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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
審判 全部申立て  登録を維持 W18
管理番号 1334552 
異議申立番号 異議2016-900065 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2016-03-17 
確定日 2017-10-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5815194号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5815194号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5815194号商標(以下「本件商標」という。)は,「MONSTER REPUBLIC」の欧文字を横書きしてなり,平成27年6月12日に登録出願,同年10月30日に登録査定され,第18類「革製財布,財布,ハンドバッグ,多目的財布,登山用バッグ,小型クラッチバッグ,スポーツバッグ,名刺入れ,ブリーフケース(革製品),バッグ,カード入れ,傘,登山用リュックサック,ボストンバッグ,革製ハンドバッグ,ブリーフケース」を指定商品として,同年12月25日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立ての理由において引用する商標は,以下の45件の登録商標(以下1から45までを順次「引用商標1」から「引用商標45」という。)であり,いずれも現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第1048069号商標:別掲1
2 登録第5689430号商標:別掲1
3 登録第5057229号商標:別掲2
4 登録第5730813号商標:別掲3
5 登録第5010968号商標:M MONSTER ENERGY(標準文字)
6 登録第5379390号商標:MONSTER(標準文字)
7 登録第5792086号商標:MONSTER(標準文字)
8 登録第5431413号商標:別掲4
9 登録第5788675号商標:別掲4
10 登録第5393681号商標:MONSTER ENERGY(標準文字)
11 登録第5788676号商標:MONSTER ENERGY(標準文字)
12 登録第5844119号商標:MONSTER ENERGY(標準文字)
13 登録第5495941号商標:MONSTER KHAOS ENERGY + JUICE(標準文字)
14 登録第5769176号商標:MONSTER ENERGY ABSOLUTELY ZERO(標準文字)
15 登録第5419513号商標:別掲5
16 登録第5757485号商標:COFFEE MONSTER(標準文字)
17 登録第5715016号商標:MONSTER ENERGY ULTRA(標準文字)
18 登録第5844163号商標:別掲6
19 登録第5394526号商標:別掲7
20 登録第5442171号商標:MONSTER ENERGY PINK(標準文字)
21 登録第5417815号商標:MONSTER ENERGY AGENT ORANGE(標準文字)
22 登録第5527566号商標:MONSTER DETOX(標準文字)
23 登録第5476620号商標:MONSTER REHAB(標準文字)
24 登録第5490798号商標:MONSTER RECOVERY(標準文字)
25 登録第5497766号商標:MONSTER UNLEADED(標準文字)
26 登録第5451361号商標:MONSTER PUMPED(標準文字)
27 登録第5480373号商標:MONSTER BIOACTIVATED(標準文字)
28 登録第5527567号商標:MONSTER REHABITUATE(標準文字)
29 登録第5417770号商標:MONSTER LO-CARB(標準文字)
30 登録第5375090号商標:PROTEIN MONSTER(標準文字)
31 登録第5327467号商標:MUSCLE MONSTER(標準文字)
32 登録第5409580号商標:MONSTER RIPPER(標準文字)
33 登録第5409582号商標:MONSTER BLACK(標準文字)
34 登録第5419507号商標:MONSTER DOUBLE BLACK(標準文字)
35 登録第5409583号商標:MONSTER GIRL(標準文字)
36 登録第5542584号商標:MONSTER CUBA-LIMA(標準文字)
37 登録第5043703号商標:JAVA MONSTER(標準文字)
38 登録第5431412号商標:JAVA MONSTER(標準文字)
39 登録第5741128号商標:JAVA MONSTER
40 登録第5644854号商標:MONSTER SUPERNATURAL(標準文字)
41 登録第5423080号商標:LOCA MOCA JAVA MONSTER(標準文字)
42 登録第5389881号商標:X-PRESSO MONSTER(標準文字)
43 登録第5657923号商標:MONSTER ENERGY ULTRA RED(標準文字)
44 登録第5562023号商標:JAVA MONSTER GREEN BEANS(標準文字)
45 登録第5613400号商標:MONSTER THRILLER(標準文字)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第7号,同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第272号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 申立人の使用に係る商標の著名性
(1)申立人による商標「MONSTER」の使用
申立人は,1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり,2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し,米国で同年3月から広告宣伝を開始し,同年4月から製造販売を開始した(甲4,7,18,58)。
申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドの各種エナジードリンク製品には,従来の清涼飲料製品の容器とは異なる黒色ベースのボトル缶にモンスター(Monster)の爪を形取ったロゴマーク(引用商標8及び9に示す図形。以下「爪の図柄」という。)と太字で目立つように「MONSTER」の文字を表示してなり,野性味あふれる独特な雰囲気が経済・ビジネス界でも注目を浴び(甲56?58),男性若者層を中心にたちまち人気商品となった。
申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドの各種エナジードリンクには,2002年の発売開始以降,現在に至るまで継続して,「MONSTER ENERGY」をはじめ,構成中に「MONSTER」の文字を包含する商標(以下,これらを総称して「『MONSTER』ファミリー商標」という。)が個別製品名として使用されている。
(2)広告・マーケティング及び販売促進活動
申立人は,2002年から現在まで,全世界における「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクに関する広告,マーケティング及び販売促進活動費として総額30億米ドルを超える費用を支出した(甲58)。その販売促進活動の内容は,世界の有名アスリート・レーシングチーム及び競技会,アマチュア選手,音楽祭及びミュージシャン,米国ラスベガスの公共機関モノレールに対する支援活動(スポンサー提供),並びに販売店用什器及び備品の供給である(甲58)。そこでは,看板,ユニフォーム,備品及びビデオクリップなどに,「MONSTER」の文字を顕著に表示した「MONSTER ENERGY」の文字,「MONSTER」の文字,爪の図柄,「M」のロゴマークと「MONSTER」及び「ENERGY」の文字からなる「M MONSTER ENERGY」のロゴマークの商標が表示されている。
このようなMONSTERブランドマークを用いた世界の著名アスリート及びチームに対するスポンサー活動は,申立人自らが発信する情報のみならず,スポンサー提供を受けるアスリートたちが運営するホームページやブログ,有名経済ビジネス誌,一般の報道ニュース,スポーツファンのホームページなどを通じて,日本国内の一般消費者にも発信,紹介されている(甲34?45,52,53,56,57)。
(3)日本国内の販売実績,広告・マーケティング及び販売促進活動
日本国内では「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクの販売は,アサヒ飲料株式会社を通じてなされており,2012年5月8日から,2種類のエナジードリンク「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー)及び「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス)の販売が開始された(甲5?7,12,14,58)。
当該商品(エナジードリンク)は,その発売直後から日本国内でもたちまち人気商品となり,2012年9月時点で既に年間売上目標の100万箱を突破し(甲8,97?99),その後も好調に売上を伸ばして157万箱の売上を記録した(甲9,97?99)。
さらに,次々に新製品が発売され,「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー),「MONSTER KHAOS」(モンスターカオス),「MONSTER ABSOLUTELY ZERO」(モンスターアブソリュートリーゼロ),「MONSTER ENERGY M3」(モンスターエナジー M3),「MONSTER COFFEE」(モンスターコーヒー)及び「MONSTER ENERGY ULTRA」(モンスターウルトラ)などのエナジードリンクが国内で流通している(甲5?7,10,12?15,91?94,147?149,164,183?187)。
これらの商品は,日本全国のコンビニエンスストア,自動販売機,キオスク,スーパーマーケット,列車の売店,会員制スーパー,店舗,ゲームセンター,ドラッグストア及びホームセンター等のほか,通販サイトからも直接購入可能である(甲11?17,58,93,94,104)。
2012年5月の販売開始から2015年6月30日までに,申立人は国内で約2億3,600万缶の「MONSTER ENERGY」ブランドのエナジードリンクを販売した。上記期間の総販売額は1億7,500万米ドル以上,日本円で170億円以上である(甲58)。
また,国内発売直後から継続的にテレビコマーシャル放映,日本開催の多数のスポーツイベント等へのスポンサー提供,サンプル配布などを含む大々的な宣伝広告活動が実施されている(甲58)。
(4)全世界の販売国・地域及び販売額
申立人は,現在までに世界100以上の国及び地域で「MONSTER」ファミリー商標を使用したエナジードリンクを販売し,又は販売中である。
申立人のエナジードリンクは,2002年に米国で販売開始以来,130億缶以上販売し,世界中で毎年30億缶以上を売上げ,全世界で総額240億米ドルを超える収益を上げており,全世界での小売販売額は毎年60億米ドルを超え,申立人の全売上額の92%以上を占める(甲58)。申立人の年間総販売額は,23.7億米ドル(2012年度),25.9億米ドル(2013年度),28.3億米ドル(2014年度)で,エナジードリンクの売上げは,年間総純売上に対して,それぞれ95.4%,95.6%,96.1%を占める。
申立人の「MONSTER ENERGY」ブランドは,販売量において,米国で最も売れ,また,世界第2位のエナジードリンクである。申立人のエナジードリンクは,現在米国におけるエナジードリンク市場の36.8%のシェアを占め,その販売量において全世界で最も高成長を遂げた主要ブランドの地位を維持している。
(5)アパレル製品,ビデオゲーム製品等の販売
2002年から現在まで,申立人は,MONSTERブランドマークを付した関連グッズの商品化を第三者に許諾しており,MONSTERブランドマークを付したアパレル製品等が,多数のライセンシーにより製造,販売されており,一般消費者の高い人気を獲得している。当該ライセンス商品は,現在,日本及びアジア全域,オーストラリア,米国,カナダ,中央アメリカ,南米,ヨーロッパ,アイスランド,スカンジナビア及びメキシコを含む世界各地で販売中である(甲58)。MONSTERブランドマークが付された被服,運動用特殊衣服,運動用ヘルメット,ステッカー,リュックサック等は,日本国内でも人気の高い商品であり,インターネットの通信販売業者により日本国内でも輸入販売されている(甲47,48)。
また,申立人は,ビデオゲーム制作販売会社と提携関係を結んだ販売促進活動も展開しており,MONSTERブランドマークは,ビデオゲームの中で使用されている(甲58)。
(6)その他,申立人は,経済界等からの数々の表彰を受けるとともに,ウェブサイト及びソーシャルメディアによる情報発信,商標登録によるブランド保護,国内における申立人商標のライセンス商品の販売や模倣品の水際取締り,スポーツイベント等やプロモーションキャンペーン等も行っている。
(7)以上の事実に照らせば,申立人の使用に係る「MONSTER」の商標は,本件商標の登録出願日前より,申立人の業務に係る商品及び役務を表示する出所識別標識として,本国米国をはじめとする外国で広く認識されていたものであり,また,本件商標の登録出願時及び登録査定時には,日本国内の取引者及び需要者においても,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして広く認識されていたことが明らかである。
2 本件商標の商標法第4条第1項第11号及び同項第15号該当性について
(1)本件商標の指定商品並びに申立人の使用に係る商品及び引用商標の指定商品及び指定役務の類否
本件商標の指定商品中,第18類「革製財布,財布,ハンドバッグ,多目的財布,登山用バッグ,小型クラッチバッグ,スポーツバッグ,名刺入れ,ブリーフケース(革製品),バッグ,カード入れ,傘,登山用リュックサック,ボストンバッグ,革製ハンドバッグ,ブリーフケース」は,引用商標1の指定商品中,第18類「All purpose sports bags; all-purpose carrying bags; backpacks; duffle bags.」,引用商標9の指定商品中,第18類「バッグ,バックパック,財布,ブリーフケース,スーツケース,キーケース,ダッフルバッグ,書類入れかばん,ハンドバッグ,汎用スポーツバッグ,汎用のキャリーバッグ,その他のかばん類,袋物,傘」,引用商標11の指定商品中,第18類「バッグ,バックパック,財布,ブリーフケース,スーツケース,キーケース,ダッフルバッグ,書類入れかばん,ハンドバッグ,汎用スポーツバッグ,汎用のキャリーバッグ,その他のかばん類,袋物,傘」,及び引用商標12の指定役務中,第35類「オンラインによる被服・帽子及び身の回り品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と同一又は類似のものである。
さらに,本件商標の指定商品は,申立人がライセンシーを通じて,MONSTERブランドマークを付して販売している「バックパック」及び「傘」と同一又は類似するものである(甲138,142,188?193)。また,本件商標の指定商品は,上記ライセンシーの販売するジャケット,Tシャツ,帽子,半ズボン,時計など(甲138?146)とも,同一事業者により製造され,同一店舗内で販売されることも多いから,その使用目的,用途,需要者層が一致又は共通にする。
したがって,本件商標の指定商品は,申立人の取り扱いに係る商品及び役務と同一又は類似のものであり,また,当該商品又は役務と製造部門,販売部門,原材料,用途,効能,販売場所,提供場所,需要者の範囲等が一致又は重複し,密接な関連性を有する。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第11号の該当性
ア 本件商標は,通常の活字体の英文字の大文字で横書きした「MONSTER REPUBLIC」の文字よりなり,外観が冗長であり,その称呼である「モンスターリパブリック」も11音で構成される冗長なもので,全体を一連に称呼することは困難である。加えて,当該文字は,辞書等に掲載されている既成語ではなく,既存の意味又は観念を生じないため,観念上一体の表示として把握すべき理由もない。
本件商標の構成中,「MONSTER」の文字部分は,一般に看者の注意,関心を最も強くひきつける語頭に位置しており,当該文字は,外来語の「モンスター」として国民一般に広く親しまれているため,本件商標の構成においては,語頭の「MONSTER」の文字部分が,取引者及び需要者に対して,出所識別標識として強く支配的な印象を与える。よって,簡易迅速を尊ぶ商取引の場では,語頭の「MONSTER」の文字部分が独立した出所識別標識として機能し得るものであり,これより「モンスター」の称呼及び観念が生じる。
イ 引用商標1は,上段に「M」のロゴマークを表し,中段に「MONSTER」の文字を特徴的な外観のレタリングの太字で大きく表し,下段に「ENERGY」の文字を一般的な活字体でやや小さく表してなるものであり,その構成上,独特の書体で力強く顕著に表された「MONSTER」の文字部分が,独立した自他商品識別標識として認識,理解され,単独で出所識別標識として機能し得る。したがって,引用商標1は,当該文字部分から,「モンスター」の称呼及び観念が生じる。
ウ 以上より,本件商標と引用商標1は,「モンスター」の称呼及び観念を共通にする類似のものであり,上記(1)のとおり,本件商標の指定商品は引用商標1の指定商品と同一又は類似する商品に使用されるものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性
ア 申立人は,2002年から現在に至るまで,「MONSTER」をはじめとして,「MONSTER」の文字を包含する「MONSTER」ファミリー商標を,エナジードリンク製品の個別製品名として継続して使用している(甲5?7,10,12?15,91?94,147?149,164,183?187)。
イ 本件商標の指定商品は,申立人の商標ライセンシーがMONSTERブランドマークを付して販売している「バックパック」及び「傘」と同一又は類似である。バックパック等のかばん類,袋物は,一般消費者の関心,人気がとりわけ高い商品である。
ウ 以上のように,本件商標の登録出願時には,申立人の使用に係る「MONSTER」の商標は,日本国内及び米国を含む多数の外国において,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,エナジードリンクのみならず,申立人のライセンシーの製造販売するかばん類,袋物及び被服などの分野の取引者,需要者の間でも広く認識されていた。また,「MONSTER」の文字は,申立人の商号「MONSTER ENERGY COMPANY」の主要部を構成する文字であるため,申立人のライセンス商品と同一又は類似の商品に使用される「MONSTER」の文字は,申立人及びその業務に係る商品を強く想起,連想させる。
本件商標は,申立人の使用に係る「MONSTER」と類似するばかりか,「MONSTER」の文字を他の文字と結合して構成していることから,「MONSTER」の文字を包含することを共通の特徴とする,申立人の多数の「MONSTER」ファミリー商標と同じ構造の商標として認識,理解され,申立人の商標と同じ印象を需要者に与える。
このような事情の下,本件商標をその指定商品に使用するときは,これに接する取引者,需要者は,申立人の使用に係る「MONSTER」をはじめとする「MONSTER」ファミリー商標及び申立人を想起,連想し,当該商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的関係を有する者の取り扱いに係る商品であると誤信し,その出所について混同を生じるおそれが高い。
また,「MONSTER」の文字を顕著に有する本件商標が,申立人と何ら経済的又は組織的な関係を有しない本件商標権者によって,申立人のライセンシーの取り扱いに係るかばん類,袋物及び傘と同一又は類似の商品に使用された場合は,長期に及ぶ継続的使用と営業努力によって申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されるに至った「MONSTER」をはじめとして,「MONSTER」の文字を包含するMONSTERブランドマーク及び「MONSTER」ファミリー商標の出所表示力が希釈化し,また,申立人がこれらの商標について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
3 本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は,その登録出願時に,申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして,日本国内及び米国,その他の外国で広く認識されている商標「MONSTER」と類似するものであり,申立人のライセンシーが当該商標を使用しているかばん類,袋物及び傘と同一又は類似の商品に使用されるものである。
そのため,本件商標が使用された場合は,申立人の商品及び役務の出所識別標識として広く認識されている「MONSTER」の文字,並びに当該文字を包含するMONSTERブランドマーク及び「MONSTER」ファミリー商標の出所識別力が希釈されるおそれが極めて高いものであり,また,本件商標の使用は,申立人がこれらの商標について獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするものといわざるを得ず,申立人に経済的及び精神的損害を与える。
したがって,本件商標は,社会一般道徳及び公正な取引秩序の維持を旨とする商標法の精神並びに国際信義に反するものであり,公の秩序を害するおそれがある。
よって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。

第4 当審の判断
1 申立人の使用に係る「MONSTER」の商標(以下「申立人商標」という。)の周知性について
(1)証拠及び申立人の主張によれば,以下の事実が認められる。
ア 申立人であるモンスター エナジー カンパニー(Monster Energy Company)は,元々は1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり,2002年にエナジードリンクの新ブランド「MONSTER ENERGY」を創設し,米国において発売開始した(甲7)。
イ 申立人のエナジードリンク(以下「申立人商品」という。)は,日本においては,2012年5月8日から,「Monster Energy」(モンスターエナジー)及び「Monster KHAOS」(モンスターカオス)が発売開始され(甲7,8),その後,2013年5月7日から「モンスター アブソリュートリー ゼロ」(甲10),2014年8月19日から「モンスターエナジー M3」(甲91),同年10月7日から「モンスターコーヒー」(甲92)が発売されている。
ウ アサヒ飲料株式会社のニュースリリースによれば,申立人商品の発売及び販売と関連して,「アサヒ飲料 国内独占販売権取得!・・・『Monster Energy(モンスターエナジー)缶355ml』『Monster KHAOS(モンスターカオス)缶355ml』・・・アサヒ飲料株式会社(本社 東京,・・・)は・・・エナジードリンク『モンスターエナジー』ブランドの日本国内における独占販売権を取得しました。」(甲7),「・・・5月8日(火)から新発売したエナジードリンク『モンスターエナジー』ブランドの販売が好調・・・」(甲8),「・・・『モンスター アブソリュートリー ゼロ 缶355ml』・・・本商品は・・・『モンスターエナジー』ブランドの中でも,2番目に人気のあるカテゴリー,ダイエット系エナジーです。・・・」(甲10),「2013年度の『モンスターエナジー』ブランドの販売数量は大変好調であり,『モンスターエナジー』,『モンスターカオス』,『モンスターアブソリュートリーゼロ』の3品で前年比150%となる237万箱を販売し・・・」(甲91),「『モンスターエナジー』ブランドの販売は大変好調に推移しています。・・・本年は・・・『モンスターエナジーM3』,『モンスターコーヒー』をラインナップに追加・・・」(甲92)の記載がある。
エ 申立人商品の容器の側面には,以下のような表示がある。
(ア)「Monster Energy(モンスターエナジー)缶355ml」の容器下部には,「MONSTER」の文字,その下には「ENERGY」の文字が表されている(甲14,17)。
(イ)発売当初の「Monster KHAOS(モンスターカオス)缶355ml」の容器下部には,「MONSTER」の文字,その下には「KHAOS」の文字,さらにその下には「ENERGY」及び「+果汁」の文字が表されている(甲7,8)。
(ウ)「モンスター アブソリュートリー ゼロ 缶355ml」の容器下部には,「MONSTER」の文字,その下には「ENERGY」の文字,さらにその下には「ABSOLUTELY ZERO」の文字が表されている(甲10,13)。
(エ)「モンスターエナジー M3 ワンウェイびん150ml」の容器下部には,「MONSTER」の文字,その下には「ENERGY」の文字,さらにその下には「M-3 SUPER CONCENTRATE」の文字が表されている(甲91,93)。
(オ)「モンスターコーヒー 缶250g」の容器下部には,「COFFEE」の文字,その下には「MONSTER」の文字,さらにその下には「COFFEE」,「+」及び「ENERGY」の文字が表されている(甲92)。
オ 申立人商品は,日本において,2012年5月の発売開始以降,2012年末までの約8か月で157万箱販売された(甲9)。
カ 申立人の最高経営責任者の宣誓供述書(甲58)によれば,申立人商品は,日本において,2012年5月の販売開始から2015年6月30日までの約3年間で,約2億3600万缶の販売,総販売額は1億7500万米ドル以上,日本円で170億円以上であるとされる。
キ 当該供述書によれば,申立人は,広告,マーケティング及び販売促進活動のために,全世界では,2002年以来,30億米ドル以上を支出しているが,「モンスター社のマーケティング戦略は,従来の方法とは異なり,MONSTER商標及び爪痕のロゴマークを広めるための広告を,直接テレビやラジオで行わない」とされ,広告などの予算の多くは「競技選手への支援及び競技大会やその他イベントへのスポンサー活動」にあてている。特に「主要なターゲットとする若年成人層,主に男性が多くの時間を費やすインターネット上で,ネット配信されるイベント」であり,具体的には,ロードレース世界選手権グランプリ(MotoGP),MotoGPレーシングチーム,F1レーシングチーム,モトクロスチーム,アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ(UFC),音楽祭,音楽イベント,ミュージシャン及びビデオゲームチームへのスポンサー活動及び促進活動などである。ただし,日本では2012年5月及び6月に販売開始を支援するために,主要テレビ局のテレビ広告枠を購入し,視聴者にウェブサイトで更なる情報を得るように促す広告を行い,それに約190万米ドルを支出したとされる。
ク アサヒ飲料株式会社のニュースリリース(甲147,2015年6月29日付)によれば,申立人商品である「『モンスターエナジーブランド』は・・・ブランド力とファッション性で世界中の若者からの圧倒的な支持を背景に,急成長しているエナジードリンクです。」と紹介され,「エナジードリンク市場は,・・・『モンスターエナジー』などの海外ブランドの浸透により,最近では10代,20代が『炭酸の刺激を楽しみたい』や『気分転換』を目的に飲用する傾向」との記載がある。
(2)上記(1)の認定事実によれば,申立人商標の使用と関連して,以下のような実情がうかがえる。
ア 申立人商品は,2012年(平成24年)5月の日本における販売開始以降,その販売額は,約3年間(2012年(平成24年)5月?2015年(平成27年)6月)で約170億円以上とされ,その販売期間は発売から本件商標の登録出願時までは約4年間程度と長期にわたるものではないが,ある程度継続した販売実績があることがうかがえる。
しかし,申立人はテレビなどの一般的なメディアを通じた広告宣伝はそもそも行わない方針であることもあり,テレビCMは,2012年(平成24年)の発売当初の1か月程度の短期間で,その費用も約1億5千万円(190万ドル;80円/ドルで計算)程度のものであり,継続的に行われているスポンサー活動や販売促進キャンペーンも,日本における広告宣伝費は明らかではない。その主な広告宣伝も,主に比較的若い世代が集まるようなモータースポーツ,格闘技,音楽イベントやミュージシャン,ビデオゲームなどと関連したスポンサー活動やプロモーション活動であり,申立人商品の紹介にあたっても,10代や20代の需要者層における支持が言及されていることからすると,申立人商品の主要な需要者層や,広告などを通じて申立人商品を目にする需要者層の範囲も,自ずと若年層を中心としたものと理解することができる。
イ 日本で販売されている申立人商品の容器の側面には,文字配置のレイアウトにバリエーションはあるものの,概ね,「MONSTER」の文字の下に「ENERGY」の文字を,比較的近接して配置している。そして,申立人商品の個別名称は,「Monster Energy」(モンスターエナジー),「Monster KHAOS」(モンスターカオス),「モンスター アブソリュートリー ゼロ」,「モンスターエナジー M3」及び「モンスターコーヒー」であるが,これら一連の商品を指称する際は,「モンスターエナジー」ブランドと総称されている。
(3)上記実情を踏まえると,申立人商品の販売期間は比較的短く,幅広い需要者層が目にする機会の多い一般的なメディアを通じた広告宣伝の実績は乏しいもので,広告宣伝などを通じた商品名の露出も,比較的若年層に向けた活動を通じて行われていることから,申立人商品は,本件商標の登録出願日前までには,その取引者や若い世代を中心とした需要者の間では,ある程度認知されていたということができても,幅広い需要者層を有する清涼飲料の分野一般においては,我が国の取引者,需要者の間に広く認識されるに至っていたとまでは認めることができない。
そして,申立人商品は,その容器には「MONSTER」及び「ENERGY」の文字が比較的近接して表示されており,申立人商品は「モンスターエナジー」ブランドと総称されている実情があることも踏まえると,上記の申立人商品の獲得した認知度は,「Monster Energy」(モンスターエナジー)を中心とした「モンスターエナジー」ブランドのエナジードリンクとして,集合的に生じているというべきである。
なお,申立人商標である「MONSTER」又はその表音の「モンスター」の語が,宣伝文句などにおいて申立人又は申立人商品の略称として用いられる場合があるとしても,その略称が,エナジードリンクの需要者及び取引者の間で広く認知され,周知,著名となっていたとの事実は,提出された証拠からは見いだせない。
そのため,申立人商標は,我が国において,申立人商品を表示する商標として,広く認識されているものということはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
申立人は,異議申立ての具体的理由の中で,商標法第4条第1項第11号の該当性の主張に関連しては,引用商標1との類似性のみに言及することから,当合議体においては,同項同号の該当性については,引用商標1との関係のみについて主張しているものと理解し,以下のとおり判断する。
(1)本件商標と引用商標1の類否
ア 本件商標について
本件商標は,「MONSTER REPUBLIC」の欧文字を標準文字で表してなるところ,「MONSTER」及び「REPUBLIC」の構成文字は,同じ書体及び大きさで表され,1字分の間隔を開けて横一列に配置されているため,構成上まとまりのよい印象を与えるものであり,全体の「モンスターリパブリック」の称呼も11音構成と冗長でもなく,全体を一連に称呼することも比較的容易である。そして,両文字はそれぞれ,「怪物。化物。」及び「共和政体。共和制。共和国。」の意味を有する英語であるものの(参照:「広辞苑 第6版」岩波書店発行),両語を結合して特定の熟語や成語となるものでもないため,それぞれの語の意味を結合した漠然とした意味合いを看取させる可能性はあるものの,具体的な特定の観念を生じるものではない。
そうすると,本件商標は,これに接する需要者,取引者をして,その構成全体をもって一連一体の商標であると認識,看取されるというのが相当であり,これより「モンスターリパブリック」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。
イ 引用商標1について
引用商標1は,上部には,爪の図柄の図形を表し,その下部には,上段に「MONSTER」(「O」の文字には中心部を貫くような縦線がある)の文字をデザイン化した書体で表し,下段に「ENERGY」の文字を一般的な書体で表してなるところ,上部の図形部分と下部の文字部分は,間隔を設けて配置され,図形と文字という構成要素の相違から,それぞれが視覚上分離して認識されるものであり,両者に特段の観念上のつながりも見出せないことから,両者を分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとはいえない。そうすると,本願商標は,構成上,上部の図形部分と下部の文字部分とに分離して看取されるもので,それぞれが独立した構成部分であるとの印象を与えるものであるから,本願商標に接する需要者,取引者は,上部の図形部分と下部の文字部分のそれぞれを,自他商品識別標識として強い印象を与える要部として認識,理解し,取引に当たるというべきである。
引用商標1の下部の文字部分の構成中,「MONSTER」の文字部分と「ENERGY」の文字部分は,図案化の程度や書体において相違するものの,上下二段とはいえ,中心線を揃えて,比較的近接して配置されており,両文字部分をつなげた全体の称呼も「モンスターエナジー」と9音構成であり冗長でもない。そして,両文字部分は,それぞれ「怪物。化け物。」,「エネルギー」の意味を認識させる英語であり(参照:「広辞苑 第6版」岩波書店発行),両語を結合して成語や熟語となるものではないが,それぞれ比較的平易な英語であることもあいまって,「怪物(のような)エネルギー」程度の漠然とした意味合いは想起させる可能性はある。加えて,上記1(1)ウのとおり,申立人の使用に係る「MONSTER ENERGY」(モンスターエナジー)の商標が,商品「エナジードリンク」との関係においては,その取引者や若い世代を中心とした需要者の間ではある程度認知されているのであるから,両文字部分を一体的に組み合わして「MONSTER ENERGY」の文字を表してなるものと理解するのが自然であり,これより「(エナジードリンクの商品名としての)モンスターエナジー」程度の観念を生じる。
そうすると,引用商標1の要部である下部の文字部分からは,「モンスターエナジー」の称呼が生じ,「(エナジードリンクの商品名としての)モンスターエナジー」の観念が生じる。
ウ 本件商標と引用商標1の比較
上記を踏まえて本件商標と引用商標1の要部である文字部分とを比較すると,両者は語頭の「モンスター」の音が共通するものの,語尾の「リパブリック」と「エナジー」の音が相違し,全体の構成音及び音数に明らかな差異があるため,それぞれを一連に称呼するときは,容易に聞き分けることができる。また,両商標は,いずれも語頭に「MONSTER」の文字を有するが,語尾の「REPUBLIC」の文字と「ENERGY」の文字が相違するため,全体の外観としては明瞭に区別することができる。観念については,本件商標からは特定の観念を生じないため,比較することができない。
以上のとおり,本件商標は,引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても類似せず,同一又は類似の商品に使用されるとしても,その出所につき誤認混同を生じるおそれはなく,非類似の商標である。
(2)小括
上記(1)のとおり,本件商標は,引用商標1とは,類似する商標ではないため,その指定商品の類否について検討するまでもなく,商標法第4条第1項第11号に該当する商標ではない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)本件商標と申立人商標との類似性
ア 本件商標について
本件商標は,上記2(1)アのとおり,「MONSTER REPUBLIC」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字に相応して「モンスターパブリック」の称呼が生じ,特定の観念は生じない。
イ 申立人商標について
申立人商標である「MONSTER」の商標は,上記2(1)アのとおり,「怪物。化け物。」の意味を有する英語よりなるため,その構成文字に相応して「モンスター」の称呼及び「怪物。化け物。」の観念を生じる。
ウ 本件商標と申立人商標との類否について
本件商標と申立人商標の称呼を比較すると,両者は「モンスター」の音を共通にするが,本件商標の語尾の「リパブリック」の音の有無に差異があり,全体を一連に称呼するときは,構成音及び音数の明らかな相違から,容易に聴別できる。また,両商標の文字のつづりは,「MONSTER」の文字を共通にするが,本件商標の語尾の「REPUBLIC」の文字の有無に差異があり,一見して明瞭に見分けることができる。そして,本件商標からは特定の観念は生じないため,観念においては比較することはできない。
そうすると,本件商標と申立人商標は,外観,称呼及び観念のいずれにおいても類似しない,同一又は類似の商品に使用されたとしても,誤認混同するおそれのない非類似の商標というべきである。
(2)本件商標の指定商品と申立人の使用商品との関連性
本件商標の指定商品,第18類「革製財布,財布,ハンドバッグ,多目的財布,登山用バッグ,小型クラッチバッグ,スポーツバッグ,名刺入れ,ブリーフケース(革製品),バッグ,カード入れ,傘,登山用リュックサック,ボストンバッグ,革製ハンドバッグ,ブリーフケース」は,申立人の使用商品である「エナジードリンク」(清涼飲料の一種)とは,一般的には,その商品の性質,用途又は目的において直接的な関連性もなく,その商品の製造者や販売者,需要者層も,重複又は密接に関連しているものとはいえず,通常同一の営業主により製造又は販売されているものではなく,その関連性の程度は低い。
なお,申立人のライセンシーを通じて販売されている商品の中に,「MONSTER」及び「ENERGY」の文字を表示した「バックパック」(甲138),及び「MONSTER UMBRELLA」と紹介されている「傘」があるとしても(甲142),それは申立人固有の実情として参酌する余地があるとしても,上記のような一般的な商品間の類似性の判断には影響を与えるものではない。
(3)出所の混同について
申立人商標「MONSTER」は,上記1のとおり,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人又は申立人商品を表示する語として周知,著名とはいえず,上記(1)のとおり,「怪物。化け物」の意味を有する英語であって,造語ではなく,本件商標とも誤認混同するおそれのない非類似の商標であり,上記(2)のとおり,本件商標の指定商品と申立人の使用商品は,関連性の程度は低いため,申立人のライセンシーが関わる商品が,本件商標の指定商品と共通する分野において販売されている実情があるとしても,本件商標の指定商品の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すれば,本件商標に接する取引者,需要者が,申立人や申立人商標又は引用商標を連想又は想起するものとはいえない。
そのため,本件商標は,これをその指定商品について使用しても,その取引者,需要者をして,当該商品が申立人の商品に係るものであると誤信させるおそれがある商標でもなく,当該商品が申立人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品であると誤信させるおそれがあるものとはいえず,申立人の業務に係る商品と混同を生じるおそれがある商標ではない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
4 商標法第4条第1項第7号該当性について
本件商標は,上記2(1)アのとおり,その構成自体が非道徳的,卑わい,差別的,きょう激又は他人に不快な印象を与えるような図形ではないところ,その商標登録出願の経緯に社会的相当性を欠くものがあり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ない場合等,その出願経緯などに公序良俗に反するおそれがあることを具体的に示す証拠の提出もない。
申立人は,本件商標の使用は,申立人の使用に係る「MONSTER」又は「モンスター」に関連して獲得した信用力,顧客吸引力にフリーライドするもので,これを登録することは商標法の精神及び国際信義に反するため,公の秩序を害するおそれがある旨を主張するが,これは専ら申立人の利益を害するか否かという私的領域に関する主張であるため,商標法第4条第1項第7号の適用がそぐわないものであるばかりでなく,上記3(3)のとおり,本件商標は申立人の業務に係る商品と混同を生じさせるおそれのある商標とはいえず,その登録が公序良俗を害する理由を見いだすことができない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものではない。
5 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第7号,同項第11号及び同項第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 (引用商標1及び2)



別掲2 (引用商標3)




別掲3 (引用商標4)




別掲4 (引用商標8及び9)




別掲5 (引用商標15)




別掲6 (引用商標18。色彩は原本を参照。)




別掲7 (引用商標19)






異議決定日 2017-09-25 
出願番号 商願2015-55927(T2015-55927) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (W18)
T 1 651・ 271- Y (W18)
T 1 651・ 22- Y (W18)
T 1 651・ 263- Y (W18)
T 1 651・ 261- Y (W18)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松田 訓子 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 阿曾 裕樹
田村 正明
登録日 2015-12-25 
登録番号 商標登録第5815194号(T5815194) 
権利者 キム,テ ミン
商標の称呼 モンスターリパブリック、モンスター、リパブリック 
代理人 柳田 征史 
代理人 佐久間 剛 
代理人 中熊 眞由美 

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