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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W3032
管理番号 1336352 
異議申立番号 異議2016-900347 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-02-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-10-26 
確定日 2017-12-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5870836号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5870836号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5870836号商標(以下「本件商標」という。)は、「免疫」の文字を標準文字で表してなり、平成27年10月15日に登録出願、第30類「茶,紅茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,コーヒー豆,かゆ,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ」及び第32類「清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料」を指定商品として、同28年6月28日に登録査定、同年7月29日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第36号証を提出した。
1 「免疫」を含む商標について
「免疫」を含む商標の過去の出願登録状況を調査したところ、以下のようなことがわかった。
(1)「免疫」に原材料名など、識別力のない称呼を結合させた商標は、基本的に商標法3条による拒絶が出されている。(甲3?甲14)
(2)1類の化学品、5類のサプリメントにおいては「免疫」商標は商標法3条による拒絶理由が出され、拒絶となっている(甲15?甲17)
(3)30類、32類などの純粋な「食品」においては過去においても登録査定が出されているが、いずれも1997年、2003年の審査である。
そして、2003年当時に登録された事例があるとしても、当時とは食品分野における「免疫」に対する考え方も大きく変わっているため、新たに現在の商標法第3条要件を検討することが必要である。
そして、「免疫」は、「生体が疾病、特に感染症に対して抵抗力を獲得する現象。」(広辞苑第6版(岩波書店))(甲19)とあり、本来、人体に備わっている機能といえるが、昨今は病気になってから高価な薬を使って治療するのではなく、免疫を獲得、強化することによって病気にならぬようにし、高価な治療費を抑え、国としての出費を減らすという予防医学的な考え方であり、日本免疫予防医学普及協会が2015年に設立されたというのは象徴的なことである(甲20)。
また、免疫の強化についても、これまでは、ともすると薬に頼りがちであったが、薬の多用は決して体にとって良くはないことから、食品において達成することが目指されるようになったことは自然なことであり、特にこの10年ほどはその進化は著しく、2003年当時の食品における「免疫」という語の識別性については、いったんリセットして考える必要があると思われる。薬品とサプリメント、サプリメントと食品の間の垣根は低くなっており、薬品やサプリメントにおける判断と同様であるべきではないかと思われる。
申立人がそのように主張する理由は、現在では長く体に良いとされていた食品にはすべからく免疫の改善効果があることが分かってきているからである(甲21?甲29)。また、「食品免疫・アレルギーの事典」という書物も刊行され(甲30)、平成26年には「日本食品免疫学会」という組織が設立されている(甲31)。「化学品やサプリメントだから『免疫』商標は自他商品識別力を有せず、食品であれば有する」という時代ではない。
2 「免疫」が差し示す意味について
「免疫」と食品に表示して売る以上、「免疫機能をよくする」という方向しか、指し示す意味があるはずがないところ、「免疫」という商標に独占権が付与されても、「免疫改善」などの代替表現があるから問題がない、また、「免疫」という標章を付した食品が、市場にあまり見つからないから自他商品識別力がある、と判断されるかもしれないが、それは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」を参酌しない判断である。この法律では、食品において、薬品と紛らわしい表現をすることが認められておらず、それは、「がんの治療」「血圧を下げる」「疲労回復」など、従来は薬品において認められると考えられていた「効果、効能」表記であり、「免疫機能の維持、増強」もその中に含まれる。これは、一般の食品にもまったく同様に適用されるため、「免疫改善」はそもそもNG表現である。(甲32)。薬品同様の優れた効果を有しながら、食品であるがゆえに、効果効能を書けないという製品は多数ある。そして、「免疫」と単に表記することも、実際には「免疫機能を改善する」という意図のもとに使用されることになり、多くの企業が「免疫」という言い切り表現すら使っていない。しかし、これをもって使用事例が見当たらないから、「自他商品識別力を有している」というのは早計である。
特定保健用食品(トクホ)、栄養機能食品、機能性表示食品(甲33?甲35)のように、根拠データの存在等をもとに、一定の条件のもとで効果効能を表示することが認められるようになってきており、「免疫」という表現についても、基準が近い将来緩和されることは十分に考えられるところ、本来拒絶されるべき「効果効能を示す表現」に独占を与え、将来の公正な競争を阻害することは、商標法第1条の「産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護する」という基本精神に反している。未来永劫「免疫」が使用されることがないという合理的理由がない限り、本件商標の登録を認めるべきではない。
そして、「クエン酸サイクル」の商標について、「『クエン酸サイクル』の語が、関連同義語とともに、本件代謝経路、すなわち『生物の細胞内物質代謝において最も普遍的な経路』、『クエン酸による代謝作用への効用を表したもの』、『食餌と代謝機能との関係を表したもの』あるいは『食に関する基礎的な用語の一つを表したもの』を表す語として本件商標の指定商品の取引者・需要者の間で周知になっていたのであれば、『クエン酸サイクル』という語自体において、すでに自他商品識別力を欠くものであって、商標としての機能を果たし得ないものというべきである」(平成17年(行ケ)第10714号)(甲36)との判示があり、「免疫」は少なくとも「クエン酸サイクル」よりは一般に知られた語であるから、「免疫」のみで「免疫を改善する」等の品質表示であることは明白であり、独占適応性を有しないという原則を貫くべきである。
3 むすび
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し商標登録を受けることができないものであるから、商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

第3 取消理由の通知(要旨)
当審において、商標権者に対し、「本件商標は、『免疫』の文字からなるところ、該文字は、飲食料品との関係において、その効能を表す語として理解されるものというのが相当であるから、本件商標を、その指定商品について使用しても、その商品が免疫機能又は免疫力を向上させる効能があることを理解させるものであって、単に「飲食料品の効能」を表示したものと認識されるにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨の取消理由を平成29年3月10日付けで通知した。

第4 商標権者の意見
商標権者は、前記第3の取消理由に対し、意見を要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第98号証を提出した。
1 商標法第3条第1項第3号該当性の判断の誤り
(1)本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、登録査定時において、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する需要者によって、それが、商品の効能を表示、記述するものとして取引に際し必要適切な表示であって、その商品の効能を直接的かつ具体的に表示するものと一般に認識されるものであることを要するというべきである。
(2)「免疫」の語義
本件商標は、「免疫」の文字を標準文字にて表してなるところ、該文字は、「生体が疾病、特に感染症に対して抵抗力を獲得する現象。」等を意味する語として、辞書等に掲載されている事実(甲19)からすると、需要者は、当該文字から体に生ずる現象の一つである「免疫」と認識するのが自然である。
「免疫」の文字からは、それが「免疫機能」のことを示すのか、「免疫力」のことを示すのか不明確であるとともに、「免疫」の文字のみでは、直接的かつ具体的に如何なる効能を発揮するのか全く把握できない。
そうすると、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する需要者は、「免疫」の文字それ自体が「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」を意味する語として一般的に使用されているなどの特段の事情がない限り、単に、体に生ずる現象の一つを表す文字であるという程度の間接的な表示として認識するにとどまるものである。
(3)「免疫」の使用状況
「免疫」の文字それ自体が「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」を意味する語として一般的に使用されているか検討すると、「免疫」の文字それ自体は、飲食料品を取り扱う業界その他の業界も含め、直ちに商品の効能を表示するものとして使用されている事実は一切存しない。
また、これが、需要者によって「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」を意味する語として一般に認識されている事実も、そのように理解されている事実も皆無である。
そもそも、飲食料品は、日用品や衣服類等とは異なり、人間の健康・生命に直結する商品であり、もし、需要者が商品の効能を誤認し、飲食した場合、それは人間の健康・生命に極めて重大な影響を与えるおそれがあるから、商品の製造販売者等は、その販売や宣伝広告にあたり、飲食料品の効能を表示して説明をする場合には、需要者が、その効能につき誤認されることがないよう、最大限、その表現に注意し、直接的な表現で、かつ具体的に表示しなければならないといえる。これを「免疫」についてみると、「免疫」の文字を飲食料品の効能を説明する際に用いる場合には、前述のとおり、体に生ずる現象の一つであることを理解させるにとどまる「免疫」の文字だけを用いても、これに接する需要者が如何なる効能を発揮するのか全く埋解できないため、その飲食料品を飲食することにより、免疫機能又は免疫力が向上するのか、免疫機能又は免疫力が維持するのか、免疫機能又は免疫力の低下が緩和させるのか、免疫機能又は免疫力を改善するのか、当該表示に接する需要者に誤認なく、正確に理解されるように、「免疫機能(免疫力)の向上」、「免疫機能(免疫力)の維持」など、その効能を具体的に表示されなければならないといえ、現にそのような表示がなされるのが通常である。そうでなければ、需要者が商品の効能を誤認し、飲食し、その結果、人間の健康・生命に極めて重大な影響を与えるおそれがあるからである。そうすると、「免疫」の文字は、飲食料品の効能を説明する際に用いる場合、「免疫」の文字のみを使用して、「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」を説明することがないことは明らかであり、そうである以上、「免疫」の文字のみからは、需要者が、直接的かつ具体的に「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」の意味を理解できないことは明らかである。
これに対し、審判合議体は、「『免疫』の文字は、飲食料品との関係において、その効能を表す語として理解されるものというのが相当である」ことを導くにあたり、「免疫」の語義を指摘した上で、申立人の提出に係る証拠及び合議体の職権調査により発見された事実(新聞記事情報及びインターネット記事情報)を指摘する。
「免疫」の語義については前述のとおりであり、この点を商標権者は何ら否定するものではないが、新聞記事情報及びインターネット記事情報に掲載される使用例は、その記載から明らかなとおり、「免疫機能の活性化」、「病気への免疫機能や肝機能、コレステロール抑制など健康維持」、「食欲増進や免疫機能向上に効果」、「免疫作用を高める効果」など、「免疫」の文字が、説明文中に他の文字とともに用いられている例にすぎない。いずれの例をみても、「免疫」の前後の文字を読んで初めて、意味の通じる説明文になっていることは明白であり、「免疫」の文字それ自体からは、「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」を意味する語として理解されるものではないことを示す事実にほかならない。商品の製造販売者等が、その販売や宣伝広告にあたって、当該表示に接する需要者に誤認なく、正確に理解されるようにその効能を具体的に表示しているあらわれともいえる。
そうすると、申立人の提出に係る証拠及び合議体の職権調査により発見された事実は、需要者によって「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」を意味する語として一般に認識されていることを示すものではないから、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者は、体に生ずる現象の一つであると想起するとしても、本件商標の指定商品の具体的な品質を表示するものとして認識するとはいえず、本件商標は、その指定商品について、自他商品の識別標識として十分機能し得るとみるのが相当である。
(4)他の商標登録の事例について
飲食料品の効能に関する表示に関して、平成3年9月には、「特定保健用食品制度」が施行され、平成27年4月には、「食品表示法(機能性表示食品制度)」が施行されたが(乙1、乙2)、この間に、飲食料品の効能に関する表示に関して、需要者の認識や意識に劇的な変化があったという事情は認められないし、取引の実情に変化があるわけでもない。
そして、飲食料品は、日用品や衣服類等とは異なり、人間の健康・生命に直結する商品であるから、今日まで、商品の製造販売者等は、その販売や宣伝広告にあたって、飲食料品の効能を表示し、説明する場合には、需要者が、その効能につき誤認されることがないよう、最大限、その表現に注意し、正確に、直接的な表現で、かつ具体的に表示してきたというのが実情である。
他方で、商品の品質や役務の質等を暗示させる程度に、その品質等を間接的に表示する商標の採択は、需要者にとって記憶されやすく、商標としての経済的価値があるものであることから、多数の商品の製造販売者等が、自他商品等の識別標識として採択し、それについて商標登録出願をし、商標登録を受けてきた(乙3?乙98)ものであり、この事実は、本件商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断にあたっても、十分考慮されるべきものである。そして、これらの商標登録の事例の存在は、本件商標の判断にあたって、単に商標自体の具体的な構成の相違、指定商品の相違、又は判断時期の相違を理由に、安易に、一蹴される類のものではなく、本件商標のように、商品又は役務の特徴等を間接的に表示する商標に接する需要者が、一般的にどのように認識するか、又は認識する可能性があるかを解釈する上で、決して看過できない事情である。そして、商品又は役務の特徴等を間接的に表示する商標が、多数、商標登録されている事実は、動かし難い事実である。
さらに、仮に「免疫」の文字から「免疫機能又は免疫力を向上させる効能がある」ことを認識できるならば、いずれの商標についても、その指定商品又は指定役務との関係で、商標登録を認める旨の判断がなされないはずであるところ、飲食料品に係る又は飲食料品以外の商品役務に係る「免疫」の文字からなる又は「免疫」の文字を含む商標の登録事例(乙3?乙27)があることを考慮しない理由を見付ける方が困難である。
また、「免疫」の文字を含まない商標であるが、商品の効能を意識して採択された商標に関する商標登録の事例(乙28?乙98)があり、これらについても、仮に当該文字に相応する機能や力を向上させる効果があることを認識できるならば、いずれの商標についても、商標登録を認める旨の判断がなされないはずである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当しないものである。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきである。

第5 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号該当性について
(1)申立人の提出した証拠及び職権による調査
ア 「免疫」の文字について
(ア)広辞苑第6版(岩波書店)には、「めんえき【免疫】」の項において、「生体が疾病、特に感染症に対して抵抗力を獲得する現象。」の記載がある(甲19)。
(イ)「中外製薬」のウェブサイトにおいて、「免疫とは?」の見出しの下、「Q 免疫ってなあに?」として、「A 免疫とは『疫(えき)から免れる)』、すなわち『伝染病』などからのがれるということを意味する言葉です。」の記載がある。
(http://chugai-pharm.info/bio/antibody/antibodyp02.html)
(ウ)「コトバンク」のウェブサイトにおいて、「免疫 めんえき」の見出しの下、「デジタル大辞泉の解説」として、「1病原体や毒素、外来の異物、自己の体内に生じた不要成分を非自己と識別して排除しようとする生体防御機構の一。本来は、ある特定の病原体に一度感染して回復できると抵抗性をもつようになり、同じ病気にかからなくなることをいう。先天的に備わる自然免疫と、後天的に得られる獲得免疫がある。機構としては細胞性免疫と液性免疫の二つが働く。」の記載がある。
(https://kotobank.jp/word/%E5%85%8D%E7%96%AB-14274)
イ 飲食料品に免疫機能を向上させる等の効能があることを紹介している新聞記事情報
(ア)2004年(平成16年)6月11日付け「北國新聞」(朝刊、2頁)に、「花粉症に効くハッサクのサプリメント開発 ウイル・コーポレーション、近畿大と共同で 今月にも商品化」の見出しの下、「ハッサクはビタミンCを多量に含み、免疫機能の向上や整腸作用があることが知られていた。」の記載がある。
(イ)2004年(平成16年)10月30日付け「北海道新聞」(朝刊全道、13頁)に、「免疫力アップは食事から*腸が“守り”の最前線*乳酸菌やミネラル*上手に摂取し健康に」の見出しの下、「食品の成分によってパワーアップし、全身の免疫力にも影響することが分かってきた。」及び「食品に免疫機能を強め向上させる成分が含まれていることが、はっきりしてきた。」の記載がある。
(ウ)2004年(平成16年)10月31日付け「毎日新聞」(大阪朝刊、15頁)に、「[健康あらかると]カスピ海ヨーグルト 整腸効果や免疫機能向上に科学的根拠」の見出しの下、「カスピ海ヨーグルトを摂取することによって、排便の量や回数が増え、すっきりした“快便”になることが分かった。また腸内細菌の“善玉菌”の割合も増加した。同時に感染に対する抵抗力やアレルギー抑制にかかわる免疫機能の向上も見られた。」の記載がある。
(エ)2005年(平成17年)6月10日付け「百歳元気新聞」(1頁)に、「旬の梅」の見出しの下、「梅は、血液をアルカリ性に保ち血流促進、胃液の分泌を促して整腸、肝臓の働きを高めて解毒、体内外の皮膚の若返り、免疫強化、疲労回復-などのたくさんのチカラ持ち。ぜひ、取り入れて。」の記載がある。
(オ)2005年(平成17年)6月17日付け「日本食糧新聞」(5頁)に、「経営:雪印乳業・高野瀬忠明社長に聞く 新生雪印ゼロ年スタート」の見出しの下、「チーズの新しい健康栄養機能として、チーズの抗酸化活性やチーズ乳酸菌による免疫機能の調整作用、糖尿病に伴う自己免疫疾患の抑制の研究成果について発表している。」の記載がある。
(カ) 2005年(平成17年)7月1日付け「日経産業新聞」(15頁)に、「ユニチカ、美容食品で新ブランド?まずハナビラタケ配合。」の見出しの下、「ハナビラタケには免疫機能を高める効果があるとされるβ?グルカンも多く含まれる。」の記載がある。
(キ)2005年(平成17年)11月26日付け「富山新聞」(25頁)に、「とやまブランド一堂に いきいきKAN 県産品の再発見市が開幕」の見出しの下、「免疫機能の向上や認知症の予防に効果があるとされるヤマブシタケの料理試食会も開催され、淡泊なヤマブシタケをいかにおいしく食べるかが紹介された。」の記載がある。
(ク)2006年(平成18年)2月21日付け「朝鮮日報」に、「WP紙『キムチはスーパーフード』」の見出しの下、「『キムチには疾病予防と免疫機能向上などの効能がある上、キムチが発酵する過程で出る汁は抗バクテリア機能まである』と説明した。」の記載がある。
(ケ)2006年(平成18年)2月22日付け「日本食糧新聞」(13頁)に、「『マルちゃん もずく春雨スープ』発売(東洋水産)」の見出しの下、「A=〈もずく春雨スープ〉免疫機能を高めることで話題となっているフコイダンを豊富に含む沖縄産モズクをたっぷり入れ、かき卵を浮かせた。」の記載がある。
(コ)2008年(平成20年)7月28日付け「日本食糧新聞」(5頁)に、「フジッコ、『カスピ海ヨーグルト』を一新 EPS含有量増加で健康訴求」の見出しの下、「これまでの研究で、粘りのあるカスピ海ヨーグルトの摂取により、整腸作用だけでなく皮膚血流量の改善、アトピー性皮膚炎の改善、免疫の改善などの可能性が示唆されている。」の記載がある。
(サ)2008年(平成20年)8月6日付け「日本食糧新聞」(5頁)に、「服部醸造、『おらが浜の昆布みそ』など2品発売」の見出しの下、「『コエンザイムQ10みそ』(500g)は、道産100%の粒選大豆と米糀をふんだんに使った淡色こし味噌に、体内の抗酸化作用や免疫機能改善などの効果が注目されているコエンザエムQ10をブレンドした健康味噌。」の記載がある。
(シ)2008年(平成20年)10月26日付け「北海道新聞」(朝刊地方、29頁)に、「免疫機能の向上、保湿、血圧低下…*キノコの多彩な効果学ぶ*旭川でサイエンス・カフェ」の見出しの下、「『キノコには免疫機能の向上や保湿、血圧を下げる効果がある』と指摘し、栄養補助食品や化粧品などに使われている例を紹介。」の記載がある。
(ス)2009年(平成21年)11月14日付け「北海道新聞」(朝刊地方、20頁)に、「亜鉛大豆 摂取手軽に*音更の雑穀卸売業*ゆで製品を発売」の見出しの下、「亜鉛はカキやレバー、海草類に多く含まれる微量元素で、美肌や免疫機能向上などに効果があるとされる。」の記載がある。
(セ)2009年(平成21年)12月2日付け「日本食糧新聞」(8頁)に、「乳酸菌に新たな機能性、EPSが免疫賦活 明治乳業、共同研究で発見」の見出しの下、「乳酸菌を使ったヨーグルトが優れた免疫機能賦活効果を発揮し、インフルエンザ感染防御に効果があることを動物実験で確認した。」の記載がある。
(ソ)2010年(平成22年)1月25日付け「朝日新聞」(朝刊、25頁)に、「『ネギは風邪にいい』実証 ウイルスに有効性 林利光・富山大大学院教授研究/富山県」の見出しの下、「ネギの抽出物が、A型インフルエンザのウイルスの増殖を抑え、体内の免疫機能を向上させるのに有効である可能性があることが、富山大大学院医学薬学研究部の林利光教授のマウスを使った研究で分かった。」の記載がある。
(タ)2011年(平成23年)10月31日付け「日本食糧新聞」(11頁)に、「『ミルキーのど飴』発売(不二家)」の見出しの下、「北海道産生クリーム使用。3種類のハーブを配合(のどによいカリン、鎮静作用があるカミツレ、免疫効果のある甜茶)。」の記載がある。
(チ)2015年(平成27年)12月21日付け「日本食糧新聞」(16頁)に、「緑茶特集:15年緑茶動向=かつてない軟調相場 減産減収で危機的状況」の見出しの下、「冷茶には免疫機能を高めるという研究成果の報告がある。」の記載がある。
(ツ)2016年(平成28年)7月22日付け「日本経済新聞」(地方経済面 北関東、41頁)に、「パッションフルーツ増産、重さ1.5倍、ビタミンAは4倍、亜熱帯農業開発センター、18年までに倍増、南関東に販路拡大。」の見出しの下、「増産するのは『黄金特大パッションフルーツ』。重さは約150グラムと通常の品種の1・5倍ほどある。100グラムあたりのビタミンAの含有量が336マイクログラムと、通常の品種の約4倍。果実の中で最も高く、眼精疲労の予防や免疫機能の向上が期待できるという。」の記載がある。
(テ)2016年(平成28年)12月15日付け「日本証券新聞」(2頁)に、「ホクト 需要期到来で業績回復-11月売上高は24・7%増」の見出しの下、「キノコは免疫機能を向上させるとしてインフルエンザ予防にも有効とされていることから、この先は個人消費の高まりが予想され、下期の業績回復に期待が膨らむ。」の記載がある。
ウ 免疫機能又は免疫力を向上させる等の効能がある飲食料品を紹介しているインターネットウェブページ
(ア)「NHK ガッテン!」のウェブサイトにおいて、「夏こそ!スーパー緑茶 新カテキンで免疫力が復活!」の見出しの下、「日本伝統の飲み物、緑茶!『最近はもっぱらペットボトルのお茶』という人にも、この夏、ぜひお勧めしたいのが、『スーパー緑茶』です!うまみが5割多いだけでなく、新成分『エピガロカテキン』で免疫力が復活!しかもカフェインがほとんどないので、お子さんや、寝る前でもごくごく飲めます!こんなスーパー緑茶を実現させるのは、『氷水で5分間』といういれ方です。」の記載がある(甲21)。
(イ)「日経ビジネスオンライン」のウェブサイトにおいて、「チョコレートとカカオポリフェノールの健康知識【第3回】」の見出しの下、「免疫機能を高めるチョコレートの働き」の記載がある(甲22)。
(ウ)「食品医学研究所」のウェブサイトにおいて、「【お知らせ】TBS系列のテレビ番組『はなまるマーケット』でショウガによる免疫力アップ効果が放映される!」の見出しの下、「ショウガは、免疫細胞の活動バランスをとりながら、カラダ全体の血液循環をよくして免疫力を適度にアップさせます。」の記載がある(甲25)。
(エ)「こだわりの黒酢『桷志田』黒酢本舗」のウェブサイトにおいて、「発酵食品と野菜をうまく組み合わせてバランスの良い食生活を!!」の見出しの下、「野菜の免疫力ランキング1位の『レタス』と発酵食品『黒酢』をたっぷり使用した免疫力を上げるレシピを紹介いたします。」の記載がある(甲26)。
(オ)「免疫力を高める方法!誰でも今すぐできる免疫力アップの秘訣」のウェブサイトにおいて、「免疫力を高めるお茶でイチオシがルイボスティーなのはなぜ?」の見出しの下、「暑い日は冷たいお茶を欲しますが、免疫力を高める為には温かいお茶が良いのです。実際私自身も、デパートのテナントで働いていたりレストランで働いていた際は冷房が効いている為、夏でも温かいお茶かぬるめのお茶を飲むようにしていました。お茶の中でも日本のお茶なら『緑茶』、海外のお茶なら『ルイボスティー』は特に免疫力を高めるといえます。」の記載がある。
(http://www.yamatetsu-kousanka.com/?p=22)
(カ)「健茶薬醍醐 平井店」のウェブサイトにおいて、「免疫力を高める働きがあるお茶です」の見出しの下、「板藍根(バンランコン)」、「びわ茶」、「タヒポ茶」、「椎茸茶(シイタケチャ)」、「エキナセアハーブティー」、「しそ茶」、「生姜スライス茶」、「苦丁茶(クテイチャ)」、「田七花茶(デンシチカチャ)」及び「さるのこしかけ茶」の記載がある。 (https://www.kenchayaku-hirai.com/%E5%81%A5%E5%BA%B7%E8%8C%B6-%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%96%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/%E5%8A%B9%E6%9E%9C-%E5%8A%B9%E8%83%BD%E3%81%8B%E3%82%89%E6%8E%A2%E3%81%99/%E5%85%8D%E7%96%AB%E5%8A%9B%E3%82%92%E9%AB%98%E3%82%81%E3%82%8B/)
(キ)「UCC上島珈琲」のウェブサイトにおいて、「免疫機能の向上」の見出しの下、「UCC上島珈琲株式会社は神戸大学との共同研究により、コーヒー豆に含まれる水溶性の多糖類の一種であるアラビノガラクタンに免疫機能を高める効果があることを確認しました。」の記載がある。
(http://www.ucc.co.jp/company/research/polysaccharide/02.html)
(ク)「IN YOU」のウェブサイトにおいて、「病気になりにくいカラダを作る!免疫力UPする身近な食べ物11選」の見出しの下、「食べ物で免疫力を向上させよう」の項として、「風邪を引きやすいということは免疫力が低下している証拠。単なる風邪でとどまればいいものの、免疫力が低下し続けるといずれ重大な病を引き起こしてしまいます。好きなもの、食べたいものばかりを食べていては、つい偏った食生活になりがち。今日はそんな方へおすすめの身近な食べ物をお教えします。」の記載がある。
(http://macrobiotic-daisuki.jp/menekiryoku-3113.html)
(ケ)「蜂蜜と免疫」のウェブサイトにおいて、「ハチミツの免疫力効果。/ハチミツは免疫力効果が高い?」の見出しの下、「免疫力効果を高める食品として代表的なものに、卵、にんにく、しょうが、納豆、緑黄色野菜やキノコなどが挙げられます。これらの食品には、身体の免疫力をサポートしてくれるビタミンB群や亜鉛といった抗酸化成分、消化酵素や食物繊維などの腸内活性成分、ビタミンやミネラルといった栄養素が多く含まれています。驚くことにハチミツには、免疫力向上をサポートしてくれるそれらの成分や栄養素がふんだんに含まれているのです。」の記載がある。
(http://honeyimmunity.seesaa.net/article/414263007.html)
(コ)「産経ニュース」のウェブサイトにおいて、「お菓子de乳酸菌 手軽に『免疫力高め腸内環境改善』」の見出しの下、「今回は、体内の免疫力を高めたり、腸内環境改善に効果的な乳酸菌を手軽に摂取できる『お菓子de乳酸菌』ランキングをご紹介します。」の記載がある。
(http://www.sankei.com/life/news/161027/lif1610270024-n1.html)
(サ)「健康生活」のウェブサイトにおいて、「酵母に免疫力を高める効果あり!効率良くとれる食品10選」の見出しの下、「免疫力の向上」の項として、「β-D-グルカンはきのこ類にも含まれ、免疫力の向上やガン予防に効果があるとして注目されている成分です。」の記載がある。
(https://health-to-you.jp/immunity/koubomeneki10056/)
(シ)「KTC中央高等学院」のウェブサイトにおいて、「【11/25(金)今日の手ごねパン講座生徒作品】免疫力をUPできるビタミンA・ビタミンCが豊富な栗あんぱん」の見出しの下、「体に免疫力が十分にあれば、風邪やウイルスなどを受け付けない丈夫な体になれますね。では、免疫力をあげるにはどういった事が必要でしょうか?免疫力や抵抗力を上げるのに有効な栄養素を体に取り入れるのは、とても重要です。毎日の食事をしっかりと考えて、免疫力アップな食事を心がけたいですね。栗には免疫力アップに繋がる、ビタミンCやビタミンAが含まれています。」の記載がある。
(http://www.ktc-school.com/campus/takamatsu/blog/20161125-180000.php)
(ス)「ぎょうざ屋永商」のウェブサイトにおいて、「ぎょうざ屋永商通販サイト正式OPEN!通信販売開始しました!」の見出しの下、「黒にんにく」の項において、「にんにくを発酵させることにより/ニンニク本来の健康効果を数十倍に/パワーアップ!/滋養強壮、代謝増進、抗酸化作用、/免疫力向上、コレステロール低下/などのうれしい効果!」の記載がある。(http://gyouza.nagasho.co.jp/)
(セ)「美肌×レシピ」のウェブサイトにおいて、「ニラの栄養が免疫力を高める」の見出しの下、「今回はニラが持つ栄養素とその効果をはじめ、免疫力をアップする働きやオススメの組み合わせについてご紹介します。」の記載がある。
(http://www.skincare-univ.com/recipe/bihada/article/001267/)
(ソ)「行列のできる情報館」のウェブサイトにおいて、「インフルエンザを予防する食べ物 免疫力を高めるものは?」の見出しの下、「おそらく免疫力がとても高い人なのでしょうね。インフルエンザの最大の予防は免疫力を高めることです。そこで今回は、風邪・インフルエンザを予防するために、ドクター達が薦めている免疫力をアップする食べ物・飲み物についてご紹介したいと思います。」の記載がある。
(http://informationnow.xyz/archives/7313.html)
(2)本件商標は、前記第1のとおり、「免疫」の文字からなるところ、該文字は、「生体が疾病、特に感染症に対して抵抗力を獲得する現象。」を意味する語であり、上記(1)の新聞記事情報及びインターネット記事情報によれば、例えば、飲食料品について「ハッサクは・・・免疫機能の向上や・・・がある」(イ(ア))、「カスピ海ヨーグルトを摂取することによって・・・免疫機能の向上も見られた。」(イ(ウ))、「ハナビラタケには免疫機能を高める効果があるとされる」(イ(カ))、「免疫機能の向上や・・・に効果があるとされるヤマブシタケ」 (イ(キ))、「キムチには・・・免疫機能向上などの効能がある」(イ(ク))、「キノコには免疫機能の向上や・・・効果がある」(イ(シ))、「乳酸菌を使ったヨーグルトが優れた免疫機能賦活効果を発揮」(イ(セ))、「ネギの抽出物が・・・体内の免疫機能を向上させる」(イ(ソ))、「冷茶には免疫機能を高める」(イ(チ))、「免疫機能を高めるチョコレート」(ウ(イ))、「ショウガは・・・免疫力を適度にアップさせます」(ウ(ウ))、 「免疫力を高める働きがあるお茶」(ウ(カ))、「コーヒー豆に含まれる水溶性の多糖類の一種であるアラビノガラクタンに免疫機能を高める効果」(ウ(キ))、「ハチミツには、免疫力向上をサポートしてくれる」(ウ(ケ))、「栗には免疫力アップに繋がる、ビタミンCやビタミンAが含まれて」(ウ(シ))、「にんにくを発酵させることにより・・・免疫力向上」(ウ(ス))、「ニラが持つ栄養素・・・免疫力をアップする働き」(ウ(セ))などの記述があることからすれば、飲食料品には、人の免疫機能又は免疫力を向上させる効能があることが広く一般に知られていること、及び、免疫機能を向上させる効能がある飲食料品が多数紹介されている事実が認められる。
そうすると、「免疫」の文字を、飲食料品について使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、これを「免疫機能、免疫力」という、商品の機能又は効能を意味するものととらえ、その商品を摂取することで、免疫機能や免疫力が得られるもの、すなわち当該商品の機能や効能を表示したものと、認識、理解するにとどまるというのが相当である。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、「飲食料品の効能」を端的に表示したものと認識されるにすぎず、その商品が免疫機能又は免疫力を向上させる効能があることを理解させるものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本件商標は、商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
2 商標権者の主張について
(1)商標権者は、意見書において、「免疫」の文字のみでは、直接的かつ具体的に如何なる効能を発揮するのか全く把握できない。「免疫」の文字を飲食料品の効能を説明する際に用いる場合には、「免疫機能(免疫力)の向上」、「免疫機能(免疫力)の維持」などのような表示がなされるのが通常である。そうすると、「免疫」の文字のみを使用して、「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」を説明することはなく、「免疫」の文字のみからは、需要者が、直接的かつ具体的に「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」の意味を理解できないことは明らかである。審判合議体が指摘する新聞記事情報及びインターネット記事情報に掲載される使用例は、「免疫」の文字が、説明文中に他の文字とともに用いられている例にすぎず、「免疫」の文字それ自体からは、「免疫機能又は免疫力を向上させる効能」を意味する語として理解されるものではない旨を主張している。
しかしながら、前記1(1)の新聞記事情報及びインターネット記事情報における「免疫」の文字の使用例として、例えば、飲食料品について「免疫機能の向上や・・・がある」(イ(ア))、「免疫力を適度にアップさせます」(ウ(ウ))、「免疫力を高める働きがある」(ウ(カ))等の紹介がなされており、このことは、これらの飲食料品が、「生体が疾病、特に感染症に対して抵抗力を獲得する現象」(甲19)である「免疫」の機能や働きを高める効果のあるものとして紹介されているのであるから、「免疫」の語は、日常の飲食料品との関係で、飲食料品の効能の一種を表示するものとして、一般に知られていたとみることができる。
してみれば、「免疫」の文字は、広く一般に知られており、また、これを単独で飲食料品について使用した場合においても、当該商品から得られる「免疫機能、免疫力」という、商品の機能又は効能を表示したものとして、容易に理解されるものというのが相当である。
そして、商標権者の提出した証拠からは、本件の指定商品との関係において、「免疫」の文字に接する取引者、需要者が、上記した認識以外の認識をする、若しくは、識別力を有する標章として認識することを認めるに足りる事実は見出せない。
そうすると、「免疫」の文字は、商品の効能を直接的に表示するものであって、自他商品の識別標識としては機能し得ないものである。
(2)また、商標権者は、「免疫」又は「免疫」の文字を含む商標が、飲食料品について登録されている例、及び、商品の効能を意識して採択されたとする商標の登録例をあげ、これらの事例が、本件商標の商標法第3条第1項第3号該当性の判断に、十分に考慮されるべき旨を主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、その商標の構成態様と指定商品との関係や商品の取引の実情をも踏まえて、個別具体的に判断されるべきものであるところ、前記1(1)の新聞記事情報及びインターネット記事情報の使用例は、「免疫」の文字が、指定商品の分野において、商品の効能を説明するために使用されているという取引の実情を示すものであって、かかる取引の実情を踏まえ、本件商標について判断すると、前記1(2)のとおり、本件商標の登録査定時においては、「免疫」の文字は、飲食料品の効能を表示したものと認識されるにすぎないものといわざるを得ない。
してみれば、商標権者が挙げた「免疫(めんえき)」の文字からなる登録例(乙3?乙5)は、前記1(1)に挙げた新聞記事情報及びインターネット記事情報の使用例があった以前に登録査定がなされたものであるところ、本件商標の登録査定時には、前記1(1)の取引の実情があったことを考慮すれば、上記のとおり判断するのが相当である。
また、商標権者が挙げた「免疫(めんえき)」の文字からなる登録例(乙13?乙15)は、本件商標に係る指定商品とは、全く異なる商品を指定商品とするものであり、さらに、「免疫」の文字を商標中に含む登録例(乙6?乙12及び乙16?乙27)や、商品の効能を意識して採択されたとする商標の登録例(乙28?乙98)については、本件商標と、その構成文字、構成態様を異にするものであって、いずれも、本件商標とは事案を異にするものであるから、これらの登録例は、上記した本件商標の判断を左右するも
のではない。
したがって、商標権者の主張は、いずれも採用することができない。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、その指定商品について、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づいて、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-10-25 
出願番号 商願2015-99590(T2015-99590) 
審決分類 T 1 651・ 13- Z (W3032)
最終処分 取消  
前審関与審査官 佐藤 松江大島 康浩 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 中束 としえ
真鍋 恵美
登録日 2016-07-29 
登録番号 商標登録第5870836号(T5870836) 
権利者 キリン株式会社
商標の称呼 メンエキ 
代理人 飯島 紳行 

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