大が『シニア大学』開設へ/愛知県」の見出しの下、「中部大学(春日井市)は9月から、50歳以上のシニア世代を対象に、2年制の『アクティブ・アゲイン・カレッジ』(いきいきシニア大学)を開設する。第二の人生に再学習の機会を提供し、資格や技術の習得による再雇用や、地域のリーダー養成も視野に入れる。」の記載がある。
2 インターネット記事情報
(1)「札幌市」のウェブサイトにおいて、「学習・教養を深めるために」の見出しの下、「シニア大学」の項に「事業概要」として「地域活動リーダーの養成を目的とした、高齢者が対象の学習講座です。高齢者の社会活動を促進し、生きがいの向上を図るため、系統的な学習の機会を提供します。」の記載が、「対象者」として「60歳以上で2年間継続して学習できる健康な方。・・・」の記載が、「学習内容」として「社会一般にかかる基礎講座、地域を豊かにする社会活動を促進する講座、自らの生活を豊かにする活動を促進する講座等。」の記載がある。
(http://www.city.sapporo.jp/koreifukushi/ikigai/ikigai5.html)
(2)「旭川市」のウェブサイトにおいて、「旭川市シニア大学」の見出しの下、「旭川市シニア大学について」の項に「旭川市シニア大学は、平成23年5月に『学びを通し豊かな経験と能力を高め、学習成果を生活や自らの地域社会に活かす』ことを目指し、旭川市中心街のフィール旭川7階に開設しました。4年間継続して学習・自治活動を志す高齢者のための大学です。また、4年間の学びを更に発展させていきたい方のために2年制の大学院も設置しています。」の記載がある。
(http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/kurashi/329/330/333/p004997.html)
(3)「中野区」のウェブサイトにおいて、「第52期 シニア大学の開催について」の見出しの下、「中野区友愛クラブ連合会『第52期 シニア大学』を開催します」の項に「・・・中野区友愛クラブ連合会の主要事業であります『老人大学』が、平成29年度より『シニア大学』に改称し、なかのZERO大ホールにて開催します。会員の方だけではなく、中野区民の方もぜひご参加ください。」の記載がある。
(http://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/dept/172000/d024129.html)
(4)「花巻市」のウェブサイトにおいて、「シニア大学等(60才からの生涯学習)」の見出しの下、「シニア大学等の活動紹介」の項に「花巻市シニア大学\シニア大学は、市内に居住する60才以上の市民で年間継続して学習しようとする方を対象として開設しています。大学には3つの課程があり、1年次、2年次で構成される年次課程を2年間、芸術、学芸、保体、ポラン、生活学部で構成される大学院課程を6年間、そしてA、Bの2つのクラスで構成される修学院課程を4年間修業することができ、全体で12年間にわたって学習していきます。」の記載がある。
(https://www.city.hanamaki.iwate.jp/bunkasports/shogaigakushu/184/p001195.html)
(5)「大野城市」のウェブサイトにおいて、「平成29年度 シニア大学『山城塾』受講生募集」の見出しの下、「大野城市シニア大学『山城塾』とは」の項に「60歳以上の人に対して学習機会の提供、学究活動の支援を行うことにより、高齢者の生きがいづくりと生涯学習の促進を図ることを目的に開設した、『高齢者が創り、学び、地域で活躍する人材を育成する大学』です。」の記載がある。
(http://www.city.onojo.fukuoka.jp/s047/030/030/010/020/29siniadaigaku.html)
(6)「長野県中野市」のウェブサイトにおいて、「中央公民館│平成29年度 中野市シニア大学」の見出しの下、「平成29年度開講のお知らせ」の項に「シニアの皆さん、さらに教養を高め、たくさん笑って生きがいのある充実した生活を送りませんか。」の記載がある。
(http://www.city.nakano.nagano.jp/docs/2017040400026/)
(7)「白馬村」のウェブサイトにおいて、「シニア大学・地域いきいき実践塾」の見出しの下、「財団法人長野県長寿社会開発センターでは、高齢者の仲間づくりと、新しい技術や知識の体得、生きがいのある充実した暮らしを支援するため、シニア大学および地域いきいき実践塾を開校しています。」の記載がある。
(http://www.vill.hakuba.lg.jp/life_stage/welfare/welfare_of_elderly/making_life_worth/senior_university.html)
(8)「愛媛県松前町」のウェブサイトにおいて、「シニア大学」の見出しの下、「完熟一期座の出前公演」の項に「12月13日(火曜日)のシニア大学では、東温市にある坊ちゃん劇場の完熟一期座の皆さんによる出前公演『おばあちゃんがおらんなった』を鑑賞しました。認知症をクローズアップした内容で、ある日突然徘徊し始めたおばあちゃんとその家族の様子などを、笑いあり、涙ありのストーリーで上演してくれました。」の記載がある。
(http://www.town.masaki.ehime.jp/soshiki/44/higashikou-sinia.html)
(9)「公益財団法人長野県長寿社会開発センター」のウェブサイトにおいて、「長野県シニア大学 ”人生100年、輝きと成長のために”」の見出しの下、「長野県シニア大学は、シニアの皆さんが社会参加活動のきっかけをつかみ、卒業後、地域社会の一員としての自覚をもって地域とかかわることができる人材育成を目指しています。」の記載があり、「入学資格」の項に「概ね60歳以上の県内在住者で、学習意欲が旺盛であり、地域活動等を行おうとする方。」の記載が、「学習内容」の項に「地域活動を行うための幅広い分野の学習ができるよう多彩な講座を設けています。」の記載がある。
(http://www.nicesenior.or.jp/daigaku/)
(10)「公益財団法人京都SKYセンター」のウェブサイトにおいて、「京都SKYシニア大学の運営」の見出しの下、「京都SKYシニア大学は、シニア・高齢者の『学ぶ意欲』『活動する意欲』に応え、学びながら活動参加へのきっかけを見つけていただくとともに、学んだ事をいかして地域で活動していただくための口座です。」の記載がある。
(https://www.kyoto-sky.net/jigyo/leader/daigaku.html)


審理終結日 2017-12-14 
結審通知日 2017-12-19 
審決日 2018-01-12 
出願番号 商願2016-42370(T2016-42370) 
審決分類 T 1 8・ 13- WZ (W41)
T 1 8・ 272- WZ (W41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 旦 克昌大森 友子 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 木住野 勝也
榎本 政実
商標の称呼 シニアダイガク、シニア 
代理人 佐藤 富徳 

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