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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X25 |
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管理番号 | 1337190 |
審判番号 | 取消2016-300889 |
総通号数 | 219 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-03-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2016-12-19 |
確定日 | 2018-01-22 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5147224号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第5147224号商標(以下「本件商標」という。)は,「San Lorenzo」の欧文字と「サン ロレンツォ」の片仮名を二段に書してなり,平成19年11月1日に登録出願,第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として,同20年7月4日に設定登録されたものである。 そして,本件審判の請求の登録日は,平成29年1月11日である(以下,同登録前3年以内の期間を「要証期間」という場合がある。)。 第2 請求人の主張 請求人は,本件商標の登録を取り消す,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は,継続して3年以上,日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても,その指定商品について使用された事実がない。 よって,本件商標は,その指定商品について,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 被請求人が提出した審判事件答弁書に対し,請求人からの弁駁はなかった。 第3 被請求人の答弁 被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を,審判事件答弁書及び審尋に対する回答書において,要旨以下のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。 1 答弁の理由 本件商標は,以下のとおり,その指定商品について,要証期間に日本国内において,本件商標権者により使用されていた事実がある。 (1)乙第2号証について 被請求人は,本件商標の登録後から現在まで,継続的にイタリアの服飾メーカーであるSan Lorenzo Group S.R.L.(以下「サン・ロレンツォ社」という。)から被服(以下「サン・ロレンツォ製品」という。)を日本に輸入し,日本国内において,小売業に販売したり,自ら販売していた。 乙第2号証は,2015年11月に被請求人がサン・ロレンツォ社の担当者に手渡した四型表と呼ばれる表であり,商品名を「UGO」とする女性用のコートを含む,サン・ロレンツォ社に発注予定の商品が掲載されている。四型表の「MANIGLIA(San Lorenzo)」の表示は,サン・ロレンツォ社の「MANIGLIA」のブランド名の商品であることを示し,「2016/AW」は,2016年秋冬物を意味する。「ART No.」の欄には商品名が記載されており,「事業部品番」は,被請求人の顧客である株式会社アバン(以下「アバン社」という。)が指示した品番号であり,「UGO」の場合は「TK900-40」が振られている。また,「素材」の欄には,商品の素材の情報,産地,サン・ロレンツォ社の生地番号,製品の重量が記載されている。表の下半分の欄は色,サイズ,数量を指定するものである。 (2)乙第3号証及び乙第4号証について 乙第3号証は,被請求人からサン・ロレンツォ社に対して2016年5月9日に送付した電子メールの写しであり,乙第4号証は,当該電子メールに添付された,同月10日付けのサン・ロレンツォ製品の注文書である。これにより,四型表(乙2)に基づくサン・ロレンツォ製品の正式な注文(以下「本件注文」という。)がなされている。 当該注文書(乙4)には,「Maniglia da San Lorenzo」のラベルを使用する旨の指示が記載されている。また,「UGO」に関しては,事業部品番「TK900-40」とともに発注数が記載されており,四型表(乙2)の記載と同じく,色番号1番(ベージュ×グレー)のものを計20着,同3番(グレー×チャコール)のものを計20着,合計40着を,単価450ユーロ,合計18000ユーロで注文していることが記載されている。 (3)乙第5号証ないし乙第8号証について 本件注文にかかるサン・ロレンツォ製品の一部が,2016年6月にイタリアから日本に輸入された(乙5?乙8)。 ア 乙第5号証は,輸出者をサン・ロレンツォ社,荷受人を被請求人とする航空貨物運送状であり,右中段の「商品の状態及び量」の欄には,取消不能の信用状で決済されること,及び信用状の番号が記載され,また,右上にAWB番号が記載されている。 イ 乙第6号証は,航空貨物運送状(乙5)に添付のサン・ロレンツォ社のインボイスであり,「UGO」,「CAPUA」,「NEVE」の3種類のサン・ロレンツォ製品が配送されることが記載されており,信用状の番号も記載されている。当該インボイス添付の別紙はパッキングリストであり,各製品の具体的なサイズの内訳と数量が記載され,「UGO」については,色番号1番の42サイズ1着・48サイズ1着,色番号3番の42サイズ1着・48サイズ1着がパッキングされていることが分かる。 ウ 乙第7号証は,関空税関発行の輸入許可通知書であり,AWB番号により特定されるとおり,上記航空貨物運送状によって輸入されたサン・ロレンツォ製品に関するものである。右上には申告番号が記載されている。 エ 乙第8号証は,株式会社日立物流バンテックフォワーディング発行の請求書であり,航空貨物運送状(乙5)によって輸入されたサン・ロレンツォ製品に関する国内の貨物運送事業者からの請求金額を記載したものであり,このことは,HAWB番号,許可番号(輸入許可通知書(乙7)の申告番号と同じ)から明らかである。これによると,被請求人に配送されたのは,2016年6月21日である。 (4)乙第9号証について 被請求人からサン・ロレンツォ製品を特に購入していたのがアバン社であり,アバン社は,同商品を子会社の株式会社レリアン(以下「レリアン社」という。)に販売し,レリアン社は日本全国の直営店舗や百貨店の店舗において同商品を販売していた。 乙第9号証は,被請求人からアバン社宛ての製品納品書であり,被請求人が,2016年7月14日に,「UGO」を含むサン・ロレンツォ製品(他の輸入分もまとめて)を2016年の秋冬物としてアバン社に販売したことを示すものである。当該納品書には,納品物として「UGO」が,アバン社の品番である「TK900-40」とともに記載されている。 (5)乙第10号証ないし乙第12号証について 上記(4)のサン・ロレンツォ製品を,さらにアバン社から購入したレリアン社が,日本全国で,「UGO」を含むサン・ロレンツォ製品を販売した。 ア 乙第10号証は,レリアン社が発行した2016年春夏物のカタログ「Maniglia da San Lorenzo」であり,レリアン社は,遅くとも2016年の前半には,「San Lorenzo」の商標を付したサン・ロレンツォ製品を全国で販売した。 イ 乙第11号証は,被請求人代理人が大阪弁護士会を通じてレリアン社に行った,当該カタログについての照会書である。 ウ 乙第12号証は,上記照会書に対するレリアン社からの回答書であり,当該カタログが,遅くとも平成28年3月31日には発行・頒布されていた旨,また,当該カタログに記載の商品は,レリアン社がアバン社から仕入れたものであり,アバン社は,被請求人から商品を仕入れている旨が記載されている。 (6)乙第1号証について 乙第1号証は,本件注文に基づき2016年6月に輸入されたサン・ロレンツォ製品のうち,現在も残存している「UGO」(色番号3番(グレー×チャコール))の現物を撮影した写真である。同商品の襟部分のタグの中段部分には,「San Lorenzo」と明記され,本件商標が付されていることが分かる。また,同商品の紙タグには,商品名「UGO」とともに,色番号3番を示す番号「93」,サイズ「42」,及び素材が記載されており,いずれも四型表,注文書,航空貨物運送状等に記載のものと合致する情報が記載されている。 (7)以上のとおり,被請求人が本件商標を要証期間に日本国内において,本件商標の指定商品の一つである「被服」について,使用していた事実は証拠により明確に裏付けられている。 第4 当審の判断 1 被請求人の提出に係る証拠及び同人の主張によれば,以下のとおりである。 (1)2015年11月6日付けの「四型表」(乙2)には,「MANIGLIA(San Lorenzo) 2016A/W」の表示があり,4種類のジャケット及び婦人用コートの写真が掲載されている。 そして,表の左から3番目には,婦人用コートの写真及びそのイラストが表示され,その下に,「ART No.」の項に「UGO」,「事業部品番」の項に「TK900-40」,「COLOR」の項に「グレー×チャコール」につき,「40(7)」を2着,「42(9)」を7着,「44(11)」を6着,「48(13)」を5着の計20着であることの記載がある。 (2)本件商標権者を差出人とし,サン・ロレンツォ社を宛先とする,2016年5月9日付けの「電子メール」(乙3及び訳文)には,「OrderSheet2016AW SanLorenzo.docx」のタイトルのOrder Sheet(注文書)が添付されている。 そして,2016年5月10日付けの上記Order Sheet(注文書)(乙4及び訳文)には,1葉目に,「その他指示」として「Avant/Leilianからの洗濯表示ラベル Maniglia da San Lorenzoラベルを使用して下さい」の旨が記載され,2葉目に,商品名を「UGO」,品番を「TK900-40」,色を「Grigio×GrigioS(グレー×グレーS)」,サイズ「40」を2着,「42」を7着,「44」を6着,「48」を5着の計20着であることの記載がある。 (3)荷送人をサン・ロレンツォ社とし,荷受人を本件商標権者とする2016年6月16日付けの航空貨物運送状(乙5及び訳文)には,「数量」の項に「1」,「総重量」の項に「11.00」,「品物の性質及び数量(面積又は容積)」の項に「衣類 FOBイタリア空港」の記載がある。 (4)サン・ロレンツォ社から本件商標権者に宛てた2016年6月13日付けのインボイス(乙6及び訳文)には,「品目」の項に「UGO」,「詳細」の項に「婦人物コート」及び「原産国:イタリア製」の記載があり,「パッキングリスト」には,「品目」の項に「UGO」,「詳細」の項に「コート」,「色」の項に「3」,「42」を1着,「48」を1着,を含む10着であることの記載がある。 (5)2016年6月20日付けの「申告番号」を「40940310120」とする,関西空港税関支署長名の「輸入許可通知書」(乙7)には,「輸入者」の項には本件商標権者の記載,及び「輸入取引者」の項にはサン・ロレンツォ社の記載があり,「貨物個数」の項に「1個」,「貨物重量」の項に「11.0KGM」及び「品名」の項に「WOMEN’S OVERCOAT」の記載がある。 (6)株式会社日立物流バンテックフォワーディングから本件商標権者に宛てた2016年6月21日付けの「請求書」(乙8)には,サン・ロレンツォ社を「Shipper(船荷主)」とし,「許可番号/許可日」を「40940310120 2016/6/20」及び「船積日または配送日」を「2016/6/21」,「品名」の項には「GARMENTS」,「重量」の項には「11.000KGS」の記載があり,「費目」の項には,「輸入航空運賃,ターミナル料,通関料(輸入),国内輸送料,輸入取扱料」について,その請求金額合計が記載されている。 (7)本件商標権者からアバン社に宛てた平成28年(2016年)7月14日付けの「製品 納品書(発行者控)」(乙9)には,「営業品番」の項に「TK900-40」,「ブランド品番」の項に「UGO」,「品名」の項に「コート」,「カラー」の項に「グレー×チャコール」,「7」を2着,「9」を4着,「11」を6着,「13+」を4着であることの記載がある。 (8)平成29年(2017年)2月13日に被請求人の代理人が撮影した商品「UGO」の4葉の写真(乙1)には,グレー色の婦人用コート(以下「本件使用商品」という。)が写されており,その1葉目には,本件使用商品の襟に縫い付けられたタグに「UGO」の表示があり,その3葉目には,本件使用商品の襟タグの中程に,「da San Lorenzo」の欧文字(以下「本件使用商標」という。)が表示されており,4葉目には,商品のタグに「UGO10/MADE IN Italy」の記載がある。 2 上記1の事実によれば,以下のとおり判断できる。 (1)本件商標の使用時期及び使用商品について 本件商標権者は,サン・ロレンツォ社に対し,2016年5月10日付けで,商品名を「UGO」,品番を「TK900-40」,色を「グレー×チャコール」,サイズ「40」を2着,「42」を7着,「44」を6着,「48」を5着の計20着の婦人用コートを含む商品について,本件使用商標を含む表示のラベルを付す指示をして,電子メールで注文を行い,当該コートは同年6月20日に輸入された。そして,本件商標権者は,2016年7月14日に,輸入した婦人用コートのうち,本件使用商品を含む,日本サイズ「7」を2着,「9」を4着,「11」を6着,「13+」を4着,アバン社に納品したものと認められる。 そして,商品「コート」は,本件審判の請求に係る指定商品「被服」の範ちゅうに含まれる商品と認められる。 (2)本件商標と本件使用商標の社会通念上の同一性について 本件商標は,上記第1のとおり,「San Lorenzo」の欧文字と,「サン ロレンツォ」の片仮名を二段に書してなるところ,下段の片仮名は,上段の欧文字の読みを表したものと認められ,構成各文字からは,「サンロレンツォ」の称呼を生ずるものである。 一方,本件使用商標は,上記1のとおり,「da San Lorenzo」の欧文字からなるところ,構成中の「da」の欧文字部分は,「?から」等を意味するイタリア語の前置詞であって,比較的自他商品識別力の弱い部分といえるものであるから,「San Lorenzo」の文字部分が独立して出所識別標識としての機能を果たすものとして認識されるものである。 そうすると,使用商標の構成中の「San Lorenzo」の欧文字は,本件商標の欧文字部分とつづりが同一であり,本件商標の構成中「サン ロレンツォ」の片仮名を欧文字で表したものと理解されるものであるから,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。 (3)小括 上記(1)及び(2)によれば,本件商標権者は,要証期間に,本件審判の請求に係る指定商品「被服」に含まれる「コート」に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して引き渡したものということができる。 そして,当該行為は,「商品に標章を付したものを引渡す行為」(商標法第2条第3項第2号)に該当するものである。 3 まとめ 以上のとおりであるから,被請求人は,要証期間に日本国内において,本件商標権者が本件審判の請求に係る指定商品「被服」に含まれる「コート」について,本件商標(社会通念上同一のものを含む。)の使用をした事実を証明したものと認めることができる。 したがって,本件商標の登録は,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-11-28 |
結審通知日 | 2017-12-01 |
審決日 | 2017-12-14 |
出願番号 | 商願2007-115540(T2007-115540) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(X25)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 金子 尚人 |
特許庁審判長 |
田中 亨子 |
特許庁審判官 |
小林 裕子 平澤 芳行 |
登録日 | 2008-07-04 |
登録番号 | 商標登録第5147224号(T5147224) |
商標の称呼 | サンロレンツォ、ロレンツォ、ロレンソ |
代理人 | 特許業務法人浅村特許事務所 |
代理人 | 小原 望 |
代理人 | 古川 智祥 |