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審決分類 審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない W12
管理番号 1338304 
審判番号 不服2017-3200 
総通号数 220 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-03 
確定日 2018-02-21 
事件の表示 商願2014-90835拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「3M」の文字を標準文字で表してなり、第12類「自動車用ワイパーブレード,車輪,タイヤ,陸上の乗物用ブレーキ,乗物用ショックアブソーバー,ばね,陸上の乗物用ブレーキパッド,陸上の乗物用のフェンダーフレア,陸上の乗物用のフェンダー,自動車の車体,自動車の部品及び附属品,中古自動車の部品,自転車,船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道用車両並びにその部品及び附属品,二輪自動車・三輪自動車並びにその部品及び附属品,自転車並びにその部品及び附属品,陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),陸上の乗物用の機械要素,航空機・自動車・二輪自動車・自転車用タイヤ」を指定商品として、平成26年10月28日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『3M』の文字を標準文字で表してなるところ、1桁の数字と欧文字1字を結合した標章は、商品の品番、規格、型式等を表示するための記号、符号として類型的に取引上普通に採択使用されているから、これは極めて簡単、かつ、ありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第5号該当性について
本願商標は、「3M」の文字を標準文字で表してなるところ、単に数字1字と欧文字1字からなる標章は、一般に、商品の品番、規格、型式等を表示するための記号、符号として類型的に取引上普通に採択使用されているものであり、本願の指定商品に関わる業界においても、原審で示した事実に加え、以下に示すとおり、商品の規格、形式、品番等を表す記号、符号などとして、使用されている実情がある。(下線は合議体が付与。)
ア 「株式会社ASK TRADING」のウェブサイトにおいて、「PRODUCTS C-1」の見出しの下、「シンプルデザインで低価格を達成しながらも、テーパードヘッドをはじめ各部分の高剛性化を図り、レースでの使用も十分な戦闘力を持つフルカーボンバイク。」の記載がある。
(http://www.boma.jp/products/frame_set/c-1/)
イ 「株式会社マツダ自転車工場」のウェブサイトにおいて、「CITY LINER(C-1)」の見出しの下、「CITY LINER(C-1)は、滑らかな曲線とシャープな直線を融合したユニークな造形と、適度なバネ感に支えられた極めてスポーティで軽快な走りのシティサイクルです。」の記載がある。
(http://www.level-cycle.com/item/city.html)
ウ 「grape」のウェブサイトにおいて、「絶対に倒れない電動バイク『Lit Motors C-1』が最高にクール!」の記載がある。
(http://grapee.jp/1287)
エ 「株式会社ディースピード」のウェブサイトにおいて、「G1ブレーキパッド」の見出しの下、「G1の特徴」の項目に、「G1ブレーキパッドはコントロール幅が広いので、ABSを効かす前に車両を止めます。」の記載がある。
(http://www.dspeed.co.jp/brakepad/g1.html)
オ 「三菱自動車」のウェブサイトにおいて、「カーラインナップ」の項目に、「DELICA D:5」の記載がある。
(http://www.mitsubishi-motors.co.jp/delica_d5/)
カ 「amazon」のウェブサイトにおいて、「バイクバッテリー」の項目に、「【初期補充電済】 STZ7Sシールド型 (互換型番 YTZ7S YTZ6 GT5-3 GT6B-3 FTZ7S FTZ5L-BS) スーパーナット バイク バッテリー ( スマートDio Z4 ズーマー クレアスクーピー ジョルノクレア トリッカー ドラッグスター250 セロー250 WR250R)」の記載がある。
(https://www.amazon.co.jp/%E3%80%90%E5%88%9D%E6%9C%9F%E8%A3%9C%E5%85%85%E9%9B%BB%E6%B8%88%E3%80%91-FTZ5L-BS-%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%88-%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%83%94%E3%83%BC-%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%B0%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC250/dp/B00LSG5KBO/ref=sr_1_9?s=automotive&ie=UTF8&qid=1507695644&sr=1-9&keywords=%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%88%E3%80%80%EF%BC%A4%EF%BD%89%EF%BD%8F)
キ 「オートメカニック MARCH.2017. No.535」(株式会社内外出版社発行)132頁に、「2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤーはスバルインプレッサスポーツ/G4に決定!」の見出しの下、「インポート・カー・オブ・ザ・イヤー アウディ A4シリーズ」、「エモーショナル部門賞 BMW M2クーペ」の記載がある。
ク 「OPTION 2017年5月号 No.484」(株式会社三栄書房発行)45頁に、「車種別 徹底 メンテナンス」の見出しの下、「MR2(SW20)やセリカ(ST205/185)、カルディナ(ST246W/ST215W)などに搭載されている3S-GTエンジン。」の記載がある。
ケ 「ゲイツ・ユニッタ・アジア株式会社」のウェブサイトにおいて、「パワーグリップ(R)HTDベルト」の見出しの下、「3M(3mmピッチ)」の項目に、「3Mベルトサイズ一覧表」があり、「タイプ記号」に「3M」の記載がある。
(http://www.unitta.co.jp/products/industry/power/htd/htdbelt_3m)
コ 「モノタロウ」のウェブサイトにおいて、「M-1クリーナー」の見出しの下、「グリコール系のブレーキオイルも分離することなく混和していくので洗浄できます。」の記載がある。
(https://www.monotaro.com/g/00705318/)
サ 「TEXAS INSTRUMENTS」のウェブサイトにおいて、「SN74LV86A-Q1(供給中) 自動車用、 クワッド2 入力、排他 OR ゲート」の記載がある。
(http://www.tij.co.jp/product/jp/SN74LV86A-Q1)
そうすると、数字1字と欧文字1字とを結合してなる本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、これが単に、商品の品番、規格、型式等を表すための記号、符号の一類型を表示したものと理解するにとどまるものであるから、本願商標は、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、その略称である「3M」又は「スリーエム」を一般的な通称として古くから使用しており、多種多様な商品の商標として使用したことによって、その名称は国内外を問わず、特定の分野の需要者に限定されることなく、一般大衆にまで広く知れわたり、「3M」は請求人の略称及びハウスマークとして広く知れわたっている、また、自己の多岐にわたる商品に長年使用の結果、今日においては「3M」でインターネット検索を行った場合、大多数においては請求人若しくは請求人の日本法人である「スリーエムジャパン」又は請求人の業務に係る商品を表示するもので、「商品の品番・規格・型式等を表示するための記号・符合」として使用されている例はほとんど発見できない旨主張し、原審において甲第1号証ないし甲第16号証を、当審において甲第1号証ないし甲第12号証を提出している。
上記主張が、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものである旨を主張するものであるかは明確ではないが、以下、提出された証拠について検討する。
(なお、以下の甲号証は、当審における平成29年4月10日付け手続補足書により提出された甲号証の番号である。)
甲第1号証は、請求人の関連会社である3Mジャパングループのウェブページであり、昭和33年に請求人と住友14社の間で合弁会社設立に係る合意に端を発した我が国内での3Mジャパングループの沿革が著されており、甲第4号証では、「自動車OEM向け製品」の紹介記事の中に、「3Mアクリルフォームテープ」、「3Mクレイモデリングフィルム」、「3Mライトストリング」(審決注:当該表示中「3M」の文字の右上に小さく「TM」の文字が付されている)等の商品の広告がされている。また、各ウェブページの左上部分に、請求人の代表的なロゴである太字ゴシックの「3M」(審決注:「3」の右部と「M」の左部が接合している。以下、太字ゴシックの「3M」については、みな同様である。)が表示されている。
甲第2号証(英和商品名辞典)及び甲第6号証(weblio辞典)では、「3M」の見出しの下、「Minnesota Mining & Manufacturing Co.」の社名の略称である旨が記載されている。
甲第3号証は、国内の新聞記事であり、タイトルや記事中に請求人又は請求人の関連会社を指称する用語として「3M」、「米3M社」、「3Mジャパン」、「スリーエム」などの文字が多数著されている。
以上によれば、「3M」の文字が、請求人又は請求人の関連会社の名称の一部を指称するものとして長年使用されてきたことは認められるものの、提出された証拠の多くは、「3M」の文字が、新聞やウェブページの記載中、企業名としての文脈において記述的に表示されているものであり、商標としての使用ということはできない。
また、請求人が本願指定商品も含め多岐にわたる商品分野で業務を行い「3M」の表示を商品の広告等に使用していることはうかがい知ることはできるものの、提出された証拠のみでは、本願商標の使用期間、使用地域、商品の製造・販売数量、広告宣伝規模などの詳細は不明である。加えて、甲第4号証のウェブページで使用されている「3M」の文字の右上に小さく「TM」の文字が付されている商標は、いずれも太字ゴシックの「3M」のことであるから、標準文字で表してなる本願商標とはその構成態様を異にするものである。
そして、請求人は、「3M」でインターネット検索すれば、大多数においては請求人の業務に係る商品を表示するものであり(甲第5号証)、「3M」の表示が現実に、商品の品番、規格、型式等を示すものとしての使用されている例が直ちには挙がらない旨主張するが、商標法第3条第1項第5号は、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標」は、一般的に使用されるものであり、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものである上、通常、特定人による独占的使用を認めるに適しないことから、商標登録を受けることができない旨規定するものである。この点、本願商標は、数字1字と欧文字1字からなる商標であるところ、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる上、かかる商標は、本願指定商品との関係でみても、格別自他商品識別力を有するとはいえず、また、特定人による独占的使用を認めるに適しているともいえない。
イ 請求人は、審判決例において「3M」商標は、「スリーエム」を看取させるから、商品等に使用した場合には、自他商品識別機能を備える商標であると認定されており、第三者が本願商標を使用した場合には、出所混同が生じるおそれがあると認定されている旨及び商標法第3条第2項の適用を受けることなく、登録されている「3M」の登録例があり、さらに、アルファベット2文字の商標の登録例がある旨主張する。
しかしながら、出願された商標の登録の可否は、当該商標の構成態様と指定商品に基づいて、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、本願商標も必ず登録されるものであるということにはならず、また、請求人が提出した甲第7号証ないし甲第9号証及び甲第11号証の商標は、「3M」を標準文字で表してなる本願商標とはその構成態様を異にするものである。
なお、甲第10号証の判決は、太字ゴシックの「3M」が、文具製品・オフィス製品を始めとする多くの分野において、原告(本件請求人)や関連会社の業務に係る商品を表示する商標として著名である旨を認定したものであって、本件事件に直接関係するものではない。
したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)むすび
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-09-21 
結審通知日 2017-09-26 
審決日 2017-10-11 
出願番号 商願2014-90835(T2014-90835) 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (W12)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行豊田 純一 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 原田 信彦
松浦 裕紀子
商標の称呼 スリーエム、サンエム 
代理人 外川 奈美 
代理人 田島 壽 
代理人 青木 篤 

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