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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 W091641
審判 一部申立て  登録を維持 W091641
管理番号 1332412 
異議申立番号 異議2017-900221 
総通号数 214 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2017-10-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-07-03 
確定日 2017-09-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5937544号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 登録第5937544号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5937544号商標(以下「本件商標」という。)は,「BLAST」の欧文字を標準文字で表してなり,平成28年9月29日に登録出願,同29年2月20日に登録査定,第9類「家庭用テレビゲーム機用プログラム,携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済ビデオディスク及びビデオテープ,映写フィルム,スライドフィルム,電子出版物」,第16類「文房具類,印刷物,書画,写真」及び第41類「知識の教授,インターネットを通して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,放送番組の制作,娯楽用ビデオの制作,映像機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作,着ぐるみ・ぬいぐるみによるキャラクターショーの企画・運営又は開催及びそれらに関する情報の提供,写真の撮影」,並びに第28類及び第38類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同年3月31日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
商標異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標はその指定商品及び指定役務中の第9類「全指定商品」,第16類「全指定商品」及び第41類「全指定役務」(以下「異議申立に係る指定商品及び指定役務」という。)について,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第9証を提出した。
(1)引用商標について
申立人が,本件登録異議の申立てに引用する標章は,別掲のとおりからなるデザイン化された「blast」の欧文字(以下「blastのロゴ」という。),並びに,「ブラスト!」の片仮名及び記号からなるものである(以下,これらを併せて「引用商標」という場合がある。)。
(2)商標法第4条第1項第10号について
本件商標からは,「ブラスト」の称呼,「突風」,「爆発」及び「楽しい時間を過ごした時のスラング」の観念を生じ,引用商標からも同じ称呼及び観念を生じるものである。
したがって,本件商標と引用商標は,共に「ブラスト」の称呼,「突風」「爆発」及び「楽しい時間を過ごした時のスラング」の観念を共通にする類似の商標である(甲1及び甲2)。
そして,引用商標は,ジェームス・メイソン(James Mason)が制作したブロードウェイのミュージカル作品名及びそのロゴであり,ミュージカル作品「ブラスト!」は,2001年には,アメリカの演劇界で最も権威ある賞とみなされているトニー賞の「最優秀スペシャル・シアトリカル・イベント賞」と,米国テレビ芸術科学アカデミーが主催するテレビに関連する様々な業績に与えられる賞であるプライムタイム・エミー賞の「最優秀振付賞」を受賞している(甲3)。
また,引用商標は,2003年から「ブラスト!」日本公演に使用されており,現在までに国内で100万人以上を動員している大ヒット作品のタイトル及びそのロゴであり,2017年の公演においても,全47都道府県での公演が予定されている(甲4及び甲5)。
さらに,女優との共演予定や出演者によるリハーサル合宿地での吹奏楽部への訪問・中高生に対する演奏指導など,「ブラスト!」に関する幅広いプロモーション活動が,スポーツ紙及び大手新聞紙のウェブサイトで紹介されている(甲6及び甲7)。
加えて,引用商標は,毎回,公演プログラムをはじめ各種グッズに使用されており,映像作品(DVD),音楽作品(サウンドトラックCD)にも使用されている(甲8及び甲9)。
したがって,引用商標は,ブラスト!関係者が取り扱う商品及び役務については,取引者及び需要者の間に広く認識されている商標であり,本件商標は,その指定商品及び指定役務中の第9類「インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済ビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」,第16類「文房具類,印刷物,写真」及び第41類「インターネットを通して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給,放送番組の制作,娯楽用ビデオの制作」に関しては,ブラスト関係者!の業務に係る商品及び役務と同一又は類似する商品及び役務について使用するものに該当する。
(3)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は,ブラスト!関係者により10年以上継続して使用されており,また,ウェブ百科事典や全国紙にも掲載されるほどに,ブラスト!関係者の商標として広く一般に知られている(甲3?甲7)。
したがって,これと類似する本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合,商品及び役務の出所について混同を生じるおそれがある。

3 当審の判断
(1)引用商標の周知性について,申立人の主張及び同人の提出した証拠によれば,以下のとおりである。
ア 甲第2号証は,ブラスト!2003年公演パンフレットの表紙及び甲第4号証は,上記公演日時記載箇所とするものであるところ,甲第2号証には,blastのロゴ,並びに,「ブラスト!」の片仮名及び記号が表示され甲第4号証には,左下部分に不鮮明ながら「Tokyo 2003.7.23・・・8.10 Bunkamura オーチャードホール」及び「Osaka 2003.8.12・・・8.14・・・厚生年金会館大ホール」の記載が見える。
しかしながら,甲第2号証及び甲第4号証が引用商標を表示した2003年の公演パンフレットであるとしても,いかなる者の取扱いに係る公演パンフレットであるか不明であって,また,当該公演パンフレットの印刷部数,頒布の事実,blastのロゴ等を表示した公演が行われた事実,及び観客数等は示されていない。
イ 甲第5号証は,ブラスト!2017年公演ウェブサイトとするところ,これには,「魅せる音楽集団『ブラスト!』がディズニー音楽で贈る究極のエンターテイメント!日本で100万人以上を動員した世界的大ヒット『ブラスト!』と永遠に愛されるディズニーのメロディが奇跡の融合を果たす!2017年,パワーアップして全国47都道府県ツアーを決行!」の記載がある。
しかしながら,ブラスト!の文字及び記号を使用した2017年公演が,いつ,どこで,どの程度の規模で開催されたものであるかを確認することができない。
ウ 甲第8号証は,ブラスト!公演グッズ販売資料とするところ,その1葉目には,blastのロゴの表示の下,Tシャツ等が飾られた写真が掲載されており,その下には,「2016年ブラスト!:ミュージック・オブ・ディズニーオフィシャルグッズ」として,Tシャツ,スポーツタオル,トートバッグ,クリアファイル及びキーホルダー等の商品が掲載されている。
そして,その2葉目には,blastのロゴの表示の下,「全国ツアー2014公演グッズ」として,「blastのロゴ」,並びに,「ブラスト!」の片仮名及び記号が表示された公演プログラム,Tシャツ,クリアファイル,トートバッグ,ストラップ,ボールペン+シャープペン,シールセット及びスポーツタオルの商品が掲載されている。
しかしながら,上記2016年及び2014年の公演グッズは,いかなる者の取扱いに係る商品であるか不明であって,また,これらの商品の販売数,売上高,広告宣伝の回数及び内容等を確認することができない。
エ 甲第9号証は,音楽作品(CD)及び映像作品(DVD)の販売を紹介するウェブサイトとするところ,不鮮明ながらもその2葉目の下部分に「blast II」と表示された商品,DVDのパッケージらしきものが見える。
しかしながら,当該商品は,いかなる者の取扱いに係るものであるか不明であって,また,当該商品の販売数,売上高,広告宣伝の回数及び内容等を確認することができない。
オ 上記アないしエによれば,本件商標の登録出願日前である2003年に,我が国において,引用商標を表示して,「演劇の上演,音楽の演奏,ダンスの上演」等が行われたこと,2014年及び2016年には,ブラスト!公演の際,Tシャツ,クリアファイル,トートバッグ,ストラップ,ボールペン+シャープペン,シールセット及びスポーツタオル等が販売されたことが推認され,「blast II」と表示されたDVDらしき商品が販売されているであろうことがうかがえるにすぎない。
そうすると,申立人が提出した上記証拠からは,引用商標が,「公演プログラム,Tシャツ,クリアファイル,トートバッグ,ストラップ,ボールペン+シャープペン,シールセット,スポーツタオル,DVD」及び役務「演劇の上演,音楽の演奏,ダンスの上演」について使用されていたとしても,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,ブラスト!の関係者の業務に係る商品及び役務を表示する商標として,我が国において広く知られていたものということができない。
(2)本件商標と引用商標との類否について
本件商標は,前記1のとおり,「BLAST」の欧文字を表してなり,これからは「ブラスト」の称呼を生じ,該欧文字は,「突風,爆発」等の意味を有する英語であるが,我が国において広く親しまれている語とまではいえないから,特定の観念を生じないものである。
他方,引用商標は,別掲のとおり,「blastのロゴ」並びに「ブラスト!」の片仮名及び記号を表してなるものであるから,これらからは「ブラスト」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
そこで,本件商標と引用商標との類否について検討するに,本件商標は,「BLAST」の欧文字を表してなり,引用商標のblastのロゴと,つづりを同じくするものであるから,両商標は,外観において近似した印象を与えるものである。
そして,本件商標とblastのロゴとは,「ブラスト」の同一の称呼を生じ,つづりを同じくするものであるから,異なる観念が生じることはないといえる。
そうすると,本件商標とblastのロゴとは,外観において近似し,称呼及び観念において相紛らわしい類似の商標と認められる。
次に,本件商標と引用商標の「ブラスト!」とは,外観において明確に相違するものであるが,「ブラスト」の同一の称呼を生じ,「ブラスト」の片仮名は,「BLAST」の欧文字の読みを表したものといえるから,観念において相違はないものである。
そうすると,本件商標と「ブラスト!」とは,外観において相違するとしても,称呼及び観念において相紛らわしい類似の商標と認められる。
(3)商標法第4条第1項第10号該当性について
前記(1)のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,ブラスト!の関係者の業務に係る商品及び役務を表示する商標として,我が国において広く知られていたものということができない。
そうすると,本件商標と引用商標とが類似の商標であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当しない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
前記(2)のとおり,本件商標と引用商標とは,類似の商標と認められる。
しかしながら,前記(1)のとおり,引用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,ブラスト!の関係者の業務に係る商品及び役務を表示する商標として,我が国において広く知られていたものということができない。
そうすると,本件商標は,本件商標権者が,これを異議申立に係る指定商品及び指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者が,引用商標ないし申立人を想起又は連想することはなく,その商品及び役務が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品及び役務であるかのように,商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(5)むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,異議申立に係る指定商品及び指定役務について,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 引用商標のうちの「blast」のロゴ





異議決定日 2017-08-31 
出願番号 商願2016-105630(T2016-105630) 
審決分類 T 1 652・ 271- Y (W091641)
T 1 652・ 25- Y (W091641)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 啓之 
特許庁審判長 早川 文宏
特許庁審判官 平澤 芳行
田中 亨子
登録日 2017-03-31 
登録番号 商標登録第5937544号(T5937544) 
権利者 株式会社ブラスト
商標の称呼 ブラスト 
代理人 小林 義美 

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