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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1333444 
異議申立番号 異議2017-900121 
総通号数 215 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-11-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-14 
確定日 2017-10-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5911875号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5911875号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5911875号商標(以下「本件商標」という。)は、「P-BERRY」の欧文字を横書きしてなり、平成28年5月30日に登録出願、第30類「コーヒー,コーヒー豆,茶,菓子,パン,ココア,砂糖」を指定商品として、同年11月16日に登録査定され、同29年1月13日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおりであり(以下、それらをまとめて「引用商標」という。)、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
(1)登録第5495793号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 pinkberry(標準文字)
指定商品及び指定役務 第29類、第30類、第32類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
出願日 平成19年6月14日
設定登録日 平成24年5月25日
(2)登録第5495794号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲のとおり
指定商品及び指定役務 第29類、第30類、第32類、第35類及び第43類に属する商標登録原簿に記載の商品及び役務
出願日 平成19年6月14日
設定登録日 平成24年5月25日

3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当するものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第186号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、欧文字「P」及び「BERRY」の文字を「-(ハイフン)」でつないだ態様で、横書きに表してなるものであり、その全体から「ピーベリー」という称呼が生ずる。
また、最高裁判決(昭和36年6月23日第二小法廷、民集15巻6号168)及び特許庁商標審査基準によれば、本件商標は、「-(ハイフン)」を介して表された「P」と「BERRY」の文字が視覚的に分離して観察され、「P」の部分は、「極めて簡単で、かつ、ありふれた標章」であって識別力を有しない部分として、実際の取引において捨象され、「BERRY」の部分から「ベリー」の称呼も自然に生ずるといえる。
例えば、不服2002-1294及び平成9年審判第21079号審決(甲4、甲5)に鑑みても、本件商標の態様において「P」と「BERRY」は、より分離して観察されやすい態様で表示されていると考えるのが相当であって、故に、本件商標からは、「ピーベリー」という称呼の他に、「ベリー」との称呼が生ずるとするのが自然である。
イ 引用商標
引用商標は、共に「pinkberry」の文字を構成に有するものであり、該文字部分からは、自然に「ピンクベリー」という称呼が生ずる。
また、該文字部分は、色彩(ピンク色)を表す「pink」の語と、果肉が柔らかくて汁が多く、種子は果肉の中に埋まっている種類の果実の総称として一般的に認識されている「berry(ベリー)」とが結合してなるものであるところ、「pink(ピンク)」の語は、商品の品質、性状(色彩)を普通に用いられる方法で表示する標章に該当し、当該部分の識別力は弱く、よって、引用商標は、単に「ベリー」とも略称される。
例えば、不服2010-8370、平成8年審判第2002号及び平成9年審判第21131号(甲6?甲8)においては、商標の構成中「PINK」、「ピンク」及び「Pink」の文字は色彩を表すとし、他の構成文字のみに相応する称呼も生じるとしている。
上記各審判事件は、本件とは指定商品が異なるが、例えば、本件商標と引用商標とが抵触していると考えられる類似群コード「30A01」に属する商品(「菓子,パン」等)の分野において、色彩等の商品の見た目を売りにすることはまれなことではなく、商品をピンク色(桃色)に彩色することも普通に行われている(甲9?甲13)。
さらにいえば、引用商標を構成する「pinkberry」の語は、既存の語ではなく、確たるアイデアを持って考案された造語であるが、場合によっては、殊に商品をピンク色に彩色することが一般的に行われている菓子及びパンの分野においては、需要者等が「pink」の部分を商品の内容を表す記述的表示であると認識する場合も少なくないと推察される。
してみれば、引用商標からは、「ピンクベリー」との称呼が自然に生ずるほか、「ベリー」との称呼が生ずる場合もあると考えるのが相当である。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標と引用商標とを比較すると、上述のとおり、いずれの商標も「ベリー」と略称される(され得る)点で共通し、同一の称呼が生じ得る。
また、「ベリー(berry)」の語は、「ベリー、液果」等の意を有する語(甲14)であり、本件商標と引用商標の要部は、観念上も同一である。
そうすると、本件商標と引用商標とは、称呼及び観念が共通しており、たとえその外観が異なるとしても、時、場所を異にして観察した場合、相紛れ、容易に峻別することのできない類似の商標と考えるのが相当である。
(イ)さらに、本件商標と引用商標それぞれの構成全体から生ずる「ピーベリー」と「ピンクベリー」の称呼も、必ずしも容易に峻別することのできない相紛らわしい称呼といえる。
すなわち、本件商標と引用商標の全体的称呼は、語頭音「ピ」及び後半部分の「ベリー」の部分において共通している。この共通音「ピ」、「ベ」、「リ(ー)」は、いずれも強く発音される有声破裂音又は弾音であって明瞭に聴取される。
他方、相違音である本件商標の第2音は長音であるため、それ自体から特徴的な称呼が生ずることはなく、語頭音「ピ」(又はその子音「i」)が強調して聴取されると考えられる。
引用商標の第2音「ン」は鼻音の弱音であるため、明瞭に発音される第1音「ピ」に吸収されるかのごとく発音されることとなり、明瞭に聴取されない。また、第3音「ク」は、舌上面を上顎の奥より手前に付けて閉鎖を作り発する無声子音と母音の複合音で、さほど明瞭に強く響く音ではないため、第1音「ピ」がそれに続く「ン」を吸収し極めて明瞭に聴取されることを考慮すると、明瞭には聴取されないといえる。
そうすると、本件商標と引用商標の称呼の相違音「ー(長音)」と「ンク」が各商標の称呼全体に及ぼす影響は小さく、よって、本件商標と引用商標とは称呼上相紛れるおそれのある類似商標というのが相当である。
また、本件商標と引用商標は、いずれも既成語ではないため、これらの商標からは特定の観念は生じず、上述した称呼上の類似性を凌駕する程の差異を見いだすことはできない。
さらに、本件商標「P-BERRY」は、「-(ハイフン)」を除く「P」及び「BERRY」という欧文字部分のすべてを引用商標と共通にするものであり、よって、一見して本件商標と引用商標とを識別することは容易ではないと考えるのが相当である。
(ウ)以上より、本件商標と引用商標とは、称呼及び外観が極めて類似しており、観念においても、前記類似性を凌駕する程の差異を認めることはできないので、互いに類似する商標である。
エ 本件商標及び引用商標の指定商品の類否
本件商標及び引用商標の指定商品を対比すると、本件商標の指定商品中「菓子,パン」は、引用商標の指定商品中第30類「フローズンヨーグルト及び果物・ナッツ・シリアルを組み合わせたフローズンヨーグルト,果物・ナッツ・シリアル・かき氷・冷凍カスタード・餅を組み合わせたフローズンヨーグルト」と類似群コード「30A01」を共通にする類似の商品である。
また、本件商標の指定商品中「コーヒー,茶,ココア」は、例えば、コーヒーショップ等で、「ヨーグルト,フローズンヨーグルト,スムージー」等と共に(テイクアウト)販売されている(甲15?甲18)。してみれば、これらの商品は、販売部門及び需要者の範囲が一致しており、いずれの商品も喉を潤し、心身のリフレッシュを図るために摂取するものであり、その用途も共通する類似商品であると考えるのが相当である。
オ 小括
以上より、本件商標は、引用商標と類似する商標であって、引用商標に係る指定商品と類似する商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 引用商標に象徴される「pinkberry(ピンクベリー)」ブランドは、商標権者であるピンクベリー インクの創業者であるシェリー・ホワン(Shelly Hwang)及びヤング・リー(Young Lee)の両氏によって2005年1月に創設されたブランドであり、2009年より同ブランドの世界展開が開始され本日に至る。
我が国においても、2014年7月18日に第1号店としてヴィーナスフォート店がオープンし(甲19)、以来本年5月の時点で7店舗が運営されている(甲20)。
「Pinkberry」ブランドのフローズンヨーグルトの、2015年10月から2017年6月における日本での毎月の売上は、約1,354万円ないし約3,621万円であり、合計で約4億6,834万円であった。
第1号店がオープンするに先んじて、2014年7月10日にロイヤルガーデンカフェ青山において、メディア向け試食会が行われ、その様子が各種メディアに取り上げられている(甲21)。
また、世界的ブランドである「pinkberry(ピンクベリー)」の日本進出は、新聞、業界紙、雑誌でも大々的に報じられたほか、テレビの情報番組でも紹介され(甲22?甲74)、当時から、我が国のフローズン業界においてピンクベリーブランドの人気・注目度が高かったことをうかがい知ることができる。
ピンクベリー インクがそのブランドについて日本で商標登録を得る際に、第三者による剽窃的な商標登録により自己の商標登録を阻まれ、紆余曲折を経て当該第三者の商標登録を取り消し、結果、商標登録を得た。当該第三者による剽窃的な商標登録の事実は、当時から、「pinkberry」が我が国の需要者等の間で広く知られ、そのブランド的価値が極めて高かったことを示している。
イ 「pinkberry」ブランドは、2015年末に米国アリゾナ州スコットデールに所在するカハラ ブランズ フランチャイジング エルエルシーに買収され、現在、同社の子会社である申立人によって、その商標権が管理されている。
ピンクベリー及び引用商標たる「pinkberry(文字)」、「pinkberry(+図形)」に係る一切の権利権益(グッドウィルを含む)を承継した申立人は、世界各国において商標権を取得・維持しており、「pinkberry」ブランドの十全な保護を図っている(甲75?甲179)。
さらに、日米間には相互ビザ免除プログラムもあり、ハワイを始め、観光客等の行き来が非常に盛んである。ホノルル空港には、遅くとも2011年10月頃から、日本人観光客が多数立ち寄るフードコートに、ピンクベリーの店舗が所在し、日本人にも大変好評を博している(甲180?甲186)。
ウ その結果、本件商標の出願日及び登録査定日の時点で、引用商標は、我が国の需要者の間でも極めて広く知られるに至っていると考えるのが相当である。
そして、すでに述べたとおり、本件商標と引用商標とが互いに類似していると考えられることからすれば、本件商標を、例えば、その指定商品中「コーヒー豆,砂糖」について使用した場合、たとえ申立人がこれらの商品に係る業務を行っていないとしても、取引者、需要者は、申立人又は同人と組織的、経済的に何等かの関係を有する者の業務に係る役務であると混同するおそれがあると考えるのが相当である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断
(1)引用商標の周知性について
ア 申立人提出の甲各号証及び同人の主張によれば、次の事実を認めることができる。
(ア)ロイヤルホールディングス株式会社の事業会社アールアンドケーフードサービス株式会社は、2014年(平成26年)7月18日にフランチャイズ契約のもと、東京都お台場に米国カリフォルニアで創業したフローズンヨーグルトの専門店「pinkberry」の日本第1号店をオープンした(甲19、甲22)。
(イ)上記第1号店オープンについては、多くの新聞、雑誌、ウェブサイト、テレビで紹介された(甲21?甲73)。なお、新聞、雑誌などの記事の多くは店名を「ピンクベリー」としている。
(ウ)上記専門店「pinkberry」は、2017年(平成29年)7月時点で、東京、大阪及び福岡に各2店舗、計6店舗が運営されている(甲20)。
(エ)同専門店「pinkberry」では、店舗の看板及びフローズンヨーグルトの容器に引用商標2(色彩などの異なるものを含む。)が表示されている(甲20、甲60、甲61)。
(オ)同専門店「pinkberry」は、2014年(平成26年)6月時点で米国をはじめ20か国に260店舗を展開しており、遅くとも2011年(平成23年)10月にはハワイのホノルル空港に出店していた(甲19、甲180)。
(カ)申立人の関連会社は、引用商標と同一と認め得る登録商標(書体や色彩の異なるものを含む。)を、多くの国等で保有していることがうかがえる(甲75?甲179)。
(キ)しかしながら、上記専門店「pinkberry」における売上額、来店者数など具体的な取引実績を示す証左は見いだせない。
イ 上記アの事実からすれば、フローズンヨーグルトの専門店「pinkberry」は、我が国において平成26年7月に1号店がオープンしたことが認められ、フローズンヨーグルトの専門店の名称として、需要者の間にある程度知られていることがうかがえる。
しかしながら、提出されている新聞記事などは、そのほとんどが上記1号店のオープン前後の平成26年7月及び8月のもので、その内容も1号店のオープンに係るものであり、なにより同専門店における売上額など取引実績を示す証左は見いだせないから、同専門店「pinkberry」は、我が国の需要者の間に広く認識されているものとまでは認められない。
そうすると、同専門店の名称と同一の文字からなる引用商標1及び同店が使用する引用商標2は、いずれも本件商標の登録出願の日前ないし登録査定時において、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、上記1のとおり、「P-BERRY」の文字からなり、その構成文字は同書、同大、同間隔で、まとまりよく一体に表され、これから生じる「ピーベリー」の称呼も、語呂良く一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、「P」と「BERRY」の各文字を「-(ハイフン」で結合してなるものと認識され、「P」の文字が単独では商品の記号・符号等として用いられる、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章といえるとしても、かかる構成及び称呼においては、看者をして「P(-)」の文字部分を商品等の記号・符号として直ちに認識することはなく、むしろ、「P-BERRY」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握するとみるのが相当である。
さらに、本件商標は、その構成中「BERRY」の文字部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると、本件商標は、その構成文字全体が一体不可分のものであって、「ピーベリー」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じないものといわなければならない。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は、上記2(1)のとおり「pinkberry」の文字からなり、その構成文字は同書、同大、同間隔で、まとまりよく一体に表され、これから生じる「ピンクベリー」の称呼も、語呂良く一連に称呼し得るものである。
そして、引用商標1は、「pink」と「berry」の語を結合してなるものと認識され、「pink」の文字が単独では商品の色彩を表わすものであるとしても、かかる構成及び称呼においては、看者をして「pink」の文字部分を商品等の色彩を表示したものとして認識することはなく、むしろ、「pinkberry」の構成文字全体をもって、特定の観念を生じない一体不可分の造語を表したものとして認識、把握されるとみるのが相当である。
さらに、引用商標1は、その構成中「BERRY」の文字部分が取引者、需要者に対し商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認めるに足る事情は見いだせない。
そうすると、引用商標1は、その構成文字全体が一体不可分のものであって、「ピンクベリー」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じないものといわなければならない。
(イ)引用商標2は、別掲のとおり、ピンク色の渦巻き状の線の上に黄緑色の2枚の木の葉状の図形を描き、その右に黄緑色で「pinkberry」の文字を表してなるものであるから、該文字に相応して「ピンクベリー」の称呼を生じるものである。
そして、引用商標2は、その構成態様から「pinkberry」の文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得、該文字部分は上記(ア)と同様の理由により、その構成文字全体が一体不可分のものであって、「ピンクベリー」のみの称呼を生じ、特定の観念を生じないものということができる。
ウ 本件商標と引用商標の類否
(ア)本件商標と引用商標1の類否を検討すると、両者は、外観において、構成文字数や大文字と小文字の差異のほか、構成文字をみても語頭部に「P-」と「pink」の差異を有し、これらの差異が7文字と9文字という比較的短い文字構成からなる両者の外観全体の視覚的印象に与える影響は小さいものとはいえず、相紛れるおそれのないものとみるのが相当である。
次に、本件商標から生じる「ピーベリー」の称呼と引用商標から生じる「ピンクベリー」の称呼を比較すると、両者は語頭において「ピー」と「ピンク」という明らかな差異を有し、この差異が長音を含む5音と6音という比較的短い音構成からなる両称呼全体の語調語感に及ぼす影響は小さいものとはいえず、両者をそれぞれ称呼しても、聞き誤るおそれのないものと判断するのが相当である。
さらに、観念においては、両商標は共に特定の観念を生じないものであるから、相紛れるおそれのないものである。
そうすると、両商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
(イ)次に本件商標と引用商標2の類否を検討すると、本件商標と引用商標2の構成中「pinkberry」の文字とは、上記(ア)と同様の理由により外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似のものといえるから、本件商標と引用商標2は、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標ということができる。
(ウ)上記(ア)及び(イ)のとおり、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
なお、申立人は過去の審決例を挙げているが、商標の類否の判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品、指定役務の取引者、需要者の認識を基準に対比される商標について個別具体的に判断されるべきものであるから、それらをもって本件の判断が左右されるものではない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、引用商標は、他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものと認められないものであり、上記(2)のとおり、本件商標は、引用商標と外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
そうすると、本件商標は、商標権者がこれをその指定商品について使用しても、取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させることはなく、その商品が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(4)むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標2)※色彩は原本参照。

異議決定日 2017-09-29 
出願番号 商願2016-63843(T2016-63843) 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W30)
T 1 651・ 261- Y (W30)
T 1 651・ 262- Y (W30)
T 1 651・ 271- Y (W30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 大森 健司
特許庁審判官 松浦 裕紀子
小松 里美
登録日 2017-01-13 
登録番号 商標登録第5911875号(T5911875) 
権利者 石原 正義
商標の称呼 ピイベリー 
代理人 横川 聡子 
代理人 岩瀬 吉和 
代理人 城山 康文 
代理人 北口 貴大 
代理人 永岡 愛 

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