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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項10号一般周知商標 取り消して登録 W16 |
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管理番号 | 1335212 |
審判番号 | 不服2017-9662 |
総通号数 | 217 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2018-01-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-06-30 |
確定日 | 2017-12-05 |
事件の表示 | 商願2016-51351拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願商標は,登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は,「WILL」の欧文字を標準文字で表してなり,第16類「印刷物,印刷された教材,書籍,カタログ,漫画本,グラフィック印刷物,ハンドブック,ポスター,出版物」を指定商品とし,平成26年5月21日に登録出願された商願2014-40351に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として,同28年5月11日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由 本願商標は,「WILL」の欧文字を標準文字で表してなるところ,東京都千代田区五番町所在のワック株式会社が,その業務に係る商品「月刊誌」を表示するものとして,本願商標の登録出願前から,我が国の需要者の間に広く知られている「WiLL」の欧文字を表してなる商標(以下「引用商標」という。)と類似するものであって,本願の指定商品は当該商品「月刊誌」と類似する商品である。 したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。 3 当審の判断 (1)引用商標の周知性について ア 請求人の主張及び提出に係る証拠(審判請求書において証拠方法として提出された資料2を甲第2号証と読み替える。),原審における平成28年7月6日付け刊行物等提出書で提出された証拠(甲第1号証から甲第12号証として提出されているが,これを乙第1号証の1から乙第1号証の12として読み替える。),及び当審における平成29年9月20日付け刊行物等提出書で提出された証拠(甲第1号証から甲第20号証として提出されているが,これを乙第2号証の1から乙第2号証の20として読み替える。)によれば,本願の商標登録出願(平成26年5月21日)前のものであると確認できる限りにおいて,以下の事実が認められる。 (ア)ワック株式会社が発売する雑誌「WiLL」は,毎月1回26日発売の月刊誌であり,創刊号(2005年1月号)は2005年1月1日発行である(乙1の1)。 (イ)雑誌「WiLL」の製作部数は,「WiLL 創刊号?136号 製作部数一覧表」(乙1の4,2の1)(以下「WiLL製作部数一覧表」という。)並びに図書印刷株式会社の作成した印刷証明書(乙2の2)及び大日本印刷株式会社の作成した印刷部数証明書(乙2の3)によれば,各号の製作部数は,創刊号で59,000部,翌年以降の同月号は69,000部(2006年1月号),72,000部(2007年1月号),78,000部(2008年1月号),95,000部(2009年1月号),87,000部(2010年1月号),93,000部(2011年1月号),82,000部(2012年1月号),86,000部(2013年1月号),97,000部(2014年1月号)と,おおむね平均して毎月8?9万部程度の製作実績はあったものとは理解できる。 この点につき,請求人は,WiLL製作部数一覧表は作成者及び出所が不明であるため,客観的な証拠とはなり得ない旨を主張するが,WiLL製作部数一覧表はワック株式会社により提出されているため同社が作成した資料であると推測できるところ,図書印刷株式会社の作成した印刷証明書に記載の製造部数(乙2の2),大日本印刷株式会社の作成した印刷部数証明書に記載の印刷部数及び製本部数(乙2の3),並びに「WiLL 2016年4月号」の納品部数を合算した総合計部数(乙1の6)は,それぞれ,WiLL製作部数一覧表に記載のある各号の部数と一致しているため,WiLL製作部数一覧表が本件において考慮してはならないほど信用力に欠くものとまではいい難い。 (ウ)雑誌「WiLL」の販売部数は,提出された証拠からは明らかではない。 「WiLL11月号 文藝春秋10月号 売上比較表」(乙1の5)は,特定の書店における雑誌「WiLL」(2012年11月号)と雑誌「文藝春秋」(2012年10月号)の売上累計を比較するものであるが,そもそも,「文藝春秋」は毎月の平均印刷部数が533,667部(甲2)である一方,雑誌「WiLL」の製作部数は,上記(イ)に掲げるとおり,毎月8?9万部程度であることを鑑みると,特定の書店かつ特定の号による販売数の比較は,その書店や比較時期などが公平に選定されているか明らかではなく,客観的な証拠としては考慮することは難しい。 (エ)雑誌「WiLL」の広告宣伝の実績,規模及び広告費などは,提出された証拠からは明らかではない。 雑誌「WiLL」の新聞広告は,2004年から本願の商標登録出願前までに,日経新聞,毎日新聞及び読売新聞に掲載されたことがあるとしても(乙2の11?13),その掲載頻度が明らかではなく,これのみから当該雑誌の広告宣伝の実績や規模を客観的に評価することは困難である。 イ 上記アの認定事実によれば,ワック株式会社が発売に関与する雑誌「WiLL」は,2005年の創刊から本願商標の登録出願時までの9年間,毎月発行されており,その製作部数は,おおむね毎月8?9万部程度であったものと理解できる。 しかしながら,本願商標の登録出願前における同雑誌の販売部数,市場におけるシェア,並びに広告宣伝の実績,規模及び広告費なども客観的に明らかではなく,同雑誌及び引用商標が,我が国の需要者の間において周知性を獲得したことを推測できるような証拠がない。 そうすると,引用商標が,本件商標の登録出願時において,特定の者の業務に係る商品「月刊誌」を表示するものとして,我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは認めることはできない。 (2)商標法第4条第1項第10号の該当性について 引用商標は,上記(1)のとおり,我が国の需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができないから,本件商標と引用商標の同一又は類似,またその指定商品と使用に係る商品の同一又は類似について比較するまでもなく,商標法第4条第1項第10号の要件を欠くものである。 したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。 (3)結語 以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する商標ではないから,本願を拒絶した原査定は,妥当でなく取消しを免れない。 その他,本願について拒絶の理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2017-11-20 |
出願番号 | 商願2016-51351(T2016-51351) |
審決分類 |
T
1
8・
25-
WY
(W16)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山田 啓之 |
特許庁審判長 |
早川 文宏 |
特許庁審判官 |
阿曾 裕樹 田村 正明 |
商標の称呼 | ウイル |
代理人 | 塚田 美佳子 |
代理人 | 橋本 千賀子 |
代理人 | 大貫 絵里加 |