• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない W3940
管理番号 1336323 
審判番号 取消2016-300671 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-09-28 
確定日 2018-01-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第5606900号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第5606900号商標(以下「本件商標」という。)は、「断捨離 だんしゃり」の文字を標準文字で表してなり、平成25年3月15日に登録出願、第39類「車両による輸送,貨物のこん包,貨物の輸送の媒介,貨物の積卸し,引越の代行,寄託を受けた物品の倉庫における保管,倉庫の提供」及び第40類「廃棄物の再生,一般廃棄物の収集・分別及び処分,産業廃棄物の収集・分別及び処分」を指定役務として、同年8月9日に設定登録されたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、同28年10月12日である。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を審判請求書、審判事件弁駁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、要旨次のように述べ、甲第1号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定役務について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、継続して3年以上日本国内において使用されていないから、その登録は、商標法第50条の規定により、取り消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 被請求人が、審判事件答弁書において添付した書類について
(ア)乙第3号証について
被請求人は、商標権者である銀座急送株式会社(以下「銀座急送」という。)が株式会社暮らしのネットワーク(以下「暮らしのネットワーク」という。)に、本件商標の使用許諾を行っていると主張するが、契約書(乙3)について、不自然な点が多々あり、契約書に書かれた日(平成26年1月20日)に当該契約書を取り交わしたことが信用できず、当該取消審判を請求された後に慌てて当該契約書を作成した可能性があるとの疑念を抱かせるものである。
(イ)乙第4号証について
被請求人は、「暮らしのネットワーク」が、本件商標を使用して業務を営んでいると主張するが、該証拠において、本件商標「断捨離 だんしゃり」の記載は全く見受けられない。
(ウ)乙第5号証について
被請求人は、「暮らしのネットワーク」が、本件商標と同一又は類似する「断捨離」なる商標を案内書に用いていると主張するが、チラシの有効期間2017年3月31日とあるものの、「暮らしのネットワーク」が、当該案内書を使用したとする日が不明である。
さらに、該証拠における「断捨離+引越サービス(R)」((R)は、○の中にRの文字。以下同じ。)、「断捨離(R)」なる記載は、本件商標「断捨離 だんしゃり」と同一でないことは明らかであり、社会通念上の同一の範囲にはない。
本件商標は、漢字「断捨離」と平仮名「だんしゃり」とからなる結合商標「断捨離 だんしゃり」である。本件商標と「断捨離+引越サービス」とは、外観及び称呼が著しく異なり、観念においても「+引越サービス」が付加されていることから相当異なる。このため、両商標は、明らかに非類似であり、ましてや社会通念上同一といえるものではない。
次に、本件商標は、漢字及び平仮名で「断捨離」と「だんしゃり」とを繰り返しているため、「断捨離」とは観念において共通する可能性はあるものの、外観及び称呼が著しく異なる。このため、両商標は、明らかに非類似であり、ましてや社会通念上同一といえるものではない。
また、該証拠においては、登録商標マーク(R)を使用しているが、被請求人が保有する商標は、あくまで「断捨離 だんしゃり」であり、「断捨離+引越サービス」や「断捨離」ではない。しかも、これらは上述したように登録商標とは非類似(少なくとも社会通念上同一ではない)であるにもかかわらず、(R)を付記することは、明らかな虚偽表示(商標法第74条第1項第1号)である。
(エ)乙第6号証について
被請求人は、「暮らしのネットワーク」が、「断捨離」なる商標を割引のチケットの表面にて印刷して使用していると主張するが、該証拠においてご利用有効期限2017年2月28日とあるものの、「暮らしのネットワーク」が、当該割引チケットを使用した日が不明である。
さらに、上記(ウ)でも述べたとおり、本件商標「断捨離 だんしゃり」と「断捨離」とは、社会通念上同一といえるものではない。
(オ)乙第7号証について
被請求人は、「暮らしのネットワーク」が三つ折りのパンフレットに「断捨離」の表示を行って使用していると主張するが、該パンフレットを使用した日が不明である。
さらに、該証拠における「断捨離/だんしゃり(R)」なる記載(漢字の「断捨離」の上に小さい文字で平仮名「だんしゃり」なる記載)について、「断捨離/だんしゃり」のうち、平仮名「だんしゃり」は、大きく記載された漢字「断捨離」の振り仮名として機能するべきものであって、「断捨離/だんしゃり」から生じる称呼は、「ダンシャリ」である。
そうすると、本件商標「断捨離 だんしゃり」と「断捨離/だんしゃり」とは、観念において共通する可能性はあるものの、外観及び称呼が著しく異なる。このため、両商標は、明らかに非類似であり、社会通念上同一といえるものではない。
さらに、該パンフレットにおける「断捨離/だんしゃり」の使用は、括弧書きで「(お片づけ)」と記載していることから、商標的使用ではなく、「引越」に加えて、単に「片付け」を意味することを示しただけの記述的表示であるともいえる。
(カ)乙第8号証について
被請求人は、京成不動産がチラシに「断捨離」を使用していると主張するが、チラシの有効期間平成29年3月末とあるものの、京成不動産が当該チラシを使用したとする日が不明である。
さらに、上記(ウ)でも述べたとおり、本件商標「断捨離 だんしゃり」と「断捨離」とは、社会通念上同一といえるものではない。
イ 審判事件答弁書における被請求人の主張について
被請求人は、本件商標と同一又は類似する「断捨離」なる商標を使用していることを主張するが(乙4?乙8)、上記(イ)ないし(カ)で述べたように、乙第4号証ないし乙第8号証では、本件商標「断捨離 だんしゃり」の記載は全く見受けられず、本件商標と同一の商標の使用は確認できない。
被請求人は、本件商標の使用を立証する資料として示された乙第4号証ないし乙第8号証について、いずれも使用した日付が不明であり、答弁書で「各使用は、本件審判請求の登録前、3年以内の使用である。」と記載しているだけである。
(3)口頭審理陳述要領書(平成29年5月26日付け)
ア 各契約書等について
乙第11号証ないし乙第15号証及び乙第17号証において、被請求人が複数社と業務提携している契約書等には、本件商標「断捨離 だんしゃり」の使用を許諾している旨の記載は見当たらない。つまり、これらの契約書等をもって、乙第11号証ないし乙第15号証及び乙第17号証において業務提携している各社が、本件商標「断捨離 だんしゃり」の使用権者であることにはならない。
また、乙第3号証は、極めて不自然な契約書であり、業務提携している複数社のうち、代表者が同一人である「暮らしのネットワーク」のみと商標権の使用許諾に関する契約書があることは、契約書に書かれた日(平成26年1月20日)に当該契約書を取り交わしたことが信用できない。
イ 乙第16号証について
当該資料に、「銀座急送株式会社」なる記載もなく、単に「プロジェクトチーム」とだけ記載されており、どこの何のプロジェクトかも不明であり、全く不可解な資料であるといわざるを得ない。さらに、表紙に、「平成25年10月1日」とあるが、これは単に資料の表紙にそのような記載があるだけで、実際に、被請求人が「すまいサポート株式会社」向けに提案した事実及び日付は、何ら立証できていない。しかも、これは本件審判請求の登録の前3年以内ではない。
ウ (有)アイティ・ラビットとのやり取りについて
乙第18号証ないし乙第20号証の納品書や請求書の写しを提示しているものの、実際に、どのような内容のものを発注し、納品されたのかが全く不明である。
通常、印刷会社(本件では(有)アイティ・ラビット(以下「アイティ・ラビット」という。))から事前に印刷内容の確認があったりするが、それらのやり取りを一切提示していないことは極めて不自然である。
当時納品されたもの(品名にある「住み替えW応援チケット」等)には、「断捨離」なる記載がなかった可能性があり、当時納品された「住み替えW応援チケット」(以下「クーポン券」という。)と被請求人が提出した乙第6号証とが同一のものであることの立証はない。
エ 顧客とのやり取りについて
被請求人は、乙第21号証ないし乙第28号証の見積書や請求書において、バラバラの割引事由が記載されているにもかかわらず、その記載全てが同一のクーポン券を利用したものであると主張するが、明らかに不合理である。乙第24号証において、クーポン券に日付や顧客名が手書きで記載されているが、このような記載は後日いくらでもできるものであり、証明力はない。
(4)上申書(平成29年7月13日付け)
ア 本件商標について
本件商標「断捨離 だんしゃり」と被請求人が使用を主張する商標「断捨離」とは、社会通念上同一ではない。
イ 乙第29号証ないし乙第37号証及び乙第43号証について
被請求人は、新たな証拠(乙29?乙37、乙43)を提出しているが、これらの証拠において、本件商標「断捨離 だんしゃり」の文言すら全く見当たらない。
ウ 乙第38号証ないし乙第40号証について
メールタイトル及びメール本文(乙38?乙40)において、「断捨離」なる記載があり、メールに添付されているクーポン券にも「断捨離」なる記載があると、被請求人は主張するが、あくまで関係者内のやりとりであり、本件商標「断捨離 だんしゃり」を商標的に使用していたという、直接的な証拠にはならない。
また、メールの送受信日時に関しても、パソコンのシステム日時を変更すれば、いくらでも変更できるものである。
エ 乙第41号証について
見積書や請求書に記載された割引と、クーポン券との関係が立証されていないことは明らかである。クーポン券に日付や顧客名が手書きで記載されているが、このような記載は後日いくらでもできることであって、証明力はないに等しい。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を審判事件答弁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第43号証を提出した。
(1)答弁の理由
ア 被請求人は、乙第2号証に示す「暮らしのネットワーク」との間に、商標登録使用許諾契約書で本件商標の使用許諾を行っている。この契約は実質的に通常使用権の許諾契約に当る(乙3)。そして、この契約の中で、本件商標についての使用が、「暮らしのネットワーク」に対して許諾されている。
イ 乙第3号証に示す使用許諾契約の一方の当事者である「暮らしのネットワーク」は、引越し等の生活に関連するサービスを提供する会社であり、各種の引越し業者と広く契約を結んでいる会社である(乙4)。
ウ 「暮らしのネットワーク」は、乙第5号証に示すように、三井のリハウスと提携して生活支援サービスの中で、特に移転に伴い不必要になった家具等の処分のための片付け業務について、「断捨離」なる商標と同一又は類似の表示を使用しており、ここで本件商標が明白に使用されている(乙5)。
エ 「暮らしのネットワーク」が、このような生活支援のサービスの中で応援チケットと称する割引券を発行しており(乙6)、この割引券の中で「断捨離」なる商標を用いて表示を行っている。
オ 「暮らしのネットワーク」は、三つ折りのパンフレットを作成し、これを業務の販売促進のために広く配っており、この三つ折りのパンフレットには、そのフロントページに大きく「断捨離」なる表示を施している(乙7)。乙第5号証ないし乙第7号証における「断捨離」の表示による使用は、本件商標の使用に当たるのは明白である。
カ 被請求人は、乙第8号証に示すように、上記以外の業者である、例えば京成不動産等とも提携し、この京成不動産もまた「断捨離」の表示を用いている。このほかに、被請求人は、乙第9号証に示す三井不動産リアルティとも提携しており、この会社も「断捨離」の語からなる商標で営業活動を行っている。
キ このように、「暮らしのネットワーク」あるいはその提携業者が用いている商標は、本件商標の漢字の文字列の部分と同一であって、外観において本件商標と同視されるとともに、本件商標と社会通念上同一と見られる商標である。
そして、本件商標の使用は、指定役務のひとつである「一般廃棄物の収集・分別及び処分」あるいは「産業廃棄物の収集・分別及び処分」に当たり、さらにはこのような「廃棄物の車両による輸送,貨物のこん包,貨物の積卸し,寄託を受けた物品の倉庫における保管,倉庫の提供」等の業務に当たる。
そうすると、本件商標についての上記の使用は、商標法第2条第3項第3号ないし第8号に該当するものである。
また、上記の各使用は、本件審判請求の登録前3年(以下「要証期間」という。)以内の使用である。
ク したがって、上記の各パンフレット等の証拠による使用等によって、要証期間内に本件商標が適法に使用されたことが証明されたことになる。
(2)口頭審理陳述要領書(平成29年5月12日付け)
ア 乙第10号証
乙第10号証は、被請求人の代表取締役が、三井不動産リアルティ等の提携業務会社と連携して広範囲に本件商標を使用していることを陳述した陳述書である。
イ 乙第11号証
乙第11号証は、三井不動産販売との業務提携契約書であり、現在も生きているものである。
商標権者である「銀座急送」は、三井不動産販売と、顧客等に向けて住み替えの際に必要となる種々のサービスを独自に提供するために、商標権者である「銀座急送」の引越しとこれに付随するサービスについて提供を受けるために、平成15年から現在に至るまで業務提携契約を締結している。
ウ 乙第12号証
乙第12号証は、「リハウスサポート株式会社設立のお知らせ」のメディア向けニュースリリースである。
リハウスサポート株式会社(以下「リハウスサポート」という。)は、住み替えにかかわる独自サービスとして、引越しやハウスクリーニング、リフォーム等の総合サービスを提供するために、「銀座急送」を初めとした各法人との業務提携を提供したものであって、この設立のお知らせによって、そのことが明白に立証される。なお、この提携は現在も継続している。
エ 乙第13号証
乙第13号証は、三井系3社の出資会社である「リハウスサポート」と「銀座急送」との業務提携契約書である。
この業務提携契約書は、不動産販売、リフォーム、新築住宅の仲介の際に発生する「住み替え」にかかわるサービスを提供するために、三井系3社の出資会社である「リハウスサポート」と「銀座急送」とが提携したことを証明している。なお、本提携は、引越しのみならず、顧客のニーズに応えるために、片付けや残置物撤去、不用品回収、単品の移動、保管業務等のサービスの提供にも及んでおり、これらにかかる業務提携契約書が証拠として提出される。
オ 乙第14号証
乙第14号証は、「リハウスサポート」と「銀座急送」との対価設定に伴う覚書である。
平成22年6月に、「リハウスサポート」より「銀座急送」の提供するサービスについては、引越しサービスに加えて、要望の多い片付けを伴う不用品回収サービスを行っていたが、新たに業務提携対価の対象とする、対価設定に伴う覚書を締結している。
カ 乙第15号証
乙第15号証は、すまいサポート株式会社(以下「すまいサポート」という。)と「銀座急送」との業務提携契約書である。
この業務提携契約書は、「すまいサポート」のサービスについて「住み替え」に関わる顧客のより広範囲のニーズを受け入れて提供することになったものであって、このような提携の内容を記したのがこの業務提携契約書である。
キ 乙第16号証
乙第16号証は、HSP・LSP・RSP連携によるエコ・プロサービス(断捨離)の提案書である。
平成25年10月1日に、「銀座急送」が、業務提携していた「すまいサポート」に対して引越し会社、買取業者等の提携法人である提携プロジェクトチームに対して不用品回収サービス「断捨離」の提案を行っている。この提案書の中に、明確に「断捨離」の文字を用いて、提案を行っている。
ク 乙第17号証
乙第17号証は、三井不動産リアルティ株式会社(以下「三井不動産リアルティ」という。)と株式会社ネットワークサービス(以下「ネットワークサービス」という。)との業務提携契約書であり、現在も生きている契約である。
「三井不動産リアルティ」と「ネットワークサービス」は、平成26年4月より新たに業務提携を行い、平成29年度も更新、継続されている。また、三井不動産リアルティコンプライアンス部門が「ネットワークサービス」の組織及び構成法人や当該法人業務提携内容等について事前に確認し、了承を得ている。そして、「三井不動産リアルティ」のリハウス顧客向けパンフレット等の広告物の配布、告知に関しても、事前に許可を得た上で顧客等に配布されたものであり、同時に当社のイントラネット等により関連部署及び店舗等に社内通達されている。当然ながら「断捨離」の表記物についても、事前に商標登録証等を含め提出し印刷、配布許可されたものである。このように「暮らしのネットワーク」は、三井のリハウスの顧客等を対象とした本件配布物、広告物の作成(「断捨離」の記載物)と告知活動は、これらの経緯と許可を経て実施されている。
ケ 乙第18号証
乙第18号証は、クーポン券の納品書、請求書及び銀行振込書である。
ここで立証に供されているクーポン券は、「三井不動産リアルティ」と「ネットワークサービス」とで締結された業務提携契約書の第6条の特典条項により履行されている。また、クーポン券の発注に係る経過を示すために、納品日から支払日までを明示した書面として、納品書、請求書及び支払結果表を提出する。
コ 乙第19号証
乙第19号証は、クーポン券の印刷会社である「アイティ・ラビット」からの見積書、請求書、納品書及び「アイティ・ラビット」への銀行振込書であり、これらの証拠資料はいずれも要証期間内の決済に関するものである。
サ 乙第20号証
乙第20号証は、「アイティ・ラビット」による、引越しガイドブックの引越し+断捨離ガイドブック作成に関わる見積書、請求書、納品書及び銀行の振込照会書面である。
シ 乙第21号証
乙第21号証は、「銀座急送」の預金通帳のコピーである。特にこの通帳は、平成28年7月5日から11月4日までの期間の入金を記録している。
ス 乙第22号証
乙第22号証は、「銀座急送」が、顧客に対して宛てた請求書であって、平成28年7月1日から9月25日までの期間のものである。「暮らしのネットワーク」中央センターである「銀座急送」のクーポン券利用者の受託した分の見積書4枚については請求書を発行し、振込入金されている。
クーポン券を利用してサービスを受けた顧客8名の見積書中、4名は請求書が発行された。本表はその控えである。これは紛れもなく当該クーポン券を利用したという証左である。
セ 乙第23号証
乙第23号証は、「銀座急送」(「暮らしのネットワーク」中央センター)の領収書である。
クーポン券を利用してサービスを受けた顧客8名の見積書中、4名は現金集金の金額の領収書の控えである。これは紛れもなく当該クーポン券を利用した証左である。
ソ 乙第24号証
乙第24号証は、「銀座急送」中央センターにおいて、平成28年6月11日から9月12日までにサービスを受けた8名のクーポン券である。
タ 乙第25号証ないし乙第28号証
乙第25号証ないし乙第28号証は、「暮らしのネットワーク」中央センター、城西センター、神奈川センター及び東京北センターの「すまいスッキリサービス」の見積書であって、本見積書は、クーポン券を利用した見積書である。利用の際にクーポン券の断捨離「お片づけ」料金の10%割引が提供されることが明確に示されている。
「すまいスッキリサービス」は、住み替えに関わる種々のサービスを指す。そのサービスの利用特典としてクーポン券を利用する各店舗並びにリハウス営業担当から顧客に配布している。
(3)上申書(平成29年6月29日付け)
ア 平成29年6月7日付の第1回口頭審理調書において、乙第20号証に添付の納品書及び請求書に記載の「KNW三折パンフ」は、乙第7号証のパンフレットであることをここに再確認するとともに、このパンフレットによって、本件商標は確実に使用されたことを主張する。
イ 乙第29号証ないし乙第32号証のメールは、三井のリハウス売却応援ガイドブック(乙5)について、「暮らしのネットワーク」本部が、その作成、校正、配信許可、配信までの一連の過程を証している。
ウ 乙第33号証
乙第33号証は、「暮らしのネットワーク」本部作成の三井のリハウス売却応援ガイドブック(乙5)に関して、「暮らしのネットワーク」本部カスタマーセンターのファイルデータから各提携法人(乙3)が本部のクラウドシステムメールを利用し、三井のリハウス各店舗にメールした証拠の一部及びその送付した店舗所長などのメールアドレス一覧(189名)である。本メールにはPDFとして三井のリハウス売却応援ガイドブック.pdf(乙5)が添付されている。
したがって、要証期間において、間違いなく乙第5号証のガイドブック(売却応援ガイドブック)がメール配信された証拠である。
エ 乙第34号証
乙第34号証は、提携法人法人各社宛てに発行された三つ折りパンフレット(乙7)の請求代金の請求書の控えである。
「暮らしのネットワーク」本部作成の「引越+断捨離(R)(お片づけ)」三つ折りパンフレット(乙7)は、乙第20号証の納品書にある平成28年9月8日に、「暮らしのネットワーク」本部に5000部納入された後、同年9月9日から順次、希望する「暮らしのネットワーク」提携法人(乙3)に佐川急便等で配送され、7通の請求書が提携法人各社宛てに発行されている。
したがって、「暮らしのネットワーク」各提携法人(乙3)が、個人客に対して配布した、「引越+断捨離(R)(お片づけ)」三つ折りパンフレット(乙7)は、要証期間内において、間違いなく各提携法人に配送され、顧客に配られたものである。
オ 乙第35号証
乙第35号証は、「暮らしのネットワーク」本部作成の、クーポン券(乙6、乙18、乙19)及び「引越+断捨離(R)(お片づけ)」の三つ折りパンフレット(乙7)に関して、印刷されたクーポン券とパンフレットの配送先一覧及び提携法人各社宛てに出荷した出荷伝票の控えと佐川急便からの請求書である。クーポン券については、平成28年4月28日及び6月7日に「暮らしのネットワーク」に納入されたので(乙18、乙19)、同年5月12日から6月17日までに提携法人各社(乙3)に佐川急便を利用して出荷された。また、三つ折りパンフレット(乙7)については、平成28年9月8日に納入されたので(乙20)、平成28年9月12日から平成29年6月8日まで佐川急便で提携法人各社宛てに出荷された。
したがって、「暮らしのネットワーク」各提携法人(乙3)に対して、本件の要証期間を含む平成28年5月から平成29年6月までに間違いなく、クーポン券(乙6)と「引越+断捨離(R)」の三つ折りパンフレット(乙7)は、共に提携法人各社に送達された。
カ 乙第36号証
乙第36号証は、「暮らしのネットワーク」本部作成の、クーポン券(乙6、乙18、乙19)に関して、「暮らしのネットワーク」に納品された当該クーポン券の配送先一覧の控え及び提携法人各社からの入金日及び「暮らしのネットワーク」の銀行口座通帳のコピーである。
したがって、「暮らしのネットワーク」各提携法人(乙3)に対して、本件の要証期間を含む平成28年4月から平成29年4月までに間違いなく、クーポン券(乙6)は、各提携法人に送達され、その請求代金が「暮らしのネットワーク」の銀行口座に入金されているから、これは、「銀座急送」を含む提携法人各社によって、クーポン券の利用がなされたという証左である。
キ 乙第37号証
乙第37号証は、「暮らしのネットワーク」本部作成の、クーポン券(乙6、乙18、乙19)に関して、「暮らしのネットワーク」提携法人(乙3)に納品された当該クーポン券に関する請求書の控えであり、発行日は平成28年5月25日から平成28年8月25日までである。
したがって、「暮らしのネットワーク」各提携法人(乙3)に対して、クーポン券(乙6)は送達され、請求書が発行されていることから、本件の要証期間において、「銀座急送」を含む提携法人各社によって、クーポン券の利用がなされ、その支払いが行われた(乙36)という証左である。
ク 乙第38号証ないし乙第40号証のメールは、乙第6号証のクーポン券の完成までの経過であり、商標登録の番号記載や(R)マークの表記に係る事細かな修正経緯を明確にしたものであるから、クーポン券に表記された「断捨離」は、「銀座急送」によって商標登録された登録第5606900号の「断捨離」である。
ケ 乙第41号証
乙第41号証は、乙第25号証ないし乙第28号証に使用されている「暮らしのネットワーク」のすまいスッキリサービス見積書兼古物台帳である。
「断捨離」(お片付けや不要家財買取などの種々のサービス)を利用する利用者にあっては、クーポン券を提示することで、すまいスッキリサービスの割引が適用され、本見積書に記載されることになる。
したがって、本件の要証期間において、「銀座急送」は商標登録した「断捨離」を明確に使用しているという証拠である。
コ 乙第42号証
乙第42号証は、乙第3号証の「銀座急送」と「暮らしのネットワーク」(旧「ネットワークサービス」)の商標登録使用許諾契約に関しては間違いなく真正に作成されたものである。
サ 乙第43号証
乙第43号証は、すまいスッキリサービス見積書の作成に関する印刷会社の見積書、納品書及び請求書、そして、その支払を実行した銀行の「Biz station」支払い照会表である。
当該見積書は150冊作成され、平成28年4月1日に「暮らしのネットワーク」本部に納品され、同年の4月12日から同年6月7日までの期間に「銀座急送」を含めた「暮らしのネットワーク」提携法人各社(乙3)に納入された。
したがって、当該見積書には「断捨離」の「商標登録番号5606900号(複製を禁ず)」を記載していることから、サービスの総称として「断捨離」が、要証期間に広く利用されていたことを示すものである。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出した証拠及びその主張は以下のとおりである。
ア 乙第2号証は、「暮らしのネットワーク」の「履歴事項全部証明書」であり、「商号」の欄に、平成27年5月3日付けで商号を「株式会社ネットワークサービス」から「株式会社暮らしのネットワーク」に変更し、同年5月7日付けで登記された旨の記載がある。
イ 乙第3号証は、平成26年1月20日を契約日とする、本件商標権者である「銀座急送」と「ネットワークサービス」との「商標登録使用許諾契約書」であり、その冒頭には、「銀座急送株式会社(以下『甲』という)と、株式会社ネットワークサービス(以下『乙』という)とは、商標登録『断捨離』(だんしゃり)の使用許諾に関し、以下の通り契約を締結する。」の記載がある。
また、該契約書の第1条には、「6.乙及び乙のサービスを提供している乙の提携加盟法人とする加盟法人のセンター名と法人名は下記の通り」として、6社のセンター名と法人名の記載があり、その中に「城東センター(あんぜんタカラ物流株式会社)」及び「城北センター(株式会社ラップタイマー)」の記載がある。
ウ 乙第7号証は、「三つ折りパンフレット」であり、該パンフレットの表紙の上部には、白抜きの文字で「引越」及び「+プラス」の文字とともに、「だんしゃり」の平仮名と「断捨離」の漢字とを上下二段に書し、その下に「(お片付け)」の文字が表示されており、下部には、白抜き文字で「暮らしのネットワーク」の文字が表示されている。
また、裏面の右上には、白抜きの文字で「だんしゃり」の文字と「断捨離」の文字が上下二段に表示されており、その下段には「引越にプラスしてご利用いただくと、さらにお得なメニュー」の記載があり、その下部に「不要家財の買取査定・回収」の見出しの下、「使えるものはリサイクル、不要な家財の買取査定と資源としての回収を承ります。」の記載があり、その下に「家財保管」の見出しの下、「大切な家財を専用倉庫で、さらに専用コンテナで保管する『二重安心保管システム』です。」の記載がある。
さらに、裏表紙の下部には、白抜きの文字で「暮らしのネットワーク」及び電話番号、営業時間、住所及びURLの記載がある。
エ 乙第20号証に添付の証拠は、御見積書、納品書、請求書及び総合振込の受付明細照会(照会結果)とされるものであり、「納品書」とされる証拠は、「アイティ・ラビット」が「暮らしのネットワーク」宛てに2016年9月8日付けで作成した「納品書」であり、「月日」、「品名」及び「数量」等の欄があり、3行目には、それぞれ、「09/08」、「KNW三折パンフ マットコート110kg」及び「5,000」等の記載がある。
そして、第1回口頭審理調書によれば、「納品書」の「品名」欄に記載されている「KNW三折パンフ」は、乙第7号証のパンフレットである。
オ 乙第34号証に添付の証拠は、三つ折りパンフレットの配布先一覧及び(控)御請求書とされるものであり、3葉目の「請求書」の控えとされる証拠は、「暮らしのネットワーク」が「株式会社ラップタイマー」宛てに2016年9月25日付けで作成した「請求書」の控えであり、「摘要」及び「数量」等の欄があり、5行目には、それぞれ、「9/12 三つ折パンフ」及び「500枚」等の記載がある。
また、4葉目は、「暮らしのネットワーク」が「あんぜんタカラ物流株式会社」宛てに2016年9月25日付けで作成した「請求書」の控えであり、「摘要」及び「数量」等の欄があり、7行目には、それぞれ、「9/12 三つ折パンフ」及び「100枚」等の記載がある。
カ 乙第35号証に添付の証拠は、クーポン券及び三つ折りパンフレットの配布一覧、送り状及び請求書等とされるものであり、7葉目の「送り状」とされる証拠は、上段が、「暮らしのネットワーク」から「あんぜんタカラ物流株式会社」宛て、下段が、「暮らしのネットワーク」から「株式会社ラップタイマー」宛ての「送り状(ご依頼主控)」であり、ともに、品名欄に「書類」の記載があり、右下の荷受印欄には、2016年9月12日付けの受付印が押印されている。
(2)判断
通常使用権者について
乙第3号証の「商標登録使用許諾契約書」において、「銀座急送」と「ネットワークサービス」は、平成26年1月20日付けで「商標登録『断捨離』(だんしゃり)」の使用許諾契約をしており、また、該契約書の両社の代表取締役は同一人物である。
してみれば、被請求人は「ネットワークサービス」に、本件商標の使用について、使用許諾を与えていたとみて差し支えないものであり、また、「暮らしのネットワーク」の「履歴事項全部証明書」(乙2)には、平成27年5月3日付けで商号を「株式会社ネットワークサービス」から「株式会社暮らしのネットワーク」に変更している旨の記載がある。
そうすると、「暮らしのネットワーク」は、商標権者である被請求人から使用許諾を得ていたものといえる。
したがって、「暮らしのネットワーク」は、本件商標の通常使用権者と認められるものである。
イ 使用商標について
三つ折りパンフレット(乙7)の表紙には、「だんしゃり」の平仮名と「断捨離」の漢字が上下二段に表示されているところ(以下「使用商標」という。)、上段の「だんしゃり」の平仮名は、下段の「断捨離」の漢字の読みを特定しているものと無理なく理解されるものである。
そうすると、使用商標は、「ダンシャリ」の称呼を生じるものである。
ウ 本件商標との同一性について
本件商標は、「断捨離 だんしゃり」の文字を表してなるところ、「断捨離」の文字と「だんしゃり」の文字の間には、1文字程度のスペースがあることから、本件商標は、「断捨離」の文字と「だんしゃり」の文字からなるものと容易に認識されるものである。
そして、本件商標において、その構成中の後半部の「だんしゃり」の文字は、前半部の「断捨離」の文字の読みを特定しているものと無理なく理解されるものである。
してみれば、本件商標は、その構成中の「断捨離」及び「だんしゃり」の文字部分に相応して「ダンシャリ」の称呼を生じるものである。
そうすると、本件商標と使用商標は、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であり、「ダンシャリ」の称呼を共通にするものであって、その構成の差異により異なる観念が生じるといった事情も見当たらないから、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるものである。
エ 使用時期について
三つ折りパンフレット(乙7)の表紙の下部には「暮らしのネットワーク」の文字が、また、裏表紙の下部には「暮らしのネットワーク」の文字とともに電話番号、営業時間、住所及びURLの記載があることからすると、該パンフレットの作成者は「暮らしのネットワーク」であるといえる。
そして、「暮らしのネットワーク」は、該パンフレットの作成を「アイティ・ラビット」に依頼し、2016年9月8日に「アイティ・ラビット」から5,000部のパンフレットの納品を受け(乙20)、同月12日に宅配便を使用して、乙第3号証の「商標登録使用許諾契約書」に記載された、「暮らしのネットワーク」のサービスを提供している提携会社である「あんぜんタカラ物流株式会社」及び「株式会社ラップタイマー」の2社に、納品されたパンフレットの一部を送付しており(乙35)、この日付は、要証期間内である。
そうすると、「暮らしのネットワーク」は、納品された5,000部のパンフレットを頒布せずに保管しておくことは想定し難く、実際に、乙第3号証の契約書に記載のある提携法人に対して発送し、顧客に配布したという被請求人の主張に不合理な点は見当たらないから、「暮らしのネットワーク」は、2016年9月12日以降に、乙第7号証の三つ折りパンフレットを提携法人を通じて顧客に頒布したと推認できる。
オ 使用役務について
「暮らしのネットワーク」が作成した、三つ折りパンフレット(乙7)には、裏面の右上に「引越にプラスしてご利用いただくと、さらにお得なメニュー」の記載があり、その下部に「不要家財の買取査定・回収」の見出しの下、「使えるものはリサイクル、不要な家財の買取査定と資源としての回収を承ります。」の記載があり、「家財保管」の見出しの下、「大切な家財を専用倉庫で、さらに専用コンテナで保管する『二重安心保管システム』です。」の記載がある。
そして、これらの記載からすれば、通常使用権者である「暮らしのネットワーク」は、「引越の代行,寄託を受けた物品の倉庫における保管,一般廃棄物の収集・分別及び処分」の役務を提供しているものと認められ、これは、本件商標の指定役務に含まれるものである。
カ 小括
上記アないしオによれば、通常使用権者である「暮らしのネットワーク」は、三つ折りパンフレット(乙7)において、自己の業務である「引越の代行,寄託を受けた物品の倉庫における保管,一般廃棄物の収集・分別及び処分」に関して、本件商標と社会通念上同一の商標を付して、要証期間内である2016年9月12日に提携会社に該パンフレットを送付し、これを頒布したものと推認できるものであるから、その行為は、商標法第2条第3項第8号にいう「役務に関する広告に標章を付して頒布する行為」に該当するものである。
(3)まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が、本件審判の請求に係る指定役務中、「引越の代行,寄託を受けた物品の倉庫における保管,一般廃棄物の収集・分別及び処分」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したと認められる。
したがって、本件商標の登録は、その指定役務について、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-10-31 
結審通知日 2017-11-08 
審決日 2017-11-22 
出願番号 商願2013-18974(T2013-18974) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (W3940)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 木村 一弘 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 榎本 政実
木住野 勝也
登録日 2013-08-09 
登録番号 商標登録第5606900号(T5606900) 
商標の称呼 ダンシャリダンシャリ、ダンシャリ 
代理人 赤松 俊治 
代理人 谷 昌樹 
代理人 永田 貴久 
代理人 松村 修 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ