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審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効としない W09
審判 全部無効 観念類似 無効としない W09
審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効としない W09
審判 全部無効 称呼類似 無効としない W09
管理番号 1334467 
審判番号 無効2016-890056 
総通号数 216 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2017-12-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2016-09-21 
確定日 2017-10-13 
事件の表示 上記当事者間の登録第5828533号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5828533号商標(以下「本件商標」という。)は、「Opera Ringtone」の文字を標準文字により表してなり、平成27年8月28日登録出願、第9類「コンピュータアプリケーションソフトウェア,スマートフォン用コンピュータアプリケーションソフトウェア,携帯電話機用コンピュータアプリケーションソフトウェア,電子計算機用プログラム,ダウンロード可能な電子計算機用プログラム,オペレーティングシステム用の電子計算機用プログラム,スマートフォン及びタブレット型コンピュータ用コンピュータアプリケーションソフトウェア,コンピュータ,コンピュータソフトウェア,スマートフォン,携帯用通信機械器具,電話の受話器,トランシーバー,衛星電話機,携帯情報端末装置,音響又は映像の記録用・送信用又は再生用の機械器具,テレビジョン受信機,ウェアラブルスマートフォン,携帯電話機用ケース,ポータブルスピーカー,携帯型携帯電話機用充電器,イヤフォン,ワイヤレスヘッドフォン,ワイヤレスヘッドセット,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,充電器,コンポーネント型ステレオ」を指定商品として、同28年1月12日に登録査定、同年2月19日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由について、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するとして引用する商標は、以下の登録商標(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)であって、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第2724326号商標(以下「引用商標1」という。)は、「OPERA」の欧文字を書してなり、平成3年11月25日登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同11年6月4日に設定登録され、その後、同21年6月16日に存続期間の更新登録がされ、さらに、同22年8月11日に、その指定商品を第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機,家庭用食器洗浄機,家庭用電気式ワックス磨き機,家庭用電気洗濯機,家庭用電気掃除機,電気ミキサー,電機ブラシ」、第9類「コンピュータ用ブラウザソフトウェア,その他のコンピュータ用ソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,磁心,抵抗線,電極」、第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」の他、第8類、第10類、第11類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品とする指定商品の書換登録がされたものである。
2 国際登録第1028174号商標(以下「引用商標2」という。)は、「OPERA」の欧文字を書してなり、2009年9月3日にNorwayにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、同年(平成21年)9月23日に国際商標登録出願、第9類「Computers; software, inter alia, software for global networks and other networks, presentation software, browser software, mobile phones, USB modems.」、第35類「Advertising, advertising agencies, inter alia, distribution of samples, publication of publicity texts, rental of advertising space, systemization and compilation of information into computer databases, compilation of advertising for use on websites; retail services or wholesale services, including online retail services or wholesale services, for computer software and software for mobile phones.」の他、第38類、第42類及び第45類に属する国際商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成23年8月19日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標はその登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第22号証(枝番を含む。)を提出した。なお、証拠において、全ての枝番を示す場合は、以下、枝番を省略する。
1 本件商標を無効とすべき理由
(1)請求人と商標「OPERA」について
請求人は、ノルウェー国オスロに本社を置くソフトウェア開発企業である(甲3の1、甲4)。
請求人は、ウェブブラウザ「OPERA」の開発・発売元として日本及び世界各国で知られており、同アプリケーションソフトウェアは、1996年に一般公開され、日本では、2002年に公開されている。同ソフトウェアは、その後、ニンテンドーDSやWii等のゲーム機のウェブブラウザとして採用され、現在までにパソコンやスマートフォン、タブレットコンピュータ等に広く提供されている(甲5)。世界で使用されているウェブブラウザとして、「OPERA」は、「Google Chrome」「Internet Explorer」「Mozilla Firefox」「Apple Safari」と共にその名を知られており、現在のシェアは、高くないものの(甲6)、一時はその機能性や動作速度、セキュリティの高さから「OPERA最強伝説」の言葉が生まれたこともあり(甲7)、他のブラウザでは飽き足りない熱烈なファンを獲得した(甲3の5)。
また、「OPERA」については、様々な辞典に記載がみられる。例えば、知恵蔵2015((株)朝日新聞出版)の「Opera」の項では、「ノルウェーのOpera Softwareが開発したタブブラウザーの名称。同社は1995年設立のブラウザー専業メーカーで、パソコン向けブラウザーを無償で配布する一方、携帯電話機や家電製品向けのブラウザーをメーカーに提供することで収益を得ている(以下略)」とある。また、ASCII.jpデジタル用語辞典には、「ノルウェーのオペラ・ソフトウェア社が開発した、タブ機能を搭載したWebブラウザー(以下略)」と紹介されている(甲8)。
現在、請求人は、本国ノルウェーの他、スウェーデン、米国、ロシア、中国、韓国、シンガポール、日本等11か国に支社を置いている(甲3の2)。請求人ウェブサイトの日本語版を見ると、ウィンドウズPC向けブラウザ「OPERA」、各種スマートフォン用ブラウザ「OPERA MINI」、iPhone用ブラウザ「OPERA COAST」、データ圧縮用のアプリケーションソフトウェア「OPERA MAX」等が紹介され、提供されている(甲3の3)。世界で3億5000万人以上のインターネットユーザーが請求人の製品を使用しており、また、請求人は、世界120社以上の携帯電話事業者に製品とサービスを提供している(甲3の1)。さらに、請求人の関連会社として、米国に本拠を置くオペラ・メディアワークス社があり、モバイル広告やマーケティングリサーチ等のサービスを行っている(甲3の4)。なお、上記当該社の商標「OPERA MEDIAWORKS」は、日本でも登録されている。
請求人は、創業以来、自らの製品名の全部又は一部に「OPERA」の語を用いてきており、また、「OPERA」は、ソフトウェア開発企業である請求人の名称の要部ともいうべき部分である。なお、2015年9月には、ブランド・アイデンティティーの再構築を発表し、企業ロゴを「Opera Software」から、よりシンプルな「Opera」に変更している(甲3の1及び甲4の2)。
ブラウザ「OPERA」等が提供され、世界中で使用されてきた結果、コンピュータ用ブラウザソフトウェア等のコンピュータソフトウェア商品やコンピュータソフトウェアの設計や開発、保守等の役務に係るIT分野を中心として、請求人の商標「OPERA」は、日本及び外国の需要者に広く認識されている。
(2)商標の類似について
ア 本件商標
本件商標は、「Opera Ringtone」の欧文字を標準文字にて書してなる商標であり、第9類「コンピュータアプリケーションソフトウェア,スマートフォン用コンピュータアプリケーションソフトウェア」等を指定している(甲1)。
本件商標は、その構成から、「Opera」と「Ringtone」の二語よりなるものと自然に理解される。前半の「Opera」からは、一般に「歌劇(オペラ)、歌唱を中心にして演じられる音楽劇」(甲9)、後半の「Ringtone」からは、「着信音、着信メロディー」(甲10)の意味が生じ得るものの、両語を合わせて特定の具体的意味を有するとはいえず、必ずしも常に一体で把握されるべきものでもない。
そこで、後半部の「Ringtone」(音訳「リングトーン」)に着目すると、これは、先述のとおり「着信音、着信メロディー」を意味する言葉として理解されている。ちなみに、検索エンジンGoogleで「リングトーン」を検索すると延べ約18万件が抽出される(甲11)。各サイトの内容を確認すると、着信音を作るソフトウェアの名前が「Ringtone Maker(リングトーンメーカー)」であったり、「LINE MUSIC収録曲から好みの楽曲をLINE無料通話の着信音に設定できる『リングトーン』サービスを開始」「TUNECOREJAPAN、iTunes Storeにリングトーン提供開始」といった用語の使用例が見られる(甲12)。
なお、「着ムービー」という登録出願商標(第9類の商品等)について識別力を判断した審決があって(甲13)、これを指定商品中「携帯電話機,ダウンロード可能な動画」に使用するときは、単に商品の品質・機能等を表示するにすぎない、とのことである。
そこで、本件商標の「Ringtone」部分について考えると、「着信音、着信メロディー」は、上記「着ムービー」と同様に、通話やメールの着信をユーザーに知らせるために使用されるものである(「携帯電話が、電話や電子メールを着信した時に音声が流れること」と理解される)。よって、用語「Ringtone」は、着信を音で知らせる機能を有する指定商品「スマートフォン,携帯用通信機械器具,トランシーバー,衛星電話機,ウェアラブルスマートフォン」等との関係では、商品の品質・機能等を表示するにすぎず、識別力が弱いといえる。また、好みの着信音を作ることができるコンピュータソフトウェアの存在があるため(甲9)、「Ringtone」は、そのような性質の「コンピュータアプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能な電子計算機用プログラム」等との関係でも、商品の品質・機能等を表示する識別力の弱い部分となる。
一方、「Opera」部分については、本件商標に係る指定商品との関係で特に記述的ではなく、識別力が弱いということはない。加えて、(1)で述べたような「OPERA」の周知性を考慮すると、本件商標中の「Opera」は、請求人に係る商品役務を示すものとして指標性を発揮する可能性がある。そのため、本件商標は、その前半部分と後半部分とで識別力に軽重があるといえる。
したがって、本件商標は、その商標全体の他、「Opera」部分も単独で商標として機能するものである。
イ 引用商標
引用商標1は、「OPERA」の欧文字を太字のゴシック体様の書体で横書きした商標であり、第9類「コンピュータ用ブラウザソフトウェア,その他のコンピュータ用ソフトウェア,電気通信機械器具」等を指定している。そして、平成3年11月25日に登録出願され、同11年6月4日に登録されている(甲2の1)。
引用商標2は、「OPERA」の欧文字を書した商標であり、第9類(Computers; software,inter alia,software for global networks and other networks」等を指定している。国際登録日は、平成21年9月23日であり、同23年8月19日に国内登録されている(甲2の2)。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標については、商標全体より「オペラリングトーン」、要部といえる前半部より「オペラ」の称呼が生じる。そして、引用商標は、その構成文字から、「オペラ」の称呼が自然に生じる。よって本件商標と引用商標とは、「オペラ」の称呼を共通にする商標といえる。
観念に関しては、本件商標の全体からは、「歌劇」と「着信音」のような意味合いが理解されるものの、両者合わせての具体的な意味は生じない。要部といえる前半部「Opera」よりは、「歌劇」の観念が生じる。同様に、引用商標からも、「歌劇」の観念が生じる。そのため、本件商標と引用商標とは、観念を共通にする商標といえる。
外観に関しては、本件商標の要部といえる前半部「Opera」と引用商標「OPERA」は、構成文字が同一である。
したがって、本件商標の前半部「Opera」と引用商標を比較すると、これらは構成文字が同一であって称呼と観念を共通にしている。これより、本件商標と引用商標は、互いに類似する商標である。
エ 特許庁における過去の判断
「OPERA」や「Opera」の欧文字を含む過去の登録出願商標を確認したところ、引用商標が引用され、商標法第4条第1項第11号を理由として拒絶査定確定となった「XMLOPERA」及び「OPERA/JAPAN」が見受けられた。
これらの登録出願商標は、「OPERA」以外の部分「XML」や「JAPAN」が指定商品役務について識別力が弱いといえるものであり、その点について本件商標と共通する。これより、本件商標についても、上記過去の登録出願商標と同じ基準での類否判断がなされるべきである。
(3)出所混同の可能性について
引用商標は、上記(1)で述べたとおり、特にIT分野の商品役務に関して周知である(甲8等)。また、請求人は、「OPERA」の他、「OPERA MINI」、「OPERA COAST」、「OPERA MAX」、「OPERA MAIL」といった「OPERA・・・」というタイプのネーミングの商品を生み出している(甲14)。さらに、モバイル広告やマーケティングリサーチのサービスを行っている関連企業の名称は、オペラ・メディアワークス社であって、同社の名前は、日本でも市場調査レポートなどで見ることができる(甲15)。
一方、本件商標は、その前半部に「Opera」の文字を含んでいるのに加え、第9類「コンピュータアプリケーションソフトウェア,スマートフォン用コンピュータアプリケーションソフトウェア」等を指定商品としている(甲1)。
引用商標が周知であって、請求人が「OPERA・・・」という名前の商品群をリリースしてきた状況などに鑑みると、本件商標に接した需要者が、同商標が使用された商品を「OPERA」に関連するシリーズ商品であるとか、請求人と何らかの関連を有する企業による商品であると誤認するおそれがある。
これより、本件商標は、引用商標との関係で、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれのある商標である。
(4)商品の類似について
本件商標の指定商品は、上記第1に記載のとおりの第9類に属する商品である(甲1)。
そして、これらの指定商品は、引用商標1に係る指定商品中の第7類「起動器,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),交流発電機,直流発電機」、第9類「コンピュータ用ブラウザソフトウェア,その他のコンピュータ用ソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電気通信機械器具」、第12類「陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)」(甲2の1)及び引用商標2に係る指定商品及び指定役務中の第9類「Computers;software,inter alia,software for global networks and other networks,presentation software,browser software,mobile phones,USB modems」、及び第35類「retail services or wholesale services,including online retail services or wholesale services,for computer software and software for mobile phones」(甲2の2)と同一又は類似である。
2 答弁に対する弁駁及び上申
(1)引用商標の周知・著名性の欠如の主張について
ア 被請求人は「問題のウェブサイトは、本件商標が出願された平成27年8月28日からおよそ一年後の平成28年8月29日又は同月31日に打ち出されたものであるから本件商標が出願された当時の引用商標の周知・著名性を立証できない」と主張する。
しかし、甲第3号証の5、甲第5号証ないし甲第8号証で示された記事や辞書の記載については、打ち出し日ではなく記事や辞書の記載自体の(公開)日付を見るべきであって、多くは本件商標の出願日より前に公開された情報である。例えば、甲第8号証の「ASCII.jpデジタル用語辞典」の「Opera」の項目の最新編集は2010年4月16日(甲16)、「知恵蔵2015」の同項目は2008年に書かれ、2015年度版に掲載されている。「IT用語辞典」の同項目も2005年10月8日に掲載されたものである。また、提出した証拠のうち日付が判明した甲第5号証中の「Operaの使い方ガイド38記事」及び甲第7号証の2中の「ノティーツアコンビニエンテ」について資料を提出する(甲17)。
イ 甲第18号証について
甲第18号証は請求人の提供するソフトウェア商品のアクティベーション数とユーザー数に関する情報である。「アクティベーション」は「ソフトウェアをインストールした後、正規のライセンスを保持していることを確認するために行われる認証処理」、つまりソフトウェア商品を利用可能な状態にすることを意味する。請求人のダウンロード可能なソフトウェア商品は広くインターネット経由で頒布されているところ、このアクティベーション数により、一定期間に頒布されて使用開始がなされた同社ソフトウェア商品の数や同商品の新規の初回ユーザーが何人いるのかを把握することができる。
甲第18号証の1頁目によれば、2014年?2015年の期間には、請求人ソフトウェア商品全体について毎月1億3000万件前後のアクティベーションが行われたことが分かり、本件商標が出願された2015年8月には、全世界で1億4225万件余りのアクティベーション数が記録されている。さらに、月毎のユーザー数は、2014年?2015年の期間には、請求人ソフトウェア商品全体について毎月3億2000万人前後のユーザーがいたことが分かり、本件商標が出願された2015年8月には、全世界で約3億4397万人のユーザー数が記録されている。
甲第18号証の2頁目以降には、請求人の各種ソフトウェア商品に関する月毎アクティベーション数と月毎ユーザー数が全世界と国毎に分けて示されている。例えば、「Opera Mini」(欧州での限定リリースを経て2006年1月に全世界にリリースされたウェブブラウザ用ソフトウェア)という商品については、2015年8月に全世界において約1億1519万のアクティベーション、日本において10万件余りのアクティベーションが、ユーザー数については、全世界でのユーザーは2億6434万人余りが記録されている。
ウ 甲第19号証について
甲第19号証は請求人の収益に係る顧客のリスト(2014年?2015年)である。
「Revenue Customers」(請求人に収益をもたらした顧客)の列には、請求人のソフトウェア商品に関して支払を行ったか又は請求人のソフトウェア商品中に広告を入れることに関し支払を行った(広告料を払った)顧客が示されている。また、「Distribution Partners」の列には、請求人の提供するソフトウェア商品を搭載した製品を提供する企業が示されている。これらの企業は請求人提供のソフトウェア商品を頒布するライセンスを請求人から受けている。
請求人に収益をもたらした顧客には、例えば、日本企業としてはKDDI、楽天各社、シャープ、ソニー、パナソニック等が、日本以外の企業としてはアマゾン各社、AT&Tモビリティ、Facebook、eBay各社、グーグル、マイクロソフト・モバイル、Yahoo各社、モトローラ・モビリティ、サムスン、ノキア、ファーウェイ・デバイス、フィリップス各社、Twitter各社、タイム・ワーナー・ケーブル、クアルコム、ボーダフォン各社、バング&オルフセン、Booking.com等が名を連ねている。
また、請求人商品を搭載した製品を提供する企業には、例えば、日本企業としてはソニー・モバイル・コミュニケーションズ、パナソニック・モバイル・コミュニケーションズ等が、日本以外の企業としては、ファーウェイ・デバイス、ノキア、HTC、サムスン・テレコム・ネットワーク等がある。
エ 甲第20号証ないし甲第22号証について
甲第20号証は請求人企業のコミュニケーション・マネージャによる、請求人に係る商品やサービスに関するブログ(日本のユーザー向け)の打ち出しである。同ブログでは、日本のユーザーに向けて、請求人提供の各種ソフトウェア商品の便利な使い方に関するアドバイス等が掲載されている。
甲第21号証は2014年?2015年の日本のユーザー向けの請求人ソフトウェアダウンロード用サイトのイメージ画像である(2015年8月30日と同年11月17日時点)。
甲第22号証は請求人のソフトウェア商品に関するインターネット上の記事類(2014年以前のもの)の打ち出しである。
(2)本件商標と引用商標の非類似の主張について
被請求人は、本件商標について、「Opera」のみをもって称呼・観念されることはないとして両商標は非類似との結論を導き、それを主張している。
しかし、本件商標に含まれる「Ringtone」は、被請求人が「着信音、着信メロディー」を意味すると認めているとおりである。答弁書では「Ringtone」は直ちに具体的な商品の性質及び機能等を表示するものではないと主張しているが、用語「Ringtone」は、指定商品「スマートフォン、携帯用通信機械器具、トランシーバー」等との関係では、これらの商品にとって電話や電子メールの着信を知らせる機能は必須の機能であり、「Ringtone」は同機能をそのまま表現する言葉であることから、単に商品の機能等を表示するに過ぎない用語である。したがって、本件商標を構成する「Opera」と「Ringtone」の間には識別力に軽重があることから、本件商標全体だけでなく「Opera」単独でも商標として機能し得る。
また、被請求人は、他の異議例を挙げて、本件商標の「Ringtone」が直ちに具体的な商品の機能、用途を表示することはあり得ないと主張している。しかし、被請求人の挙げた異議例の判断やその手法を本件にそのまま当てはめるのは適切ではない。
3 むすび
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、上記1(2)で述べたとおり、引用商標と同一又は類似する商標であり、同(4)で述べたとおり、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似である。また、引用商標は、請求人所有の先願先登録商標である。
(2)商標法第4条第1項第15号について
仮に、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当しない場合においても、上記1(1)で述べたとおり、引用商標は、日本国内及び外国の需要者の間に広く認識された商標であり、同(3)で述べたとおり、本件商標に接する需要者は、請求人の業務と何らかの関係があるとの誤認を生じるおそれがある。
以上より、本件商標は、商標法第4条第1項第11号又は同項第15号のいずれかに該当し、商標登録を受けることができないものであるから、その登録は商標法第46条第1項の規定により、無効とすべきものである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を答弁書において、要旨以下のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標の周知・著名性の欠如
請求人は、引用商標がコンピュータ用ブラウザソフトウェア等のコンピュータソフトウェア商品やコンピュータソフトウェアの設計や開発、保守等の役務にかかるIT分野を中心として日本及び外国の需要者に広く認識されていると主張する。
しかしながら、請求人は、引用商標の周知・著名性を立証するための証拠方法としては、インターネット上のウェブサイトの打ち出しを提出するにすぎず、その販売期間及び販売高を示す請求書、納品書等の取引書類並びに宣伝広告されたことを示す資料及びそのために費やした費用を示す請求書を全く提出していない。
しかも、問題のウェブサイトは、本件商標が登録出願された平成27年8月28日からおよそ一年後の同28年8月29日又は同月31日に打ち出されたものであるから、本件商標が登録出願された当時の引用商標の周知・著名性を立証できない。
被請求人は、本件商標と引用商標とが抵触するコンピュータソフトウェアの分野に精通しているが、引用商標は、不知である。
以上述べたことからして、請求人の引用商標は、周知・著名なものとはなっていないといわざるを得ない。特に、本件商標の登録出願時の周知・著名の立証は全くされていない。
(2)本件商標と引用商標との非類似
請求人は、本件商標の「Ringtone」が「着信音、着信メロディー」を意味するので、商標の品質及び機能等を表示するものであって、識別力の弱い部分であり、本件商標中の「Opera」が請求人の商標として周知なものであるので、当該商標の「Opera」が単独でも商標として機能するものであり、その結果、引用商標と類似すると主張する。
確かに、「Ringtone」は、「着信音、着信メロディー」を意味するので、第9類の「ダウンロード可能な音」の関係では識別力を欠くものであることは認められる。しかしながら、本件商標と引用商標とが抵触する商品に関しては、「Ringtone」は、直ちに具体的な商品の品質及び機能等を表示するものではない。
また、上述したように、引用商標は、周知・著名なものとはなっていない。しかも、「OPERA」は、造語ではなく、「歌劇」を意味する既成語として広く知られている。そのため、「OPERA」に接した需要者、取引者は、これを請求人の商標として認識することなく、「歌劇」を意味する語として捉えるのが自然である。
したがって、需要者は、本件商標と引用商標とが抵触する商品に使用されている本件商標に接した場合には、「Ringtone」が当該商品との関係で自他商品識別力を欠くものであって、かつ、「Opera」が請求人の引用商標であると認識するものではない。むしろ、全体として「歌劇(音楽)の着信音」なる意味合いを有する造語と認識するのが自然である。
それ故、「Opera」のみをもって、本件商標を捉えることはない。
特許庁においても、本件商標と引用商標とが抵触する商品を指定商品とする商標「Sound Sugar」に対する登録異議申立において、「Sound」が「音、音響」等を意味する語として知られているものであっても、本件商標の指定商品との関係において、該文字が直ちに具体的な商品の機能、用途に結びつくものとはいい難いとして、「Sugar」の部分をもって称呼・観念されることなく一連に称呼されるべきものであって、商標「SUGAR」とは非類似のものであると判断した(乙1)。
音を意味する「Sound」が直ちに具体的な商品の機能、用途を表示するとされることがない以上、この「Sound」の下位概念である「Ringtone」が直ちに具体的な商品の機能、用途を表示するとされることはあり得ない。
本件商標は、標準文字で「Opera Ringtone」と横一連に表記されている。「Opera」と「Ringtone」との間に一文字程度の間隙があるが、英単語を表記するに当たり各語の間には一文字程度の間隙を設けるものであるから、「Opera Ringtone」は、英単語表記の規則に沿った自然な表記でされているといえる。自然な表記でされているものを殊更分離して、その一部をもって称呼・観念されることはない。
以上述べたように、外観上、敢えて「Opera」のみをもって本件商標を捉える理由は見いだせない。
本件商標の全体称呼「オペラリングトーン」は、複数の語からなる商標が頻繁に採択・使用されている取引の実情に鑑みれば、格別冗長なものではない。
そして、この称呼は、よどみなく一連に称呼できるものである。
したがって、本件商標が称呼上、敢えて「Opera」のみをもって本件商標を捉える理由は見いだせない。
上記したように、本件商標からは、全体として「歌劇(音楽)の着信音」なるまとまりある意味合いを感得できるので、観念上も「Opera」のみをもって本件商標を捉える理由は見いだせない。
以上詳述したように、本件商標は、「Opera」のみをもって称呼・観念されることはない。それ故、引用商標と称呼・観念において相紛れることはない。
本件商標と引用商標とが外観上相違することは多言を要しない。したがって、両商標が外観上相紛れることはない。
以上のように、本件商標は、引用商標とは、外観・称呼・観念のいずれにおいても相紛れることはない非類似のものとなる。
2 商標法第4条第1項第15号について
上記したように、引用商標は、本件商標の登録出願時には著名なものではなく、かつ、本件商標が引用商標に類似しない以上、本件商標がその指定商品に使用されたとしても商品の出所の混同を生じることはない。
3 まとめ
以上述べたように、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当しない。

第5 当審の判断
1 引用商標の著名性について
(1)請求人提出の証拠によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 請求人のウェブサイト(日本語版)中のブログ(甲3の5)には、「Opera創立20年ユーザ紹介」(2015年6月22日)の見出しの下、「Operaは今年、創立満20年を迎えます。それを記念するイベントの一環として各国のOperaユーザを順に紹介してまいります。」との記載、「Facebookに1000万のOperaファン」(2015年4月9日)の見出しの下、「私達Operaの人間は大変感激しています。Facebookの友達つながり『いいね!』が何と1000万を超えたからです。」との記載がある。
しかし、他の請求人のウェブサイト(甲3の1ないし4)は、「Operaの歴史と事業内容」、「Operaブラウザおよびモバイルアプリをダウンロード」を見出しとするもの及び英語表記のみのものであるが、いずれも本件商標の登録査定後の2016年8月31日出力のものであって、該ウェブサイトの情報が掲載された日付等は表示されていない。
イ 「オペラ・ソフトウェア」及び「Opera Software」の「Wikipedia」(2016年8月29日出力:甲4)には、「Opera Software ASA」が「設立1995年」及び「ノルウェーのソフトウェア開発企業。ウェブブラウザ『Opera』の開発元として知られており・・・」との記載及び2015年9月にカンパニーロゴを「Opera Software」から「Opera」へ変更した旨記載されている。
ウ 「SEO HACKS」のウェブサイト(2016年8月29日出力:甲6)には、「ブラウザとは」の見出しの下、「世界のブラウザのシェア」として、「Google Chrome(38.34%)」、「Microsoft Internet Explorer(29.06%)」、「Mozilla Firefox(20.98%)」及び「Apple Safari(8.15%)」に対して、「Opera(1.32%)」との記載、「日本のブラウザのシェア」として、「Microsoft Internet Explorer(51.77%)」、「Google Chrome(21.73%)」、「Mozilla Firefox(14.50%)」及び「Apple Safari(8.38%)」に対して、「Opera(1.12%)」との記載とともに2012年5月から2014年1月における折線グラフが表示され、「Opera」のシェアは、ほぼ横這いであることが表されている。
エ 「コトバンク」のウェブサイト(甲8及び甲9)には、「Opera」及び「オペラ」について、「ASCII.jpデジタル用語辞典の解説」、「知恵蔵2015の解説」、「IT用語がわかる辞典の解説」及び「IT用語辞典」のウェブサイトに「オペラ・ソフトウェアが開発したタブブラウザーの名称。」である旨の記載がある一方、「コトバンク」のウェブサイトの「デジタル大辞泉の解説」及び「英辞郎 on the WEB:アルク」のウェブサイトには、「Opera」及び「オペラ」について、第1番目に「歌劇」の意味を有する語として記載され、第2番目として請求人のブラウザである旨の記載がある。
また、「コトバンク」のウェブサイト(甲9)には、「Opera」及び「オペラ」について、「プログレッシブ英和中辞典(第4版)の解説」、「百科事典マイペディアの解説」、「世界大百科事典第2版の解説」、「大辞林第三版の解説」、「ブリタニカ国際大百科事典の小項目事典の解説」等の辞書類に「歌劇」等の意味を有するものとして記載されている。
オ 甲第14号証の請求人のウェブサイトは、「WindowsPC用のOperaブラウザ」「Andoroid版Opera」等の記載があるものの、請求人の商品に関する説明にすぎず、かつ、2016年8月31日出力のものであって、また、甲第15号証も、同日出力のウェブサイトであって、その内容は、「オペラ・メディアワークス社」に関するものである。
カ 甲第18号証は請求人の提供するソフトウェア商品のアクティベーション数とユーザー数に関する情報とのことであるが、これよりは、2014年?2015年の期間には、全世界における請求人ソフトウェア商品全体について、毎月1億3000万件前後のアクティベーションが行われ、毎月3億2000万人前後のユーザーがいたことが表されている。
しかしながら、当該書証は請求人の作成した資料にすぎないこと、請求人の提供するソフトウェア商品についての延べ数であること、また、表された数字がソフトウェアを取り扱う業界においてどの程度の規模であるかも不明である。なお、甲第6号証からすれば、我が国のブラウザのシェアでは1.12%であるから、当該書証の数字についても、ソフトウェアを取り扱う業界において、さほど多いシェアを表すものとは認められない。
キ 甲第19号証は、2014年?2015年請求人の収益に係る顧客のリストとのことであるが、当該書証は請求人の作成した資料にすぎず、かつ、請求人と取引があった企業リストが直ちに引用商標の著名性を立証する証拠になるとは認められない。
また、甲第20号証ないし甲第22号証における、請求人のコミュニケーション・マネージャによる商品に関するブログ記事、請求人の商品のダウンロード用サイトのイメージ画像、請求人の商品に関するインターネット上の記事についても、日本国内において事業を行っているのであるから、インターネットにおいて商品の紹介、ユーザーサポート、商品に関する記事が存在することは普通に行われる範囲ことであり、これらが引用商標の著名性を立証する証拠になるとは認められない。
(2)以上によれば、請求人は、本件商標の登録出願日以前から請求人の業務に係るブラウザの提供をし、該ブラウザに引用商標を付しており、我が国における該ブラウザのシェアが1.12%程であることが認められる。
しかしながら、該ブラウザに関する販売実績や広告実績における使用実態は必ずしも明らかではなく、その他に、引用商標について、取引者・需要者の間に広く認識されていた事実を明らかにする具体的な証拠を提出していないものである。
そうとすると、提出された証拠からは、引用商標及び請求人の業務に係る該ブラウザが広く知られていると認めるに足りない。
また、「OPERA(オペラ)」の語について、一部の辞書類において、請求人のブラウザ名としての掲載が散見されるとしても、一般的な辞書には、「歌劇」である旨のみが掲載されていることから、「OPERA」の文字に接する需要者は、請求人のブラウザ名を認識するというよりも、一般的な意味合いの「歌劇」を認識するというべきである。
したがって、請求人提出の甲各号証により、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、請求人の業務に係る商品を表示するものとして我が国の取引者、需要者の間に広く認識されているとは認めることができない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、上記第1のとおり、「Opera Ringtone」の欧文字を標準文字により表してなるところ、該文字は、「Opera」の部分及び「Ringtone」の部分との間に1文字程度の間隔を有するとしても、同書、同大、同間隔で外観上まとまりよく表されており、その構成上「Opera」の文字部分のみが、格別に看者の注意を引く態様とはいえない。また、本件商標の構成文字全体から生ずると認められる「オペラリングトーン」の称呼も、よどみなく称呼し得るものといえる。
そして、本件商標を構成する「Opera Ringtone」の文字は、全体として、熟語のように特定の意味を有する語として辞書に掲載されているものではなく、特定の意味合いで一般に親しまれているとも認められないことから、一種の造語として認識され、特定の観念を生じないものである。
また、本件商標は、その構成中の「Opera」の文字部分のみが需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めることはできない。その他、本件商標を「Opera」の文字部分と「Ringtone」の文字部分とに分離して把握、認識しなければならない特別の事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、構成全体をもって、一体不可分の商標を表したものと認識されるといえるから、その構成文字に相応して、「オペラリングトーン」の一連の称呼のみを生ずるものであって、特定の観念は生じないということができる。
この点について、請求人は、本件商標の構成中、「Ringtone」の文字は、「着信音、着信メロディー」の意味を有することから、着信を音で知らせる機能を有する指定商品「スマートフォン,携帯用通信機械器具,トランシーバー,衛星電話機,ウェアラブルスマートフォン」及び好みの着信音を作ることのできる指定商品「コンピュータアプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能な電子計算機用プログラム」との関係では、商品の品質・機能等を表示する識別力の弱い部分であるから、前半の「Opera」の文字部分が商標として機能する旨述べている。
そこで、「Ringtone」の文字について、請求人の提出に係る証拠をみると、「着信音、呼び出し音」等の意味を有する辞書類(甲10)、「Google検索サイト」(甲11)及び各種ウェブサイト(甲12)における本件商標の登録出願前のものには、「着うたメーカー(Ringtone Maker)」(更新2014年5月10日)、「リングトーン(着信音)を販売できるようになりました!」及び「3月7日、TUNECORE JAPANは、100ケ国以上のiTUNES Storeへ『リングトーン(着信音)』の提供を開始した。」(2013年3月8日)、「まずはiPhoneに『着うたメーカー(Ringtone Maker)』をダウンロードしましょう。/着うたメーカー(Ringtone Maker)-あなたの音楽からリングトーンを作成してください!/無料」(2013年9月24日時点)等の記載がある。
以上によれば、「Ringtone」の文字は、請求人主張の「着信音」の意味を有する語であって、着信音を作成するための電子計算機用プログラムについて使用される場合があるとしても、その使用態様は「着信音」、「着うた」等の文字と共に使用されており、「Ringtone」の文字自体が「スマートフォン,携帯用通信機械器具,トランシーバー,衛星電話機,ウェアラブルスマートフォン,コンピュータアプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能な電子計算機用プログラム」に関しての具体的な品質を表示するものとして取引上普通に使用されるに至っているとはいい難い。
そうすると、本件商標の構成中「Ringtone」の文字は、その指定商品との関係において、商品の品質等を表示するとまではいえないから、本件商標は、その構成文字全体として捉えられるとするのが相当である。
(2)引用商標について
上記第2のとおり、引用商標は、「OPERA」の欧文字からなるものであるから、その構成文字に相応して、「オペラ」の称呼、「歌劇」の観念が生じること明らかである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の構成は、それぞれ、上記(1)及び(2)のとおりであるところ、本件商標が「Opera Ringtone」の欧文字で構成されているのに対して、引用商標は、「OPERA」の欧文字により構成されていることから、本件商標と引用商標とは、「Ringtone」の欧文字の有無において明らかに相違し、外観上、明確に区別し得るものである。
次に、称呼については、本件商標は、「オペラリングトーン」の称呼が生じ、また、引用商標は、「オペラ」の称呼が生ずるものであるから、両者は、「リングトーン」の音の有無において明らかに相違し、称呼上、明らかに聴別し得るものである。
さらに、観念については、本件商標は、特定の観念を生ずるものではないのに対し、引用商標は、「歌劇」の観念を生じるものであるから、観念において相紛れるおそれはない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても、相紛れるおそれがない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であるから、たとえ、その指定商品が同一又は類似のものであったとしても、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、上記1(2)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時に請求人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして取引者、需要者の間に広く認識されているものとは認めることができない。
そして、本件商標と引用商標とは、上記2(3)のとおり、相紛れるおそれがない非類似の商標であるから、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、該商品が請求人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように連想、想起するということはできない。
そうすると、本件商標は、その指定商品について使用しても、その商品の出所について混同を生ずるおそれはない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2017-05-16 
結審通知日 2017-05-23 
審決日 2017-06-05 
出願番号 商願2015-83063(T2015-83063) 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (W09)
T 1 11・ 271- Y (W09)
T 1 11・ 262- Y (W09)
T 1 11・ 261- Y (W09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大渕 敏雄 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 田中 幸一
大森 友子
登録日 2016-02-19 
登録番号 商標登録第5828533号(T5828533) 
商標の称呼 オペラリングトーン、オペラ、リングトーン 
代理人 青木 篤 
代理人 久我 貴洋 
代理人 田島 壽 

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