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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) W41
管理番号 1336254 
審判番号 取消2016-300779 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-11-02 
確定日 2017-12-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第5603985号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5603985号商標の商標登録を取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第5603985号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成25年3月21日に登録出願、第41類「資格の認定及び資格の付与,技芸・スポーツ又は知識の教授,不動産投資に関する知識の教授,投資信託に関する知識の教授,インターネットを利用した不動産投資に関するセミナーの企画・運営・開催及びこれらに関する情報の提供,証券投資に関するセミナーの企画・運営又は開催,セミナー・ワークショップ・会議・講演会・研修会・シンポジウムの企画・手配・運営又は開催」を指定役務として同年8月2日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成28年11月15日である。
第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証から甲第13号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)被請求人の提出した証拠(乙第1号証から乙第4号証(枝番号を含む。))によっては、本件商標をその指定役務のいずれかへの使用をしている事実が立証されていない。
(2)乙第3号証について
(審決注:被請求人の提出に係る乙第3号証から乙第6号証までについては、平成29年6月15日の第1回口頭審理において、それぞれ、調書記載のとおり、証拠番号を振り直しており、本審決では、振り直した証拠番号に基づき記載する。また、枝番号を有する書証において枝番号のすべてを引用するときは、枝番号を省略して記載する。)
被請求人が「企画書」と自認する乙第3号証の2は「役務に関する広告、価格表若しくは取引書類」のいずれにも該当しない内部文書である。
また、被請求人は、乙第3号証の1及び3が「レジュメ」であると自認しているが、レジュメ自体は「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物」に該当する可能性があることは請求人もそれを否定しない。
しかしながら、以上の書類が具体的に、いつ発行され、頒布されたかの客観的な証拠が全く示されていない。
さらに、被請求人が主張するところの行為が「業として」、すなわち対価を得て行われたことを裏付ける書類及びその客観的な証拠が全く示されていない。
(3)乙第4号証について
乙第4号証は、音楽CDのジャケットの写真であり、本件商標の役務とは無関係のものである。仮にこれを広告媒体として使用しているとしても、そこには本件商標が付されていないことはもちろん、広告対象である役務名も付されていない。さらに、いつ発行され、頒布されたかの客観的な証拠が全く示されていない。
3 口頭審理陳述要領書(平成29年6月8日付け)
(1)被請求人は、乙第5号証として第1回から第8回までの「Preserved FLOWERS教室 プリザーブドフラワー」なる書類を提出し、それぞれの書類には本件商標が付されており、被請求人はこれらを「告知広告」と称している。
しかしながら、以上の書類が具体的にいつ作成され、頒布されたかの客観的な証拠が全く示されていない。
また、以上の書類が誰により作成され、また本件商標に関し、その者が被請求人とどのような関係にあるのかも明らかにされていない。
(2)被請求人は、乙第6号証の1として、「Studio Ocean」の2015年6月19日のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の画面コピーを添付しているが、これが乙第5号証の書類とどのように関係するのかが確認できない。
また、本件商標に関し、この「Studio Ocean」が被請求人とどのような関係にあるのかも明らかにされていない。
(3)被請求人は、乙第6号証の2として、A氏の2015年7月19日のSNSの画面コピーを添付しているが、これが前記乙第5号証の書類とどのように関係するのかが確認できない。
ちなみに、乙第6号証の2には乙第5号証の7の書類と酷似したものが記載されているが、そこには本件商標は付されていない。
(4)甲第2号証から甲第13号証は、請求人が乙第6号証で添付した「Studio Ocean」のサイトにアクセスして、乙第6号証では隠されていた書類の写真の全部をコピーしたもので、甲第2号証から甲第8号証はパソコンの画面、甲第9号証から甲第13号証はスマートフォンの画面をコピーしたものである。
ここから明らかなように、それらの書類には、本件商標は付されていない。
4 上申書(平成29年8月7日付け)
(1)被請求人が新たに提出した乙第7号証から乙第9号証は、第三者が記述したもので、そこには商標権者が配布したチラシに「Saint Force」のロゴが入っていたことを記憶していると記載されている。
それらに記載されているチラシが配布されたとする期間は、2014年12月から2015年8月である。
一方、上記乙各号証の作成の日付は2017年7月である。
すなわち、上記乙各号証の作成者は、2年から2年半前の出来事を回想してこれらを記載している。
通常、人の記憶能力に照らした場合、2年から2年半前に配布されたチラシに具体的にどのようなロゴが記載されていたかを覚えているというのはどう考えても不自然であり、上記乙各号証に記載された事項は信用性がなく、証拠力を欠くものといわざるを得ない。
(2)乙第6号証の2は、乙第8号証の作成者であるA氏の自身のウェブサイトのページであり、そこには「第7回 Preserved FLOWERS教室 プリザーブドフラワー」のチラシの写真が掲載されている。
該写真は、A氏が商標権者から提供を受けたチラシを撮影したものと思われるが、そこには「Saint Force」のロゴは入っていない。
すなわち、乙第8号証におけるA氏の記載には矛盾がある。
(3)また、乙第5号証の1から8のチラシには「Saint Force」のロゴが入っているが、乙第8号証及び甲第2号証から甲第13号証に記載されたチラシの写真には「Saint Force」のロゴが入ってない。
これに関し、平成29年6月15日の口頭審理における被請求人の説明によれば、チラシは段階により変化し、乙第8号証及び甲第2号証から甲第13号証に記載されたチラシの写真は、乙第5号証の1から8のチラシの前段階のものであるという。
しかしながら、パソコンで作成するこの種のチラシは毎回一から作成することはなく、最初に作成したものをテンプレートとして、変更事項のみ書き換えるのが通常である。
そうした場合、第1回目のチラシはともかくも、それをテンプレートとして作成する第2回目のチラシに関しては、第1回目のチラシに付した「Saint Force」のロゴをそのまま使用すると考えるのが自然であり、あえて外すと考えることは不自然である。
乙第5号証の1から8は信用性がなく、証拠力を欠くものといわざるを得ない。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成立しない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、審判事件答弁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証から乙第9号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 答弁の理由
被請求人は、投資にかかるイベントの企画運営を行い、また同時に、商標権者と同一住所であるPORTO SALONE社(以下「PORTO社」という。)に対し当該商標の使用権を許諾し、共同で商標を使用して業務を行っているところである。
請求人は、ただ単にインターネットを用い、商標権者に関する情報を検索してこれを使用していないと結論付けるという主張にとどまり事実はそうでない。
2 口頭審理陳述要領書(平成29年5月27日差出)
乙第5号証及び乙第6号証は、PORTO社を含む商標権者のグループが商標を使用して活動(第41類「資格の認定及び資格の付与,技芸・スポーツ又は知識の教授」)していたことをあらためて示すものである。
3 上申書(平成29年7月22日差出)
商標権者は、もともと金商法における投資助言業の登録業者であり、投資に関する分野においてのみの知識の教授を行っていた。(平成26年4月登録廃止。)
その中で、投資にかかる助言からさらにすそ野を広げ、投資活動をとおした「資産形成」における啓もう活動を行う会社に推移していった。
資産形成については、家庭においてお金の使い道についてカギを握るのが女性であるというある研究結果から、まずは女性にターゲットを絞りその知識を広げるための活動が必要であると考えた。
そのためには、まずは商標権者自体に興味を持ってもらい、商標権者へのイメージアップを図るとともに、投資知識の教授と勉強の場を創出するという戦略をとることとなる。
その広報活動の一環に「音楽」、「ヨガ」、「フラワーアレンジメント」などの技芸の教授活動が含まれるようになっていったのである。
よって、これら音楽CDの販売は、技芸の教授のための活動そのものの広告媒体であり、また、これら広報活動自体も、第41類に属する活動(「資格の認定及び資格の付与,技芸・スポーツ又は知識の教授」)であることを主張する。

第4 当審の判断
1 商標登録の取消しの審判について
商標法第50条第2項は、同条第1項の審判請求があった場合は、その審判の請求の登録前3年以内(本件の場合は、平成25年11月15日から同28年11月14日までの期間。以下「要証期間」という。)に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明するか、又は、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしない限り、商標権者は、その商標登録の取消しを免れない旨定めている。
2 被請求人の主張及び同人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。
(1)商標権者とPORTO社との間では、平成26年5月20日付けで「商標使用権許諾契約書」が締結された。その内容は、商標権者はPORTO社に対し、本件商標(登録出願番号:第2013-020214号)についての使用権を、PORTO社が関与する製品及びサービス全般(「音楽、カルチャー教室等の企画、運営及び経営」を含む(乙2)。)について独占的に許諾し、その使用許諾される地域は日本国内で、実施期間は7年間(2014年5月20日から2021年5月19日まで)であり、かつ、当該期間中、商標権者は本件商標を本件製品に使用せず、第三者に対して使用を許諾しないというものである(乙1)。
(2)本件商標の使用について
ア PORTO社は、「ボーダレス時代を生き延びるための金融知識」と題するレジュメを作成した。当該レジュメの1葉目の左上には本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示され、右下には「株式会社ポルトサローネ」、「Saint Force」の記載がある(乙3の1)。
イ PORTO社は、「平成28年8月25日」付けの「著作権に関する勉強会 企画書」と題する書類を作成した。当該書類には、右上に「株式会社ポルトサローネ」、「Saint Force」、「B(審決注:氏名)」の記載があり、あて先として「C(審決注:氏名)殿」、内容として、「2.日時 平成28年8月26日 14時?」、「3.場所 株式会社PORTO SALOMNE 会議室」、「4.内容 別紙のとおり」、「5.講師 B」、「6.対象者 C、Dメンバー」(審決注:CはアーティストであるDのマネージャーである。)、「7.日程 平成28年8月26日」の記載がある(乙3の2)。
ウ PORTO社は、「著作権を学ぼう」と題するレジュメを作成した。当該レジュメの1葉目の左上に本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示され、右下に「株式会社ポルトサローネ」、「Saint Force」の記載がある(乙3の3)。
エ PORTO社を含む商標権者のグループは、「プリザーブドフラワー教室」の第1回から第8回までのチラシ(乙5)を作成した。当該チラシの奇数回のものは左上に、偶数回のものは右上に、それぞれ、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示され、各回の開催日と開催場所(第1回のチラシでは、「12月16日(火)」及び「大阪市中央区伏見町2-5-9 三福ビル2-1」)の記載があるほか、料金、定員についての記載がある。これらの日付は、対応する曜日との関係やこれらの撮影画像と思しき他の証拠(乙6、甲2?甲7)から、平成26年から同27年の日付と推認するのが相当であり、また、上記住所は、商標権者及びPORTO社の住所と一致する。
3 前記2で認定した事実によれば、当審の判断は、以下のとおりである。
(1)商標使用者について
前記2(1)のとおり、PORTO社は、本件商標を、本件商標の指定役務を含む商品及び役務について使用することを、商標権者から独占的に許諾されていたものということができるから、要証期間のうち平成26年5月20日から同28年11月14日までの期間は、本件商標の専用使用権者であったといって差し支えない。
(2)PORTO社による標章の使用について
前記2(2)アからウによれば、本件商標の専用使用権者であるPORTO社が、金融、著作権などに関する資料に本件商標と社会通念上同一の標章を付していたことは認められるが、当該資料にはいずれも日付がなく、また、これが要証期間に実施された第三者に対する勉強会(知識の教授の役務)において使用されたことを裏付ける証拠もない。
また、前記2(2)エによれば、乙第5号証のチラシが、いつ、誰により作成され、どのように頒布されたのか確認することができず、仮にチラシが要証期間に頒布されていたとしても、当該期間におけるチラシを撮影した画像には本件商標が付されていないこと(乙6の2、甲2?甲7)に鑑みると、当該チラシが本件商標を付した状態で要証期間に頒布されたものと認めることはできない。
これについて被請求人は、大阪府在住の3名の者による平成29年7月10日又は11日付けの陳述書(乙7?乙9)を提出している。その内容は、上記3名が、「Saint Force」の企画で開催されたプリザーブドフラワー教室の紹介、案内のチラシに「Saint Force」のロゴが記載されていたことを覚えている旨を陳述したものである。
しかしながら、これらの陳述は、いかなるチラシであるか(作成・配布日、記載内容など)を特定しておらず、「『Saint Force』のロゴ」又は単に「ロゴ」と記述するのみで、これが本件商標と社会通念上同一の商標であったことを特定するものでもない。また、仮に、その陳述が2014年12月から2015年8月までの間に配布されたチラシについての陳述であるとしても(乙8、乙9)、陳述者が2年以上前のチラシの記載内容の詳細まで明確に記憶していたとは、直ちには認めがたく、これを首肯できるような証拠もない。
(3)なお、被請求人は、乙第4号証を提出し、これら音楽CDの販売は、技芸の教授のための活動そのものの広告媒体であり、これらの広報活動自体も第41類に属する活動である旨主張している。
そして、乙第4号証は、2種類のCDの写真の写しであるところ、各CDのジャケットのラベルの背表紙に、それぞれ、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が表示されている。
しかしながら、当該CDのラベルには、いずれも技芸の教授に関する広告の記載は見当たらず、技芸の教授に係る広告に使用されていたと認めることはできない。また、これらが、いつ、どこで、誰により製造、頒布されたかについても何ら立証されていない。
(4)その他、本件商標が、商標権者等によって、その指定役務について、商標法第2条第3項にいう使用をされた事実を示す証拠はない。
4 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その請求に係る指定役務のいずれかについて、本件商標を使用していることを証明したものということはできず、また、請求に係る指定役務に本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)(色彩は原本参照。)






審理終結日 2017-10-23 
結審通知日 2017-10-26 
審決日 2017-11-10 
出願番号 商願2013-20214(T2013-20214) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (W41)
最終処分 成立  
前審関与審査官 海老名 友子 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 松浦 裕紀子
原田 信彦
登録日 2013-08-02 
登録番号 商標登録第5603985号(T5603985) 
商標の称呼 セイントフォースガールズマーケティングソリューション、セイントフォース、セントフォース、ガールズマーケティングソリューション、ガールズマーケティング 
代理人 神保 欣正 

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