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審決分類 |
審判 一部申立て 登録を維持 W01 審判 一部申立て 登録を維持 W01 審判 一部申立て 登録を維持 W01 |
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管理番号 | 1333445 |
異議申立番号 | 異議2017-900151 |
総通号数 | 215 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2017-11-24 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-05-15 |
確定日 | 2017-10-13 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5920502号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5920502号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5920502号商標(以下「本件商標」という。)は、「FILLUX」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年8月1日に登録出願、第1類「工業用化学品,電子部品製造用化学品」及び第2類「印刷インキ,シルクスクリーン印刷用インキ,塗料」を指定商品として、同年12月27日に登録査定され、同29年2月10日に設定登録されたものである。 2 登録異議申立人が引用する商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する国際登録第1278101号商標(以下「引用商標」という。)は、「FILLOX」の欧文字を横書きしてなり、2015年(平成27年)4月7日にGermanyにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年10月5日に国際商標登録出願、第1類「Chemicals used in industry,science and photography,namely siloxanes for use in the manufacture of semiconductors.」を指定商品として、平成28年8月26日に日本国において設定登録されたものである。 3 登録異議の申立ての理由 申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。 (1)本件商標と引用商標との比較 本件商標の構成は上記のとおりであるところ、その構成から「フィルックス」または「フィラックス」の称呼が自然と生じるといえる。また、「FILLUX」とは辞書等に掲載がなく、造語であると考えられることから、そこから特定の意味合いは生じないものといえる。 一方、引用商標から生じる自然な称呼は「フィロックス」であるといえるところ、「FILLOX」もまた辞書に掲載のない、特定の意味合いを生じさせない語である。 ここで両商標を比較すると、外観において両者は共に6字の欧文字からなり、そのうち5字を共通にしている。そして、相違する「U」及び「O」も似通った形状からなる文字であり、小さな書体で表示された場合や印字の質が低い場合には、「U」と「O」とが見誤られるおそれがあるといえる。したがって、「FILLUX」及び「FILLOX」は外観において相紛らわしいものというべきである。 また、称呼に関しては、両者は本件商標中の「ル」又は「ラ」と引用商標中の「ロ」において唯一相違するものの、いずれの音も50音のラ行に属し、調音の方法や音質において近似した音であるといえる。さらに、かかる相違はそれぞれの語の中間部分に位置していることから、そのような差異は両商標に接した取引者・需要者の耳に残り難いものである。よって、本件商標と引用商標を称呼した際には、全体として似通った印象を与えるものといえる。 そして、本件商標、引用商標のいずれからも特定の意味合いが生じないことから、観念においては両者を比較するべくもない。 よって、本件商標と引用商標とは外観及び称呼において近似する商標であり、かかる類似点を凌駕する観念上の相違点もない。 (2)実際、特許庁において、「Coronet」と「コルネット」、「ロックセル」と「LUXCELL」、「SUNROCKY/サンロッキー」と「SUNLUCKY」、「WOODLUCK/ウッドラック」と「ウッドロック」、「セロエース/Celoace」と「CELLACE」、「PRATAK」と「プロタック/PROTACK」、「クラスター」と「クロスター/CROSTER」、「FLO THRU」と「FRATHRU」及び「ミロコス」と「Miracos」が類似と判断されている(甲3?甲11)。 上記の審決からも認められるとおり、「ル」と「ロ」あるいは「ラ」と「ロ」は近似した音であり、それが唯一の称呼上の差異であれば、そのような商標を一体として称呼した場合には聴き誤るおそれが充分にあるといえる。本件商標と引用商標の関係もこれらと事案を同じくし、彼此相紛れるおそれのある類似の商標であるというべきである。 (3)本件商標と引用商標の指定商品の比較 引用商標の指定商品は、第1類「Chemicals used in industry,science and photography,namely siloxanes for use in the manufacture of semiconductors.(工業用・科学用及び写真用の化学品、すなわち半導体の製造用のシロキサン)」である一方、本件商標の第1類の指定商品は「工業用化学品,電子部品製造用化学品」である。いずれも工業用、特に半導体を含む電子部品の製造に使用される化学品であり、これらが用途・取引者・需要者・流通経路・取引場所を共通にする類似の商品であることは明らかである。 (4)むすび 上記のとおり、本件商標は引用商標と類似する商標であって、その指定商品も引用商標の指定商品と類似する。 したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。 4 当審の判断 (1)本件商標について 上記1のとおり、本件商標は、「FILLUX」の欧文字を標準文字で表してなり、該文字は、辞書に掲載されておらず、既成の語とはいえないものであるから、特定の意味や観念を有しない一種の造語と認められる。また、これよりは、構成文字に相応してローマ字風又は英語風に「フィルックス」及び「フィラックス」の称呼を生じるものである。 (2)引用商標について 上記2のとおり、引用商標は、「FILLOX」の文字を横書きしてなり、該文字は、辞書に掲載されておらず、既成の語とはいえないものであるから、特定の意味や観念を有しない一種の造語と認められる。また、これよりは、構成文字に相応してローマ字風又は英語風に「フィロックス」の称呼を生じるものである。 (3)本件商標と引用商標との類否について ア 外観について 本件商標と引用商標を比較するに、それぞれの文字構成は上記のとおり「FILLUX」及び「FILLOX」であり、いずれも欧文字の大文字からなるものであるが、いずれも比較的短い文字構成において、明らかに字形の異なる「U」と「O」の文字の差異を有するものであるから、本件指定商品を取り扱う取引者、需要者において、通常の注意力をもってすれば、その外観を見誤ることはないものというべきである。 これに関し、申立人は、商標が小さな書体で表示された場合や印字の質が低い場合の見誤りの可能性を指摘しているが、そもそもそのような状態での商標の使用を前提として商標の類否を論ずること自体失当である。 イ 称呼について 本件商標からは「フィルックス」及び「フィラックス」の称呼が、引用商標からは「フィロックス」の称呼が生ずるところ、「フィルックス」と「フィロックス」の称呼及び「フィラックス」と「フィロックス」の称呼を比較するに、第2音において「ル」と「ロ」の差異及び「ラ」と「ロ」の差異を有するところ、両差異音は、子音を同じくするとはいえ、促音を伴うことにより一層強く発音される音であるから、共に5音という比較的短い音構成においては、両差異音がそれぞれ中間に位置するものであるとしても、この差異が称呼全体に及ぼす影響は大きく、両称呼をそれぞれ称呼したときは、全体の音調、音感が相違し、十分に聴別し得るものである。 ウ 観念について 本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を生じることのないものであるから、観念において、両商標を比較することはできず、相紛れるおそれはないものである。 エ 以上によれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。 その他、本件商標と引用商標とを類似するものとすべき理由は見いだせない。 してみれば、本件商標と引用商標は、両者の指定商品は同一又は類似するものの、両者は上述のとおり非類似の商標であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものといえない。 なお、申立人は過去の審決例を挙げているが、商標の類否の判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者・需要者の認識を基準に対比される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから、それらをもって上記判断が左右されるものではない。 (4)むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2017-10-05 |
出願番号 | 商願2016-82049(T2016-82049) |
審決分類 |
T
1
652・
261-
Y
(W01)
T 1 652・ 263- Y (W01) T 1 652・ 262- Y (W01) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 大橋 良成 |
特許庁審判長 |
青木 博文 |
特許庁審判官 |
尾茂 康雄 小松 里美 |
登録日 | 2017-02-10 |
登録番号 | 商標登録第5920502号(T5920502) |
権利者 | JSR株式会社 |
商標の称呼 | フィルラックス、フィラックス |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 石田 昌彦 |
代理人 | 特許業務法人SSINPAT |