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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W09122528394143
審判 全部申立て  登録を維持 W09122528394143
審判 全部申立て  登録を維持 W09122528394143
審判 全部申立て  登録を維持 W09122528394143
管理番号 1335302 
異議申立番号 異議2017-900191 
総通号数 217 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2018-01-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-06-12 
確定日 2017-12-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第5930763号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5930763号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5930763号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,平成28年11月25日に登録出願,第9類「家庭用テレビゲーム機用プログラム,家庭用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた記憶媒体,ダウンロードもしくはインストール可能な家庭用テレビゲーム機用プログラム及び追加データ,携帯用電子ゲーム機用プログラム,携帯用電子ゲーム機用のプログラムを記憶させた記憶媒体,ダウンロードもしくはインストール可能な携帯用電子ゲーム機用プログラム及び追加データ,業務用テレビゲーム機用プログラム,業務用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた記憶媒体,ダウンロードもしくはインストール可能な業務用テレビゲーム機用プログラム及び追加データ,電子計算機用プログラム,電子計算機用のプログラムを記憶させた記憶媒体,ダウンロードもしくはインストール可能な電子計算機用プログラム及び追加データ,スマートフォン用プログラム,スマートフォン用のプログラムを記憶させた記録媒体,ダウンロードもしくはインストール可能なスマートフォン用プログラム及び追加データ,録音済みのコンパクトディスク,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,電子出版物,スマートフォン用ケース」,第12類「自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」,第25類「被服,手袋,靴下,ネクタイ,帽子,スカーフ,マフラー,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,仮装用衣服」,第28類「家庭用テレビゲーム機,家庭用テレビゲーム機の部品及び附属品,家庭用テレビゲーム機用コントローラ及びジョイスティック,携帯用電子ゲーム機,携帯用電子ゲーム機の部品及び附属品,カードゲームおもちゃ及びその附属品,おもちゃ,人形,囲碁用具,将棋用具,歌がるた,すごろく,トランプ,花札,マージャン用具,トレーディングカードゲーム,トレーディングカードゲーム用カード,遊戯用器具,運動用具,業務用テレビゲーム機,業務用テレビゲーム機の部品及び附属品,遊園地用機械器具」,第39類「駐車場の提供,乗物の貸与,自動車・二輪自動車の貸与,自動車・二輪自動車の貸与に関する情報の提供,自転車の貸与,車椅子の貸与」,第41類「通信を用いて行う画像の提供(ダウンロードできないものに限る。),通信を用いて行う映像の提供(ダウンロードできないものに限る。),通信を用いて行う映画の提供(ダウンロードできないものに限る。),映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,通信を用いて行う音楽及び音声の提供(ダウンロードできないものに限る。),テレビゲームイベントの企画・運営又は開催,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),ゴーカート競争の企画・運営又は開催,ツーリングイベント・乗物を利用したイベントの企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競争の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供,遊園地の提供,テーマパークの提供,家庭用テレビゲーム機用ゲームの提供,携帯用電子ゲーム機用ゲームの提供,業務用テレビゲーム機用ゲームの提供,スマートフォン用ゲームの提供,通信を用いて行うゲームの提供,電気通信回線を通じて行うゲームの提供,通信ネットワークを通じて行うゲームの提供,運動用具の貸与,おもちゃの貸与,遊園地用機械器具の貸与,遊戯用器具の貸与,自動車おもちゃの貸与,仮装用衣服の貸与,家庭用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた記録媒体の貸与,携帯用電子ゲーム機用のプログラムを記憶させた記録媒体の貸与,業務用テレビゲーム機用のプログラムを記憶させた記録媒体の貸与,スマートフォン用のゲームプログラムを記憶させた記録媒体の貸与,家庭用テレビゲーム機・業務用テレビゲーム機の貸与,携帯用電子ゲーム機の貸与」及び第43類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,会議室の貸与,展示施設の貸与,イベント会場の貸与,家具の貸与」を指定商品及び指定役務として,同29年2月27日に登録査定,同年3月10日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,引用する登録商標は次のとおりであり,いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 申立人が引用する登録商標
(1)登録第4720945号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成14年6月10日
設定登録日:平成15年10月24日
更新登録日:平成25年7月23日
指定商品及び指定役務:第7類,第9類,第11類,第12類,第14類ないし第16類,第18類,第25類,第28類,第35類,第37類,第38類及び第42類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
(2)国際登録第1170488号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
国際商標登録出願日:2013年7月8日
優先権主張:2013年3月5日(United States of America)
設定登録日 平成26年7月25日
指定商品及び指定役務:第9類「Computer software for collaboration, management, security, data sharing and access between enterprise systems and mobile devices.」及び第42類「Providing temporary use of non-downloadable computer software for collaboration, management, security, data sharing and access between enterprise systems and mobile devices; providing temporary use of non-downloadable software for computers and mobile devices for use in enhancing security, managing data, applications, and communications, and controlling costs and service quality associated with mobile devices.」
(3)登録第5106873号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:別掲4のとおり
登録出願日:平成19年4月13日
設定登録日:平成20年1月25日
指定商品:第12類「自動車並びにその部品及び附属品」
(4)登録第4435662号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:別掲5のとおり
登録出願日:平成12年6月13日
優先権主張:2000年2月11日(アメリカ合衆国)
設定登録日:平成12年11月24日
更新登録日:平成22年6月1日
指定商品: 第25類「履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴,被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,仮装用衣服」
(5)登録第4615786号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲5のとおり
登録出願日:平成14年2月5日
設定登録日:平成14年10月25日
更新登録日:平成24年9月11日
指定商品:第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」及び第25類「革製手袋,その他の手袋,その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,革製ベルト,その他のベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
(6)登録第4697566号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲6のとおり
登録出願日:平成14年8月19日
設定登録日:平成15年8月1日
更新登録日:平成25年10月1日
指定商品:第18類「かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,登山用つえ」,第20類「家具,くぎ・くさび・ナット・ねじくぎ・びょう・ボルト・リベット及びキャスター(金属製のものを除く),座金及びワッシャー(金属製・ゴム製又はバルカンファイバー製のものを除く),錠(電気式又は金属製のものを除く),クッション,座布団,まくら,マットレス,工具箱(金属製のものを除く),スリーピングバッグ」,第22類「ハンモック,布製包装用容器,ターポリン,帆,雨覆い,天幕,日覆い,ザイル,登山用又はキャンプ用のテント」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,手袋,ネクタイ,ネッカチーフ,マフラー,耳覆い,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴類,草履類,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
(7)登録第5368059号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:別掲6のとおり
登録出願日:平成22年3月24日
優先権主張:2010年3月22日(アメリカ合衆国)
設定登録日:平成22年11月12日
指定役務:第35類「テント・スリーピングバッグの小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによるテント・スリーピングバッグの小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供」
(8)登録第5359259号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:別掲6のとおり
登録出願日:平成22年3月24日
優先権主張:2010年3月22日(アメリカ合衆国)
設定登録日:平成22年10月8日
指定役務:第35類「被服・バックパックの小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供,オンラインによる被服・バックパックの小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供」
なお,以下,それらをまとめて「引用商標」という。

第3 登録異議申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第3条第1項第5号及び同法第4条第1項第11号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出した。
(1)商標法第3条第1項第5号について
ア 本件商標の態様について
本件商標は,円形の図形中の中央部に太字で大きく「M」の大文字の欧文字を配してなる商標であり,その円形図形の外延に正方形状の図形を配してなる構成を有する。
特許庁の審査基準における商標法第3条第1項第5号の図形における基準において,「1本の直線,波線,輪郭として一般的に用いられる△,□,○,◇,ハートの図形,盾等の図形」や「簡単な輪郭内に,(ア)から(オ)までに該当するものを記したものは,原則として,『極めて簡単で,かつ,ありふれた標章』に該当する」と判断すると示しており,上記の(イ)には「ローマ字の1字又は2字からなるもの」は,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章」に該当すると示されており,本件商標のような簡単な図形中に欧文字一字を含む構成を有する商標は,商標法第3条第1項第5号における「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章」に該当する。
そして,多くの審決においては,本件商標と同様の態様について,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章として登録を拒絶されており,それらの審決よりもよりレタリング記述が発展した今日においては,本件商標についてもその登録例と同様の判断基準により審査されるべきである(甲2?甲8)。
イ 取引の実情について
本件商標は円形の図形中の中央部に太字で大きく「M」の大文字の欧文字を配してなる商標となっているが,本件商標の指定商品との関係において,「M」の文字はエムサイズを指称する文字として日常的に使用されており,例えば甲第9号証ないし甲第17号証においては,いずれも円形文字中に「M」の文字を配する表示として,「Mサイズ」を示す記号として使用されていることからも,本件商標の態様は,識別性のない態様であることが明らかである。
以上のとおり,本件商標は,その全体構成から極めて簡単で,かつ,ありふれた標章として,記号・符号の一類型を表示したものと理解するにとどまるというのが相当であって,本件商標の取引の実情を考慮しても本件商標の態様は,サイズなどを示す表示として一般的に使用されている実情から識別性を有さない態様であることは,明らかであり商標法第3条第1項第5号に該当することは明白である。
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,上述のとおり商標法第3条第1項第5号の規定により,取り消されるべきものと考えるが,仮に上述の商標法第3条第1項第5号に該当しないと判断される場合においても,以下に述べる理由により,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものであるため,本件商標は取り消されるべきものである。
ア 本件商標の構成について
本件商標は,円形の図形中の中央部に太字で大きく「M」の大文字の欧文字を配してなる商標であり,その円形図形の外延に正方形状の図形を配してなるものである。
ここで,外延上の正方形図形については,外延がないと商標の図形として成立しないためそのようにしていると推察されるため,商標の要部とはいえず,本件商標の要部は,円形図形と「M」の文字といえる。
これらの要部を有する商標において,提出した引用商標のいずれについても,本件商標の要部と同様の構成を有しており,離隔的に観察した場合において出所の混同を生じ得るものといい得るため,商標として類似するものである。
イ 引用商標について
引用商標1は,円形の図形中の中央部に太字による大文字「M」の欧文字を正対して配置してなる商標であり,引用商標2は,円形の図形中の中央部に太字による大文字「M」の欧文字をやや斜めに表示してなる商標であり,引用商標3は,円形の図形中の中央部に太字による大文字「M」の欧文字を正対して表示してなる商標であり,引用商標4及び引用商標5は,円形の図形中の中央部に太字による大文字「M」の欧文字をやや斜めに表示してなる商標であり,引用商標6ないし引用商標8は,円形の図形中の中央部に太字による大文字「M」の欧文字をやや斜めに表示してなる商標である。
ウ 本件商標と引用商標との対比について
本件商標は,赤白の色彩にて表示され,引用商標は白黒の色彩にて表示されている。しかしながら,本件商標に係る取引分野における取引者及び需要者の認識として,印刷物や販促物においては印刷して配布されるものも多く,その際に白黒にて印刷し,配布されている実情を考慮すれば,本件商標とは異なる白黒の配色となっていたとしても,異なる出所により生じていると識別することは困難である。
また,本件商標に係る指定商品又は指定役務の主たる需要者層は,一部の専門家ではなく商標やブランドについて詳細な知識を持たない者を含む一般の消費者であり,商品の購入や役務の提供を受けるに際し,メーカー名などを常に注意深く確認するとは限らないこと等を総合すると,一般需要者の認識として,本件商標からは円形の図形と円形図形の中央に配置される「M」の文字部分に着目して商品や役務の提供を受けるとするのが相当であり,特に商標については,その場で対比観察して商標を比較することはなく,ある一定の期間と場所を異にして,過去に認識したイメージを基に商標や役務の提供を受けるのが常であり,その要部が共通するのであれば,一般的に異なる出所により生じていると判断するのは一般需要者には困難であって,外観において類似すると判断されるべきものである。
さらに,本件商標も引用商標もそれぞれ円形の図形と「M」の文字を大きく配置していることからこれらより生じる称呼も「エム」又は「円形のエム」といった共通した称呼や観念が生じるものであることを鑑みれば,本件商標と引用商標は,それぞれより生じる外観・称呼・観念のいずれにおいても,相紛れる構成となっていることは上述のとおりであり,してみれば本件商標と引用商標とは,お互いに類似する商標であることは明白である。
以上のとおり,本件商標と引用商標とは指定する商品又は役務についてもそれぞれ抵触する関係にあることから,本件商標は,提出者が示した引用商標と同一又は類似であって,その指定商品又は指定役務と同一又は類似の商品又は役務について使用するものであり,商標法第4条第1項第11号に該当することは明らかである。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第5号該当性について
商標法第3条第1項第5号は,「極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標」に該当する商標について,商標登録を受けることができないと規定しているところ,本件商標は,前記第1のとおりの構成からなり,朱色の正方形の中央に白抜きの円形を配し,その円形内に朱色で普通に用いられる文字とは際立って相違するデザイン化された太線の欧文字「M」を表したものと認められる。
また,職権をもって調査するに,本件商標は,任天堂株式会社のゲーム「スーパーマリオブラザーズ」に登場する有名なキャラクターである「マリオ」の特徴的な「M」のマークに酷似していると認められるものである。
そうすると,本件商標は,朱色の正方形,白抜きの円形,朱色の特徴的な「M」の欧文字1字から構成されており,これは全体としてローマ字1字のみからなるものではないし,また,その「M」の文字は,通常,普通に用いられる文字とは際立って相違するレタリングされた欧文字1字であるから,本件商標は,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなるものといい難く,本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても,自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものといわなければならない。
よって,申立人の主張は採用することができない。
したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第5号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は,上記1のとおり,朱色の正方形の中央に白抜きの円形を配し,その円形内に朱色で普通に用いられる文字とは際立って相違するデザイン化された太線の欧文字「M」を配した構成態様からなるものである。
そして,仮にその構成の中央にある「M」の欧文字が,「エム」と読まれるとしても,単なる欧文字1字よりなる「M」の文字部分のみからは,自他商品・役務の識別標識としての称呼及び観念は生じない。
そうすると,本件商標は,特定の称呼及び観念を生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1について
引用商標1は,別掲2のとおり,黒色の円形の中に,一部が重なった白抜きの二等辺三角形の底辺部分を楕円状に2カ所切り取った図形を配してなるものである。
そして,これよりは,特定の称呼及び観念を生じないものである。
イ 引用商標2について
引用商標2は,別掲3のとおり,黒色の円内に白抜きで左側が細く右側に行くにつれて太くなるよう表された鋭く折れ曲がった幅のある線状の部分を有する図形を配してなるものである。
そして,これよりは,特定の称呼及び観念を生じないものである。
ウ 引用商標3について
引用商標3は,別掲4のとおり,黒色の円形の右上の一部が白抜きの網目状であり,この円形の中央にやや右斜めに白抜きの欧文字「M」を有する図形を配してなるものである。
そして,仮に黒色の円形内の「M」の欧文字が,「エム」と読まれるとしても,単なる欧文字1字よりなる「M」の文字部分のみからは,自他商品の識別標識としての称呼及び観念は生じないものである。
そして,これよりは,特定の称呼及び観念を生じないものである。
エ 引用商標4及び引用商標5について
引用商標4及び引用商標5は,別掲5のとおり,黒色の円形内に,M字状の白抜き部分を有する図形を配してなるものである。
そして,これよりは,特定の称呼及び観念を生じないものである。
オ 引用商標6ないし引用商標8について
引用商標6ないし引用商標8は,別掲6のとおり,黒色の円形内に,白抜きの稲妻のような図形を横に90度倒したような部分を有する図形を配してなるものである。
そして,これよりは,特定の称呼及び観念を生じるものではない。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標とは,外観においては,上記(1)及び(2)のとおりの構成態様よりなるから,外観上,十分区別できるものである。
そして,本件商標と引用商標とは,上記のとおり自他商品・役務の識別標識としての称呼及び観念を生じないものであるから,称呼及び観念については比較することができない。
してみれば,本件商標と引用商標とは,称呼及び観念においては比較できないとしても,外観においては顕著な差異を有するものであるから,両者は,相紛れるおそれのない非類似の商標といわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 申立人の主張について
申立人は,「本件商標の指定商品との関係において,『M』の文字はエムサイズを指称する文字として日常的に使用されており,例えば甲第9号証ないし甲第17号証においては,いずれも円形文字中に『M』の文字を配する表示として,『Mサイズ』を示す記号として使用されていることからも,本件商標の態様は,識別性のない態様であることが明らかである。・・・本件商標は,その全体構成から極めて簡単で,かつ,ありふれた標章として,記号・符号の一類型を表示したものと理解するにとどまるというのが相当であって,・・・本件商標の態様は,サイズなどを示す表示として一般的に使用されている実情から識別性を有さない態様であることは,明らかであり商標法第3条第1項第5号に該当する」旨を主張している。
しかしながら,申立人の提出された上記証拠のうち,甲第9号証,甲第11号証,甲第16号証及び甲第17号証には,円形内に欧文字「M」と共に「size」,「SIZE」又は「Size」の欧文字が記載されている。
また,甲第12号証及び甲第13号証には,円形内に欧文字「M」と共に「サイズ」の片仮名が記載されている。
以上のことから,これらの図形は,商品のサイズを示す「Mサイズ」を表しているものと需要者に看取されるものである。
さらに,他の証拠は,輪郭線としての円と「M」の文字からなる図形や楕円と「M」の文字からなる図形(以下「M」図形という。)の周辺の説明文章中に「Mサイズ」と記載されていることから,これらの証拠中の「M」図形は,「Mサイズ」を表しているものと需要者に理解されるものである。
してみれば,本件商標は,朱色の正方形の中央に白抜きの円形を配し,その円形内に朱色で普通に用いられる文字とは際立って相違するデザイン化された太線の欧文字「M」を配した構成態様であり,申立人が提出した上記証拠のように単なる円と「M」の文字を組み合わせた構成態様とは,明らかにその構成態様を異にする。
さらに,本件商標の構成中の通常普通に用いられる文字とは際立って相違するデザイン化された特徴ある太字の欧文字「M」と上記の証拠中の他の「M」の欧文字の字形とは,別異のものである。
なお,申立人は,他の審決例を挙げて本件商標もこれらの審決同様に登録が認められないものであると主張するが,これらの商標は,いずれも,本件商標とは商標の構成を異にするものであって,上記認定に影響を及ぼすものとは認められない。
よって,申立人の主張は,いずれも採用することができないものである。
4 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第5号及び同法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)


(色彩については,原本参照。)

別掲2(引用商標1)



別掲3(引用商標2)



別掲4(引用商標3)



別掲5(引用商標4及び引用商標5)


別掲6(引用商標6ないし引用商標8)



異議決定日 2017-12-06 
出願番号 商願2016-133640(T2016-133640) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (W09122528394143)
T 1 651・ 262- Y (W09122528394143)
T 1 651・ 263- Y (W09122528394143)
T 1 651・ 15- Y (W09122528394143)
最終処分 維持  
前審関与審査官 旦 克昌 
特許庁審判長 井出 英一郎
特許庁審判官 榎本 政実
真鍋 恵美
登録日 2017-03-10 
登録番号 商標登録第5930763号(T5930763) 
権利者 任天堂株式会社
商標の称呼 エム 
代理人 東谷 幸浩 
代理人 林 栄二 

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