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審決分類 審判 判定 その他 属する(申立て成立) Y04
管理番号 1335311 
判定請求番号 判定2017-695002 
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標判定公報 
発行日 2018-01-26 
種別 判定 
2017-06-06 
確定日 2017-10-19 
事件の表示 国際商標登録第803684号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 商品「エンジンオイルの添加剤」に使用するイ号標章は、国際登録第803684号商標の商標権の効力の範囲に属する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第803684号(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、2003年(平成15年)1月14日に国際商標登録出願、第4類「Industrial oils and greases,including motor,gear,compressor oils as well as hydraulic oils;contact oils and greases;non-chemical additives for industrial oils and for fuel,particularly for gasoline and diesel oil;non-chemical additives for industrial greases,for industrial oils,for motor oils,gear oils,compressor oils and for hydraulic oils.」を指定商品として、平成21年5月22日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
2 イ号標章
請求人が商品「エンジンオイルの添加剤」(以下「本件商品」という場合がある。)について使用する標章(以下「イ号標章」という。)は、別掲2のとおりの構成からなるものである。
3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の判定を求め、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証(枝番号を含む。)及び検甲第1号証を提出した。
(1)判定請求の必要性
請求人は、本件商標の商標権者であり、我が国においてエンジンオイル・オイル添加剤・燃料用添加剤等のさらなる販売促進のため、新たな輸入代理店・販売代理店を通じた新規販売ルート開拓のための活動を行っているところ、我が国での輸入代理店・販売代理店候補より、本件商品が、請求人が所有する商標権の効力範囲に属するか否かについて疑義を呈されており、代理店契約の締結を行う前提条件として、本件商品が商標権の効力範囲に属することの確認を求められた。
そこで、請求人は、イ号標章及び本件商品が、本件商標及び指定商品と同一であり、本件商標に係る商標権の効力範囲に属することを確認するために、本件判定を請求した。
(2)イ号標章及び本件商品の説明
ア イ号標章について
イ号標章は、上半分を青色に着色し、下半分を赤色に着色した横長四辺形内に上段に「LIQUI」、下段に「MOLY」の各欧文字を白抜き文字で表したものである。
イ 本件商品について
イ号標章が使用される本件商品は、自動車等を使用する一般消費者を需要者とする、「エンジンオイルの添加剤」である。
すなわち、「エンジンオイルの添加剤」とは、自動車のエンジン内においては、エンジン内の駆動部分の潤滑のために、通常、エンジンオイルが使用されているところ、エンジンオイルが元来有している耐摩耗性能等をさらに向上させ、エンジンオイルのみを使用した場合に比べて、オイル・燃料の消費を低減し、ひいては、エンジンの寿命を長くすることを目的として、自動車等を使用する一般消費者が、エンジンオイルをエンジン内に注入した後に、補助的に注入して使用される。
他方、「添加剤」には、エンジンオイルの原材料の一つとして、エンジンオイルの製造を行う事業者に向けて販売されるものもある。
すなわち、エンジンオイルは、通常、オイルを作るための製法によって「化学合成油」、「部分合成油」、「鉱物油」に分類されるが、このような「ベースオイル」に、製造工程において、「添加剤」がプラスされて、最終製品である「エンジンオイル」となる(「ベースオイル」+「添加剤」=「エンジンオイル」)(甲2)。エンジンオイルの製造工程で用いられる「添加剤」は、化学剤・化学品の製造を行う事業者によって製造され、エンジンオイルの原材料の一つとして同商品の製造を行う事業者に向けて販売されるものである。
他方、イ号標章が使用される「エンジンオイルの添加剤」は、エンジンオイルの製造工程で用いられ、最終製品としてのエンジンオイルの原材料成分としてもともと含有されている「添加剤」とは異なり、市場で販売される最終製品としてのエンジンオイルを購入した消費者が、エンジンオイルが元来有している潤滑機能(耐摩耗性能・エンジン内の保護機能)をさらに向上させる目的で、オイルに少量加えて、補助的に混ぜて使用するものであり(甲4?甲6、甲8?甲10)、エンジンオイルの製造工程で用いられ、最終製品としてのエンジンオイルの原材料成分としてもともと含有されている「添加剤」とは異なる。
(3)イ号標章及び本件商品が商標権の効力の範囲に属することの説明
ア 商標の同一性について
上記(2)アで述べた構成からなるイ号標章に対し、本件商標は、上半分を青色に着色し、下半分を赤色に着色した横長四辺形内に上段に「LIQUI」、下段に「MOLY」の各欧文字を白抜き文字で表したものである。かかる構成にあっては、輪郭図形の形状・色彩、白抜きされた欧文字の文字構成・書体が同じといえるので「同一」の標章からなるものといえる。
イ 商品の同一性について
請求人は、イ号標章が使用される商品「エンジンオイルの添加剤」は、本件商標に係る指定商品中、第4類「non-chemical additives for motor oils(モーターオイル用の添加剤(化学剤を除く。)」と同一の商品であると考える。その理由は以下のとおりである。
(ア)第1類(エンジンオイル用添加剤)と第4類(自動車用エンジンオイル添加剤)の違い
独立行政法人工業所有権情報・研修館が提供する特許情報プラットフォームにおける「商品・役務名検索」([国際分類第9版](甲12)の記載からみると、第4類に属する「エンジンオイルの添加剤」であるか、第1類に属する「エンジンオイル用添加剤」であるかの区別は、「化学品(化学剤)」に属するか、属しないかの違いによってされていることがわかる。
そして、本件商標が出願された平成19年(2007年)11月22日において適用される商品・サービス国際分類表[第9版]によれば、第1類の類見出しには、「工業用、科学用、写真用、農業用、園芸用及び林業用の化学品、未加工人造樹脂、未加工プラスチック」と記載され、第1類の注釈には、「第1類には、主として工業用、科学用及び農業用の化学品(他の類に属する商品の製造用に用いられるものを含む。)を含む。」と記載されている。
このような記載からすると、「化学品」とは、主として工業用、科学用及び農業用の化学品であって、商品の製造工程に用いられる化学品ということができる。
これらを踏まえると、当該商品が第4類に属する「エンジンオイルの添加剤」であるか、第1類に属する「エンジンオイル用添加剤」であるかの区別は、それが他の製品の製造工程に用いられる商品であるかそうでないかにより判断されるとみられるものである。
(イ)本件商品について
そこで、この点についてみると、イ号標章が使用される本件商品「エンジンオイルの添加剤」は、エンジンオイルが元来持つ耐摩耗性能をさらに向上させ、エンジンオイルのみを使用した場合に比べて、オイル・燃料の消費を低減し、ひいては、エンジンの寿命を長くするために、エンジンオイルをエンジン内に注入した後に、補助的に注入するために用いられる商品である。そして、本件商品は、(i)使用方法として「エンジンを止め、エンジンが十分冷えた状態でオイルキャップを外し、本製品をオイル注入口から注入」するとあること(甲8?甲10)、(ii)使用上の注意としても、身体等に付着した場合の対処方法、手洗いの励行、家庭内・作業場での保管上の注意点(甲7)などが記載されていること、及び(iii)当該商品が、自動車に使用するエンジンオイル等の自動車の維持管理用に販売されている各種商品と一緒に販売されている取引の実情(甲8?甲10)を踏まえると、自家用自動車を保有する個人又は自動車整備を行う事業者等によって、自動車部品の潤滑性能向上等を目的として、完成品として購入され自動車に注入されたエンジンオイルに、追加的に注入し、添加することによって使用される商品ということができるものであるから、他の製品の製造工程に用いられるものではないことは明らかである。
したがって、本件商品は「化学品(化学剤)」に属するものではなく、第1類に属する「エンジンオイル用添加剤」ではない。
そして、本件商品が、自家用自動車を保有する個人又は自動車整備を行う事業者等によって、自動車部品の潤滑性能向上等を目的として、完成品として購入され自動車に注入されたエンジンオイルに、追加的に注入し、添加することによって使用される商品であって、本件商品自体も最終製品として販売されるものであることからすれば、本件商品は本件商標に係る指定商品中、第4類「non-chemical additives for motor oils(モーターオイル用の添加剤(化学剤を除く。)」と同一の商品というべきである。
ウ まとめ
以上のとおり、イ号標章は、本件商標に係る商標権の効力の範囲に属するものである。
4 当審の判断
(1)本件判定請求について
本件判定請求は、被請求人が存在しないものであるが、その理由として、上記3(1)のとおり、「請求人は、本件商標の商標権者であり、我が国での輸入代理店・販売代理店候補より、本件商品が、請求人が所有する商標権の効力範囲に属するか否かについて疑義を呈されており、代理店契約の締結を行う前提条件として、本件商品が商標権の効力範囲に属することの確認を求められため、本件判定を請求した。」旨、請求人は述べている。
(2)本件商標とイ号標章との類否について
本件商標とイ号標章は、それぞれ別掲1と別掲2のとおりの構成からなるところ、両者は、共に四隅を丸めた横長矩形の上半分を青色で、下半分を赤色で表し、そして、上段に「LIQUI」の文字を、下段に「MOLY」の文字を白抜きで表したものであるから、本件商標とイ号標章とは、同一の標章と認められる。
(3)本件商標の指定商品とイ号標章を使用する商品との類否について
ア イ号標章を使用する商品について
イ号標章を使用する商品は、「エンジンオイルの添加剤」(本件商品)であり、これは、自家用自動車を保有する個人又は自動車整備を行う事業者等によって、自動車部品の潤滑性能向上等を目的として、完成品として購入されるものであり、自動車に注入されたエンジンオイルに、追加的に注入して使用される商品である(甲4?甲6、甲8?甲10)。
ところで、本件商標の国際登録日(2003年1月14日)において適用される「商品・サービス国際分類表[第8版]」の第1類の類見出しには、「工業用、科学用、写真用、農業用、園芸用及び林業用の化学品、未加工人造樹脂、未加工プラスチック」と記載され、同じく第1類の注釈には、「第1類には、主として工業用、科学用及び農業用の化学品(他の類に属する商品の製造用に用いられるものを含む。)を含む。」と記載されている。
そして、同国際分類表のアルファベット順一覧表には、第4類に「エンジンオイル」と同一の商品と認められる「Motor oil」(モーターオイル)が掲載され、第1類には、「Motor oil」(モーターオイル)関連商品の掲載がない一方、「Additives」(添加剤)関連では、第1類に「Additives,chemical,to motor fuel」(原動機燃料用添加剤)が掲載され、第4類に「Additives,non-chemical,to motor fuel」(自動車燃料用添加剤(化学品を除く。))が掲載されている。
以上をもとに本件商品について検討すると、本件商品は、工業用、科学用及び農業用のいずれのものともいえないから、第1類に属する商品とはいえず、第4類に属する商品というべきである。
イ 本件商標の指定商品について
本件商標の指定商品には、第4類「non-chemical additives for motor oils」が含まれている。
ウ 小活
上記ア及びイからすると、本件商標の指定商品とイ号標章を使用する商品とは、同一又は類似する商品といえる。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標とイ号標章とは、同一の標章と認められるものであり、請求人がイ号標章を使用する商品「エンジンオイルの添加剤」は、本件商標の指定商品と同一又は類似する商品である。
したがって、請求人が商品「エンジンオイルの添加剤」について使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものである。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 【別記】


判定日 2017-10-13 
審決分類 T 1 2・ 9- YA (Y04)
最終処分 成立  
前審関与審査官 小林 裕子池田 光治 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 大森 健司
尾茂 康雄
登録日 2007-11-22 
商標の称呼 リクイモリー、リキモリー、リクイ、リキ、モリー 
代理人 阿部 豊隆 
代理人 石田 昌彦 
代理人 右馬埜 大地 
代理人 廣中 健 
代理人 太田 知成 
代理人 田中 克郎 
代理人 稲葉 良幸 

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