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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W25
審判 全部申立て  登録を維持 W25
管理番号 1337218 
異議申立番号 異議2017-900038 
総通号数 219 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-03-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-09 
確定日 2017-12-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5897540号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5897540号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5897540号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成28年6月10日に登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年11月4日に登録査定、同月18日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する商標は、以下のとおりである。
(1)別掲(2)のとおりの構成よりなる商標
昭和55年7月31日登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同60年3月25日に設定登録、平成17年12月14日に、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換の登録がされた登録第1752369号商標ほか、登録第1893755号商標、登録第1664559号商標、登録第1577096号商標、登録第1625615号商標、商願2017-57881(これらをまとめて、以下「引用商標1」という。)
(2)別掲(3)のとおりの構成よりなる商標
平成6年12月8日登録出願、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同9年9月19日に設定登録された登録第4058526号商標ほか、登録第5322769号商標、登録第2373646号商標、登録第3368057号商標、登録第4046196号商標、登録第4053543号商標、登録第4073381号商標、登録第5043717号商標、登録第5337065号商標、登録第5661893号商標、登録第5941171号商標(これらをまとめて、以下「引用商標2」という。)
(3)別掲(4)のとおりの構成よりなる商標
昭和56年9月9日登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同61年9月29日に設定登録、平成18年11月22日に、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換の登録がされた登録第1893741号商標ほか、登録第1893756号商標、登録第2065346号商標(これらをまとめて、以下「引用商標3」という。)
(4)別掲(5)のとおりの構成よりなる商標
昭和53年11月2日登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同58年3月28日に設定登録、平成15年8月20日に、第25類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とする指定商品の書換の登録がされた登録第1577375号商標(以下「引用商標4」という。)
(5)上記(1)ないし(4)に記載の商標のほか、登録第4522862号商標、登録第4522863号商標、登録第4522864号商標
(なお、引用商標1及び2並びに引用商標3の図形部分及び引用商標4の中央に配された図形部分を、以下「三つ葉ロゴ」という。)

3 登録異議申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第15号該当性
ア 申立人の使用に係るトレフォイルロゴ(三つ葉ロゴ。)は、3枚の葉様図形とこれを横切る3本線を白抜きしてなるものであり、1972年から1995年まで申立人のコーポレートロゴ(社章)として、また、2001年以降現在までは、ストリートスポーツウェアを中心とする「オリジナルス(Originals)」製品部門のシンボルマークとして、40年以上にわたり、申立人の業務に係る被服、履物その他のスポーツ用品等に使用され、本件商標の登録出願時及び査定時には、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の指定商品の取引者・需要者の間に広く認識されていた(甲2?甲141)。
イ 本件商標は、2枚の葉様図形の下に2本の同幅の平行線を均等間隔で配置した図形(以下「本件図形」という。)と、その下に書された「XIAT」の文字から構成され、本件図形と文字部分は、それぞれが独立の出所識別標識として機能し得るものである。
本件図形と三つ葉ロゴを比較すると、両者は、放射状に配置された2枚又は3枚の細長い葉様図形と2本又は3本の同幅で均等間隔に配置された平行線から構成される点が共通し、その全体的な外観印象が類似する。のみならず、本件図形は、三つ葉ロゴの構成の一部を切り取って形成される図形と略同一のものである(甲135)。
したがって、本件図形は、三つ葉ロゴと構成の軌跡を一にするものというべきであり、取引者・需要者に酷似した印象を与えることが明らかである。
本件商標の指定商品は、三つ葉ロゴが使用されている商品と同一又は類似のものである。
よって、本件商標が指定商品に使用された場合には、取引者・需要者は、申立人の使用に係る三つ葉ロゴ及び申立人を想起連想し、申立人又はこれと経済的、組織的に関連を有する者の取り扱いに係る商品であると誤信し、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
ウ 本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、本件商標のみならず、これと同種の手法で、三つ葉ロゴを模した図形に申立人の3本線商標を模した2本の平行なストライプを組み合わせてなる商標も登録出願中である(甲142)。さらに、本件商標権者は、他人の周知著名商標を構成文字とする商標を無断で登録出願し、拒絶査定処分がされた事実がある(甲143?甲145)。また、2015年6月30日から2016年12月30日までの1年6月の短期間に少なくとも253件以上の膨大な件数の商標登録出願を行っており(甲146)、これらすべての商標が本件商標権者の業務に係る商品又は役務に使用するために登録出願されたものかは疑わしい。
エ 以上の事実を総合すれば、本件商標は、三つ葉ロゴの世界的な著名性、信用力、顧客吸引力にフリーライドし、不当な利益を得る不正目的で採択、登録、使用するものといわざるを得ない。また、本件商標がその指定商品に使用された場合、三つ葉ロゴの出所表示機能が著しく毀損、希釈化されて、申立人に経済的、精神的な損害を与えることは明白である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第7号該当性
本件商標は、前記(1)エのとおりであるから、公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の目的、社会一般道徳及び国際信義に反するものであり、公の秩序を害するおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第15号について
ア 三つ葉ロゴの著名性について
申立人の主張及び甲第26号証ないし甲第96号証、甲第103号証ないし甲第113号証、甲第122号証、甲第124号証、甲第125号証、甲第134号証を総合すると、申立人は、1920年(大正9年)にトレーニングシューズの製造、販売を行う会社として創業し、1948年(昭和23年)に「adidas」を商標登録、翌年の1949年(昭和24年)に、スポーツシューズの左右側面に3本線の商標を使用することを開始し、その後、1967年(昭和42年)には、3本線の商標を表示した陸上競技用ウエアの製造販売を開始したこと、三つ葉ロゴは、1972年(昭和47年)から1995年(平成7年)まで申立人の正式ロゴとして使用され、三つ葉ロゴを使用したスポーツシューズ、スポーツウエアは、サッカーワールドカップやオリンピック等、世界的に著名なスポーツ競技大会において、それに出場する選手に使用され続けてきたこと、三つ葉ロゴは、現在は、申立人のストリートスポーツウェアブランド「アディダスオリジナルス」のロゴとして使用されていること、また、申立人は、三つ葉ロゴを使用したスポーツシューズ、スポーツウエア等のスポーツ関連用品について、1980年(昭和55年)頃から、「サッカーマガジン」、「月刊陸上競技」、「陸上競技マガジン」といったスポーツ専門雑誌に継続して広告をしたこと、などを認めることができ、三つ葉ロゴは、本件商標の登録出願日(平成28年6月10日)には既に、申立人の業務に係る商品「スポーツシューズ、スポーツウエア、スポーツ用品」を表示するものとして、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。そして、その著名性は、本件商標の登録査定日(平成28年11月4日)の時点においても継続していたものと認める。
イ 本件商標と三つ葉ロゴとの類似性
(ア)本件商標
本件商標は、別掲(1)のとおり、上部中央に、黒色で塗りつぶし、左右の辺がやや丸みを帯びた二等辺三角形様の山型図形を配し、その右に、該二等辺三角形様山型図形の底辺と同一の仮想水平線上に底辺があり、かつ、頂角が右方向に傾斜した黒塗りの山型図形を配し、さらに、これらの2つ山型図形の下部には、わずかな隙間を空けて、左右の辺を斜めにした2本の黒塗りの太線を平行にして配してなる図形(本件図形)と、該2本の黒塗り太線のうちの下部の線に接するように横書きされた「XIAT」の文字よりなるものであるところ、その構成中の「XIAT」の文字部分は、我が国において馴染みがなく、その語義を理解することは困難であるばかりか、直ちに特定の称呼が生ずるものともいえない。また、本件図形は、全体として抽象的図形を表したと理解されるものであるから、特定の称呼及び観念が生ずるものではない。してみると、本件商標中の本件図形と文字部分は、観念上密接な関係を有するものではないところから、これらが常に一体のものとして把握・認識されるものではなく、本件商標に接する取引者・需要者は、その構成中、顕著に表された本件図形に着目し、これを目印にして商品の取引に当たる場合も決して少なくないものとみるのが相当である。
したがって、本件図形は、独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮するものであって、これより特定の称呼及び観念は生じないものと認める。
(イ)三つ葉ロゴ
三つ葉ロゴは、別掲(2)?(5)のとおりの構成よりなる引用商標1?4における図形部分(引用商標4においては、中央に配置された図形部分。)よりなるものであるところ、その構成は、縦に並べた同一の大きさの黒塗りの3枚の葉様図形の下部を接近させて扇形状に配し、該3枚の葉様図形内に、同一の太さの3本の白抜きの横線を、3枚の葉様図形を貫くように、3枚の葉様図形内のほぼ真ん中から下部にかけて、同間隔に平行に配した構成よりなるものである。そして、三つ葉ロゴは、前記ア認定のとおり、構成全体をもって、本件商標の登録出願日及び登録査定日の時点において、申立人の業務に係る商品「スポーツシューズ、スポーツウエア、スポーツ用品」を表示するものとして、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものである。
したがって、三つ葉ロゴは、申立人の業務に係る商品を表示するブランドとしての観念を直ちに想起させるものといえる。
(ウ)本件図形と三つ葉ロゴとの対比
a.外観
本件図形は、形の異なる2つの黒塗り山型図形とその下に配された2本の平行した黒塗り太線からなる抽象的図形である。
一方、三つ葉ロゴは、縦に並べた同一の大きさの3枚の黒塗り葉様図形とこれらの内部を貫くように配された3本の平行した白抜きの線からなるものである。
そうすると、本件図形と三つ葉ロゴは、その主たる構成部分がいずれも黒塗りである点については共通するとしても、前者は、形の異なる2つの山型図形であり、後者は、縦に並べた同一の大きさの3枚の葉様図形である点において明確に相違するばかりか、平行線においても、前者が黒塗りの2本線であるのに対し、後者は、白抜きの3本線である点及び配された位置においても相違するものであるから、これらの相違が看者に与える印象において大きく異なるものといえる。してみると、本件図形と三つ葉ロゴは、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上互いに紛れるおそれはないものとみるのが相当である。
上記に関し、申立人は、本件図形は、三つ葉ロゴの構成の一部を切り取って形成される図形と略同一のものである旨主張し、甲第135号証を提出する。
甲第135号証によれば、本件商標は、三つ葉ロゴの一部を切り取ったものと外観上極めて近似することが認められる。しかし、三つ葉ロゴは、構成全体をもって、申立人の業務に係る商品を表示するものとして著名性を獲得しているものであるから、その一部分のみが独立して認識されるものとはいえず、本件商標に接する取引者・需要者が、三つ葉ロゴの一部分を切り取ったものと認識するとは考え難いところである。
したがって、本件商標は、三つ葉ロゴとは、外観において類似するものとはいえない。
b.称呼及び観念
本件商標は、その構成中の本件図形はもとより、構成全体としても特定の称呼、観念が生ずるものではないから、三つ葉ロゴとは、称呼及び観念において比較することはできない。
c.以上によれば、本件商標は、三つ葉ロゴとは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標と認める。
ウ 出所の混同のおそれ
前記アのとおり、三つ葉ロゴは、申立人の業務に係る商品「スポーツシューズ、スポーツウエア、スポーツ用品」を表示するものとして、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものである。しかし、本件商標は、三つ葉ロゴとは、外観のみならず、観念及び称呼においても類似するものではなく、別異の商標というべきであるから、本件商標の指定商品と三つ葉ロゴが使用される商品とが関連性が高く、かつ、その需要者を共通にする場合があることを考慮しても、本件商標に接する需要者が、三つ葉ロゴを想起又は連想することはないというのが相当である。
してみると、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、その取引者・需要者をして、該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれのある商標ということはできない。
エ 申立人は、本件商標権者は、三つ葉ロゴ及び3本線商標を模した商標も登録出願中であり、また、他人の周知著名商標を構成文字とする商標を無断で登録出願した事実が過去にあり、さらに、1年6月の短期間に253件以上の膨大な件数の商標登録出願を行った事実があるから、本件商標は、不正の目的をもって採択、使用するものである旨主張して、甲第142号証ないし甲第146号証を提出するところ、甲第142号証ないし甲第146号証によれば、本件商標権者が、当該証拠に示す商標を登録出願した事実を認めることができる。しかし、前記認定のとおり、本件商標は、三つ葉ロゴとは、非類似の商標というべきであるから、上記事実をもって、本件商標が、三つ葉ロゴにフリーライドするなど不正の目的をもって採択、使用するものと直ちに認めることはできない。してみると、上記に関する申立人の主張は理由がない。
オ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第7号について
前記(1)イ認定のとおり、本件商標は、三つ葉ロゴとは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標と認めることができる。
してみると、本件商標は、三つ葉ロゴにフリーライドするなどの不正の目的をもって使用する商標であると認めることはできず、また、商取引の国際的秩序を阻害し商道徳・国際信義に反するものともいえない。その他、本件商標が公序良俗に反する商標であると認めるに足りる証拠はない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号のいずれの規定にも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)本件商標


(2)引用商標1


(3)引用商標2


(4)引用商標3


(5)引用商標4




異議決定日 2017-09-13 
出願番号 商願2016-63931(T2016-63931) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (W25)
T 1 651・ 271- Y (W25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松田 訓子 
特許庁審判長 田中 幸一
特許庁審判官 今田 三男
大森 友子
登録日 2016-11-18 
登録番号 商標登録第5897540号(T5897540) 
権利者 義烏誠品网絡科技有限公司
商標の称呼 シャット、シアット、ジアット、キシアット、クシアット、エキシャット、エクシャット 
代理人 柳田 征史 

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