• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W16
管理番号 1338325 
審判番号 不服2017-10291 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-10 
確定日 2018-02-26 
事件の表示 商願2016-63670拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は,「ハイブリッドブック」の片仮名を標準文字で表してなり,第16類「書籍及びこれに属するもの」を指定商品として,平成28年6月10日に登録出願されたものであるが,その後,原審における同29年1月4日付けの手続補正書により,その指定商品は,第16類「書籍」と補正された。

2 原査定の拒絶の理由
本願商標は,「ハイブリッドブック」の片仮名を標準文字で表してなるところ,その構成中「ハイブリッド」の文字部分は「異種のものを組みあわせたもの。」の意味を,「ブック」の文字部分は「本」の意味を有する語であり,全体として「異種のものを組み合わせた本」程度の意味合いを認識させる。
そして,「ハイブリッド」の語は,「ハイブリッドエンジン」(複数の動力機構を組みあわせたエンジン),「ハイブリッド米」(異なる品種の交配によって作られた米),その他,「ハイブリッド農機」,「ハイブリッド債」,「ハイブリッド空調システム」,「ハイブリッド蓄電池システム」及び「ハイブリッド街路樹」などのように,様々な語と結びついて使用されている。
また,出版物の分野においては,DVDやCDなどの電子媒体と紙媒体を組み合わせた商品や,近年においては,携帯電話と紙媒体を組み合わせて,相乗効果を発揮させた商品が取扱われている。
以上よりすれば,本願商標は,これをその指定商品に使用しても,これに接する需要者,取引者をして,全体として「電子媒体と紙媒体等異種の媒体を組み合わせた本」程度の意味合いを理解されるにとどまり,商品の品質を表してなるものと認識するにすぎない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。

3 当審における証拠調べ通知
当審において,本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性に関連して,別掲1及び2に係る証拠を示して,請求人に対し回答を求めた。

4 証拠調べ通知に対する請求人の回答
請求人は,上記3の証拠調べ通知に対して,所定の期間内に何ら応答するところがない。

5 当審の判断
(1)本願商標の商標法第3条第1項第3号の該当性
本願商標は,「ハイブリッドブック」の片仮名を標準文字で表してなるところ,別掲2に示す辞書の記載によれば,「ハイブリッド」(hybrid)の語は「異種のものを組みあわせたもの」程度の意味を,「ブック」(book)の語は「本。書籍。」の意味を有し,いずれも我が国でも比較的親しまれて用いられている外来語(英語)である。
そして,別掲1のとおり,デジタルコンテンツと併せて利用できる書籍,すなわち,書籍中の文章や図表がホームページにおいて動画としても確認できる書籍や,書籍中の表示コードからスマートフォンやタブレット端末,またそのアプリなどを用いて,動画や音声を視聴できたり,テストを受けられる書籍が販売されており,そのような書籍又は仕組みを「ハイブリッドブック」(HYBRIDBOOK,HYBRID BOOK)と称している実情がある。
以上を踏まえると,本願商標は,これに接する需要者,取引者をして,その指定商品との関係において,「紙の書籍とデジタルコンテンツを組み合わせて利用できる書籍」程度の意味合い,すなわち商品の品質(内容,機能)を表してなるものと認識,理解させるにとどまり,自他商品の識別標識としての機能を有さないというべきである。
そのため,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張に対し
請求人は,本願商標「ハイブリッドブック」は,公知ではない全く新しい発明の本の名称であり,言葉を分解することなく全体を一つの言葉とみるべきで,他人が使用している実績のない新語でもあり,自他商品の識別標識力がある旨を主張する。
しかし,上記(1)で示したとおり,「ハイブリッドブック」(HYBRIDBOOK,HYBRID BOOK)と称する,書籍とデジタルコンテンツを併せて利用できる書籍又はその仕組みが存在しており,請求人以外の第三者によって,そのような書籍又は仕組みが販売又は運営されている実情があることよりすれば(別掲1),本願商標は,これに接する需要者,取引者をして,特定の意味を有さない造語ではなく,上記(1)のとおり,単に商品の品質(紙の書籍とデジタルコンテンツを組み合わせて利用できる書籍)を表示してなるものと認識,理解されるというのが相当であり,その主張は採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 「書籍」を取り扱う業界における「ハイブリッドブック」(HYBRIDBOOK,HYBRID BOOK)の語の使用例
(1)「HYBRIDBOOK」と題するウェブサイトにおいて,「ハイブリッドブックとは,より効率的な『学び』を実現するため,デジタルコンテンツと併せてご利用いただく書籍です。」の記載がある。
https://hybridbook.jp
(2)「株式会社日教販」のウェブサイトの「デジタルコンテンツ事業」の項目において,「ハイブリッドブック」の見出しの下,「『ハイブリッドブック』は書籍とデジタルコンテンツを融合させる仕組みです。書籍だけでは実現できなかった様々な学習サービスを実現可能です。日教販ではデジタルコンテンツ付き書籍『ハイブリッドブック』制作のご相談を承っております。元となるデーターをお預かりしてプラットフォームにあわせたコンテンツへ加工致します。」の記載がある。
http://www.nikkyohan.co.jp/works/digital.html
(3)「株式会社廣川鉄男事務所」のウェブサイトにおいて,「Web版 Hybrid Book 動画マスター機能形態学」の見出しの下,「書籍中の文章と図表(約300枚)の読解から得られた『思考イメージ』だけでは理解が不足する部分を,ホームページの動画データから得られた『視覚イメージ』が互いに補完し,学習内容の理解を深め,高い学習効果を得ることが出来る新形態『HybridBook』な書籍です」の記載がある。
http://hirokawa-tp.rr2.co.jp/products/978-4-908996-00-9
(4)「株式会社エイチアンドアイ」のウェブサイトにおいて,「複素数『解』の時代」の見出しの下,「なお本書は『ハイブリッド・ブック』という新たなジャンルを開拓しました。つまり『紙の本の長所』と『電子書籍の長所』を取り込んだのです。本文中28カ所のQRコードに,QRコードリーダーアプリをダウンロードしたスマホやタブレットをかざすと,カラー動画が音声とともに飛び出します。文字だけでは伝えきれない現象の理解を助けるとともに,ライブ感溢れる石井先生の名講義も堪能できることは,紙の本という『実部』から,サイバースペースという『虚部』へ飛ぶことによって『複素数を体感できる』全く新しい本です。」の記載がある。
http://www.h-and-i.co.jp/books/book-004
(5)「学参ドットコム」のウェブサイトにおいて,「きめる!センター/HYBRIDBOOK」の項目において,「付属カードに基づくアプリについて」の見出しの下,「付属のカードには1冊ごとに異なる『ハイブリッドブックコード』が印刷されています。カードに記載されているアドレスにスマートフォンやPC等からアクセスし,説明書きに従ってハイブリッドブックコードを登録してください。登録することで,みなさんのセンター試験対策をサポートするコンテンツがご利用いただけます。」の記載がある。
http://www.gakusan.com/hybrid/gakken/
(6)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,「フォニックスチャンツ【初回限定 HYBRID BOOK】」の項目において,「HYBRID BOOKとは/書籍に『ライセンスコード』を印刷し,スマートフォン,タブレット,PCからアクセスする新しい学習スタイル。動画やドリルなどのダウンロードコンテンツにより,効果的な学習が得られる。」及び「出版社:mpi」の記載がある。
https://www.amazon.co.jp/
(7)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,「mpiフォニックス認定試験-知識編-HYBRID BOOK」の項目において,「学習後に,PCやスマホでオンライン試験を受験できるテキストです。」及び「出版社:mpi」の記載がある。
https://www.amazon.co.jp/
(8)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,「2016?2017年版 ケアマネージャー 要点整理ノート(HYBRID BOOK)」の項目において,「スマホ・PCでできるアプリつき」及び「出版社:学研プラス」の記載がある。
https://www.amazon.co.jp/
(9)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,「“毎年出る”頻出英語長文-HYBRIDBOOK(HYBRID BOOK)」の項目において,「スマホ・タブレット・PCで使えるWEBアプリつき。」及び「出版社:日栄社」の記載がある。
https://www.amazon.co.jp/
(10)「Amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて,「’16?’17年版 最短合格 3級FP技能士(HYBRID BOOK)」の項目において,「スマホ・タブレット・PCでのオンライン学習もできる!」及び「出版社:きんざい」の記載がある。
https://www.amazon.co.jp/
(注)上記(6)から(10)の引用情報は,「https://www.amazon.co.jp/」のウェブサイトにおいて,それぞれの項目名をもとに検索することで,それぞれの項目にアクセスし,確認することができる。

別掲2 「ハイブリッド」(hybrid)及び「ブック」(book)の語の辞書における記載
(1)「広辞苑 第6版」(岩波書店発行)の「ハイブリッド」(hybrid)の項には,「異種のものを組みあわせたもの。」の記載があり,「ブック」(book)の項には,「本。書物。書籍。図書。」の記載がある。
(2)「大辞泉 第2版」(小学館発行)の「ハイブリッド」(hybrid)の項には,「異質のものの混成物。」の記載があり,「ブック」(book)の項には,「本。書籍。」の記載がある。
(3)「大辞林 第3版」(三省堂発行)の「ハイブリッド」(hybrid)の項には,「異なった要素が混ざり合っていること。異なったものが組み合わされていること。混合。混成。」の記載があり,「ブック」(book)の項には,「本。書籍。」の記載がある。
(4)「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」(三省堂発行)の「ハイブリッド」(hybrid)の項には,「複合型。また『雑種の,混合の,混成の』の意味で複合語をつくる。」の記載があり,「ブック」(book)の項には,「本,書物。」の記載がある。
(5)「新明解国語辞典 第7版」(三省堂発行)の「ハイブリッド」の項には,「異なる方式を一つの組織の中にうまく組み込むこと。デジタルとアナログを一緒にした時計など。混成。混載。」の記載があり,「ブック」(book)の項には,「本。書籍。」の記載がある。

審理終結日 2017-12-19 
結審通知日 2017-12-22 
審決日 2018-01-05 
出願番号 商願2016-63670(T2016-63670) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 田村 正明
阿曾 裕樹
商標の称呼 ハイブリッドブック 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ