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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X35
管理番号 1336228 
審判番号 取消2016-300192 
総通号数 218 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2018-02-23 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2016-03-22 
確定日 2017-12-04 
事件の表示 上記当事者間の登録第5466344号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5466344号商標(以下「本件商標」という。)は、「東京ガテン」の文字を標準文字により表してなり、平成23年5月6日に登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」を含む、第35類及び第37類に属する商標登録原簿記載のとおりの役務を指定役務として、同24年1月27日に設定登録されたものである。
なお、本件審判の請求の登録は、平成28年4月4日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定役務中の第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」についての登録を取り消す、審判費用は、被請求人の負担とするとの審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書、平成29年5月22日付け口頭審理陳述要領書及び同年7月18日付け上申書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品及び指定役務中、請求に係る指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。
2 弁駁等の要旨
(1)指定役務についての使用ではない点
ア 被請求人は、乙第2号証が示すチラシ(以下「本件チラシ」という。)は、「匠による住まいの無料相談会」(以下「本件無料相談会」という。)への出店各社のために行っている広告であって、他人のためにする労務または便益であって独立して商取引の目的足り得るものである。被請求人が行った広告行為は、役務「広告」の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に本件商標を付した物を用いて指定役務「広告」を提供する行為と述べている。
しかしながら、被請求人が提供する役務は、「住宅のリフォームに関する展示場の企画・運営又は開催」又は「住宅のリフォームに関するイベントの企画・運営又は開催」(以下、両者を併せて「本件使用役務」という。)であって、指定役務「広告」ではない。
また、被請求人は、「リフォーム等、古い家を処分するための業務を引き受けている。」、「ホームセキュリティ商品を顧客宅に設置する業務を引き受けている」などと述べているが、これらの役務はいずれも第37類に属する「リフォーム工事及びこれらに関する仲介又は取次ぎ」や「設置工事及びこれらに関する仲介又は取次ぎ」であり、指定役務「広告」とは別異の役務である。
イ 被請求人は、本件チラシ上において「SANGETSU」、「SECOM」、「旭化成ホームズ株式会社」、「NICHIGAS」、「ホームトレードセンター株式会社」、「青空配送」、「菅沼畳店」の表示(以下「本件表示」という。)があることから、本件チラシは、役務「広告」の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物であると主張している。
しかしながら、役務の区分第35類に分類される「広告(業)」とは、広告代理店等が広告主の依頼に基づいて行うサービスが該当するところ(甲3)、本件表示に係る法人等から「広告」の依頼があったものとは認められない。このことは、乙第6号証の請求書(以下「本件請求書」という。)の「品名・仕様」欄において「広告費」に関する請求はないことからも明らかである。本件請求書は、住宅のリフォームに関する展示場あるいはイベントの出展費用に関する請求書であって、広告に関する請求書ではない。そのため、本件チラシは、指定役務「広告」の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物とはいえず、「住宅のリフォームに関する展示場・イベントの企画・運営又は開催」の対価に関するものである。
そもそも、請求書とは、請求側が一方的に発行することが可能な書面であり、それ自体証拠力は極めて低いものと言わざるを得ない。本件請求書は、手書きではなく、押印箇所も存在しない。そのため、これのみでは、この内容の請求書が現に送付、発行されているものか疑問である。
ウ 商標法上の「役務」とは、他人のために行う労務又は便益であって、独立して商取引の目的足りうべきものをいうと解されているところ、本件無料相談会における本件チラシは、他人である出店各社のために行う広告とはいい難く、被請求人自身が企画した自社イベントである本件無料相談会の開催の告知、周知を目的とするための、被請求人自身のための自社広告である。本件チラシ上の出店各社の表示は、本件無料相談会に出展する企業等を知らしめる目的で表示したものに過ぎない。
そのため、被請求人が本件無料相談会の企画・運営・開催において本来取得すべき指定役務は第41類「住宅のリフォームに関するイベントの企画・運営又は開催」であって第35類「広告」ではない。
したがって、本件チラシは第41類「住宅のリフォームに関するイベントの企画・運営又は開催」に関する広告であって、指定役務「広告」の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物ではない。
エ なお、本件使用役務中の「住宅のリフォームに関する展示場の企画・運営又は開催」は役務の区分第35類に分類されるものであり、第35類「広告業」と同じ類似群である「35A01」が付与されている。しかしながら、前者は、住宅リフォームに関する物品や工事などの各種の情報の提供を目的とする催し物の企画等をサービスとするものであって、後者の「広告代理店等が広告主の依頼に基づいて行うサービス」とは、本質的には異なるものであることは明らかである。
また、本件使用役務中の「住宅のリフォームに関するイベントの企画・運営又は開催」は役務の区分第41類に分類されるものであり、指定役務「広告」とは非類似の関係にある役務である。
オ したがって、被請求人による使用事実の立証は、本件請求に係る指定役務に関する使用事実の立証ではない。
(2)本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)の使用ではない点
被請求人は、本件商標の使用事実を示す証拠として、乙第2号証を提出した上で、本件チラシには本件商標と社会通念上同一であると認められる「東京ガテン」の文字が付されていると述べている。
しかしながら、本件チラシの下部において確認し得るのは「東京ガテン\家コンシェル」の標章(以下「本件使用標章」という。)であり、本件商標と「家コンシェル」の文字が、文字の大きさは多少異なるものの、同書・同色・同間隔、かつ、一体不可分に表記されているものである。そのため、本件使用標章は商標法第50条第1項括弧書きに規定されている「社会通念上同一と認められる商標」に該当するものではなく、本件使用標章と本件商標とは社会通念上同一とはいえない。この点、過去の裁判例においても、登録商標に他の文字を結合させた標章を使用した事案において「社会通念上同一と認められる商標」ではない旨が判示されている(甲4?甲7)。
(3)乙第7号証ないし乙第12号証について
ア 乙第7号証について
乙第7号証は、被請求人が、自社イベントである本件無料相談会を開催するために必要なスペースを借り受けるために、被請求人が株式会社ダイエーに提出した書類であって、本件商標とは何ら関連性がなく、本件商標の使用証拠にはなり得ない。
イ 乙第8号証ないし乙第12号証について
(ア)被請求人は、口頭審理陳述要領書において請求人が本件請求書の発行を受けた事実、また、これに対して支払いを行った事実の存否の確認を求めたことに対して、株式会社S・D・B(以下「S・D・B社」という。)なる企業の取引書類を乙第8号証ないし乙第12号証として提出している。本件商標の使用の事実を立証する過程において、このS・D・B社は出店各社の直接的な取引相手であることから、この一連の商取引において必要不可欠な存在であるにもかかわらず、被請求人がこの段階になって初めてその存在を明らかにしたものである。
(イ)被請求人は、支払の根拠となっていない本件請求書を本件商標の使用証拠として提出したのはなぜか。さらに、被請求人はS・D・B社について、東京ガテン株式会社と同じ前田芳憲が代表取締役を務めていると述べているが、本当にS・D・B社の代表取締役は前田芳憲氏なのか、S・D・B社はどのような企業体なのか、被請求人会社との関連はどのようなものかなど、全く明らかにされていない。
このように、被請求人の主張及び立証活動は事ある毎に変遷し、さらに、不明な点が多く存在するためにわかに信じがたい。
(ウ)S・D・B社は単にホームトレードセンター株式会社(以下「ホームトレードセンター社」という。)との取引口座を提供するものにすぎないとの主張も考えられる。
しかしながら、そうであるとするならば、S・D・B社はなぜ「請求書」のみならず「納品書」(乙8、乙9)をホームトレードセンター社に対して発行しているのか。現に役務を提供しているのは、被請求人ではなくS・D・B社ではないのではないか。仮にそうであるとするならば、本件商標は被請求人とは無関係のS・D・B社が使用しているにすぎず、本件取消審判の請求を免れることはできない。
(エ)また、乙第8号証の平成26年11月1日付請求書及び乙第9号証の平成26年12月22日付請求書において「品名・仕様」欄において「ダイエー松戸西口店 看板作製代」、「ダイエー松戸西口店 看板設置代11月」と明記されているのに対して、本件請求書の同欄には「販売管理費」、「共益費・雑費」、「看板ロゴデザイン・ソフト代チラシ代含む」、「プレート看板出力、製作費」と明記され、前者と後者とではその内容がまるで異なる。このように、被請求人、S・D・B社、株式会社ダイエー、出展各社を登場人物とする一連の商取引を巡っては、不自然な点があまりに多く存在する。
(4)結語
以上より、被請求人による主張、並びに、乙第1号証ないし乙第12号証のいずれからも、被請求人が、要証期間内に本件商標を本件指定役務に使用している事実を確認することはできない。
よって、本件商標について、商標法第50条第1項の規定に該当することは明白である。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、審判事件答弁書、平成29年5月8日付け口頭審理陳述要領書及び同年7月3日付け上申書において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第12号証を提出した。
1 答弁等の要旨
(1)被請求人(商標権者)について
被請求人は、商業施設等における空きスペースを借り受け、出店を希望する企業に小分けにして貸し出すことの企画・立案・仲介、および出店企業の広告代行を事業として営んでいる。
(2)乙第1号証について
乙第1号証は、株式会社東京商工リサーチ発行の刊行物であるTSR情報の2015年(平成27年)4月27日千葉版の第18ページの写しである。
当該書証には、被請求人が、「大手小売りグループ傘下のGMS、SMの店舗空きスペースの有効活用を提案している」こと、「昨年秋には『家コンシェル』と題して、期間限定でダイエー松戸西口店に住まいの有名店を集結させた展示場をオープンさせた」ことが記載されている。乙第1号証が示す刊行物の発行年月日は2015年4月27日である。
したがって、「昨年秋には『家コンシェル』と題して、期間限定でダイエー松戸西口店に住まいの有名店を集結させた展示場をオープンさせた」の「昨年秋」は「2014年秋」を意味する。これより、商標権者である被請求人が「2014年秋」に「ダイエー松戸西口店」にて、「家コンシェル」と題する住まいに関する「展示場」を期間限定でオープンしたことが分かる。
(3)乙第2号証について
乙第2号証は、「ダイエー松戸西口店」における上記展示場の広告宣伝のための新聞折り込みチラシの写し(本件チラシ)である。
本件チラシには、「ダイエー松戸西口店」にて、「オープン記念Day 10/4土・10/5日」に、「家コンシェル」と題する「匠による住まいの無料相談会」(本件無料相談会)が催される旨が記載されている。そして、本件チラシには、本件無料相談会への出店企業として、「SANGETSU」、「SECOM」、「旭化成ホームズ株式会社」、「ニチガス」、「ホームトレードセンター株式会社」、「萱沼畳店」の各社が示されている。「オープン記念Day 10/4土・10/5日」の「10/4」は2014年10月4日を意味する。
また、本件チラシには、「東京ガテン」の文字と「家コンシェル」の文字が異なる大きさで表示されている。
本件無料相談会における各出店社と被請求人の役割は次のとおりである。例えばホームトレードセンター社は、現在の飯田産業株式会社であり、不動産取引を営む企業である。このホームトレードセンター社は、本件無料相談会において、不動産物件の展示即売を行っている。旭化成株式会社も同様であり、本件無料相談会において、ヘーベルハウスと呼ばれる新築物件を売っている。本件無料相談会において、これらの不動産会社から顧客が不動産物件を購入するに当たり、顧客が現在住んでいる古い家のリフォーム等、古い家を処分するための処理が必要になる。しかしながら、ホームトレードセンター社や旭化成株式会社は、リフォーム等を行う部門を有していない。そこで、被請求人は、リフォーム等、古い家を処分するための業務を引き受けている。また、セコム株式会社は、本件無料相談会において、ホームセキュリティ商品を売っている。被請求人は、このホームセキュリティ商品を顧客宅に設置する業務を引き受けている。
このように被請求人は、「家コンシェル」と題する本件無料相談会の場をホームトレードセンター社等の出店各社に提供するとともに、出店各社が顧客に自社商品を販売するのに伴って必要になる業務(例えば不動産物件の販売におけるリフォーム等)を引き受けている。
また、本件無料相談会の場に顧客を誘導するためには広告が必要になる。そこで、被請求人は、本件無料相談会の出店各社のために「匠による住まいの無料相談会」についての広告媒体を配布している。この広告媒体が乙第2号証として答弁書に添付した本件チラシである。
本件において被請求人が行っている役務は、広告である。この広告は、本件無料相談会への出店各社のために行っているので、他人のためにする労務または便益であって独立して商取引の目的たり得るものである。そして、被請求人が行った広告行為は、指定役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に登録商標を付した物を用いて指定役務を提供する行為(商標法第2条第3項第4号)である。
本件無料相談会への出店社は、「指定役務の提供を受ける者」である。
本件チラシは、「匠による住まいの無料相談会」についての広告を行う広告媒体であるから、「その提供を受ける者の利用に供する物」である。
本件チラシには、「東京ガテン」の文字と「家コンシェル」の文字が示されている。ここで、「東京ガテン」の文字と「家コンシェル」の文字は互いに大きさが異なり、2段に分けて表示されている。このため、多くの需要者は、「東京ガテン」を「家コンシェル」と分離した1つの商標として視認するはずである。
したがって、本件チラシには、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されている。
そして、本件商標が付された本件チラシを用いて広告を行う行為は、登録商標を付した物を用いて指定役務を提供する行為に該当する。
(4)乙第3号証について
乙第3号証は、被請求人が株式会社プリントパックなる印刷業者から受け取った領収書の画像の写しである。
当該書証が示す領収書には、「家コンシェル折り込みチラシ4000部」なる文字が書かれている。また、本件チラシにも「家コンシェル」なる文字が書かれている。そして、印刷代金の領収日は平成26年9月29日(2014年9月29日)となっている。
このように乙第3号証は、被請求人が平成26年9月29日に本件チラシの印刷代金の領収書を株式会社プリントパックから受け取ったことを示している。
(5)乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証は、被請求人が読売センター上本郷なる業者から受け取った領収書の写しである。また、乙第5号証は、乙第4号証が示す領収書の発行元である読売センター上本郷の担当者の名刺の写しである。
読売センター上本郷は、読売新聞、報知新聞等にチラシを折り込んで配布する業者である(乙5)。
乙第4号証に示されているように、読売センター上本郷は、平成26年9月29日に被請求人から代金を受領している。
そして、その領収書には「但 10/3(金)A4 4000枚 チラシ配布代として」と書かれている。したがって、本件チラシは、2014年10月3日に新聞に折り込まれて配布されたことが分かる。
乙第2号証ないし乙第5号証が示す事実により、「ダイエー松戸西口店」にて「オープン記念Day10/4土・10/5日」に「家コンシェル」と題する「匠による住まいの無料相談会」が開催される旨、及び「SANGETSU」、「SECOM」、「旭化成ホームズ株式会社」、「ニチガス」、「ホームトレードセンター株式会社」、「萱沼畳店」の各社が出店する旨の広告を、被請求人が2014年10月3日に行ったことが分かる。
(6)本件請求書について
本件請求書(乙6)は、被請求人が「家コンシェル」への出店企業の一つであるホームトレードセンター社に対して発行した請求書の写しである。
本件請求書は、「家コンシェル」への出店企業の一つであるホームトレードセンター社に対して、2014年10月15日付で、「ダイエー松戸西口店」に関する「チラシ代」等の広告に関する対価の支払いを請求する取引書類である。乙第6号証が示す事実により、被請求人が、乙第2号証ないし乙第5号証の示す広告を、ホームトレードセンター社の代わりに行ったことが分かる。
なお、被請求人の登記簿上の本店所在地は「東京都中央区銀座」であるが、運営本部は乙第3号証及び乙第6号証における「松戸市竹ヶ花」にある。
(7)本件無料相談会における出店各社、被請求人及び株式会社ダイエーの関係
本件チラシでは、本件無料相談会への出店社としてホームトレードセンター、SANGETSU、SECOM等の各社が挙げられている。
これらの各社は、株式会社ダイエーとの取引がないため、本来ならば、ダイエー松戸西口店の空きスペースを借りて無料相談会を開催することができない。
そこで、ダイエー株式会社(現在のイオン株式会社)と取引のある被請求人が、無料相談会の場をダイエー株式会社から借り、本件無料相談会への出店社に提供した。
乙第7号証は、被請求人が株式会社ダイエーへ提出したダイエー松戸西口店への出店条件申込書を示すものである。
乙第7号証によると、被請求人は、2014年8月25日から同年11月30日までの期間、ダイエー松戸西口店に出店することを申し込んでいる。
本件無料相談会の開催日は、この出店期間内に属する。
被請求人は、本件無料相談会の出店各社のために本件無料相談会についての広告媒体を配布している。この広告媒体が本件チラシである。
(8)乙第8号証ないし乙第12号証について
本件請求書は、2014年10月15日付けでホームトレードセンター社に対して発行されたが、当時、被請求人は、ホームトレードセンター社との取引を始めたばかりであり、取引に使用する口座が同社に登録されていなかったため、ホームトレードセンター社はこの請求書に対する支払に難色を示した。
そこで、ホームトレードセンター社からの提案により、S・D・B社が請求書の発行者となって請求を行った。S・D・B社は、従来からホームトレードセンター社との取引があって、その口座が同社に登録されており、被請求人と同じ前田が代表取締役を務めているからである。
乙第8号証は、S・D・B社が2014年11月1日付けでホームトレードセンター社松戸営業所に宛てて発行した納品書及び請求書である。また、乙第9号証は、S・D・B社が2014年12月22日付けでホームトレードセンター社松戸営業所に宛てて発行した納品書及び請求書である。
本件請求書では請求額が113,400円であるが、取引の事情により、この請求額が2回に分けて請求されている。乙第8号証の納品書及び請求書では請求額が75,600円、乙第9号証の納品書及び請求書では請求額が35,000円である。乙第8号証の請求額と乙第9号証の請求額の合計は113,400円であり、本件請求書の請求額と一致する。
乙第10号証は、S・D・B社の普通預金口座の取引記録を示している。乙第10号証に示すように、平成27年1月5日にホームトレードセンター社から75,168円の振り込みがあり、同年2月5日にホームトレードセンター社から37,368円の振り込みがある。
乙第11号証は、S・D・B社が2014年11月に発行した納品書のリストである。また、乙第12号証は、S・D・B社が2014年12月に発行した納品書のリストである。
乙第8号証の納品書の伝票番号は067826であり、乙第9号証の納品書の伝票番号は067977である。
乙第11号証及び乙第12号証に示すように、乙第8号証及び乙第9号証の納品書は、S・D・B社が発行した伝票番号の納品書の一部をなしている。
以上のような状況であるから、被請求人は、広告の対価をホームトレードセンター社から受け取っている。
(9)使用に係る商標と本件商標との同一性について
請求人は、甲第4号証ないし甲第7号証を挙げ、本件チラシに使用された商標は、本件商標と社会通念上同一の商標でないと主張している。
しかしながら、甲第4号証ないし甲第7号証のいずれに照らしても、本件チラシに表示された「東京ガテン」と「家コンシェル」を結合して1つの商標とする理由はない。
したがって、本件チラシにおける使用に係る商標は、2段併記された「東京ガテン\家コンシェル」ではなく、「東京ガテン」(以下「使用商標」という。)である。
この使用商標は、ゴシック体で表されているものであるが、本件商標は、標準文字で表されているものであり、書体は異なるものの、文字自体は同一であるから、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標である。
(10)商標法第2条第3項第8号の適用の可能性について
本件無料相談会において行われる展示即売会は、販売促進を1つの目的としている。
被請求人が、本件無料相談会の出品者に対して、そのような販売促進の場を提供する行為は広告行為に該当する。
したがって、被請求人が、本件無料相談会に関する本件チラシに本件商標を付して配布する行為は、指定役務「広告」(本件無料相談会)に関する広告(本件チラシ)に本件商標を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当する。
2 結論
以上のように、被請求人(商標権者)は、指定役務「広告」の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に本件商標を付した物を用いて指定役務を提供する行為(商標法第2条第3項第4号)を要証期間内に行っている。
また、被請求人は、指定役務「広告」に関する広告に本件商標を付して頒布する行為(商標法第2条第3項第8号)を要証期間内に行っている。

第5 当審の判断
1 使用の事実について
(1)催し物「家コンシェル」と本件チラシについて
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、株式会社東京商工リサーチによる2015年(平成27年)4月27日発行のTSR情報の千葉版の写しとのことであり、当該書証には、「商号」として被請求人の名称が、「本社」として東京都中央区銀座の住所が、「運営本部」として「松戸市竹ヶ花」の住所が、「代表者」として前田氏の名前の記載があり、本文中に「本日ご紹介するのは、ここ松戸市に運営本部を置く東京ガテン(株)。商業施設スペースの有効活用を大手スーパー等に提案し脚光を浴びている企業である。・・・昨年秋には『家コンシェル』と題して、期間限定でダイエー松戸西口店に住まいの有名店を集結させた展示場をオープンさせ、地元施行会社とのビジネスマッチングの場として広く成功を収めている。」の記載がある。
イ 乙第2号証について
乙第2号証は、2014年(平成26年)10月のダイエー松戸西口店の新聞折り込みチラシの写し(本件チラシ)とのことであり、本件チラシには「オープン記念Day 10/4土・5日」、「匠による住まいの無料相談」、「我らのダイエーに地元企業も続々登場! ダイエー松戸西口店5階特設会場に住まいの有名店が集合!」の記載と、その記載の周辺に「SANGETSU」、「SECOM」、「旭化成ホームズ株式会社」、「ニチガス」等の企業名の表示が確認できる。下部には「東京ガテン」及び「家コンシェル」の文字が二段に記載され、併せて「お問合せ」として電話番号及び「(担当・前田)」の記載が確認できる。
ウ 乙第7号証について
乙第7号証は、被請求人が株式会社ダイエーへ提出したダイエー松戸西口店への出店条件申込書の写しであるが、当該書証には「営業場所」として「通常フロア 5階 専門店ゾーン 区画No ツーハンズ跡」、「業種・店名」として「業種 住宅リフォーム 店名 家コンシェルジュ」、「契約期間(予定)」として「年契約 始 2014年8月25日 ?終 2014年11月30日」の記載が確認できる。
エ 乙第3号証について
乙第3号証は、株式会社プリントパックが、被請求人に対して2014年9月28日に佐川急便により商品を発送した際の「送り状 兼代引金額領収書」の写しであるが、当該領収書には、「お届先」として被請求人の名称及び営業本部である「千葉県松戸市竹ヶ花」の住所及び代表取締役前田氏の氏名の記載が、「ご依頼主」として株式会社プリントパックの名称及び住所の記載が、「品名・荷姿」として「【印刷物】家コンシェル折り込みチラシ4000部」の記載が、「代引金額(消費税含)」及び「消費税等」の欄の下段に「上記代金を領収致しました。領収日26年9月29日」の記載が確認できる。
オ 乙第4号証及び乙第5号証について
乙第4号証は、乙第5号証の名刺に記載の新聞にチラシを折り込み配付する業者である「読売センター上本郷」が平成26年9月29日に被請求人に発行した領収書の写しである。
当該領収書には金額欄の下に「但 10/3(金)A4 4000枚 チラシ配布代としてH26年9月29日 上記正に領収いたしました」の記載が確認できる。
カ 小括
上記によれば、被請求人は乙第7号証の出店条件申込書により株式会社ダイエーと契約した期間内である平成26年10月4日及び同月5日に、千葉県所在のダイエー松戸西口店において、「家コンシェル」と称する「匠による住まいの無料相談」の催し物を開催し、このことは株式会社東京商工リサーチによる2015年(平成27年)4月27日発行のTSR情報の千葉版においても紹介されている(乙1)。
また、当該催し物を開催するにあたり、被請求人は「株式会社プリントパック」に乙第2号証の本件チラシ4,000部の印刷を依頼し、「株式会社プリントパック」は平成26年9月28日に依頼の印刷物を被請求人に発送、被請求人は翌29日に本件チラシ4,000部を代金引き替えにより受領し(乙3)、被請求人は同日、本件チラシを新聞にチラシを折り込み配付する業者である「読売センター上本郷」に対し、「家コンシェル」なる催し物の開催日の前日である同年10月3日に配付するよう依頼し、その代金を支払った(乙4)。
そして、上記のとおり「家コンシェル」なる催し物が開催されたことからすれば、本件チラシ4,000枚は平成26年10月3日に配付されたとみて差し支えない。
(2)使用に係る商標について
本件チラシ(乙2)には、その下段に「東京ガテン」及び「家コンシェル」の文字が表されているところ、両文字は上下2段に配されていること、互いに大きさが明らかに異なり、両文字部分の開始位置は揃っているものの、終了位置は上段の「東京ガテン」の文字が下段の「家コンシェル」の文字の1/2程の位置であることから、両文字部分は視覚上分離して看取され、かつ、観念においてもなんらの関連性も無いことから、これに接した需要者は、それぞれが別異の標章と認識されるというのが相当である。
そして、本件チラシに表された「東京ガテン」の文字は、本件商標と、その綴りを同一にするものであるから、使用に係る商標は本件商標と同一又は社会通念上同一の商標と認められる。
(3)提供の役務について
本件チラシにより広告されている「家コンシェル」と称する催し物は、当該チラシ中に本件表示として表された「SANGETSU」、「SECOM」、「旭化成ホームズ株式会社」、「NICHIGAS」、「ホームトレードセンター株式会社」、「青空配送」、「菅沼畳店」等の企業が出店し、「匠による住まいの無料相談」と銘打ち、来場者(需要者)に対し住宅に関する無料相談を行っている。相談の結果、出店企業は来場者の求めに応じて、不動産、ホームセキュリティ商品等、自社の役務の提供、商品の販売を行うものである。
そして、被請求人は上記出店企業が提供する役務、販売した商品に伴うリフォーム工事、商品の設置工事などを引き受けている。
これより、被請求人の提供する「家コンシェル」と称する催し物は、「住宅のリフォームに関するイベントの企画・運営又は開催」といえる一方、本件チラシ中、本件表示の企業は、当該催し物への来場者の相談に応じると共に、自社の役務、商品を展示し、紹介し、その結果として自社の役務の提供、商品の販売へと繋がることを期待して出店するといえ、被請求人は当該催し物を企画、運営、開催することにより、出店する企業の期待に応じ、住宅に関して何らかの相談事を有する者を集客したものといえる。
そうすると、当該催し物は、住宅に関する商品の販売促進又は役務の提供促進のために行う展示会にも該当し、他人の商品の販売促進又は役務の提供促進のために行う役務は、第35類「広告」に該当する。
したがって、当該催し物により被請求人が提供する役務は、「住宅のリフォームに関するイベントの企画・運営又は開催」及び「広告のための住宅に関する商品及び役務の展示会の企画又は運営」と認められる。そして、「広告のための住宅に関する商品及び役務の展示会の企画又は運営」は第35類「広告」の範疇に属する役務である。
これに対し、請求人は、商品及び役務の区分解説(甲3)第35類「広告」は「広告代理店等が広告主の依頼に基づいて行うサービス」であること、被請求が提供していると考えられる「住宅のリフォームに関する展示場・イベントの企画・運営又は開催」は、「広告」とは本質的には異なるものであると主張する。
しかしながら、商品及び役務の区分解説においても、「広告」の役務を提供する業種を限定しているものでもなく、被請求人が提供すると認定した「広告のための住宅に関する商品及び役務の展示会の企画又は運営」が、商品の販売促進又は役務の提供促進を目的とした「広告」の範囲に属する役務であることは上述のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
(4)以上より、商標権者である被請求人は、我が国において、要証期間内の2014年(平成26年)10月に、「広告」に含まれる「広告のための住宅に関する商品及び役務の展示会の企画又は運営」の役務に関する広告に、本件商標と社会通念上同一の商標を使用し、これを頒布したと認められ、当該行為は、商標法第2条第3項第8号に定める商標の「使用」に該当する。
2 まとめ
以上のとおり、被請求人は、商標権者又は通常使用権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定役務に含まれる「広告」について、本件商標と社会通念上同一と認められる標章の使用を証明したということができる。
したがって、本件商標の登録は、本件審判の請求に係る指定役務について、商標法第50条により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-10-05 
結審通知日 2017-10-11 
審決日 2017-10-25 
出願番号 商願2011-30928(T2011-30928) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X35)
最終処分 不成立 
前審関与審査官 宮川 元平澤 芳行 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 幸一
小松 里美
登録日 2012-01-27 
登録番号 商標登録第5466344号(T5466344) 
商標の称呼 トーキョーガテン、ガテン 
代理人 佐藤 大輔 
代理人 松本 隆 
代理人 橘 哲男 
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