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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) W09
管理番号 1337228 
異議申立番号 異議2017-900057 
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-20 
確定日 2018-01-22 
異議申立件数
事件の表示 登録第5897673号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5897673号商標の指定商品中、第9類「全指定商品」について、その商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5897673号商標(以下「本件商標」という。)は、「ORACLE WORD」の文字を標準文字で表してなり、平成28年4月25日に登録出願、第9類「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラム(通信回線を通じてダウンロードされる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを含む),家庭用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路・CD-ROM・DVD-ROM・光ディスク・その他の記憶媒体,電子出版物,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる映像・画像・音楽・音声」及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年10月13日登録査定、同年11月18日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第3311080号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ORACLE」の欧文字を横書きしてなり、平成6年7月19日に登録出願、第16類「紙類,紙製包装用容器,紙製タオル,書籍・コンピュータ及びコンピュータプログラム用マニュアル書・カタログ・その他の印刷物,写真,文房具類,タイプライター」を指定商品として、同9年5月23日に設定登録され、その後、同18年12月12日及び同29年4月4日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
2 登録第3358969号商標(以下「引用商標2」という。)は、「オラクル」の片仮名を横書きしてなり、平成6年7月7日に登録出願、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・同磁気ディスク・同磁気テープその他の周辺機器を含む。)その他の電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,遊園地用機械器具,電気アイロン,電気掃除機,電気ブザー,鉄道用信号機,火災報知機,盗難警報器,磁心,抵抗線,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,自動販売機,金銭登録機,写真複写機,家庭用テレビゲームおもちゃ」を指定商品として、同9年11月14日に設定登録され、その後、同19年5月29日及び同29年6月6日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。
3 登録第5668259号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成24年5月25日に登録出願、第9類「電子計算機,電子計算機用プログラム,電子計算機用メモリーカード,電子計算機用メモリーチップ,ノートブック型電子計算機専用ケース,電子計算機用キーボード用キャリングケース,マウスパッド,その他の電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,電子計算機ハードウェアに関するマニュアルを記憶した記録媒体,録音済みコンパクトディスク,レコード,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」、第41類「電子計算機・電子計算機用ソフトウェアおよびデータベースの開発に関する教授,その他の知識の教授,セミナー・会議・ワークショップの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧」及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同26年5月9日に設定登録されたものである。
(引用商標1?3をまとめていうときは、以下、単に「引用商標」という。)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標の指定商品中、第9類「全指定商品」について、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第23号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人及び引用商標について
申立人は、米国法人Oracle Coraporation(以下、「米国オラクル」という。)の子会社である。米国オラクルは、1977年に設立された、クラウドソリューション、データベース、統合型ミドルウェアプラットフォーム、企業向けソフトウェアアプリケーション、統合システム、サーバー、ストレージ及びこれらの関連サービスの開発・販売等を主要な業務とする会社であり、特に同社の名を冠した「Oracle Database」は、世界市場のトップシェアを占めるデータベース管理システムソフトウェアである(甲5)。米国オラクルは、2015年度のGAAP収益382億米ドル、顧客数42万社(Fortune100企業の100社を含む)、全世界のパートナー数25,000社以上、従業員数13万人以上、年間にサポートする学生の数260万人以上にもなる(甲5)、世界有数の大企業である。
日本国内においては、米国オラクルの日本法人として日本オラクル株式会社(以下、「日本オラクル」といい、米国オラクルと合わせて「オラクル社」という。)が1985年に設立され、日本国内を拠点としてオラクル社製品の販売及び関連サービスを提供している(甲6)。日本オラクルは、1999年2月5日に店頭市場へ株式を公開し、2000年4月28日に東証一部に上場を果たした後(甲6)、2016年5月期の売上高1,702億円、営業利益502億円になる企業に成長した(甲7)。2014年5月期時点での日本オラクルの顧客数は約28,000社、パートナー企業数は約1,000社であり(甲8)、オラクル製品の開発・販売に携わることができる「オラクル・パートナー・ネットワーク」の加入企業は、株式会社日立製作所、富士通株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、日本電気株式会社等を含む日本の著名企業を中心に、約100社にも上っている(甲9)。2014年における、日本オラクルの国内リレーショナル・データベース管理ソフトウェア市場におけるシェアは49.9%、国内インテグレーテッドプラットフォーム(サーバー、ディスクストレージシステム、ネットワーク機器及びソフトウェアの組合せをベンダーが認定した上で統合したシステムパッケージ)市場におけるシェアは48.6%と、いずれもトップシェアを誇っている(甲10)。また日本オラクルの顧客には、株式会社スクウェア・エニックスやグリー株式会社等の日本を代表するゲームソフト制作・開発会社も含まれている(甲11、甲12)。
日本オラクルは、東洋経済オンラインの2015年の「広告宣伝費」トップ500社ランキングにおいては、広告宣伝費14億円で302位を獲得している(甲13)。日本オラクルは、JR新宿駅に特大の広告、六本木エリアに広範囲の広告、ヒーロー映画とのコラボレーション広告を駅や新聞紙面において行った(甲14)、このような宣伝広告の効果により、「ORACLE」の文字は、オラクル社及びその商品役務を表すものとして日本国内で老若男女・職種を問わず、広く知られるに至っている。
オラクル社は、社会貢献活動として、教育事業にも力を入れており、情報教育を世界的に推進するために、IT技術者育成のためのさまざまなコンテンツやプログラムを教育機関向けに提供する「Oracle Academy」を2000年ごろから運営し、10年以上の実績を積み重ねてきた(甲15)。「Oracle Academy」は現在、世界110ヶ国310万人以上の学生を支援している(甲16)。日本オラクルでは、大学・専門学校など高等教育機関を対象としていたプログラムを2016年5月期に大幅にリニューアルし、中学校・高等学校に拡大、ゲーム開発やコンピュータグラフィックスの製作などを題材にプログラミングを学べるカリキュラムを用意し、より一層若い世代へ裾野を広げている(甲7)。また教材として、ゲーム要素の強いコンピュータソフトウェア等を使用している(甲17)。これまで日本国内では、「Oracle Academy」に年間で約100校の教育機関が参加し、3万人程度の学生が学んできた(甲17)。
オラクル社は、オラクル社の製品やサービスに関連する技術・ビジネスをテーマとする電子雑誌の発行(甲18、甲19)や、画像・映像のポッドキャステイングを行っている(甲20)。
このようにオラクル社は、コンピュータシステム・コンピュータソフトウェア関連の分野、及びIT教育の分野において世界的に著名であり、オラクル社の略称やロゴである引用商標も、本件商標の登録出願の日及び登録査定時において、オラクル社及びその商品役務を表示するものとして我が国において広く認知されていたものといえる。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、英文字の「ORACLE」と「WORD」の2つの語を組み合わせた商標である。
本件商標中の「WORD」の語は英語で「言葉、単語」といった意味があり、平易で汎用な英単語である。また、言葉や単語パズル等のゲームソフトの名称に「WORD」の文字が含まれている例は多数あり(甲21)、電子出版物や映像・画像等も言葉や単語と関連性が深いため、本件商標の指定商品の分野において、「WORD」の文字は識別力が高いものとは言えない。
一方、「ORACLE」の語は、英語で「神託、託宣」といった意味(甲22)があるが、日本人一般にその意味が知られているとは言えず、通常は造語として認識されているものと思われる。また上述のとおり、「ORACLE」の語は、オラクル社及びその商品役務を表すものとして我が国において広く認知されている。さらに、
(a)オラクル社がコンピュータハードウェア・ソフトウェアの分野において著名であること、
(b)近年のゲームソフトは、専用のゲーム機にカセットやカートリッジを差し込んで遊ぶ形式のみならず、コンピュータやスマートフォンにダウンロードして遊ぶ形式でも販売されるようになっていること、
(c)オラクル社はゲームソフト制作・開発会社とも取引があること(甲11、甲12)、
(d)オラクル社がプログラミング等のコンピュータを使用した学生向けのIT教育事業にも力を入れており、教材としてゲーム要素の強いコンピュータソフトウェア等を使用していること(甲7、甲17)、
(e)オラクル社がオラクル社の製品やサービスに関連する技術・ビジネスをテーマとする電子雑誌の発行やポッドキャスティングも行っていること(甲18?甲20)に照らせば、本件商標の第9類の指定商品は、オラクル社が著名性を有するコンピュータシステム・コンピュータソフトウェア関連の分野及びIT教育の分野の商品役務と高い関連性を有しているといえる。
したがって、本件商標がその第9類の指定商品に使用された場合、これに接した取引者・需要者は、本件商標中、オラクル社の著名な略称・商標として知られ、識別力の高い「ORACLE」の語に着目し、「ORACLE」の語に基づき商品の出所や自他商品を識別することになる。よって、本件商標からはその構成に相応して「オラクルワード」のみならず、「オラクル」との称呼も生じ、本件商標は、引用商標と称呼において類似する。
また、本件商標の第9類の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
オラクル社は、コンピュータシステム・コンピュータソフトウェア関連の分野及びIT教育の分野において世界的に著名であり、同分野において「ORACLE」の語は、本件商標の登録出願の日及び登録査定時において、オラクル社の商品役務を表示するものとして我が国において広く認知されていた。一方、本件商標中の「WORD」の語は平易で汎用な英単語であって、本件商標の指定商品の分野においても識別力が高いとは言えない。さらに、前記2に記載の(a)ないし(e)の状況に照らせば、本件商標の第9類の指定商品は、オラクル社が著名性を有するコンピュータシステム・コンピュータソフトウェア関連の分野及びIT教育の分野の商品役務と高い関連性を有しているといえる。
したがって、本件商標の第9類の指定商品に本件商標が使用された場合、これに接した取引者・需要者は、同商標中の「ORACLE」の語から、オラクル社を容易に連想・想起する。
特に、(i)オラクル社の商品役務には、「Oracle Cloud」「Oracle Database」「Oracle Applications」等のように「ORACLE」の語に他のコンピュータ関連の英単語を組み合わせた名称が付されることが多いこと(甲6)、(ii)「WORD」の語は、コンピュータの分野においてコンピュータの扱うデータの単位の一つとして用いられており、マイクロソフト社の著名な文書作成ソフトウェアである「Microsoft Word」の略称を連想させたりもする(甲23)、コンピュータに極めて関連性の深い英単語であることから、「ORACLE」と「WORD」の組合せである本件商標に接した取引者・需要者は、それがオラクル社の商品役務を表すものと認識するおそれが高い。
以上より、本件商標の第9類の指定商品に本件商標が使用された場合、取引者・需要者は、本件商標を付した当該商品がオラクル社の商品等であるか、あるいはオラクル社との間にいわゆる親子会社・系列会社等の緊密な営業上の関係がある者の商品等であると誤信するおそれが極めて高い。
以上より、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。
4 結び
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当する。

第4 取消理由の通知
審判長は、本件商標権者に対して、「本件商標の指定商品中、第9類『全指定商品』についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものと認められるから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて取り消すべきものである。」旨の取消理由を平成29年8月1日付けで通知し、相当の期間を指定して意見書を提出する機会を与えた。

第5 本件商標権者の意見
本件商標権者は、前記第4の取消理由の通知に対し、指定した期間を経過するも何ら意見を述べていない。

第6 当審の判断
1 引用商標の周知・著名性
(1)申立人の提出した証拠及び主張によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 米国オラクルは、1977年(昭和52年)に設立されたクラウドソリューション、データベース、統合型ミドルウェアプラットフォーム、企業向けソフトウェアアプリケーション、統合システム、サーバー、ストレージ及びこれらの関連サービスの開発・販売等を主要な業務とする会社である。米国オラクルの2015年(平成27年)度のGAAP収益は、382億米ドルに達し、顧客数42万社(Fortune100企業の100社を含む)、全世界のパートナー数25,000社以上、従業員数13万人以上、年間にサポートする学生の数260万人以上にも及ぶ(甲5、甲6)。
イ 日本オラクルは、米国オラクルの日本法人として1985年(昭和60年)に設立された企業であり、情報システム構築のためのソフトウェア製品、ハードウェア製品、ソリューション、コンサルティング、サポートサービス、教育の事業を展開しており、2016年(平成28年)5月期の売上高は1702億円、営業利益は502億円に達した(甲6、甲7)。また、2014年(平成26年)5月期時点での日本オラクルの顧客数は約28,000社、パートナー企業数は約1000社であり(甲8)、オラクル製品の開発・販売に携わることができる「オラクル・パートナー・ネットワーク」の加入企業は、株式会社日立製作所、富士通株式会社、株式会社エヌ・ティ・ティ・データ、日本電気株式会社、東芝ソリューション株式会社など日本の著名企業を中心に、約100社にも上っている(甲9)。さらに、2014年における、日本オラクルの国内リレーショナル・データベース管理ソフトウェア市場におけるシェアは49.9%、国内インテグレーテッドプラットフォーム(サーバー、ディスクストレージシステム、ネットワーク機器及びソフトウェアの組合せをベンダーが認定した上で統合したシステムパッケージ)市場におけるシェアは48.6%と、いずれもトップシェアを誇っている(甲10)。また、日本オラクルの顧客には、株式会社スクウェア・エニックスやグリー株式会社等の日本を代表するゲームソフト制作・開発会社も含まれている(甲11、甲12)。
ウ 日本オラクルは、その業務に係る商品等に関し、本件商標の登録出願日(平成28年4月25日)までに、引用商標(特に引用商標3)を表示して、我が国における繁華な場所に看板等を設置して、積極的に宣伝広告をし、その費用も2015年に14億円に達した(甲13、甲14)。また、オラクル社は、情報教育を世界的に推進するために、IT技術者育成のためのさまざまなコンテンツやプログラムを教育機関向けに提供する「Oracle Academy」を2000年(平成12年)ごろから継続して運営してきた(甲15?甲17)。さらに、オラクル社は、その製品やサービスに関連する技術・ビジネスをテーマとする電子雑誌を発行したり、画像・映像のポッドキャステイングを行い、その際には、引用商標を大きく表示した(甲18?甲20)。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、引用商標は、「オラクル」と称呼され、申立人の業務に係るコンピュータシステム・コンピュータソフトウェア関連の商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願日には既に、我が国のコンピュータ業界関係者のみならず、インターネット等の情報通信技術の発展・普及等と相まって、一般の企業の間においても広く認識されていたと認め得るところであり、その著名性は、本件商標の登録査定日(平成28年10月13日)においても継続していたということができる。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、前記第1のとおり、「ORACLE WORD」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、その構成中の「ORACLE」の文字部分と「WORD」の文字部分の間には1文字程度の間隔があり、これらの文字は外観上分離して看取されやすいものであり、また、「WORD」の文字部分は、「言葉、単語」などを意味する英単語として、我が国において親しまれているものであるのに対し、「ORACLE」の文字部分は、「神託、神のお告げ」などを意味する英単語であるとしても、我が国においては親しまれたものではなく、特定の語義を有しない造語を表したと理解されるものといえるから、両文字は、観念上の結びつきも弱いものといえる。してみると、本件商標は、「ORACLE」の文字部分と「WORD」の文字部分とを常に一体のものとして把握・認識しなければならない特段の理由は見いだせない。加えて、本件商標中の「ORACLE」の文字部分は、前記1の認定のとおり、申立人の業務に係るコンピュータシステム・コンピュータソフトウェア関連の商品及び役務を表示するものとして、我が国の一般の企業の間に広く認識されている引用商標1及び3と同一の綴り字よりなるものであり、また、引用商標より生ずる称呼と同一の称呼を生ずるものと認められる。
そうすると、本件商標は、その構成中の「ORACLE」の文字部分が、取引者・需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部と認めることができる。
したがって、本件商標は、構成文字全体を称呼した場合の「オラクルワード」の称呼のほか、その要部である「ORACLE」の欧部分より、単に「オラクル」の称呼をも生ずるものであって、これより、申立人の業務に係るコンピュータシステム・コンピュータソフトウェア関連の商品及び役務を想起させるとみるのが相当である。
(2)引用商標
引用商標は、前記第2のとおり、引用商標1は、「ORACLE」の文字を横書きしてなるものであり、引用商標2は、「オラクル」の文字を横書きしてなるものであり、また、引用商標3は、「ORACLE」の文字を赤色で横書きしてなるものである。
そして、引用商標は、前記1(2)で認定したとおり、その構成文字より、いずれも「オラクル」の称呼を生ずるものであって、申立人の業務に係る商品ないし役務を想起させるとみるのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との対比
本件商標は、その構成中の「ORACLE」の文字部分が、取引者・需要者に対して、商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与える要部であるから、これと引用商標1及び3とは、その綴り字を同じくする外観上類似の商標というべきである。
また、本件商標の要部と引用商標は、「オラクル」の称呼を共通にし、かつ、申立人の業務に係る商品ないし役務を想起させる点において観念上類似する商標というべきである。
したがって、本件商標は、引用商標とは、称呼及び観念において互いに紛れるおそれのある類似の商標であり、加えて、引用商標1及び3とは、外観においても類似する商標というべきである。
(4)指定商品等の類否
ア 本件商標の指定商品中の第9類「携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラム(通信回線を通じてダウンロードされる携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを含む),家庭用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路・CD-ROM・DVD-ROM・光ディスク・その他の記憶媒体」は、引用商標2の指定商品中の第9類「家庭用テレビゲームおもちゃ」に類似する商品である。
イ 本件商標の指定商品中の第9類「電子出版物,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる映像・画像・音楽・音声」は、引用商標1の指定商品中の第16類「書籍・コンピュータ及びコンピュータプログラム用マニュアル書・カタログ・その他の印刷物,写真」、引用商標2の指定商品中の第9類「レコード,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」、引用商標3の指定商品中の第9類「電子計算機ハードウェアに関するマニュアルを記憶した記録媒体,録音済みコンパクトディスク,レコード,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」及び同指定役務中の第41類「電子出版物の提供」と同一又は類似の商品及び役務である。
(5)小括
以上によれば、本件商標は、引用商標とは、商標において類似するものであって、本件商標の指定商品中の第9類に属する商品は、引用商標の指定商品・指定役務と同一又は類似の商品・役務と認めることができる。
したがって、本件商標の登録は、その指定商品中、本件登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものというべきである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、「結論掲記の指定商品」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 引用商標3(色彩については原本を参照のこと。)



異議決定日 2017-12-11 
出願番号 商願2016-46826(T2016-46826) 
審決分類 T 1 652・ 262- Z (W09)
T 1 652・ 263- Z (W09)
T 1 652・ 261- Z (W09)
最終処分 取消  
前審関与審査官 豊田 純一 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 大森 友子
田中 幸一
登録日 2016-11-18 
登録番号 商標登録第5897673号(T5897673) 
権利者 株式会社モーク・ワン
商標の称呼 オラクルワード、オラクル、ワード 
代理人 鈴木 康仁 
代理人 小林 浩 
代理人 瀧澤 文 

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