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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W08
審判 一部申立て  登録を維持 W08
管理番号 1337223 
異議申立番号 異議2017-900244 
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-08-04 
確定日 2018-01-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第5949795号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5949795号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5949795号商標(以下「本件商標」という。)は、「BLADE」の欧文字からなり、2016年(平成28年)2月4日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成28年6月15日に登録出願、第8類「はさみ,ピンセット,つめの甘皮用ニッパー,かみそり(電動式のものを含む。),あごひげトリマー,電気式又は非電気式ヘアートリマー,つめの表面の手入れ用はさみ,あごひげ用はさみ,電気式及び非電気式散髪用バリカン,つめ切り」並びに第3類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として同29年5月1日に登録査定、同年5月26日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の指定商品中、第8類「全指定商品」は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、「BLADE」の欧文字を普通に用いられる方法で表示した商標であるところ、広辞苑によれば「ブレード」の項に「刃」と記載されている。
そして、本件商標の指定商品中「はさみ,つめの甘皮用ニッパー,かみそり(電動式のものを含む。),あごひげトリマー,電気式又は非電気式ヘアートリマー,つめの表面の手入れ用はさみ,あごひげ用はさみ,電気式及び非電気式散髪用バリカン,つめ切り」(以下「はさみ等」という場合がある。)は、すべて、刃が付いていて、物を切断するのに用いる刃付き商品であり、このような刃付き商品に本件商標を使用しても、単に刃又は刃付き商品であることを表示したにすぎず、何ら自他商品を区別する標識としての機能を果たすことができないものであることは明らかである。
(2)刃付き商品は、「刃」すなわち「ブレード」を備えているので、「ブレード」の語は、刃付き商品と共に普通に使用されており、例えば、はさみ、かみそり、爪切り及び電気かみそりの説明に「ブレード」の語が使用されている(甲1?甲4)。
さらに、インターネットのサイトにおいても、はさみ及びかみそりの説明に「ブレード」の語が使用されている(甲5?甲9)。
また、インターネットの「ブレード 剃刀の売れ筋通販」のサイト(甲10)には、申立人であるフェザー安全剃刀のかみそりの刃について、「ブレイド」と表示され、インターネットの「貝印キャプテン チタン マイルド ブレード」のサイト(甲11)には、理容業務用カミソリの刃について、「ブレード」と表示されており、インターネットの「シック プロライン ブレード」のサイト(甲12)に、かみそりの刃について「ブレード」と表示されている。
(3)このように、「ブレード」の語は、はさみ、かみそり、爪切り等の刃付きの商品について、「刃」を意味する語として頻繁に使用されていることから、本件商標はこれらの商品の品質を表示するものであり、過去に、標準文字で「BLADE」と表し、第8類「手動利器」を指定商品とした商標登録出願が、識別機能を果たすことができないものとして拒絶理由通知が発せられ、拒絶査定が確定している(甲13)。
そして、前述したように、はさみ、かみそり、爪切り等の商品について、刃を表示するものとして「BLADE」又は「ブレード」の語が普通に使用されているのに、本件商標が登録されたことによって、刃物業者が「BLADE」又は「ブレード」の語を使用することについて不当に制限され、また不測の損害を受ける場合が予想され、公益性にも反することになるから、「BLADE」の語は、刃物等の刃付き商品について独占適応性を有していない。
(4)以上のとおりであるから、本件商標は、その指定商品中「はさみ等」に使用しても、単に「刃」、「刃付きの商品」又は「刃を備えた商品」といった商品の品質を表示するものであり、商標法第3条第1項第3号に該当する。また、指定商品中「ピンセット」に使用するときは商品の品質の誤認を生じるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。
よって、これらの指定商品についての商標登録は、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
ア 「ブレード(ブレイド)」の文字の識別力について
(ア)「ブレード(ブレイド)」の文字について
「ブレード(ブレイド)」の文字は、「(1)(刃・ナイフなどの)刃;(2)(プロペラ・エンジンなどの)羽根;(3)(オール・パドルの)水かき」等を意味する英単語「blade」(「ジーニアス英和辞典 第5版」(株)大修館)の片仮名表記と理解されるものである。
(イ)「はさみ等」に関する申立人提出の証拠について
a 公開特許公報等の公報(甲1?甲4)には、「安全鋏」について「少なくとも片面が凸状に形成され、片端に把持部を有する一対のブレードと、該一対のブレードを重ねて連結するピンとから構成された安全鋏」(甲1)の記載、「かみそり」について「ブレードの組み付けをさらに工夫することによって、より一層のコストダウンを図ることができて・・・ブレード20を保持させたブレードホルダーを・・・」(甲2)の記載、「爪切り」について「・・・ブレード本体の上下ブレードの一端部にそれぞれ備えられた切断刃は、上記ブレード本体の他端部に向かって所定の第1曲率で湾曲し、上記ブレード本体に対しては所定の第2曲率で湾曲している。」(甲3)の記載、及び「電気かみそり」について「・・・アーチ状のブレードを長くして髭の切断音を大きくすることができる電気かみそり・・・アーチ状のブレード14を形成し・・・中央部に形成されるブレード14aの下端部15aを・・・上側に形成されるブレード14bの下端部15bよりも下側に配置した。」(甲4)等の記載があり、いずれも、発明又は考案に係る図面が表示されている。
b 「はさみ」の説明に「ブレード」の語が使用されているとするインターネットのウェブサイト(甲5、甲8、甲9)には、「鋼材の板から刃の元となる『ブレード』作ります。・・・砥石でブレードを削って刃を付けます。・・・ブレードを一枚一枚手作業で確認します。」(甲5)の記載、「タフなブレード、針金切り付」(甲8)の記載、及び「特殊形状のブレードでガラスとビンとキャップを簡単に区別できます。・・・材質:ブレード/ステンレス刃物鋼・・・特殊形状の角付きブレードで切断物が手に当たらずらくらく切り進めます。」(甲9)等の記載がある。
c 「かみそり」の説明に「ブレード」の語が使用されているとするインターネットのウェブサイト(甲6、甲7、甲10?甲12)には、「三ヶ月使い込んだブレードの様子と、新品のブレードを顕微鏡撮影して・・・」(甲6)の記載、「ブレード交換式のStraightは全てざっくりとShavetteと呼ばれているのが現状です。・・・両刃のブレードを丸ごと使うもの・・・Injectorのブレードを使うもの、Feather/Kaiのブレードを使うもの・・・簡単に購入できる両刃のブレードを半分に折って・・・」(甲7)の記載がある。
また、包装箱に「ブレイド」の文字が表示された商品の写真の横に「フェザー安全剃刀 フェザープロフェッショナル ブレイド PB-20 替刃 20枚入り×10コ」(甲10)の記載があり、包装箱に「CAPTAIN TITAN MILD/キャプテンチタンマイルドブレード」の文字が表示された商品の写真の下部に「キャプテン チタン マイルド ブレード20 替刃」(甲11)の記載、及び「プロライン ブレード B-20・・・扱いやすさ優先の短刃ブレード選べるブレードでプロの技術を応援。」(甲12)の記載がある。
d 上記によれば、「ブレード」の文字が、はさみ、爪切り、かみそり、電気かみそり及び替え刃についての説明文中に使用されていることが認められ、「片面が凸状に形成され、片端に把持部を有する一対のブレード」(甲1)、「アーチ状のブレード」(甲4)、「両刃のブレードを丸ごと使うもの」(甲7)等の記載、及び替え刃の包装箱に「○○ブレード(ブレイド)」の表示があること等からすれば、「ブレード(ブレイド)」の文字は、上記商品との関係において、構造上の「刃」の部分を認識させる場合があるといえるものの、刃付きの商品であることを表す語として「ブレード(ブレイド)」の文字が使用されているものはなく、「ブレード(ブレイド)」の文字が、上記各商品の品質、例えば、形状、材質、用途等の如何なる品質を表示しているのかが明らかではなく、商品の品質を具体的に表示するものとして使用されているとはいえないものである。
また、「ブレード(ブレイド)」の文字が、上記商品以外の「はさみ等」の品質を表示するものとして使用されている証拠の提出はない。
してみれば、「ブレード(ブレイド)」の文字は、「はさみ等」の品質を表示するとはいえない。
イ 本件商標の識別力について
本件商標は、前記1のとおり、「BLADE」の文字を書してなるところ、該文字は、「(1)(刃・ナイフなどの)刃;(2)(プロペラ・エンジンなどの)羽根;(3)(オール・パドルの)水かき」等を意味する英単語「blade」を大文字で表してなるものである。
そして、本件商標の「BLADE」の文字が、その指定商品中の「はさみ等」の品質を具体的に表示するものとして使用されている証拠の提出はなく、これが複数の意味合いを有する語であること、及び本件商標「BLADE」は、その構成文字の全てが大文字で表示されていることを加味すれば、英単語としての「blade」が有する意味合いの一つにすぎない「(刃・ナイフなどの)刃」の意味を直ちに想起させるとまではいい難いものである。
さらに、上記アのとおり、本件商標の片仮名表記であると無理なく理解される「ブレード(ブレイド)」の文字においても、これが、その指定商品中の「はさみ等」の品質を表すとはいえないものである。
してみれば、本件商標をその指定商品中「はさみ等」に使用しても、これに接する取引者、需要者が、当該商品の具体的な品質を認識するとはいえず、本件商標は、指定商品中の「はさみ等」について、自他商品の識別標識として十分機能し得るものとみるのが相当である。
また、本件商標は、上記のとおり、何ら、具体的な商品の品質を表示するものではないから、本件商標の指定商品中の「ピンセット」に使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれもない。
ウ 小括
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
(2)申立人の主張について
ア 申立人は、「『ブレード』の語は、はさみ、かみそり、爪切り等の刃付きの商品について、『刃』を意味する語として頻繁に使用されていることから、本件商標はこれらの商品の品質を表示するものであり、過去に、標準文字で『BLADE』と表し、第8類「手動利器」を指定商品とした商標登録出願が、識別機能を果たすことができないものとして拒絶理由通知が発せられ、拒絶査定が確定している。」旨を主張している。
しかしながら、上記(1)のとおり、「ブレード(ブレイド)」の文字が「刃」を意味する語として認識される場合があるとしても、「はさみ等」との関係において、商品の品質、例えば、形状、材質、用途等如何なる品質を表示しているのかが明らかではなく、商品の品質を具体的に表示するものとして使用されているとはいえないものである。
また、商標が識別力を有するか否かの判断は、登録査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準と
して商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、申立人の挙げた審査
例があるからといって、本件商標が自他商品識別標識としての機能を有していないとまではいえないものであり、かつ、当該審査例における商標登録出願については、職権をもって調査した結果によれば、意見書の提出もなく、拒絶をすべき旨の査定が確定しているものであるから、このような審査例が本件商標についての同号該当性の判断にそのまま当てはまるとはいい難いものである。
イ 申立人は、「はさみ、かみそり、爪切り等の商品について、刃を表示するものとして『BLADE』又は『ブレード』の語が普通に使用されているのに、本件商標が登録されたことによって、刃物業者が『BLADE』又は『ブレード』の語を使用することについて不当に制限され、また不測の損害を受ける場合が予想され、公益性にも反することになるから、『BLADE』の語は、刃物等の刃付き商品について独占適応性を有していない。」旨を主張している。
しかしながら、申立人の提出した証拠によれば、「ブレード(ブレイド)」の文字は、構造上の「刃」の部分を説明するために使用されているにすぎず、商品が、刃付きの商品であるとか、商品の何らかの品質を具体的に表すものとして「BLADE」の文字が「はさみ等」の商品に使用されている証拠はないものである。
また、刃物業者が「BLADE」又は「ブレード(ブレイド)」の語を使用することについていかなる場合に不当に制限され、また不測の損害を受ける場合があるのか明らかにしておらず、かつ、それが予想されることを裏付ける証拠の提出もないことからすれば、本件商標を登録することが、直ちに公益性に反することになるということはできない。
したがって、申立人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、その指定商品中、第8類「全指定商品」について、商標法第3条第1項第3号及び同法4条第1項第16号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2018-01-19 
出願番号 商願2016-65157(T2016-65157) 
審決分類 T 1 652・ 13- Y (W08)
T 1 652・ 272- Y (W08)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平松 和雄 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 木住野 勝也
中束 としえ
登録日 2017-05-26 
登録番号 商標登録第5949795号(T5949795) 
権利者 シーブイエス ファーマシー インコーポレイテッド
商標の称呼 ブレード 
代理人 久保 怜子 
代理人 伊藤 浩平 
代理人 阿部 達彦 
代理人 小暮 理恵子 
代理人 行田 朋弘 

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