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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 審判 全部申立て 登録を維持 W33 |
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管理番号 | 1333453 |
異議申立番号 | 異議2017-685003 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-01-13 |
確定日 | 2017-08-09 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 国際登録第1284779号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 国際登録第1284779号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件国際登録第1284779号商標(以下「本件商標」という。)は、「SANDARA」の文字を横書きしてなり、2015年7月30日にSpainにおいてした商標の登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張して、2015年(平成27年)10月9日に国際商標登録出願、第33類「Alcoholic beverages(except beers),wines;sparkling wines,sangria;wine-based beverages.」を指定商品として、平成28年7月14日に登録査定がされ、同年11月4日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件商標の登録異議の申立ての理由において引用する登録第4985360号商標(以下「引用商標」という。)は、「SENDERO」の文字を標準文字で表してなり、平成18年1月4日に登録出願、第33類「ぶどう酒,発泡ぶどう酒,果実酒,洋酒」を指定商品として、同年9月8日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第10号、同項第15号、同項第19号及び同項第7号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。)を提出した。 (1)申立人商標について ア 申立人について 申立人は、1883年に創設されたラテンアメリカ最大のワイン製造メーカーであり、そのワインの輸出先は、147か国を数える。申立人は、チリ共和国の首都であるサンティアゴに本社を構えており、その所有するぶどう畑の総面積は、チリ共和国、アルゼンチン共和国及びアメリカ合衆国を合わせて10,804ヘクタールに及び、世界で2番目の規模である(甲4)。 イ 申立人商標の周知性・著名性について (ア)チリ産ワインは、近年、我が国において、コストパフォーマンスの良いワインとして人気を博しており、2015年の我が国における輸入量は、フランス産ワインを抜き、初の首位となっている。また、チリ産ワインの人気・輸入量は、2016年も堅調であり、ワイン国別輸入数量(スティル)において2年連続で1位となっている(甲5の1、甲5の2)。 そして、申立人は、チリ共和国において、ワインの輸出量第1位を誇るワインメーカーであり、その輸出量全体の32%のシェアを占めている(甲4)。また、2015年のワインの売上額は、約1,054億円(米国ドルを109円で換算)、売上実績は、3,430万ケース(1ケース当たり12本入り)であり、全世界のワインメーカーの中で5番目の規模である(甲4)。 このように、世界的ワインメーカーである申立人のワインは、上述のとおり、147か国で愛飲されており、世界各地で高く評価されていることが認められる。例えば、英国に拠点を置くブランド評価会社「Intangible Business」が発表する2015年度のスピリッツ・ワインに係るブランド評価レポートにおいて、申立人は、「MOST POWERFUL WINE BRANDS」として、2年連続で第1位に選出されている(甲4、甲6の1、甲6の2)。また、英国のアルコール飲料専門業界誌である「The Drinks Business」の発表で、申立人は、2015年度の「International Best Drinks Company of the Year」を受賞している(甲4、甲7)。 (イ)申立人商標「SENDERO」(以下「申立人商標」という場合がある。)を付した白ワインの「シャルドネ」及び「ソーヴィニヨン・ブラン」並びに赤ワインの「カベルネ・ソーヴィニヨン」は、我が国において、各地の飲食店の主力ワインの一つとして提供されており(甲8の1?3)、2012年から2016年までの販売数量(1ケース当たり、750mlボトル12本入り)は、それぞれ、「11,028ケース」(2012年)、「13,577ケース」(2013年)、「13,677ケース」(2014年)、「10,470ケース」(2015年)、「8,275ケース」(2016年)である。 このように、申立人の「SENDERO」ブランドのワインは、現在に至るまで継続的に我が国へ輸出され、少なからぬ量が流通している。 したがって、申立人商標は、我が国のワイン愛好家、取引者及び需要者の間において、申立人の商品であるワインを示す名称として広く知られるところとなっており、そのような周知著名性を失うような事情は特にない。 (2)商標の類似性について ア 本件商標 本件商標は、同書、同大、同間隔にて欧文字「SANDARA」を横一列に配してなり、その構成文字から「サンダラ」の称呼を生じ得るものであって、特定の意味を想起させることのない造語である。 イ 申立人商標 申立人商標は、同書、同大、同間隔にて欧文字「SENDERO」を横一列に配してなり、その構成文字から「センデロ」又は「センデーロ」の称呼を生じ得るものであって、特定の意味を想起させることのない造語であるものの、「ワイン」との関係においては、その周知著名性から申立人を想起させるものである。 ウ 本件商標と申立人商標との対比 (ア)外観 本件商標と申立人商標とは、いずれも欧文字7字からなる構成であって、そのうちの過半数を占める「S」、「N」、「D」、「R」の4字を共通にするものであり、これらは、本件商標と申立人商標とを構成するそれぞれの4音節(後者においては、長音を除く。)の子音、すなわち、音節をローマ字表記した場合の先頭の文字に該当する。 この点に関し、アルファベットを用いる表記体系においては、例えば、社名の一部に用いる「Limited」が「Ltd.」と表記されることがあるように、「子音」と「母音」との組合せによりある言葉が構成され、いくつかの音節を有している場合、表記体系上、「母音」よりも「子音」の方に、あるいは、音節を構成する先頭の文字に、より大きな外観上の比重が与えられることが多々ある。 上記のような表記上、言語体系上の慣習に鑑みると、本件商標及び申立人商標に接した取引者、需要者は、両商標を構成する4音節中、各音節の先頭を構成する文字、すなわち、「子音」の方に、より多くの外観上の注意を払うと考えるのは当然のことであり、各音節の「母音」の方は、簡易迅速を尊ぶ取引の実際においては看過されやすいといえ、申立人に係る「SENDERO」ブランドのワインのように、格別高価ではない、いわゆる大量消費財においては、かかる傾向がより顕著になることはいうまでもない。 すなわち、本件商標に係る取引分野においては、取引者、需要者が格別高度の注意をもって商品に接するとは考えられず、一語一句にわたり「母音」の相違にまで注意を払って慎重に取引が行われることは想定し難く、むしろ、全音節の最初の文字が全て共通していることをもって、同一の出所からなる商品であると判断するのが普通であると考えられる。 したがって、本件商標と申立人商標とは、外観上、非常に近似する構成である。 (イ)称呼 本件商標からは「サンダラ」の称呼を生じる一方、申立人商標からは「センデロ」又は「センデーロ」の称呼が生じ得るところ、両称呼は、長音を除き、実質4音構成であり、その対応する4音節のそれぞれは、全て同行に属することから、聴者に対し、非常に近似した印象を与える。 具体的には、語頭の「サ」の音と「セ」の音とは、いずれも「サ行」に属するものであり、その相違する母音「a」と「e」は、調音方法が近い近似母音である。 また、中間の「ダ」の音と「デ」の音とは、いずれも「ダ行」に属するものであり、相違する母音「a」と「e」は、調音方法が近い近似母音である。 さらに、語尾の「ラ」の音と「ロ」の音とは、いずれも「ラ行」に属するものであり、相違する母音「a」と「o」は、調音の位置及び方法が近似した音である上、聴取の際に比較的聴別し難い語尾音である。 そうすると、本件商標から生じる称呼と申立人商標から生じる称呼とは、語頭音、中間音及び語尾音の3音において相違するものの、それぞれの差異音が同行音であり、近似母音を有しているため、全体として称呼するときは、近似音として聴取される。 そして、本件と同様の差異音についてされた審決例(甲9?甲14)に照らしても、本件商標から生じる「サンダラ」の称呼と申立人商標から生じる「センデロ」又は「センデーロ」の称呼とは、全体としての語調、語感が極めて近似し、互いに聴き誤るおそれがあるものと判断されるべきである。 (ウ)観念 申立人商標は、「ワイン」との関係においては、その周知著名性により、申立人を想起させる可能性がある。 そうすると、申立人商標と外観及び称呼上において近似する本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、申立人を想起させるおそれがあるから、本件商標と申立人商標とは、観念上、出所の混同を生ずるおそれがある。 なお、申立人商標が特定の観念を想起させない造語と認識される場合には、本件商標と申立人商標とは、観念上、相比べるべくもないが、上述のとおり、両商標の外観及び称呼上における近似は、観念の相違を大きく凌駕するものであるから、いずれにしても、本件商標は、申立人商標と類似する商標である。 (エ)小括 上記アないしウによれば、本件商標は、申立人商標と類似するものである。 (3)商標法第4条第1項第11号について 引用商標は、申立人商標(使用商標)である「SENDERO」と実質同一の文字の構成及び配列であり、「ぶどう酒」を含む指定商品に関するものであるから、引用商標と申立人商標とは、互いに類似するものである。 また、引用商標は、本件商標の国際登録日(平成27年10月9日)より前に出願された登録商標であり、本件商標に係る指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似する商品について使用をするものである。 したがって、本件商標は、引用商標と類似するものであり、商標法第4条第1項第11号に該当する。 (4)商標法第4条第1項第10号について 申立人商標は、上述のとおり、「ワイン」との関係において、申立人の業務に係るものを示すものとして、主たる取引者、需要者の間に広く認識されており、本件商標は、申立人商標との関係において、外観、称呼及び観念上、相紛らわしいものである。 そうすると、本件商標が「ワイン」について使用され、我が国の市場において取引に資される場合、その「ワイン」は、取引者、需要者に出所の混同を生じさせるおそれが極めて高い。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。 (5)商標法第4条第1項第15号について ア 申立人商標を使用したワインは、上述のとおり、2012年には既に少なからぬ量が我が国に輸入されており、その後も、その輸入量は堅調に推移していることから、現在までに、ワインの取引者、需要者の間において広く知られるところとなっている。 そうすると、申立人商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時までに、申立人の業務に係る商品の名称として、広く親しまれていたことは明らかである。 イ 本件商標は、その外観、称呼及び観念が申立人商標と近似するものである。 また、申立人商標は、「ワイン」を示す名称として著名であり、申立人は、チリ産ワインのメーカーとして世界的に高い評価がされている。 これらを総合的に勘案すれば、本件商標が「ワイン」について使用された場合、「ワイン」の主たる取引者、需要者は、その「ワイン」が申立人と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認し、商品の出所について混同するおそれがあることは明らかである。 そして、本件に係る指定商品は、大量消費財であり、取引者、需要者の注意力も格別高いと認められる事情は見当たらない。 ウ 上記ア及びイによれば、本件商標は、申立人の業務に係る商品と混同を生ずるおそれがある商標であるから、商標法第4条第1項第15号に該当する。 (6)商標法第4条第1項第19号について 申立人及び申立人の商品は、上述のとおり、世界中のワイン業界で広く知られているから、ワインの製造、販売に係る業務を行う本件商標権者が、本件商標の登録出願前より周知著名な申立人商標を知悉していたことは明らかである。 そして、本件商標権者が周知著名な申立人商標と酷似する商標を自己の「ワイン」について使用する行為は、申立人の周知著名商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)したブランド商品を市場に蔓延させることとなり、その結果として、申立人が長年の営業努力によって築いた該周知著名商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等の毀損を招来させる。 そうすると、本件商標権者は、申立人の周知著名商標の顧客吸引力を利用(フリーライド)することを意図して本件商標を取得したことは明らかであり、不正の目的をもって使用をするものである。 したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして日本国内及び外国における需要者の間に広く認識されている申立人の周知著名商標と類似するものであり、不正の目的をもって使用をするものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。 (7)商標法第4条第1項第7号について 本件商標は、上述のとおり、申立人の業務に係る商品の出所表示として「ワイン」に関する主たる取引者、需要者の間で広く知られている申立人商標と近似するものである。 そうすると、申立人と何ら関係を有しない本件商標権者が本件商標を使用することは、本来自らの営業努力によって得るべき業務上の信用を申立人商標の著名性にただ乗り(フリーライド)することにより得ようとすることにほかならず、申立人の周知著名商標に化体した莫大な価値を稀釈化させるおそれがある。 したがって、本件商標権者において、本件商標を不正の目的をもって使用し、申立人商標が有する顧客吸引力等にただ乗りしようとする意図があると推認することは、至極妥当であり、このような行為は、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するから、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。 4 当審の判断 (1)申立人商標の周知性について ア 申立人の主張及び同人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。 (ア)甲第4号証は、申立人作成のプレス向け資料(PRESS KIT 2016)とされる英語資料であり、その内容として、申立人が1883年に創設されたラテンアメリカ最大のワイン会社であること、申立人がチリ共和国、アルゼンチン共和国及びアメリカ合衆国に有する10,800ヘクタールのワイン醸造用ぶどう園の規模が世界第2位であること、申立人製造のワインがチリ共和国産ワインの輸出量第1位(全体の32%)であること、申立人の2015年の連結売上が9億6,700万米ドル及び売上数量が3,430万ケースであること、申立人が英国のコンサルタント会社「Intangible Business」のランキングにおける2014年及び2015年の「World’s Most Powerful Wine Brand」を受賞したこと並びに「The Drinks Business」による「International Best Drinks Company of the Year 2015」を受賞したこと(前者の受賞については、甲第6号証の1及び2に、後者の受賞については、甲第7号証に、それぞれ同様の記載あり。)、などの記載が見受けられる。 なお、上記プレス向け資料の7頁には、申立人製造のワインに係る「RECOGNIZED WINE PORTFOLIO」(よく知られたワイン一覧)の見出しの下、複数のワインが掲載されているが、その中に申立人商標「SENDERO」が付されたものは見当たらない。 (イ)甲第8号証の1ないし3は、「ぐるなび」と称する飲食店検索ウェブサイトに掲載された3店に係るワインのメニューリストであり、各店で提供される各種ワインの中に「コンチャイ トロ センデーロ ソーヴィニョン ブラン(Concha y Toro Sendero Sauvignon Blanc [Chile])」及び「コンチャイ トロ センデーロ カベルネ ソーヴィニヨン(Concha y Toro Sendero Cabernet Sauvignon [Chile])」(甲8の1)、「【赤】センデーロ カベルネ・ソーヴィニヨン」及び「【白】センデーロ シャルドネ」(甲8の2)、「センデーロ/カベルネソーヴィニヨン」、「センデーロ シャルドネ」及び「センデーロ ソーヴィニヨンブラン」(甲8の3)の記載があるが、これらの内容は、本件商標の登録査定日後の2017年(平成29年)4月13日に紙出力されたものである。 (ウ)甲第5号証の1は、「日経ビジネスオンライン」に2016年(平成28年)2月8日付けで掲載された「チリワイン、フランス産超え輸入量トップに」を見出しとする記事であり、その内容として、「財務省が1月末に発表した貿易統計(通関ベース)によると、スパークリングワインを除いた『ボトルワイン』の2015年の輸入量で、チリ産は前年比18.1%増の5159万リットルと伸張。一方、過去トップの座を守ってきたフランス産は2.8%減の5152万リットルとなり、わずかながらチリ産が上回った。」の記載とともに、「国別ワイン輸入数量の推移」と題するグラフには、チリ産ワインの輸入数量が2012年(平成24年)に3,000万リットルを超え、2014年(平成26年)には約4,500万リットルであったことが示されている。 また、甲第5号証の2は、「食品新聞社」(インターネット版)に2017年(平成29年)2月6日付けで掲載された「日本のワイン輸入量、チリが2年連続首位」を見出しとする記事であり、その内容として、「昨年のワイン国別輸入数量(スティル)では15年に引き続きチリ産が2年連続で1位となった。」の記載とともに、「2016年国別輸入量(スティル)」と題する表には、1箱を750mlボトル12本に換算した場合に、チリ産ワインの輸入量が約562万箱であったことが示されている。 イ 上記アにおいて認定した事実によれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人は、その社歴、事業規模、受賞歴に鑑みれば、ワイン製造業者として、少なくともチリ共和国の需要者の間に相当程度知られていたとはいい得るものの、申立人商標である「SENDERO」の文字が、申立人ないし申立人が製造するワインを表示するものとして、チリ共和国その他諸外国において、いつから、どのように使用されているかは明らかとはいえないから、申立人商標が、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、外国における需要者の間に広く認識されていたとは認められない。 また、申立人は、申立人商標を付した白ワイン及び赤ワインが、我が国において、各地の飲食店の主力ワインの一つとして提供されている旨主張するとともに、該ワインの2012年から2016年までの間の販売数量(前記3(1)イ(イ))を示して、少なからぬ量が流通している旨主張するが、申立人が示した飲食店は、僅か3店にすぎない上、その情報も本件商標の登録査定日後のものであるし、申立人が主張する販売数量も、その事実を客観的に裏付ける証拠の提出がなく、仮に、それが真正なものであるとしても、1ケースに750mlボトルが12本入っているとされているから、例えば、2012年(平成24年)は11,028ケースで「99,252リットル」であるし、2014年(平成26年)ないし2016年(平成28年)も、それぞれ、13,677ケースで「123,093リットル」、10,470ケースで「94,230リットル」、8,275ケースで「74,475リットル」であり、これらを上記ア(ウ)のとおりのチリ産ワインの輸入量と比較すると、その販売数量は、僅少というべきものである。 そうすると、申立人の提出に係る証拠方法をもって、申立人商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者はもとより、チリ共和国その他諸外国の需要者の間に広く知られていたとは認められない。 (2)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標 本件商標は、前記1のとおり、「SANDARA」の文字を横書きしてなるところ、該文字は、一般の辞書類に載録されている既成の語ではなく、また、特定の意味合いを生じる語として知られているものとも認められない。 そうすると、本件商標は、「サンダラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 イ 引用商標 引用商標は、前記2のとおり、「SENDERO」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、一般の辞書類に載録されている既成の語ではなく、また、特定の意味合いを生じる語として知られているものとも認められない。 そうすると、引用商標は、「センデロ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。 ウ 本件商標と引用商標との対比 本件商標と引用商標とは、いずれも比較的短い欧文字7字で構成されており、そのうち、2字目において「A」と「E」、5字目において「A」と「E」、7字目において「A」と「O」という容易に視認し得る差異があるから、外観上、相紛れるおそれはない。 また、本件商標から生じる「サンダラ」の称呼と引用商標から生じる「センデロ」の称呼とを比べると、両称呼は、いずれも短い4音構成であり、第2音の「ン」以外の全ての音を異にするものであって、明瞭に聴別できるから、称呼上、相紛れるおそれはない。 さらに、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、相紛れるおそれはない。 そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 エ 小括 上記のとおり、本件商標は、引用商標と非類似の商標であるから、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について 申立人商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く知られていたとはいえないものである。 また、本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、非類似の商標であるから、引用商標と同一の文字からなる商標と認められる申立人商標もまた、本件商標とは非類似の商標である。 そうすると、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当せず、また、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者が、申立人商標ないし申立人を連想、想起するようなことはなく、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはないというべきであるから、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。 (4)商標法第4条第1項第19号該当性について 申立人商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者はもとより、チリ共和国その他諸外国の需要者の間に広く知られていたとは認められないものであり、また、本件商標は、上記(3)のとおり、申立人商標と非類似の商標である。 さらに、申立人が提出した甲各号証を総合してみても、本件商標権者が、不正の目的をもって本件商標の使用をするものと認めるに足る具体的事実を見いだすことができない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。 (5)商標法第4条第1項第7号該当性について 申立人商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く知られていたとは認められないものであり、また、本件商標は、上記(3)のとおり、申立人商標と非類似の商標であるから、本件商標権者が本件商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものとすべき事由はない。 また、本件商標は、前記1のとおりの構成からなるものであって、その構成自体が非道徳的、卑わい、差別的、矯激又は他人に不快な印象を与えるような文字からなるものではない。 さらに、本件商標は、他の法律によって、その商標の使用が禁止されているものとも認められない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (6)まとめ 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同項第10号、同項第11号、同項第15号及び同項第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-08-04 |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(W33)
T 1 651・ 222- Y (W33) T 1 651・ 22- Y (W33) T 1 651・ 263- Y (W33) T 1 651・ 261- Y (W33) T 1 651・ 271- Y (W33) T 1 651・ 25- Y (W33) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 鈴木 雅也 |
特許庁審判長 |
大森 健司 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 松浦 裕紀子 |
登録日 | 2015-10-09 |
権利者 | VICENTE GANDIA PLA, S.A. |
商標の称呼 | サンダラ |
代理人 | 杉村 憲司 |
代理人 | 中山 健一 |