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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W10
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない W10
管理番号 1334527 
審判番号 不服2016-18930 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-12-16 
確定日 2017-11-06 
事件の表示 商願2015-125551拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「モバイルマッサージ」の片仮名を標準文字で表してなり、第10類「低周波治療器、医療用機械器具、家庭用電気マッサージ器、業務用美容マッサージ器」を指定商品として、平成27年12月21日に登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『モバイルマッサージ』の文字を標準文字で表してなるところ、構成前半の『モバイル』の文字は、「『動かしやすい』『移動できる』の意。軽量化や無線通信機能の装備によって機器を自由な場所で利用できること。」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版)を意味し、「マッサージ」の文字は、本願の指定商品との関係において、「マッサージ器」を把握、理解させ、本願商標全体としては、「動かしやすい(持ち運びのできる)マッサ-ジ器」程の意味合いを容易に把握、理解させるものである。そうすると、本願商標をその指定商品中、例えば「家庭用電気マッサージ器」について使用しても、本願商標に接する取引者、需要者は、「持ち運びのできる家庭用電気マッサージ器」程の意味合いを認識するにとどまり、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品識別機能を果たさないものと言わなければならない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「モバイルマッサージ」の片仮名を標準文字で表してなるところ、その構成全体が一連で辞書類に掲載されている語句であるとは認められないものの、構成中の「マッサージ」の文字は、「手または特殊な器械を用いて体を擦り、揉み、叩きなどして行う治療法。血行をよくし、疲労を去り、筋肉の機能を高め、緊張をほぐすのに効がある。美容のためにも行う。」(別掲3参照)の意味を有する既成の語であり、一般に広く親しまれている語であることから、一見して「モバイル」及び「マッサージ」の各語を一連に結合したものと容易に把握されるものである。
そして、本願商標の構成中の「モバイル」の文字は、「『動かしやすい』『移動できる』の意。軽量化や無線通信機能の装備によって機器を自由な場所で利用できること。」の意味を有し、「可動性」、「移動性」及び「持ち運べる」の意味で複合語をつくる語である(別掲1参照)。
また、本願の指定商品を取り扱う分野において、「モバイル」の語は、「移動できる」又は「持ち運べる」を表す語として取引上普通に使用されていることが認められる(別掲2参照)。
さらに、本願の指定商品を取り扱う分野において、「持ち運べるマッサージ機(器)」の意味合いで「モバイルマッサージ機(器)」の文字が使用されている実情がある(別掲4参照)。
してみれば、「モバイルマッサージ」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品中「低周波治療器、医療用機械器具、家庭用電気マッサージ器、業務用美容マッサージ器」に使用した場合は、これに接する取引者、需要者に「移動できる又は持ち運べる、マッサージ用の又はマッサージ機能を有する商品」であることを表すものと理解、認識させるにとどまり、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、その指定商品中、「移動できる又は持ち運べるマッサージ用の又はマッサージ機能を有する機器」以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、(a)本願商標が「モバイル」及び「マッサージ」の語で構成される点については認めるものの、「モバイル」の語は、スマートフォンやタブレットコンピューター等の無線通信機能を有する商品やそれに関連する商品・役務に広く一般的に使用されている語といえる一方で、それ以外の商品についてはほとんど使用されておらず、また、(b)「マッサージ」の語は、マッサージ用の商品及びマッサージ機能を有する商品の意味合いを直ちに認識、理解できるものではないことから、(c)本願商標全体から、原査定で認定されている「持ち運べるマッサージ器」程の具体的な意味合いを直ちに認識することはできない、さらに(d)「モバイルマッサージ」の語を本願の指定商品の分野で使用しているのは出願人のみであり、本願商標は自他商品識別力を発揮する旨主張する。
しかしながら、本願商標の構成中の「モバイル」及び「マッサージ」の文字に複数の意味合いがあり、また、「モバイル」の語がその指定商品の分野においてさほど使用されていないとしても、該語の普及度からすれば、取引者、需要者が上記(1)のとおり、「移動できる又は持ち運べる、マッサージ用の又はマッサージ機能を有する商品」を認識する場合があることを否定されるものではない。
イ また、当審において行った平成29年5月18日付け証拠調べ通知に対し、請求人は、平成29年6月28日付け意見書を提出し、上記アのほか、証拠調べ通知書によって示された「モバイルマッサージ機(器)」の文字が「持ち運べるマッサージ機(器)」として使用されている事実がたった2件であり、「持ち運べるマッサージ機(器)」の意味合いを直接的かつ具体的に表すものではない旨主張する。
しかしながら、たとえ、「モバイルマッサージ」の文字が本願の指定商品の品質を表すものとして実際に使用されていないとしても、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあっては、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録をうけることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁平成12年(行ケ)76号 同年9月4日判決参照)から、「モバイルマッサージ」の文字が、本願の指定商品を取り扱う業界において、商品の品質を表示するものとして、実際に使用されている事実が存在していないとしても、取引者、需要者によって、当該商品の品質を一般に認識する場合には、本願商標が商品の品質を表示するものとであると認定、判断することは許されるというべきである。
ウ さらに、請求人は、過去の登録例を挙げ、本願商標も登録されるべき旨主張している。
しかしながら、商標が識別力を有するか否かの判断は、登録査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準として商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、請求人があげた登録例は、いずれも本願商標とは構成等を異にし、かつ、本件の審決時における取引の実情は上記のとおりであるから、請求人の主張は採用できない。
エ したがって、上記アないしウのとおり、請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(平成29年5月19日付け証拠調べ通知書で示した事実)
1 「モバイル」の意味
(1)「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)において、「『動かしやすい』『移動できる』の意。軽量化や無線通信機能の装備によって機器を自由な場所で利用できること。」との記載がある。
(2)「コンサイスカタカナ語辞典第4版」(株式会社三省堂発行)において、「1 『可動性,移動性,持ち運べる』の意味で複合語をつくる。 2 小型パソコンやPDAなど持ち運び可能な情報機器。」との記載がある。
2 本願の指定商品を取り扱う分野における「モバイル」の用例(下線は、当合議体が付加。以下同じ。)
(1)「livedoorNEWS」のウェブサイトにおいて、2016年2月15日付けで「スマホの健康被害『肩こり』も『冷え症』も移動中に治す?モバイルできる低周波治療器がスゴい」の見出しの下、「最新のマッサージ機器は、『叩く』『揉む』『暖め』から『低周波マッサージ』までができる機器もある。便利になったマッサージ機器だが、ひとつ不満があった。電源コンセントがないと使えないモデルが多いという点だ。そんな問題を解決してくれるのが、バッテリーで使えるオムロンの『温熱低周波治療器』だ。発売は2月15日予定となっている。今後、低周波マッサージもモバイル時代となるのかもしれない。●温熱低周波治療器はバッテリー搭載 オムロンの『温熱低周波治療器』は、バッテリーを搭載しているため、いつでもどこでもマッサージができるのだ。」との記載がある。
(http://news.livedoor.com/article/detail/11182132/)
(2)「あおぞら整骨院」のウェブサイトにおいて、「診療ガイド 院内設備」の項目中に、「痛めた体をすばやく・やさしく治す。機動力抜群のモバイル低周波治療器『サイバー9000』」の見出しの下、「スキャン機能で患部の損傷状態を察知し、一人ひとり異なる症状に合わせて、きめ細かい治療ができる小型軽量・高性能のマシンで、鎮痛・鎮静作用には抜群の効果を発揮します。バッテリー搭載により、院外でもコードレス使用ができるため、往診時やスポーツ競技場など、現場での治療に威力を発揮。」との記載がある。
(http://aozora-seikotsu.com/cgi-local/aozora/siteup.cgi?category=2&page=4)
(3)「VITALSTIM」のウェブサイトにおいて、「製品案内」の項目中に、「バイタルスティム」の見出しの下、「電気治療器 バイタルスティム モバイル 5900 認証番号:226AIBZX00065000」及び「VitalStim療法-低周波を利用した筋萎縮改善法 神経筋電気刺激装置(NMES)は脚部や腕部などの大きな筋肉群のリハビリテーションでその効果が実証されいますが、バイタルスティムはこの同様の効果を得るために、厳密にキャルブレーションされた微弱電流が特殊専用電極を通じ筋肉群の運動神経を刺激します。4Ch仕様のインテレクト バイタルスティム 5951と、2CH仕様のモバイルタイプがあります。」との記載がある。
(http://www.irc-web.co.jp/intelect_vitalstim/)
(4)「DIETguide」のウェブサイトにおいて、「美容グッズ」の項目中に、2012年8月1日付けで「ビックカメラ Big beauty モバイル美容家電『モバ美ランキング』-ノンストップ!」の見出しの下、「モバ美(ビュー)とは、モバイル美容家電の略。会社や旅行先など、いつでも持ち運びができ外出先で使える手軽さが人気。」及び「プラチナイオンミスト GLALENT ランキング 第2位 毎秒16万6000回の超音波振動による微粒子ミストが、肌の奥まで潤いを与えるモバイル美顔器。」との記載がある。
(http://dietguide1.blog.fc2.com/blog-entry-154.html)
(5)2011年6月22日付け「静岡新聞」(夕刊4頁)に、「美容家電もモバイルに-小さくても高機能」の見出しの下、「帰宅後の就寝前が定番だった女性の肌のお手入れが、いつでもどこでもできる 『モバイル美容家電(モバ美)』が続々登場、人気を集めている。ミストや肌マッサージ、へアアイロンなどこれまで自宅でしか使えなかった美容機器が、通勤バッグに収まるコンパクトサイズに縮小。エステ機器顔負けの高機能も備え、忙しい女性の肌ケアの味方となっている。・・・『高速タッピング』で顔の『深層表情筋』にまで刺激を与える美顔マッサージ器『フェイササイズアップ』はエステティシャンのようなマッサージを再現。このほか、脱毛器やヘアアイロン、まつげカーラーなどすべて手のひらサイズの『高性能家電』ばかり。」との記載がある。
(6)「YAHOO!JAPANショッピング」のウェブサイトにおいて、「血圧計」の項目中に、「【お取り寄せ】シチズン CH-657F-BK 手首式血圧計『スタイリッシュブラック』」の見出しの下、「好評のシチズン手首式血圧計に新ラインナップが登場。アクティブでスタイリッシュ、モバイル血圧計。」との記載がある。
(http://store.shopping.yahoo.co.jp/y-sofmap/4562191601740.html)
(7)「AS ONE」のウェブサイトにおいて、「ウェルチ・アレン 0-8223-23 スポットバイタルサイン[自動電子血圧計] 4700-60 スポット用モバイルスタンド」の見出しの下、「特徴」として、「自動血圧・脈拍・SpO2・体温が短時間(約30秒)で一度に測定できます。自動血圧測定は、信頼性の高いオシロメトリック法を採用しています。軽量で携帯可能なコンパクトデザインです。専用モバイルスタンド(別売)で容易に移動できます。」及び「仕様」として、「スポット用モバイルスタンド」との記載がある。
(https://axel.as-1.co.jp/asone/d/0-8223-23/)
(8)「PULSE」のウェブサイトにおいて、「ライフスタイル」の項目中に、2016年8月21日付けで「防げ!心停止による突然死。モバイルAEDが発売に」の見出しの下、「AED(Automated External Defibrillator: 自動体外式除細動器。突然心臓が正常に拍動できなくなった心停止状態の心臓に対して、電気ショックを行い、心臓を正常なリズムに戻すための医療機器)も、モバイル化の時代へ突入か!?・・・ということで、以前『発売間近』とレポートした持ち運びができるAED『レスキューハート HDF-3500』(オムロン)が、ついに販売を開始した。」との記載がある。
(https://pulse-beat.com/articles/RjXEZ)
3 「マッサージ」の意味
「広辞苑第六版」(株式会社岩波書店発行)において、「手または特殊な器械を用いて体を擦り、揉み、叩きなどして行う治療法。血行をよくし、疲労を去り、筋肉の機能を高め、緊張をほぐすのに効がある。美容のためにも行う。」との記載がある。
4 本願の指定商品を取り扱う分野における「モバイルマッサージ機(器)」の用例
(1)「家電Watch」のウェブサイトにおいて、2012年1月23日付けで「アテックス、コンパクトで持ち歩ける“モバイルマッサージ機”」の見出しの下、「アテックスは、コンパクトで持ち歩ける小型マッサージ機『ルルド ブルライト』を2月1日より発売する。希望小売価格はオープンプライス。店頭予想価格は1,200円。バイブレーションで、足や肩・首などをほぐすマッサージ機。場所を選ばずに、持ち歩いて使えるように本体サイズをコンパクトにした点が特徴。本体裏面には23個の突起が設けられた『ぐぐっとプレート』を搭載しており、振動を効果的に身体に伝えるという。」との記載がある。
(http://kaden.watch.impress.co.jp/docs/news/506750.html)
(2)「DIGIMONO!byデジモノステーション」のウェブサイトにおいて、2015年12月10日付けで「仮想と現実をつなぐ驚きの技術が勢揃い!『SIGGRAGH ASIA 2015』のポイントまとめ」の見出しの下、「触感の再現はいろいろニーズがあって、人の手や指の動きを再現したモバイルマッサージ器も開発されています。」との記載がある。 (https://www.digimonostation.jp/0000048754/)


審理終結日 2017-09-04 
結審通知日 2017-09-08 
審決日 2017-09-20 
出願番号 商願2015-125551(T2015-125551) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (W10)
T 1 8・ 272- Z (W10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 矢澤 一幸 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 網谷 麻里子
酒井 福造
商標の称呼 モバイルマッサージ、モバイル 
代理人 野村 慎一 
代理人 藤本 昇 
代理人 田中 成幸 
代理人 白井 里央子 

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