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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y31
管理番号 1336255 
審判番号 取消2017-300125 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2017-02-22 
確定日 2017-12-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第2601892号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2601892号商標の指定商品中、第31類「飼料」については、その登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2601892号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成3年4月17日に登録出願、第33類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同5年11月30日に設定登録され、その後、指定商品については、同16年1月28日に、第31類「あわ,きび,ごま,そば,とうもろこし,ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料用たんぱく,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵」のほか、第1類、第29類及び第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされ、さらに、同25年9月17日に第31類についてのみ商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成29年3月7日にされたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、「飼料」について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれもが使用した事実がないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)通常使用権者が使用している標章は本件商標と社会通念上同一と認められる商標には該当しない
被請求人は、本件商標について株式会社ドン・キホーテ(通常使用権者1)及びゲンキー株式会社(通常使用権者2)に対して使用を許諾しており、各通常使用権者は乙第3号証ないし乙第6号証に示されるとおりの態様にて「カニかま」(使用商標1)又は「カニカマ」(使用商標2)を使用しているから、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されていると主張する。
しかしながら、使用商標1又は使用商標2と本件商標は社会通念上同一の商標ということはできないから、被請求人の主張は失当である。
被請求人は、本件商標の上段、中段及び下段から生じる称呼、観念が同一であるから、それらのいずれかを使用することは本件商標と社会通念上同一の商標を使用するものといえる旨主張している。
しかしながら、本件商標は三段書きという特異な外観構成であるところ、使用商標1及び使用商標2はいずれも一段書きであるから、本件商標と比較すると構成する文字列の2/3が除外されるという大差が生じている。このような外観上において大差を有する本件商標と使用商標1又は使用商標2は社会通念上同一ということはできないことは明白である。本件商標と使用商標1又は使用商標2は書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標と認めることはできないし、あるいは平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標ということができないことも明らかである。
さらには、乙第1号証の契約書に添付の別紙2や乙第3号証及び乙第4号証に示される商品での実際の使用態様は「厳選カニかま」であり、単なる「カニかま」ではない。
また、乙第2号証の契約書に添付の別紙2や乙第5号証及び乙第6号証に示される商品での実際の使用態様は「カニカマ/スライス」であり、単なる「カニカマ」ではない。
したがって、本件商標と、通常使用権者1及び通常使用権者2による実際の使用商標「厳選カニかま」あるいは「カニカマ/スライス」が社会通念上同一といえないことは一層明白であると思料する。
(2)使用商標1及び使用商標2の使用は商標としての使用とはいえない
登録商標の使用に当たるか否かの認定に当たっては、登録商標に係る指定商品及び指定役務の属する産業分野における取引の実情を十分に考慮し、個々具体的な事例に基づいて判断すべきものであるところ(審判便覧)、「ペットフード」との関係では「かにかま」、「カニカマ」、「カニ蒲」の各文字部分はいずれも普通名称として、あるいは原材料としての「かに風味の蒲鉾」と理解されるものである。
「かにかま」が「かに風味の蒲鉾」を意味する普通名称であることを証するため甲第2号証及び甲第3号証を提出する。
また、「かにかま」がペットフードの原材料として使用されている事実を証する証拠として、甲第4号証ないし甲第9号証を提出する。
甲第4号証は、環境省のウェブサイトに掲載されている「ペットフード安全法に関するQ&A」からの抜粋写しである。
「Q3-7」に「例えば『かにかま』や『チーズ』などの食品をペットフードに配合する場合、『かにかま』、『チーズ』を原材料名として表示します。」との記載がある。ここから、「かにかま」がペットフードの原材料名として表示される普通名称であることが立証される。
また、甲第5号証は、被請求人の商品「黒缶ミニ かにかま入りまぐろとかつお」に関するウェブサイト上の商品詳細ページの写しである。ここから、被請求人自身が「かにかま入り」の表示により原材料として「かにかま」を使用していることが明らかである。
同様に、他のペットフードメーカーも「かにかま」、「カニカマ」を原材料表示として使用していることがわかる(甲6?甲9)。
商標法第50条の適用上「商品についての登録商標の使用」があったというためには、同法第2条第3項の文言どおりの使用では足りずに、当該商品の識別表示として同法第2条第3項、第4項所定の行為がなされることを要するものと思料するが(例えば、東京高裁平成12年(行ケ)第117号判決)、「ペットフード」に「カニかま」(使用商標1)又は「カニカマ」(使用商標2)と表示しても、これらはペットフードの原材料あるいはぺットフードそのものとしての「かにかま」を意味するものと理解されるのが、本件商標の指定商品中「飼料」(ペットフード)の属する産業分野における取引の実情であること上記のとおりである。
なお、乙第1号証及び乙第2号証の契約書から、被請求人及び通常使用権者1及び通常使用権者2も「かにかま」を「かに風味の蒲鉾」を意味する普通名称と認識していることが明らかである。
したがって、使用商標1又は使用商標2の表示が自他商品識別標識(出所表示)として機能することはないから、乙第1号証ないし乙第6号証における使用商標1又は使用商標2によっては、本件商標と社会通念上同一の商標が「飼料」について使用された事実は認められない。
(3)乙第1号証及び乙第2号証「商標権不行使契約書」について
被請求人は、乙第1号証及び乙第2号証の「商標権不行使契約書」に基づき通常使用権者1及び通常使用権者2に対して本件商標の使用を許諾している旨主張している。
しかしながら、乙第1号証及び乙第2号証は「商標権不行使契約書」であって「使用許諾契約書」ではない。同契約書では「登録商標に関する禁止権を行使しないことを保証」したにすぎないから、これらの契約によっては本件商標の使用を許諾しているといえないことは明らかである。
被請求人は、本件商標が三段書きであるのに対し、使用商標1及び使用商標2はいずれも一段書きであるために、本件商標の使用には該当しないと判断して、商標権不行使契約を締結したものと推測するが、かかる事実も本件商標と使用商標1又は使用商標2が社会通念上同一ではないことを示す客観的な証拠といえる。
さらに、乙第1号証及び乙第2号証の契約書では第1条(3)において「契約商品」(禁止権の不行使を保証する対象商品)を「登録商標の指定商品に含まれる『かにかま』を意味する。」と定義している。これも、被請求人、通常使用権者1及び通常使用権者2が「かにかま」を「かに風味の蒲鉾」を意味する普通名称と認識していることの客観的な証拠といえる。
(4)本件商標が取り消されることによる影響について
被請求人は、本件商標の不使用について自認している。
そして、通常使用権者1及び通常使用権者2は本件商標の商標権不行使を保証された者にすぎないから、本件商標が取り消されたとしても何ら不利益を被らないことは明白である。
一方で、甲第6号証ないし甲第9号証のような他のペットフードメーカーが「かにかま」を原材料表示としてペットフードに使用している当業界の実情がある。
かかる状況において、本件商標の登録を維持すべき特別な事情は一切見当たらないというべきであり、むしろ、通常使用権者1による「厳選カニかま」の使用、あるいは通常使用権者2による「カニカマ/スライス」の使用が本件商標と社会通念上同一の商標としての使用と認められて本件商標の登録が維持されるとすれば、却って公正な商取引秩序を乱す事態を招かざるを得ず、かかる事態は商標法制定の趣旨に反することは明白である。
(5)まとめ
以上のとおりであるから、仮に通常使用権者1及び通常使用権者2が本件商標を黙示的に使用許諾された者に該当するとしても、「かにかま」が「かに風味の蒲鉾」を意味する普通名称であって、ペットフードの原材料表示として使用されている取引の実情を十分考慮した場合には、通常使用権者1及び通常使用権者2による実際の使用商標「厳選カニかま」あるいは「カニカマ/スライス」の使用が、「かにかま/カニカマ/カニ蒲」と三段書きしてなる本件商標と社会通念上同一の商標の使用には該当しないことは明らかである。
したがって、被請求人提出に係る乙各号証によっては未だ本件商標が本件審判請求の登録前に使用された事実は証明されない。
3 平成29年7月31日付け上申書
請求人は、既に主張立証を尽くしたと考えており、書面審理による進行を希望する。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
1 本件商標の商標権者は、通常使用権者1及び通常使用権者2に対して本件商標の使用を許諾し、通常使用権者1及び通常使用権者2が本件審判請求の登録前3年以内に我が国においてその請求に係る指定商品「飼料」について、本件商標を使用している。
2 本件商標の使用の事実
(1)通常使用権者1による使用について
乙第1号証は、商標権者が通常使用権者1(株式会社ドン・キホーテ)に対して、本件商標の使用を許諾することを締結した「商標権不行使契約書」の写しである。
本商標権不行使契約書においては、第2条として「甲は、乙らに対し、本契約の期間中、契約地域において契約商品に関して対象商標を使用する行為に対して、契約商標による禁止権の不行使を保証する。」と規定されている。
まず、本契約締結の経緯について説明すると、平成26年9月頃に通常使用権者1から商標権者に対して本件商標の使用に関して問い合わせを受け、「通常使用権者1が全国展開する店舗で販売する飼料について、本件商標を使用させてほしい」との申し出があった。
本申し出に対して、商標権者は、商標権者が本件商標の使用をしていなかったこと、通常使用権者1と友好な取引関係を長期間継続していたこと等の事情を考慮して、無償で本件商標の使用を許諾するために、本契約書を締結した。
乙第1号証の「別添1」(審決注:「別紙2」の誤記と認める。)、乙第3号証及び乙第4号証に示されているとおり、通常使用権者1は飼料について使用商標1を付した商品を製造し、現在に至るまで複数の店舗において販売している。
ここで、本件商標は、「かにかま/カニカマ/カニ蒲」であって三段書きされた態様であるところ、上段、中段及び下段から生じる称呼、観念が同一であるから、それらのいずれかを使用することは本件商標と社会通念上同一の商標を使用するものといえる。
使用商標1は、平仮名表記からなる上段及び片仮名表記からなる中段と異なり、片仮名文字と平仮名文字との結合からなるところ、書体にのみ変更を加えた同一の商標であるから本件商標と社会通念上同一のものであるといえる。
なお、商標権者は、無償で本件商標の使用を許諾するという前提に基づき、通常、対象製品の売上額ベースで対価を算出する、将来において第三者対抗要件を備える可能性のある通常使用権を許諾する本来的使用許諾契約ではなく、商標権の禁止権不行使契約を締結したものであって、本契約の事実によって、通常使用権者1が専用権の範囲についても使用の許諾を与えられていることは十分に推認できるものであるといえる。
(2)通常使用権者2の使用について
乙第2号証は、商標権者が通常使用権者2(ゲンキー株式会社)に対して、本件商標の使用を許諾することを締結した「商標権不行使契約書」の写しである。本商標権不行使契約書においては、第2条として「甲は、乙らに対し、本契約の期間中、契約地域において契約商品に関して対象商標を使用する行為に対して、契約商標による禁止権の不行使を保障する。」と規定されている。
まず、本契約締結の経緯について説明すると、平成28年6月頃に通常使用権者2から商標権者に対して本件商標の使用に関して問い合わせを受け、「通常使用権者2が製造・販売する飼料について、本件商標を使用させてほしい」との申し出があった。
本申し出に対して、商標権者は、商標権者が本件商標の使用をしていなかったこと、既に通常使用権者1に対して本件商標の使用を無償で許諾していること等の事情を考慮して、無償で本件商標の使用を許諾するために、本契約書を締結した。
乙第2号証の「別添1」(審決注:「別紙2」の誤記と認める。)、乙第5号証及び乙第6号証に示されているとおり、通常使用権者2は飼料について使用商標2を付した商品を製造し、現在に至るまで複数の店舗において販売している。
既述のとおり、本件商標は、三段書きされた態様であるところ、上段、中段及び下段から生じる称呼、観念が同一であるから、中段と同一の書体及び文字からなる使用商標2は、本件商標と社会通念上同一のものであるといえる。
商標権者は、通常使用権者1との許諾契約と同様に、無償で本件商標の使用を許諾するという前提に基づき、通常、対象製品の売上額ベースで対価を算出する、将来において第三者対抗要件を備える可能性のある通常使用権を許諾する本来的使用許諾契約ではなく、商標権の禁止権不行使契約を締結したものであって、本契約の事実によって、通常使用権者2が専用権の範囲についても使用の許諾を与えられていることは十分に推認できるものであるといえる。
以上のとおり、商標権者は通常使用権者1及び通常使用権者2に対して本件商標の使用を許諾し、通常使用権者は本件商標を「飼料」について審判請求前3年以内であって、かつ、その請求の3ヶ月よりも前に使用を開始していることから駆け込み使用に該当するものではない。
(3)上記内容によって、本件商標の使用許諾による使用事実は確認できるものと思料するが、さらなる使用証明の必要性等があれば、口頭審理において直接答弁する機会を願う。
3 平成29年8月31日付け上申書
被請求人は、既に主張立証を尽くしたと考えており、書面審理による進行を希望する。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠について
(1)乙第1号証及び乙第2号証について
ア 乙第1号証は、平成26年10月6日に商標権者と株式会社ドン・キホーテとの間で交わされた「商標権不行使契約書」であり、「アイシア株式会社(以下、甲という)と、株式会社ドン・キホーテ(以下、乙という)とは、甲の所有に係る登録商標に関し、以下のとおり契約を締結する。なお、乙は、甲に対し、商品『厳選カニかま』の製造・販売に関して使用する乙の商標が、本契約において定義する甲の所有に係る登録商標に類似すること及び甲が、当該登録商標の正当な所有者であることを認める。また、甲は、乙・・・に対し、上記商品の商標の使用に関し、本契約に定める条件の下に甲の所有に係る登録商標に関する禁止権を行使しないことを保証する。」と記載され、「第1条(定義)」には、「(1)『契約商標』とは、別紙1に記載された登録商標第2601892号を意味する。」、「(2)『対象商標』とは、別紙2に記載された契約商標による禁止権不行使の対象とする商標を意味する。」の記載がある。
また、乙第1号証の4葉目は、上記契約書第1条(2)に表記された別紙2であり、対象商標が掲載されている。左上部の「区分」の欄には、「猫用ペットフード」の記載があり、その下の「対象商標」の欄には、包装袋の表面及び裏面と思しき態様が左右に分かれて表示されており、左側には、上部中央に横書きされた赤色のリボン状の枠内に、斜め縦書きで「厳選」の文字とその右隣に横書きで「カニかま」(以下「使用商標1」という。)の文字がいずれも白色で記載されており、その他には、「間食用」、「お徳用」、「国産」、「うすいスライス形状だからとっても食べやすいやわらかさ♪」などの文字をランダムに配置し、猫と犬の写真、カニの図形などが表示されている。一方、右側には、「注意」として「本品は犬・猫用です。犬・猫以外には与えないでください。」の記載、また、「販売者」として「ペットライブラリー株式会社」及び「この商品は、ドン・キホーテグループが企画・開発した商品です。」の記載、さらに、「ドッグフード・キャットフード」などの記載がある。
イ 乙第2号証は、平成28年7月4日に商標権者とゲンキー株式会社との間で交わされた「商標権不行使契約書」であり、上記アの「商標権不行使契約書」の本文中、「乙」を「ゲンキー株式会社」、「商品」を「ねこちゃんのおやつ カニカマスライス」とするほかは、同一の内容とするものであり、また、「第1条(定義)」も同一の文言が記載されている。
また、乙第2号証の4葉目は、上記契約書第1条(2)に表記された別紙2であり、対象商標が掲載されている。左上部の「区分」の欄には、「猫用ペットフード(第31類)」の記載があり、その下の欄には、包装袋の表面及び裏面と思しき態様が上下対称に表示されており、下部には、中央に大きく横書きで「カニカマ」(以下「使用商標2」という。)の文字が記載され、その他に、「ねこちゃんのおやつ」、「スライス」、「食べやすいやわらか食感仕上げ。」、「お徳用サイズ」などの文字をランダムに配置し、さらに、猫や動物の足跡の図形などが表示されている。一方、上部は、文字サイズが小さいためほとんど判読できないが、その中でも「ゲンキー株式会社」、「キャットフード」の文字が読み取れる。
(2)乙第3号証及び乙第4号証について
ア 乙第3号証は、被請求人の主張によれば、ドン・キホーテ銀座本店において陳列された商品を2017年4月13日に撮影した写真の写しであるところ、この写真の写しには、店の内部が撮影されており、上記(1)アの別紙2の対象商標の左側と同一の態様の包装袋に内容物が入った状態のものが陳列されている様子が見て取れる。
しかしながら、写真の撮影日、撮影場所、撮影者は確認できない。
イ 乙第4号証は、2017年4月25日にプリントアウトされた株式会社ドン・キホーテのウェブサイトであり、「ペット商品」の表題の下、「厳選カニかま」の文字の下に、上記(1)アの別紙2の対象商標の左側と同一の態様の包装袋に内容物が入った状態の画像があり、「猫ちゃんだけでなく小型犬や老犬でも食べやすいから、わんちゃん、猫ちゃんどちらにも最適です。」の記載がある。
(3)乙第5号証及び乙第6号証について
ア 乙第5号証は、2017年4月25日にプリントアウトされたゲンキー株式会社のウェブサイトであり、「ペット用カニカマスライス160g(ゲンキーオリジナル商品)」の表題の下、上記(1)イの別紙2の対象商標の下部と同一の態様の包装袋に内容物が入った状態の画像がある。
イ 乙第6号証は、被請求人の主張によれば、2017年4月11日に撮影されたゲンキー芋島4丁目店に陳列された商品の写真の写しであるところ、この写真の写しには、上記(1)イの別紙2の対象商標の下部と同一の態様の包装袋に内容物が入った状態のものが陳列されている様子が見て取れる。
しかしながら、写真の撮影日、撮影場所、撮影者は確認できない。
2 上記1によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)使用者について
上記1(1)によれば、商標権者と株式会社ドン・キホーテ及びゲンキー株式会社との間で本件商標権に関して「商標権不行使契約書」を交わしており、その内容からすると、株式会社ドン・キホーテ及びゲンキー株式会社は、本件商標の通常使用権者と認められる。
そうすると、使用商標1及び使用商標2の使用者は、通常使用権者である株式会社ドン・キホーテ及びゲンキー株式会社ということができる(以下、「株式会社ドン・キホーテ」を「通常使用権者1」といい、また、「ゲンキー株式会社」を「通常使用権者2」という。)。
(2)使用商品について
通常使用権者1のウェブページには、使用商標1が付された商品が掲載されていたことが認められ、「ペット商品」及び「猫ちゃんだけでなく小型犬や老犬でも食べやすいから、わんちゃん、猫ちゃんどちらにも最適です。」の記載から、この商品が「ペットフード」であることが推認される。
また、通常使用権者2のウェブページには、使用商標2が付された商品が掲載されていたことが認められ、「ペット用カニカマスライス160g」の記載から、この商品が「ペットフード」であることが推認される。
そして、該「ペットフード」は、本件請求に係る指定商品「飼料」の範ちゅうに属する商品と認められる。
(3)本件商標と使用商標1及び使用商標2との同一性について
本件商標は、別掲1のとおり、「かにかま」、「カニカマ」及び「カニ蒲」の文字を三段に横書きした構成からなるところ、下段に位置する「カニ蒲」の文字は、辞書類に採録された既成の語とは認められないものであるが、その上部にその読みを平仮名表記した「かにかま」の文字と片仮名表記した「カニカマ」の文字とを併記してなるものと認識されるものであって、その構成全体から「カニカマ」と称呼され、特定の観念を生じないものである。
使用商標1は、別掲2のとおり、横書きされた赤色のリボン状の枠内に斜め縦書きで「厳選」の文字とその右隣に横書きで「カニかま」の文字を配した構成からなるところ、その構成中「厳選」の文字はその商品の品質を表すものとして認識されることから、「カニかま」の文字が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るものとみるのが相当である。
そして、使用商標1の構成中「カニかま」の文字は、本件商標の平仮名部分と片仮名部分の表示を相互に変更するものとして認識、把握されるものであって、これよりは「カニカマ」と称呼され、特定の観念を生じないものである。
使用商標2は、別掲3のとおり、横書きで「カニカマ」の文字を赤色で表してなるものであり、本件商標の片仮名部分と同一の文字つづりからなるものであって、これよりは「カニカマ」と称呼され、特定の観念を生じないものである。
以上のとおり、本件商標と使用商標1及び使用商標2は、いずれも同一の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであり、また、本件商標と使用商標1は、本件商標中の平仮名部分と片仮名部分の表示を相互に変更するものとして認識、把握され、本件商標と使用商標2は、本件商標中の片仮名部分と同一の文字綴りからなるものであるから、観念においても異なるものではない。
そうすると、本件商標と使用商標1及び使用商標2とは、社会通念上同一の商標と認められる。
(4)使用時期について
被請求人は、乙第3号証は、2017年4月13日の撮影、乙第6号証は、2017年4月11日の撮影であるとするが、これらの日付は、本件審判の請求の登録前3年以内(平成26年(2014年)3月7日から同29年(2017年)3月6日まで。以下「要証期間内」という。)を経過した後の日であるから、これらの証拠により本件商標の使用が要証期間内にあったということはできない。
また、その他、提出された証拠において要証期間内に本件商標の使用を確認できる事実はない。
(5)小括
上記(4)によれば、被請求人が提出した証拠からは、被請求人が、日本国内において、本件要証期間内に本件商標(社会通念上同一のものを含む。)を商品「飼料」に使用したものと認めることはできない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 使用商標1(色彩は原本参照)


別掲3 使用商標2(色彩は原本参照)



審理終結日 2017-10-18 
結審通知日 2017-10-20 
審決日 2017-11-01 
出願番号 商願平3-39737 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y31)
最終処分 成立  
特許庁審判長 半田 正人
特許庁審判官 豊泉 弘貴
小松 里美
登録日 1993-11-30 
登録番号 商標登録第2601892号(T2601892) 
商標の称呼 カニカマ 
代理人 白浜 吉治 
代理人 白浜 秀二 

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