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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W353643
管理番号 1334547 
異議申立番号 異議2017-900155 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-12-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-17 
確定日 2017-10-31 
異議申立件数
事件の表示 登録第5923763号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5923763号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5923763号商標(以下「本件商標」という。)は、「Apple Assist Center」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年7月22日に登録出願、第35類「秘書の代行,電話応対事務の代行,来訪者の受付及び案内」、第36類「事務所スペース・商業用スペース又はこれらに準ずる建物内スペースの貸与,事務所スペース・商業用スペース若しくはこれらに準ずる建物内スペース又は建物の管理及びこれらに関する情報の提供」及び第43類「会議室の貸与,研修室の貸与,展示室の貸与」を指定役務として、同年12月20日に登録査定、同29年2月17日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号に基づき、取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人について
申立人は、「iMac」、「MacBook」等のパーソナルコンピュータ、スマートフォン「iPhone」、デジタルオーディオプレーヤー「iPod」、タブレット型コンピュータ「iPad」、腕時計型携帯情報端末「Apple Watch」等の製造販売、「App Store」にてコンピュータアプリケーションソフトウェアの販売を行っている他、音楽・映像配信サービス「iTunes Store」、「Apple Music」等を提供する米国法人「Apple Inc.」(アップル社)である。
申立人は、「世界の最も価値あるブランドランキング」で首位を獲得するなど、高い知名度を誇り、当該ランキングにおいては、2011年から7年連続で首位の座を維持している(甲2)。また、申立人は、パーソナルコンピュータ「MacBook」、タブレット型コンピュータ「iPad」、スマートフォン「iPhone」及びこれのアクセサリ等を販売しており(甲3)、コンピュータ分野における成功によって著名であることは、明白な事実である。そして、申立人の商標「APPLE」は第9類及び第42類の商品、役務について周知・著名商標として、我が国において登録されている(登録第1758671号、登録第3286569号:甲4)。
申立人製品が周知著名であることは上記のとおりであるが、製品に関連して、申立人は以下の役務も提供している。
ア Apple Store コールセンター(甲5)
申立人の商品やサービスについて、「Apple Store コールセンター」の表示の下に専任コンサルタントが顧客からの問い合わせに対応している。
イ Appleリサイクルセンター(甲6)
申立人は、「iPhone/iPod/Apple Watch」を回収し、再資源化するプログラムを行っており、「Appleリサイクルセンター」の表示の下に、これに関する顧客からの問い合わせに対応している。
ウ Appleコンタクトセンター(甲7)
申立人は、「Appleコンタクトセンター」の表示の下、自社製品を返品する場合の窓口を設けて対応している。
エ iPhone修理サービスQ&Aセンター
甲第8号証には、申立人の製品「iPhone」について「iPhone修理サービスQ&Aセンター」の表示の下、修理に出す方法など、修理に関するサービスが説明されている。
オ Appleリペアセンター
甲第8号証には、その場で対応できない精密な調整が必要となる修理内容の場合に「Appleリペアセンター」に送って修理することが説明されている。
このように申立人は、「Apple」の文字と内容に合わせた「〇〇〇センター」の文字を組み合わせたサービスを多く展開している。
(2)混同の判断について
本件商標「Apple Assist Center」はその構成中に申立人の著名商標「APPLE」の文字を有しており、本件商標中の「Apple」の語は既成語の一部とはなっていない。
また、本件商標「Apple Assist Center」中の「Assist Center」は「支援センター」のような意味合いで容易に理解される語であることに加え、語頭に申立人の著名商標「APPLE」を置くことによって、本件商標の全体から「アップル社製品の支援センター」のような意味合いを想起させ、申立人のアフターケアサービスの一つであるが如き印象を与える。事実、本件商標の指定役務は、支援を行うための直接的な役務や会議室等のスペースの貸与を行うもので、「Assist Center」の語が記述的であることは明らかである。
さらに、本件商標権者はウェブサイトにおいて、申立人のロゴとして周知であるリンゴ図形と似通ったリンゴ図形を本件商標と併せることで、より申立人との関連性を想起させる態様となっている。
よって、本件商標権者は、申立人の著名商標にすり寄った商標を採択しており、出所の混同が生じるおそれ、申立人から公認を受けているとの誤認、あるいは、著名商標「APPLE」の希釈化汚染化か生じるおそれがあるといわざるを得ない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 当審の判断
(1)申立人の商標の周知著名性について
申立人の提出した証拠及び主張によれば、申立人の社名に由来する商標「APPLE」(以下「引用商標」という。)は、我が国において商標登録されており(甲4)、また、申立人は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、デジタルオーディオプレーヤー、タブレット型コンピュータ、腕時計型携帯情報端末等の製造、販売などを主な業務とする企業であって、引用商標は、パーソナルコンピュータをはじめ、その関連商品の分野において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されているといい得るものである。
しかしながら、引用商標は、主としてパーソナルコンピュータ及びその関連する商品に使用されていることは、需要者の間に知られているとしても、申立人の提出した証拠は、「世界で最も価値あるブランド、アップルが7年連続トップ」の見出しのウェブサイトの記事(甲2)及び申立人の製造、販売するパーソナルコンピュータ及びその関連する商品を紹介している申立人のウェブサイト(甲3)であり、これらの証拠からは、引用商標が、パーソナルコンピュータ及びその関連する商品以外の商品又は役務について、広く使用されている事実が確認できない。
そうすると、引用商標は、申立人の業務に係る商標として、パーソナルコンピュータ及びその関連商品を取り扱う分野を超えて、本件商標の指定役務の分野の需要者にまで、広く知られているとは認め難いものである。
(2)本件商標と引用商標との類似性について
ア 本件商標について
本件商標は、前記1のとおり、「Apple Assist Center」の欧文字を表してなるところ、該文字は、同じ書体でまとまりよく表されており、その構成文字全体から生じる「アップルアシストセンター」の称呼も格別冗長というべきものではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標中の「Apple」の文字部分は、「リンゴ」の意味を有し、「Assist」の文字部分は、「援助する」等の意味を有し、「Center」の文字部分は、「総合施設、センター」の意味を有する語(いずれも「小学館ランダムハウス英和大辞典第2版」株式会社小学館)であるとしても、本件商標全体としては、具体的な意味合いを認識させるものとはいい難いことから、これに接する需要者は、本件商標の構成文字全体をもって、特定の意味合いを想起させることのない一体不可分の一種の造語を表したものと理解するというのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字に相応して、「アップルアシストセンター」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標について
引用商標は、「APPLE」の文字を横書きしてなるところ、該文字に相応して「アップル」の称呼を生じ、また、引用商標に接する需要者は、パーソナルコンピュータ及びその関連商品を取り扱う分野において周知、著名な申立人のブランドとしての「APPLE」の観念を想起するものとみるのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の類否について検討するに、本件商標と引用商標とは、外観においては、上記ア及びイの構成からなるところ、その全体の構成において、「Assist Center」の文字の有無という顕著な差異を有するものであるから、両者は、外観上、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、両者は、その構成音、音数などが明らかに相違するものであるから、称呼上、明確に聴別できるものである。
そして、観念においては、本件商標は、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は、「APPLE」(申立人のブランド)の観念を生じるものであるから、両者は、観念上、類似しないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点からみても十分に区別することができる非類似の商標というべきである。
(3)出所の混同のおそれについて
引用商標は、前記(1)のとおり、本件商標の指定役務の分野の需要者にまで、広く知られているとは認め難いものであり、また、上記(2)のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標である。
そして、申立人の提出した証拠からは、具体的な申立人の多角経営の実態や可能性を見いだすことができず、また、本件商標の指定役務と引用商標に係る商品及び役務との関連性及び需要者の共通性を有することを示す証拠の提出もない。
してみれば、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標を想起、連想することはないといえるから、該役務が申立人又は同人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る役務であるかのように、その役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)申立人の主張について
申立人は、「本件商標『Apple Assist Center』中の『Assist Center』は『支援センター』のような意味合いで容易に理解される語であることに加え、語頭にアップル社の著名商標『APPLE』を置くことによって、本件商標の全体から『アップル社製品の支援センター』のような意味合いを想起させ、アップル社のアフターケアサービスの一つであるが如き印象を与える。事実、本件商標の指定役務は、支援を行うための直接的な役務や会議室等のスペースの貸与を行うもので、『Assist Center』の語が記述的であることは明らかである。」旨の主張をしている。
しかしながら、本件商標中の「Assist Center」の文字部分は、「支援センター」程の意味合いが理解されるとしても、その意味合いは漠然としており、何を支援するのか判然とせず、その指定役務との関係からは、役務の質等を具体的に表す語とはいえないものであり、また、該「Assist Center」の語が、その指定役務との関係において、記述的であることを裏付ける証拠の提出もない。
そして、申立人が、「支援センター」の意味合いで「Assist Center」の語を使用している実態もないことからすれば、申立人と「Assist Center」の語の関連性も見いだせず、また、前記(1)のとおり、引用商標である「APPLE」の文字が、申立人の業務に係る商標として、本件商標の指定役務の分野の需要者にまで広く知られているとは認められないことも併せ考えれば、本件商標からは、直ちに「アップル社製品の支援センター」の意味合いを想起させるとはいえないものである。
してみれば、本件商標をその指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者をして、申立人の業務との関連性を想起するようなことはないというべきである。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-10-20 
出願番号 商願2016-79156(T2016-79156) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W353643)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 山田 正樹
特許庁審判官 木住野 勝也
榎本 政実
登録日 2017-02-17 
登録番号 商標登録第5923763号(T5923763) 
権利者 株式会社ファイナンシャルサロン
商標の称呼 アップルアシストセンター、アップルアシスト、アップル、アシスト 
代理人 特許業務法人大島・西村・宮永商標特許事務所 

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