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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W010709
審判 全部申立て  登録を維持 W010709
審判 全部申立て  登録を維持 W010709
審判 全部申立て  登録を維持 W010709
管理番号 1332416 
異議申立番号 異議2017-685005 
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-02-17 
確定日 2017-07-11 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1295717号の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1295717号の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件国際登録第1295717号商標(以下「本件商標」という。)は,「ORGANOPLATE」の欧文字を表してなり,2015年(平成27年)5月21日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,同年11月3日に国際商標登録出願,第1類「Chemical products and compositions for culturing cells,and the production and breeding of biological tissues,or a combination of tissues including those of human and animal organs for use in scientific,medical research and diagnostics.」,第7類「Processing machines for cell culture and production of biological tissue and to be used in the field of research into biological tissue and cells.」及び第9類「Scientific,optical measurement and inspection apparatus and instruments for producing,growing and studying biological tissues;laboratory equipment for the production,breeding and research on cells,tissues and organs;laboratory apparatus for cell culture and production of biological tissues and to be used in the field of research into biological tissues and cells.」を指定商品として,平成28年12月9日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は,以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである(以下,これらをまとめていう場合は,「引用商標」という。)
1 登録第1490120号商標(以下「引用商標1」という。)
商品の態様:「ORGANO」
指定商品 :第1類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 :昭和51年4月5日
設定登録日:昭和56年11月27日
2 登録第1490119号商標(以下「引用商標2」という。)
商品の態様:「オルガノ」
指定商品 :第1類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 :昭和51年4月5日
設定登録日:昭和56年11月27日
3 登録第1588500号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:「ORGANO」
指定商品 :第7類,第9類及び第11類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 :昭和51年4月5日
設定登録日:昭和58年5月26日
4 登録第1588499号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様:「オルガノ」
指定商品 :第7類,第9類及び第11類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 :昭和51年4月5日
設定登録日:昭和58年5月26日
5 登録第4285387号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の態様:「オルガノ」の片仮名と「ORGANO」の欧文字を2段に書した構成
指定商品 :第9類に属する商標登録原簿に記載の商品
出願日 :平成10年3月30日
設定登録日:平成11年6月18日
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第146号証(枝番を含む。)を提出した。
1 申立人の事業について
(1)申立人は,昭和21年に株式会社日本オルガノ商会として設立され,同41年に現商号である「オルガノ株式会社」に商号変更した。なお,申立人の英語表記は「ORGANO CORPORATION」である。
申立人は,主として水処理装置事業と薬品事業を行っており,本件商標の出願時(基礎出願時)及び登録時において,商号中に「オルガノ」の文字を有する数多くの子会社,関連会社を設立している(甲6?甲8,甲11?甲13)。また,それらの子会社,関連会社の英語表記には,「ORGANO」の文字が用いられている(甲10)。
(2)申立人は,総合水処理エンジニアリング会社として,水処理設備を主とする大型水処理装置事業と,研究所,病院等向けの小型の水処理機器を主とする標準型水処理機器事業と,水処理薬品等を主とする薬品事業を行っており,電子産業,化学・素材産業,食品・飲料製造業,医薬品・化粧品・医療機器製造業,大学・研究所,病院・福祉施設,外食産業等,あらゆる産業にその事業活動は及ぶ。
大型水処理装置事業としては,主として各種製造業者向けの純水製造装置,超純水製造装置,排水処理装置,発電所向けの復水脱塩装置,官公需向けの上下水設備等の製造,納入,メンテナンスを実施している(甲8,甲11,甲12)。特に,超純水は,半導体,液晶,医薬品等の製造過程に欠かせないものであるが,申立人が製造販売する超純水製造装置は,大型水処理装置事業の主力商品であり,市場シェアの3割以上を占め,電子産業や医薬品産業は,申立人の主要顧客層を形成している(甲8,甲11,甲14?甲20)。
また,申立人は,標準型水処理機器事業として,研究所,病院等での各種分析や検査に不可欠な小型のラボ用の純水・超純水装置や厨房,カフェ等で使用するフィルター型浄水器の製造,販売を実施している(甲8)。特にラボ用の純水・超純水装置は,申立人の主要な商品として継続して販売しているものである(甲14)。
そして,申立人は,薬品事業として,水処理薬品,イオン交換樹脂,食品添加物等の化学品の製造,販売等を実施している(甲8)。薬品事業のうち,水処理薬品及びイオン交換樹脂は,水処理を行う際に必要な薬品であり,水処理装置事業と密接に関連し,しばしば一体として販売される。
申立人の事業の売上高は,本件商標の基礎出願時である平成28年3月期(平成27年4月1日?平成28年3月31日)において787億1900万円であり(甲7,甲8),そのうち水処理エンジニアリング事業(大型水処理装置事業)の売上高は629億700万円,標準型水処理機器事業と薬品事業を主とする機能商品事業の売上高は158億1100万円にそれぞれ及ぶ(甲8)。
(3)以上のとおり,申立人は,年間の売上高が700億円を超える企業であり,その事業は,大型水処理装置事業,標準型水処理機器事業及び薬品事業を中核とし,多角的に事業展開しているものである。
2 「ORGANO」及び「オルガノ」の周知著名性
(1)申立人の旧商号及び現商号の略称である「オルガノ」及びその英語表記である「ORGANO」は,申立人が設立当初から使用しているハウスマークである。
申立人は,六角形の中に水をイメージする図形と「organo」の文字を組み合わせた標章について,昭和27年8月30日に,蒸溜水製造機械器具等を指定商品として商標登録を受けたのをはじめとして,化学剤や浄水装置等を指定商品としても商標登録を受けている(甲99)。また,申立人は,平成8年4月10日,水玉をイメージする図形と「ORGANO」又は「オルガノ」を組み合わせた標章についても商標登録を受け(甲92?甲97),現在に至るまで,申立人の広告類,カタログ類,報告書類等に継続的に使用している。
(2)申立人のハウスマークである「ORGANO」及び「オルガノ」は,水や化学剤を必要とする製造業者,発電所,国の機関・自治体その他一般消費者等広汎な需要者の間で,本件商標の出願時,登録時及び現在において周知著名なものとなっているのである。
以下各号証について補足説明を行う。
ア 甲第22号証,甲第23号証,及び甲第30号証ないし甲第79号証は,申立人の総合カタログ,個別商品カタログ類である。これらのカタログ類には,いずれの表紙にも,申立人のハウスマークである「ORGANO」及び「オルガノ」が表示されている。
甲第22号証は,申立人の標準型水処理機器事業及び薬品事業に係る商品の全体像を俯瞰できる総合カタログとなっている。同号証には,あらゆるシーンで使用される「水」に,申立人の商品が使用されることが示されており,そのような商品として,ろ過・軟水装置,純水・超純水装置,ラボラトリ純水・超純水装置,機能水装置,精密フィルター,排水処理装置,水処理薬品・機器,イオン交換樹脂等がラインナップされている。
甲第23号証は,申立人の標準型水処理機器事業に係る商品である「標準型純水装置・超純水装置」の総合カタログである。申立人は,同カタログに記載されている商品に「ORGANO」又は「オルガノ」のハウスマークを付して,また,細菌検査用ホモジナイザーに「ORGANO」のハウスマークを付して,製造・販売している。そして,これらの商品は,バイオ分野,細胞培養分野,生化学分野等に使用されるものである。
イ 甲第31号証,甲第33号証ないし甲第77号証は,申立人の商品中,「化学品」である水処理薬品に関するカタログ類の一例であり,甲第78号証及び甲第79号証は,申立人の商品中,「化学品」であるイオン交換樹脂に関するカタログ類の一例である。
これらによれば,申立人が多数の「化学品」のラインナップを有し,これらのカタログ類の頒布だけでも相当な宣伝効果を行っている。また,これらの水処理薬品やイオン交換樹脂等の「化学品」は,純水製造設備,ボイラ,冷却水設備,給水設備,排水設備等で水を処理するために使用するものであり,水処理装置事業と密接に関連するものである(甲16,甲30,甲31,甲34,甲78)。したがって,水処理装置事業と薬品事業とは,その性質上区分し難い密接な関連性を有している。
また,申立人の薬品事業の1つであるイオン交換樹脂に関する事業は,申立人が,「1946年にイオン交換樹脂の応用及び企業化」を目的として創業した経緯があり(甲7),現在もなお,我が国におけるイオン交換樹脂事業のパイオニアとして継続的な営業活動を行っており,「オルガノ」の商標は,イオン交換樹脂事業を示すものとして著名である。
そして,平成22年3月期(平成21年4月1日?平成22年3月31日)の資料によると,申立人の,水処理装置事業の売上高が403億3800万円であるのに対し,薬品事業の売上高は131億7600万円となっている(甲135)。
このように,申立人の事業における薬品事業は,水処理装置事業と比較すれば相対的には小さいが,絶対的な規模としては大きなものであり,「ボイラ用水・冷却水向け薬品」の市場においては,第2位のシェアを有している(甲15)。
このように,大型水処理装置事業と標準型水処理機器事業を含む水処理装置事業が申立人の主たる事業とされているとしても,薬品事業についても,大規模かつ周知著名である。
ウ 甲第80号証ないし甲第83号証は,申立人が新聞紙上に掲載している題字広告(1面の新聞紙名の真下に表示される広告)の例を示す紙面である。これらの題字広告では,「オルガノ」の文字からなる商標が,「総合水処理・イオン交換装置」,「純水装置・排水処理装置」,「水の高度処理全システム」,「すべての水は資源」,「水のプラントメーカー」,「水のトータルエンジニアリング」,「心と技で水の価値を創造する」,「工場の節水支援排水処理・水リサイクル技術」等の語句とともに掲載されている。なお,申立人が掲載した題字広告のごく一部を提出したものであるが,申立人は,昭和39年から現在に至るまで50年以上にわたり定期的に,新聞の1面の新聞紙名の真下に表示される題字広告を実施しており,引用商標である「オルガノ」の周知性向上に努めている。
また,平成12年以降に新聞に掲載された題字広告には,「オルガノ」の文字だけでなく,「ORGANO」の文字列を含む申立人のホームページURL(www.organo.co.jp)も併記されており,「オルガノ」の英語表記が「ORGANO」であることが読者に広く認識できる記載内容となっている。このように,申立人の題字広告によって,「オルガノ」はもちろんのこと,「ORGANO」も周知著名となるに至っている。
エ 甲第84号証は,申立人の商品がテレビ東京のニュース番組「E morning」で取材され,2009年5月29日に放映されたものと同一内容のインターネット配信によるニュースのサイトページである。同様に,申立人は,千葉テレビ「Ci-TV/Company Information TV」という,毎週,注目の企業・会社1社を紹介する番組においても取材されるなどしている(甲85は,平成19年8月12日に放映されたものと同一内容のインターネット配信によるニュースのサイトページ。)。
オ 甲第86号証及び甲第87号証は,申立人が受賞した日本工業新聞産業広告賞受賞作品,日本産業広告賞受賞作品の抜粋である。甲第88号証は,申立人の広告賞入賞履歴一覧であり,甲第89号証ないし甲第91号証は,申立人が雑誌・新聞等において実際に行った広告例の一例であるが,申立人が商標「ORGANO」及び「オルガノ」の認知度の向上に努めていたことも明らかである。そして,前記広告類は,申立人の大型水処理装置事業と標準型水処理機器事業を含む水処理装置に係る事業に限定された広告ではなく,薬品事業を含めた申立人の水処理に関わる事業全体を抽象的に広告したものである。
カ 甲第100号証ないし甲第127号証は,いずれも申立人が新聞,専門誌等の刊行物等に取り上げられた記事であり,申立人が様々なメディアにも数多く取り上げられていることのほか,甲第128号証及び甲第129号証は,申立人が作成した情報誌等の刊行物の一部であり,申立人が「ORGANO」及び「オルガノ」の表示のもとに自社の技術を刊行物として発行することにより,企業理解を促す活動を行ってきた。また,甲第130号証は,申立人が行ったプレスリリースであり,そこにおいても,「ORGANO」の表示のもとに申立人が積極的にマスメディアに情報提供を行っている。
キ 甲第131号証ないし甲第133号証は,社団法人産業機械工業会が主催した「第33回優秀環境装置」において,申立人の電子部品洗浄用機能水製造装置が経済産業大臣賞を受賞したことを報道した記事であり,本件商標出願前の,半導体や液晶等の電子部品産業における申立人の高い周知度を示すものである。
ク 以上のとおり,申立人の引用商標である「ORGANO」及び「オルガノ」は,申立人における水処理装置事業や薬品事業を示すものとして,需用者,取引者の間で周知著名である。
(3)知的財産高等裁判所判決及び特許庁審決
申立人のハウスマークである「ORGANO」及び「オルガノ」の周知著名性については,「オルガノサイエンス」の片仮名文字からなる登録商標の無効審判事件(無効2014-890019)及び「ORGANO SCIENCE」のアルファベット文字からなる登録商標の無効審判事件(無効2016-890036)においても明らかとされている。
ア 知的財産高等裁判所は,「オルガノサイエンス」の登録商標に対する無効審判事件における審決を不服とする審決取消請求訴訟(平成26年(行ケ)第10268号)において,「オルガノ」の周知著名性を認めた上で,「オルガノサイエンス」と「オルガノ」とは類似する商標であると認定判断した(甲143)。
前記知財高裁判決は確定し,これを受けて特許庁は,「オルガノサイエンス」の商標登録は,「化学剤」を指定商品とする商標登録については商標法第4条第1項第11号に該当するとして無効とし,「化学剤」以外の指定商品及び役務についての商標登録は同項第15号に該当するとして無効とする審決を下した(甲144)。かかる審決に対し,審決取消訴訟が提起されたが(平成28年(行ケ)第10181号),知的財産高等裁判所は,審決の取消事由は存在しないとして,請求を棄却する判決を下した(甲145)。
イ 特許庁は,「ORGANO SCIENCE」の登録商標に対する無効審判事件において,「オルガノ」及び「ORGANO」の周知著名性を認定し,「ORGANO SCIENCE」と「ORGANO」とは類似する商標であると認定判断した(甲146)。
3 商標法第4条第1項第11号について
(1)「ORGANO」と「PLATE」の出所識別力の差異
前記2記載のとおり,「ORGANO」及び「オルガノ」の文字からなる商標は,申立人の水処理装置事業及び薬品事業を示すものとして,需要者,取引者の間で周知著名であるから,自他商品・役務の識別力を強く発揮する。
「ORGANO」及び「オルガノ」の文字については,それ自体独立した言語として掲載した辞書は存在せず,一般用語としては認識されていない独創性のある創造商標である。英語における語学的な意味としては,「organo」ではなく,「organ」に「接頭語」としての意味があるのである。したがって,「ORGANO」のアルファベット文字単独で,「有機の」といった意味を持つと解することはできない。したがって,「organo」を他の文字と組み合わせて単語を形成することにより「有機の」という意味を持たせることがあるとしても,その意味での使用は一般的には浸透したものではない。このように,「ORGANO」のアルファベット文字については,一般用語としては認識されていないものであり,申立人の事業を示すものとして,自他商品・役務の識別力を強く発揮しているのである。
一方,「PLATE」からなるアルファベット文字は,当業者において,「培養皿」等の意味を有する英語であり(甲136),細胞培養及び組織培養の分野において「プレート」又は「PLATE」とは,培養等に用いる皿状の器具を示す普通名称として広く使用されている。例えば,甲第137号証に示されるように,細胞培養又は組織培養に使用する器具として,「プレート」又は「Plate」を商品名に含む商品が,各社から多数販売されている。また,甲第138号証に示されるように,細胞培養実験を伴う研究を発表した論文には,細胞培養にあたり,「plate」,「プレート」を含む名称を有する実験器具を使用したことが記載されている。これらの証拠からも明らかなように,「PLATE」という文字は,自他商品・役務の識別力に極めて乏しいのである。
(2) 商標の類否
本件商標は,「ORGANOPLATE」のアルファベット文字を横書きしてなる商標であるが,その構成文字全体から生ずる「オルガノプレート」との称呼は冗長である。そして,前記(1)記載のとおり,「ORGANO」については,一般用語としては認識されていない創造商標であり,申立人の水処理装置事業及び薬品事業を示すものとして,自他商品・役務の識別力を強く発揮している一方,「PLATE」については,細胞培養及び組織培養の分野において,培養等に用いる皿状の器具を示す普通名称として広く使用されており,「プレート」又は「Plate」を商品名に含む細胞培養用又は組織培養用の器具が各社から多数販売されていることから,自他商品・役務の識別力に極めて乏しいものである。
したがって,本件商標は,「ORGANOPLATE」のうち「ORGANO」の部分が要部であり,その要部から「オルガノ」との称呼を生ずるものであり,さらに,周知著名な事業者である申立人を観念させるものである。一方,引用商標である「ORGANO」及び「オルガノ」は,「オルガノ」との称呼を生ずるとともに,周知著名な事業者である申立人を観念させるものである。よって,本件商標の「ORGANOPLATE」は,引用商標と類似する。
(3)指定商品及び役務の類否
ア 本件商標の指定商品のうち,第1類「Chemical products and compositions for culturing cells,and the production and breeding of biological tissues,or a combination of tissues including those of human and animal organs for use in scientific,medical research and diagnostics.」は,用途を除けば「化学品及び組成物」であり,類似商品・役務審査基準の類似群コードが「01A01」である「化学品」に属する。そして,かかる指定商品は,化学品を取り扱う営業主により製造,販売されるものである。
一方,引用商標1及び2の指定商品は「界面活性剤,化学剤」であり,「化学品」に該当する指定商品であり,これも類似群コード「01A01」に属する。そして,かかる指定商品は,化学品を取り扱う営業主により製造,販売されるものである。
したがって,本件商標の指定商品のうち第1類の商品は,引用商標1及び2の指定商品と類似する指定商品である。
イ 本件商標の指定商品のうち,第7類「Processing machines for cell culture and production of biological tissue and to be used in the field of research into biological tissue and cells.」は,細胞・生体組織の培養や細胞・生体組織の研究等の生化学の分野で使用する機械であり,類似群コードが「09A06」である「化学機械器具」に属する。そして,かかる指定商品は,実験機器等を取り扱う営業主により製造,販売されるものである。
一方,引用商標3及び4の指定商品のうち,「化学機械器具,オゾン発生器,電解槽,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器」は類似群コード「09A06」に属する指定商品であり,生体物質の化学的な分析や処理の用途にも使用される機械器具である。例えば,化学機械器具には遠心分離装置も含まれるところ,遠心分離装置は細胞培養において必要不可欠に使用される装置である(甲138)。また,かかる指定商品が,実験機器等を取り扱う営業主によって製造,販売されるものであることも明らかである。
したがって,本件商標の指定商品のうち第7類の商品は,引用商標3及び4の指定商品のうち「化学機械器具,オゾン発生器,電解槽,乾燥装置,換熱器,蒸煮装置,蒸発装置,蒸留装置,熱交換器」と類似する指定商品である。
ウ 本件商標の指定商品のうち,第9類「Scientific,optical measurement and inspection apparatus and instruments for producing,growing and studying biological tissues;laboratory equipment for the production,breeding and research on cells,tissues and organs;laboratory apparatus for cell culture and production of biological tissues and to be used in the field of research into biological tissues and cells.」は,生化学の分野で使用される検査機器,実験装置及び実験用機器であり,類似群コードが「10A01」である「理化学機械器具」に属すると同時に,類似群コードが「10C01」である「測定機械器具」にも属するものである。そして,これらの指定商品は,実験機器等を取り扱う営業主によって製造,販売されるものである。
一方,引用商標5の指定商品のうち,「理化学機械器具,測定機械器具」は,それぞれ類似群コード「10A01」と「10C01」に属する指定商品であり,実験機器等を取り扱う営業主によって製造,販売されるものである。
したがって,本件商標の指定商品のうち第9類の商品は,引用商標5の指定商品のうち「理化学機械器具,測定器械器具」と類似する指定商品である。
(4)小括
したがって,本件商標は引用商標と類似し,本件商標の指定商品は引用商標の指定商品と類似するから,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
4 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用商標の類似性
前記3(2)のとおり,本件商標は,「ORGANOPLATE」のアルファベット文字を横書きしてなる商標であるが,その構成文字全体から生ずる「オルガノプレート」との称呼は冗長である。そして,「ORGANO」については,一般用語としては認識されていない創造商標であり,申立人の事業を示すものとして,自他商品・役務の識別力を強く発揮している一方,「PLATE」については,細胞培養及び組織培養の分野においては培養等に用いる皿状の器具を示す普通名称として広く使用されており,「プレート」又は「Plate」を商品名に含む細胞培養用又は組織培養用の器具が各社から多数販売されていることから,自他商品・役務の識別力に極めて乏しい。
したがって,本件商標は,「ORGANOPLATE」のうち「ORGANO」の部分が要部であり,その要部から「オルガノ」との称呼を生ずるものであり,さらに,周知著名な事業者である申立人を観念させる。一方,引用商標である「ORGANO」及び「オルガノ」は,「オルガノ」との称呼を生ずるとともに,周知著名な事業者である申立人を観念させる。よって,本件商標の「ORGANOPLATE」が「ORGANO」及び「オルガノ」と類似する。
(2)「ORGANO」及び「オルガノ」の創造性
「ORGANO」は,それ自体独立した言語として掲載した辞書は存在せず,一般用語としては認識されていない独創性のある語である。わずかに,英語辞書の中には,単に接頭語として「organ-o-(接尾語)」として掲載されている場合があるに過ぎない。したがって,「ORGANO」のアルファベット文字単独で,「有機の」といった意味を持つと解することはできない。また,「organo」を他の文字と組み合わせて単語を形成することにより「有機の」という意味を持たせることがあるとしても,その意味での使用は一般的には浸透したものではない。ゆえに,「ORGANO」のアルファベット文字については,一般用語としては認識されていない創造商標である。
さらに,「オルガノ」の片仮名文字については,日本語の辞書には記載されておらず(甲134),一般用語としては認識されることのない,独創性のある創造商標である。
(3)「ORGANO」及び「オルガノ」の周知著名性
前記2のとおり,申立人の引用商標は,申立人の水処理装置事業及び薬品事業を示すものとして,需用者,取引者の間で周知著名なものである。
また,商標法第4条第1項第15号に定める「混同を生ずるおそれ」の該当性の判断において,他人の表示等の周知著名性は,商標登録の無効の対象である商標の指定商品及び指定役務の分野に限定したものではなく,広く他人に係る事業ないし商品・役務を示すものとして,需要者,取引者の間で周知著名であるか否かが問題となる。
(4)ハウスマークである「ORGANO」及び「オルガノ」
「ORGANO」及び「オルガノ」は,申立人の商号である「オルガノ株式会社」の略称であり,甲第22号証,甲第23号証及び甲第30号証ないし甲第133号証に示されるカタログ,広告類でも使用されているように,申立人が使用しているハウスマークである。
(5)申立人の多角経営
申立人は,主として,総合水処理エンジニアリング会社として大型水処理装置事業,標準型水処理機器事業及び薬品事業を柱としつつ,その技術力を活かして,化学工学及び工業化学分野での広範な事業を行っており,また,前記1のとおり,申立人は,水処理装置の設計・製作・施工・維持管理,食品素材・添加物・栄養補助食品等の開発・製造販売,水処理機器類の販売等を行っている子会社,関連会社を多数設立し,これら子会社,関連会社の殆どが,その商号中に「オルガノ」又は「ORGANO」の文字を有しており,「オルガノ」又は「ORGANO」のブランドの下に多角的な事業運営を行っている。
(6)商品間又は役務と商品の関連性
申立人は,大型水処理装置事業,標準型水処理機器事業及び薬品事業を展開している。これらのうち標準型水処理機器事業に係る商品として,申立人は,純水装置及び超純水装置のラインナップを有しており(甲23),これらの装置が,バイオ実験用,分析生物学実験用,培養用,生化学分析装置用,細菌検査用等に使用されることがカタログにも記載されている。これらの純水装置及び超純水装置は,雑菌を含まない純粋な水を製造することができることから,いずれも細胞培養に用いる水を製造する目的に使用することができる。
したがって,これらの純水装置及び超純水装置は,本件商標の指定商品中,第7類「Processing machines for cell culture and production of biological tissue and to be used in the field of research into biological tissue and cells.」及び第9類「laboratory equipment for the production,breeding and research on cells,tissues and organs;laboratory apparatus for cell culture and production of biological tissues and to be used in the field of research into biological tissues and cells.」に該当する。
また,申立人は,細菌検査用ホモジナイザーを製造・販売している(甲23)が,この商品は,本件商標の指定商品中,第9類「Scientific,optical measurement and inspection apparatus and instruments for producing,growing and studying biological tissues.」と密接に関連する商品である。
次に,申立人の薬品事業に係る商品として販売するイオン交換樹脂は,「抗生物質の抽出」,「ビタミン類の吸着,分離,精製」「低分子天然抽出物の精製」,砂ンパク質・ペプチド精製」等といった生化学分野及びバイオ分野の処理や実験に用いることが記載されている(甲139)。したがって,申立人が販売するイオン交換樹脂は,生化学又はバイオ分野に用いる化学品である。
一方,本件商標の第1類「Chemical products and compositions for culturing cells,and the production and breeding of biological tissues,or a combination of tissues including those of human and animal organs for use in scientific,medical research and diagnostics.」は,細胞培養用・生体組織製造用等の化学品及び組成物である。ここで,細胞培養や組織培養は,いずれも,生化学やバイオの一分野であることから,本件商標のかかる指定商品は,申立人が販売する化学品であるイオン交換樹脂と,目的・用途が類似する化学品である。
このように,本件商標の指定商品は全て,申立人の事業に係る商品と極めて関連性が深い商品である。
(7)需要者及び取引者の共通性
申立人は,大型水処理装置事業,標準型水処理機器事業及び薬品事業を営む企業であるところ,標準型水処理機器事業に係る製品である純水装置や超純水装置については,バイオ実験用,分析生物学実験用,培養用,生化学分析装置用,細菌検査用等といった用途に使用される(甲23)。また,申立人の薬品事業に係るイオン交換樹脂については,生化学分野及びバイオ分野の処理や実験に使用される(甲139)。
したがって,申立人の事業に係るこれらの製品の需要者には,バイオ,生化学,細胞培養の分野の試験研究や分析等を行う,医薬品・化粧品業界,食品・飲料業界,大学,医療機関等の需要者が含まれ,さらに,前記1(2)のとおり,上記の需要者は,申立人の大型水処理装置事業の主要な需要者でもある。
一方,本件商標の指定商品の事業者は,細胞培養のための化学品や機械・機器を必要とする需要者であり,医薬品・化粧品業界,食品・飲料業界,大学,医療機関等の需要者である。
また,申立人が製造する純水装置の取引先のウェブサイト(甲141)によると,申立人が製造,販売する純水装置と併せて細胞培養,組織培養に使用する機器も取り扱っている。
このように,申立人の事業に係る製品の需要者,取引者と,本件商標の需要者,取引者とは,その多くが共通する。
需要者及び取引者の共通性について補足しておくと,甲第140号証は,細胞培養実験を伴う研究を発表した論文であるが,いずれの論文にも申立人の純水装置や検査用機器を使用したことが記載されている。
また,バイオ,生化学,細胞培養の技術分野に属し,かつ,申立人のイオン交換樹脂や純水装置等を使用したことが記載されている特許文献は,申立人が概括的に調査した範囲でも221件に及ぶ。
本件商標の指定商品の需要者である医薬品・化粧品業界,食品,飲料業界,大学,医療機関などの需要者は,バイオ,生化学,細胞培養の分野の研究開発を行う者であるから,これほど多くの申立人のイオン交換樹脂や純水装置等を使用したことが記載されている文献が存在するという事実は,本件商標の指定商品の需要者が,同時に申立人の商品の需要者であることを示す証拠に他ならない。
(8)小括
以上のとおり,本件商標をその指定商品に使用する場合には,その需要者及び取引者において,その商品又は役務が,申立人との間にいわゆる親子会社等の緊密な営業上の関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると混同される可能性が極めて大きいものである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 「ORGANO」及び「オルガノ」の周知著名性について
申立人の主張及び提出した証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)申立人は,昭和21年に株式会社日本オルガノ商会として設立され,同41年に現商号である「オルガノ株式会社」に商号変更した。そして,申立人の英語表記は「ORGANO CORPORATION」である(甲6,甲7,甲10)。
また申立人は,多数の子会社,関連会社を有し,これらの子会社,関連会社の多くは,その商号中に「オルガノ」の文字を含み,その英語表記には,「ORGANO」の文字を含む(甲7,甲10,甲11)。
(2)申立人は,製造業者向けの純水製造装置,超純水製造装置,排水処理装置,発電所向けの復水脱塩装置,官公需向けの上下水道設備等の製造,納入,メンテナンス(甲8,甲11,甲12)及び研究所,病院等に向けた小型のラボ用純水・超純水装置,厨房,カフェ等用のフィルター型浄水器の製造,販売(甲8)を行うと共に,水処理薬品,イオン交換樹脂,食品添加物等の製造,販売といった薬品事業を行っている。そして,本件商標の国際登録時(平成27年度)の売上高は787億1900万円である(そのうち,製造業,発電所,官公需向けの水処理装置事業が629億700万円,研究所,病院,厨房,カフェ等向けの浄水装置事業及び薬品事業が158億1100万円に及ぶ(甲8))。特に,超純水製造装置は,水処理事業の主力商品であり,市場シェアの3割以上を占める(甲15)。
(2)申立人の発行に係る総合カタログ及び個別商品カタログの表紙にはいずれも図形と「ORGANO」又は「オルガノ」の文字の組み合わせからなる標章が表示されている(甲16?甲19,甲22,甲23,甲30?甲79)ところ,図形部分と「ORGANO」又は「オルガノ」の文字部分とは,常に不可分一体のものとして認識し把握される特段の理由も見いだし難いことから,それぞれが独立して出所識別標識としての機能を果たし得るものである。
(3)申立人は,昭和39年より平成25年までに,新聞の題字広告(1面の新聞紙名の真下に表示される広告)として「オルガノ」の文字からなる標章を「水の価値を創造する」,「水のトータルエンジニアリング」等の文字と共に定期的に掲載している。また,平成10年ころより,「organo」の文字を含む申立人のURL(http://www.organo.co.jp)も共に掲載している(甲80?甲83)。
(4)申立人の新聞広告は,昭和50年から平成20年までの間に,日本工業新聞広告大賞(日本工業新聞)及び日本産業広告賞(日刊工業新聞)を度々受賞している(甲86?甲88)。
(5)申立人は,「The Japan Times」(2011年11月3日発行),「工業用水」(平成16年5月20日発行),「PHARM TECH JAPAN」(平成16年12月1日発行),「読売新聞」(平成18年5月29日発行),「朝日新聞」(平成20年9月10日発行),「水と水技術」(2010年7月15日発行),日本経済新聞(平成24年1月1日発行)に,申立人の水処理関連事業に関する広告を掲載している。その広告中には図形と「ORGANO」の文字の組み合わせからなる標章が表示されている(甲89?甲91)。
(6)申立人の水処理関連事業ないし水処理装置に関する記事が,テレビ番組,各種雑誌,新聞等に掲載されており,その多くは,申立人を「オルガノ」として紹介している(甲20,甲21,甲85,甲100?甲127)。また,該雑誌,新聞の一部においては図形と「オルガノ」又は「ORGANO」の文字を組み合わせた標章を表示した広告が掲載されている(甲125,甲127)。
(7)申立人の「電子部品洗浄用機能水製造装置」は,平成19年に社団法人日本産業機械工業主催の「第33回優秀環境装置表彰事業」において「経済産業大臣賞」を受賞し,そのことが新聞報道された(甲130の1,甲131)。
(8)細胞培養実験を伴う研究を発表した平成8年及び1985年受付の論文中に,「フィルター濾過超純水装置(オルガノ・・・)」,「イオン交換器(オルガノ社)」の記載がある(甲140の1,2)。
(9)以上によれば,「オルガノ」及び「ORGANO」の文字は,申立人の略称であるほか,申立人のハウスマークとして昭和21年の設立より使用した結果,申立人の純水製造装置,超純水製造装置,排水処理装置等の商品を含む水処理関連事象及び該事業に伴うイオン交換樹脂,水処理薬品等の商品を含む薬品事業を表示する商標として,本件商標の国際登録の日には,既に,取引者,需要者の間に広く認識されていたというべきであり,その状態は本件商標の国内登録査定時においても係属していたというべきものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は,前記第1のとおり,「ORGANOPLATE」の欧文字を表してなるところ,該文字は,同じ書体,同じ大きさ,同じ間隔をもってまとまりよく表されており,本件商標全体からから生ずる「オルガノプレート」の称呼も一連に称呼し得るものである。
そうすると,本件商標は,「ORGANOPLATE」の構成文字全体をもって一体不可分のものと認識し,把握されるとみるのが自然であり,特定の観念は生じないものである。
なお,申立人は,本件商標の構成中の,「PLATE」の文字部分が「培養皿」の意味をも有し,指定商品との関係で自他商品の識別力が極めて乏しいことから,申立人の水処理事業及び薬品事業を表示する商標として広く認識されている「ORGANO」の文字部分が本件商標の要部である旨主張する。
しかしながら,「PLATE」の文字部分の有する意味に「培養皿」があるとしても,一般的には「板,皿」の意味を有する英語として我が国において広く知られている語であることから,該文字部分が直ちに商品の原材料又は品質等を表示させる文字として認識されるとも言いがたく,一連にまとまりよく構成された本件商標から殊更該文字部分を捨象して「ORGANO」の文字のみをもって取引に資するとは認め難い。
(2)引用商標について
引用商標は,前記第2のとおり「ORGANO」の欧文字(引用商標1及び引用商標3),「オルガノ」の片仮名(引用商標2及び引用商標4)及び「オルガノ」と「ORGANO」の文字を2段に書した構成(引用商標5)であるところ,「ORGANO」の文字は,「有機の」の意味を有する英語であるものの,一般にはその意味がよく知られている語とは認められない。
また「オルガノ」の文字は「ORGANO」の読みを表記したものと認められるから,引用商標は,その構成文字に照応した「オルガノ」の称呼を生じ,特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
そこで,本件商標と引用商標を比較するに,本件商標から生ずる「オルガノプレート」の称呼と引用商標から生ずる「オルガノ」の称呼とは,構成音数が異なるばかりでなく「プレート」の音の有無という顕著な差異により,それぞれを一連に称呼するときは全体の音感,音調が著しく相違し,容易に区別することができるものである。
また,本件商標と引用商標とは,それぞれの構成に照らし,外観上,判然と区別し得る差異を有するものである。
さらに,本件商標と引用商標とは,共に特定の観念を有しないから,両者は観念上類似するとはいえない。
そうであれば,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れることのない非類似の商標といわなければならない。
したがって,本件商標と引用商標とを同一又は類似の商品について使用しても,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号について
前記1のとおり,「ORGANO」及び「オルガノ」の文字は,本件商標の国際登録の日及び国内登録査定時において,申立人の事業ないし商品を示す商標として需要者の間に広く知られていたものと認められる。
しかしながら,「ORGANO」及び「オルガノ」の文字は,引用商標と同一の綴りからなるものであるから,前記2(3)と同様の理由で,本件商標とは,十分に区別できる別異の商標と認められる。
してみれば,「ORGANO」及び「オルガノ」の文字が,申立人の事業及び商品を表す商標として周知著名であるとしても,本件商標とは,十分に区別できる別異の商標であるから,本件商標は,これをその指定商品に使用しても,これに接する取引者,需要者をして,申立人の事業及び商品を表す商標である「ORGANO」及び「オルガノ」を想起,連想させるものとは認められず,該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しないものである。
3 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれの規定にも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものとする。
よって,結論のとおり決定する。
異議決定日 2017-07-06 
審決分類 T 1 651・ 263- Y (W010709)
T 1 651・ 261- Y (W010709)
T 1 651・ 262- Y (W010709)
T 1 651・ 271- Y (W010709)
最終処分 維持  
前審関与審査官 黒磯 裕子 
特許庁審判長 今田 三男
特許庁審判官 大森 友子
田中 幸一
登録日 2015-11-03 
権利者 Mimetas B.V.
商標の称呼 オルガノプレート、オルガノ、プレート 
代理人 永島 孝明 
代理人 若山 俊輔 
代理人 安國 忠彦 
代理人 矢野 卓哉 

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