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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
審判 全部申立て  登録を維持 W33
管理番号 1333449 
異議申立番号 異議2017-900212 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-06-26 
確定日 2017-10-13 
異議申立件数
事件の表示 登録第5933989号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5933989号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5933989号商標(以下「本件商標」という。)は、明朝体による「秋月」の文字を横書きしてなり、平成28年8月31日に登録出願、第33類「泡盛,合成清酒,焼酎,白酒,清酒,直し,みりん,リキュール,洋酒」を指定商品として、同29年2月21日に登録査定、同年3月24日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標について、商標法第3条第1項第3号又は同法第4条第1項第16号に該当し、かつ、同法第3条第1項第4号にも該当するから、その登録は取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第3条第1項第3号又は同法第4条第1項第16号に該当する理由
ア 本件商標は、「秋月」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるものであるところ、「秋月」は、江戸時代に福岡藩の支藩として、石高5万石の秋月支藩が誕生し、秋月城を中心に秋月の城下町が建設され、黒田家による秋月藩の善政により、城下は大いに栄え、数々の歴史的建造物群を残している(甲2、甲3)。
そして、明治維新直後の廃藩置県では、一時「秋月県」が置かれたが、後に隣接する福岡県に併合されて、現在に至っている。
また、「秋月」の町は、「筑前の小京都」とも呼ばれ、平成10年4月17日に国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されており、「黒田官兵衛」を主人公とするNHKの大河ドラマ「軍師 官兵衛」が平成26年に放送されて以来、同人ゆかりの地として、城下町「秋月」が更に脚光を浴び、観光客が増加している。城下町「秋月」には、種々の観光スポットがあり、観光施設も整備され、多くの観光客を迎えている(甲4)。
イ 上記アにおいて述べたとおり、「秋月」は、福岡県の著名な観光地であり、同県朝倉市の第1の観光地である。
したがって、本件商標は、その指定商品が福岡県朝倉市秋月周辺で生産又は販売された商品である場合は、商品の品質等を表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当し、その指定商品が福岡県朝倉市秋月周辺以外で生産又は販売された商品である場合は、商品の品質について誤認を生じるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第3条第1項第4号に該当する理由
「秋月」は、日本人の姓としてかなり多い姓であり、商標法第3条第1項第4号にいう「ありふれた氏」に該当する。
また、申立人が過去にした、「あきづき」の文字を縦書きにしてなり、旧第28類「酒類」を指定商品とする「商願昭57-86870号」並びに「あきづき」及び「合資会社篠崎商店」の各文字を上下二段に書してなり、旧第28類「酒類」を指定商品とする「商願昭59-89090号」(決定注:正しくは、「商願昭59-9090号」と認める。)の各商標登録出願は、いずれも商標法第3条第1項第4号に該当する旨の拒絶理由通知がなされ、その通知に対する応答をしなかったため、拒絶査定がなされた(甲9の1ないし甲9の3、甲10の1ないし甲10の3)。
したがって、本件商標も商標法第3条第1項第4号に該当するものであり、その登録は、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「秋月」の文字を明朝体で表してなるところ、当該文字は、「あきづき」と読むときは、「福岡県朝倉市北部の地区名」を意味する語である一方、「しゅうげつ」と読むときは、「秋の夜の月」を意味する語(それぞれの読み及び意味は、「広辞苑第六版」から引用。)である。
また、申立人の提出した甲各号証によれば、福岡県のほぼ中央部に位置する朝倉市内にあり、鎌倉時代から江戸時代に栄えた城下町の景観が守られ、「筑前の小京都」などと称されることのある観光地の一つとして、「秋月」の地名があることは認められるものの、上記のとおりの意味を有する「秋月」の文字が、本願の指定商品との関係において、取引者、需要者により、その商品の産地、販売地を具体的に表したものとして認識されるとみるべき事情は見いだせない。
そうすると、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、商品の産地、販売地を表したものと認識することはなく、また、商品の品質の誤認を生ずるおそれもないというべきである。
してみれば、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。
(2)商標法第3条第1項第4号該当性について
「秋月」の文字は、上記(1)のとおり、「福岡県朝倉市北部の地区名」又は「秋の夜の月」を意味する一般に慣れ親しまれた語であることからすれば、当該文字が、通常、「氏」を表したものとして認識されることはないとみるのが相当である。
この点について、申立人は、「秋月」について、日本人の姓としてかなり多い姓である旨述べているが、そのことを裏付ける事実は何ら提出していない。
また、申立人は、自らした過去の商標登録出願が商標法第3条第1項第4号に該当するとして拒絶査定されたことを挙げて、本件商標も同号に該当する旨主張するが、申立人が挙げる商標登録出願に係る商標は、本件商標とは構成態様を異にするものである上、当該商標登録出願については、職権をもって調査した結果によれば、申立人も述べるとおり、意見書の提出もなく、拒絶をすべき旨の査定が確定しているものであるから、このような審査例が本件商標についての同号該当性の判断にそのまま当てはまるものとはいい難い。
してみれば、「秋月」の文字からなる本件商標がありふれた氏普通に用いられる方法で表してなるものと認識されることはなく、本件商標は、商標法第3条第1項第4号に該当しない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同項第4号並びに同法第4条第1項第16号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-10-05 
出願番号 商願2016-99616(T2016-99616) 
審決分類 T 1 651・ 272- Y (W33)
T 1 651・ 14- Y (W33)
T 1 651・ 13- Y (W33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大島 康浩 
特許庁審判長 青木 博文
特許庁審判官 小松 里美
田中 敬規
登録日 2017-03-24 
登録番号 商標登録第5933989号(T5933989) 
権利者 朝倉酒造株式会社
商標の称呼 アキズキ、シューゲツ 
代理人 小山 義之 

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